SI -Second Irregular- 作:リンク切り
「俺の方は大丈夫だぜ!」
『こっちも、なんとかな。』
グッとサムズアップをして応える一夏。
ツインテールは、その事にほっと胸を撫で下ろした。
白式のシールドエネルギーが尽きた時点で、大丈夫とはいえない気がするが。
そんな俺に、黒狐が講義の声を上げる。
『瞬時加速に100以上のエネルギーを注ぎ込んで使用する事は、あまり推奨されていません。次回からはお控えください。』
『そうだな。これからはあまり使わないようにする。』
『私が防御面において秀でていたからこそこの程度の損傷で済んでいますが、並の装甲では今の衝撃でボロボロですよ。』
『そうか。・・・・夜桜のエネルギー残量は幾らだ。』
俺の目の前にウィンドウが表示される。
夜桜のエネルギーバーには、248と表示されていた。
『瞬時加速の使用に半分程度、それ以外の消耗は衝突時の衝撃で失いました。』
思った以上に減ってはいるが、まだレッドゾーンには入っていない。
それには、壁にぶつかる時に絶対防御が発動しなかった事も理由のうちだった。
黒狐はこの程度の衝撃では俺が命にかかわる怪我を負うことはないと判断したのだろう。
その判断は正しく、絶対防御が発動していなくても俺は左肩の軽い打撲以外に怪我をしていない。
その打撲も、別段異常は無かったしな。
グラウンドを見渡してみれば、2本の線が一直線に地面をえぐっている。
その線は、無人機の付近から続いていた。
これは俺がスピードを落とそうと地面に足を突き立てたのが原因で出来ていた。
あれだけやって止まらなかったのだからかなりのスピードだったんだろうな。
実際体感スピードはかなりのものだった。
『悪い、ちょっと出力をミスった。』
『ちょっとどころじゃないでしょ、これ。』
俺の呟きにツインテールが反応する。
仕方ないだろ、夜桜で瞬時加速を使うのは初めてだったんだから。
どの程度消費すればどのくらいのスピードが出るか把握出来ていなかっただけだ。
でも、流石に半分は使いすぎたな。
黒狐の言う通り、1回の瞬時加速に100以上のシールドエネルギーを使うのは良くないらしい。
今回はその3倍程度を一気に消費した。
だが、一瞬で音速程度の速度を出し、それに耐え切る夜桜のスペックもおかしい。
黒狐に確認してもらったが、無人機に高エネルギー反応はもう出ていなかった。
と言う事は、ビームはどこか見当違いの方向へ撃たれたのだろう。
俺達は自分自身で出した轟音で発射した音さえ聞こえなかったが。
丸裸の状態の一夏をこんな所に放って置くわけにもいかないため、ツインテールへと呼びかける。
『ツインテール。お前は一夏を篠ノ之箒のいるピットまで連れていけ。』
「ちょ、ちょっと待てよ、俺は・・・・!」
まだ戦う意志がある事を伝える一夏だが、お前は白式無しでどうやって戦おうとしているんだ。
『白式が
『そうよ。あれだけのシールドエネルギーでここまで出来たのは凄いことよ?』
「・・・・・そうだな。悪い、漣夏。鈴、頼む。」
『わかったわ。』
ツインテールが一夏をむんずと掴む。
もうちょっと綺麗な体勢は無かったのか。
そのまま連れていこうとしていたが、何かに気づいたように振り返る。
『あ、でも、これからアンタ達はどうするのよ?やっぱり、あの無人機を壊すの?』
俺はツインテールから目を外し、グラウンドを見やる。
視線の先には、足を引きずってこちらへと近づく無人機がいた。
行動力は削いだものの、あいつはまだビームを撃つことが出来る。
せめて残った左腕だけでも使い物にならないようにしてやらないと危険だ。
『そうだな。セシリア・オルコット。お前はあの無人機を遠距離から攻撃。ツインテール、お前は一夏を置いたらとりあえずすぐに戻ってこい。』
『わかった。』
『わかりましたわ。』
二人が同時にひとつ頷き、それぞれ行動する。
ツインテールは一夏を抱えたままピットへと戻り、セシリア・オルコットは四機のブルー・ティアーズを操作して無人機へと攻撃する。
今度は左腕を狙って攻撃をする。
『無人機のIS反応が消失しました。撃破に成功したと考えて良いでしょう。』
