ハイスクールD×D ~とある三雄の物語~   作:無颯

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タイトルとは違い、前半は微妙に主人公がイチャイチャしてます。これが今の私の限界です…。



では、本編をどうぞ。


修行

 

 

ライザーとのレーティングゲームが決定した日の夜。当麻は現在自分の部屋で、“ある状況”に陥っていた。それは…

 

 

「あー…ユウキさん? そろそろ放してくれるとありがたいのでせうが…」

 

 

「やっ…!」

 

 

ベッドで横になっている状態の自分の左腕に、ユウキが抱き着いたまま離れないのである。ちなみにユウキは今“フリルのあしらわれた淡い紫色のキャミソール”に“同じようなタイプのショートパンツ”という、少々大胆な恰好をしている…。どっかの赤龍帝が見たら、恐らく血涙を流しながら当麻に殴りかかってくるのは間違いないだろう…。

 

 

「いやいや、ダメですことよユウキさん? 上条さんもれっきとした男子だからな? 色々と危険が…」

 

 

「…当麻ならいいもん…////」

 

 

「…………」

 

 

何とかユウキに離れてもらおうとする当麻だったが、むしろ逆効果でユウキは更に抱き着く力を強くした。これには当麻も思わず硬直する…。

 

 

(はぁ…仕方ない、か…)

 

 

と、ここで当麻は心の中で溜息混じりに呟いたかと思うと…

 

 

「ライザー・フェニックスか?」

 

 

「………(ビクッ!)」

 

 

何度か見せている大人びた様子になり、ユウキにそう尋ねたのだ。それに対してユウキは言葉こそ発しないものの、少しばかり反応を見せる…。

 

 

「お前はああいう悪意に敏感だからな…。怖くなったか?」

 

 

「…あの人、全然ボク達のこと考えてない目をしてた…。あんな人のモノになるのなんて、絶対にやだよ…」

 

 

「…そうだろうな…」

 

 

そう話すユウキにはいつもの元気さや明るさが無く、より小さくて儚い存在となっていた。俯き気味の表情からも、不安で一杯な心情を窺い知ることが出来る…。すると、

 

 

「ねえ、当麻…」

 

 

「? どうした?」

 

 

「ん……////」

 

 

「…! ハハッ…」

 

 

ユウキは少し顔を赤くしながら、自分の頭を差し出すような形で迫ってきたのだ。それを見た当麻は早速何かに気付き……空いている右手で彼女の頭を撫で始めた…。

 

 

「~~////♪」

 

 

いつもよりも更に丁寧かつ優しく撫でられてるせいか、猫のようにふにゃっとした顔を見せるユウキ…。

 

 

(やっぱり何度見ても違うな、“戦ってる時のユウキ”と比べると…)

 

 

そんな彼女を見て、苦笑いを浮かべながらも撫で続ける当麻…。すると、その結果…

 

 

「すぅ……すぅ……」

 

 

「しまった…寝ちまったか…」

 

 

ユウキはあまりに気持ち良かったせいか、そのまま完全に眠りに就いてしまった。これには当麻も完全に“自分の失策だった”と思い…

 

 

「はぁ……」

 

 

溜息を吐かざるを得なかった…。と、その時、

 

 

「そんな所に居ないで、入ってきたらどうだ? “シノン”…」

 

 

ガチャッ…!

 

 

当麻がほんの少しボリュームを抑えた声でそう言い出したかと思うと、やや間を空けて入り口の扉が開く。やってきたのは……当麻の言った通りの人物―――“シノン”だった…。

 

 

「気付いてたのね…」

 

 

「まあな…。ユウキに気を遣ったのか?」

 

 

「気を遣ったつもりなんて無いわよ。ただちょっと入るタイミングを窺ってただけで…(ボソッ)」

 

 

「? 何だよ、タイミングって…?」

 

 

「! 何でもないわ…」

 

 

シノンはそんなやり取りをしながらも、当麻とユウキの寝ているベッドに近づいていく。ちなみに今のシノンは普段と同様黒髪のショートカットでありながらも眼鏡を外しており、恰好は“墨色のシンプルなノースリーブシャツ”に“同じ色のショートパンツ”という、少々地味なものである。まあ、露出に関してはユウキと遜色ないのだが…。そして、シノンはベッドに腰を掛けたかと思うと…

 

 

ポスッ…!

