SI -Second Irregular-   作:リンク切り

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タグにIS擬人化を付けるかどうかで迷いうさぎです。
付けたら付けたでネタバレ?的なことになってしまう気がするんですよね。
しかも2章からですしおすし。


災厄

 

 

 

 

 

「この子が・・・・・アンタのIS?」

「そ。黒狐(こくこ)だ。」

 

黒狐(こくこ)の頭をパシッパシッと軽く叩きながら紹介する。

頭の上にある耳が跳ね、俺を手をくすぐった。

ISのひとまずは信じてくれたようだ。

納得はしていないみたいだが。

 

「あれ?漣夏くんの専用機、夜桜って名前じゃなかったっけ?」

「夜桜はIS形態での名称で、こっちのバージョンだと名前が変わるみたいだ。」

「何よそれ。紛らわしいわね。」

「そんな事ないだろ。どっちも同じ名前な方がややこしい。」

 

それは一回経験したことがある。

紛らわしくてややこしかったな。

一回一回、兵器の方の、あるいは機体の方の、と言わないと伝わらないからな。

 

「それにしても、何でISが女の子になっちゃったのよ。」

「さあな。俺が知ってるのは、ISは元々人になれるって事だ。」

「・・・・・・それ、本当に本当なの?」

 

疑わしいものを見る目で俺を疑ってかかるツインテール。

俺に言われても困る。

早いところ黒狐に説明を変わってもらうか。

 

「俺は詳しくは知らないから、こいつに聞いてくれ。」

「こいつ、って?」

「はい。漣夏さまの専用機を務めさせていただいています。夜桜、ではなく、黒狐と名付けられました。」

「しゃ、喋った・・・・・ISが・・・・・」

「そりゃ人間の形を模してるんだから、言葉くらい話すだろ。料理も食べられるってさ。」

「食べるの!?」

「はい。消化器官や排泄器官はありませんが。」

「えっ!?じゃあ、どうやって、その、出すのよ?」

「出すってお前。」

「摂取した物質は、すべて運動エネルギーへと転換します。理論上は廃棄物や残飯などでも可能ですが、味覚はあるので出来るのであれば真っ当な食事の摂取を希望します。」

「何言ってんだよ。ゴミを食べさせるわけにはいかないだろ。」

「光栄です。」

 

そう言ってまた俺に跪く黒狐。

一々動作が大仰なんだよ。

 

「女の子にゴミ食べさせたらぶっ飛ばすわよ。」

「ツインテール。お前はちょっと暴力的が過ぎるな。そんなんだと、一夏も離れてくぞ。」

「べ、別に今一夏は関係ないでしょ!?」

「そうだな。」

 

それにしても、成り行きとはいえISが人になれる機能を話してしまった。

俺がこの小説の外の世界から来たことや、神と接触したことという致命的な事実は聞かれていなかったようだが。

これからどうするかを少し考えて、顔をニヤリと歪めせた。

 

「まあでも、2人にこの事が見つかったからには、ただで返すわけには行かないな。」

「な、何?」

「お前らには口封じをしてやらないとな?」

「口封じ・・・・・」

 

何を想像したのか、苹果は顔を火照らせて呟いた。

そういう意味じゃない。

ちょっとからかってやろうと思ったが、この顔が見れたからもういいか。

本題に入ろう。

 

「その前にまず、この事をIS学園側に伝えるのか秘密にするのかを決めないとな。」

「え?」

「ISが人間になるなんて大事件過ぎるんだ。こいつを見せれば取り合ってもらえないってことは無いだろうが、正直眉唾物だろ。」

「それは、そうだけど。」

「・・・・・織斑千冬に、個人として織斑千冬に指示を仰ぐか。どうにか面倒事をうまく回避とはいかないものの湾曲させてくれるだろ。」

「千冬さんに?」

「ああ。」

 

俺がIS学園側に情報を伝えれば、学園は全世界に宣伝しなくてはならない。

これは協定に定められている条約に由来する。

この学園で判明した技術や知識その他全ては、協定加盟国に公開する義務がある。

 

だからまずは個人として織斑千冬にこの事を判断してもらうつもりだ。

飽くまでも、飽くまでも個人としての織斑千冬に、だ。

 

ただの建前でしかないが、公開しないという結論になった場合はIS学園関係なく友人として相談をしたからIS学園とは何の関わりもない、という逃げ道も作れる。

だが、そんな心配しなくても公開する事になるだろう。

何故なら、

 

「お前らを巻き込むわけにはいかないからな。」

「ん?何か言った?」

「いや、別に。俺は寮長室に行ってくるから、苹果とツインテールはここにいろ。さっきの事は、俺が帰ってくるまで誰にも口外するな。いいな?」

「わ、わかったわよ・・・・」

「苹果も。わかったか?」

「うん・・・・」

 

俺は黒狐にブレスレットへ戻るよう指示を出す。

俺1人がこの事を知っていれば、俺が秘密にしていれば良いだけだ。

だが、この2人に見つかってしまった以上こいつらを巻き込んでしまう可能性が出てくる。

そんな事にするわけにはいかない。

本当に面倒なことになったな。

 

「あれ?これ、何だろ?」

 

ツインテールの後ろでずっと大人しくしていた苹果が、突然声を上げる。

苹果の目線の先には、寮の部屋に常備されている机の上だ。

その机には、何か俺の見た事の無いものが置いてあった。

 

「お前のか、ツインテール。」

「違うわよ。」

「苹果のでもない、だとしたら・・・・・」

「アンタの?」

「違う。・・・・・いや、そうかもしれないな。」

 

