SI -Second Irregular-   作:リンク切り

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袋叩

 

 

 

ツインテールへ連絡をとった後、俺達はアリーナへと向かった。

アリーナへ入った後、クラスメイトたちと別れる。

彼女達は客席へ、俺達はグラウンドの方へと出た。

 

「やっと来たか。待っていたぞ。」

「悪い、ちょっと手間取った。」

 

グラウンドへ出ると、篠ノ之箒が先に来て待っていた。

篠ノ之箒には、授業が終わってすぐに職員室へと行ってもらっていた。

 

「訓練機の使用申請が通った。これからは私も、ISの操縦訓練の方にも参加する。」

 

と、いうことだ。

つまり、事前に訓練機を借りるように頼んでいた。

 

「よし。これで俺達4人で練習ができるようになったな。」

「そう、ですわね。」

その後、篠ノ之箒は訓練機を身に纏った。

 

「日本の量産型IS、打鉄(うちがね)ですわね。」

「そうだな。この打鉄はラファールリヴァイヴと違い、防御に特化している。」

 

ちなみに、ラファールリヴァイヴは拡張領域(パススロット)の大きさ、つまり後付装備(イコライザ)の豊富性が売りだ。

 

「やっぱり打鉄か。」

「どういう事だ?」

「篠ノ之箒なら打鉄を選ぶと思っただけだ。」

 

ラファールリヴァイヴは、カスタム次第でどうにでもなるがその性能上銃やビーム兵器を積むことが多い。

それと比べ打鉄は、基本装備(プリセット)から刀型近接ブレードが装備してある。

剣道小町な篠ノ之箒は打鉄を選ぶはずだ。

 

「訓練機って、こんなに簡単に使用許可がおりるものなんですの?」

「そんなわけないだろ。IS学園と言っても、訓練機は学園も十数機しか所持していないからな。」

「じゃあどうして・・・・・・」

 

俺はセシリア・オルコットの制服の襟元を掴み、ぐいっと耳を俺の口元に持ってくる。

そして篠ノ之箒に聞こえないよう、そっと耳打ちをした。

 

「ふぇ!?」

「篠ノ之箒は、篠ノ之束の妹だ。そんな重要な人物を無碍(むげ)にできるわけがないだろう。」

「は、はい・・・・・」

「普通なら、訓練機は何週間か先まで予定がびっしりなはずだ。」

「そ、そうですわね・・・・・」

「だが、篠ノ之箒はあんまり篠ノ之束をよく思ってないみたいだ。今回もそうだが、これからも篠ノ之束の威を借りたって事はあんまり本人の前で指摘してやるなよ。」

「ええ・・・・・」

 

掴んでいた制服を離し、セシリア・オルコットを自由にする。

一旦離れて改めてみれば、セシリア・オルコットは頬を赤らめていた。

お前の為に説明してやったのに、ちゃんと聞いてたのか?

 

「では一夏。お前もISを起動させろ。早速始めるとしよう。」

「お、おう。そうだな。」

 

篠ノ之箒は、ブレードの装備を展開する。

一応両刃だが、刀のような形状をした装備だ。

一夏もそれに習い、ISを展開する。

やはりまだ時間がかかるのか、何秒か目を瞑り白式を呼び出す。

 

「来い、白式!」

 

腕に付いているガントレットが輝き、次の瞬間には一夏の体に白式が装備されていた。

 

「俺達も展開させるか。」

「そうですわね。」

 

俺達は同時にISを起動するが、やはりセシリア・オルコットの方が早く展開できている。

俺も一夏よりは遅くはないが、展開にまだ2秒はかかっている。

代表候補生などのIS操縦者は、1秒以内で展開できるようになるまで訓練をするらしい。

それぐらい初歩的な動作って事だ。

 

「まだ遅い、か。」

「そんなに気にする必要はありませんわ。漣夏さんはISスーツを着ていない分だけ、伝達速度が遅くなっているので早い展開はそれだけ難しくなっていますの。」

「わかってる。だけど、そのくらいが丁度いいハンデだろ。」

 

ISスーツがどれくらい伝達速度を支援するのかはわからないが、反応速度を上げていくのは悪いことではないだろう。

それに、いざと言う時でもあんな肌が出るような服なんて着てられないからな。

無い状態でそれなりに動かせるようになっておかないと。

 

「よし、それじゃあ始めるか。」

「待て待て。その前に、今回どういうことをするかの確認だ。」

「実技練習のだろ?」

「そう。でも、実技は実技でも今日は一夏の実力を見るための模擬戦をする。」

「模擬戦?」

「そうだ。クラス対抗戦に向けて、一夏には強くなってもらわないとな。」

 

せめて対抗戦で、ツインテールと互角に戦えるほどの実力は欲しい。

そして、無人機に殺されない回避能力と反応速度。

 

「じゃ、篠ノ之箒、セシリア・オルコット。お前達は息付く暇がなくなる程度に攻撃を仕掛ける。」

「うむ。」

「わかりましたわ。」

「一夏はその全てを回避。攻撃する隙があれば反撃して良い。」

「おう!頑張ろうぜ、漣夏!」

「何言ってんだ?俺はお前を攻撃する側だぞ。」

「え?」

「ちゃんと話を聞いていたのか?今回は、一夏。お前の実力を見て、高めるための模擬戦だぞ?俺たち3人が攻撃する役で、お前は回避する役だ。」

「ちょっと待ってくれ!それだと、俺が一方的に不利じゃないか?」

「不利だとか有利だとか、そういう問題じゃない。避けれるか避けられないかだ・・・・ッ!」

「うおっ!?」

 