 

 

「……! シノン…?」

 

 

そのまま横になって当麻の方を向き、やや遠慮がちに当麻の右側に身を寄せたのだ。それに対し、当麻は彼女の行動に少し驚く…。

 

 

「少しだけ…このままで居させて…」

 

 

学園やオカルト研究部の面々と一緒に居る時とは違う、何処か弱弱しい声で呟くシノンの姿を見て、当麻はこう声を掛けた…。

 

 

「思い出しちまったのか? “あの時の事”を…」

 

 

「っ………!」

 

 

その一言に反応を見せるシノン。その身体は、僅かではあるものの確かに震えている…。

 

 

「きっとまた酷い顔をしてるのね、私…。もうとっくに治ったと思ってたのに…まだ残ってたなんて…」

 

 

「…………」

 

 

「ごめんなさい…もう、平気だから…」

 

 

そう言ってシノンが起き上がろうとした、その時、

 

 

スッ……

 

 

「……!」

 

 

当麻は右手でそっと彼女の左頬に触れたかと思うと、こう話し掛ける…。

 

 

「心配すんな…。お前の声はちゃんと届いてるし…“あの約束”も、一度だって忘れたことはねえ…」

 

 

「……!」

 

 

「言っただろ? “お前がどれだけ強くなっても、一生守ってやる”って…」

 

 

「っ…/////!!」

 

 

「? どうした…?」

 

 

「何でもないわよ…////。ホントに、どうしてそういうことを普通に…////(ボソッ)」

 

 

「??」

 

 

シノンが顔を真っ赤にしていたり、小声でそんなことを呟いてることにも気付いていない様子の当麻…。すると、

 

 

「はぁ…今日は何だか変に疲れちゃったから、このまま寝させてもらうわ」

 

 

「っ! シ、シノンさん? それをされると上条さんにとって色々問題なのでせうが?」

 

 

「ユウキがそうやって寝てるんだから、ほとんど変わらないでしょ。初めてって訳でもないんだし…。それに“あの人達”が帰ってきたら、日常茶飯事起こることじゃなかったかしら?」

 

 

「…はい…」

 

 

「じゃあ、慣れるためと思って受け入れなさい」

 

 

シノンはそう言って当麻をあっという間に説き伏せ、再び彼に身を寄せるような形でそのまま眠りに就いた。しかし、その直前…

 

 

「ありがとう…(ボソッ)」

 

 

シノンが小声でそんなことを呟いていることなど、久しぶりに2人の美少女に両側から挟まれて困惑している当麻には、聞こえている筈も無かった…。

 

 

 

☆☆

 

 

 

同時刻……

 

 

「…おい…」

 

 

一護もベッドに横になった状態で、“ある状況”に陥っていた。それは……

 

 

「いつの間に人のベッドに侵入してんだよ、雪菜、紗矢華…」

 

 

自身の両サイドに雪菜と紗矢華の2人が潜り込んでいたのである。ちなみに雪菜はライトグリーンのパジャマを、紗矢華は水色のパジャマをそれぞれ着ている…。

 

 

「い、いいからそのままジッとしてなさい、黒崎一護! じゃないと斬り刻むから…!!」

 

 

「何で寝てる間に勝手に侵入された挙句、脅されなくちゃなんねえんだよ…」

 

 

「その、私はただ紗矢華さんの付き添いに来ただけで…他意はありませんから…」

 

 

「人のベッドに潜り込むまで付き添うなよ…。はぁ……」

 

 

