SI -Second Irregular-   作:リンク切り

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乱雑

 

 

 

「漣夏くんのISって、篠ノ之束博士のオリジナルなの?」

「え?」

 

授業前の朝の教室での事だ。

俺はクラスメイトに、唐突にそんな話題を振られた。

 

「なんだその情報。どこ情報だよ?」

「朝のニュース番組だよ。どこの局でもやってたから、みんな知ってるんじゃないかな。」

「あ、私も見たよ、それ。ほら、今凄い話題になってるよ。」

 

そう言ってクラスメイト、というか鏡ナギは、俺にスマホの画面を見えるように手渡した。

そこにはホットニュースの一番上の欄に、「篠ノ之束、新しいISコアと専用機を作成」という文字が表示されていた。

 

「どういう事だ?」

「昨日の深夜くらいに、篠ノ之博士が漣夏くんの専用機を作成したって世界へ一斉発信したんだって。」

「あの機体、篠ノ之博士が作成したんだ、って思って。」

「何でも、ISコアから自作だ〜、って言ってたよね。」

「そうそう。すっごく早かったもんね、夜桜!」

 

なるほど。

篠ノ之束(あいつ)はあの駄神の尻拭いをしてくれたって事か。

その代わりに企業や国から贔屓されているとバッシングを受けるかもしれないが。

これから色々と面倒な事になりそうだ。

どこ出かわからないISコアを使っていると知られるよりはよっぽどいいけどな。

 

「なになに?っていう事は、ISコアが増えたっていう事?」

「そうだね〜。ISの常識知識が1つ変わっちゃったね~。」

「それと、白式の作成も束博士が関わってたみたいだね。」

 

そこまで公開したのか。

確か、白式は倉持技研とかいう三流開発室で未完成のまま放置されていたんだとか。

それをそのまま篠ノ之束がかっさらって、完成させたようだ。

白式の雪片弐型(ゆきひらにがた)が第四世代の技術を使われて作成されているのはそのためだ。

ちなみに〜世代というのは、ISの革命的な技術がどの程度まで搭載されているかで変わってくる。

ISの革命的な技術には後付武装、イメージインターフェース、展開装甲がある。

いや、まだ他にもあるようだが、まだ習ってない上に教本にも載っていないので俺にもわからない。

篠ノ之束辺りに聞けば、何個かポロポロと出てきそうなものだが。

 

「そうなのか?漣夏。」

「ん?何だよ一夏。お前自分専用機のことなのに、知らなかったのか?」

「お、おう。俺はただ、白式がIS学園側から支給されるって聞いただけだぞ。」

「支給って簡単に言うけどな。」

 

専用機持ちがどれだけ凄いのか、この唐変木は本当にわかっているんだろうか。

あれだけ説明したのに、実感はまだ持ってないのかもしれない。

 

「そっか、束さんがか・・・・・・」

 

意味ありげに呟く一夏に、篠ノ之箒のチョップが炸裂する。

 

「いてっ」

「そろそろ予鈴が鳴る。席に着くぞ、一夏。」

「お、おう・・・・・なんでそんなに機嫌が悪いんだ?」

「さあな。私はもう自分の席に帰る。」

 

篠ノ之箒の席は、最前席の苹果の席を挟んで一夏と反対側だ。

つまりは、窓側から篠ノ之箒、苹果、一夏となっている。

ついでに一夏の隣は谷本癒子だ。

俺の席は、一夏のすぐ後ろでその後ろの席に鷹月静寐。

俺の左隣は鏡ナギの席だ。

そして鏡ナギの前が苹果になる。

セシリア・オルコットと布仏本音は、もっと後ろの方の席だ。

 

「なあ漣夏。なんで箒はイライラしてたんだ?」

「知らん。粗方、お前が篠ノ之束の話をしたのが気に入らなかったんじゃないのか。」

「そうか・・・・・・でも、なんで箒は束さんの事をあんなに嫌っているんだ?」

「それこそ知らん。だけどな。自分の胸に手を置いて考えてみれば、意外と単純な理由かもしれないぜ?」

「うーん・・・・・・俺が知っている限りじゃ、仲の悪い姉妹って感じじゃなかったんだけどな。」

 

