SI -Second Irregular- 作:リンク切り
「ねえねえ、何て言うの?秘密にするからお姉さんに教えてみなよー!」
名前に秘密も何もないだろうに。むしろ、皆に知られて然るものだ。
「俺の名は天r「わかった、じゃあれんくんだね!」
「知ってるなら聞くなよ。それと、お前俺の部屋に盗聴器仕掛けただろ?」
「ぎくりんこ!?な、なんの事かなー!?」
「隠すつもり無いなお前・・・・」
「諦めろ漣夏、コイツはこういう奴なんだ。ところで、盗聴器とは何だ?私は初耳だが。」
「い、痛い、痛いよちーちゃん、体と頭がさよならしちゃうよ!」
「おお、それは好都合だ。」
「どうでもいいが、もう俺帰っていいか?」
「待て。後もう1つある。そのISのISコアだが、少々おかしな点があってな。」
「おかしな点?」
「ああ。他のISコアと比べ、こちらからの呼びかけに対して反応を殆ど示さない。」
「・・・・それは、起動できないって事なのか?」
「いや、そうじゃない。そうだな、例えば他のISが大人だとすれば、このISは赤ん坊のコアという事だ。」
「赤ん坊?」
「赤ん坊ねえ・・・・」
「起動の仕方が分からないというのは変わらなかったがな。」
「どうしてもっていうなら、私が研究施設に持ち帰って直接調べて見てもいいんだよ!」
「結構だ。ま、色々と模索してみるさ。じゃあな。」
「ああ。呼び出してすまなかったな、もういいぞ。」
「あー!れんくん待ってよー!」
バタン。
遠慮なく閉めた。後は織斑千冬に任せるとしよう。流石は天災、関わっていなくても関わっていても傍迷惑この上ない奴だ。早く部屋へ帰ろう。
「・・・・・ところで。さっきから俺の後をつけてる奴、隠れるつもりあるのか?せめて気配だけでも隠したらどうだ。」
自分の部屋の前まで来たが、一向に離れる気配がない奴のいる背後に、振り向かずに問いかける。寮長室(織斑千冬は1年生の寮長であるため、寮長室にいる)から出た後からずっとストーカーのようにくっついてきていた。無視して部屋の前まで来たが、相手もかなりしつこくしょうがないので声をかけた。
「あら、気付かれちゃった?」
「当然。それで、何の用だ。」
「そうね、世界でも珍しい男子のIS操縦者を見て見たかった。って所かしら?」
「いいや違うね。どの程度実力があるのか、推し量りたかったんだろ?」
「・・・・何でそう思ったのかしら?」
「そりゃあ、段々と隠していた気配を出して来たら何事かと思うだろ。それで、いつ気付くかで気配察知の能力がどの程度あるのかを探ろうとした。」
「へえ。じゃあ君は最初から気付いてた、って事かしら?」
「さあな。それ以外に用がないならもう行くぞ。」
「あら、性急ね。もう少しお姉さんとの会話を楽しもうとは思わないのかしら?」
「思わない。それじゃあな。」
「待って。あなた、代表候補生に喧嘩をふっかけたらしいじゃない?」
「とんでもない誤解だ。俺はふっかけられたんだ。」
「そうなの?どっちでもいいけど。お姉さんがコーチしてあげるわよ?」
「・・・・・俺にコーチだと?寝言は寝ながら言うのがマナーだろ、却下だ。
せめて俺の足元くらいになってから出直して来い。」
「この学校の生徒会長って、IS学園で1番強い生徒がなるのよね。」
俺は、そっと背後を振り向いた。目に映るのは、水色のような髪の色。覗き色と言えばいいのか?
「ふふ。自己紹介するわね。私の名前は更識 楯無。この、IS学園の生徒会長兼、ロシアの国家代表よ。」
バッと扇子開いて口元を隠す。その扇子には「学内最強」と達筆で書かれていた。芸の細かいことで。
「残念だが、学内最強はこの俺だ。」
「・・・・・それは、私に対しての宣戦布告と捉えてもいいのかしら?」
「ああ、いいぜ。この学校の生徒会長は最強の称号だったよな?