歯切れの悪い2人のそんな言葉を聞いて、溜息を吐きながら返す一護だったが…

 

 

「今日の不死鳥野郎のせいだろ?」

 

 

「「………(ピクッ!)」」

 

 

彼がそう言った瞬間、雪菜と紗矢華はあからさまな反応を見せる…。

 

 

「別に怒ったりとかしてる訳じゃねえから、そうビクビクするなよ…。お前等だって力を持ってる以外は、普通の女の子なんだ。あんなことを言われれば、普通に不安にもなるさ…」

 

 

「! 先輩…」

 

 

「あの話は一応無くなったはずだけどな…。仮にそれが嘘になっちまった所で、あんな奴にお前等を渡す気なんざ微塵もねえよ……」

 

 

ポスッ…!

 

 

「「ッ……/////!」」

 

 

「どうあってもな…」

 

 

そう呟きながら2人の頭に手を乗せ、軽く撫でる一護。その目には憤りと同時に…覚悟のようなものが見て取ることが出来た…。

 

 

「な、何するのよいきなりッ////!?」

 

 

「! ああ、悪いな」

 

 

「っ! いや、別に嫌とかいう訳じゃなくて…////」

 

 

「?」

 

 

嫌がってるのかそうでないのか分からない紗矢華の反応に、思わず首を傾げる一護…。すると、

 

 

「まあ、とにかくこのまま寝たけりゃ好きにしてくれ。もう慣れた事だしな…」

 

 

「っ///!? せ、先輩、いきなり何を言って…////!」

 

 

一護はそう言って目を閉じ、そのまま寝始めてしまったのだ。雪菜が思わず何かを言おうとするが、時すでに遅し…。

 

 

「ど、どうする、雪菜…?」

 

 

「うっ……もう知りませんッ…////!」

 

 

ガバッ…!

 

 

「ッ…………///////」

 

 

その結果、雪菜は若干自棄になりながら掛布団の中に隠れて寝始め、それを見た紗矢華も顔を真っ赤にしながら同様に隠れて寝る……。

 

 

(ったく…世話の掛かる奴等だな、ホントに…)

 

 

その後しばらくして一護が目を開け、柔らかな笑みを浮かべながらそんなことを思っていたことなど…当然寝てしまった2人には知らないことだった…。

 

 

 

☆☆

 

 

 

所変わって、そんな当麻達の家の屋根の上に1人の少女が座っている…。金色の長い髪が特徴的で、所々に青い小さなリボンがあしらわれている水色のパジャマを着ているその少女は…やはりヤミだった…。と、その時、

 

 

「まだ起きてたのか、ヤミ」

 

 

「…はい…」

 

 

後ろから何処からともなく現れたのは、この家の家主の1人でもある青年―――奴良リクオだった。その姿は黒い着物に青色の外套を羽織っており、尚且つ白と黒の棚引く髪が印象的な“夜のリクオ”のものである…。

 

 

「ちょっとした餞別だ。食うか?」

 

 

「! いただきます…」

 

 

リクオがそう言って“あるモノ”を見せると、ヤミは彼女なりの即答で答え、髪の先端を手の形にして受け取る。それは…彼女の大好物である“たい焼き”だった…。

 

 

「…冷たいですね…」

 

 

「“冷やしたい焼き”って奴だ。前に実物を見て試しに作ってみたんだよ。食ってみてくれ」

 

 

それを聞いたヤミは素早く袋から取り出し、それを一口食べた。そして一言……

 

 

「中々いけますね…」

 

 

「お前の口からそれが出るってことは、どうやら成功みてえだな。中身の種類も増やしてみるか…」

 

 

「その時は味の確認をしないといけませんから、また私が試食してあげます」

 

 

「ハハッ、そうかよ。なら、よろしく頼むぜ?」

 

 

そんなやり取りを交わしながら、普通にヤミの隣に座るリクオ…。

 

 

「これからどうするつもりですか?」

 

 

「…どういう意味だ?」

 

 

