ハイスクールD×D ~とある三雄の物語~   作:無颯

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という訳で、今回からエクスカリバー編に突入です。まあ、まだ割と平和な話ですが…。


では、本編をどうぞ。


月光校庭のエクスカリバー
当てる相手を間違えたら2分で処刑♪


使い魔探しの翌日、時刻はまもなく朝の6時を迎えようとしていた。そんな中……

 

 

(な、何故にまたこんな状況に…?)

 

 

この部屋の主であるツンツン髪の少年―――上条当麻は今、ベッドの上で仰向けに寝ながら絶賛困惑していた…。

 

 

「くぅ……くぅ……」

 

 

当麻の身体の上に乗りつつ掛布団の中で穏やかに寝ているのは、黒みがかった紫色の長髪が特徴の少女―――ユウキである。格好はいつもと同じく、フリルのあしらわれた淡い紫色のキャミソールとショートパンツの組み合わせ。一般的に見れば十分非日常的な光景だが、当麻自身にとっては割と日常的であるため、特に問題は無い…。

 

 

「スゥ……スゥ……」

 

 

当麻が目線を変えて右隣を見てみると、そこには銀髪のロングヘアーが目を引く戦乙女の女性―――エレオノーラ・ヴィルターリアが寝ていた。格好は所々レースがあしらわれた黒い下着のみである。こちらに関しては某赤龍帝辺りがもし目撃した場合、最大級の嫉妬の念を込めて襲ってくるだろうが、それでも彼女が居る頃には日常茶飯事であったため、当麻にとっては大いに問題ではあるものの何とか耐えることは出来る。最大の問題は…左隣であった…。

 

 

「んん……」

 

 

(何であなたはまた裸で寝てるんですか、リアスさぁぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!?!?!?)

 

 

そう、左隣で寝ているのは最近この屋敷で暮らすことになった悪魔の少女―――リアス・グレモリーである。その格好は……一糸纏わぬ姿、そのものだった。実はこの光景は当麻にとって初めてではなく、この屋敷で暮らすことになった当日からこのような形で寝ている。しかしいくら初めてではないとはいえ、この光景に関しては当麻も一切慣れることが出来なかった…。と、ここで、

 

 

「ぅん…」

 

 

「……!」

 

 

ここでリアスが目を覚まし、ゆっくりと目を開け始めた…。

 

 

「おはよう、当麻」

 

 

「お、おう…。リ、リアス? ちょっと聞きてえんだが…」

 

 

「? 何かしら?」

 

 

首を傾げるリアスに対し、当麻はこう尋ねる…。

 

 

「何でまた裸で寝てんだ?」

 

 

「あら、前にも言ったでしょ? 私は寝る時は裸なの」

 

 

「いや、この前それで散々ティッタ達から注意を受けただろ? “裸で寝るのはやめろ”って…」

 

 

「そうね。でも、やっぱり私はこうしないと寝れないみたいなの。ごめんなさいね、当麻」

 

 

「いや、別に謝る必要とかはねえんだけど…」

 

 

問い掛けに対するリアスの返答に、少々どうすればいいか戸惑う当麻。すると…

 

 

「代わりに、私の身体を好きにしていいわよ?」

 

 

「は…? いやいや、何でそういう話になるんですかリアスさん!?」

 

 

「あら、何か問題?」

 

 

「大いに問題だろ!? 話が完全に変な方向に向かってるとしか思えねえよ!?」

 

 

リアスが突如とんでもない提案を出してきたのだ。これには当麻もあからさまに驚き、思わず声を少し張り上げてしまった。その結果…

 

 

「んん……ふわぁぁぁぁっ…」

 

 

「何だ、朝から騒々しい……っ!」

 

 

ユウキが布団の中から寝ぼけ眼(まなこ)でモゾモゾと出てきたかと思うと、続いてエレンも若干目を擦(こす)りつつ、ゆっくりと起き上がったのだ。そして、エレンはリアスの姿を見た瞬間…

 

 

チャキッ!

 

 

「何故貴様はまたそんな恰好をしている? リアス・グレモリー」

 

 

「あら、朝からいきなり神器を突き付けてくるなんて、随分物騒ね?」

 

 

「貴様がそうさせているだけの話であろう? もっとも、貴様の態度によっては更に物騒な事態になるかもしれんが…」

 

 

すぐさま自らの神器である“アリファール”を手にし、その切っ先をリアスに向けたのだ。雰囲気的には非常に緊迫しているのだが、如何せん両者がそれぞれ下着姿と全裸状態であるせいで、何とも言えない状況となっている…。と、その時だった…。

 

 

 

バンッ!!

