SI -Second Irregular-   作:リンク切り

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最近主人公くんのキャラがブレるブレる。
ブレた漣夏くんの姿をお楽しみください。


怠惰

「そこの小学生。ここは子供が遊びに来ていい場所じゃないぞ。」

「誰が小学生よっ!!」

「悪い、中学生に上がりたてだったか。ここにはお兄さんかお姉さんに用事か?」

「それも違うわっ!!」

 

俺が呼びかけると地図から目離し、キッとこっちを睨む少女。いや、凰鈴音。

実際に見ると予想以上に小さく、本当に小学生じゃないかと思うほどだった。

1組の副担任、山田真耶教諭とはまた違った方向の幼さだ。

 

「あたしは(れっき)としたここの生徒よ!!」

「嘘はいけないぜ。」

「嘘じゃないわよっ!」

「じゃあ、証拠を見せてくれ。」

「証拠・・・・・証拠って言われても・・・・・そうだ、この制服!どう?この制服、IS学園指定の、生徒にしか販売してない物でしょ!」

「そうだな、うん。確かにそうだ。」

「でしょ!?」

 

ブンブンと手を振り回して、嬉しさを表現する凰鈴音。

小ささも相まって小動物のようだ。

 

「わかったから落ち着け、凰鈴音。」

「わ、わかってるわよ・・・・・って、あれ?あたし名前言ったっけ?」

「言ってないな。」

 

不思議そうに首をかしげる凰鈴音に、冷静に返す。

 

「じゃあ何で知ってるのよ?」

「そりゃあ凰鈴音と言えば、有名な中国の代表候補生だからな。」

「ゆ、有名?」

「ああ。ISに乗り始めて1年で代表候補生になった新星ってな。その筋ではかなり有名だぞ。」

「えぇ?そ、それほどでも、ないわよ・・・・・えへへ・・・・・・」

 

満更でもない照れ顔を披露する凰鈴音。

喜怒哀楽とか、感情の起伏が激しいな。

 

「いやー、光栄だなぁ。あの凰鈴音さんに出会えるなんて。」

「ふふん、サインくらいなら書いてあげるわよ?」

「・・・・・で、道に迷ってるんだろ?どこに行きたいんだよ。」

「無視しないでよっ!迷って、無いわよ。ちょっと、わからなくなっただけで・・・・・・」

「それを迷ったって言うんだろ。」

 

凰鈴音から地図を取り上げ、この場所と照らし合わせる。

地味にIS学園の地図を見るのは初めてだ。

地図には無駄に空白の場所や、何も書かれていない不自然な場所が所々にある。

その辺をつっつくのは藪蛇か。

 

「あ、ちょっと!返しなさいよ!」

「返す返す。もう見たからそう暴れるな。」

 

手を伸ばしてぴょんぴょんぴょんぴょん跳ねる彼女に、地図を返す。

 

「それで、結局どこに行きたいんだ?」

「職員室よ。」

「職員室って1階だろ?なんで3階まで来てるんだよ。」

「1階?・・・え?」

「お前・・・・・」

 

俺は凰鈴音の手を引き、1階の職員室まで連れていった。

このまま1人で歩かせていたら辿り着くよりも先に朝が来そうだ。

 

 

「ありがとうございましたー。」

 

彼女が職員室に入って数十分ほど経った頃、お礼を言いながら扉を開けて出てくる凰鈴音。

開けてとは言ったが、この学園の本校舎の扉はほぼ全て自動開閉のものだ。

職員室のものも同じだから扉を開けるという表現は正しくないかもしれないが。

 

「あれ?アンタ、まだいたの?」

「お前を待っててやったんだ。」

「別にそんなのいらなかったけど?」

「一回迷っといて言える台詞(セリフ)じゃないだろ。」

「う、それは・・・・・」

 

気まずそうに俺から目を逸らす。

 

