SI -Second Irregular- 作:リンク切り
自分で書いておきながら、こういう難しいところは飛ばす癖があるんですよね。直しとほうがいいのこれ?
「ではこれより、ISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。」
時は変わり、一時限目。
朝のショートホームルームの後、俺達1組は実習訓練のため、グラウンドへと集合していた。
遅れると織斑千冬のヘッドブレイクが飛んでくるので、5分前行動は基本だ。
実習訓練にはISスーツを着て参加しなければならないのだが、一時限目ということもあり一夏は制服の下に着込んでいて着替えは服を脱ぐだけにしていた。
よく思いついたなと思ったら、篠ノ之箒にこうした方が良いと言われたそうだ。
なるほど、それで。
ちなみに、俺はISスーツは着ない。
予算上の都合買えなかったという理由もあるのだが、それ以上に男のISスーツは市販されていないってのが一番の問題だった。
一夏の持っていた男物のISスーツは、白式を作成した研究所に特注で作ってもらったらしい。
まだ試作段階で、データ収集目的が大きいようだが。つまり、プロトタイプ。
まあ俺はISスーツ着なくともなんとなく動かせるからいいんだけどな。
着ないと反応速度が遅れたりだとか、そういう不具合が起こりやすいらしい。
ISスーツの機能は、体や脳を動かす時の電気信号を受け取って増幅し、ISへと伝えやすくすることだ。それがないなら当然だとは思うが。
メーカーによっては他にも吸汗速乾素材が使われていたり、ヒートテック仕様だったりと色々な開発が進められているらしい。
見た目は完全にスク水だ。
肌の露出が多いのは、それだけ伝達速度を早めるためみたいだ。
どのメーカーにも共通している特徴があり、強度が高く、ぴっちりとしている。
あんなに薄いのに銃弾くらいなら通さないらしい。
何の素材を使っているのやら。
それよりも、制服を脱ぐだけだが俺達は特設された男子用更衣室まで行かないとならない。
無駄すぎる。俺は着替えないから更衣室まで行く必要は無いが。
次からは一夏を置いて直接行くことにした。
「織斑、乃至、オルコット。試しに飛んでみろ。」
「は、はい!」
「わかりましたわ!」
織斑千冬が指示を出した。
俺達3人は前へ出て、ISを展開する。
ちゃんと距離を取らないとね、展開する時に危ないからね。
セシリア・オルコットは目を瞑り意識を集中させたかと思ったら、身につけていたイヤリングが輝き、消失した。
次の瞬間、どこからともなく出現したブルーティアーズの装甲を身にまとったセシリア・オルコットがいた。
物理限界とか質量保存の法則とかどうなってんだ。
近未来パワードスーツにこんなツッコミを入れても無駄だとはわかっているが。
「えっと・・・・・・あれ?」
一方一夏の方は、まだISの展開ができていなかった。
まあ原作通りではあるが。
「早くしろ。熟練したIS操縦者なら、展開までに1秒もかからないぞ。」
「そんな事言われても・・・・」
織斑千冬が叱咤する。それを受け、一夏はセシリア・オルコットのように目を瞑った。
「集中集中・・・・・よし!来い、白式!」
何秒かじっとして、何かが掴めたのか勢いよく白式の名を叫ぶ。
するとそれに応えた白式が姿を現す。
「よし、出来た!」
それを俺は横目で見ながら、織斑千冬へと確認する。
「で。俺は専用機があっても起動出来ないわけだが、俺を呼んでどうするつもりだ?織斑千冬。」
「お前はこれを使え。」
何かボールのようなものをポケットから出し、俺へと放り投げる織斑千冬。
慌てて受片手を出してけ止め、手の中身を確認する。
「野球ボールか?これ。」
「それは訓練機の1つだ。」
「訓練機?」
どうやら、IS学園にある訓練機らしい。
ISの待機状態は普通持ち運びの苦にならない、体に身につける装飾品にするのが基本だ。
例えばセシリア・オルコットのイヤリング。例えば一夏のガントレット。例えば俺の左右のブレスレット。
だが、ボール状?