『そうか。って事で、良くやった。セシリア・オルコット。』
『え、ええ・・・・・』
何故だか納得していないという様子で返事をするセシリア・オルコット。
何にせよ、これで無人機襲来事件も閉幕だな。
が、次の瞬間。
『漣夏さま!正体不明のISが2機、アリーナ上空に出現しました。』
黒狐が叫ぶと同時に、ウィンドウが開く。
そこには、「上空に正体不明のISを2機確認しました。無人機の可能性が極めて高いと思われます」と書かれている。
喋って伝えるか表示するか、どっちかでいいと思うんだが。
それよりも、この2機のISだ。
こんなものは原作で出てこない。
篠ノ之束が何らかの目的があり増やしたのだろう。
『漣夏さん!?そちらの、漣夏さんを様付けで呼んでらっしゃる方は誰ですの!?』
『そんな事はどうでもいい!!今はあのISが先だ!』
セシリア・オルコットの糾弾を無視して叫ぶ。
そう言えば、まだ黒狐の事はこいつにも話していなかったな。
黒狐の声は連携を取りやすくするためにプライベートチャンネルで流れるようにする事が出来る。
その設定を最初から切っておけば良かったんだが、今はそんな暇はなかった。
幸い一夏は早々に白式がエネルギー切れを起こしたから聞こえていなかったようだが。
『・・・・・むう、わかりましたわ。』
不満を顕にしながらも、そんな事を言っている場合ではないため無理矢理納得する。
セシリア・オルコットの耳には、これまで誰かわからない声が通信で聞こえて来ていた。
その事が密かに気になっていたが、異常事態であるために空気を読んで何も言わなかった。
だが、自分の慕う相手を様付けで呼んでいることだけは見過ごせなかった。
何よりも、様付けで呼ぶのを許可されている事が気に食わない。
自分も彼を様付けで呼ぶ事が出来れば、どれだけ素敵なことだろう。
『私の紹介は、後ほど。それよりも、あちらに注意してください。』
上空に目をやると、黒狐の言う通りISが2機アリーナの上空を浮遊していた。
その二つのIS同士は同じ形をしているものの、今しがた破壊した無人機とは形状が異なるものだった。
ただ、その造形には似通ったものがる。
この3機のISが同じ作者に作られているという事は想像に難くない。
『皆さん、聞こえますか!?』
突然
スピーカーからは声が出ていないので、専用機の間だけでの通信にしているのだろう。
『先程カメラの映像が全て復帰したので、通信回線も直っている可能性が高いという事で繋げてみたんですが、直っていたみたいですね。』
『
『そのようですね。』
どうやら電波の発生源はこっちの無人機だったようだ。
動けなくなると同時に故障するか停止するかしたのだろう。
何にせよ、司令室との連絡が取れるようになったのは嬉しい誤算だ。
この話を聞いていたであろうツインテールからも声が届いた。
『って事は、私の声も聞こえてるの?』
『聞こえてますわよ。』
『良かった、これで連携が取りやすくなったわね。』
『そうだな。』
ツインテールが、ピットから手を振ったのが見える。
一夏は無事に届けることが出来たようだ。
『それよりも。相手方はまだまだやる気みたいだ。増援が来てるぜ。』
『ええ、そうみたいね。』
2機のISは、最初の無人機が壊した遮断シールドの部分からアリーナ内に侵入して来た。
その無人機は、こちらの様子を伺うように空中へ留まった。
『ISがもう2機!?織斑先生、システムクラッキングはまだ終了していないんですか!?』
『まだだ。そう簡単に蹴破れるほど、この学園のシステムは軟弱ではない。』
山田教諭の声に不機嫌そうに応える織斑千冬。
この無人機襲来事件では、IS学園の厳重な警備体制が逆に篠ノ之束に利用されてしまっている。
アリーナに張られている遮断シールドだが、本来アリーナからの流れ弾から客席を守る意図のものだ。
しかし今回は逆に外からの侵入を阻む無敵の盾になってしまっていた。
強度もレベル4に引き上げられ、わかる人物が見れば卒倒する程急激にシールドへエネルギーを消費していた。
『でも、このままでは乃至君たちが・・・・!!』
