SI -Second Irregular-   作:リンク切り

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不眠

 

「それより、そろそろ誰がベッドを使うのか決めた方が良いんじゃない?」

「そうだな。苹果が来てから、って話だったからな。」

「ベッド?」

「そう。この部屋は元々二人部屋だ。ベッドが2つしかないだろ?って事で、誰か1人が床で寝るか、あるいはどちらかのベッドに2人で寝てもらう必要がある。」

「だから、アンタが床で寝なさいよ。」

「ここは後から来たお前が譲るのが礼儀だろ。」

「自分の事を棚に上げて何が礼儀よ、何が。」

「私が床で寝るから、2人ともベッドに・・・・・」

 

「それはダメよ!」「それは駄目だ。」

 

「え・・・・?」

「元から部屋にいたのに床に追いやるのは申し訳ないわ。」

「そうだぜ苹果。ツインテールなんかのためにそこまでしなくていい。」

「なんかのためにってどういう意味よ!」

「そのままの意味で受け取ってくれれば充分だ。」

 

ぐぬぬと睨んでくる凰鈴音を笑って流し、一つ提案をする。

 

「それより、寝る場所を決める簡単な方法があるんだが、乗るか?」

「・・・・・何よ、それ。」

()()をしよう。」

「くじ?まあ確かに、公平ではあるけど。」

「だろ?そうだな、割り箸、は、あるわけないか。明日食堂に行って3本分貰って来るか。とりあえず今日のところは、苹果、いらない紙か何かあるか?」

「あるけど・・・・・」

 

苹果はガサゴソと鞄をあさり、何かの裏紙を取り出す。

俺はそれを受け取り、縦に1回、横に2回切り、合計6枚の紙の切れ端を作る。

そのうち一枚を捨て、残りの5つに文字を書き込む。

 

そうして、それぞれに「A」、「A(B)」、「B」、「B(A)」、「床」と書かれた紙が出来上がった。

 

「何?これ。」

「だから、くじだって。」

「くじって・・・・・線を辿っていくやつじゃないの?」

「ああ、あみだくじの事か。別にそれでもいいんだが、今回はくじ引きにしよう。もう作っちまったしな。」

 

俺があみだくじを使うのは、イカサマをする時だけだ。

今回は完全なランダムに選びたいため却下した。

 

「でも、このAとかBとかって何のこと?床はなんとなくわかるけど。」

「AとBはベッドだ。Aがシャワールームに近い方。Bは窓側の方のベッドだ。」

「じゃあ、このかっことかは?それに何で5つあるの?」

「同時にそんなに質問するな。わかった、説明するから。」

 

まず第1に、なぜくじは全部で5つあるのか。

それは最後に決定する場所が一通りではないからだ。

というのも、2人がそれぞれ別のベッドで、1人が床で寝るだけならくじは全部で3つでいい。

だが、今回は1人ずつベッドで寝て余った1人が床でねる場合と、2人が同じベッドで寝て、もう1人は別のベッドで寝る、誰も床で寝ない場合がある。

それだけややこしくなるが、結果として必要なくじの数が5つとなったという事だけわかればいい。

 

そしてかっこだが、それはくじを引いた時どういう結果があり得るかを予想すればわかる。

 

まず、俺達が「A」、「B」、「床」と引いた場合。

これが一番わかりやすい。2人がベッド、もう1人が床という位置取りになる。

 

次に、「A」、「A」、「B」あるいは「B」、「B」、「A」と引いた場合。

これは2人が同じベッドで寝て、1人がもう一方のベッドで寝るという位置取りだ。

 

そして最後に、「A」、「A」、「床」あるいは「B」、「B」、「床」となった場合。

この時は、そのままいくとベッドが1つ無駄になってしまう。

まあその時は話し合いで何とかなるとは思うが、言い合いになっても仕方ないし最初に決めておくことにした。

この場合だけ( )の中を優先し、かっこがついていた方がもう一方のベッドで寝る事になる。

 