 

 

「「ッ…!?」」

 

 

「フッ!!」

 

 

「ちょっ…!?」

 

 

ガガガガガガッ…!!!

 

 

いきなり部屋のドアが勢い良く開かれたかと思うと、リアスとエレンに向かって何かが飛来してきた。2人は咄嗟にその物体を避けるが、それはそのまま部屋の壁に突き刺さる。その正体は…氷で出来たクナイ状の破片だった。これには言うまでもなく攻撃対象にならなかった当麻でさえ、驚きを隠しきれない…。と、そこへ、

 

 

「朝から随分下品な争いをしていたようね、貴女達…」

 

 

入ってきたのはショートカットの青い髪が特徴の小柄な女性―――リュドミラ・ルリエだった。どうやら先程の攻撃は、彼女が放ったもののようである…。

 

 

「こんな物騒な邪魔をしてくる貴女には言われたくないわね。それに、もし当麻に当たったらどうするのよ?」

 

 

「そんな下らないミスをする程、私は愚かじゃないわ。まあ、そこにいるエレオノーラなら頭に血が上ってやりかねないでしょうけど…」

 

 

「ほぉ…? いきなり随分と大層な戯れ言を言ってくれるではないか。これは今すぐそんな戯れ言が言えぬよう、少し灸を据える必要がありそうだな。そこにいる悪魔の娘と一緒に…」

 

 

「ふふっ、なら貴女にそんな真似が出来ないことを、この場で証明してあげるわ。“殲滅姫(ルイン・プリンセス)”に灸を据えることには同意するけど…」

 

 

「あまり下に見るのは良くないんじゃないかしら…? うっかり滅ぼされないようにして頂戴…」

 

 

そして、部屋全体が3人によって一触即発の雰囲気に包まれた瞬間……

 

 

ガキィィィィィィィンッ…!!!!

 

 

エレンのアリファールとリュドミラのラヴィアスがぶつかり合ったことで、一気に戦闘へと発展した。リュドミラに関しては普段と同じ服装をしているが、エレンとリアスに関しては依然として“そのままの格好”であるため……やはり何とも言い難い光景である。そんな中、

 

 

「相変わらず騒々しい朝ね。まあ、ついこの間までと比べて一気に人数が増えた訳だし、当然でしょうけど…」

 

 

「! シノンか。おはよう」

 

 

「ええ」

 

 

いつの間にか当麻の傍へやってきていたのは、黒のショートカットと眼鏡が特徴の少女―――シノンだった。

 

 

「それで? どうするの、この状況?」

 

 

「…上条さんがこの状況を止められると思いますでせうか?」

 

 

「力で考えれば十分可能でしょうけど、総合的に言えば…無理ね」

 

 

「だよな…。はあ…」

 

 

あっさりとした口調でシノンにそう言われ、思わず溜息を吐く当麻。ちなみに当麻は先程のリュドミラの攻撃もあってか、上半身は既に起こしている。だが未だに完全にベッドから出ることは出来なかった。何故なら…

 

 

「んぅ…とうまぁ…?」

 

 

「? どうした、ユウキ?」

 

 

「もうすこしだけ、寝ててもいい…?」

 

 

「! あ、ああ…」

 

 

「ん…ありがとぉ…」

 

 

寝足りない様子のユウキがガッチリと当麻に抱き着いた状態でいるのだから…。そして当麻からの返事を聞いたユウキはゆっくりと目を閉じ、そのまま再び眠りに就いてしまった…。

 

 

「とりあえず…しばらくはこのままだな」

 

 

「そうね。収まるにはまだ時間が掛かりそうだし…」

 

 

結局その後ソフィーやリム、ティッタなどが駆け付け…主にソフィーの一声で状況は完全に収束した。ちなみにそんな状況の中でも、ユウキは幸せそうに当麻に抱き着いてぐっすりと寝ていたとかいないとか…。

 

 

 

☆☆

 

 

 

学校に関しては滞りなく終わり、既に放課後となっていた。そして、今回のオカルト研究部の活動は……

 

 

「行くわよ、イッセー!」

 

 

カキーンッ!

