ハイスクールD×D ~とある三雄の物語~   作:無颯

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大変今更ではありますが、レーティングゲームの描写はすっ飛ばします。



ある意味本番は次回ですね。



では、本編をどうぞ。


幻想

 

 

夜を迎え、修行を終えたオカルト研究部の面々は夕食を食べているのだが……

 

 

「う、旨ええええええええええええッ!!!!!」

 

 

イッセーがそう叫びながら、ひたすらに目の前の料理にがっついていた。

 

 

「この前の歓迎会のこともあったから、予想はしていたけど…」

 

 

「あらあら、これは1度本当に指南頂かないと…」

 

 

「じ、自信が無くなってしまいました…」

 

 

「流石としか言いようがないね、リクオ君」

 

 

「…本当に美味しいです」

 

 

リアスや朱乃、アーシア、裕斗、小猫も目の前の料理を食べた瞬間、それぞれ絶賛したり悲観していたりしている。言うまでもないが、料理を作ったのはリクオである。また小猫の前に堆(うずたか)く空の皿が積まれているのは…気のせいではない…。

 

 

「あはは、でも今日は少し量の方に力を入れちゃったから、質はいつもより若干落ちてる気がします。次は改良しないと…」

 

 

「…大丈夫です。十分過ぎるくらい美味しいですから…。あの…おかわりをもらってもいいですか?」

 

 

「あ、うん! ちょっと待ってて…!」

 

 

小猫が遠慮気味に聞くと、リクオ(昼の姿)はすぐに厨房へと向かっていった…。と、ここで、

 

 

「ところでイッセー、今日1日修行してみてどうだったかしら?」

 

 

「! はい…俺が一番弱かったです」

 

 

「そうね。それは確実ね」

 

 

リアスの問い掛けに顔を俯かせながら呟くイッセー…。

 

 

「あと何回か死にかけました…(ガクガクッ!!)」

 

 

「「それはあなたの自業自得よ(です)」」

 

 

「いや違うよね!? 確かに1つはそうだけど、あとのは絶対に違うよね!?」

 

 

「1つ当てはまれば十分じゃねえか…?」

 

 

紗矢華とヤミの返しにイッセーが思わず抗議する中、一護は呆れ混じりにそう口にした。ちなみに当てはまるものは、言うまでもなく朱乃との修行での出来事である…。

 

 

「でもアーシアの回復、イッセーの“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”だって、勿論貴重な戦力よ。相手もそれを理解している筈だから、仲間の足を引っ張らないように最低でも逃げるくらいの力は付けて欲しいの」

 

 

「はい…!」

 

 

「りょ、了解っす…」

 

 

リアスがそう言ったのに対し、イッセーとアーシアはしっかりと返事をした。

 

 

「さて…食事を終えたらお風呂に入りましょうか?」

 

 

「お、お風呂ーッ!?」

 

 

「僕は覗かないよ、イッセー君」

 

 

「バ、バッカ! お、お前な…!!」

 

 

リアスの言葉を聞いてあからさまに反応するイッセーだったが、裕斗に見抜かれ一気に動揺した。すると…

 

 

「あら、私達の入浴を覗きたいの、イッセー? なら、一緒に入る? 私は構わないわよ?」

 

 

「ッ!! マ、マジっすか!?」

 

 

「勿論、当麻達もよ?」

 

 

「「「はあ(ええ)っ!!??」」」

 

 

リアスのとんでもない提案を聞いてイッセーが興奮と期待感のあまり立ち上がる一方、当麻達3人は驚愕と焦りのあまり声を上げる…。

 

 

「朱乃はどう?」

 

 

「うふふ、殿方の御背中も流してみたいですわ♪」

 

 

満面に近い笑みを浮かべながら肯定する朱乃。もっとも、彼女はその中でも“ある1人の男”を特に見ているのだが…。

 

 

「アーシアは? 愛しのイッセーと結構紳士的な当麻達なら大丈夫よね?」

 

 

「っ……/////!」

 

 

アーシアもリアスの問い掛けに対して顔を俯かせるも、僅かに肯定の意思を見せた…。

 

 

「小猫やシノン達は?」

 

 

そして最後に小猫達に尋ねると……

 

 

「嫌です」

 

 

「「「却下よ(です)」」」

 

 

「兵頭一誠…覗いたら即刻殺します」

 

 

小猫とシノン、雪菜、紗矢華、ヤミは即答で返した。特にヤミは、髪を刃物にして一誠を睨んでいる…。

 

 

「じゃあ無しね♪」

 

 

ガタッ!!!