「彼女…“プリンセス・リアス”の一件です」

 

 

ヤミはリクオに対して唐突に尋ねてきた。ちなみにヤミはリアスのことを、普段から“プリンセス・リアス”と呼んでいる…。

 

 

「純血悪魔の婚約問題……多かれ少なかれ、私達はそこに関わらざるを得なくなってしまいました」

 

 

「ああ、そうだな…」

 

 

「…何か、嫌な予感がします」

 

 

「確信は…無しか?」

 

 

「はい。強いて挙げるなら…少しばかり“闇の中にいた者”の、勘です…」

 

 

リクオの問い掛けに対し、淡々とした様子で答えるヤミ…。

 

 

「まあ、多分お前の予感は当たってるんだろうな…。当麻や一護達も、全員が感じてる筈だ…。だが、それでも首を突っ込むしかねえよ。どうにも“気になる奴”も居ることだしな…」

 

 

「…小猫ですか?」

 

 

「! 気付いてたか…」

 

 

「はい…。リクオ、彼女は…」

 

 

「俺にもまだ確証はねえよ。ただ…可能性は高いと思ってる…」

 

 

同じオカルト研究部員である白髪の少女が話題に上がると、リクオとヤミは互いに何かを考え始める…。すると、

 

 

「気に入ったか? あいつのこと…」

 

 

「! そうですね…。話しやすいという点を踏まえれば、そうなのかもしれません…」

 

 

「へぇ…。お前の口からそういう言葉が出てくるとは思わなかったぜ。確かに考えてみると、あいつはお前と結構似てる所があるしな…。イッセーへの対応とか」

 

 

「あの男への“えっちぃこと”をした時の対応はもっと厳しくするつもりです。小猫も同意してくれました」

 

 

「そうか…。まあ、頑張れよ。くれぐれも半殺し程度に留めるようにな?」

 

 

「分かっています…」

 

 

イッセーの対応に関して、リクオは念のためヤミに釘を差した。まあ、それでも十分過ぎる…というか中々酷い対応ではあると思うが…。と、そこへ、

 

 

「あー! こんな所に居たー♪」

 

 

「「…!」」

 

 

そんな声が聞こえて来たかと思うと、新たに1人の人物がやってきた…。

 

 

「芽亜、お前も起きてたのか?」

 

 

「うううん! さっきまで寝てたよ! でも目を覚ましたらヤミお姉ちゃんが居なかったから、ちょっと探しに来ちゃった♪」

 

 

「ハハッ、そうか…」

 

 

そう、やってきたのはヤミの妹である少女―――黒崎芽亜である。ちなみに芽亜の恰好は、シンプルな薄いピンク色のパジャマだったりする…。

 

 

「あれ? ヤミお姉ちゃん、何食べてるの?」

 

 

「! リクオからもらったたい焼きです…」

 

 

「リクオお兄ちゃんのッ!? いいな~! 私にも無いの~!?」

 

 

「おいおい、そんな引っ付くなよ。お前のもちゃんとあるっての……ほらよ」

 

 

「ホントだ!! いっただっきまーすッ…!! う~ん♪ 冷たくて美味しい~♪」

 

 

リクオからもう1つの冷やしたい焼きをもらって、ご満悦な様子の芽亜。すると…

 

 

「芽亜、いつまでリクオに密着しているつもりですか? 離れてください…」

 

 

「え~、何で~?」

 

 

「…何でもです…」

 

 

依然としてリクオに引っ付いている芽亜に、ヤミがそう注意したのだ。だがそれに対し、芽亜は悪戯な笑みを浮かべ……

 

 

「それなら、ヤミお姉ちゃんもお兄ちゃんにくっ付いちゃえばいいんじゃないかな?(ボソッ)」

 

 

「っ……//////!」

 

 

「おい、さっきからお前等何言ってやがんだよ。つーか芽亜、お前はいい加減離れ…」

 

 

リクオに聞こえないよう、小声でそう提案してきたのだ。そしてそれを聞いたヤミが顔を赤くする中、リクオがそう言おうとした、その時、

 

 

ギュッ…!