『わかっている。今現在も、3年生に協力を仰いでシステムの解除を手伝ってもらっている所だ。』
落ち着きのない織斑千冬も珍しい。
俺は会話の流れを無視して、敵のISが動く前に確認をとった。
『って事は、まだ俺達が相手してやらないといけないって事だよな?』
『ダメですよ!?1機でも危ないのに、2機を相手にするなんて!』
『生徒は全員避難が終了している。お前達は下がっていていい。』
『だが、どうにもあのIS、俺を標的にしているみたいだぜ。』
夜桜に表示されたウィンドウには、敵IS2機に同時にロックされている事実が書かれていた。
このまま俺がピットへ避難すれば、こいつらも一緒に引っ張ってくる事になるだろう。
完全にMPKだな。
『俺が狙われているなら丁度いい。このままタゲを取りつつ撃破する。』
『無理ですよ、そんな!』
『それが一番わかり易くて簡単だ。だろ?』
『ですが・・・・・』
『まあ、夜桜の操縦もしっかりと出来るようになってきた事だし、そろそろ肩慣らしって所だな。』
そう軽口を叩く俺に、セシリア・オルコットが話しかける。
『漣夏さん、擁護射撃は・・・・・』
『いらないね。どうせ大した精度も威力もない擁護なんて邪魔になるだけだ。』
『・・・・そうですか・・・・・』
悲しげな声とともに目を逸らすセシリア・オルコット。
セシリア・オルコットは、織斑千冬の言う通り他勢力の側に入るとデメリットが多い。
まず、ビーム兵器は味方にも攻撃が当たりやすいのがひとつ。
一夏との操縦訓練という名の袋叩きをした時にも、それは顕著に現れた。
山田教諭くらい射撃の腕が上手ければ、また違っただろうが。
これだけで充分なデメリットと言える。
だが、それはただの建前だ。
俺の本音は、「自分の獲物を取られたくない」。ただそれだけだ。
今回は自重しようと思っていたが、気が変わった。
あっちから来てくれるなら、遠慮はいらねえよな?
俺は会話が終わるまで律儀に待っている2機の無人機へと向き直る。
『待たせたな、お前ら。早速、始めようぜ。』
『ちょっと漣夏!まさかアンタ、1人で戦おうとしてるんじゃないでしょうね!?』
『そのまさかだ。お前が来てもどうにもならない。』
『そんなわけないでしょ!私は代表候補生なのよっ!』
『自信を持つのはいいが、過信は感心しないな、ツインテール。ちゃんと相手と自分の実力を考えてみろ。』
『・・・・・何よ。私が人の入っていないISなんかに負けるって言うの?』
『だからお前は一夏に負けんだよ。』
『どういう意味よ!?』
『相手のISを見てみろ。さっきの無人機とは違うだろ。』
『違うけど・・・・・それがどうしたって言うのよ。』
『違うのは外見だけじゃない。お前じゃ相手にもならないって言ってるんだ。いいか、お前は手を出すな。』
『む・・・・・・』
納得いかずに押し黙るツインテール。
そこまで言われるとは思っていなかったのだ。
『あの無人機はずっと俺の事をロックしている。お前らがいるのにも関わらずな。あのISの目的は、元々俺だけだってことだろ。』
篠ノ之束が寄越した無人機だ。
俺の実力を図りたいのか、殺したいのかはわからない。
いや、殺すならこんなあからさまで白々しい機械は使わないか。
となると残りの一つだな。
俺は、俺をどこかから見ているであろう篠ノ之束と、ツインテールを含めた専用機持ちへ聞こえるように叫んだ。
『よく見てな。これが自称世界最強の操縦技術だ・・・・・ッ!!』
俺は夜桜のスラスターを起動する。
そして推進装置を加速させて2機の無人機へと突っ込んだ。
最近作文の力がどんどんと落ちています。
なんでだろ。
とりあえず、まずは5000字には届きませんでした。
やっぱり私には4000字がちょうどいいのかな?
そして、最初から決めていた漣夏くんの1on2。
理由作りは多少強引な気がしなくもないですが、まあご都合主義だよなー、とか思いながらかるーく読んでください......
思った以上に不自然になりましたが、大丈夫.....なんでしょうか。
最後に、無人機戦今回で終わるとか言ってましたが嘘です。
嘘乙!