 

 

「オーライオーライ…っと!」

 

 

旧校舎裏を使った野球の練習である。ちなみに今はリアスがフライのボールを打ち上げ、それを取る守備の練習をしている…。何故このようなことをしているかというと、もうすぐ球技大会が近づいているらしく、オカルト研究部もそこに出場することになったのだ…。

 

 

「気合入ってるね、部長さん」

 

 

「ああ、まさかやりそうな奴を片っ端から練習しに掛かるとはな。ただのオカルト研究部なら普通出場すらしねえだろ…」

 

 

その様子を少し離れた所で見ながら、そんなやり取りを交わすリクオと一護。どうやら当麻達3人は休憩中のようである。と、そこへ、

 

 

「うふふ、部長はこういった行事が大好きですから」

 

 

同じように休憩へ入った朱乃が、そう言いながらやってきた。

 

 

「今回の球技大会でも優勝する気満々のようですわ」

 

 

「みたいだな。まあ、ウチにも行事や勝負事が好きな奴等がいっぱい居るから、丁度良いと言えば丁度良いか…」

 

 

そう呟きつつ当麻が目を向けた先には……

 

 

「行くぞ先輩ッ! オラアッ!!」

 

 

「! ハアッ!!」

 

 

スパンッ…!!

 

 

「フッ…」

 

 

「いや、“フッ”じゃねえよッ!? 何でボールがバットで真っ二つになるんだよ!? トンデモにも程があるだろッ!?」

 

 

「…流石だな」

 

 

「流石だね」

 

 

「お前等も感心してんじゃねえッ!! そんな要素1つもねえだろうがッ!!」

 

 

アカメとクロメの姉妹が見ている中、翼がクリスの投げたボールをバットで一刀両断していたり…

 

 

「行くデスよッ! ゴッ○・ハーーーンドッ!!!」

 

 

「切ちゃん、それゴールキーパーの人がやる技だよ…?」

 

 

「あんたのポジションは絶対ゴールキーパーじゃないでしょ」

 

 

「あの、技そのものについては何も言わなくていいんでしょうか…?」

 

 

切歌の口から飛び出した明らかに問題のある技名に関して、調と紗矢華、雪菜がそれぞれツッコんでいたり…

 

 

「行くぞ、ルーシィッ! ハアッ!!」

 

 

「ひぃぃぃぃぃっ!?!?」

 

 

「ふふっ、エルザも負けないくらい気合入ってるわね♪」

 

 

「は、はい、でも……」

 

 

「今度やるのって、球技大会だよね? なのに…」

 

 

「何でバドミントンの練習してるの…?」

 

 

エルザとルーシィのバドミントンの練習の様子を見たミラジェーンがそう言う中、ウェンディとリサーナ、レビィは練習している競技自体が間違っていることに思わず苦笑いを浮かべていたりしていた…。

 

 

「あらあら」

 

 

「少なくとも向こうには真面(まとも)な練習をしてる奴等はいねえな」

 

 

「そ、そうみたいだね…」

 

 

その光景を見て朱乃が若干面白そうに笑う一方、一護とリクオは若干顔を引きつらせながら呟く。

 

 

「ま、まぁ、でもこっちは真面な練習をしてるみたいだぞ?」

 

 

ここで当麻が野球の練習をしているリアス達の方に目を向けると…

 

 

「響、行くよー!」

 

 

「うん!」

 

 

パシッ!

 

 

「イッセーさん、行っきまーす!」

 

 

「おう!」

 

 

パァンッ!

 

 

そこではセンター辺りにいた未来がセカンドにいる響に向かってボールを投げ、更に響がそのボールをファーストのイッセーに送っていた。どうやら送球の確認をしているようである。

 

 

「オッケーよ! 次! 行くわよ、ララ!」

 

 

「はーい!」

 

 

カキーンッ!

 

 

それを見たリアスは、レフト辺りに居るララに向かってフライを打ち上げた。ララはそれをあっさりとキャッチし…

 

 

「じゃあイッセー、行っくよー!」

 

 

「あ! 姉上、待っ…!」

 

 

「そーれッ!!」

 

 

ナナが止めようとする中、それを思い切りイッセーに向かって投げたのだ…。さて、問題である。大魔王の能力を最も受け継いでいるララが思い切り投げたら、一体どうなるか? 正解は……

 

 

ビュオッ!!!

 

 

「はい?」

 

 

ドゴッ!!!

 

 

「ゴフッ!?!?」

 

 

ドサッ…!!

