SI -Second Irregular- 作:リンク切り
「おい、苹果。」
「ん・・・・?」
「苹果?おい、苹果。」
「あと、5分待って、お母さん・・・・・」
お約束を口走る苹果。これじゃどうせきりが無いな。
ほっぺの両端をぐいぐい引っ張る。
「苹果、そろそろ起きないと遅れるぞ。」
「い、痛い痛い・・・・酷いよお母さん・・・・・」
俺の手を押し退け、頬をさする。そして猫のように目元を擦り、目を開けた。
「おはよう、苹果。俺がお母さんに見えるか?」
「・・・・・乃至くん?」
「いや、
「う、うん、おはよう・・・・」
赤くなった頬を、布団を鼻まで引っ張って隠す苹果。
頬が赤いのは俺が引っ張った事もあるだろうが、まず恥ずかしいのだろう。
「寝てる暇はないぞ、苹果。そろそろ朝食を食べておかないと授業に遅れるぞ。」
「え?・・・・も、もうこんな時間!?食堂に行かなきゃ!」
「食堂には行かなくてもいいぞ。あそこ。」
部屋の端にある机を指差す。そこには、俺が食堂から貰ってきた苹果の分の朝食が置いてある。
「ど、どうしてここに・・・・・・」
「聞けば、食堂のご飯は部屋に持ち帰って食べてもいいらしいからな。一夏が朝食を誘いに来た時、まだ苹果は寝てたから起こしちゃ悪いと思って先に行かせて貰ったんだ。その後に持って帰ってきた。」
「そうなんだ・・・・ありがとう、漣夏くん。」
「それはいいが、急いだ方がいいぞ?遅刻しそうな時間じゃないが、ゆっくりできるほどの時間が残ってる訳でもないからな。俺は先に教室に行くから、苹果も遅れずに来いよ?」
「う、うん!」
そして教室。
まだ時間ではないものの、多くの生徒が教室に揃っていた。割合として8割程か。
その中には、我らが男子織斑一夏もいた。
「よう、一夏。と、篠ノ之箒。朝食ぶりだな。」
「おう、おはよう。」
「ああ。それと、箒でいい。苗字の方はあまり好きじゃない。」
「そうかなのか?俺としてはフルネームの方が呼びやすいんだが。」
「好きなように呼んでくれて構わないが、苗字はやめてくれ。」
「そんなに嫌なのか?わかったぜモッピー。」
「も、モッピー・・・・?」
「好きなように呼んでいいんだろ?以後よろしくな、モッピー。」
「・・・・あまりいい気分のしないあだ名だな。それならまだ篠ノ之箒の方がいい。」
「ヤハハハ!そうか?呼ばれてるうちに慣れると思うぜ。」
「勘弁してくれ・・・・・・」
「わかった。篠ノ之箒。これで保留だ。」
「納得はしていないが、それでいい。」
「そいつはよかった。
ああ、それと、誰か録音機能のある機械を持ってないか?ボイスレコーダーとか。何なら動画の録画機能でもいい。」
確か、例のアレはこの後のはずだ。奴には自分の立場をちょっとわからせてやらないとな。ちょっと教育してやろう。
そして俺の呼びかけには、左隣から声が上がる。鏡ナギか。
「スマホならあるけど、これでいいかな?」
「ああ、十分だ。ちょっと貸してくれないか?1時間目くらいまで。」
「いいけど・・・・・何に使うの?」
「ちょっとな。」
差し出されたスマホを受け取る。そのスマホには、女の子らしい花柄のカバーが付いていた。
「あれ、それWePhoneか?俺もWePhone派だぜ。」
「織斑くんも?いいよね、バナナ社。」
「ああ。WeClusterの写真共有機能とか凄いよな!因みに、何のキャリアを使ってるんだ?」
「私は
「俺はMTTイツモだな。」
この世界の携帯の話はわからん。盛り上がってるようだから放っておくか。
そして2、30分程たち、ホームルームになった。
ちなみに苹果はちゃんと5分前に席へ着き、出席簿アタックを受けずに済んでいた。
「これより、再来週行われるクラス対抗戦に出場する代表者を決める。クラス対抗戦とは、その名の通りクラスごとの代表者によるリーグマッチの事だ。本格的なISの学習をする前の実力指標の作成を主な目的として行う。自薦他薦は問わない。誰かいないか。」
「俺が出る。こんな面白そうなこと、見逃すわけには行かないからな。」
「ふむ。乃至以外は、誰かいないか?」
「はい!織斑くんを推薦します!」
「えっ!?」
「私もそれがいいと思います!」
おおよそ原作通りの展開になったな。だが一夏、クラス対抗戦に出るのは俺だ。
まあ、面白そうって言うのが理由の半分以上を占めている訳だが。
「俺!?」
「お前以外に、このクラスに織斑くんが居るなら人違いだろうな。」
「絶対俺じゃないか!」
「そりゃそうだ。で、どうする?」
「どうする、って?」
「そりゃあクラス対抗戦に出場する代表者の決め方さ。じゃんけんでもするか?」
「そんな雑な決め方でいいのかよ!?じゃなくてだな、俺はいいから漣夏が代表に・・・・・・・」
バンッ!!
