ハイスクールD×D ~とある三雄の物語~   作:無颯

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タイトル通り、今回で決着です。当麻が少しだけ暴れます…。自分のネーミングセンスを何とかしたい…。



また前回の後書きにも載せましたが、“シンフォギアの亡き装者達(奏やセレナなど)を参戦させるかどうか”や、“リュドミラとミラジェーンの愛称被り(どちらもミラ)に関する件”についての意見もお待ちしておりますので、何かある方はぜひ…。特に後者に関しては結構切実です…。


失礼しました。では本編をどうぞ。




決着

「久しぶりだな、焼き鳥野郎…」

 

 

「き、貴様等はッ!!??」

 

 

そう言い放った男──上条当麻を始め、一護やリクオの姿を見て驚きを露わにするライザー。その一方で、

 

 

「あらあら、これは…」

 

 

「…無事だったんですね、リクオ先輩…。よかったです…」

 

 

「でもまさか、こんな形で戻ってくるとはね…」

 

 

今まで行方知れずだった当麻達の登場に、朱乃や小猫、裕斗は驚きと同時に心から安堵し…

 

 

「当麻……」

 

 

リアスは自身の中に渦巻いていた呵責(かしゃく)から解き放たれたせいか、思わず口元を押さえ…涙を流し始めた…。と、ここで、

 

 

「ば、馬鹿な!? 何故貴様等がここにいるッ!? 貴様等は…」

 

 

「“もう始末された筈”…とでも言いてえのか?」

 

 

「ッ!!??」

 

 

一護の発言を聞いたライザーが更に動揺する中、朱乃達3人は驚愕し、リアスは感動している様子から一転して、ライザーを睨み出す…。

 

 

「まあ、テメエが驚くのも当然か。現魔王にも探知されないような特殊な空間をわざわざ用意し、元最上級悪魔の“ベイガー・ヴォルフガング”にレーティングゲーム当日に俺達を始末するよう頼んだんだからなぁ…。俺達の仲間の神器所有者である…ヤミ達を好きにすることを条件に…」

 

 

「ッ!? ヴォルフガングだと!?」

 

 

「最上級悪魔の地位を剥奪され、現四大魔王に対して恨みを持っている者達と、ライザー殿が通じていたというのかッ!?」

 

 

「馬鹿なッ! そんなことがある筈がないッ! あの者達の世迷い言に決まっている!」

 

 

「いや、しかしそんな噂もあるにはあったぞ? もしそれが事実だとすれば、ライザー殿は事実上“反抗勢力となる可能性のある者達に協力した”ということに…」

 

 

リクオの口から飛び出した話の内容を聞いて、招待客である悪魔達も驚愕して騒ぎ始めた。どうやら“ヴォルフガング家と密かに通じていた”こと自体が問題のようである…。と、ここで、

 

 

「ライザー…彼等の言っていることは本当なのかい?」

 

 

「っ! な、何を仰っているのですか、サーゼクス様!! この人間共の作り話です!!」

 

 

「作り話、ねぇ…」

 

 

「ッ! 何が可笑しい…! ユーベルーナッ! 今すぐこの人間共を始末しろ!!」

 

 

「はっ!」

 

 

意味深な笑みを浮かべながら呟く当麻を見て、ライザーは自らの女王──ユーベルーナにそう命令した。するとユーベルーナは声を出すこともなく、眷属の少女達をほぼ全員召集する…。

 

 

「ライザー様を陥(おとしい)れようとした不届き者達を、排除しなさいッ!!」

 

 

ユーベルーナの指示を受けた12人のライザーの眷属達は、当麻達3人を一気に取り囲む…。しかし、そんな中…

 

 

「良いことを教えてやろうか? ライザー・フェニックス」

 

 

「何…?」

 

 

「あんたは大きな間違いをしてる…。一体何だか分かるか?」

 

 

「! 間違いだと…?」

 

 

「ああ…」

 

 

当麻が突然そう尋ねてきたのだ。とはいえ、ライザーがそんな問いに答える筈もなく…

 

 

「フンッ! 間違いを犯したのは貴様等の方だ…。やれッ!!」

 

 

取り囲んでいる眷属達に攻撃するよう指示を出した。そして、それを聞いた眷属の少女達が一斉に攻撃を開始しようした…その時だった…。

 

 

「間違えてんだよ…。たかが最上級悪魔程度で、“こいつ等”をどうこうしようって思ってる時点でな…」

 

 

ヒュッ!!×5

 

 

当麻がそう言った瞬間、当麻達3人の周りに6人の人物が現れたかと思うと…

 

 

「やあああああああああッ!!!」

 

 

「グッ!!???」

 

 

「ガハッ!!??」

 

 

1人が迫ってきていた騎士2名を“神速の剣戟”で貫き…

 

 

「「ハアアアアアアアアアアアアッ!!!」」

 

 

「「「「キャアアアアアアアアアアアアアアッ!!??」」」」

 

 

2人は戦車(ルーク)2名と兵士(ポーン)2名を、“槍と剣による一閃”で容易く沈める…。

 

 

「遅いです…」

 

 

「うん、全然相手にならないよ~♪」

 

 

2人は兵士(ポーン)4名を既に斬り伏せており…それを見ていた残りの兵士1名と僧侶(ビショップ)1名は…

 

 

「い、一体何が…」

 

 

「あ、あり得ない…」

 

 

目の前で繰り広げられた一瞬の出来事に呆然としていた。そして…

 

 

ドドォンッ…!!