 

 

小猫達の清々しい一刀両断とリアスの一言に、撃沈して倒れるイッセー…。すると、

 

 

「なら、当麻と一護とリクオの3人ならどうかしら?」

 

 

「「……………! ダ、ダメです……////」」

 

 

「…………ダメよ」

 

 

「な、何を言ってるんですかグレモリー先輩ッ/////!?」

 

 

「そ、そうよッ////!! そんなこと絶対に許す訳…////!!」

 

 

その問い掛けに対して、今度はヤミと小猫を始め、シノンや雪菜、紗矢華もあからさまに違う反応を見せた。と、その時、

 

 

「えー! 私は別にリクオお兄ちゃん達ならいいよー♪ ユウキちゃんもそうでしょ?」

 

 

「ふぇっ///!? えっと……う、うん……///」

 

 

芽亜がユウキと共にそんなことを言い出したのだ。更に……

 

 

「それにヤミお姉ちゃん達だって、何回も裸を見られたりしてるよね?」

 

 

「「なっ……!?」」

 

 

「ちょ、め、芽亜…!?」

 

 

続いて芽亜の口から飛び出した爆弾発言に、当麻達3人は思い切り動揺を見せ…

 

 

「「「ッ~~~~//////!!」」」

 

 

「め、芽亜さん////!! あれも、その、不可抗力というもので…/////」

 

 

ヤミ達4人も雪菜以外は完全に硬直していた…。まあ、その雪菜も極限まで動揺しているせいか、“普通どこかの男性主人公が言いそうな典型的理由”を口にしてしまっているが……。

 

 

「何で…何でお前等ばっかりそんな羨ましい体験してんだァァァァッ!!! こんちくしょうがァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」

 

 

ドスッ!!!

 

 

「ぐへっ!?」

 

 

ドサッ……!!

 

 

え? 何が起きたかって? 血涙を流しながら殴りかかって来たイッセーを、リクオ(昼の姿)がサラッと腹部に一撃お見舞いして沈めただけですが?

 

 

「と、とにかく俺達は普通に男湯に入るからな!!」

 

 

「おい、行くぞ、裕斗!」

 

 

「え? あ、そ、そうだね…」

 

 

「えっと…じゃあ、お先に…」

 

 

そして当麻達3人は裕斗と共に、先に風呂へと向かっていった。ちなみにイッセーは気絶した状態のまま、リクオに引きずられている…。それを見て…

 

 

「あらあら♪」

 

 

「あなた達、意外と大胆なのね♪」

 

 

「ち、違います////!! 変な勘違いしないでください、御二人共ッ////!!」

 

 

「う~ん…何でリクオお兄ちゃん達はあんなに慌ててたのかな?」

 

 

「あなたのせいですよ/////ッ!!」

 

 

リアスと朱乃は感心したような笑みを浮かべ、芽亜は不思議そうに首を傾げる。雪菜はそんな彼女達への対応に奔走せざるを得ないのだった……。

 

 

 

☆☆

 

 

 

「ふぇ~…気持ち良い~…♪」

 

 

「うふふ、やっぱり温泉はいいですわね~♪」

 

 

ここは女湯。湯に浸かっているユウキと朱乃がそう言うと…

 

 

「これで皆の修行の疲れが、少しでも癒されれば良いのだけど…」

 

 

「ふふっ、間違いなく癒されますわ♪」

 

 

「ええ、少なくとも私達は満足してるわよ」

 

 

リアスがそう呟いた。それに対して朱乃とシノンが声を掛ける。と、ここで、

 

 

「やっぱり大きい~…!」

 

 

「! あら、どうしたの、芽亜?」

 

 

「2人共、紗矢華先輩と同じくらいか、それ以上に大きいな~と思って♪」

 

 

「あらあら、そういえば紗矢華ちゃんも中々の物をお持ちでしたわね。うふふ、着痩せするタイプなのでしょうか♪」

 

 

芽亜が間に入ってくると、リアスと朱乃の“ある部分”に目を遣りながら言ってきた。すると、

 

 

「ちょ、ちょっと////!? 何よいきなり…////!?」

 

 

「た、確かに部長さん達と同じくらい……うぅ……」

 

 

「しかも心なしか、また大きくなった気がするわね…」

 