「納得がいきませんわ!!!」
ピッ
机を叩き、立ち上がる女子生徒が1人。
そう。お察しの通りお待ちかね、セシリア・オルコットだ。
「そのような選出は認められません!!男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!
このセシリア・オルコットに、そのような屈辱を1年間味わえと仰るのですか!?
実力からすれば、
それを物珍しいからと言う理由で、極東の猿にされては困ります!!」
一夏の表情が段々と険しくなっていく。これだけ言われて黙っているようなやつじゃないのは知っているし、事実そうだ。
原作でも、この後言い返していたな。
そしてよくもこれだけの罵倒の数々が思いつくもんだ。感心するぜ、セシリア・オルコット。
「大体!文化としても後進的な国でくらさなければならない事自体耐え難い苦痛で・・・・・!!」
「イギリスだって大したお国自慢無いだろ。世界一マズい料理で何年覇者だよ。」
「なっ!?美味しい料理はたくさんありますわ!貴方、
「先にしてきたのはそっちだろ。」
ピピッ
そして、満を持しての俺だ。
原作では誰も指摘はしないが、この時このお嬢様はとんでもない事を口走っているのだ。
そろそろ教育してやるよ。
まあ、その前に一夏を宥めるのが先だな。
「まあ待て、一夏。」
「でも漣夏、アイツは俺たちのことを・・・・・・!!」
「だから待てって。俺達が侮辱されたからって仕返すのは違うだろ?
それに、セシリア・オルコットの言う通りイギリスにも美味しい料理だってある。
どうせ行ったこともないんだろう?あまり知った口を聞くなよ。」
「だけど!」
「落ち着けって。な?」
「・・・・・わかった。」
「さて、一段落ついたところで。代表者の決め方についての話に戻ろうか。セシリア・オルコット、なにか提案があるか?」
「・・・・決闘ですわ!」
「・・・・・・ああ、いいぜ。四の五の言うより分かり易い。」
「わざと負けたら私小間使い、いえ、奴隷にしますわよ。」
「そんなことはしない。ハンデはどの位付ける?」
「あら、早速お願いかしら?」
「いや、俺がどの位付けたらいいのかなと・・・・・・」
アハハハハハ!!
教室中の女子が笑う。セシリア・オルコットなんて腹を抱えて笑っている。
この教室で笑っていないのは俺、そして一夏に篠ノ之箒、苹果、織斑千冬だけだった。
苹果は心配そうに見つめているが、織斑千冬は薄ら笑いを浮かべていた。この状況を楽しんでるな?
「織斑くん、それ本気で言ってるの?」
「男が女より強かったのって、ISが出来る前の話だよ。」
「もし男と女が戦争したら、3日と持たないって言われてるよ。」
そう、この世界では男と女のパワーバランスが著しく女の方に傾いている。
つまり女尊男卑・・・・・・分かりやすく言えば、性別差別だ。
ISの出現により、女性有利な社会の出来上がりって訳だ。
まあでも、ISが女にしか使えないと言っても女が強いという事にはならないんだけどな。
一夏と俺はISに乗れるんだから、同じ土俵には立てている訳だからこの場合は関係ないが。
「むしろ、私がハンデを付けなくていいのか迷うくらいですわ。日本の男子はジョークセンスがあるのね。」
蔑まれ、拳を震わせる一夏。ま、ここまで言われちゃあ日本男児として負けるわけには行かないわな。
「織斑くん。今からでも遅くないよ、ハンデつけて貰ったら?」
「男が一回言ったことを覆せるか。無くていい。」
「えぇ、それは流石に舐めすぎだよ・・・・・・」
「こういうのは舐めるとか舐めないとか、そういう問題じゃないんだよ。そしてよく言った、一夏。それでこそ男だ。」
「おう!」
「だが、本当にいいのか?相手は仮にも代表候補生だ。ゲーム的に言えば、Level1桁、更にはスキルも必殺技も何もない状態で中ボス、いや、四天王並の敵と戦うようなもんだ。」
「そ、そうなのか?」
「ああ。ああ見えても、アイツは専用機持ちだ。
それに、射撃もかなりの腕前だぞ?片手の数とまでは言わないが、世界で通用するくらいの腕はある。
極めつけに、女子の中では入試主席だと言うじゃないか。
勝とうと思って勝てるような相手じゃないって訳だ。
お前はそういう相手の喧嘩を買ってるんだ、わかるか?」
「ああ・・・・・・だけど、俺は負けねえ!!」
「それなら良い。この試合は男のプライドをかけた闘いだからな。絶対に負けるなよ一夏。」
「おう!負ける気なんてハナから無いぜ!」