 

 

「「え……」」

 

 

“背後からの銃撃”を受け…2名はその場に倒れ込んだ…。そう、これによってライザーの眷属12名は、僅か数秒で全員戦闘不能に陥ったのである…。

 

 

「なん、だとッ…!?」

 

 

その状況に絶句するライザー。だが、その理由はもう1つあった。それは…

 

 

「無事ですか、グレモリー先輩!?」

 

 

「! あなた達…!」

 

 

「うわぁ~! リアスさん、ウェディングドレス着てる~!」

 

 

「ちょっと、今日は婚約パーティーだったんじゃないの?」

 

 

「多分、あの男の趣向が原因ね…」

 

 

眷属を倒した人物達が、目の前にいる当麻達同様、この場に居ない筈の少女達──ユウキ、シノン、雪菜、紗矢華、ヤミ、芽亜の6人だったのだ。そしてリアスが驚く中、雪菜、ユウキ、紗矢華、シノンがそう言っていると…

 

 

「あの剣技…ま、間違いない! “絶剣使い”だッ!!」

 

 

「“絶剣使い”だと!? 騎士(ナイト)の者達の間で伝説となっている剣聖が、あんな小娘だというのか!?」

 

 

「な、なら、その隣にいる女があの“氷の狙撃手”か!?」

 

 

「ッ! 絶剣と共に行動し、異次元の遠距離攻撃能力を持っていると言われている…向こうも小娘ではないかッ…!!」

 

 

悪魔達が6人の戦闘の様子を見て、再び騒ぎ出したのだ。ユウキとシノンはそれぞれ“絶剣使い”と“氷の狙撃手”…

 

 

「あの銀色の槍と剣…“降魔兵器”かッ!!」

 

 

「ではまさか、あれが“光来の剣巫(こうきのけんなぎ)”と“烈光の舞威媛(まいひめ)”ッ!?」

 

 

「た、対悪魔戦最強の神器所有者じゃねえかッ!!?」

 

 

雪菜と紗矢華は“光来の剣巫”と“烈光の舞威媛”…

 

 

「あの自由自在に動く金色の髪と朱色の髪…ト、“変身(トランス)”ッ!!?」

 

 

「なっ!? こ、“金色の夜叉”と“赤髪の修羅”かッ!!?」

 

 

「か、かつて勢力にかかわらず、数多の悪魔や堕天使、天使を暗殺したとされている伝説の殺し屋姉妹だぞッ!!?」

 

 

そしてヤミと芽亜をそれぞれ“金色の夜叉”、“赤髪の修羅”と呼んだ…。

 

 

「な、何がどうなっているッ!!? こんな連中まで従えてるっていうのかッ!!? 一体…一体何者なんだよ、この人間達はッ!!?」

 

 

何処かの悪魔が目の前で起きている状況を全く信じられず、激しく混乱した様子で叫んだ。と、ここで、

 

 

「スッキリしたか?」

 

 

「少しはね…。本当はあの男もやりたいけど…」

 

 

「悪いな。あいつは上条さんの獲物だ」

 

 

「分かってるわよ。初めからそういう話でしょ…? さっさとあのお姫様を連れ戻してきなさい…」

 

 

「ああ…」

 

 

当麻はいつの間にか自分の背後に立っていたシノンとそんな会話を交わした所で、一護やリクオと共にライザーの下へと近付いていく。すると…

 

 

「くっ…!! 下がりなさいッ!!」

 

 

そんな当麻達3人の行く手を阻んだのは、ライザーの女王──ユーベルーナである。

 

 

「退いてくれないか?」

 

 

「女王が自らの王を前にして、そのような真似をすると思いますか?」

 

 

「…まあ、それもそうか…。なら…」

 

 

ユーベルーナの雰囲気を感じた当麻は、そう言って前に出ようとした。と、その時、

 

 

スッ…

 

 

「…!」

 

 

「悪ぃ、当麻。ここは俺達にやらせてくれ」

 

 

「…手短に頼む」

 

 

「ああ…」

 

 

一護とリクオが当麻を手で制しつつ、そう提案してきたのだ。そして当麻は一言指示を伝えると、2人と入れ替わるように後ろへと下がった…。

 

 

「念のためにもう一度言っておくぜ…? 今すぐそこを退きな…」

 

 

「何度言われようと同じことです。あなた方程度の者達の相手は、私1人で事足りるのですよ!」

 

 

そしてリクオの通告に対し、ユーベルーナは耳を貸すことなく攻撃しようとするが…

 

 

「縛道ノ六十一、“六杖光牢(りくじょうこうろう)”」

 

 

ガキィィィィンッ…!!!

 

 

「っ!!? こ、これはッ…!!?」

 

 

攻撃が行われることは無かった。一護の放った“6つの帯状の光”がユーベルーナに突き刺さり、彼女をその場に拘束したのである…。すると、

 

 

「言っただろ? “今すぐ退け”って…。だがアンタはそこに残った。ってことは…覚悟は出来てるってことでいいんだよなぁ…?」

 

 

「ヒッ…!!!?」

 

 

ユーベルーナはそう問い掛けてくる一護を見た瞬間、今までの女王としての威厳を完全に捨て去り、恐怖に満ちた表情を浮かべる。何故なら…一護の表情があまりにも冷たかったのだ…。

 

 

「この前のレーティングゲームを見て確信した。あんたは端(はな)から敵の不意を突くことしか考えてねえ…。だから小猫を闇討ちで仕留め、“フェニックスの涙”を隠し持ち、朱乃を倒すことができた…。確かにそれなら勝てはするだろうよ。けどな…」

 

 

「俺達にはそんな勝ち方が微塵も通用しねえってことを…今ここで教えてやる…」

 

 

そう言った瞬間、リクオは白煙に包まれ、一護は背中の巨大な愛刀、“斬月”を抜く…。

 

 

「纏(まとい)…“濃紅大申爪(こきくれないだいしんそう)”…」

 

 

「月牙…天衝…」

 

 

「イ…イヤッ……!」

 

 

一護は斬月に膨大なエネルギーを圧縮させて構え、白煙から姿を現したリクオは“斬月を更に上回る大太刀”を手にして構え始めた。それを見たユーベルーナは絶望の表情を浮かべ、何とか光の拘束から抜けだそうするが…言うまでもなく、その拘束はビクともしなかった…。そして……

 

 

「フッ!!!」

 

 

「オラアッ!!!」

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ…!!!!

