SI -Second Irregular-   作:リンク切り

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決着という題名が第1章にある題名と被っていたので変更しました。
見落としていましたね。


乾杯

 

 

 

 

 

「なあ箒。あれって、ちょっとおかしくないか?」

 

俺は、咄嗟に隣にいた箒に話しかける。

無人機から違和感のようなものを感じたのだ。

 

「ああ、確かにおかしい。2機のISの攻撃を、あんなにうまく躱せるものなのか・・・・?」

 

ところが、箒は俺が思っていたこととは全く見当違いの事に驚いていた。

いや、確かに漣夏のあのISの操作技術は凄いとは思うが。

 

「そうじゃなくてさ。無人機の動きの事だよ。」

「無人機の動き?それがどうかしたのか?」

「なんて言うか、さっきの無人機は機械っぽさが色んなところから滲み出てたんだけど、この2機のISはそれが全くないんだよな。」

 

俺の指摘を聞き、慌てて無人機を改めて観察する箒。

 

「え、あ、ああ、確かに、そうかもしれないが・・・・・」

「だろ?」

 

箒はそれがどうしたというのだ、という風に不思議がる。

新しく来た2機のISには、人が乗っている時と同じような攻撃の意思を感じる。

だが、あれは無人機だ。

最初は気付かなかったが、無人機の形は一応人間の形にかたどってあるものの何処か明らかにおかしい部分がある。

それに、自分の防御のことを全く考えていない。

攻撃が来たら躱す。それはさっきの無人機とは変わらない。

だが、新しい方のISは無人機なのに機械じみてない。

まるで、

 

「まるで誰かが後ろで操っているような・・・・・・」

「何か言ったか?一夏。」

「いや、別に・・・・・」

 

白式が解除されたため、一夏は通信回線には入っていない。

一夏の呟きは、誰にも聞かれずに風に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤハハハハ!良いねえ!もっと上げてくぞコラァ!!」

 

無人機の首を掴み、振り回して地面へと放り投げる。

だが、地面へとぶつかる前に体勢を立て直された。

敵のISは判断が早く、正確にダメージを受け流している。

動きがぎこちなかった無人機とは違い、こちらは先ほどの無人機とは比べ物にならない程の操縦技術だった。

 

あの無人機は、操縦の下手さを強力な兵器でカバーしているような戦法だった。

だが、こちらの無人機は技術も兵器の威力も、更にはスピードもあるという性能だ。

最初の無人機と同じく武器は使っていないのだが、頭部にはビームが付いていて腕は槍の先端のような形になっている。

そこが主な攻撃手段だった。

 

「どうしたよ。まだまだ終わってないんだろ?」

「「・・・・・・」」

 

挑発をしてみるが、2機の無人機は何も反応を示さなかった。

この無人機は、最初の無人機とは違い篠ノ之束が操作していると確信できている。

もしかすれば返事が返ってくるかと思ったが、応える気は無いらしい。

 

突然、投げ飛ばした方の無人機に甲龍の空気砲が、もう一方にはブルー・ティアーズのビームが同時に飛ぶ。

無人機はそれを器用に避けて、そのまま俺に突っ込んでくる。

別に援護はいらないと言っておいたんだけどな。

素直に聞くとは、全く思っていなかったが。

 

「〜!」「〜!!」

 

遠くから2人の叫び声が聞こえる。

俺は通信回線を切断しているため、あちらの声は夜桜からは聞こえない。

本当に伝えたい事があるなら、織斑千冬がアリーナのスピーカーに繋げてでも連絡を取ろうとするだろう。

 

その間にも俺に向かって飛んできた無人機の攻撃をひらりと躱して腕を掴む。

もう一方の無人機が、俺の背後からビームを放った。

 

ハイパーセンサーで感知していたその攻撃を、身をひねるようにして最小限の動きで見切る。

本来人間の死角を突く事は有効な不意打ちの手段だ。

だが、ISの戦闘に関しては話が別だ。

ハイパーセンサーを使えば自分の機体の周りを360度視覚することが出来る。

使いこなせれば、死角からの攻撃は意味を成さない。

ツインテールのようにまだハイパーセンサーを使用するのが不慣れな操縦者なら話は別だが。

ちなみに、それが一夏に負けた敗因の1つでもあった。

 

ビームの軌道上に掴んだ無人機を置こうと引き寄せれば、すぐにビームが消え失せる。

無人機同士の連携はかなり高度なものだ。

こうして自滅させようとすれば、すぐに対応してくる。

 

俺は無人機を掴んだまま、ビームを消したもう片方の無人機に接近する。

 

「っらあ!!」

 

夜桜の足の装甲と無人機がぶつかり合う。

この回し蹴りは正面から無人機の腹に入り、防御させる暇もなく叩き落とす。

 

『漣夏さま。敵ISのうち、1機のシールドエネルギーがレッドゾーンに入りました。』

 

黒狐が報告してくる。

無人機には絶対防御が無いようで、一気にエネルギーを削るなんて事は出来なかった。

だが、強力な攻撃を受ければそれだけエネルギーを消費しているためこちらが不利ということは無かった。

 

「そいつは重畳。次はお前だッ!」

 