 

 

「…おい、何でお前まで引っ付いて来るんだよ、ヤミ」

 

 

「…何となく、です…/////」

 

 

「は…?」

 

 

「ふふっ、そうそう♪」

 

 

「…意味が分からねえ…」

 

 

ヤミまで密着してきたことに驚いていると、続けて芽亜に笑顔でそう言われ、疑問の表情を浮かべるしかないリクオ。何はともあれ、こうして彼等の夜は更けていった…。

 

 

 

☆☆

 

 

 

翌日の朝、当麻達3人はある場所に向けて“登って”いる。“登って”という表現から何となく想像は付くだろうが、現在地は駒王町から大分離れたところにある“山”の途中だ。そもそもの発端は早朝に突然……

 

 

『今日から私の家が持っている別荘で修行を始めるわ。あなた達も一緒に来て』

 

 

という内容の連絡がリアスから来たためである。ちなみに言うまでもなくユウキや雪菜、ヤミ達6人も同行している。そして現在……

 

 

「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……」

 

 

イッセーが絶賛ダウンし掛かっていた。彼は背中に大量の荷物の入ったリュックを背負っているのである。それを見て、

 

 

「あ、あの、私も少し荷物を持った方が…」

 

 

「いいのよ。イッセーもあれくらい熟(こな)さないとだから」

 

 

アーシアが思わず荷物を持とうとするが、リアスはそれを止めた…。

 

 

「お先に」

 

 

「あんまり遅えと修行時間が減るぞ、イッセー」

 

 

「こういう肉体労働は、上条さん的に久しぶりだなぁ」

 

 

「くそぅッ! 木場の奴、余裕見せやがって…! って、おい、一護、当麻? その荷物は?」

 

 

そんなイッセーの横を裕斗と一護、そして当麻が通過したところで、イッセーは思わず2人の荷物を見て尋ねた…。

 

 

「ユウキや雪菜達の分だ。自分のと一緒に、2人分ずつ持つことにしてな」

 

 

「まあ、女はこういう時の荷物が多いからな」

 

 

「よろしく~、当麻~♪」

 

 

「すみません、先輩。お願いします」

 

 

(な、何だろう、色んな意味で敗北感が……)

 

 

そう答える当麻と一護にユウキと雪菜が声を掛けてる姿を見て、得も言われぬ敗北感を感じ始めるイッセー。ちなみに2人の持ってる荷物は、イッセーのものよりも若干多かったりする…。と、そこへ、

 

 

「失礼…」

 

 

「わぁ~、小猫ちゃんすご~い!」」

 

 

「流石に“戦車(ルーク)”の特性を持っていると違いますね」

 

 

「あはは…えっと、じゃあ先に行くね、イッセー君」

 

 

「……え……?」

 

 

一番小柄な小猫が数倍大きな荷物を背負い、芽亜やヤミ、リクオと共に抜いていく姿を見て呆気にとられるイッセーだった…。

 

 

「どわぁぁッ!?!?」

 

 

ベシャッ…!!

 

 

あ、ひっくり返った……。

 

 

 

☆☆

 

 

 

それからしばらくして、グレモリー家の所有している別荘へと到着したオカルト研究部一行。そこはどう考えても、“中世の貴族の邸宅”といった様相のものだった…。

 

 

「ふえ~…」

 

 

「こっちも流石と言えば流石ね…」

 

 

「さぁ、中に入って着替えたら、すぐ修行を始めるわよ」

 

 

「す、すぐ修行ーーッ!?!?」

 

 

ユウキとシノンがその外観を見て思わず声を漏らす中、リアスの一言に“この世の終わり”のような叫びを挙げるイッセー。

 

 

「や、やっぱり部長は鬼ですーッ!!」

 

 

「悪魔よ♪」

 

 

と、ここで、

 

 

シュインッ!