 

 

2人の振り下ろした一閃は、ユーベルーナの“左右数十センチの所”を通過し、彼女に後ろにあった壁を完全に消滅させながら貫通していき……“数百メートル近くを更地”に変えてしまった…。

 

 

ペタンッ…

 

 

「ぁぁ……ぁ…」

 

 

「次からは女王らしい戦い方をしろ…」

 

 

「女王(クイーン)としての誇りをまだ持ってるならな…」

 

 

そんな攻撃を目の当たりにし、まるで魂が抜け出たように座り込むユーベルーナ。そんな彼女に対し、一護とリクオはそう言い放ち、当麻の下へと戻っていく…。

 

 

「終わったか?」

 

 

「まあ、な…」

 

 

「後はお前の役目だ。全部終わらせてこい」

 

 

「ああ…」

 

 

当麻は一護とリクオの言葉を聞くと、再び2人と入れ替わるようにして前に出る…。

 

 

「待たせたな、ライザー・フェニックス…」

 

 

「な、何だ…何なんだ、貴様等はッ!!?」

 

 

「あんたが前に言っただろ? ただの神器持ちの人間だよ…。訳あって“ある組織”を率いることになっただけの、な…」

 

 

動揺を露わにするライザーに対し、当麻は続けて“ある事”を切り出した。

 

 

「1つ、ゲームをしないか?」

 

 

「! ゲームだと…?」

 

 

「ああ…“俺とあんたの一騎討ち”っていう、簡単なゲームだよ」

 

 

「っ!? 当麻…!!?」

 

 

当麻の口から出た提案の内容を聞いて、驚きを隠し切れないリアス…。だが提案の内容は、それだけに留まらなかった…。

 

 

「あんたが勝ったら、俺を煮るなり焼くなり好きにしてくれて構わねえ。だが、俺が勝ったら…リアス・グレモリーを貰い受ける」

 

 

「何だとッ…!!?」

 

 

「っ…//////!!??」

 

 

真剣な表情で当麻がそう言い放つと、リアスはその言葉の内容を聞いて顔を真っ赤に染める。まあ、それも今の彼女には無理もない話なのだが…。一方で、

 

 

「人間風情が、俺を散々コケにした挙げ句、リアスを貰い受けるだとッ…!! 出来もしない戯(ざ)れ事をほざくなッ!!」

 

 

「な、何をしている!! 直ちにこの者達を…!!」

 

 

ライザーは怒りに打ち震えながら殺気を放ち始め、近くにいた親族と思われる悪魔が再び衛兵達に指示を出そうとした…その時だった…。

 

 

「それは実に面白い話だね。やらせてあげてはどうでしょう?」

 

 

「なっ!? サ、サーゼクス様ッ!?」

 

 

サーゼクスがそんな状況の中で口を出してきたのだ。それを聞いた親族の悪魔は、当然驚愕する。

 

 

「初めまして、と言った方がいいかな?」

 

 

「…あんたがリアスの兄か?」

 

 

「そうだよ。それにしても、まさか君が…いや、君達が来るとはね。正直な所、全く予想していなかったよ」

 

 

当麻の問い掛けに対し、何処か面白そうな笑みを浮かべつつ答えるサーゼクス…。

 

 

「さっきの言葉…俺の提案を呑んだと解釈していいんだな?」

 

 

「ああ。思う存分やってくれて構わないよ」

 

 

「ッ!! ほ、本気で仰っているのですか、サーゼクス様!?」

 

 

「彼等は私の妹に協力していた人間達でしてね。神器所有者であることも把握していました。ですが眷属でない以上、先日のレーティングゲームには参加させることが出来なかったのですよ」

 

 

驚きを露わにする親族の悪魔に対し、サーゼクスは当麻達について軽く説明したかと思うと…

 

 

「皆さんも見たくはありませんか? 伝説の不死鳥(フェニックス)と、これだけの二つ名持ちの神器所有者達を束ね、あの“絶対女王(アブソリュート・クイーン)”を従わせている人間との戦いを…!」

 

 

やや高らかな様子で尋ねてきたのだ。これには周りの悪魔達も困惑しつつ、ライザーと当麻の方に目を向ける…。

 

 

「ライザー、君もどうだい? “この場を盛り上げるための計らい”と思ってくれると嬉しいんだが…」

 

 

「…それは、御命令ですか?」

 

 

「そんなつもりは無いよ。僕はただ君と彼との戦いを見たいだけさ。もっとも、君がこの一騎討ちに勝利した時の対価として…“先程彼等が言っていたことに関して、聞かなかったことにする”というものを考えているがね」

 

 

「ッ…!」

 

 

サーゼクスが全く表情を崩さない一方で、ライザーは険しい表情を浮かべた。そして…

 

 

「いいでしょう…! このライザー・フェニックス、身を固める前の最後の炎をお見せしましょう!!」

 

 

「では、戦闘用フィールドについては私が用意致しますので、暫し御待ちを…」

 

 

「君もそれで構わないかい?」

 

 

「…ああ…」

 

 

グレイフィアがそう言って準備に取り掛かり始める中、サーゼクスの問い掛けに当麻は頷いた。すると…

 

 

「やめなさい、当麻!」

 

 

「! よぉ、部長。とりあえず元気そうで何よりだ」

 

 

リアスが当麻に声を掛けてきたのだ。それも…何処か辛そうな表情で…。

 

 

「もういいのよ! こんなことをしたら、あなたは…!」

 

 

そう声を掛けるリアスは、今にも再び泣きそうな顔をしていた。“せっかくこうして無事に戻ってきてくれたのに…”という想いが、彼女の中に渦巻いているのである。だが、そんな彼女に対して当麻は…

 

 

「俺が綺麗サッパリ終わらしてくるから…。もう少しそこで待っててくれ、“リアス”…」

 

 

「…////!」

 

 

柔らかな笑みを浮かべながら、そう言ってきたのだ…。いつもの“部長”という呼び方ではなく、“リアス”とハッキリ呼んで…。そして…

 

 

「準備が整いました。では、参ります」

 

 

 

☆☆

 

 

「“闘技場”って所か…」

 

 

現在当麻とライザーが居るのは、冥界の雰囲気が漂っている闘技場のような空間。どうやら、ここがグレイフィアの用意した戦闘用のフィールドらしい。

 

 

「にしても意外だったな。俺がリアスと会話しようものなら、すぐに遮ってくると思ってたんだが…」

 

 

「フンッ! そんな無意味なことをする気はない。後でたっぷりと可愛がればいい話だ。貴様等のことを思い出せないくらいにな…」

 

 

当麻がそう尋ねると、向かい合うように対峙しているライザーは鼻で笑いながら答える。その表情には…明らかな“賎(いや)しさ”が見てとれた…。

 