 

 

「イ、イッセーッ!?!?」

 

 

異常なスピードで向かっていき、唖然とするイッセーの腹部に直撃。あまりの威力にダウンする結果となり、慌ててリアスが駆け寄る事態となった。

 

 

「ゴ、ゴメンね~! ちょっと加減間違えちゃった~!」

 

 

「あー、完全に気絶してるな、あれ…」

 

 

「え、ええ。お姉様の場合、ボールも加減を間違えただけで凶器になってしまうから…」

 

 

ララがいつもの調子で謝罪の言葉を述べる中、妹のナナとモモはそう話しながら複雑な笑みを浮かべる他ない…。

 

 

「えっと…あっちは練習どころじゃなくなってるみたいだね…」

 

 

「イッセーの奴、大会の前に練習で色々終わるんじゃねえか? あいつも最近当麻並みに不幸な目に遭ってやがるし…」

 

 

「きっと大丈夫ですわ。今みたいにアーシアさんがすぐに回復してくれますから」

 

 

「…あいつが不幸な目に遭うってことは否定しねえんだな…」

 

 

「あー、そこで上条さんの不幸と比較するのは色々悪意を感じるんだが…?」

 

 

リクオと一護と朱乃のやり取りを聞いて、自身が比較対象として挙げられている事にさり気なくツッコむ当麻。

 

 

「ま、つっても全員運動神経に関しては殆ど問題無いからな。何とかなるだろ?」

 

 

「! あ、ああ」

 

 

「ええ♪」

 

 

「そうだね」

 

 

一護の言葉に当麻もひとまず同意し、朱乃やリクオもそれに続く。そしてその後も練習は続いた…。

 

 

(気掛かりなこともあるが、な…)

 

 

もっとも、最初から何処か“心ここに在らず”といった様子の裕斗に、当麻達3人は目を向けていたが…。

 

 

 

☆☆

 

 

 

迎えた球技大会当日。やはり運動神経の塊が揃いまくっているオカルト研究部は、野球部やサッカー部といった強豪を押さえてトップに立っていた。そして現在行われている競技は“ドッジボール”なのだが……

 

 

「イッセーを、殺せええええええええッ!!!」

 

 

ビュンッ!!

 

 

「どわっ!? な、何で俺こんな集中砲火受けてんのォォォォッ!?!?」

 

 

その男―――兵藤一誠は今、対戦相手である15人の野球部の男子達全員から狙われていた。では一体何故このようなことになっているのか? それは他のオカルト研究部の競技参加メンバーに対する、彼等の心情が大きく反映されていた。簡単に説明すると……

 

 

リアス、朱乃 → “駒王学園の二大御姉様”と呼ばれる存在。当てたくない。

 

アーシア → 2年における随一の癒し系美少女。当てたくない。

 

小猫 → 学園のマスコット的存在の美少女。当てたくない。

 

ユウキ、雪菜、ヤミ、響 → 転入して早々1年において高い人気のある美少女達。当てたくない。

 

アカメ、クロメ → 高等部でも有名な黒髪美少女姉妹。当てたくない。

 

裕斗 → 当てれば女子からの非難殺到。当てたいが、当てられない。

 

当麻、一護、リクオ → 当てる前に返り討ちにされるだろう、特に一護は…。当てたいが、当てられない。

 

 

 

イッセー → よし、殺そう! 今すぐ殺そう!

 

 

『イッセーを始末しろオオオオオオオオオオオオッ!!!』

 

 

「始末ってなんだよ!? 何で俺ドッジボールで殺されそうになってんのッ!?」

 

 

観戦者を含めた生徒達全員からの言葉に、思わず渾身のツッコミを入れるイッセー…。それを見て、

 

 

「だ、大丈夫かな、イッセーさん?」

 

 

「心配しなくても平気です、響。むしろあの男が排除されれば、学園が平和になります」

 

 

「ダメだよ、ヤミ。せめて半殺しくらいに留めないと」

 

 

「お前も本当イッセーには容赦ないよな、リクオ…」

 

 

心配する響に対してヤミがそう言うと、リクオはその発言を咎め、当麻はそんなリクオの言葉に思わず表情を引きつらせる。と、ここで、

 

 

「いいんでしょうか? 先輩…」

 

 

「ま、イッセーのことはこの際放っておいても問題ねえだろ。むしろ本当に問題なのは……」

 

 

一護は雪菜の問い掛けにそう答えつつ、ある方に目を向けた。すると、そこには……

 

 

「やあやあ、青春を謳歌している諸君ッ! リア充は憎いかーーッ!!?」

 

 

『オオオオオオオオオオッ!!!』

 

 

「そこにいる下品な馬鹿を抹殺したいかーッ!!?」

 

 

『オオオオオオオオオオオオオオオッ!!!』

 

 

「ニューヨークに行きたいかーーッ!!?」

 

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!』

 

 

「では! そんな憎むべき対象に向けて! レッツ・ファキナウェーーーーイッ!!!」

 

 

パシッ!!

