SI -Second Irregular-   作:リンク切り

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予定文字数を1500文字ほどオーバーしてしまいました。
でも、短いよりは長い方がいいよね。


傲慢

 

 

 

「ちょっとよろしくて?」

「ん?」

 

次の休憩時間。

俺が一夏を誘ってブラックジャックをしていた時の事だ。

ちなみにブラックジャックとはトランプゲームの一種で、カジノなどでよく使われる。

学園にトランプを持ってきているとか、そういうツッコミはいらない。

 

「まあ!何ですのそのお返事!?(わたくし)に話しかけられるだけでも光栄な事なのですから、それ相応の態度というものがあるのではなくて?」

「でも、俺はお前のこと知らないし。」

「あれ、一夏は知らないのか。これはセシリア・オルコットと言ってだな。

イギリスから来日した代表候補生の1人だ。」

 

勿論、この世界ではコイツの事なんて聞いたことはない。

原作知識で知っていることを並べただけだ。

と言っても、名前と国、代表候補生って事しか知らないけど。

 

「そちらの方は私のことをご存知のようですわね。改めて自己紹介させていただきますわ。イギリスの代表候補生にして入試主席、セシリアオルコットですわ。」

「なあ漣夏、代表候補生ってなんだ?」

「私の話を聞いてますの!?それに、信じられませんわ!日本の男性というものはこうも知識に乏しいものなのかしら。常識ですわよ、常識!」

「俺は漣夏に聞いてるんだが・・・・・」

 

さすがにこの言われようは黙ってられないな。

一夏はともかくとして、俺まで侮辱の対象に巻き込まれるのは御免だね。

ここは一夏に応戦してやろう。

 

「悪いな。一夏はここにいる奴らとは違ってISについては初心者なんだ。代表候補生のお前の常識を引き合いに出されても困る。」

「そ、それでも、代表候補生の意味くらい知って然るべきですわ!」

「それで一夏。代表候補生っていうのは、国家代表IS操縦者の、その候補生の事だ。

つまり、世界大会(モンドグロッソ)出場者の補欠って感じだ。」

「なるほどな。エリートってことか。」

「エリートはエリートでも、国家代表になれなかった落ちこぼれエリートだけどな。」

「あ、あなたたち!黙って聞いていれば・・・・・・」

「ハイ、一夏バスト〜〜〜!!!!!」

「またか・・・・・簡単だと思ってたけど、難しいんだなブラックジャックって。」

 

バストとは、なってしまうと一発で負けてしまうブラックジャックの用語だ。

俺たちは最初からブラックジャックをしているのだ。

邪魔は良くないぜ、セシリア・オルコット。

 

「聞いてるんですの!?」

「聞いてるさ。それで、アメンボがどうしたって?」

「そんな話はしていませんわ!やっぱり聞いてないじゃありませんの!」

 

こいつ、なんだか一周回って面白いな。

ツッコミ要因か?

 

「エリートがどうしたって?」

「そう、エリートなのですわ!本来なら、(わたくし)のような選ばれた人間とクラスを共にする事だけでも奇跡、幸運なのよ!」

「そうは言うけどエリートさんや。こちとら世界に2人しか居ない男性操縦者なんだわ。その2人を目の前にして会話できるなんて、むしろお前の方が幸運だと思うのは俺だけかなあ、一夏さん?」

「確かに。俺たちは世界で2人しか居ないけど、国家代表ならまだしも代表候補生は世界中に結構な数居るんだろ?」

「な、なんてこと言いますの!?」

「そう熱くなるなよ、セシリア・オルコット。それに、全世界最強の俺に会えたんだ。お前が喜んで然るべきだぜ、落ちこぼれエリート(笑)」

「男が世界で最強?笑わせてくれますわね。貴方より私の方が強いのは確定的。なにせ、入試で唯一教官を倒した、エリート中のエリートなのですk「あれ、俺も倒したぞ?教官。」・・・・・なんですって?」

「まあ倒したっていうか、いきなり突っ込んで来たのを避けたら、壁に当たって動かなくなったんだけどな。」

「それ、倒したって言わないだろ。」

「漣夏もそう思うか?でも、一応勝ちは勝ちだろ。」

「教官を倒したのは私だけだと聞きましたわ!!」

「女子では、ってオチじゃないのか?」

「それに、正面から堂々と勝ったわけでもなさそうだしな。」

「貴方は!?まさか貴方も教官を!?」

「まあな。」

「聞いてませんわ!!」

「聞いてないのはそりゃそうだろ。俺が入試の実技試験を受けたのは今朝だ。情報が出回っていなくても不思議じゃない。」

「私だけではなく、貴方達も教官を倒したって言うの!?」

 

机をバシバシ叩いて問いただすオルコット。

やめろ、トランプが落ちるだろ。

 