 

「ッ……//////!!」

 

 

アーシアとシノンの発言を聞いて、紗矢華は思わず顔を赤くしながら両手で“発達したある部分”を隠そうとする。まあ、言うまでもなくそんなことでは隠せず、むしろ強調することになるのだが…。そんな中、

 

 

「……………」

 

 

「小猫…」

 

 

「…!」

 

 

「見ない方がいいです…」

 

 

「……はい」

 

 

小猫とヤミは自身の“ある部分”に目を向けながら、そんな会話をしていたのだった。ちなみに、実際にその“ある部分”に関して順位をつけると……

 

 

朱乃 > リアス、紗矢華 >>> アーシア、芽亜、シノン > ユウキ、雪菜、ヤミ > 小猫

 

 

このような結果になったりするとか、しないとか……。 

 

 

「でも、少し残念ですわ…」

 

 

「? どうしたの、朱乃?」

 

 

「“殿方の御背中を流してみたい”というのは、本当のことでしたの。特に一護君達はとても良い体をしていると思っていましたから、少し期待していたのですが…」

 

 

「! 確かに気になるわね。戦闘経験もかなりありそうだし、やっぱり鍛えてるのかしら…?」

 

 

朱乃のふとしたそんな呟きを聞いて、興味を持ち始めるリアス。すると…

 

 

「見てみる?」

 

 

「「え……?」」

 

 

芽亜が突如そんなことを言ってきたのだ…。

 

 

「どういうことかしら、芽亜?」

 

 

「ふふっ♪ 実はね~、今丁度こんなもの持ってるんだ~……」

 

 

そう言いながら芽亜は“あるもの”を取り出す。それは…

 

 

「じゃじゃ~んッ!」

 

 

「! それは…」

 

 

「…カメラですね」

 

 

そう、アーシアと小猫の言う通り、カメラだった。見たところ比較的コンパクトなデジタルカメラのようである…。

 

 

「め、芽亜さん! それを持って来ていたんですか!?」

 

 

「うん! もしかしたら役に立つかな~っと思って♪」

 

 

「ちなみにこのカメラは私達の知り合いが作ったもので、余程のことが無い限り壊れません…」

 

 

それを見た雪菜が驚きを露わにする中、ヤミはそのカメラの性能についてリアスや朱乃達に軽く説明した…。

 

 

「でも、一体何を…」

 

 

「ふふっ♪ 勿論、これだよ♪」

 

 

そしてリアスの問い掛けに対し、芽亜がカメラを操作して保存されている“ある画像”を見せた瞬間…

 

 

「「ッ……!!!」」

 

 

リアスと朱乃の表情が一変した。どうやら雷に打たれたのと同じくらいの衝撃を受けているようである。その画像に写っていたのは……上半身裸の当麻と一護、リクオの姿だった……。

 

 

「これは…///」

 

 

「ね? 凄いでしょ♪」

 

 

「あらあら、やはり思っていた通りですわ…/////」

 

 

顔を真っ赤にしながらも興味津々といった様子のリアスと、何処かうっとりとしながらも食い入るように見る朱乃…。ただの一般男子の上半身裸の画像では、こうはならないだろう。だが、彼女達の目にしている当麻達3人は…一切無駄の無い、鍛え上げられた肉体を有していたのだ…。普段の彼等からは、恐らく想像も付かない姿である…。

 

 

「ほ、本当に凄いわね…///」

 

 

「ふふっ、やっぱり♪ グレモリー先輩達なら分かってくれると思ったんだ。これで先輩達も、“私達”の仲間だね♪」

 

 

「! “私達”と言いますと、もしや…」

 

 

朱乃がそう言いながら後ろを振り返ると、そこには…

 

 

「「「「っ…/////!」」」」

 

 

サッ!!