 

 

「審判台で意味不明な煽りをしてる馬鹿に向かってスパーキーング」

 

 

ドゴンッ!!!

 

 

「グフォアッ!?!?」

 

 

ガシャアアアアアアアアアアアンッ…!!!

 

 

え? 一体何が起こったかって? トチ狂った馬鹿がいつの間にか持っていたボールを投げたが、それを冷静に一護がキャッチし、それを思い切り投げ返して審判台ごと吹っ飛ばしただけですが?

 

 

「アイタタタタッ…! いきなり何しちゃってくれてるんですかね~? アァッ!?」

 

 

「いや、それはこっちの台詞だ。第一何でテメエがここに居やがる、ウェル」

 

 

そう、そのトチ狂った馬鹿というのは言うまでもなく…ウェルだった…。

 

 

「フッ、見ての通り…情熱(パトス)を感じに来たのですよ」

 

 

「いや、格好良さ気に言ってるつもりかもしれねえけど意味分かんねえからな? つかお前完全に部外者だろうが。どうやって校内に入りやがった?」

 

 

「フッ、僕には神出鬼没がデフォルトで備わってるのですよ」

 

 

「要するに不法侵入だな? 不法侵入して何事も無く審判の格好で審判をしてやがったと……マジで意味が分からねえ…」

 

 

微妙に格好良さ気な仕草をしながら話すウェルに対し、冷ややかな視線を送る他無い一護。無論彼を知っているオカルト研究部やアイエールの面々もまた、アーシアやララなどの一部の者達を除いて皆呆れや苦笑いを浮かべている…。

 

 

「やあやあ、そこの変態少年、調子はどうだい?」

 

 

「何サラッと人のこと変態呼ばわりしてんのッ!? 最悪だよッ!! アンタの変な煽りのせいで何か向こうが更に俺を殺す気満々になって、より最悪になったよッ!! つーか何で部外者の煽りに簡単に乗ってんだよ、テメエ等ッ!!!」

 

 

『決まっているだろうッ!! ニューヨークに行きたいからだァァァァァァッ!!!』

 

 

「いやいやいやッ!! もう俺を殺す理由すら意味分かんなくなってるんだけどッ!!?? それ絶対何処ぞの“ウル○ラクイズ”の話じゃんッ!? もう一切俺関係無くなってるよねッ!?」

 

 

「…でも変態は間違ってない」

 

 

「小猫ちゃぁぁぁぁぁんッ!! お願いだからここで話の腰を折らないでえええええええッ!!!」

 

 

暴走状態の博士とサラッと辛辣な発言をする白猫少女に、精神的大ダメージを負わされるイッセー。すると…

 

 

ガシッ!!×2

 

 

「……はい…?」

 

 

「調、切歌、そのバカをちょっと“解体”してきてくれ。多少のことなら許す」

 

 

「分かった…」

 

 

「任せるデース!」

 

 

「クリス、その馬鹿が2人に妙な事しねえように付いていってくれ。最悪蜂の巣にしても構わねえ」

 

 

「はぁ、しゃあねえな」

 

 

一護のそんな命を受け、調と切歌がウェルの両腕を引っ張って無理矢理引きずっていき、その後ろをクリスが付いていく。そして、4人の姿が見えなくなったかと思うと……

 

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ…………!!!!!!」

 

 

何処からともなく、そんな断末魔が響き渡った…。途中で鋸やら鎌やら拳銃やらの音が聞こえたような気もするが…まあ、気のせいである…。

 

 

「と、当麻、あの男は…」

 

 

「やめとけ、リアス。気にしたら色々負けだ…」

 

 

「そ、そうね…」

 

 

「と、とりあえず元凶は去ったみたいだし、これで平和に…」

 

 

リアスと当麻がそんなやり取りをする中、イッセーはようやくその場が落ち着くと思っていた。だが…

 

 

「奴を殺して、ニューヨークへ行くぞオオオオオオオオオッ!!!」

 

