SI -Second Irregular-   作:リンク切り

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拒否

『っはぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・』

『飛んでたのは俺なんだけどな?』

 

俺に捕まれ、大空の旅へと旅立った一夏はそうそうにへばって荒い息をしていた。

 

『いや、急にあんなジェットコースターも真っ青なスピード出されたら誰でも焦るだろ。』

『でも、これで慣れただろ?』

『やり方が強引すぎるけどな。』

『漣夏さん!今の、私にもしてくだs

 

はあはあ荒い息をしながら俺にまくし立てる声が聞こえたような気がするが、気のせいだろう。うん。

俺は静かに、開放回線(オープンチャンネル)でセシリア・オルコットとの接続をブロックした。

開放回線(オープンチャンネル)には拒否機能(ブロック)という機能がついていて、特定の相手の声を自分にだけ聞こえないようにしたり自分の声を聞かせないようにすることが出来る。

ブロックすると、それと同時に秘匿通信(プライベートチャンネル)も拒否することが出来る。

改めて考えると秘匿通信って、授業中の私語だとかカンニングとかに凄い有効だよな。

 

『おい、そろそろ授業に戻れ。』

 

静かに怒気を孕んだ声が聞こえた。

グラウンドにいる織斑千冬の方へと目を向けると。

うん、これは。奴の背中には修羅が立っていた。

 

「うーわ。完全にキレてるな。」

 

本人に聞こえないように通信を切って呟く。

一夏やセシリア・オルコット含め、周りの生徒は一様に顔を青ざめさせている。

ISってすげーな。こんなに遠くにいる一人一人の生徒の表情まで鮮明に見える。

元々ISは宇宙開発のために作られたパワードスーツのため、視力補強機能がついている。

ハイパーセンサーというのだが、ここでの説明は割愛する。

 

『では、急降下と完全停止の実演をしてみろ。目標は10センチだ。』

『よし。じゃあ俺から行かせてもらうぜ!』

 

推進機を上に向け、頭の向きを反転させて下を向き急降下を始める。

このまま地面にぶつかってしまいかねないため、速度はかなり抑えてある。

と言っても、これでブルーティアーズの通常速度くらいは出ている。

 

地面が近づき、そろそろスラスターを起動させないとならない所で、俺はISを()()した。

そして落下速度を落とすため、空気抵抗を受けるように空中で何回か回転して速度を殺す。

 

「空中でISを解除するな!!」

 

スパァン!!

 

気持ちの良い音が俺の頭から出た。

勿論これは、織斑先生による愛のムチだ。

避けたり防御したりはできたが、これは完全に俺が悪いので受けておいた。

俺がISを消した時に、生徒からかなりの悲鳴上がってたからな。驚かせすぎたか。

 

「いや、空中から着地する時のいつもの癖が。」

「心臓に悪いからそれはやめろ。それに、ISの試合中にISを解除したらその瞬間反則負けになる。覚えておけ。」

「了解。さて、夜桜!」

 

一旦解除した夜桜をまた装備する。

淡く輝いて夜桜の武装が体にまとわりつく。

失敗はしないが、やはり展開に2秒はかかっている。

 

『次!オルコット、降りてこい。』

『はい!・・・・・お先、失礼しますわ。』

 

ブロックしたはずのセシリア・オルコットの声が聞こえてきた。

1回ISを解除すると、ブロックも解除されるらしい。

 

セシリア・オルコットは、模範のような急降下、完全停止をやって見せた。

専用機持ちの代表候補生とでもなると、やはりこのような基本の動きは全てマスターしているのだろう。

ただ、スピードはかなり抑えていたようだが。

 

「12、3センチというところか。10センチ以内で止まれるようにしろ。いいな。」

「は、はい!」

『織斑。オルコットのようにやってみろ。』

『おう!』

 

一夏は俺のようにスピードを上げて急降下し、速度を緩めようとして気付く。

 

『あれ?完全停止ってどうやるんだ?』

 

しかし遅すぎ、もう止まらない。

推進装置の出力を0にするが、重力とこれまでの早さが無くなるわけじゃない。

そのまま地面へと激突した。

 

かのように見えたが、地面とぶつかる前に俺が到着予測地点へと走る。

一夏はかなりの速度を出していたが、距離が短かったことと夜桜のスピードが早かったことで余裕で間に合った。

そして俺は、落ちてくる一夏を蹴り飛ばした。

 

『ぐほっ!?』

 

俺に蹴られた一夏は、砂埃を立てながら地面を十数メートルほど転がって止まった。

 

「一夏!?」

「織斑くん!?」

「一夏さん!!」

 

一夏まで3人が駆け寄り、織斑千冬はゆっくりと一夏まで歩を進めた。

 

「ISには、絶対防御というシステムが組み込まれていてだな。今のバッティングセンター的な攻撃くらいなら余裕で耐えることが出来る。常識の範囲内での衝撃で怪我をすることはほとんどないってわけだ。」

 

俺は俺で、ISを解除た後に残っている生徒へと熱弁を振るっていた。

 

「だが、どんな攻撃にもISが耐えられる訳じゃ無い。一夏の持っているようなISのシールドエネルギーを切り裂く攻撃だったり、ISのシールドエネルギーでも防ぎきれないような大きい衝撃とかを受ければ操縦者が傷付くこともある。お前達はあの転がっている馬鹿みたいにならないよう、ちゃんと危険性を把握した上でISと付き合ってもらいたい。」