「そ、それより!アンタ、2人目の男のIS操縦者だったのね。先生に聞いたわよ。」

「そうか。改めて、はじめましてだな。俺の名前は乃至(ないし) 漣夏(れんげ)だ。世界最強を自称している。」

「あたしは凰鈴音。鈴でいいわ。よろしくね?」

「ああ。よろしくな、凰鈴音。」

「・・・・鈴でいいわ。」

「よろしくな。ツインテール?」

「もうなんでもいいわよ・・・・・」

「わかったぜ、小学生。」

「その呼び方はやめなさい!!」

 

身を乗り出して叫ぶ。体の動きが激しくて元気だな。

 

「それで。なんでこんな時期に転校してきたんだ?」

「それは、その、ある人に会いたかったというか、追いかけてきたというか・・・・・・」

「なるほど。一夏に会いに、はるばる中国から転入しに来たってわけか。お熱いねえ。」

「べべ、別にそういう訳じゃないわよ!ただ、その・・・・・」

 

顔を真っ赤にさせて、どもりながら否定する。可哀想なくらいにわかりやすいな。

凰鈴音そのまま足を止めているが、俺は待たずに先へと進む。

 

「その、1人寂しくしてるだろうから、仕方ないからあたしが・・・・・」

「何ぼさっとしてるんだ。早く行くぞ。」

「ちょっと聞きなさいよ!それと、勝手に進まないで!」

 

パタパタと足音を響かせて走って寄ってくる。

そう言えば、一旦凰鈴音の荷物を置きに寮まで戻ろうとしていたんだが、こいつの部屋ってどこになるんだ?

 

「おいツインテール。お前の部屋って何号室になるんだ?」

「知らないわよ。」

「知らない?どういう事だよ。」

「さっき職員室で確認してもらったんだけど、どうにも用意してあった空き部屋が埋まって1つも無いみたいなのよね。だから、1年生の寮長に確認をとって決めてもらえって言われたのよ。」

「なるほどな。寮長に、ねえ。って事は、目的地は寮長室だな。幸い向かっている方向は同じだ。このまま行くぞ。」

「助かるわ。案内よろしくね。」

「ヤハハハ、任せとけって。」

 

用意されていた空き部屋が埋まったのは俺と一夏のせいだろう。

IS学園の方は、予め転入生や部屋が必要になった時のために寮の2人部屋を一部屋だけ開けていた。

 

部屋割りが確定した後、急遽一夏の入学が決定し、部屋割りの組み換えが必要になった。

一夏を空き部屋に配置しても良かったが、何せ世界で唯一の男性操縦者だ。

就寝後の誘拐などの厄介ごとに巻き込まれる可能性は大いにある。

1人部屋だと、異常に長く気づかない事も有り得る。だからこそ一夏は誰かと同室にさせておく必要がある。

一夏幼馴染みの篠ノ之箒と同室になったのは、寮長である織斑千冬のせめてもの気遣いだろう。

そして、あぶれた苹果が1人部屋へと移動になった。

 

それで部屋割りは1度落ち着いた。だが、入学直前にIS適性のある俺が見つかり、また部屋割りを考え直す必要が出てきた。

それで俺はあぶれていた苹果と同室になったという訳だ。

 

しかしその後、また凰鈴音という代表候補生の編入が決まった。

俺達が来たことで、1年の寮部屋はもう一杯。どの部屋にも入れない。

今から寮の部屋割りを考えるのは時間がかかりすぎる。

ということは、つぎはどこかの部屋を3人で使うことになるだろう。

 

「何難しい顔して黙ってるのよ。もう着いてるわよ、寮長室。」

「ん?ああ、ちょっと考察をな。」

「考察?」

「とにかく、呼ぶぞ。」

 

俺は、寮長室とプレートがかかっている扉を軽くノックする。

 

コンコンコンコンコン!コンコンコンコンコン!!