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!』

 

 

「何でだああああああああああああああああああああああっ!?!?!?」

 

 

状況は悪化したままだった。そして、その後も野球部によるイッセーへの猛攻は続く…。

 

 

「行くぞ!! ネオ・サイ○ロンッ!!!」

 

 

「いやそれサッカーの技だよなッ!? これドッジボールだろ!? つーかお前等野球部だろッ!?」

 

 

「波○拳ッ!!」

 

 

「危なっ!? 手を使えばいいって話じゃねえよッ!? ボール使えよ!! ていうか何でその技撃てんの!?」

 

 

「シャァァ~イニングゥ! フィ○ガァァァァァ~~~~~~~~~~~~ッ!!!!」

 

 

「やめろォォォォォッ!! もう色んな意味で危ないからやめろオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」

 

 

え? ボケとツッコミの応酬になってるって? いやいや、そんなことは……ありますね、うん…。と、ここで、

 

 

「こ、こうなったら当たって砕けてやるッ!! イケメン死ねエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!!」

 

 

イッセーが中々当たらないことに業を煮やしたのか、野球部の1人が裕斗に向かって渾身の一投を繰り出したのだ。いつもの裕斗であれば、何の問題も無くボールを取ったり避けたりしただろう。だが…

 

 

「っ! 木場! 何ボーッとしてんだよッ!!」

 

 

「あ、イッセー君…」

 

 

「チッ! おりゃああああああああああッ!!」

 

 

完全にボーっとしていて動かない様子の裕斗を見て、イッセーは咄嗟に渾身の横っ飛びをしつつボールをキャッチしようとした。そして……

 

 

キーンッ……!!!!!

 

 

「っ!?!??!?!?!?!?!?」

 

 

では、ここで問題。今のは一体何の音か? 正解は………イッセーの…いや、男子にとっての“最大の急所”に直撃した音である…。まあ、ここまでなら正直よくある光景であろう。だが、ボールの勢いはそこで止まることは無く……

 

 

ギュインッ!!

 

 

そこから異様な回転を以て、ある人物の方へと向かっていった。その人物とは……

 

 

「はい…?」

 

 

当麻だった…。超常現象としか考えられないような軌道で向かってきたボールに、彼は思わず完全に呆然としていた。その結果……

 

 

ドゴッ!!

 

 

そのボールは寸分違わず当麻の顔面に直撃し…

 

 

「ふ、不幸…だ……」

 

 

ドサッ…!!!

 

 

「ふぇぇっ!?」

 

 

「と、当麻…!!」

 

 

当麻はそのままお決まりの一言を残し、その場に大の字で撃沈してしまった。いきなりの事態に驚きの声を漏らすユウキと、慌てて駆け寄るリアス…。そんな中、

 

 

「あらあら、これは少々予想外でしたわ…」

 

 

「そ、そうですね。でも、お蔭で…」

 

 

「ああ…終わったな、この試合」

 

 

「? それはどういう…っ!」

 

 

朱乃の言葉に対するリクオと一護の発言を聞いて、ふと尋ねようとした小猫。しかし、彼女はその理由をすぐに察することが出来た。何故なら……

 

 

「当麻をやったのは…貴様だな…?」

 

 

「しかもこれって団体競技だから、皆にも責任があるよね…?」

 

 

『…………………(ガクガクガクガクガクガクッ!!!!)』

 

 

当麻に危害を加えようとする者に対して特に容赦の無い元外野の黒髪姉妹と、全身をこれでもかと震わせている内野の野球部男子達の姿が見えたのだから…。

 

 

「それじゃあ……」

 

 

「葬る…」

 

 

『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ…!!!!!!!!』

 

 

こうして本日二度目の断末魔と共に、その試合は2人の姉妹によって終わりを告げた。ちなみに……

 

 

「あぁ…地獄絵図が見えるなぁ…」

 

 

「し、しっかりしてください! イッセーさん! イッセーさんッ…!!」

 

 

アーシアに急所の治療を受けていたイッセーは、その光景を朧げな意識の中でそう表現したという…。あ、無論治療はズボンの上から行ってますよ、ええ…。

 

 

 

☆☆

 

 

 

球技大会は無事終了し、オカルト研究部は最終的に優勝することが出来た。しかし放課後、部員達が集合した部室には……

 

 

パァンッ…!!