 

「ヴォルフガングとの関係…認める気は無いんだな?」

 

 

「認める筈が無いだろう。そもそも俺は、そんな連中と会ったことが無いんだからなぁ」

 

 

「…ユウキ達を狙ったことも、否定するんだな?」

 

 

「同じことを二度も言わせるなよ? 俺は一切知らん。貴様等がただそいつ等に襲われた…それだけのことだろう…?」

 

 

当麻の2度にわたる問い掛けにも、ライザーは馬鹿にしたような笑みを浮かべて一蹴していく…。

 

 

「まあ、貴様と残りの男2人を殺せば、あの女達もリアスと一緒に貰い受けることになるだろう。出来れば残りの女達も手に入れたい所だ。そうすれば、当分女に不自由する必要が無くなるだろうからなぁ…!」

 

 

「…手に入れるだと?」

 

 

「ああ、そうだ! 貴様等を殺して、あの女達を俺の“コレクション”に加えてやるよォォォォォォォォッ!!!」

 

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

 

 

そう言い放ちながら、当麻に極大の炎を浴びせた。当麻は動くこともなく喰らってしまい、巨大な火柱によって姿が見えなくなってしまう…。

 

 

「ハッハッハッ!!! 実にくだらん一騎討ちだったな!! まあ、無理もない。純血悪魔である不死鳥(フェニックス)の俺に、神器を持つだけの人間が勝てる筈が…」

 

 

と、その時だった…。

 

 

「随分早とちりをする焼き鳥悪魔だな」

 

 

「っ!? 何ッ…!!?」

 

 

ビュオオオオッ!!

 

 

そんな声が聞こえたかと思うと、巨大な火柱があっという間に霧散してしまったのだ…。当麻が軽く右手を払っただけで…。だが、ライザーが驚愕した理由は、それだけではなかった。

 

 

「ば、馬鹿な!? あれだけの炎を受けて、全くの無傷だとッ!!??」

 

 

そう、当麻はダメージを塵1つも受けていなかったのだ。それどころか、着ている服にも煤(すす)1つ無い…。

 

 

「あ、あり得ん!! フェニックスの炎をまともに喰らったんだぞ!!? それなのに何故ッ…!!?」

 

 

と、ここで…

 

 

「そういえば、1つ言い忘れてたことがあったな…。俺は別に、あんたと一騎討ちをするつもりなんかねえよ?」

 

 

「っ! 何だと!? なら貴様は、一体何をしに来たというのだ!!?」

 

 

突然当麻が口にした言葉の意味が分からず、動揺を隠し切れない状態のまま尋ねてくるライザー。そして、そんなライザーに対し、当麻はより鋭い表情を浮かべ…こう言い放った…。

 

 

「あんたのくだらない幻想を殺しに来たんだよ…。あんた自身に裁きを与えるついでにな…」

 

 

「っ! 裁きを与える、だと…?」

 

 

「ああ、そうだ。ここは戦うための場所なんかじゃねえ…。あんたの幻想を裁くための…“処刑台”だ…」

 

 

普段の彼であれば絶対に使わない言葉を口にした当麻は、右拳をライザーに向け…更にこう続ける…。

 

 

「終わらせてやるよ、ライザー・フェニックス…。あんたの幻想を…」

 

 

そして…

 

 

「“虹龍王の顎頭(アルカディア・ストライク)”…」

 

 

キィィィィィィィィンッ…!!!

 

 

当麻の右腕が光に包まれたかと思うと、そこには…イッセーの“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”によく似た形をしたモノが着いていたのだ。異なる点は色合いで、全体は“灰色”を基調としており、宝石のような部分は黒く染まっていた…。それを見て、

 

 

「な、何だその神器はッ!!? 何故その神器から、あの小僧の“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”が矮小に思える程のプレッシャーを感じるッ!!??」

 

 

「“赤龍帝の籠手”か…。当然だろうな。こいつは“赤龍帝の籠手”みてえな普通の神滅具(ロンギヌス)とは次元が違う…」

 

 

「ッ!? 普通の神滅具、だと…!!? まさか…それが上位クラスの神滅具だとでも言うつもりかッ!? あり得ん!! 十三種しかない神滅具の中でもレベルが違うと言われたモノが、こんなただの人間に宿る訳がッ…!!」

 

 

その神器から放たれる異常なプレッシャーと当麻の発言に、目に見えて混乱し出すライザー。だが…

 

 

「誰が“十三種の神滅具の1つ”って言った…?」

 

 

「…は…?」

 

 

「悪いが、こいつは十三種の神滅具の中には入ってねえよ」

 

 

「ッ!!? 馬鹿なッ!? その神器から放たれてるプレッシャーは、間違いなく神滅具クラスのもの!! そして神滅具は“現時点で”十三種のみ…っ!!? ま、まさか……!?!?」

 

 

「ああ、そうだ…」

 

 

何かに気付いて驚愕するライザーに対し、当麻は淡々とした様子でこう言い放った…。

 

 

「こいつはまだ誰にも知られていない…“十四番目の神滅具”なんだからな」

 

 

「ッ!!!?? 十四番目の神滅具、だと…!!??」

 

 

これには今ここで戦っているライザーだけでなく、リアスやサーゼクスなどを含めた観戦している全ての悪魔達が絶句した。当然である。“未確認の十四番目の神滅具”が、今ここに姿を現したのだから…。

 

 

「ふ、ふざけるなッ!! そんなモノを貴様が持っている筈がないッ!!!」

 

 

「それがあるんだよ。今こうして、あんたの目の前にな…」

 

 

「そんなものは貴様の戯れ言だッ!! それを今証明してやるッ!! この俺の炎で、貴様を跡形もなく焼き尽くしてなぁぁぁッ!!!!」

 

 

動揺を隠すように激昂したライザーは全身に炎を纏い、当麻に向かって突っ込んでいく。

 

 

ガッ!!!!!

 

 

「死ねえええええええええええッ!!!!」

 

 

そして互いの右拳がぶつかり合ったのを見て、ライザーが自らの炎の勢いを更に高めようとした…その時だった…。

 

 

『break』

 

 

バキィィィィィィィィィィィィィィンッ…!!!!