 

 

顔を赤くしながらも、瞬時に目を逸(そ)らすシノン、雪菜、紗矢華、ヤミの4人と…

 

 

「やっぱり凄いな~、当麻////♪」

 

 

対照的に、全く気にすること無く見ているユウキの姿があった。しかも、その後ろには…

 

 

「はぅぅぅぅぅ…/////」

 

 

顔を上気させながら唸っているアーシアと…

 

 

「………///////(ジーーーッ)」

 

 

顔を真っ赤にしながらも、何気にしっかりと見ている小猫の姿もあった…。

 

 

「! アーシア、それに小猫まで…」

 

 

「にゃっ///!? ち、違います、これは、その…////」

 

 

リアスに声を掛けられた小猫は、普段なら絶対に見せないであろう動揺の色を見せていた…。ハッキリ言って、説得力など欠片もない…。

 

 

「ふふっ♪ まだ他にもたくさん写真はあるよ…? どうする…?」

 

 

『…………』

 

 

この後女風呂で“謎の観賞会”が開催されたのは……言うまでもない……。

 

 

 

☆☆

 

 

 

その頃、男湯では…

 

 

「「「……!」」」

 

 

「? どうしたんだい?」

 

 

「いや、何か部長達が“踏み込んじゃいけない領域”に入ったような気がしたんだが…上条さん達の気のせいだな、うん…」

 

 

3人の反応した様子を見た裕斗が思わず尋ねると、代表して当麻が答えた…。

 

 

「それにしても、そんなに体を鍛えてたんだね。全然予想してなかったよ」

 

 

「ん? ああ…まあ、俺達も“賞金稼ぎ”である程度は生計立ててたからな」

 

 

「自然とこうなった…って感じだね。それよりも…」

 

 

一護とリクオが裕斗の問いにそう返す中、ここでリクオはある方向に目を向けた。すると、そこには…

 

 

「ぬおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」

 

 

雄叫びを上げながら、女湯の境になっている分厚い壁を押しているイッセーの姿があった…。

 

 

「イッセーは何してんだ…?」

 

 

「まあ、否が応でも想像が付くな…」

 

 

「イッセー君、そんなことして一体何の意味があるんだい?」

 

 

どう見ても不審過ぎるイッセーの行動に当麻と一護が呆れていると、ここで裕斗がそう尋ねる。それに対し、

 

 

「うるせえッ!! イケメンは黙ってろッ!!」

 

 

「…透視能力でも身に付けようとしてるのかな?」

 

 

「あいつにそんな能力が身に付いたら、堪(たま)ったもんじゃねえな…」

 

 

イッセーの必死な様子を見て裕斗がそう呟くと、一護は苦い表情を浮かべた。そんな中、

 

 

「…はぁ…」

 

 

ここで溜め息を吐きながら動いたのは、リクオだった。近くにあった風呂桶を手に取り…

 

 

「ふっ!」

 

 

カコーンッ!!

 

 

「いでっ!!?」

 

 

イッセーの頭に寸分違わず投げ付けた…。

 

 

「な、何すんだよリクオッ!! せっかく今の修行で何か掴めそうだったってのにッ…!!」

 

 

「端から見れば今のはどう見ても修行じゃなくて、犯罪にしか見えないよ。それとも…」

 

 

チャキッ!

 

 

「僕が修行を付けようか?」

 

 

「すいません、大人しくします!!」

 

 

祢々切丸を突きつけられた瞬間、一気に下手に回るイッセー…。何処となく“小物感”が漂いつつあるのは、気のせいである…。

 

 

「チクショウッ! お前等も男だろ!? 普通女湯だって覗きたがるもんだろ!?」

 

 

「いや思わねえし、仮に思ったとしてもお前みたいに堂々と口にしたりしねえよ、普通」

 

 

イッセーの問い掛けを、一護はバッサリと切り捨てた。と、ここで、

 

 

「というか、僕達の方がむしろ覗かれてる側なんだけどね…」

 

 

「…は…?」

 

 

「あー…」

 

 

「まあ…そうだな…」

 

 

リクオの発言にイッセーが唖然とする中、当麻と一護は何とも言えない表情を浮かべる。

 

 

「どういうことだい?」

 

 

「えっと…僕達が風呂に入ってる時に、必ず誰かが覗きに来るんだよ」

 

 

「つっても、芽亜に至ってはコソコソ覗きに来る所か、堂々と風呂に入ってくるけどな…」

 

 

「何でも、“俺達の体が見たいから”らしいけど…普通逆だと思うのは上条さん達の気のせいでせうか…?」

 

 

裕斗の問い掛けに、そう答えるリクオ達3人。すると…

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ…!!!!」

 

 

「…おい、あいつは何猛スピードで筋トレしてんだ?」

 

 

「さ、さあね。僕にも分からないよ…」

 

 

突如始まったイッセーの高速筋トレを見た一護が聞くと、そう苦笑いを浮かべながら返す裕斗…。

 

 

(当麻達と同じくらい身体を鍛えれば、俺にもそういうチャンスか来るってことじゃねえかッ! よっしゃあああッ!! ハーレム王に、俺はなるぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!!)

