SI -Second Irregular-   作:リンク切り

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白星

 

 

 

 

 

IS学園の前で待つこと数分、目的の人が学園の入り口から出てきた。

 

「待たせて悪かったな、乃至。」

「まあな。そんなことより流石オフィスレディー、職場でのスーツ姿が一番似合うぜ。」

「馬鹿なことを言ってないで早く来い。それと、私は教職員だ。」

「そうかよ。」

 

 

 

 

「朝早くから呼び出してすまない。」

「それは仕方ないと思うが。だが、まさか入学式の前に実技試験をするとは思わなかった。正直驚いたぞ?」

「お前達のおかげで時間の余裕が無いんだ。それくらいは我慢しろ。」

「はいはい、了解了解。」

 

俺がISを動かせるということがわかったのは一昨日だ。

昨日出来なかったのは、なかなか接触出来なかったり色々と用意することもあったからだろう。

と、いうことで入学式の前に行うことになった。

IS適正の簡易検査も、世界中の学生に行うらしいので遅れていても仕方が無いとは思うが。

ちなみに、IS学園の入学に際して男だからという理由で筆記試験は免除されたものの、実技試験は実力を見るという理由で行うらしい。

 

「実技試験はここで行う。準備をしておけ。」

 

連れてこられたのは、何やら競技場のような場所だ。

中央が大きい相撲の土俵みたいな形になっていて、その奥にはガラスで仕切られた部屋があり、数人の女性(多分教師か何かだろう)が座っていた。

 

「お前に戦ってもらう模擬戦の相手だが、この後生憎私には予定があってな。だが、代わりに山田先生に会議に出席してもらっている。私が相手をしよう。」

「それまたどうしてだ?」

「どうやら、男相手だと緊張してしまうようでな。なに、私は本気は出さないから安心しろ。」

 

ああ。確か、試験で一夏と戦った時は壁にぶつかって自爆したんだっけか。

そりゃあ確かに試験官を任せるわけにはいないか。

 

「へえ。こいつは景気がいい。IS学園入学早々、世界最強と争いあえるなんてな?」

 

早速ラスボスとの戦闘か。

主人公と絡む前に、面白いことになりそうだ。

やる気になっている俺を一瞥し、冷たく言い放つ織斑千冬。

 

「ISを動かせるからと言って図に乗るなよ?乗れるだけで、お前自身はそう強くはないのだからな。」

「生徒の評価は実力を見た後でしてもらいたいね、世界最強(ブリュンヒルデ)?」

「威勢がいいのは結構だが、あまりその呼び方で呼ぶな。」

 

そう言えば、織斑千冬はブリュンヒルデと呼ばれることを嫌っていたな。

輝かしい過去の栄光なら胸を張って名乗っていいはずだが・・・・・

別に貶しているわけじゃないんだからな。

それともあれか、自分が有名になってしまったが故に弟を危険に晒してしまったからか。

 

織斑千冬は、IS世界大会(モンド・グロッソ)というIS操縦者世界一を決める大会において、第一回目での優勝を獲得した。

その2年後、世界大会は日本で開催された。この大会でも誰もが優勝は織斑千冬だと思っていた。

しかし、結果は決勝戦での試合を放棄した織斑千冬の不戦敗で終わる。

 

試合を放棄したその理由とは、決勝戦の相手国か、あるいは織斑千冬をよく思わない輩が誘拐した実の弟である織斑一夏を助けるためだった。

結果織斑一夏は無事で大事にはならなかったそうだ。

その後織斑千冬は、この件で情報を提供して貰ったドイツに借りを返すべく少しの間ドイツへと飛ぶことになるのだが、これは別の話だ。

 

もしかしたら、引退したのもそういう理由だったのか?

ISが動かせるとわかるまで一夏にISのことに関わらせないようにしていたことにも説明がつく。

ISが危険なのは一番わかっている人物だ。

喜々として自分の家族を危険な目に合わせようとは思わないだろうからな。

それが唯一の家族なら尚更のこと。

 

 

 

そんな考察をしている間に織斑千冬が奥の部屋へ合図をした。

すると競技場の端の壁が開き、中から2機のISが現れた。

 

右のISは銀色をモチーフにした防御に特化しているかのような装甲をしている。

左のISは深い緑のような色で、翼のようなものが後ろ側についている。

 

「打鉄とラファールリヴァイヴ、どちらがいい?」

 

ああ、そう言えば専用機のことは話してなかったな。

 

「専用機があるんだが、そっちを使ってもいいか?」

「何?」

 

右腕を掲げ、黒いブレスレットを見せる。

そう言えば、これどうやって起動させるんだ?