 

 

「………は………?」

 

 

何かが激しく割れる音が響いた瞬間、ライザーはたった今起きた現象が理解できなかった。まあ、無理もない。ライザーの纏っていた筈の炎が一瞬にして消えてしまったのだ…“ライザーの右腕”と一緒に…。

 

 

「ギ、ギィヤァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!???」

 

 

突如悲鳴を上げるライザー。いつもの彼であれば、腕が吹き飛んだ程度で騒ぐことはしないだろう。何しろ彼には“不死”の特性があるのだから…。しかし現在、吹き飛んだ右腕は再生する様子もなく…尋常ではない激痛が彼を襲っていた…。

 

 

「な、何だこれはッ!!? 何故俺の腕が再生しないッ…!!? き、貴様…一体何をしたァッ!!?」

 

 

「見ての通りだ…。あんたの右腕を消したんだよ。“右腕の再生する力ごと”な…」

 

 

「ッ!!? 再生の力ごと、だとッ…!!?」

 

 

訳が分からないといった様子のライザーに対し、当麻は自身の右腕を示しながら話し始める…。

 

 

「この“虹龍王の顎頭(アルカディア・ストライク)”の能力は、触れた相手の力の消去だ。大抵は能力を打ち消すだけなんだが…あんたは極端に不死鳥(フェニックス)の力に頼りきってる。だからあんたの再生の力だけでなく、右腕もろとも消し飛ばせたんだよ」

 

 

「ば、馬鹿なッ…!?そんなふざけた能力を持つ神器など、ある訳がッ…!!?」

 

 

「だからさっきから言ってるだろ…? こうして存在してるんだよ、あんたの目の前にな…」

 

 

「ヒッ…!!? く、来るなぁぁぁぁッ!!!」

 

 

『break』

 

 

バキィィィィィンッ…!!!

 

 

そう言いながら当麻が歩み寄ろうとしているのを見た瞬間、ライザーは完全に恐怖を覚えたような表情で叫びながら炎を放つ。だがそれは言うまでもなく、当麻の右腕によって容易く打ち消され…

 

 

ガシッ…!!

 

 

「ッ!? や、やめッ…!!」

 

 

『break』

 

 

バキィィィィィィィィィィィンッ!!!

 

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアッ!!!??」

 

 

瞬時に近づいた当麻が右手でライザーの左腕を掴んだかと思うと、割れる音と共に左腕が消し飛んだ。再び襲ってくる激痛に、叫び声を上げてのたうち回るライザー。最早そこに、今まで見せていた憎たらしい程余裕な姿は微塵もなかった…。

 

 

「こいつを発動させた以上、もう長引かせる気はねえ…。さっさと終わらせてもらうぞ…」

 

 

「ッ!! ま、待て!! 貴様は分かっているのかッ!! この婚約がどういう意味を持っているのかを…!!」

 

 

「…意味…?」

 

 

「この婚約は悪魔の未来のために重要なモノだ!! 貴様のような人間がぶち壊していいモノではないんだぞ!!?」

 

 

必死に今回の婚約についての意義を説明するライザーだったが、それを聞いた当麻は…

 

 

「くだらねぇ…」

 

 

「ッ!!? 何…だと…!?」

 

 

一蹴した…。

 

 

「未来のためだと…? そんなモノのために、リアスは女の子としての身体も心も、全て犠牲にしろって言うのか…? そんなモノのために、あんたのような奴に何もかもを汚されなきゃならねえって言うのかよ…」

 

 

当麻はそう口にしながら、右拳を強く握り始める…。

 

 

「そんなモノを振りかざすようなあんたに、ユウキ達は狙われて、怖い想いをさせられたのかよ…」

 

 

そして…

 

 

「あんたは女を何だと思ってやがる…! あんたは女の持つ想いを、一体何だと思ってやがる!! 答えろッ!! ライザー・フェニックスッ!!!」

 

 

今まで見せたことのない、怒気の籠(こも)った力強い声で言い放ったのだ。すると、それに対しライザーが放った言葉は…

 

 

「想い、だと…? ふ、ふざけるなァァァッ!!! 貴様こそ、そんなくだらないモノのために今回の婚約を潰そうというのかッ!! そんなどうでもいいモノを、この重要な場に持ってくるなッ!! 人間風情がァァァァァァァァッ!!!」

 

 

戦闘フィールドだけでなく、会場全てを沈黙させ…一部の者達を深く傷付けた…。恐らくライザーは気付いていないのだろう。自分が一体何を口にしたのかを…。

 

 

ガッ!!!!!

 

 

「グエッ!??!?」

 

 

誰を怒りの頂点へと導いたのかを…。

 

 

「そうかよ…。なら、もうやることは1つだ……」

 

 

『breakbreakbreakbreakbreak』

 

 

「なっ!!? 何をッ…!?!?」

 

 

左手でライザーの首を荒っぽく掴み上げた当麻は、そう言いながら自らの神器、“虹龍王の顎頭(アルカディア・ストライク)”に魔力を収束し始めた。ライザーが動揺を露わにするが…神器の能力で全てを塞がれた今の彼には、当麻を止める手立ては無い…。

 

 

「“テメエ”がこれ以上、ユウキ達を傷付けようとするなら…」

 

 

『break』

 

 

「テメエがこれ以上、リアスの夢とリアス自身を汚そうって言うなら…」

 

 

『break』

 

 

「冥界のふざけた柵(しがらみ)ごと…」

 

 

『break』

 

 

「ま、待っ…!!?!?」

 

 

そして………

 

 

「テメエのその幻想を、この右手でぶち殺すッ!!!!!!!」

 

 

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ……!!!!!!!