 

 

誰かの頬が叩かれる乾いた音が響き渡った。叩いたのは部長であるリアス、そして叩かれたのは今日1日…いや、ここ最近ずっと“心ここに在らず”といった様子の裕斗だった…。

 

 

「少しは目が覚めたかしら?」

 

 

「…すみませんでした…。調子が悪かっただけです。今日はこれで失礼します」

 

 

「! 待ちなさい、裕斗…!」

 

 

裕斗は短くそう言い残し、リアスの制止も聞かずに部室を後にしようとした。すると…

 

 

「おい、木場!」

 

 

パシッ!

 

 

「どうしたんだよ!? お前最近マジで変だぞ!?」

 

 

「…君には関係ないよ」

 

 

「関係なくないだろ!? 俺達は仲間じゃねえか!!」

 

 

イッセーがそんな裕斗の肩を掴み、そう言ったのだ。だが、それでも裕斗の態度が変わる様子は無い…。

 

 

「仲間、か…。イッセー君、君は熱いね。でも僕は今、基本的なことを思い出したんだよ」

 

 

「? 基本的なこと…?」

 

 

「生きる意味、つまり…僕が“何の為に戦っているか”ってことさ」

 

 

「? そりゃ、部長のためだろ?」

 

 

「違うよ」

 

 

「…!」

 

 

その返答に衝撃を受けるイッセーだが、裕斗はそのまま話を続ける…。

 

 

「僕は“復讐”のために生きている」

 

 

「! 復讐…?」

 

 

「“聖剣・エクスカリバー”…それを破壊するのが、僕の生きる意味だ」

 

 

『……!』

 

 

最後にイッセー以外の者達をも驚かせるような言葉を残し、裕斗は今度こそ部室を後にしていった…。そして、しばらくした所で…

 

 

「そろそろ話してもいい頃合いなんじゃないのか、リアス」

 

 

「! 当麻…」

 

 

「ここ最近のあいつの様子がおかしいことくらい、俺達だって流石に気付いてる。色々聞きたい事もあるしな。特にあいつと…“聖剣・エクスカリバー”との関係について…」

 

 

当麻だけでなく、周りの一護やリクオ達も皆一様に真剣な表情を浮かべていることに気付いたリアスは、その詳細を話し始めた…。

 

 

 

☆☆

 

 

 

「あの、そもそも聖剣って一体…」

 

 

「聖剣は悪魔にとって最悪の武器よ。悪魔は触れるだけで身を焦がし、斬られれば即消滅することだってあるわ。つまり…」

 

 

「聖剣は悪魔を根絶やしにすることも可能な、“最大の天敵”とも言うべき代物なんです」

 

 

早速裕斗と聖剣の関係について話そうとしたのだが、そもそも悪魔になり立てのイッセーが聖剣についての詳細を知らないため、初めにそこから説明をすることになった。ちなみに聖剣の存在をそう表現したのは、リアスとモモである。

 

 

「お、恐ろしい武器ですね…」

 

 

「だが、1つ大きな問題がある。使い手が極端に限られるのだ」

 

 

「ええ、実際天界側にいる使い手も本当に僅かよ」

 

 

聖剣の恐ろしさに思わずそう呟くイッセーだが、エルザとミラジェーンがここでその難点を説明する。

 

 

「そうね。だから教会側は、聖剣の一種であるエクスカリバーを扱える者を、人工的に育てようと考えたの。それが……」

 

 

「“聖剣計画”」

 

 

『ッ…!?』

 

 

リアスが言う前にそんな単語を出したのは…一護だった。これにはグレモリー眷属の面々も驚く他ない。

 

 

「やっぱり知ってたのね」

 

 

「まあ、裏の世界じゃかなり有名な話だからな。つっても、かなり昔のことだが…」

 

 

「ええ、計画自体も完全に失敗したと聞いてるわ」

 

 

「! なんだ…」

 

 

一護とリアスのやり取りを聞いて、思わず安堵の声を漏らすイッセー。しかし…

 

 

「でも、ここでその計画の話が出るってことは、ひょっとして…」

 

 

「ええ…裕斗は、その計画の生き残りよ」

 

 

「なっ!?」

 

 

「木場さんが…!?」

 

 

芽亜が即座に察する中、リアスの口から出た裕斗に関する事実に驚愕するイッセーとアーシア。それは勿論、アイエールの面々も例外ではない…。

 

 

「裕斗以外にも、エクスカリバーと適応するために何人もの子供が育成されていたの」

 

 

「「…!」」

 

