SI -Second Irregular- 作:リンク切り
『おおおおおおッ!!』
『はあああああッ!!』
甲高い金属音が鳴り響いた。
雪片弐型と、ツインテールの武装、
最初は重量の重い双天牙月の方が押していたが、一夏も負けじと腕力で押し戻す。
『ふーん、なるほどね。初撃を防ぐなんてやるじゃない?』
『鈴もな!』
2人は同時に武器を弾き、また武器を交差させる。
武器同士が当たる度に、火花を散らす。
一夏の使っている雪片弐型は、刀身が長く小回りが利かないため攻撃を防御するには向いていない。
素早く防御に動かそうとも、ツインテールのスピードについていけていない。
一方ツインテールの方の武装である双天牙月は、雪片と比べたら刀身が少し短い。
更には刃の部分が大きく、重量もあるため、遠心力を使って素早い攻撃を繰り出すことが出来る。
双天牙月は武器の種類としてはブレードに入るのだが、どっちかと言うと斧のような形をしている。
しかし、木こりなどの使う工具用の斧とは違い持ち手が短く刀身が長く大きい。
青竜刀と斧を掛け合わせたような独特の形だ。
そのためにかなりの速度で武器を振り回すことが出来ていた。
『ほらほら、どうしたの一夏?ちゃんと攻撃してきなさいよ。』
『くそっ、防御が間に合わねえ!こうなったら・・・・・』
一夏は、つばぜり合っていた武器を弾き返して体勢を整える。
その顔は少し焦っているようにも見えた。
ツインテールの方は自分が優位に立っているため余裕があるのか、あるいはそれとも試合を楽しんでいるのか、うっすらと笑みを浮かべている。
『今度はこっちから行くぜ!』
攻められるばかりでは自分が不利だと悟ったのか、今度は攻撃に転じる一夏。
雪片の刀身が一夏の想いに応えるように淡く青に輝く。
これは零落白夜ではない。
元々、白式が攻撃するためにはまず雪片へとエネルギーを費やさないとならない。
雪片はそういう仕様なのだ。
起動させないままで攻撃をしても、ダメージを与えられるのは与えられるのだがそれはごく微量なもの。
何故なら、雪片にはエネルギーを纏わない通常攻撃をする事が想定されていないからだ。
白式は、完全攻撃特化になっている。
雪片の弐型も同じく、だ。
つまり、戦闘中にはずっと雪片にエネルギーを纏わせて使わなければならない。
当たればダメージはかなり大きいのだが、その分時間を重ねるごとにどんどんとシールドエネルギーが消えていく。
こんな性能なら、欠陥機と呼ばれるのもすぐにシールドエネルギーが尽きるのにも納得というわけだ。
一夏が雪片弐型を起動したという事は、様子見は終わりなのだろう。
最初の情報では無かった武器の特性を確認したかったのか?