 

 

「出てこい織斑千冬(ブリュンヒルデ)。お客さんだぞ。」

 

俺の言葉を聞いた途端、凰鈴音の肩がびくりと跳ね上がった。

暫らくすると、扉が勢い良く開く。

 

「煩い。もう少し静かに呼べんのか。何の用だ。」

 

そして中から、まだスーツ姿の織斑千冬が現れて俺達をじろりと睨む。

 

「ち、千冬さん・・・・」

「ん?どうした凰。」

「あ、えっと、寮の空き部屋が無いみたいで・・・・・その、寮長に指示を仰げと言われたんですが・・・・・」

 

凰鈴音は織斑千冬が苦手なようで、普通の会話でも敬語を使ったりする。

いつもはあんなにやかましい凰鈴音だが、この時に限っては借りてきた猫のように大人しくなる。

 

「そんな事は知らん。寮の部屋割りなら山田先生に聞け。」

「えっと、山田先生に寮長に聞いてくださいと言われたんですが・・・・・・」

「そうか。そうだな・・・・・」

 

少し悩む素振りを見せた後、

 

「漣夏。こいつはお前の部屋に入れてやれ。」

「は?」「え!?」

「以上だ。異論は受付けない。」

「ちょっと待て。なんで俺なんだ、一夏の方が面識もあるみたいだからうってつけなはずだ。」

「お前もずいぶん仲良くなったみたいじゃないか。」

 

織斑千冬は、俺と凰鈴音を一瞥すると、扉を閉めようとする。

閉めざまに一言。

 

「それに、連絡の手間が省ける。後は各自でどうにかしろ。」

 

ばたり、と、今度こそ寮長室の扉が閉められた。

絶対ただ連絡するのが面倒なだけだろう。

 

「・・・・・・さて。俺は部屋に帰るとするか。」

「ま、待ちなさいよ!って事は、あたしの部屋はどうなるのよ!」

「お前は今からでもどこかのホテルに行って泊まれ。」

「IS学園まで来て何でホテルに泊まらなきゃならないのよ!!」

「じゃあ食堂かトイレにでも泊まらせてもらえ。」

「なんであたしがそんなところで寝なきゃなんないのよ!」

「じゃあ保健室ならどうだ。そうだな、ベッドもあるし、意外と落ち着くかもしれないぜ。」

「じゃあアンタが保健室に泊まりなさいよ!」

「何で俺が保健室に泊まらなきゃならないんだ!」

「それはこっちの台詞(セリフ)よ!」

「煩い!乃至、凰。私の部屋の前で言い争うな。それと、寮外での宿泊は禁止だ。ちゃんと自分の部屋で寝ろ。良いな?」

「わ、わかりました・・・・・」

「ならいい。」

 

突然舞い戻ってきた織斑千冬に、流されるように肯定する凰鈴音。

そして織斑千冬は、今度の今度こそ本当に部屋へ戻っていった。

 

「咄嗟に返事してんじゃねえよ。」

「ごめん・・・・」

「ここまで退路塞がれたら仕方が無い。いつまでも鞄持っておくわけにはいかないだろ、一旦部屋に戻るぞ。」

「うん。」

 

寮長室は1年生の寮の中にあるから、すぐそこなんだけどな。

俺達は1030号室へと向かった。

 

「鍵は俺と、俺と相部屋の女子しか持ってないから入る時は言えよ。」

「不便ねー。アンタの鍵よこしなさいよ。」

「後から湧いたくせしてずいぶん強気だな。悪いがお前に渡すつもりは無い。」

 

そうこうしているうちに部屋へと着く。

ベルトの裏に引っ掛けている鍵を取り出し、鍵を開ける。

 

「どこに隠してるのよ。」

「隠しやすいし取りやすいからな。」

 

扉を開けて部屋に入る。まだ苹果は帰ってきていないようだった。

凰鈴音は、部屋に入って辺りを見回している。

 

「へー、いい部屋じゃない?」

「唯一のISを学ぶ機関なんだ、手は抜けないだろ。」

「でも、ベッドは2つみたいね。」

「そりゃそうだろ。元々2人部屋なんだからな。」




これは鈴ちゃんとラブラブするフラグ!
ですが、鈴ちゃんはヒロインにする予定はないです。
とか言ってますが、セッシーも全くヒロインにする気はなかったのにあんなことになっちゃったのでふーんそうなのかー程度に思っててください。
今回も鈴ちゃんと同室になんかさせないつもりだったのですが、脳内織斑先生が勝手なことを初めてしまいました。
私ではありません。全ては織斑先生のせいです。
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