「お、やったぜ20!これで勝った!スタンド!」

「まだ勝ってないだろ。次に俺の番があるからな。」

「聞いてますの!?」

「わかったわかった、だがそういう自慢は他所でやってくれ。」

 

トランプを捲りながら、反対側の手で蚊を払うように"あっち行け"のハンドサインを送る。

 

「なんて失礼なの貴方!?」

「ま、でも、織斑千冬(ブリュンヒルデ)に勝てるなんて、代表候補生も言うほど弱くはないんだな。ほら、21だ。」

「また負けた!?」

「ぶ、ブリュンヒルデ・・・・?どういうことかしら?」

「あれ?お前らの模擬戦の相手、織斑千冬じゃあなかったのか?」

 

にやり、と挑発するかのように笑ってみせる。

模擬戦の相手が織斑千冬なのが俺だけだというのは、勿論知っている。

 

「貴方、あの織斑千冬を倒したって言うの!?」

「ああ、言うつもりだし事実そうだ。お互いに全力じゃなかったけどな。で、お前はどうなんだ?」

「わ、私は・・・・私は!!」

 

 

キコーンカコーン

 

 

この学園のチャイムって、なんだか不規則なんだよな。

普通にキーンコーンカーンコーンでいいと思う。

おっと、トランプ片付けないと。

 

「お話の続きはまた改めて!よろしいですわね!?」

 

ビシッとこちらに指さして宣言する金髪。

 

「よろしくないでーす」

「なんですって!?」

 

 

スパーン!

 

 

「チャイムが聞こえなかったか?席につけオルコット。」

「わ、わかりました・・・・・」

「それと乃至。あまり問題を起こすなよ?」

「ヤハハハハ!どうしても避けては通れない厄介事っていうものはあるんだぜ!」

「・・・・・・程々にしておけよ。」

 

一夏は俺が織斑千冬への言葉遣いを聞いて顔を青くしたが、彼女が怒らないと驚いていた。

 

「大丈夫だった?乃至くん。」

「ああ、返り討ちにしてやったぜ。」

「そこ、私語は慎め!」

 

 

 

そして放課後まで何事も無く進んだ。

一夏は勉強が出来ないというわけではないようで、他の学校よりも早く進んでいるだろう通常の授業内容にしっかりとついて行っていた。

ISの授業は、本当に知識が無かったから分からなかっただけのようだ。

 

俺?

そりゃあもちろん、トランプをしながらでも理解できたし、ISの事以外はもう知っていることばっかりだったしな。

流石に授業中にトランプなんてしようものなら没収どころでは済まない所だが、ちゃんと授業が理解できるならいいと織斑千冬の言質をとった。

頭を押さえて溜息をついてはいたが。

 

さて、放課後まで飛んだということは、放課後にイベントが起きたという事だ。

何が起こったのかというと、

 

 

「本当にトランプしながら授業受けてたのか?」

「1人で出来るトランプのゲームもあるんだぜ。ソリティアと言ってだな、有名なところではフリーセルとかオススメだ。あれはルールも単純で分かり易い。」

「勧めてくれるのは有難いけど、俺は授業中にトランプが出来るほどの余裕はないぞ。」

「それもそうか。」

 

授業が終わり、教室で雑談を始めてかれこれ十数分。

なぜ俺達がこうして放課後に教室で暇を潰してるかと言えば、だ。

 

「お待たせしました!」

 

教室の外に出待ちよろしく押しかけている生徒の人垣を割きながら、教室に入ってくる教師が1人。

緑の髪で眼鏡をかけた彼女は山田真耶教員だ。

 

「・・・・・・スイカ?」

「いや、メロンだろ、一夏。」

「?なんの話ですか?」

「な、何でもないです!それより、何か俺たちに用があったんですよね?」

「そうでした!」

 

彼女は慌てて自分のポケットをまさぐり、何かを取り出して俺たちへと差し出した。

 

「これが、乃至くんと一夏くんの部屋の鍵です。」

 

渡されたのは、彼女の言う通り寮の部屋の鍵だった。

俺には1030、一夏には1025と書かれたタグのようなものがついていた。

 

「あれ?最初の一週間は、自宅通学って聞いてたんですけど・・・・」

「最初はその予定たったんですが、急に予定が変更されて初日から寮生活してもらうことになりました。」

「そうなんですか?何でだ?」

「さあ・・・私も、そう言う事に決まったとしか聞いてないんです・・・・・・」

 

ごめんなさいごめんなさいと謝る彼女を一夏が宥める。何してるんだ。

というか、

 

「本当にわからないのか?」

「漣夏はなにか知ってるのか?」

 

もう、コイツは・・・・

 

「ここでクイズをしよう。」

「なんだよ急に・・・・・」

「まあ聞け、そして答えろ。第一に、俺たちがIS学園に入学させられたのは何故だ?」

「それは、ISが動かせるからだろ。」

 