 

「エクスカリバーは今、7本存在している。だから複数の使い手が必要だった…」

 

 

「? 7本…?」

 

 

「本物のエクスカリバーは前の大戦でバラバラに壊れちゃったらしいよ。でも天界側はそれを拾い集めて、錬金術で今の7本のエクスカリバーに作り替えたみたい」

 

 

リアスの説明にイッセーとアーシアが引き続き驚く中、アカメとクロメが“エクスカリバー”に関して軽く補足を加えた。

 

 

「じゃあ、木場はその剣を使えるってことですか?」

 

 

「いえ、それは違います…」

 

 

「え……?」

 

 

「裕斗だけでなく、同時期に養成された全員が、エクスカリバーに適応できなかったらしいわ…。計画は失敗に終わったのよ」

 

 

「…!」

 

 

「失敗…」

 

 

ヤミがあっさりと否定する中、リアスの口から出た計画の結果にイッセーとアーシアは表情をより一層曇らせる。

 

 

「でも、一番の問題はここからだよ…」

 

 

「? 一番の問題…?」

 

 

「…計画の主導者が下した判断は、その被験者である子供達全員の処分だったんだよ」

 

 

「ッ!? 処分って、まさか…」

 

 

レビィの言葉にアーシアが疑問を感じる中、リクオはその後の顛末についてそう言ったのだ。イッセーもその“処分”という単語が何を表しているのか、簡単に察することが出来た…。

 

 

「既に瀕死の状態だった…。でも1人逃げ延びたあの子は、そんな状態でありながらも…強烈な復讐を誓っていた…。私はその強い想いを、悪魔として有意義に使って欲しいと考えたの…」

 

 

「そして、お前はあいつを自分の眷属悪魔にしたって訳か」

 

 

「! ええ…」

 

 

当麻の言葉にリアスは肯定するものの、その表情には明らかな心配の色が見て取れる。

 

 

「とりあえず、今は様子を見るしかないわ」

 

 

「そうですわね…」

 

 

「…裕斗先輩」

 

 

朱乃と小猫もリアスの判断に同意しつつ、複雑な表情を浮かべていた。だが、そんな中…

 

 

【一護】

 

 

【ああ、分かってる…】

 

 

リクオと頭の中でそんなやり取りを交わしながら、一護は“ある少女達”の方に目を向けていた…。

 

 

「計画の……生き残り……(ボソッ)」

 

 

不安げにそう呟いているベージュの髪の少女―――立花響を始めとした、7人の歌姫達に…。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

その日の夜……

 

 

『以上が、現在判明している一連の事件の詳細です』

 

 

「……事実なのか?」

 

 

『はい、残念ながら…。こちらの不手際と申し上げる他ありません』

 

 

「………………」

 

 

その青年―――黒崎一護は、自室で誰かと話をしていた。相手の姿が無い所を見ると、どうやら通信でやり取りを行っているようだ…。

 

 

『先程の件については…』

 

 

「はぁ……表立ってするつもりはねえが、状況によってはそれとなくしてやる」

 

 

『! ありがとうございます』

 

 

一護のそんな言葉を聞いて、通信相手の人物は感謝の言葉を述べた…。

 

 

『“彼女達”の様子はいかがですか?』

 

 

「元気でやってる。ただ…今回の件で少し心配な部分も出て来たがな」

 

 

『! そうですか。やはり彼女達にも思う所が…」

 

 

「ああ…そう簡単な話じゃねえよ…」

 

 

ここで誰か他の人物達のことを話し始める一護と通信相手…。すると、

 

 

「―――――」

 

 

『何でしょう?』

 

 

「…場合によっては、“あのこと”をバラすかもしれねえ」

 

 

『ッ!! それは、一体どういう…』

 

 

「別に根拠がある訳じゃねえよ。ただ…そういう予感がしてるってだけの話だ…」

 

 

『…分かりました。そうなった場合の事も含め、対応を考えます』

 

 

「頼む…」

 

 

一護の発言に対し、一瞬大きな反応を見せながらも、すぐに元の冷静な口調に戻る通信相手の人物…。

 

 

『では、宜しくお願い致します』

 

 

「ああ、じゃあな…」

 

 

そして通信が切れると、一護はこう呟く…。

 

 

「確かに気掛かりだが……やることは何も変わらねえ……。ただ“護る”だけだ…」

 

 

その言葉には…尋常ではない覚悟が込められていた…。

 

 

 

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