「なるほど・・・・・つまり、床で寝る人はいない時といる時があるのね。」

「そういう事だ。どうだ?やってみるか?」

「いいわね。それで決めましょ?」

「苹果もそれでいいか?」

「うん。」

「じゃ、引くわね。」

 

くじに手を伸ばそうとした凰鈴音の腕を掴み、止める。

凰鈴音が頬を少し染めて狼狽する。

 

「な、何よ?」

「その前に。これで引いた結果には遵守してもらう。と言っても、1日だけだけどな。」

「わかってるわよ。」

 

そう言って目を瞑りくじを選ぶ。

さて、俺達も選ぶか。

 

 

 

 

 

 

「何でこうなるのよっ!」

 

引いたくじは、俺が「A」、凰鈴音が「A(B)」、苹果が「B」だった。

結果として、窓側のヘッドに苹果が、シャワールーム側に俺とツインテールが寝ることになる。

 

「それはただの運だろ。」

「うぐ・・・・・」

 

言葉に詰まる凰鈴音。いや、納得しろよ。

 

「じゃ、そろそろ俺もシャワー浴びようかな。苹果はお風呂どうする?大浴場の方に行くか?」

「そうだね・・・・漣夏くんが出たらこの部屋のシャワーを使わせれもらうね。」

「わかった。先に入ってもいいけど?」

「ううん、後でいいよ。」

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・じゃあ、寝るけど・・・・・」

 

そして数時間。

消灯時間になり、寝ざるを得ない時間になった。

 

「あたしの体触ったりしたらタダじゃおかないわよ!」

「いつの時代のセリフだよ。安心しろ、別に何もしない。」

「そんなの信用できるわけないでしょ。」

 

キッと俺のことを睨む。そんな事言われても困る。

俺はツインテールをベッドの上に投げる。

 

「わっ!?何するのよ!」

「いいからさっさと寝ろ。明日も朝早いんだから、起きれなくなるぞ。」

「わかってるわよ!寝ればいいんでしょ、寝れば!!」

 

そう言ってガバッと布団を被る凰鈴音。俺も入れろ。

 

「布団を全部取るなよ。俺のことを考えろ。」

「ちょっと!それだと私が布団から出るじゃない!」

 

何度か言い合いをして、何とか両方が布団におさまる体勢を模索した。

 

「じゃあおやすみ。苹果もな。」

「おやすみー。」

「うん、おやすみ。」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・本当に何もしなかったのね。」

「なんだその酷いくまは。」

「別に。」

 

早朝。

目が覚めると、目の前には目の下にくまを作ったツインテールがいた。

体を起こし、ベッドから出る。

 

「少し寒いな。」

「まだ春も始まったばっかりだから、仕方ないわよ。」

 

あくびをしながらツインテールが応える。

寝不足は体に良くないぞ凰鈴音。

閉めていたカーテンを開け、部屋に光を入れる。

 

「んっ・・・・・」

 

窓側のベッドで寝ている苹果が、日光に照らされて身じろぐ。

起きない苹果を揺すって呼びかける。

 

「おい、苹果。もう起きていい時間だぞ。」

「・・・・まだ。もうちょっと。」

「いつもならすぐに起きるんだが、夜ふかししてたのか?」

「みたいね。途中から寝ちゃったみたいだけど。」

 

ツインテール曰く、苹果は俺が寝た後夜遅くまで起きていたらしい。

 

「あたしは一睡もできなかったけど。」

「ちゃんと寝ないと成長できないぞ、色々と。」

「うるさいわねっ!眠れなかったのはあんたのせいでしょ!」

「人のせいにするなツインテール。」

「そういう訳じゃないわよ。それより、何であんたはあの状況で一番最初に寝れるのよ。」

「いつどんな状況でも眠れないれないと効率的な生活は出来ないからな。こんなのは基本だぞ。」

「何の基本なのよ。」

 

そうこう暫く話をしていると、苹果が起きた。

 

「ふぁ・・・・・・おはよう・・・・・漣夏くん。」

「おはよう苹果。待ってやるからゆっくりしてていい。」

「うん。」

 

 

 

 

 

 