 

「起動!」

 

・・・・・全然起動する気配がない。

あの駄神め、まさか不良品を送り付けたんじゃないだろうな。

 

「・・・・・・思春期で格好をつけたいのはわかるが、妄想と現実の区別はつけておいた方がいいぞ、乃至。」

「失敬だぞこら。でも起動しないとなると、どうしようもない・・・・ッ!?」

 

予備動作から軌道を予想し、拳をバックステップで避ける。

あぶねっ!

これ、下手したら死人が出るレベルの威力だぞ?

 

「ほう、今のを避けるか。それと、教師に向かっての言葉遣いには気をつけろ。」

「ヤハハハハ!悪いがそれは無理な相談だな!俺は一般に、人を敬ったりはしない。」

「やれやれ、とんだ問題児だな。」

 

頭を押さえ、溜息をつく織斑千冬。

それを見て、ケラケラと笑う漣夏。

 

「そいつは心外だな。俺ほど健全な生徒はいないぜ?」

 

それは本気で言っているのか?

と、またもや溜息をつき、これからのことを案ずる。

この生徒には振り回されそうだ。そんな予感がした。

 

 

 

「そうだ、ただ試されるだけじゃ面白くないだろ。この勝負、賭けをしないか?」

「なんだと?」

「俺が勝てば、このままの口調を認めてもらおう。お前が勝てば、敬語でもなんでも使ってやるよ。」

「・・・・いいだろう。だが、お前は専用機を使えないのだろう?それでもいいのか?」

「信じてくれてたのか?ああいいぜ、俺は打鉄を使おう。」

「嘘をつくような目じゃないのは私にでもわかる。そうか。では、私はラファールリヴァイブを使う。乗り方はわかるか?」

「なんとなくな。」

 

 

 

打鉄に触れ、感触を確かめるように装甲を撫でる。

しかし、手の先からはピリピリと違和感のようなものが走る。

まるで、この機体を、否、ISを否定しているような感覚だ。

神様は、俺のことを強制的にISに乗れるよう適合させたからか?

せめてこの勝負の間だけでも力を貸してくれよ、打鉄。

 

この時俺は気づく(すべ)が無かったが、この違和感は俺の体がISに慣れていないからではなく、実際は打鉄が俺の体へ拒否反応を起こしていたため起きたものだった。

 

 

 

 

 

「それでは、模擬戦を開始します。

両者、位置についてください。」

 

「3」

 

「2」

 

「1」

 

 

「始め!」

 

と、いうことで。

模擬戦が始まった。

 

 

 

 

「先攻は譲ってやろう。好きなように攻めて来い。」

「そうかいそうかい、じゃあお言葉に甘えて!」

 

空中でホバリングして、多少ふらつきながら織斑千冬との距離を詰める。

これまで何か武具を体に装備するなんてことはやったことがなかったからか、なかなかに難しい。

足や腕にある装備も、はっきり言って邪魔でしょうがない。

例えるなら、竹馬に乗りながらマジックハンドを手にして戦っているような感じだ。

空中でも自由に方向転換出来るのは面白いけどな。

 

「遅い!」

「っとと、そう慌てるなよブリュンヒルデ。まだ試合は始まったばかりだろ?」

 

横へ振られた剣を紙一重で避け、少し距離を取る。

良く見たら、剣じゃなくて刀か。

それより、いつの間に出したんだあの刀。

流石と言ったところか、やはり武器展開も高速でできるみたいだな。

武器展開というのは、前々から収めていた武器を具現化させることだ。

この収めていた武器のことを総称して後付装備(イコライザ)という。

その後付装備(イコライザ)をしまっている場所のことを拡張領域(バススロット)という。

いつでも武器を出せたりしまえたりして便利だが、拡張領域(バススロット)にも容量に限界があり、そんなに大量に入れておく、なんてことは出来ない。

それに、織斑千冬はかなりの速度で具現化させているが慣れるまではかなり時間がかかるそうだ。

 

「その言葉、挑発のつもりか?」

 

空いていた距離を一瞬で詰められる。

これが瞬時加速(イグニッション・ブースト)か!