 

 

イッセーが相も変わらず平常運転な思考の下で動いているなど、他の4人には当然預かり知らない所である…。ともあれ、こうしてオカルト研究部一同は、休息の一時を過ごしていく…。

 

 

☆☆

 

 

 

その日の夜…

 

 

「スゥ…スゥ…」

 

 

「…何故にまたユウキさんが隣で寝ているのでせうか?」

 

 

ふと目が覚めた当麻は、隣で寝ている少女を見て思わず小声で呟く。いつもとは違い腕には抱き付いていないが…それでも十分驚きの光景だろう…。

 

 

(風にでも当たってくるか…)

 

 

当麻は寝ているユウキを起こさないように起きて部屋を後にし、別荘に隣接しているテラスのような建物へとやって来た。すると、そこには…

 

 

「あなたは今回のゲームの重要な鍵よ。あなたの攻撃力が、状況を大きく左右するわ。だから私達を…そして何より、自分自身を信じなさい。そうすれば、きっと勝てるわ」

 

 

「部長達と、自分を……分かりました! 俺、頑張ります!!」

 

 

「ええ、期待してるわよ、イッセー」

 

 

「はい!!」

 

 

そんなやり取りを交わしているリアスとイッセーの姿があった。そして、イッセーがその場を後にしていった所で…

 

 

「夜更かしは美容の大敵だぜ? 部長」

 

 

「! 当麻…」

 

 

当麻は建物の陰から姿を見せ…

 

 

「聞いていたの?」

 

 

「まあ、最後の方だけな」

 

 

「そう…」

 

 

リアスの下へと歩み寄っていく…。

 

 

「レーティングゲームの戦術書か?」

 

 

「ええ…。といっても、こんな初歩的なものじゃ気休め程度しかならないのだけど…」

 

 

「…こっちはゲーム未経験なのに対して、相手は公式戦じゃ実質負け無し。しかも“フェニックス”、か…」

 

 

リアスの持っているノートらしき物を見ながら、そう話す当麻…。

 

 

「悪魔でありながら、聖獣である不死鳥と同じ名前を持つ、“72柱(ななじゅうふたはしら)”にも数えられた侯爵家。その能力もやはり聖獣と同じ……」

 

 

「“不死身”…」

 

 

「そう…殆ど無敵ね。攻撃してもすぐに再生してしまうのだから…。最初から私が負けることを見越して、お父様達がゲームを仕組んだのよ。チェスで言う所のハメ手…“スフィンドル”かしら…」

 

 

柱に寄りかかって座りながら語るリアス。その表情には笑みが見られるものの、何処か諦めに近い雰囲気を窺うことが出来た。と、ここで…

 

 

「部長…あんたに1つ、聞きたいことがある」

 

 

「? 何かしら…?」

 

 

「…あんたも言ってた通り、今回のゲームはハメ手に近いものだ。正直いくらあんたの力やイッセーの“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”があったとしても、厳しいことには変わりないと思う…。それはあんたも気付いてるよな?」

 

 

「…ええ」

 

 

「でもあんたは、こうして戦う道を選んでる…。一体何がそうまでしてあんたを駆り立ててるんだ…?」

 

 

そう問い掛けてくる当麻を見たリアスは、思わず驚きの表情を一瞬浮かべた。その時の当麻の表情が、時折見せる鋭いものだったからだ…。そしてリアスは、再び笑みを取り戻して話し始める…。

 

 

「私はね、“グレモリー”なの…」

 

 

「……」

 

 

「何処へ行っても私には“グレモリー”の名が付きまとう…。勿論、誇りも感じているわ…。でも今回の婚約は、“グレモリー”の名の下でのもの。ライザーも私のことを、“グレモリー家のリアス”として見ているわ…。それが嫌なのよ…」

 

 

ポツポツと語られるリアスの話を、当麻は何も言わずに聞いていく…。

 

 

「私は“グレモリー家のリアス”としてじゃない…“ただのリアス”として私を愛してくれるヒトと結ばれたいの。それが私の小さな夢…いいえ、“幻想”に近いかもしれないわね…。グレモリー家の誇りも勿論大切だけど、どうしても捨てられない私の幻想…。フフッ、本当に矛盾してるわね…」

 

 