色々と準備をして、食堂へと来た。

凰鈴音はいつの間にか、お風呂の後から解いていた髪を結んでいた。

いつも俺達は、食堂でご飯を食べた後部屋に戻らずそのまま教室へと向かっている。

鞄の整理だとか身だしなみの整理だとかを食堂に行く前に済ませている。

凰鈴音にもそれを伝えて準備してもらっている。

 

「アンタ、どんだけ食べるのよ・・・・・・」

 

凰鈴音が、積まれた皿の山を見て呟く。

と言っても、まだ半分しか食べてないんだが。

 

「この体は燃費が悪いんだ。いくら食べても満腹感が無い。」

 

空になった丼を皿の山の上に重ねる。

 

「それにしたって食べすぎでしょ・・・・・お腹の中にブラックホールでも入ってるの?」

「自分でもそうじゃないかなって思うレベルで大食漢だからな。」

 

最初の二日三日くらいは、苹果や一夏たち含め周りの生徒にも注目されていたが、今となればもう日常の一コマのように気にしなくなっていた。

苹果も、こっちの事はもう気にしてないしな。

ちなみに、いつも食堂では一夏と篠ノ之箒に会って一緒に食事をとるのだが、今日は苹果が少し起きるのが遅れたので会えなかった。

 

「そういうツインテールのそのラーメン美味しそうだな?」

「あげないわよ。」

「1口、いや、1杯だけでいい。」

「いいわけないでしょ!!欲しいなら貰ってきなさいよ。」

「今から列に並ぶと遅れそうなんだよ。」

 

この学園で、俺は食堂での食事代は免除されている。

IS学園に入学する時の条件に出した、『最低限の生活を保証する』が効いているらしい。

いつも大量に料理を注文する俺に、嫌な顔一つせずに応じてくれる。

 

「じゃあ知らないわよ。遅れれば?」

「なかなかの塩対応だな。」

 

食事を終わらせた俺達は、そのまま教室へと向かった。

ツインテールは、一夏に用があると言って俺達についてきた。

 

「クラス対抗戦、楽しみだね。」

「そうだね、食堂のデザートフリーパス、欲しいなぁ〜。」

「はい!はい!私も欲しい!!」

「そのためにも、織斑くんに頑張ってもらわないとねー?」

「ハハハ、頑張るよ・・・・・」

「もう、もうちょっとシャキッとしなよ、一年一組の代表なんだからさ。」

「そうだよそうだよ。俺は絶対勝つ!くらい言ってくれないとね。」

「そうだな・・・・・よし。ほかのクラスになんて負けない。絶対優勝するぜ!」

「「「おー!」」」

「専用機持ちは1組と4組だけだから、織斑君なら楽勝だよ!」

「そうだよね。4組ねー。強くなかったら良いんだけど・・・・」

「でも、2組にも専用機持ちが転入してくるって聞いたよ?」

「そうなの!?」

「へえ、こんな時期に転入生か?どんな奴なんだろ。強いのかな?」

「中国から来た子なんだって。何でも、1年でISの操縦をものにしたんだとか。」

「それは凄いな。」

「ふん。今更ながらに私の存在を危ぶんでの転入かしら?」

「クラス代表は織斑君になったんだから、それはないと思うなあ。」

「む・・・・・」

「でも、2組のクラス代表はもう決まってるらしいよ?」

「そうみたい。このまま何事も無かったら良いんだけど。」

 

「残念だけど、そうはいかないわ!」

 




最近ストーリーの進み具合がノロノロすぎると思います。
4000字じゃ足りないのか。それとも鈴ちゃんとの共同生活の描写が多いのか。
完全に後者だと思われ。私のISの推しキャラがバレますね。
ストーリーの進行が遅いのは別にいいんですが、流石にもうそろそろ次の展開に行かないとなって感じています。
それとも鈴ちゃんの共同生活がもう少しあった方がいいかな?
完全に鈴ちゃんだけ贔屓してますね。
大丈夫です、次話では話が進みます。きっと。
次回、『宣戦布告』!デュエルスタンバイ!(急に次回予告風)
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