 

 

「ちなみに着替えを覗こうとした場合は…」

 

 

「即斬り刻むから、そのつもりでいなさい」

 

 

「イ、イエッサーッ…!!!(ガクガクガクッ)」

 

 

「まあ、その前に僕が半殺しにすると思うけどね(ボソッ)」

 

 

「あんたが一番怖いわね…」

 

 

ヤミと紗矢華の宣告にイッセーが震えあがりながら敬礼している中、リクオの小声の一言を聞いてシノンが乾いた笑みを浮かべていたのは……まあ、多分気のせいである……。という訳で、ここからは修行の風景を見ていくことにする…。

 

 

 

――――レッスン1 裕斗による剣術指南――――

 

 

「おりゃああああああああああああッ!!!」

 

 

カンッ、カンッ!!!

 

 

「そうじゃない。剣の動きだけじゃなく、相手と周囲も見るんだ」

 

 

イッセーが力任せに木刀を打ち込んでくるのに対し、裕斗はそう指摘しながら軽く防いでいく…。

 

 

「でりゃああああああああああッ!!!」

 

 

そしてイッセーの大振りな攻撃を最小限の動作で避けた裕斗は…

 

 

「フッ!!」

 

 

バシンッ!!!

 

 

「っ! 流石騎士(ナイト)だな……!」

 

 

その木刀を軽く叩き落とした。これにはイッセーも思わず舌を巻くが…

 

 

「ほら、油断しない!」

 

 

カンッ!!

 

 

「あだっ!?」

 

 

そんなイッセーに裕斗は木刀を片手で軽く振り下ろした。イッセーは咄嗟に白刃取りをしようとするものの、当然上手くいく筈もなく頭にヒットする…。すると、

 

 

「そんなんじゃダメよ。この男には温(ぬる)すぎるわ。どうせやるなら……」

 

 

ジャキンッ!!

 

 

「徹底的に追い込まないと」

 

 

「ちょちょちょちょちょっ!!?!? えっ!? 追い込むってそれ、俺の命が追い込まれそうなんだけどッ!? これ修行だよね!?」

 

 

「何事も本番さながらじゃないと身に付かないでしょ?」

 

 

紗矢華が自らの神器“煌華麟(デア・フライシュッツ)”を剣型にして構えながら、そう言ってきたのだ。それを見たイッセーは慌てて止めようとするが…

 

 

「じゃあ、気合を入れなさい」

 

 

「ま、待ってーーーッ!!??」

 

 

「問答、無用ッ!!!」

 

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ………!?!?!?」

 

 

荒野にイッセーの断末魔が響く…。

 

 

「えっと…大丈夫かな、イッセー君?」

 

 

「まあ、大丈夫だろ、イッセーだし」

 

 

「ああ、大丈夫だろ、イッセーなら」

 

 

「そうだね、イッセー君だから」

 

 

「どれも根拠が無いよね!?」

 

 

主人公3人の発言に、木場が柄にもなく思い切りツッコんでいたのは…気のせいではない…。

 

 

 

――――レッスン2 朱乃による魔力技能指南――――

 

 

「魔力は体全体を覆うオーラから、流れるように集めるのです。意識を集中させて、魔力の波動を感じるのですよ?」

 

 

「うぎぎぎ……!!」

 

 

朱乃のアドバイスを聞きながら力一杯踏ん張るイッセーだが、特段何も変化はない。と、ここで、

 

 

「出来ました!」

 

 

「えっ!?」

 

 

アーシアのそんな声を聞いてイッセーが思わず振り向くと、彼女の両手の上には淡い緑色の魔力の球体が浮いていた…。

 

 

「あらあら、やっぱりアーシアちゃんは魔力の才能があるのかもしれませんね」

 

 

「そうですね。一番基礎の練習とはいえ、初めてでいきなり成功する人は少ないですから」

 

 

それを見て朱乃と雪菜は純粋にアーシアを評価した。ちなみにこの場には雪菜の他に、一護と紗矢華も一緒にいる…。

 

 

「では、アーシアちゃんは次の段階に進みましょう」

 

 

すると、朱乃はそう言いながら水の入ったペットボトルをテーブルに置き、右手を翳す。と、次の瞬間、

 

 

ザシュッ!!

