SI -Second Irregular- 作:リンク切り
ビーッ!!
『白式、シールドエネルギー0。勝者、セシリア・オルコット!』
一夏の試合は、概ね原作通りだった。
勿論、最後は使い方の分かっていない
情けないったらありゃしないぜ。
じゃ、今日のMVP君を労いに行きますか。
一夏が戻ってくると搭乗していた白式は消え、腕のガントレットだけが残った。
「よう、弟クン。善戦お疲れだな。」
ヤハヤハと笑いながら、白式の展開を解除した一夏につっかかる。
しかし俺とは反対に、一夏の気分は沈んでいた。
「漣夏か・・・・・悪い、負けちまった。」
「何落ち込んでんだよ?代表候補生相手にあそこまで戦えたんだぞ。それ以上を期待するのは望みすぎってもんだろ。」
「漣夏は勝ってたじゃないか。」
「あんなの不意打ちでしかない。それに、俺はいいんだよ、普通じゃないから。」
「でも、一緒に特訓もしたのに・・・・・」
「特訓?なにそれ。」
「え?」
「俺はただ遊んでただけだけど。」
「だよな!!!絶対おかしいと思ったんだよ!!!!!」
鬱オーラから一変、俺にしがみついて叫ぶ。
良かったじゃないか、いつもの元気が戻って来たみたいで。
「アクションゲームとかならまだわからなくもなかったけど、音ゲーなんてISと全然関係ないじゃないか!!」
「今更そんなこと言われても困るぜ、一夏。」
「そうかもしれないけど!」
「それに、座学はちゃんと見てやっただろ?」
「確かに授業についていけるようにはなったし、ISの事もわかってきたけど!」
「はい、今から"でも"と"けど"って言うの禁止な。」
「でも!」
「禁止な?」
「お、おう・・・・」
この時一夏は蓮夏から、織斑千冬のような「逆らってはいけないオーラ」を感じ取ったという。
「それにしても、何だっけ?「俺の姉さんは世界一だ、誰にも渡しはしない!」だっけ?いやあ痺れるねぇ。これが"ジャパニーズシスコン"って奴なのか?」
「尾ひれはひれを付けすぎだ!それに、そんな言葉は存在しない!!」
「あっれえ、記憶違いか?俺にはそう聞こえたけど?」
「それを信じて欲しかったら、まずはその薄ら笑いからやめることをオススメするぜ。」
「ヤハハハ、残念だがそれは無理な相談だ。で?本当はなんて言ったんだ?」
「えっと、「俺は世界で最高の姉を持ったよ」、だったかな?」
「やっぱりシスコンか。」
「いやいやいやいや、違うからな!?」
「大正解だろ。まあでも、相手があの織斑千冬なら仕方が無いよな。俺も、あの程度は骨がないと困るぜ。」
「だから、そういうんじゃなくてだな・・・・・」
「織斑くん。初めての試合はどうでした?」
「そうですね、最初から無我夢中で、ISを動かそうにも思ってたより難しくて。ビームを避けるのも大変でした。」
場所は変わらず。
俺達が話していると、織斑千冬と山田真耶の教師陣とついでに篠ノ之箒が俺達のいる部屋へと入ってきた。
山田真耶教諭が、戦闘後の一夏へと問いかける。
試合についてなど、色々と説明があるらしい。
「セシリアさんは遠距離攻撃に特化したISですからね。射撃の腕はトップクラスなんですよ。」
「だが、撃ち方が単調で工夫がない。典型的なマニュアル人間だな。」
「お、おい、漣夏。」
「事実そうだろ?一夏だって、途中から上手く避けてたじゃないか。」
「でも、言い方ってもんがあr「
山田真耶教諭の傍に立っていた織斑千冬が口を挟む。
それに同調するように、俺も一夏を一瞥しながら言う。
「例えば、武器の特性を理解せず使ったりしちゃうわけだな。」
「特性?ああ、そう言えば。最後にシールドエネルギーが攻撃されてもいないのにいきなり0になったけど、どうしてなんだ?」
「バリア無効化攻撃を使ったからだ。」
「バリア無効化攻撃?」
「相手のシールドを切り裂いて、本体に直接ダメージを与える技だ。お前の兵装“
「雪片って、千冬姉の使ってた武器だよな?」
「そうだ。雪片弍型は、その改良版とでも思っておけばいい。」
「改良版、ねえ。」
「だが、この技には欠点がってだな。シールドを無効化するために、自身のシールドエネルギーをも攻撃に転化させる必要がある。」
「そうか。それで白式のシールドエネルギー残量が、攻撃されてないのにいきなり0になったのか。」
「使い所を誤ると、今回のようなことになってしまう。だが、その分一撃の攻撃力は凄まじいぞ。私が第一回モンドグロッソで優勝出来たのも、この能力によるところが大きい。」
「ISでの戦いは、どちらかのISのシールドエネルギーが0になった時点で負けになります。
バリア無効化攻撃は、自分のシールドと引き換えに相手にダメージを負わせる諸刃の剣な技ですね。」
「はあ・・・・」
