SI -Second Irregular-   作:リンク切り

36 / 42
昨日なんだかメンテナンス来てたみたいですね。
時間が丁度二時から四時みたいでして。
そう、二章の投稿時間と丸被りでした。
というわけでですね、昨日投稿できなかったのはごめんなさい。
メンテナンスありがとうございます。読み込みの速度が全然違います。ありがたや。


犠牲

 

 

 

 

「お前、こんな所で何やってるんだ?」

「なっ!?な、なんだ、漣夏か・・・・驚かすな。」

 

アリーナに遮断シールドが張られているため、外からの侵入は出来ない。

そのため俺はピットからアリーナ内に入ろうとしていた。

そこからならシールドも張られていないし、それに廊下をちょっと行ったところにあるから近いしな。

しかし、そこには先客の篠ノ之箒がいた。

いや、白々しいのはよそう。

俺は篠ノ之箒がいるであろうピットを予測してここに来た。

 

「驚いたのはこっちの方だ。お前はあっちの司令室にいなかったか?」

「それは・・・・・」

 

気まずそうに目を逸らす篠ノ之箒。

抜け出してきたのが後ろめたいのだろう。

危険な事だとはちゃんとわかっているようだ。

分かっていないまま行動していたなら、ただの馬鹿だが。

 

「お前は危ないからここで待っていろ。ISも持たないのにあんな奴の前に躍り出てくるな。」

「でも!一夏は戦っているのに、私だけその様子を見ていられる訳が無いだろう!」

「専用機を持たないお前が来ても、ただお荷物なだけだ。お前は避難した一般生徒と何ら変わらない。その事を忘れるな。」

「でも、一夏が・・・・」

「いいか。今でこそISは軍事利用が禁止され、アラスカ条約が制定されて正式にスポーツと成り下がっているが、こいつはとんでもない兵器だ。1機のISが一国の軍事レベルに匹敵するのは知ってるだろ?」

「む、むう・・・・」

 

俺に片っ端から否定されて押し黙る篠ノ之箒。

どうにかして反論しようと言葉を探すが、全く出てこない。

それも当然、正論を言っているのは俺の方なのだ。

篠ノ之箒はただ自分の我が儘を押し通そうとしているだけだ。

 

「別に、お前が取るに足らないと言っているわけじゃない。ただ、今出てくれば敵のISの格好の的だ。わかるな?」

「ああ・・・・・」

 

渋々と頷く篠ノ之箒。

感情的になると途端に周りが見えなくなるようだが、物わかりは悪くないみたいだ。

良くも無いようだが。

 

「それで、今の一夏達の状況は?通信の機能が使えなくなって連絡が取れない。」

「ふむ。そうか。一夏が先程、訳の分からないISの右腕を切り落とした所だ。まだISは動いていたが、セシリアが止めを刺した。その後はあの通り煙が出てきて私にも何がどうなったかは知らん。」

「なるほどな。だが動きが止まったからと言ってまだ安全とは言えない。お前は下がってろ。」

 

そう言って篠ノ之箒をピットの前方から遠ざける。

そのまま俺はアリーナへ飛び立つためにピットから飛び降りようとしたが、一瞬躊躇い篠ノ之箒へと目線を向けた。

ISを起動しないのかと不思議そうにこちらを見つめる篠ノ之箒に、俺は問いかける。

 

「篠ノ之箒。お前は、自分に足りないものはなんだと思う?」

「?そんなもの、力に決まっているだろう。」

 

それが当たり前だと言うように答える篠ノ之箒。

何故この男はそんなに分かりきった質問をするのだろうかと思っているのだろう。

 

「いや違うな。お前に足りないのは冷静に考えることだ。客観的に自分を見つめ直してみろ。」

「自分を・・・・・見つめ直す?」

「そうだ。そうすれば、なにか変わるかも知れないぜ。」

 

篠ノ之箒は、俺が何を言っているのかわからないという表情をしていた。

今はそれでも良いだろう。段々と変えていけばいいさ。

これはただの、俺のお節介だ。

この忠告を活かすか殺すかはそれこそ篠ノ之箒次第だ。

そして、俺は一番言っておきたかった事を口に出す。

 

「それに、お前には力は無くとも、力を手に入れる手段はあるだろ?」

「なっ・・・・それは・・・・・」

「ま、これは自分自身と話し合って決める事だな。」

 

最後にそれだけ言い残し、俺はピットから助走をつけて飛び降りた。

後ろから篠ノ之箒の驚いた声が聞こえたが無視をする。

ピットから地面までは十何メートルくらいあるからな。

普通の人間が生身で落ちれば即死モノだ。

 