 

 

その一撃は何よりも重いモノだった。当麻の渾身の右拳を受けたライザーは、面白い程水平に吹き飛ばされ、轟音と共に闘技場の壁に激突した。その結果、そこに残ったのは……

 

 

「ァ……ァ………」

 

 

辛うじて息がありながらも、完全に白目を向いてしまっている“哀れな不死鳥の成れの果て”だった。すると、そんな意識の無い人物に対し、当麻は……

 

 

「今ので不死鳥(フェニックス)としての力は完全に消え去った。もう今のテメエは炎も再生の力も使えない……正真正銘の“焼き鳥野郎”だ……」

 

 

そう言い残し、倒れ伏すライザーに背を向けたのだった……。

 

 

『そこまで…。この勝負は君の勝ちだよ…上条当麻君…』

 

 

 

☆☆

 

 

戦闘フィールドが解除され、元の婚約パーティーの会場へと戻ってきた当麻。すると、そこで彼を待っていたのは……

 

 

「当麻ッ!!」

 

 

「うおっ!?」

 

 

リアスだった…。

 

 

「リ、リアスさん!? いきなり何をしてきているのでせうかッ!?」

 

 

「黙って!」

 

 

「は、はい…!」

 

 

突然のことに慌てる当麻だったが、リアスにピシャリと言われた瞬間、一気に硬直する…。

 

 

「うぅ…」

 

 

「! ハハッ、どうやら本当に心配させちまったみたいだな…」

 

 

「ホントよ…! ホントに…心配で…」

 

 

「…そうか…」

 

 

涙を流しながら言葉を紡いでいるリアスを見て、当麻は思わず柔らかな笑みを浮かべながら彼女の頭をポンポンと軽く撫でた。と、そこへ、

 

 

「まさか本当に、あの不死鳥(フェニックス)を打ち破るとはね。それも、こうもアッサリと…」

 

 

「! お兄様!!」

 

 

今回の一騎討ちを了承した人物が、そう言いながら歩み寄ってきた…。

 

 

「約束通り、彼女は君のモノだ。連れていってくれて構わないよ」

 

 

「…いや、リアスは俺のモノじゃねえよ」

 

 

「…では、彼女は誰のモノになるんだい?」

 

 

その人物──サーゼクス・ルシファーの問いに対し、当麻は迷いなくこう答えた…。

 

 

「リアスは“リアス自身”のモノ…。違うか…?」

 

 

「! 当麻…」

 

 

「…なるほど、確かにそうだね…」

 

 

その言葉を聞いたリアスは心から嬉しそうな笑みを浮かべ、サーゼクスも心底納得した…。と、その時、

 

 

「少しいいだろうか…?」

 

 

「! フェニックス卿…」

 

 

1人の男が当麻に声を掛けると、それを見たサーゼクスが少し驚きを見せる。その男は他でもない、先程当麻が倒したライザーの父親である…フェニックス大公だった。すると…

 

 

スッ…!

 

 

「……!」

 

 

「すまなかった…!」

 

 

何と彼は、当麻に対して深々と頭を下げてきたのだ。これには周りの悪魔達も大いに驚き始める。それを見て、

 

 

「お、お父様…!」

 

 

そんな大公に慌てて駆け寄ってきたのは、1人の少女。そう、ライザー・フェニックスの妹であり、眷属でもある“レイヴェル・フェニックス”である…。

 

 

「やめてください、お父様! 相手は兄様を…!」

 

 

「レイヴェル、お前も分かっているのだろう? この一連の事態の非は、紛れもなく私達にある。だからこそ、彼等を止めようとしなかった…。違うか?」

 

 

「! それは…」

 

 

父親にそう言われ、思わず言葉を詰まらせるレイヴェル…。

 

 

「息子は通じてはならない者達と通じ、君達の仲間に危害を加えようとした。そして何より…息子はリアス殿と契りを交わす資格も無かった…。この結果を招いたのは、息子の愚行を見抜けなかった私だ…」

 

 

そして、大公は続けてこう話した…。

 

 

「直系の人間がこれほどの過ちを犯したのだ。恐らくフェニックス家全体に処罰が下されることになるだろう…。これで償えるとは到底思っていない。だが…今はどうか、これで怒りを納めておいて欲しい…!」

 

 

沈痛な面持ちの大公の姿を見て、レイヴェルは俯いた。やはり大公の言っていた通り、自らの兄に非があることは分かっているようである…。すると、それを聞いていた当麻は…

 

 

「な、何を勘違いしているのでせうか?」

 

 

「! 勘違い…?」

 

 

「上条さん達は別に、フェニックス家を恨んでなどいませんことよ?」

 

 

「っ!? し、しかし、…」

 

 

「俺達はただ、“ライザー・フェニックス”っていう焼き鳥野郎を潰すために来ただけだ。フェニックス家なんて関係無いんだよ」

 

 

あっけらかんとした様子で、そう言ってきたのだ。更に…

 

 

「それにあんたは、ただの神器所有者の人間である俺に態々(わざわざ)頭を下げに来た…。それだけ見れば、あんたの人と成りくらい直ぐに分かる…。処罰を求める気も起きねえよ」

 

 

それを聞いた大公は、言葉を失う他無かった。当然である。目の前の少年が、この場にいる誰よりも達観しているように見えたのだから…。と、そこへ、

 

 

「まあ、つってもこのまま何も無しっていうのも示しが付かねえと思わないか?」

 

 

「! リクオ…」

 

 

そんなことを言ってきたのは、一護やユウキ達と共に近づいてきていたリクオだった…。

 

 

「つう訳で、ここは1つ俺達の方から条件を出してやろうじゃねえか」

 

 

「! 条件というのは、一体どのような…?」

 

 

大公は覚悟をしていた。どのような条件でも呑もうと…。そして、リクオが提案してきたのは…

 

 

「そこにいる妹も含め、焼き鳥野郎の眷属になってた奴等を、全員眷属から外せ」

 

 

「なっ!?」

 

 

「何故そのような要求を…?」

 

 

レイヴェル達合計14人を、全てライザーの眷属から解放するというものだった…。

 

 

「な、何ですの、その要求は!? そんな要求をして、一体何の得が…っ!? ま、まさか私達を…」

 

 

「勝手に誤解を招くような解釈をするんじゃねえよ、ったく…。安心しな。お前等を眷属にするつもりはねえよ」

 

 

「っ! それは、私達にはその価値が無いからですの?」

 

 

「いや、だから何でそういう解釈になるんだよ…。はぁ…仕方ねえ…」

 

 

誤った解釈をするレイヴェルに対し、リクオはこう話し始める…。

 

 