無駄な事をしている間に起動していると、エネルギーが雪片に吸い取られていってしまうからな。
『ふっ!』
ツインテールから少し距離をとって、再度接近する。
今度は、起動させた雪片を使って攻撃をした。
スイカ割りのように上から振り下ろされた雪片に、双天牙月を横にして防ぐツインテール。
武器がぶつかり合い、今度はツインテールの方が押される。
『なかなかやるじゃない。でも、そんな攻撃じゃ当たんないわよっ!』
『うわっ!?』
腕力に任せて強引に双天牙月で雪片を押し戻す。
このまま押し切れると思っていた一夏は、体勢を崩して弾かれた。
一夏の今の思惑は正しい。
ツインテールの武器、双天牙月は、先程も説明した通り刀身が大きいために他の武器よりも少し重い。
それだけ威力の乗った攻撃が出来るのだが、相手側から攻められれば話は別だ。
攻撃の時には遠心力で味方をしてくれていた重量だが、防御の面ではただの重りになってしまう。
上からの攻撃は、それに拍車をかけて不利になる。
つまり相手の攻撃の威力と、双天牙月の重さの両方をこちらが負担する事になってしまうのだ。
そう考えたからこそ、一夏は重力を味方につけるために上からの攻撃した。
しかし、ツインテールもそこまで甘くはない。
それが自分にとって不利だと知っているからこそ、その部分の対処もしっかりと練習をしていた。
『じゃ、そろそろあたしも行かせてもらうわよっ!』
ツインテールは、基本装備にある武器を残したまま、同じ武器をもう一本
双天牙月は二基あるのだ。
それがこの武装の名前の由来だと思う。
残り三文字の意味は知らん。
そのまま顕現させた双天牙月を数秒くるくると振り回して弄ぶ。
やりたくなるのはわかる。
俺もたまに自分のブレードを回転させるからな。
俺のは回しやすい形はしていないからか、あんなに綺麗には回らないが。
『はっ!せいっ!』
『う・・・ぎぎぎぎ・・・・・・』
白式へと近寄り、双剣をタイミング良く叩きつけるツインテール。
双天牙月一つでも難しかった防御を、今度は二つ防がなくてはならない。
一夏は防御に手一杯となり、押され気味だ。
ツインテールは自身も回転しながら打ち付けるなどしていて、この武器の扱いには完全に慣れていることを伺わせる。
これが一年ちょっとで身についた技術なら、賞賛に値する。
ISの稼働時間もそこまで長くないはずだ。
だが、一夏もまだISに乗り始めて一ヶ月と経っていない。
白式の起動時間は、まだ十何時間程だろう。
それなのに少々危なっかしいが、攻撃を全て捌ききれていることにも驚きだ。
『まだまだ行くわよ!しっかり受け止めなさいよねっ!』
ツインテールは双天牙月の柄同士をあてがい、
それに何の意味があるのかはわからないが、二つを繋げると投擲出来るのだとか。
そのまま双剣で戦っていても良かったと思うが、まあ別にいい。
そういう気分だったのだろう。
多分。
繋げた双天牙月を振りかぶり、一夏へと迫る。
くるくると回転させながら重さを感じさせない一撃を放つ。
ツインテールは棒術も上手かったが、全て間一髪の一夏に躱される。
先程の攻撃に輪をかけてかなりの早いスピードが出ていたが、一夏の危険察知能力も大したもんだな。
一夏はツインテールに攻撃を当てられることを避けるため、距離を置くために背中を見せて飛び上がった。
ツインテールもすかさず一夏へとついて回る。
一旦距離を置くのは、短期決戦型のお前の白式じゃいい判断ではない。
攻撃を受けていなくても白式の消費しすぎたシールドエネルギーが先に切れて負けてしまうからな。
だが、あのままでは一夏は攻撃を避けるのに必死で攻撃に回るなんてできなかっただろう。
様子を見て自分のペースに戻し、改めて攻めに入るのは間違いじゃない。
勝つには、絶対に外さないタイミングで零落白夜を当てるしかない。
発動させても双天牙月に防がれてしまっては元も子もないからな。
そのためにも、こちらのペースに引き込むのは大切だ。
だが、それをツインテールが許すはずがなかった。
『甘いっ!』
一夏がもう自分と剣を交じわらせる気がないと悟ったツインテールは、ついに空気砲を使う。
ドォンっと空気が震え、衝撃波が打ち出された。
『うおっ!?』