壊さない程度に床を蹴り飛ばして上昇していたが、それがいつまでも続く事はなく勢いが削がれた。

勿論俺の体は重力に従って下へ下へと落ちていく。

落下している間、風の音が耳をくすぐる。

落ちているだけなのだが、まるで自分が空を飛んでいるかのように錯覚する。

景色は全く変わっていないが冷たい風が頬を撫でるこの感覚は、ISで飛行する時と一緒だ。

 

俺の体が落下し着る前に、夜桜を展開する。

そして推進装置を起動して空へと飛び上がった。

そのままくるくると回転してコークスクリューを決めて加速する。

 

『漣夏さま。そういう行為はお控えください。』

「そういう行為って?」

『生身のまま落下するという危険極まりない行為のことです。』

「ISがあるんだから、別に危険な事じゃないだろ。」

『危険ですよ!』

「大丈夫だって。もし仮にお前が起動しなかったとしても、俺は生身のまま着地できるから。」

『で、ですが、もしも・・・・』

「もしなんて無い。お前が起動しないなんて事も無いだろ?」

『勿論です。私を必要に駆られた時には、如何なる時でも喜んでこの身を差し出しましょう。』

「そいつは良かった。さ、一夏達に合流するぞ。」

 

話を逸らされた事をあからさまな不機嫌で示しながら、一夏たちの位置を探ってくれる黒狐。

爆発の時の黒い煙が邪魔して、何がどこにいるかが全くわからないのだ。

このアリーナ内には、俺の夜桜を含めなければIS反応が全部で3つあるようだ。

勿論、無人機がそのうちの一つで、残りは一夏とツインテールだ。

 

「どの反応が無人機かわかるか?」

『妨害電波が張り巡らされているため、そこまでは把握できません。ですが、どの反応が甲龍の物かは推測できます。』

「わかった。じゃ、甲龍までの案内を頼む。」

『かしこまりました。この場所から2時の方向へ37メートル付近です。』

「把握した・・・・ッ!」

 

夜桜をブーストして加速する。

それでも、まだこの機体の最高速度の半分にも達していない。

 

『わっ!?何よ、漣夏?いきなり飛び出してくるから、びっくりしたじゃない。もう少しで衝撃砲を撃っちゃうところだったわよ。』

『元気そうで何よりだ、ツインテール。ところで一夏はどこへ行ったんだ?』

『さあ。途中でセシリアが砲撃した時に流れ弾が当たらないように退避してたから、まだどこかにいるとは思うけど・・・・・・プライベートチャンネルを繋げようとしても、エラーが出て上手く接続出来ないのよね。』

 

そう言いながらツインテールが俺にエラー表示を見せる。

別に疑ってるわけじゃないんだけどな。

 

『この辺りに妨害電波が流れているみたいだ。近いIS同士だと繋がるみたいだから、そんなに強い電波じゃないみたいだけどな。』

『ふーん。それもあの無人機の仕業なのかしら?』

『恐らくな。それと、あのISには人が乗ってないのか?』

『そうみたいよ。一夏が腕を切り落としても、気にするどころか痛がる素振りさえ見せてなかったから。』

『そうか。』

 

俺がそう素っ気なく返すと、ツインテールが疑わしそうな顔をする。

ISに人が乗らないまま動くのは、これまでの常識じゃ有り得ない事だ。

無人機なんて発想も、最近までISの事を全く知らなかった一夏だからこそ辿り着いた仮説だ。

大体いらない先入観に囚われてこんな事思いつきもしないだろう。

 

『アンタ、やけに冷静ね。無人機なのよ?』

『黒狐を見た後で無人機なんて言われてもな。』

『・・・・言われてみれば、確かにそうね。ISが人になる事と無人で動いている事、どっちを信じるかって言われれば無人機の方がまだ信憑性があるわ。』

 

そういうことだった。

ちなみに、ISが人化したことはまだ公表されていない。

あれからそろそろ1週間が経ちそうだからもうすぐされるとは思うんだが。

 

『篠ノ之箒からはあの無人機は倒したと聞いたが、俺の夜桜には無人機のISの反応が出ている。気をつけろよ。』

『IS反応が消えてないって事は、まだ完全に壊れたわけじゃないみたいね・・・・・』

『そうだ。この煙で視界はふさがれているが、まだ無人機は動けるかもしれない。』

『こんな視界の悪い中で、あんな高エネルギーのビームを撃たれたらたまったもんじゃないわよ!?』

 

確かに煙の中でビームを無差別に撃たれれば、避けるのは至難の技だ。

今の所そんな様子はないが、完全に動きが止まってない以上気をつけておいて悪いことは無い。

 

『お前のカタパルト、確か空気砲だったよな?』

『・・・・・・もしかして、それでこの煙を吹きとばせって言うの?』

『よく分かってるじゃないか。』

 