「レーティングゲームの話になるが…あの焼き鳥野郎に眷属にされたことで散々愚痴ってたな…? お前、実は本当に心の底からアイツの眷属を辞めたかったんじゃねえのか?」

 

 

「っ…!」

 

 

「やっぱりか…。強いて挙げるなら、そいつが俺の提案の理由だ」

 

 

「なっ!? 益々意味が分かりませんわ!! 一体何がしたい…」

 

 

レイヴェルがそう言おうとすると、それに対してリクオは…

 

 

「妹が本気で嫌がることをするなんざ、兄貴のすることじゃねえ…。そうは思わねえか?」

 

 

「ッ…!」

 

 

その言葉に、レイヴェルは反論を述べることが出来なかった。当然である。それは…彼女がずっと心に締まっていた本音だったのだから…。

 

 

「で、どうなんだ? 俺の要求、受け入れるのか?」

 

 

「! あ、ああ…。元よりそうするつもりだった。恐らく形として、私の妻の眷属になると思うが…」

 

 

「まあ、それが妥当な所か…。悪いな、当麻。色々水を差しちまった」

 

 

「いや、むしろ丁度良かったぜ、リクオ。確かに示しは必要だったからな」

 

 

大公の返答を聞いたリクオは当麻に軽く謝るが、当麻は全く気にした様子もなく、そう返した…。と、ここで、

 

 

「当麻、そろそろ行くぞ。頭の固い連中が騒ぎ出しそうだからな」

 

 

「! そうだな…。失礼するぜ、リアス」

 

 

「え…?」

 

 

一護にそう言われた当麻は、ある行動に出る。それは…

 

 

スッ!

 

 

「キャッ////!」

 

 

リアスを“お姫様抱っこ”の形で抱え上げるというものだった。突然のことにリアスは思わず可愛らしい悲鳴を上げ、更に自分の今の状態が分かると、顔を一気に真っ赤にして俯き出してしまう…。

 

 

「セフィリア」

 

 

「ここに…」

 

 

「撤収する。全員に指示してくれ」

 

 

「分かりました」

 

 

そして、いつの間にか側に控えていたセフィリアにそう伝えると…ここで当麻は動き出す…。

 

 

「リアス・グレモリーは、俺達が預からせてもらう。もしまたこいつの身体や心を傷付けるような幻想が現れるなら、その時は容赦無く壊すことになるだろうな…」

 

 

リアスを抱えながら宣言をし始める当麻。周りの悪魔達はそれをただ呆然と聞いている…。

 

 

「そういえば、まだ名乗ってなかったな…。俺達の組織の名は…“アイエール”…。念のために忠告しておくが、下手に俺達の周りを嗅ぎ回るなよ? もしそれで俺達に……特に俺達の大事なモノに危害を加えようって言うなら…その時は、冥界そのものを壊しかねないんでな…」

 

 

普段の彼からは想像も付かないほど、今の当麻の宣言には確かな覇気が存在していた。『その忠告を破れば、本当に〝冥界”という巨大な世界を破壊してしまうのではないか』という畏れを、当麻はこの場にいる全ての悪魔に放ったのである。そして、そんな宣言を終えた当麻はリアスを抱えて撤収しようとした、その時、

 

 

「当麻君!」

 

 

「一護君…!」

 

 

「リクオ先輩…!」

 

 

裕斗、朱乃、小猫の3人が当麻達と共に駆け寄ってきたのだ。すると、それに対し…

 

 

「悪いな、朱乃。詳しい話は後だ」

 

 

「小猫も向こうで会おうぜ」

 

 

「まあ、そういう訳だ…。行くぞッ!!」

 

 

ヒュッ!!!

 

 

一護、リクオ、そして当麻がそういうと同時に、彼等だけでなくユウキや雪菜達6人と、エレオノーラや響、エルザなどの周囲を固めていた神器所有者の面々、そしてセフィリアの姿が一斉に消える。そんな彼等を追跡しようとする者など……当麻の忠告が焼き付いてしまっている彼らの中にいる筈もなかった…。そんな中、

 

 

「今回の婚約、このような形になってしまい、大変申し訳ない、フェニックス卿」

 

 

「とんでもありません、“グレモリー卿”。今回の縁談を潰したのは、明らかに我々の方だ。多大な御迷惑を与えてしまったこと、深くお詫びします」

 

 

フェニックス大公と1人の男がそんなやり取りを交わしている。言うまでもなく、もう1人の男は“グレモリー卿”。そう、リアスやサーゼクスの父親である…。

 

 

「純潔の悪魔同士、良い縁談だと思ったんだが…どうやらそれ以前の問題だったようだ。まさか息子がこのような愚行を犯していたとは…」

 

 

「あまり自身を責めないで下さい、フェニックス卿。私もあの娘(こ)に自分の欲を重ね過ぎた…。今の私には、娘に掛ける言葉もない」

 

 

そう話す両者に共通しているのは、“反省”の二文字だった…。

 

 

「あの神器所有者の少年達には、礼も述べるべきだった。我々フェニックスの一族は、何かと自身の能力を過信してしまう。特にアレは…息子はあまりにも多くの過信を抱いていた。それが今回の愚行に繋がってしまったのだろう…」

 

 

「! それは…」

 

 

「だが、今回の事で改めて痛感した。フェニックスは“絶対”ではない…。それを深く戒めとして刻めたことだけでも、今回の婚約には大きな意味がありましたよ、グレモリー卿」

 

 

「フェニックス卿…」

 

 

「あなたの娘さんは、恐ろしいほど周りに恵まれている。下僕である“赤き龍を宿す者”は勿論、あれだけの二つ名持ち神器所有者達だけでなく、あの“時の番人”さえも従わせる神器所有者の少年達…。更にその内の1人は“新たな神滅具”を有している…。どうやらあなたの娘さんは、とんでもない者達と関係を持ってしまったようですな」

 

 

「ええ…それについては最早言葉も出ません。三大勢力全てを相手取れる程の新たな勢力、“アイエール”か…。これは冥界だけでなく、三大勢力全体が大騒ぎすることになるでしょう」

 

 

「いやはや、これからの世界は退屈しませんな…」

 

 

そう話す2人の表情は、悪魔の未来を左右する縁談を壊された当事者とは思えない程、非常に晴れやかなものだった…。

 