掴んでいた無人機を叩き落とした無人機の方へ向かって投げ飛ばした。

このままではまた飛んで逃げられてしまうため、俺は降下しながらブレードを呼び出す。

そして、出てきたブレードをそのまま振り下した。

ブレードで無人機の装甲を断とうとするも、エネルギーバリアに防がれて機体にダメージは入らない。

だが、代わりに無人機のシールドに使っているエネルギーがガリガリと削れていく。

半分は残っていたシールドエネルギーを、ブレードの刃を突き立てることで勢いよく0まで持っていく。

更にもう1本ブレードを追加して突き立てれば、無人機のエネルギーが尽きてバリアの感触がなくなる。

そのままブレードは無人機の機体に突き刺さり、装甲を突破した。

この無人機の中にもし人が入っていたとしたらまず助からないだろう。

入っていないのは確認済みだが。

 

『IS反応の消滅を確認しました。残りの敵勢力は1機のみです。』

 

黒狐の声が耳に入った。

わかってはいたが、完全に無人機のエネルギーが尽きたと報告される。

俺は無人機に突き刺さったブレードを抜き、無手だと邪魔にしかならないためバススロットへと戻す。

 

「相方はスクラップになっちまったみたいだが、そろそろ廃棄処分される覚悟は出来たか?」

「・・・・・・」

 

相変わらず無反応を貫く無人機。

反応など最初から期待していない。

1機潰れても戦意は無くならないのか、残った無人機は今まで以上に正確な構えを取った。

 

「そう来なくちゃな。こっちもやりがいが無いぜ!」

 

俺は無人機へと手を伸ばし、スラスターを全開まで上げた。

相手も俺と同じように推進装置を稼働させて前進した。

こっちの無人機はもうエネルギーがレッドゾーンに差し掛かっている。

それなのに遠距離のビームではなく近接戦闘を選んだ。

 

最後は真正面から戦いたいのだろう。

それに気づいた俺は、誠心誠意全力で、無人機を落とした。

 

 

 

 

 

 

「あーあ、負けちゃったかー。」

 

空間に浮かび上がったディスプレイだけが光源の薄暗いラボの中で、1人女性が呟いた。

 

「最初はこれで行けると思ってたんだけどな、思った以上に、れんくんが強かったよー!」

 

ぽいっと、彼女は片手に一つずつ握りしめていた()()()()()()()()()()()()を後方へと投げ捨てる。

足元にもレバーのようなものが二つあり、両足でそれぞれ動かせる事が出来るようになっていた。

 

くるくると回るタイプの椅子を回しながらディスプレイに向き直ると、そこには今しがた無人機を破壊し終えた男が映されていた。

その男は無人機を一瞥すると、踵を返して仲間の元へと飛んでいった。

それを確認した後、ラボ内の彼女、篠ノ之束は、キーボードを操作して作業を始めた。

それと同時に、IS学園のシステムの制御が元に戻る。

こんな短時間で世界でも一、二を争うほどプロテクトのかかっているIS学園のプログラムを操作する人物はそうそういない。

 

「君は何者なのかな?束さんはその事が気になっちゃうな。」

 

全ての記録を漁っても、彼に関する情報は一定数以外出てこない。

その情報も、全てが当たり障りのないものばかりだった。

出生、入園、予防接種、学校卒業。

そんな必ず通るであろう情報以外はどれだけ探っても出てこない。

買い物や保険、病気の記録というような存在していない方が珍しい情報もだ。

消されたというより、()()()()()()()()と思う方が筋が通る。

それだけに、存在している情報も偽りのものである可能性は大きい。

彼がこの世に存在していたこと自体が嘘のような、この違和感。

 

「もし仮に、君が神様か何かの類いだったとしても、私は驚かないよ。」

 

ボソリと呟いたその声は、部屋の扉が開く音にかき消された。

 

「束さま。お料理が出来ましたよ。」

「あー、本当!?食べる食べる!ちょーっと待っててね、今片付けるから、っと!」

 

扉を開けたのは、銀髪の少女だった。

まるで盲目かのように目を瞑り、篠ノ之束へと呼びかける。

呼ばれた彼女は、とある少年を表示させていたディスプレイを閉じて応じた。

 

「その方は、前に仰られていた?」

 

目を瞑っているはずの少女は、ディスプレイの内容が見えていたかのように問いかけた。

 

「そだよ。れんくん。IS学園の1年生で、いっくんのお友達だよ。」

「・・・・・勝敗は?」

「私の完敗だねー。こんな事なら、もうちょっと上位の機体を出しておけば良かったよ。私の攻撃を全部見切ってるみたいに躱して、何回かしか攻撃も通してくれなかったんだよ。」

 

先程の熱戦を思い出すかのように、嬉しそうな顔で語り始める篠ノ之束。

それを銀髪の少女が窘める。

 

「その続きは、テーブルでお聞きしましょう。せっかくのお料理が冷めてしまいますよ。」

「そうだね、そうだね!ごめんねくーちゃん。よし、それじゃあテーブルへれっつごー!」

 

部屋から走り出す彼女を追いかける、くーちゃんと呼ばれた少女。

 

「完敗したから、今日は乾杯だーっ!」

「そうしましょう。」

 

部屋には、投げ出されたコントローラーが寂しく転がっていた。

 

 

 

 

 




あー、文字数!少ない。
そして描写!下手でした。
それからエイプリルフール!投稿日がですね。

エイプリルフールといえば嘘ですが、
嘘といえば、あのブロンド男装くんですよね。
ええ、こじつけです。わかりますよ。
なんでも、そろそろ登場してくれるみたいですよ。

新たに加わるヒロインとは、一体何ロットさんなんでしょうか......!?
オルコットさんじゃないです。ちょっと似てる。
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