席に座った一夏が唸りながら考える。

篠ノ之箒が姉を嫌っているのは、重要人物保護プログラムという政策によるところが大きい。

勿論、これがすべての理由とは言いきれない。

重要人物保護プログラムとは、その名の通り「重要人物を保護する」プログラムだ。

篠ノ之束の妹である篠ノ之箒はこのプログラムの対象になり、学校以外の時間は軽い軟禁状態が何年も続いた。

更に同じ地域に長期間滞在するのは危険とみなされ、各地を転々と転校することになった。

篠ノ之箒が小学生の頃に一夏と同じ学校から転校をしたのは、こういう背景があったみたいだ。

姉を嫌っているのは、好きな人と離れ離れにさせられたからという案外子供っぽい理由だった。

 

「そろそろショートホームルームを始める。」

 

織斑千冬、そして山田真耶が入室し、予鈴が鳴る。

そのまま授業が始まり、いつも通り一夏が頭を悩ませて終わった。

IS学園は、ISの知識は勿論数学や国語など基本科目も習うからな。

授業時間の都合でかなり早く進むので、一夏はついていくのもやっとと言った感じだった。

 

そして授業がすべて終わり、放課後になった。

教本をまとめてIS学園指定の学生鞄に入れる一夏が俺へ話しかける。

 

「漣夏!今日は何の勉強をするんだ?」

「あー。悪いけど、あと数日は勉強会ができそうにない。」

「え?何でだ?」

 

きょとんとして尋ねる一夏。

お前は少し考えるということを覚えてもいいんじゃないか?

 

「そうだな。うちの同居人がお前と敵対してる、って言えばわかるか?」

「ああ、なるほど・・・・・鈴か。」

「そんな感じだ。お前とは対抗戦まで会いたくないってさ。」

「鈴の奴、何怒ってるんだ?」

 

その言葉に、隣にいた苹果がぴくりと反応した。

苹果は昨日のことを知っている数少ない人物だからな。

 

「織斑くん・・・・!」

「?お、おう・・・・?」

 

苹果は一夏に頬を膨らませて怒りをぶつけた。

怒っているんだろうが、一夏には全く伝わっていない。

そういう俺も、中途半端に膨らんだハリセンボンのモノマネにしか見えないが。

ただ可愛いだけになってるな。

一夏も、普段大人しくて無口な苹果のそんな顔を見せられて困惑している。

 

「苹果。そんな事しても伝わらないから。」

「で、でも・・・・・・」

「思ってる事をちゃんと口に出してみろ。な?」

「う、うん。」

 

苹果は一夏へ向き直り、言い放った。

 

「私、織斑くんの事、嫌いです!」

「えぇっ!?」

 

いやまあ確かに、思っていることをいえと言ったけどさ。

一夏はもっとわからなくなったという顔をしていた。

まあでも、何か怒らせたという事には気付いたようだ。

弱々しい声で、俺に助けを求めてきた。

 

「漣夏・・・・・俺、何かしたか?」

「苹果も、ツインテールの味方って事だな。」

「漣夏も鈴側についたのか?」

「いや、俺は別にどっちでもいい。対等の条件で戦って欲しいだけだ。」

「対等?」

「そ。と言うことで、放課後は篠ノ之箒にでもコーチしてもらえ。安心しろ。お前の弱点だとか、そういうのは伝えないから。」

「そっか・・・・・」

「ああ。じゃ、俺達は部屋に帰るから。頑張れよ、一夏。」

「おう!」

 

グッとサムズアップをして見せる一夏に別れを告げて教室を出る。

まあ、特訓だとか練習だとかは篠ノ之箒が何とかするだろ。

 