詳しく言うと。
“バリア無効化攻撃”は、白式の
いや、寧ろ「バリア無効化攻撃=零落白夜」だと思ってもらっていい。
この零落白夜だが、先ほども出てきた通り自身のシールドエネルギーを使って発動する技だ。
防御に回していたエネルギーを変換して
相手のエネルギーを無効化させるには、零落白夜を発動させている雪片を、無効化させたいエネルギーに当てなければならない。
発動させたものの、攻撃が当たらず自分のシールドエネルギーを無駄に使ってしまうということも十分ありえるのだ。
零落白夜による攻撃を当てることが出来れば、大ダメージを与えることが出来る。
その仕組みについてだが、「絶対防御が発動するとシールドエネルギーが大幅に失われる」ことを利用している。
零落白夜で相手を守っているシールドを切り裂いて本体にダメージを与える。
すると危険を察知したISが絶対防御を発動させて操縦者を守る。
つまり、相手の絶対防御を引き出してエネルギー残量を減らしているのだ。
高すぎる攻撃力で絶対防御を貫いてしまうと相手に怪我をさせ、IS競技規約の違反になるどころか殺人になってしまうこともあるので加減が必要ではあるが。
ちなみに、無効化できるのはシールドエネルギーだけではなく、エネルギーのものならば相手からの攻撃をも無効化することができる。
「シールドエネルギーは、結構色々なことに使えるんだ。一夏の零落白夜もそうだが、例えば、
ISのシールドエネルギーは、単にRPGやアクションゲームでいうHPじゃなくて、HPとMPが合体してるものだと捉えた方がわかりやすいかもな。」
「ああ、なるほど。」
「つまり。お前の機体は“欠陥機”だ。」
「欠陥機!?」
「言い方が悪かったな。ISはそもそも完成していないのだから、欠陥も何もない。
お前の機体は、他の機体よりちょっと攻撃特化になっているということだ。」
安堵のため息をつき、胸をなでおろす一夏。
そりゃあ自分専用のISが欠陥機何て言われれば心配にもなるだろう。
もう少し言葉を選んでもいいと思うぞ、織斑千冬。
「ISは今、待機状態になっていますけど、織斑君が呼び出せば、いつでも展開できます。
あ、街中で許可なくISを展開させるのは法律で禁止されているので、絶対にしないでくださいね。」
「は、はい!」
「あ、そのような規則があるので、この本をしっかりと読んでおいてくださいね。あと、乃至君も。」
山田真耶教諭から渡されたのは、流石に電話帳ほどはないものの、かなり分厚い本だった。
表紙には“IS教則本”と書いてある。
受け取る一夏の顔は、やはり暗いものだったのは言うまでもない。
「それで、俺たちはどうする?」
「ん?何がだよ。」
「いや、試合だよ。元々、クラス代表を決めるって話だっただろ?」
「残念だが、もう一試合やれるほど時間は残っていない。アリーナは自由に使用可能だ。私達が何時までも独占する訳にもいかないだろう。」
「だとさ。」
「そうか・・・・じゃあ、俺に勝ったセシリアに勝った、漣夏がクラス代表ってことか?」
「そうなるだろうな、きっと。」
「あ。」
「ん?どうしたんだ、漣夏。」
アリーナから出て暫くして、急に足を止めた俺に、一夏が問いかける。
「ちょっと忘れ物したから、先に寮まで帰っててくれ。」
「おう、わかった。また明日な!」
「夕食の時も一緒じゃないか?」
「そっか。じゃ、また夕食の時な!」
「ああ。」
その後そのまま帰った一夏は、「漣夏って忘れ物するような物持ってたっけ?」と思うのであった。
一夏と箒が離れてから、俺は
「何度も人を跟けるここの生徒会長は、余程の暇人間なんだな。」
「・・・・・前回も、本当に最初から分かってたのね。」
俺の呼びかけに応じ、木陰からひょこっと出たきたのはやはり水色のチェシャ猫だった。
「それで。今回はどんな要件なんだ、学内最強さん?」
「それは嫌味かしら?・・・・・聞けば。今日はアリーナで、男子生徒2人と代表候補生の模擬戦があるみたいじゃない?だから、今日は試合観戦にきただけよ。」
「へえ。俺が負けるとでも?」
「まさか。この更識楯無に勝ってしまった貴方が、代表候補生程度で負けるはず無いもの。」
「当たり前だ。」
「でも、ISの戦い方くらいは見れるんじゃないか、って期待してたのに。」
「ヤハハ!それは残念だったな、生徒会長様!」
「・・・・・それにしても。貴方、本当に何者なのかしら?」
「どういう意味だ?」
「私に勝ったことは、まだいいわ。いえ、良くはないけど、有り得ないことじゃない。でも、今回の試合。私には、IS相手に
「俺は俺だぜ?生まれた時から何も変わらない。
そう言えば。お前のは聞いたが、俺の自己紹介がまだだったな。それでは改めて。IS学園所属、1年1組