机の上に置いてあった()()を手に取ってみる。

それはどう見ても携帯電話だった。

しかもスマホタイプ。

濃いピンクの、うさぎの耳のカバーが付いている。

 

右上にある電源らしきボタンを押すと、綺麗なグラフィックと共に効果音が流れた。

そして、

 

『やーやー、れんくん。君がこの音声を聞いているってことは、私が君の部屋の侵入に成功したって事だね?』

 

何も操作をしていないのだが、電源をつけた瞬間に右の端から篠ノ之束を模しているのであろうSD(スーパーデフォルメ)キャラがぬるぬると現れて音声が流れ始めた。

そいつは頭にウサミミをつけて髪は滅紅(めっこう)、そして胸はかなり大きい。

メイド服のような服を身につけていて、一瞬で見れば誰のデフォルメかがはっきりとわかる。

これは篠ノ之束自身が作ったプログラムなのか?

 

『IS学園も、警備が甘々だねー。私がスルリと入り込めるようじゃ、まだまだ安全とは言えないよね。』

 

画面上の篠ノ之束が腕を組み、音声と合わせて口を動かす。

この部屋に落ちていた見知らぬ長い髪は、やはり篠ノ之束のものだったか。

 

『それでこの機械の説明だけど、普通の携帯電話と変わらないね。まずこのアイコンが、電話機能のアプリケーションで・・・・・』

 

1つ1つの機能を説明する度に、画面の篠ノ之束が指を指して説明をする。

一番上の段では、背伸びをして一生懸命に指を指す姿が見ることが出来た。

後ろ姿までちゃんとデザインされていて、なかなかに手が込んでいる。

 

『れんくんが携帯電話を持ってないって聞いたから、ハンドメイドで作っちゃった☆束さんお手製の、世界に1つしかないスーパーハイテクスマホなのだ!』

 

それから説明が続いたが、篠ノ之束作成なだけあって随分と怪しげな機能や無駄に高い機能などが色々と入っていた。

カメラ3000倍ズームって機能は無駄すぎないか?

ISの機能にもハイパーセンサーというズーム機能は付いているから、それくらいなら篠ノ之束は簡単に追加できそうだが。

充電器は無いが、このスマホは持ち歩いているだけで勝手に充電が貯まるらしい。

どういう原理なのかはさっぱりだ。

 

『連絡先に私の番号は入れておいたから、好きな時に電話をかけてきても良いよん♡でも、イタズラ電話はダメだぞ☆』

 

画面の篠ノ之束がウインクをして、すべての説明が終わったのか画面からフェードアウトするミニ篠ノ之束。

ちなみに、このミニ篠ノ之束を観察するだけの育成、収集ゲームアプリもこの中に入っていた。

俺はその説明を聞いた時から、絶対にやらないと心に決めていた。

 

早速聞いた通りに電話のアイコンを触り、通話アプリを開く。

この携帯は特殊な回線を通しているから盗聴の危険は0、通話料も全くかからないという夢の機能もついているみたいだ。

篠ノ之束の言葉を信じるなら、だが。

 

俺はすぐ、迷わずに説明通り最初から登録されていた篠ノ之束へと通話をかける。

その間に、苹果とツインテールへ向けて、口へ人差し指を当てて静かにしていろと伝えた。

篠ノ之束は1コール目で繋がった。

 

『はいはい!世界の裏側からこんにちはぁーっ!たっばねさんだよー!』

「単刀直入に聞く。篠ノ之束。お前、いつからこっちの話を聞いていた?」

『ほえー?何のことかな?かな??』

「とぼけるな。どこから聞いていたのかって聞いてるんだ。」

『本当に何のことかさっぱりだよぅ。』

「どうせこの携帯電話に盗聴器やら発信機やらが付いていて、俺の事を探ろうなんていう魂胆だったんだろ?」

『そんなあ!私はただ、れんくんに喜んでもらおうと思って作ったんだよ?そんな事しないよーっ!』

「へえ。じゃあ、こっちの音は何も聞こえないし聞いてもいないと?」

『もっちもちのロンリーさあ!そんな事してたら、れんくんこの携帯使ってくれないでしょ?』

「当たり前だ。」

『だから、そんな事はしないし私でもやろうと思っても出来ないように設計したんだよん。これで、秘密いっぱいのれんくんでも安心して使えるね☆』

「ああ、そうか。良かったな、それを聞いて廃棄処分する気はなくなった。」

『私のプレゼントをダストシュートするつもりだったの!?れんくんひどいよぉ!』

「こんな怪しさ9割の携帯を使うなら、多少は心もとない自腹を切ってでも市販のものを買っている。」

『残りの1割は?』

「嫌悪感。」

『なんでぇ!?』

 

そういう事らしい。

ギャーギャーと騒ぎ立てるスマホを耳から離して、通話を切る。

篠ノ之束。

苹果や一夏ならともかく、こいつにだけは知られるわけにはいかない。

 

「今の電話の相手って、まさか?」

「篠ノ之束だ。どうもこれは俺の物みたいだ。」

 

ツインテールに、趣味の悪いウサギのカバーが付いたスマホを見せる。

ん?スマホカバーかと思ったら、これ部品の一部だな。

うさぎの耳はカバーのように外すことができないようになっていた。

一瞬折ってやろうかとも考えたが、そこまでする必要も無いと考え直してそのままポケットへと押し込んだ。

 

さて。予定より少し遅れたが、さっさと寮長室へ向かうか。

 

 

 

 

 

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