「苹果。ツインテールを迎えに行ってくれ。あいつは寮の鍵を持ってないから。」

「うん、いいけど・・・・・漣夏くんは?」

「ツインテールが今俺に会うと、下手したら一夏以上に気まずくなるからな。俺は先に部屋に戻っとく。」

 

深夜の事を気にしているのか、今日のツインテールはいつもよりよそよそしかった。

俺と目も合わそうともしない上、たまたま目が合うと顔を真っ赤にしてすぐに顔を逸らす。

 

「2人ともどうしたの?朝から全然話してなかったけど・・・・・」

「ツインテールが自爆しただけだ。俺は別になんとも思ってないけどな。」

「?」

「詳しくはツインテールに聞け。話してくれるかは知らないけどな。とにかく、あいつは2組だから。迎え頼んだぞ。」

「う、うん、わかった・・・・・」

 

とてとてと隣の2組に歩いていく苹果を見送って、俺は寮へと帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

寮の部屋へと到着し、カギを開けて部屋の中へと入る。

部屋の中はカーテンを締め切っていて薄暗く、ものさみしげだった。

 

「・・・・・誰か中に入ったか?」

 

部屋に足を踏み入れる前にふと違和感に気付き、辺りを見回す。

 

しかし、違和感の正体には気付けない。

段々と嫌な予感もして来る。

 

俺を誘拐しようと誰かが接触に来た?

だが、この部屋に俺以外の人の気配は無い。

となると、別の可能性だろう。

 

では、あるいは俺の暗殺か?

ならば、何か即死級の(トラップ)が仕掛けられているかもしれない。

大抵の罠じゃ俺は殺られはしないが、罠にかかるという屈辱的な状況を作り出したくない。

注意深く周りを観察してみると、床に1本の長い髪の毛が落ちているのを確認した。

その髪は、滅紅(めっこう)の色合いだった。

 

なるほど。

この部屋に入ったのは、もしかしなくても・・・・・

 

 

 

 

 

 

『やっと1人きりになりましたね?』

 

 

 

 

 

 

その瞬間、右手に付いていた黒いブレスレットを外した。

俺の手には割と大きめに作られているそのブレスレットは、難なく手首から外れる。

そのまま俺はそのブレスレットを窓へと投げつけた。

窓もカーテンも閉まっていたため、投げられたブレスレットはそのまま窓側のベッドの上に落ちた。

 

『いやに扱いが雑ですね。あまり乱雑に扱わないでください。』

 

その声は、今し方俺が投げたブレスレットから聞こえてきていた。

いつからすり替えられた?

俺に気づかれずに腕のブレスレットを取り替えるなんて芸当、誰ができる?

いつから盗聴されていた?

そんな疑問が何個も頭に浮かぶ中、俺は質問を一つに絞って話した。

 

「お前は何者だ。」

『そんな事より、私の扱いを・・・・・』

「いいからさっさと応えろ。お前は何者だ。」

『・・・・・私の識別名は『NOIRE』です。ですが、貴方様には『夜桜』と応えた方が分かり易いと思考します。』

「・・・・・何?」

 

スッと黒のブレスレットが黒く光ったと思えば、そこには1人の少女が佇んでいた。

少女。

そう、少女だ。

サービス精神のいい事に、頭の上には耳が、お尻辺りには尻尾が生えている。

この一瞬の間に色々な事が起きすぎて困惑しているが、はっきりわかることが1つあった。

 

「あの駄神め、またやりやがったな・・・・・?」




やっと。
やっとです。
やっとですよ。
第1話の時から、いや、この作品の設定を考え始めた時から決めていた事が今回でやっと達成できました。
IS人化!
しかも獣っ子!
あー。長かったです。
念願がようやく叶って嬉しいです。
人化の軽ーい伏線も何話かで張ってましたよ。
ちょっとでも人化するのかな?って思って人はいたのでしょうか。
何の獣なのかだとか容姿だとかは、次の回でわかるでしょう。
ということで、それでは次回をお待ちくださいっ!
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