訝しがりながらも答える一夏。

いやまあ確かにそうなんだが、その答えは満点じゃない。

 

「それは大前提だろうが。IS学園はただISが動かせるだけの生徒を入学させたりはしないだろ。入試で選出された一握りだけが生徒になれる。」

「でも、適正ランクが高ければ入学できるだろ?俺はBだったぞ。」

 

適正ランクとは、ISとの適合率をランク分けしたものだ。

SからD、そして圏外があり、Sランクが織斑千冬のような世界一になれるような素質がある。

Aはかなりのもの、Bは優秀、Cになってくると一般レベル、Dでは落ちこぼれ。

そして最後の圏外は、全く反応しない、つまり男性の殆どが圏外という事だ。

IS学園に入学できるのは、適正ランクB以上というのが条件の1つになっている。例外はあるがな。

ちなみに、イギリスの代表候補生なセシリア・オルコットはランクA+だ。

 

「俺はCだぞ。他の理由があるんだよ。」

「男だからとか?」

「だからそう言う事じゃないんだよ。」

「・・・・・身柄の保護のため、ですか?」

 

おずおずと言ったように、ぼそりと呟く山田真耶教員。

もっと答えに自信を持ってもいいんだぜ。

 

「そう、俺が言いたかったのはそう言う事だ。こんなんでも流石はIS学園の教員だな。」

「こんなんでも・・・・・」

 

落ち込む彼女を宥める一夏。

だから何してんだよお前らは。

こっちを非難したような目で見るな、不可抗力だ。

 

「身柄の保護、つまりは保身のためという訳だ。」

「でも、保身って言ったって、何から身を守るんだよ。」

「お前、今の状況が全く理解できてないな?世界は広いんだ。俺たちを解剖したりしてでも、男がISに乗る研究をしたいって言うマッドなサイエンティストがいてもおかしくはないだろ?」

「・・・・それは怖いが、どうでもいいけど漣夏がさっき言った世界は広いんだが世界はヒロインだに聞こえた。」

「何を考えてるんだ。お前のために話してるんだぞ?」

「悪い。でも、IS学園に入学したとしても身の保証はないと思うんだけど・・・・・」

「IS学園特記事項第22項。『本学園における生徒はその在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない。本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする。』つまり、この学園にいればそういう怪しい奴らは寄りついて来れないって事だ。」

「・・・・・それも覚えたのか?」

「当たり前だ。そして第二に。何故俺たちは同じ、それも織斑千冬が担任のクラスに入れられた?」

「それは偶然だろ?」

「そうか?この学園の一年生での中で、俺にお前、そして織斑千冬。ついでに篠ノ之箒は世界的にも注目されている人物だ。その全員が同じクラスなのが偶然というのは少し無理がないか?」

「・・・・言われてみれば、箒もなんだよな。」

「そうだ。1年生のクラスは全部で6クラスある。クラス分けが完全なランダムだったと仮定すると、俺と一夏、篠ノ之箒が1組の担任の織斑千冬のクラスになるだけで6×(かける)6×(かける)6分の1の確率だからな。」

「俺たちが千冬姉のクラスになったのには、何か理由があるって事か?」

「そうだ。わかるか?」

「・・・・・・仲がいいから、とか?」

「そんな訳あるか馬鹿。答えは保身のためだ。」

「またか?」

「ああ。IS学園特記事項があったとしても、俺たちは世界中で有名なんだ。無理やり誘拐してでもって奴がいないとも限らない。そこで担任に織斑千冬を付けて護衛、更にそういう組織を牽制していると言う訳だ。」

「そんな理由があったんですね・・・・・」

 

お前は教師だろ、ちゃんと把握しておけよ。

 

「さて。ここまで来ればわかるだろう。何故自宅から通うのではなく、寮暮らしなのか。」

「・・・・・それも保身のため、か?」

「そうだ。折角ここまでして学園で守っているのに、通学なんてしたら登校あるいは下校時に誘拐されてしまう可能性が出てくる訳だ。だから早めに寮に入れておきたかったんだろう。IS学園が完全寮制度なのも、そういう事が理由なんだろうな。」

「「「へぇ〜」」」

 

聞き耳を立てていたクラスメイト達が、驚嘆の声をあげる。

お前ら帰ってなかったのかよ。

授業が終わってすぐに出ていった奴もいたが、まだ教室には半数くらいは残っていた。

ちなみに、篠ノ之箒とセシリア・オルコットはいなかった。

 

「凄いな、漣夏って名探偵〇ナンか?」

「そんな名推理はしていない。それに、こんな所にコ〇ンがいたら今頃寮には死体が転がってるだろうな。」

「お、おい、それフラグだぞ!?」

「フラグじゃねえよ。」

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