俺は基本装備(プリセット)の剣を1本引換抜き、そのまま一夏へと斬りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「っはあ、はあ、はあ・・・・・・」

 

数時間後練習を終えると、もうすっかり日が落ちていた。

観客席から俺達の事を見学しに来ていたクラスメイトたちも、もう誰も残ってはいない。

グラウンドには、荒い息をしながら仰向けに横たわる一夏がいた。

グラウンドには他にもISの訓練をしていた生徒はいたが、今はもう一夏以外には、俺と篠ノ之箒、セシリア・オルコットしか残っていない。

 

「ま、ギリギリ及第点って所だな。」

「ふん、長らく鍛えていないからそうなるのだ。」

「情けないですわね、一夏さん。」

「いや、3人同時に攻撃されたら、流石にこうなるのも無理はないだろ。」

 

転んだまま避難の声を上げる一夏。

あれだけ動いたんだからそれも仕方の無い事だ。

 

「途中から上手く避けれていたな。だが、攻撃は出来なかったみたいだぞ?」

「本当にこっちから攻撃する暇が無いほど攻めて来るんだから、仕方ないだろ。」

 

俺と篠ノ之箒の近接攻撃を捌きながら、後ろから来るセシリア・オルコットのブルーティアーズのビーム攻撃を避けるのはそんなに簡単な事じゃない。

最初は俺達の近接攻撃を受けるのに必死でセシリア・オルコットの攻撃をまともに受けていた一夏だが、段々とその攻撃も読み避けることが出来るようになっていた。

これが数時間の成果だというのだから驚きだ。

一夏は、何か得られたものがあったみたいで良かった。

 

「それと、これは一夏の訓練だったが、お前達もちゃんと自分達の欠点を見直しておけよ。」

「欠点?」

 

女性陣2人が同時に首を傾げる。

おい・・・・・・

 

「セシリア・オルコット。お前はまず、ビット兵器を動かしながら自分も移動できるよう練習をしろ。話はそれからだ。BT偏光制御射撃(フレキシブル)も後々習得してもらう。いいな?」

「は、はいっ!」

 

BT偏光制御射撃(フレキシブル)

これは、撃ったビームを途中で曲げることが出来るという高度技術だ。

これを可能にするには、センスと実力が必要なのだが、まあなんとかなるだろう。

 

「そして篠ノ之箒。剣道をやってきたのは、間合いの計り方や刀の扱い方からもわかった。なかなか良い腕だ。ただ、仲間と協力しての闘い方はまだまだみたいだな。俺との連携が全く取れていなかった上に、セシリア・オルコットの攻撃にかなりの頻度で当たっていただろ。」

「う・・・・・」

「剣道は大体一対一の試合だったから難しいのはわかる。だが今度からは、周りの状況も確認しながら戦うのを意識するんだ。」

「うむ、わかった。気を配ってみる事にする。」

 

そして俺だ。

今回、ISの機能である全方位視界接続を使って模擬戦をしていた。

全方位視界接続機能とは、その名の通りISの機体の全方位、360度を同時に見ることができる機能のことだ。

これを上手く使うことが出来れば、後ろからの奇襲を上手く避けるかとが出来たり、セシリア・オルコットなどの遠距離型と共闘する時にとても役立つ。

この機能を使うと人間では到底不可能な全方位の目視が可能になる。

そのため、訓練をしていないと情報処理が追いつかなくなってしまう。

暫くは、この機能を上手く使えるようにする事が当面の目標になるな。

 

「これで今日の学習は終わりだ。アリーナの使用時間も過ぎたことだし、部屋に戻るか。」

「そうですわね。では、皆さんまた明日。」

「そうだな。私達も部屋に戻るとしよう。」

「あー。箒、先に行っててくれ。まだ、俺は動けそうにない。」

「仕方ないやつだな。シャワーは先に使わせてもらうぞ?」

「おう。」

 

セシリア・オルコットと篠ノ之箒が、更衣室へと向かった。

俺はそれを見送りながら、制服の上着を脱ぎ広げ、大の字に寝ている一夏に投げつける。

 

「一夏。そんな腹出した格好で夜風にあたってると風邪引くぞ。」

「ああ、ありがとう。漣夏。」

「気にするな。俺は先に更衣室に行ってるから、疲れが取れたら制服を返しに来い。最悪明日の朝でもいいが。」

「いや、今日返すよ。」

 

一夏をグラウンドに置いていき、俺の部屋にいるはずのツインテールに秘匿回線(プライベートチャンネル)を繋げる。

 

『ツインテール、終わったぞ。そろそろ来てもいい頃だ。』

『ひゃ!?ちょ、ちょっと!!急に通信して来ないでよ!!』

『残念だが、流石のISも、着信音なんてシステムは付いてないな。』

『わかってるわよ。』

『一夏はかなり疲れてたから、スポーツドリンクだとかタオルだとかを持って行ったらポイント高いかもな。』

『な、何よ、ポイントって・・・・・』

『一夏ポイント?』

『もっとわからなくなったわ。とりあえず、アリーナに向かうから。』

『ああ。一夏はまだグラウンドでへばってるが、もう少ししたら更衣室の方へ行くはずだ。』

『うん。・・・・・その、色々ありがとね、()()。』

『ああ。』

 

ISの通信を切り、更衣室へ向かう。

やっぱり、上着がないと夜風が寒いな。




今回の投稿で、文字数が合計でなんと十万文字になりました。
びっくりですね。
長い道のりだと思っていたのがあっさり書けちゃったこの文字数。
いや、割と長かったのかな?
長かったです。
改めて、これからよろしくお願いします!
あれ?よく考えたら、十万文字も書いてるのにまだシャルが出てきていない......
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