俺がそう応えてやると、ツインテールがあからさまに嫌そうな顔をする。

 

『あたしの龍咆は、換気扇の変わりじゃないんだけど?』

『このまま絶対防御を貫かれて死にたいなら、別に俺は構わないぜ。』

『もーっ!わかったわよ、やればいいんでしょ、やればっ!』

 

ニヤニヤと笑った顔を見せれば、少し投げやり気味だが了承を取れた。

 

『でも、あの中には一夏もいるのよ?一緒に吹き飛ばしちゃう事になっちゃうけど・・・・』

『一夏のシールドエネルギーの残量はどのくらいだ?』

『おおよそ、38だと推測されます。』

『ひゃっ!?黒狐もいたの?』

『勿論です。漣夏さま居る所に私ありです。』

 

自慢なのかは知らないが、ふふんと得意げに言い放つ黒狐。

夜桜を展開させてる以上離れているなんて事は有り得ないんだけどな。

 

『その程度のエネルギー残量だと、当たれば絶対防御が発動しなくてもISが強制解除されてもおかしくは無いな。』

『あの無人機を前にして生身で姿を見せるのは、自殺行為ですよ。』

 

俺とツインテールは、少し考えて結論を出した。

 

『もし当たったとしても大丈夫だろ、どうせ一夏だしさ。』

『そうよね。どうせ一夏よね。』

『じゃ、衝撃砲最大出力だ。』

『行くわよ・・・・ッ!』

 

ドォンっと放たれた衝撃砲は、煙を周りの空気で押し出した。

今回は一夏との戦いの時のような一点集中のものではなく、広がるように全体を満遍なく押し出すように砲撃していた。

その甲斐があり、龍咆の衝撃砲は黒い煙を一瞬で吹き飛んだ。

 

煙が晴れ、グラウンドの様子がはっきりと見えるようになる。

その中央では、苦悶の表情を浮かべた一夏が無人機に首元を掴まれていた。

 

『一夏!?』

 

ツインテールは、さっきの威勢はどこへやら今度は悲痛な顔で叫んだ。

 

『無人機の左腕の武装にエネルギー充填が開始されました。現在の白式のシールドエネルギーでは、あの高出力の攻撃には耐えられません。即時に救出されるのを強く推奨します。』

 

黒狐の言葉が終わる前に、俺は飛び出していた。

夜桜の推進装置の出力を最大に上げ、スラスターからエネルギーを放出する。

そのエネルギーを再度スラスターへと吸収して圧縮。

そしてそのエネルギーを後ろへと押しやる。

そうすることで生まれた爆発的速度を利用し、加速する。

瞬時加速(イグニッション・ブースト)だ。

この機体のでは初めて使用したが、費やしたエネルギーと元々の夜桜の性能が合わさりかなりの速度を出した。

 

一瞬で音速に迫る程の速度を出した夜桜はそのまま加速していった。

無人機の左腕を狙い加速した俺は、その腕から一夏を奪い去ってそのままアリーナの壁へと激突した。

途中で地面に足を突き立てて減速しようとしたが結局は止まりきれなかった。

 

『ってぇなあ、オイ。流石にエネルギーを詰め込みすぎたか・・・・・』

 

壁にぶつかった左肩に手を当て、回して感覚を確かめて何ともないのを確認した。

瞬時加速は理論上、エネルギーを消費すればするほど速度が出る。

俺は夜桜のエネルギーを全快時の半分以上使って瞬時加速を使用した。

流石に使いすぎたのか、こんな惨状になってしまったが。

夜桜は、アリーナの中心付近からこの壁までをほぼ一瞬で移動していた。

 

「っつ、サンキュー、漣夏。助かったぜ。」

 

この衝撃からの保護で白式のエネルギーを使い果たしたのか、ISが強制解除された一夏が礼を言う。

壁にぶつかる時俺がなんとか壁側になったことで、目立った外傷は無い。

 

『一夏!漣夏!大丈夫なの!?』

『漣夏さん、お怪我は!?』

 

あの加速を見たツインテールとセシリア・オルコットが慌ててこっち側へと飛んでくる。

お前いたのな。

無人機は一夏達がしっかりとダメージを負わせていたようで、推進装置と左足、右腕が破壊されていた。

右腕を切り落としたのは一夏と言っていたな。

他はセシリア・オルコットの活躍なのだろう。

あれだけやられてまだ動けるのだから、無人機も相当厄介だな。

 

 

 

 

 




5000文字行きましたよ!
5009文字です。ギリギリね。
いきなりの1000文字アップはちょっとつらいです。
波が来れば全然大丈夫なんですが。

今回はとんでもない展開になりましたね。
無人機事件はどうやってかたがつくのでしょうか。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。