 

ちなみに…

 

 

「何でだよオオオオオオオオオオオオオオッ!?!?!? アーシアと約束して、左腕までドライグに支払ったのに、当麻達に全部持ってかれたアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!! しかも何だよ、あの超絶美女&美少女達はッ!!?? 全員凄え強そうだった上に、メチャクチャ可愛かったり綺麗な娘達ばっかじゃねえかッ!!! おまけにライザー達全員瞬殺するとか、もう意味分かんねえよッ!!?!? 反則とかそんなレベルじゃねえよッ!!?? もう本当に何なんだよオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!?!?!?!?(泣)」

 

 

『あー……とりあえず左腕はまだ無事だから…安心しろ、相棒。それとまあ、何だ……お疲れ……』

 

 

「ッ! ド、ドライグ~~~……!!(泣)」

 

 

血涙を流しながら、周りの悪魔達にドン引きされる程の勢いで泣き叫んでいる赤龍帝と……それを柄にもなく同情して慰めている赤い龍が居たとか、居ないとか……。

 

 

 

☆☆

 

 

冥界のとある上空を、1体の“巨大な青い龍”が飛んでいる。そしてその龍の背中には……2人の人物が乗っていた……。

 

 

「ふぅ…冥界の婚約式場に乗り込むっていうのは、思った以上にしんどいですな~。上条さんはもうクタクタだぜ…」

 

 

1人はそんな呟きとは裏腹に、悠然とその背中に立っている男―――上条当麻……。

 

 

「当麻……」

 

 

もう1人は、そんな当麻に抱きかかえられている少女―――リアス・グレモリーである……。

 

 

「言っただろ? “もし届かなかった時は、上条さん達が何とかしてやる”って…」

 

 

「ええ。でもまさか、こんなことになるなんて思ってもみなかったわ。あなた達3人が三大勢力全てを相手取れる程の組織を率いていて…その上あなたは存在すら知られていない“神滅具”の所有者だったなんて…」

 

 

「ハハッ、悪いな。“アイエール”のことも俺の神器のことも、元々口外する気は無かったんだ。特に俺の神器は知られると色々ヤバそうだから、適当な嘘で通していこうと思ってたんだが…」

 

 

「! ひょっとして、私の…」

 

 

当麻の言わんとしていることをそう予想したリアスは、申し訳なさそうに顔を俯かせる。そうなってしまったのは、“自分のせいだ”ということに…。

 

 

「それはリアスが気にすることじゃねえよ」

 

 

「! でも、あなたはこれから冥界だけじゃなく、三大勢力やそれ以外の勢力からも狙われることに…!」

 

 

「…まあ、そうなるかもな」

 

 

「なら、どうして…!」

 

 

そう問い掛けてくるリアスは、今にも泣いてしまいそうな表情を浮かべていた。“自分のために目の前の男が火の粉を被ろうとしている”ことが、とても苦しかったのだ。すると、それに対して当麻は…

 

 

「いいんだよ。俺は“自分のために”したんだからな」

 

 

「! 自分のため…?」

 

 

「ああ、俺は自分のために焼き鳥野郎を倒して、今回の縁談を潰した…。ユウキ達を汚そうとする奴にお前を渡したら、俺は多分一生後悔し続けたと思う。約束もしたからな…。まあ、色々言っちまってるけど、要は…」

 

 

そして、当麻は最後にこう言った…。

 

 

「俺が“お前を救いたい”と思ったから、こうしたんだ…。理由なんて、それで十分だろ?」

 

 

「ッ…/////////!」

 

 

リアスは自身の顔が沸騰しそうな程真っ赤になっていることに気付く。言っている事自体は月並みなものだろう。それこそ、何処ぞの小説か何かに出てきそうな言葉である…。

しかし、状況が悪い…。密かに気になっていた男が行方不明になってしまったかと思えば、本当に大人のような姿になって現れ、自分を汚そうとしていた男を圧倒的な力で倒し、こうして自分を“姫”のように救ってくれた挙げ句…飾らない表情での今回の言葉である。故に…

 

 

(こんなの…抑えきれる訳ないじゃない…//////)

 

 

「? どうしたんだ、リアス…?」

 

 

今のリアスには、それで十分だった。そして…

 

 

「んッ……//////」

 

 

「ッ…///////!!??」

 

 

リアスは自らの唇を…当麻のものに重ね合わせた…。頬を真っ赤にしながら目を閉じているその姿は…紛れもなく1人の年相応の少女のものである…。そして、ゆっくりとリアスの唇が離れた所で…

 

 

「リ、リアスさん…? 今のは一体、何でせうか…?」

 

 

「わ、私の“ファーストキス”よ…//////。日本では、女の子が大切にするものよね//////?」

 

 

「…!」

 

 

恥ずかしそうにモジモジとしているリアスの言葉を聞いて、思わず目を見開く当麻…。

 

 

「それは上条さんにあげる物じゃないと思うが…」

 

 

「いいえ、あなたにあげるべきものよ…////。この状況で、他にいるわけないじゃない…/////」

 

 

当麻の発言を聞いて、リアスは更に紅潮させてしまう…。と、ここで、

 

 

「でも、少し意外だったわ」

 

 

「? 何だよ、意外って?」

 

 

「あなたの事だから、何でキスされたかも分からずに慌てると思ってたの。ふふっ、流石に考え過ぎだったわね…」

 

 

「! あー…」

 

 

少し悪戯な笑みを浮かべながらリアスが尋ねると、当麻は少々目を泳がせ、言葉を詰まらせた。しかし…

 

 

「確かに…“あの頃の俺”なら、そうだったかもな…(ボソッ)」

 

 

「? 当麻…?」

 

 

「! いや、何でもねえ…」

 

 

これ以上ない小声での呟きは、抱きかかえられているリアスにも聞こえることはなかった。そして…

 

 

ギュッ…

 

 

「…///////!」

 

 

「そんじゃあ、帰るとしますか…“お前の居場所”に…」

 

 

「…ええ…/////」

 

 

当麻とリアスは青い龍の背に乗って、帰っていく…。学び舎の中にある、“とある部室”へと…。

 

 

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