「「「はい!!」」」

「うんうん。我がクラスは、ちゃんと話の聞けるいい生徒だな。」

 

俺以外は。

さて、あちらの方はどうなったかな。

一夏達の方へと行くと、篠ノ之箒とセシリア・オルコット、ついでに山田教諭が一夏の介抱をしていた。織斑千冬はその様を遠目から眺めている。

 

「一夏!お前は昨日学んだことを覚えていないのか。情けないぞ。」

「一夏さん!!貴方だけ漣夏さんに蹴られるなんてズルいですわよ!私だってまだ漣夏さんに蹴られたことはないんですのに!」

「織斑くん、大丈夫ですか?痛いところとか、無いですか?」

「織斑。あんな猛スピードで突っ込んで止まれるわけがないだろう。もう一度教本を読み直して来い。」

 

訂正。介抱しているのは山田教諭だけだったようだ。

 

「すみません・・・・・」

 

完全停止の所は昨日やったのにな。

しかも授業の後放課後にもう一度4人で復習もしたんだけどな。

放課後の勉強会は、対セシリア戦が終わった後も続いている。

まあでも、座学だけじゃ出来ないところもあるか。

一夏は感覚で掴むタイプみたいだからな。

何回か失敗してれば慣れるだろ。

 

「残念だったな一夏。次々!次頑張ろうぜ!」

「俺を蹴っておいてよくそんな事が言えるよな・・・・」

「俺が軌道を逸らしてなかったらもっと危ないことになってたぜ。」

 

例えば、グラウンドに大きいクレーターが出来たりな。

 

「そうかもしれないけどさ・・・・・」

「という訳でもう一度挑戦だ!さあ白式起動しろ一夏!」

「待ってくれ漣夏!もう白式のシールドエネルギーも多分残ってないって!」

「気合でなんとかしろ!さあ起動!!」

 

キコーンカコーン

 

授業の終了を告げるチャイムがなる。これを聞いて一夏はあからさまにほっとため息をついた。

 

「チッ、授業終了か。まあいい。今回の勉強会は実技だ!放課後はアリーナに集合。いいな?」

「え!?」

「勉強会!?それは何ですの!?私も仲間に入れて欲しいですわ!!」

 

変なの(セシリア・オルコット)が付いてきたがまあいい。

完全停止くらいはさっさとできるようになってもらわないとな。

 

「静かにしろ。これで一限目を終了する。それと乃至、お前は残れ。」

 

え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クラス代表のことだが・・・・・」

「クラス代表?」

「そうだ。あの試合の後で確認しようとしてたんだが、忘れていた。お前で決定してしまっていいのか?」

「なるほど、クラス対抗戦の話か。ああ、それで頼む。」

「そうか、わかった。」

 

一瞬織斑千冬でも忘れることはあるのかとも思ったが、あの部屋の惨状を見たあとではやっぱりがさつなところもあるんだな程度にしか思えなかった。

そんなことを考えているうちに彼女は出席簿を開いて、ポケットから出したボールペンで何かをメモする。

 

「その出席簿何なんだ?俺を叩いた時、かなりの威力出てたよな。」

「これか?これは束に作らせた特注品だ。ちょっとやそっとじゃ壊れたりしないようにな。」

 

出席簿を閉じて、見せびらかすように振ってみせる。

それ、篠ノ之束が作ってたのか。通りで。

 

「私はお前の頭の方が不思議だな。普通の人間ならトマトのごとく悲惨な状況になっていてもおかしくないだけの力を込めていたんだが・・・・・・」

「生徒になんて事してくれてるんだ。」

 

頭を押さえて一歩距離をとる。とんだ鬼軍曹だ。

 

「それより、お前がクラス代表に立候補するとは意外だな。」

「そうか?俺は面白そうな事なら絶対に参加するタイプだぜ。」

「そうだろうな。だが、生徒会の会議や委員会のなどの出席までしてもらえると、こちらとしても助かる。」

「ん?ちょっと待て。どういう事だ?」

「・・・・・・今、私はとても嫌な予感がしている。・・・・・・もしかして、言ってなかったか?クラス代表は、対抗戦出場とクラス委員のような役割も兼ねている。クラス代表には、色々と雑務などもしてもらう予定なんだが・・・・・・」

「初耳だな。」

 

頭を押さえてため息をつく織斑千冬。

 

「お、おい、大丈夫か?」

「・・・・・クラス代表、降りるのか?」

「そのつもりだが。」

 

収めた出席簿とボールペンを取り出し、書き直す。

ボールペンで書いてるから修正しにくそうだな。

 

「という事は、代表はオルコットになるのか?」

「いや、どうせあいつも辞退するだろ。一夏にしておいた方が無難だぞ。」

「そうだな。一夏(あいつ)にしておくか。」

 

書類へ、クラス代表「織斑一夏」と書き込む。

あれは面倒ごとは避けるが、やれと言われたらやる奴だからな。

 

「一夏はまだ機体の操作に慣れてないみたいだからちょうどいいとは思うけどな。」

 

まあでも結局は鈴との戦いで、1回戦目で強制終了されるはずだ。

それだけのためにクラスの面倒ごと押し付けられるのは割に合わなすぎる。

 

「もう行っていいぞ。くれぐれも次の授業には遅れないようにな。」

「わかってる。」




今回、誤字脱字がひどかった上に投稿時間までミスりました。
仕切り直しということで。
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