軽く自嘲しながらリアスが話を終えた所で、当麻がようやく口を開く…。

 

 

「良い夢だな」

 

 

「え…?」

 

 

当麻のその言葉に、驚きを隠しきれない様子のリアス…。

 

 

「その夢は“お前”の…リアスの心からの夢なんだろ? それを話してた時のお前は綺麗だったぜ?」

 

 

「ッ////! な、何よ、いきなり…///!?」

 

 

それを聞いた瞬間、リアスは面食らった様子で顔を赤くした。すると、

 

 

「その夢は壊れていいもんじゃねえよ、リアス…」

 

 

「え…?」

 

 

「もし俺がこの右手でその夢を壊さなきゃならなくなったとしたら、俺は多分この右手を迷い無くぶち切ると思うぜ…? その夢が…その幻想がどんだけ大事なモノなのか、俺にも何となく分かる気がするからな…」

 

 

そして、当麻はこう続ける…。

 

 

「だからお前は、お前の仲間達と全力で戦ってこい。それでももし届かなかった時は…」

 

 

ポスッ…!

 

 

「っ…//////!!」

 

 

「上条さん達が何とかしてやるから、な…」

 

 

「! うん…/////」

 

 

そう言いながら当麻が頭を右手で優しく撫でてくると、リアスの顔は更に赤みを増し、普段であれば絶対にしない頷きを見せた。その姿は紛れもなく、年相応の少女のものだった…。

 

 

「! あ、悪い! ついユウキみたいに撫でちまった…!」

 

 

「あ……」

 

 

「? どうした、リアス?」

 

 

「! な、何でもないわ…/////」

 

 

当麻が慌てて謝りながら撫でるのを止めると、リアスは残念そうな表情を見せつつ何とか取り繕う。

 

 

「じゃ、じゃあ、そろそろ私も寝るわね///! お、おやすみなさい///!」

 

 

「! お、おう…」

 

 

「…ありがとう、当麻…(ボソッ)」

 

 

「え…?」

 

 

そしてリアスは当麻に聞こえないよう言うと、少し足早に当麻の下から離れていくが…

 

 

(さ、さっきの撫で心地…ユウキやシノンが夢中になるのも当然ね。それにあの表情で、あんな事をいきなり言ってくるなんて…/////)

 

 

頭の中では、そんな恥ずかしい感情が渦巻いていた…。

 

 

(私の小さな夢と、自分の右手を天秤に掛けるなんて…普通なら絶対に有り得ないのに……あれは、本気だった…)

 

 

リアスの脳裏に過(よぎ)ったのは、先程まで話していた少年の真剣な表情だった…。

 

 

(やっぱり、私…)

 

 

少女は胸に両手を当てながら、改めて確認する。1人の人物の存在が…何処か掴めない雰囲気でありながら、時に大人びた鋭い表情を見せる少年の存在が、自身の中でどんどん大きくなっていくことに…。

 

 

(当麻……)

 

 

そして、修行の時はあっという間に過ぎていく…。

 

 

 

☆☆

 

 

 

レーティングゲーム当日、オカルト研究部の面々は旧校舎にある部室に集合していた。リアスと朱乃はいつも通りな様子で優雅に紅茶を飲み、小猫は両手に填(は)めたフィンガーグローブの調整を、裕斗は剣の手入れを行っている。そして当麻達はグレモリー眷属の面々と少し離れた所に立っている。この中で緊張した面持ちなのは、イッセーとアーシアだけだったりする…。

 

 

【イッセー君とアーシアさん以外は皆落ち着いてるみたいだね】

 

 

【まあ、あの2人は悪魔としての経験そのものが浅いからな。といっても…】

 

 

【ああ、リアス達も内心じゃかなり緊張してる筈だ…】

 

 

グレモリー眷属の様子を見て、頭の中でそんな会話をするリクオと一護、当麻。もっとも、その間にも当麻とリクオは隣で不安そうなユウキと芽亜の頭を撫でたりしているのだが…。と、ここで、

 

 

キィィィィィィンッ…!