 

 

「っ!? うおお、凄えッ!!」

 

 

その水が鋭利な棘のように姿を変え、内側からペットボトルを貫いたのだ。これには思わず感嘆の声を上げるイッセー。

 

 

「このように魔力を炎や水、雷に変化させることもできます。勿論イメージするだけでも可能ですが、初心者は実際の火や水を魔力で動かしてみるのが良いでしょう。イッセー君は、先程の練習を御願いしますわ」

 

 

「わ、分かりました…」

 

 

アーシアに先を行かれてしまったことで少々ガッカリしながらも、引き続き練習を続けるイッセー…。

 

 

「そうですわ。もっと意識を集中して…」

 

 

「意識を集中…!」

 

 

「そう、集中ですわ…」

 

 

「集中…!」

 

 

そして朱乃のアドバイスに耳を傾けながら、目を閉じて集中し始める…。ここまでは良かった…。

 

 

「ぬおっ…/////!?」

 

 

途中で朱乃を見ながら、“何か”を想像するまでは…。すると、

 

 

ポンッ!

 

 

「! な、何だよ、一護…?」

 

 

今まで傍観していた一護が急にイッセーに近付き、右肩に自分の左手を乗せたのだ。と、次の瞬間、

 

 

「破道ノ十一、“綴雷電(つづりらいでん)”」

 

 

バリバリバリバリッ!!!

 

 

「あばばばばばばばばばッ!!??」

 

 

突如イッセーの体に電気が流れ、思い切り痺れ出した。その結果、イッセーの髪は見事にチリチリになる…。

 

 

「い、一護、な、何しやがる、いきなり…!?」

 

 

「雪菜と紗矢華がさっきのお前の顔を見た瞬間、灸を据えてくれって言ってきたんだよ。どうせ“しょうもないこと”でも考えてたんだろ?」

 

 

「なっ///!? ち、違うぞッ!! 俺は決して“朱乃さんのおっぱい”のことなど考えてなんか……あ……」

 

 

イッセーは思わず自分の過ちに気付くが、もう遅い…。

 

 

ジャキンッ!!

 

 

「やっぱりそういうことだったのね。じゃあ…」

 

 

「きっちり反省してください、兵藤先輩…」

 

 

「…………(ガタガタガタガタッ!!!)」

 

 

“雪花狼”と“煌華麟”を突き付けられ、ガタガタと震え出すイッセー。そんな中、

 

 

「雷も扱うことが出来たのですね。ビックリしましたわ」

 

 

「ああ、前にも言ったと思うが、俺の使う鬼道には色んな属性があんだよ。別に電撃系に特化してる訳じゃねえし、電撃系の鬼道もそこまで種類はねえからな?」

 

 

「あらあら、ですがしっかりと威力の制御はしているみたいですわね?」

 

 

「まあ、その辺は色々鍛えたからな…」

 

 

一護と朱乃はそんな会話をしていたのだった…。

 

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ…!!!??」

 

 

イッセー、本日2度目の絶叫……。

 

 

 

───レッスン3 小猫の体術指南───

 

 

ドガアアアアアアンッ!!!

 

 

「ゴフッ!!?」

 

 

ドサッ!!

 

 

吹っ飛ばされたイッセーは、何度目か分からない木への激突をしていた。それを見て…

 

 

「…弱」

 

 

「弱えな」

 

 

「弱いですね…」

 

 

「弱々だね~♪」

 

 

上から小猫、リクオ(夜の姿)、ヤミ、芽亜が全く同じ評価を下した…。

 

 

「…打撃は体の中心線を狙って、的確かつ抉るように打つんです」

 

 

「うおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

 

アドバイスをする小猫に、イッセーは雄叫びを上げながら殴りかかるが…

 

 

ガシッ!!