 

一閃。

動きを目で捉えることはできたのだが、如何せんISの動かし方はからっきしだ。

直撃は避けることはできたが、それでも40程度シールドエネルギーが持っていかれた。

 

「まだまだISには乗り慣れないようだな。」

「いや、大体掴めてきたぜ。」

 

俺は今まで、ISはゲームのように脳内のコントローラーで動かすようなものだと思っていた。

だが、それは違った。

自分の体を動かすように動かさないと、複雑な動きは出来ない。

ISとは、自分の体の延長線だ。

と、いうことは、あまり難しく考えずに自分の体で戦えばいい。

それだけの話だ。

 

「そうか。ではいくぞ!」

 

2度目の瞬時加速(イグニッションブースト)だ。

確かに、瞬時加速は速い。

しかし、それだけであり 欠点もある。

それは、

 

「瞬時加速での加速中は、原理上方向転換が出来ないんだったよな!」

 

これぞ飛んで火に入る夏の虫。

今度は当たらないぜ!

加速しながらも振り下ろす刀を避け、片足で脇腹辺りを蹴り付ける。

 

「ッ!?」

 

一瞬だが、俺の蹴りに顔を歪める。

織斑千冬はそのまま地面まで吹き飛ばされたが、地面スレスレのところで体制を持ち直して地面との衝突は避けることができたようだ。

本気じゃなかったとは言え、あそこで踏ん張るとは流石世界最強だ。

 

この時点でのシールドエネルギーは、俺が残り420で、織斑千冬が260。

 

瞬時加速をシールドエネルギーに使っていたとは言え、かなり減らすことができた。

ちなみに俺のシールドエネルギーが最初の攻撃以上削られているのは、何故か俺の蹴りに打鉄の方も耐えられなかったらしく、少しダメージを受けていたからだ。

自分の攻撃で自分にダメージが入るとはこれ如何に。

 

「くっ、大した攻撃だ。だが、最初の一撃で出し切ってしまってどうする。」

「まさか。かなり手加減してやったのによ。」

 

全速力で眼下にいる織斑千冬(ブリュンヒルデ)を迎に行く。

勿論、追撃のためだ。

 

「私が簡単にやられると思うなよ?」

 

刀をしまい、今度は銃のようなものを展開し、こちらを狙ってくる。

近接戦闘だと不利なのは目に見えて明らかだからな。

 

装甲に何発か当たり、シールドエネルギーが削れる。

しかし、一発一発は大した威力はなかった。

銃の腕もいいのか、俺を狙うのは勿論、避ける方向の予想までして狙い撃ちしてくる。

最初は正確さに驚いたが、それだけの事で撹乱すればなんとかなる。

俺が当たったのは最初の数発のみだ。

織斑千冬は、あまり射撃が得意ではないのかもしれない。

 

俺が弾丸を避けて接近すると、銃を捨て、もう一度刀を展開した。

 

「私とここまで渡り合えた奴は、あいつ以来だ!」

「何のことか知らないがそりゃ光栄だね!!」

 

織斑千冬の振るう刀を、俺は脚で受け止めた。

 

「何!?」

 

案の定、打鉄のシールドエネルギーが大幅に削れる。

だが、0にならなければ問題は無い。

そのまま勢いで刀を蹴り飛ばし、ラファールリヴァイブへと拳を叩き込む。

 

 

ビーッ!!

 

 

それと同時に、競技場にアラームが鳴り響く。

そして、教職員らしき女性の震えた声が聞こえた。

 

『お、織斑先生のシールドエネルギーが0になったため、試合を終了します。勝者、乃至 漣夏・・・・!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「これまでの非礼を詫びよう。すまなかったな。」

 

試合の後、織斑千冬はラファールリヴァイブを降りて一言目に謝ってきた。

 

「そんなことはどうでもいい、心底な。俺が気にしているのはただ一つ。賭けの内容、忘れてないだろうな?」

「ああ、勿論覚えている。」

「そいつは良かった。」

 

こうして俺は初めてISに乗った日、世界最強に勝利した。

 

 

 

 

 




早速ですがオリジナル設定が入ってきたり来なかったり。

ラファールリヴァイヴで瞬時加速できるかはわかりません、モンドグロッソが2年間に1度かはわかりません、ましてやオリンピックのように会場が色々な国になるのかはもっとわかりません。
その他オリジナル設定が色々と増えていきますが、御容赦下さい。
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