 

 

「皆様、準備はよろしいですか?」

 

 

「ええ、いつでもいいわ…」

 

 

グレイフィアが部室に転移してきて早々尋ねると、リアスはすぐにそう返す。

 

 

「開始時間になりましたら、この魔法陣から戦闘用フィールドへと転送されます」

 

 

「? 戦闘用フィールド?」

 

 

「ゲーム用に作られる異空間ですわ。使い捨ての空間ですから、ど~んな派手なことをしても大丈夫♪」

 

 

「は、派手、ですか…?」

 

 

【な、何だか姫島先輩が楽しそうに見えるんですが…】

 

 

【…気のせいだろ…】

 

 

イッセーへ説明を行っている朱乃を見て、そんなやり取りをする雪菜と一護…。

 

 

「ちなみにこの戦いは、魔王ルシファー様もご覧になられますので」

 

 

「! そう…“お兄様”が…」

 

 

「えっ!? あ、あの今、“お兄様”って……俺の聞き間違い?」

 

 

グレイフィアの報告にリアスが何とも言えない表情を浮かべる中、イッセーがそう言うと…

 

 

「いや、部長の御兄さんは魔王様だよ」

 

 

「えっ!?」

 

 

「ま、魔王ッ!? ぶ、部長のお兄さんって、魔王なんですかッ!?」

 

 

「…ええ…」

 

 

「紅髪の魔王…“クリムゾン・サタン”こと、サーゼクス・ルシファー…それが今の部長のお兄さんさ。サーゼクス様は大戦で亡くなられた前魔王の後を引き継いだんだ」

 

 

裕斗が驚くイッセーとアーシアにリアスの兄―――サーゼクス・ルシファーについて説明した。それを聞いて…

 

 

【サーゼクス・ルシファー…私達は会ったことはありませんね…】

 

 

【魔王が直接見に来てるのね。まあ、妹の将来を賭けたゲームなんだし、当然といえば当然でしょうけど…】

 

 

「…………」

 

 

頭の中でそう呟くヤミとシノン…。その間に、当麻が何かを思考していることに気付いていたのは、ごく僅かしかいなかった…。と、ここで、

 

 

「ゲームの間、僕達はどこに居ればいいですか?」

 

 

「あなた方には中継でゲームの様子をご覧いただけるようにしました。場所はこちらの部屋で結構です」

 

 

「分かりました」

 

 

リクオの質問にそう答えるグレイフィア。そして…

 

 

キィィィィィィィンッ…!!

 

 

「そろそろ時間です」

 

 

「! 行きましょう…!」

 

 

グレイフィアの指示を受け、リアスを筆頭にオカルト研究部の面々は現れた赤い魔法陣の上へと移動する。

 

 

「頑張ってね、小猫」

 

 

「! はい…」

 

 

「お前も派手に暴れて来いよ、朱乃」

 

 

「! ふふっ、分かりましたわ♪」

 

 

リクオと一護の言葉に、笑みを浮かべながら答える小猫と朱乃…。

 

 

「気を付けてくださいね、木場先輩、アルジェント先輩」

 

 

「応援してるわよ」

 

 

「うん、ありがとう、2人共」

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

雪菜とシノンの言葉に感謝する裕斗とアーシア…。

 

 

「兵頭一誠、ふざけた真似をしたら即刻殺すから」

 

 

「くれぐれも気を付けてください…私達はしっかりと見ていますから…」

 

 

「それ人を戦いに送り出す時に言うことじゃないよねッ!!??」

 

 

紗矢華とヤミの言葉に思わずツッコむイッセー…。そして…

 

 

「部長」

 

 

「! 何かしら、当麻…?」

 

 

「…思い切りやってこい」

 

 

「…ええ、当然よ」

 

 

当麻とリアスのやり取りが終わった瞬間、グレモリー眷属はその場から姿を消した。

 

 

「では、私も失礼致します」

 

 

更にグレイフィアもその場を離れた結果、この部屋に居るのは当麻やユウキ達のみとなった…。すると、

 

 

「…さて、いい加減教えてちょうだい」

 

 

「…何の話だ? シノン…」

 

 

「惚けないで…アンタ達には大体予想が付いてるんでしょ…? 今回のゲームの結果がどうなるのか…」

 

 

シノンが当麻達3人にそう尋ねてきたのだ。ユウキ達5人もそれを聞いて注目し始める…。

 

 

「うん…そうだね…」

 

 

「まあ、確かに結果は予想できてる…。だろ? 当麻…」

 

 

「…ああ…」

 

 

そして、当麻はこう断言した……。

 

 

 

「このゲーム……リアス達が負ける……」

 

 

―――――それからしばらくして、グレモリー眷属は今回のレーティングゲームにおいて…敗北を喫した―――――

 

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