ちょこまかと飛び回っていたため、中心から少し狙いが逸れて一夏の右肩へと被弾する。
バランスを崩された一夏は吹き飛ばされた。
地面につく前に立て直したものの、今回初めてダメージを受けてしまった。
『な、何だ?今のは・・・・・』
『ふふ、今のはただのジャブだからね。』
ツインテールの肩部分にある武装、
そいつが今の衝撃波の発生源であり、イメージ・インターフェイスを用いた第三世代の兵器だ。
今度は外さない、というように一夏を不敵な笑みで睨むツインテール。
一夏も負けじと睨み返す。
龍咆が起動させて、衝撃砲を撃つ。
一夏は目視で避けようとして構えていたが、生憎龍咆の砲弾は目で見ることが出来ない。
いや、見ることが出来ない訳ではない。見えないのだ。
空気砲は空気を使って撃つために、必然的に不可視になっている。
更には、砲身まで空気で作るためどこを狙っているのかさえわからない。
案の定、一夏は真正面から龍咆の空気砲を受けて吹き飛ばされてしまった。
今回はまともに受けてしまい、地面へとたたき落とされた。
『ぐっ・・・・・ぁぁあああ!!』
一夏は砂埃を上げながら地面を転がり、アリーナの壁へぶち当たってやっと止まった。
痛みで少し動けなかったのか、よろけながら立ち上がる一夏。
雪片で減っていたエネルギーも合わせて、もう白式のシールドエネルギーは半分を切っている。
絶対防御が発動し、シールドエネルギーの多くが消費されていた。
今の一撃は、それ程に強力だったという事だ。
「な、何だ!?今の攻撃は・・・・?」
その頃司令室では。
一夏が吹き飛ばされた事に困惑するセシリア・オルコットと篠ノ之箒がいた。
その傍らには、苹果もいる。
「衝撃砲ですね。」
さらっと山田教諭が答える。
いや、対戦相手以外には秘密にしておかなくていいのかよ。
少し調べれば、それくらいはわかるのかもしれないが。
「空間自体に圧力をかけて、砲弾を打ち出す武器です。」
「私のブルー・ティアーズと同じ、第三世代の兵器ですわね。」
心配そうに見つめるディスプレイには、一夏がふらふらと立ち上がってなんとか衝撃砲を避けている映像が映し出されていた。
ISの絶対防御は、命に関わる部分以外の傷には反応を示さない。
吹き飛ばされた時に絶対防御が発動しても、ある程度の衝撃は残る上に腕や足という大事に至らない部分には何の防御もされないのだ。
今の攻撃では骨折や捻挫にはなっていないだろうが、攻撃を真正面からまともに受けてかなりのダメージだったためにまだズキズキと痛むのだろう。
『よく躱すじゃない?この龍咆は、砲身も砲弾も目に見ないのが特徴なのに。』
開放回線を使って一夏に語りかけるツインテール。
空気砲とはいえ、次に当たると一夏に勝ち目はないだろう。
もし当たってシールドエネルギーが残っていたとしても、零落白夜が使えなくなってしまう。
そうなれば圧倒的不利な状況に陥るのは明白だ。
「それにこの衝撃砲は、砲身の斜角がほぼ制限無しで動けるようです。」
「つまり、死角が無いと言うことですの?」
「そういう事になりますね・・・・・」
白式にとって、この相手は分が悪いと言えた。
こちらは近接のブレードしか装備していないため、勝つためにはまず接近するしかない。
しかし接近戦では双天牙月で攻撃を防がれてまともにダメージを与えられない。
少し距離を取れば、見えない空気砲でフルボッコ。
まさに進むも地獄、退くも地獄。
相手が一夏でなくとも、近距離も中距離も攻撃法がある甲龍はオールマイティとまではいかないもののかなり柔軟な戦術が組める。
それにこのツインテールの操縦技術だ。
パターンに入ってしまえば、攻略は難しいだろう。
いやですね、今回中に無人機飛んでこないなんて予測できませんよね。
無人機くんとの戦闘はまた次回までの持ち越しです。
今回もなんだかおかしなことを書いている気がします。
戦闘シーンとなるとどうしてもこうなってしまうんですよね。
戦闘シーンの描写が下手なので誤魔化している感じがあります。
雪片弐型の、あの解説ですが、あれであっているんでしょうか。
私の勝手な解釈と想像で書き上げましたが、間違っていたら教えてください。
この作品内ではこうなんだよ!と言うので。
そして書いてて思いました。
双天牙月って連結できる意味あるの?と。