不審に思いちらりと顔を伺うと、ため息をつかれた。
「聞くな。束だ。」
俺はその一言で察した。
「さて、じゃあ起動させますか。」
俺は改めて、手の上のISを見つめる。
そして、起動するようにと思い描く。
これまで打鉄を2回起動させているから当然成功すると思っていたのだが。
バチィッ
嫌な音がすると共に右腕に衝撃が走り、持っていたISを落としてしまう。
「何を遊んでいるんだ?早く起動させろ。」
「え?あ、ああ。」
落としたISを拾い、もう一度意識をISに向ける。
起動させようとすると、また弾かれるような音がして右手が痛む。
しかし今度は予測できていたため落とさずにすんだ。
それに発生源とついでに原因もなんとなくだがわかった。
「織斑千冬、俺にはこれは必要ないみたいだ。」
そう言ってボール型のISを投げ返した。
そして、今度は右手にしてある黒いブレスレットへと意識を向けた。
「起動」
俺の声掛けと共に、淡く光るブレスレット。
そして腕、肩、腰、脚の順に装甲が展開され、最後に翼のようなものが生えて落ち着いた。
全ての部品は共通して黒色をしている。
「乃至、それは・・・・・どういうことだ?」
「さあな。ただ、俺のISが起動した。それだけだ。」
「綺麗、ですわ・・・・・」
「俺からは全体像は見えないが、そうなんだろうな。」
手を握ったり肩を動かしたりして感触を試してみる。
そうしていると唐突に視界の端に、ゲームやパソコンのウインドウのようなものが現れる。
そこには機体の性能、説明、エネルギー残量などが事細かに示されていた。
Nig
そうかそうか。なるほどなるほど。
「夜桜・・・・・ッ!!」
俺は好奇心のままに夜桜を動かした。
俺の指示通り、空中へと飛び立つ俺と夜桜。
その速度は、打鉄とは比べ物にならないくらい早く、鋭い。
夜桜は速度に特化しているのかもしれないな。
「勝手に飛び立つな!・・・・・織斑、オルコット。お前達も飛べ。」
「はい!」
一夏より先に飛翔するセシリア・オルコット。
その動作は洗練されていて、無駄な動きは一切無かった。
「よし!」
一夏もセシリア・オルコットのように飛び立とうとしたのだが、まだうまく操りきれていないのかふらついている。
白式の起動は2回目だから仕方ないのかもしれないが、あまりにも下手な操縦に目も当てられない。
代表候補生を負け一歩手前まで追い込んだ人物だとは到底思えなかった。
「え?あ、うわあああっ!?」
地面へと衝突しかけ、慌てて上空へと上る。
そのままセシリア・オルコットに続く一夏。
一方俺は、夜桜を使って自由にアリーナ内を飛び回っていた。
回転しながら進んだりだとか、推進装置の出力を切って落下してみたりだとか。
夜桜は打鉄で使った瞬時加速までもの速さは出ていないが、最高速度はそれに二、三歩劣るくらいのスピードが出せている。
夜桜で瞬時加速を使ったら、これ以上の効果が期待できるだろう。
『あまりはしゃぐな、乃至。少し落ち着け。』
『断る!』
それを跳ね除けて滑空を楽しむ俺。
織斑千冬は俺に指示をするのを諦めたのか、一つため息をつき今度は一夏へと檄を飛ばす。
『遅いぞ織斑。スペック上の出力では、ブルーティアーズよりも白式の方が上のはずだ。』
それは、一夏がまだ白式の力を十全に活用出来てないことを表していた。
ちなみにブルーティアーズが遅いのは欠陥などではなく、遠距離型の機体は一般的に自身が素早く動く必要が無いため最初から早くする必要はないのだ。
遠距離型に求められるのは、早さではなく攻撃力や防御力、あるいは
『そんな事言われたって、どうやったら速度を出せるんだ?』
『漣夏さんは早いですわね・・・・・』
速度の早さは、俺の夜桜>本来の白式の早さ>量産機(打鉄やラファールリヴァイヴ)>ブルー・ティアーズ>現在出ている白式の速度の順だ。
こう見ると俺の夜桜の早さがよくわかる。
『そもそも、これってどうやって浮いてるんだ?空を飛ぶ感覚も、まだあやふやなんだよ。』
『一夏、ISにはな。PICという装置が組み込まれているんだ。正式名称はパッシブ・イナーシャル・キャンセラーだが。』
『パッシブイナーセル・・・・?なんだって?』
『パッシブ・イナーシャル・キャンセラーだ。パッシブは消極的。っていうより、常時って言った方がわかりやすいか。で、イナーシャルは慣性。キャンセラーはそのままの意味だ。簡単に言うと、浮遊に不必要な慣性を無くすための装置って事だ。』
『慣性を無くす?』
『そう。いや、実際には慣性がなくなったかのような現象が起こるだけで、正確には慣性をなくしているわけじゃないが。これは俺も全部を理解しているわけじゃないんだが、慣性を無くすと宇宙空間のようにふわふわした状態に・・・・・・』
『乃至、今すぐにその話をやめろ。お前は私の授業時間を座学で潰すつもりか。それは三年次の、しかも整備科で学ぶ内容だ。あと2年は早い。』
『だ、そうだ。まあ頑張れ。』
『そんな軽いノリで言われてもな・・・・・』
入学前に渡された参考書にIS用の用語解説のようなものが載っていた。
そこでPICを知ったのだが、慣性の法則を無くすという説明だけしか書かれていなかった。
慣性をなくした後の現象は完全に予測でしかないが、とてつもない装置だなと思ったのを記憶している。
ただ言えるのは、PICで飛行に邪魔なものを無くすと同時に浮き、推進装置で移動、あるいは方向転換をしているということだ。
『確か、自分の前方に角錐を展開させるイメージ、だったっけ?うーん、よくわかんねえ・・・・・』
『イメージは所詮イメージ。自分がやりやすい方法を模索する方が、余程建設的ですわよ。』
『自分がやりやすい方法、か・・・・・そういえば、セシリアや漣夏はどういうイメージを持ってるんだ?』
『
『俺は、そうだな。飛ぶっていうよりは、高い所とかから落ちるような感覚で飛んでるな。』
『高い所から落ちる?どういう意味だ?』
『そのままの意味だ。でも、これは俺以外だと逆にイメージしにくいかもな。忘れてくれ。一夏、お前は頭がアンパンの某人気アニメを見たことあるか?』
『流石に見たことくらいはあるけど・・・・・まさかそれをイメージしろってことか?』
『嫌なら、急に髪の色が金髪になる某戦闘民族が活躍するアニメでもいい。どっちにしろ、教本通りやるよりはイメージしやすいだろ。』
『まあ、そうだけど。でも、やっぱり空を早く飛ぶって実感したことがないから難しいな。』
『そうかそうか。じゃあ、味合わせてやろう。』
『え?』
俺は一夏の襟首を掴み、そして─────