という事は、俺がお前に勝てば生徒会長にでもなれるわけだ。そのつもりは無かったんだが、興が乗った。1つ手合わせ願うぜ?」
「ふふ。ちょっと遊んであげるくらいのつもりだったけど、そう言われちゃ引くに引けないわね。」
「さて、華々しい学園生活の前座と行こうか。覚悟しとけよ、生徒会長サマ?」
☆
それからなんやかんやあり、セシリアオルコットとの決闘当日。
俺たちはこの一週間、ISの事を学んだりして過ごした。俺が遊んでる間に一夏は篠ノ之箒にビシバシ剣術を叩き込まれていたようだが。途中色々な
「いよいよだな、漣夏!」
「・・・・・ああ、そうだな。」
「何だよ、素っ気ないな。もしかして、緊張してるのか?」
「そんなことはない。俺は緊張しない。」
「じゃあどうしたんだよ?」
「いや、最悪な展開を予想してしまっただけだ、気にするな・・・・・」
「最悪な展開?大丈夫だ、漣夏は負けないさ!」
「いや、勝ち負けの話じゃなくてだな。俺がアイツと闘って負けるなんてことは万に一つも無い。だが・・・・・」
「何をしている、乃至。早く打鉄を装着しろ。」
「・・・・・了解。」
「アリーナの使用時間は限られている。無駄な事をしている暇はないぞ。」
一夏の専用機、白式がまだ来てないとかで、試合の順番は俺からになった。だが、よく考えてみればそうなるのは予想できた。それだけなら良かったのだ。
だが、相手はセシリア・オルコットだ。
あいつはこの試合が一夏に好意を抱くきっかけになる。その惚れる対象が、試合の順番が先になった俺になってしまったらという考えが頭をよぎってしまった。いや、有り得ない話ではある。セシリアは自分に勝ったからではなく、自分の思い描く理想の男性像として一夏に惚れたのだ。だが、もしなにかの間違いが起きれば・・・・
そんな可能性は、限りなく低くではなく、0にする必要がある。試合を一夏の後に変更してもらおうにも一夏の専用機が来ないのなら仕方が無い。それに、アリーナの使用時間の制限もある。
「こうなれば、本当に早急に倒すしかないか。」
打鉄を装着する。やはり違和感は拭えない。
「それより、漣夏はISスーツを着ないのか?」
「ああ。別に要らないからな。そんな物を買う余裕も無かったし。」
ISスーツとは、IS装着時に着用する特殊なフィットスーツだ。ISスーツを着用してISを装着すると、ISの反応速度が上がり動きがスムーズになるらしい。
逆にISスーツを着用していないと、ISと操縦者の間に伝達の誤差が生じて動きが落ちたり、反応速度が下がったりする。
「やっぱり、俺のを貸してやろうか?」
「ヤハハ!いらねえよ!
・・・・それに、これくらいが丁度いいハンデだろ。」
「勝つ前提で話してるけど、本当に勝てるのか?」
「愚問だな。俺が勝負事で負けることはない。そう言えば、なあ一夏。俺前に、『俺が敵に塩を送るとでも思うか?』って言ったことがあっただろ?」
「言ったか、そんなこと?」
「ああ、言ったぜ。2話前の、お前がISの事を教えてくれって言った時だ。」
「そんなこと言ってたような、言ってなかったような・・・・・」
「言ったんだ。で、そのことなんだが」
一夏を一瞥し、言い放つ。
「俺は敵に塩を送るぜ。それで、相手が強くなるならな。」
「え?」
「さーて、一丁敗北を味合わせてやろう。」
打鉄を装備したまま、アリーナへのIS専用入口の前に立つ。ISの試合では、ISをここで装着して、この入口からアリーナへと入ることになる。
「乃至 漣夏。準備できたぜ。いつでも行ける。」
「そうか。では、行って来い。」
「ああ。出撃だ!」
「最初の相手は貴方なのかしら?」
「そうみたいだぜ。One summerの方は専用機待ちだとさ。」
「そうですか。では、善戦を期待してますわ。」
「最初に言っておくが、俺は今日お前と善戦なんてするつもりは無い。少しは見せ場を作ってやろうかとも思ったが、ちょっと事情が変わってな。一瞬で終わらせる。」
「あら、強気ですのね。初心者の貴方と訓練機では役不足ですけれど、どうか私を楽しませてください。」
『・・・・では、試合を開始する。両者、用意を。』
会話が途切れた所で、試合の指示が入る。俺たちの使っていたのは
『試合開始!』
「先攻はお譲りしますわ。」
「有難いね。じゃ、決めさせてもらうぜ!」
「何を・・・・」
「
スラスターへエネルギーをつぎ込み、瞬時加速を使ってトップスピードで瞬間的にセシリアへと近づく。
「なっ!?」
驚愕に染めた顔を晒しながらブルーティアーズを・・・いや、BT兵器の方のブルーティアーズを操作して応戦しようとする。
機体と武器が同じ名前って紛らわしいとは思わなかったのだろうか。アイツが思わなくても俺は思う、紛らわしい。
この武器の方のブルー・ティアーズは第三世代の兵装で、イメージインターフェースを用いてコントロールすることが出来る。つまるところは、イメージすればその通りに動かすことの出来る武器という事だ。使いこなすことが出来れば、確かに強力だ。
その攻撃を無視し、セシリア・オルコットへと突っ込む。ブルー・ティアーズによるビーム攻撃により、打鉄のシールドエネルギーがゴリゴリと削られる。
「貴方、何を!?」
あいつが驚くのも無理はない。俺は、ブルーティアーズのビーム攻撃を一切、避けようとも防御しようともしていないのだ。おかげで、俺のシールドエネルギーの残量は半分を切っている。
だが、
「宣言通り、一瞬で終わらせてやるよ!!」
勢い良く腕を振りかぶり、腹部を殴打。
「がッ!?」
おおよそ、年頃の女子が出してはならないような声をあげて吹き飛ぶ。あれ、既視感。前にも某元世界最強と試合をした時こうやって殴ったような。その時よりは強めに打ったが。
パァァァアン!!
吹き飛ばされたセシリア・オルコットはアリーナに設置されている遮断シールドにぶち当たり、なんと言うか、凄まじい音を出して落ちて行った。
ちなみに遮断シールドとは、ISの攻撃が逸れた時や流れ弾から客席を守るためにアリーナに張られているバリアだ。
『ブルー・ティアーズ、エネルギー残量0。勝者、乃至 漣夏。』
クラスメイト全員が、下手をすれば織斑千冬まで驚いていたと思う。こうして、俺とセシリア・オルコットとの試合は幕を閉じたのだった。
『I confirmed struggle and intention of the master. I am Noire. It starts.』