 

 

「ぐええええッ……!」

 

 

避けた小猫に両足を使って首を絞められ、そのまま地面に倒れ込み…

 

 

「……(チーンッ!!)」

 

 

完全に堕ちた…。と、ここで、

 

 

「そろそろだな…。悪いな、俺は先に戻るわ」

 

 

「…? どうしたんですか、リクオ先輩…?」

 

 

「もう良い時間だからな。飯を作りにいくんだよ」

 

 

「…! リクオ先輩が作るんですか?」

 

 

「ああ、まあな」

 

 

リクオが夕飯の調理を担当すると聞いて、普段とは違う反応を見せる小猫…。

 

 

「ちゃんとたくさん作って待っててやっから、イッセーを徹底的に扱(しご)いてやんな」

 

 

「…! はい…」

 

 

「お前等も適当に小猫を手伝ってやれ。後は任せる」

 

 

「分かりました…」

 

 

「は~い♪」

 

 

リクオは小猫とヤミ、芽亜の3人にそう伝えると、急ぐことなく別荘へと歩いて戻っていった…。と、その時、

 

 

「イテテテッ…何か一瞬川を渡り掛けちまった。危ない危ない…!」

 

 

丁度目を覚ましたイッセー。すると…

 

 

「イッセー先輩、再開です…」

 

 

「あ、あれ? 何か小猫ちゃん、さっきよりやる気に満ちてない…?」

 

 

「じゃあ私達もやろっか、ヤミお姉ちゃん♪」

 

 

「そうですね。少しは腹ごなしにもなるでしょう…」

 

 

「ちょっ!? 何でヤミちゃんと芽亜ちゃんも参加しようとしてんの!? 俺小猫ちゃん1人で手一杯なんだけど!? おいリクオ! ちょっと止め…って、居ねえしッ!?」

 

 

さながら“死刑宣告”のように感じたイッセーは、咄嗟に止めようとするが…当然意味はない…。

 

 

「「…行きます」」

 

 

「死なないようにね、先輩♪」

 

 

「ちょ、待っ……ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!??」

 

 

兵藤一誠、本日3度目の絶叫…。

 

 

 

───レッスン4 リアスの基礎体力向上指南───

 

 

「ほらイッセー! しっかりなさい!」

 

 

「オ、オッス…!!」

 

 

イッセーは現在、リアスの乗っている大きな石を背負って、急な坂を登り下りしている…。

 

 

「足を止めたらダメよ? そしたら最初からやり直しになるわ」

 

 

「なっ!? ぶ、部長はやっぱり鬼ですよ~~!!!」

 

 

「悪魔よ♪」

 

 

容赦ない宣告にイッセーが声を上げると、リアスは来た時と同じように笑みを浮かべながら返した。すると、

 

 

チャキッ!

 

 

「なら、否が応でも走れるようにしてあげる…」

 

 

「シ、シノンさん? 何で拳銃を俺に向けて…」

 

 

ドォンッ…!!

 

 

シノンが“グロック18”を抜いて1発撃った…イッセーの足元に…。

 

 

「歩みが止まったら即風穴が開くけど、どっちが良い?」

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ…!!!!」

 

 

「ちょっとイッセー! あんまり速く走らないで! 後が持たないわよ!?」

 

 

シノンの一声を聞いたイッセーは、こうして一気に活力(?)を取り戻したのだった…。

 

 

「当麻~、もっと~♪」

 

 

「お、おう。こんな感じでいいか?」

 

 

「~~~♪」

 

 

ユウキが当麻の膝の上に座って、猫のように撫でられまくっていることがシノンのイッセーに対するスパルタの原因であることは……まあ、余談である…。

 




何だか当麻のキャラがいまいち定まっていない気が…。すみません…。



では、また次回。
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