ハイスクールD×D ~とある三雄の物語~   作:無颯

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新しい章に入ったので、OP曲とED曲を以下のように変更したいと思います。


OP → ストライク・ザ・ブラッド ~岸田教団&THE明星ロケッツ~

    (“ストライク・ザ・ブラッド” OP1)

ED → Rebirth-day ~高垣彩陽~

    (“戦姫絶唱シンフォギアGX” ED)


では、本編をどうぞ。


厄介事はふとしてやってきたりする

球技大会から数日後、突如“オカルト研究部に教会関係者が接触しに来る”という情報がもたらされた。相手はソーナ達生徒会メンバーを通して会談を申し出たらしい。しかもどうやら1人はイッセーの昔の友人で、既に先日兵藤家でアーシアと共に会っているようなのだ。

 

そしてリアスや当麻達オカルト研究部の面々は現在、その教会関係者である白いローブを羽織った2人の少女と部室で相対している…。

 

 

「会談を受けていただき感謝する。私はゼノヴィア…」

 

 

「紫藤イリナよ」

 

 

緑のメッシュが入った青いショートカットの少女──ゼノヴィアと、茶髪のツインテールの少女──紫藤イリナが初めに名乗った。

 

 

「神の信徒が悪魔に会いたいだなんて、どういうことかしら?」

 

 

それに対してリアスが若干皮肉混じりに尋ねると、イリナが単刀直入に話し始めた。

 

 

「元々行方不明だった一本を除く6本は、教会側の3つの派閥が保管していましたが、その内の3本が堕天使によって奪われました」

 

 

『ッ…!!』

 

 

「奪われた…!?」

 

 

それを聞いた瞬間、イッセーを始めとしたグレモリー眷属の面々が驚きを見せる一方、当麻達は深刻そうな表情を浮かべるに留まった。何故なら…

 

 

【本当に聖剣が盗まれるなんて…。まあ、相手が相手だから、しょうがない所はあるけど…】

 

 

【そうですね。でも、この人達が持っているのは…】

 

 

こうして頭の中で会話をしている紗矢華や雪菜のように、全員その事実を知っていた…。

 

 

「私達が持っているのは残ったエクスカリバーの内、この破壊の聖剣、エクスカリバー・デストラクションと…」

 

 

「私の持つこの擬態の聖剣、エクスカリバー・ミミックの2本だけ♪」

 

 

そんな中、ゼノヴィアは自身の傍らにある大剣について、イリナは自身の左腕に結われている紐のようなモノについて、それぞれ説明を加えた。

 

 

「それで? 私達にどうして欲しいというの?」

 

 

「今回の問題は我々と堕天使の問題だ。この町に巣食う悪魔に、要らぬ介入をしてこられるのは面倒なのでな。つまり…」

 

 

「リアス達は今回の一件に関わるな…ってことか?」

 

 

「! ああ、そういうことだ」

 

 

ここで当麻がゼノヴィアの言わんとしていることを口にすると、ゼノヴィアは少し反応を見せつつ肯定した。

 

 

「随分な物言いね。私達が堕天使と手を組んで、聖剣をどうにかするとでも…?」

 

 

「悪魔にとって聖剣は忌むべき存在だろう? 堕天使共と利害は一致しているじゃないか。もしそうなら、我々はあなたを完全に消滅させる。例え魔王の妹であろうと…」

 

 

そしてリアスの問い掛けに対し、ゼノヴィアが聖剣を手にしながら言い放った…その時、

 

 

 

 

「そんなこと、絶対に許さないよ?」

 

 

『ッ…!!?』

 

 

その瞬間、部室内を濃密な魔力が包み込み、オカルト研究部の面々や教会組の2人を驚愕させた。特に教会組の2人は思わず聖剣を手に掛け、戦闘態勢を取っている。その魔力の主は…いつもの天真爛漫な雰囲気を一切感じさせない程怒っているララだった…。

 

 

「あ、姉上!?」

 

 

「やめなさい、ララ!」

 

 

「…! でも…」

 

 

思わずナナが慌てる中、リアスが止めるよう言ってきたことに納得できない様子のララ。しかし、

 

 

「大丈夫だよ、ララ」

 

 

「! リクオ…」

 

 

「リクオさんの言う通りです、お姉様。ですから魔力を抑えてください」

 

 

「モモ……うん…」

 

 

リクオとモモの説得を受け、ララはようやく放出していた自身の魔力を抑えた…。

 

 

(いやいやいや、何だよ今の魔力!? ライザーが完全に霞むくらいヤバいじゃん!? 今の本当にララちゃんが放ってたのかよ!?)

 

 

イッセーが普段とあまりにもかけ離れているララの様子に大量の冷や汗を掻いていると、ここでリアスがこう宣言した…。

 

 

「私が魔王の妹であると知っているということは、貴女達も相当上に通じているようね。なら言わせてもらうわ。私は絶対に堕天使などと手を組んだりしない! グレモリーの名に懸けて、魔王の顔に泥を塗る真似はしないわ!」

 

 

すると、それを聞いたゼノヴィアは構えを解き、こう言い始める。

 

 

「それが聞けただけで十分だ。今のは本部の意向をそのまま伝えただけでね。私達も魔王の妹がそこまで馬鹿だとは思っていない…。まして、そちらにはあの大魔王“ギド・ルシオン・デビルーク”の娘達と、先日存在が確認された“アイエール”も味方に付いている…。教会としても、そこにいる者達との対立はごく一部を除いて是が非でも避けたがってるのさ」

 

 

「最初に聞いた時は半信半疑だったけど、本当に存在していたのね。しかも悪魔側に付いてるなんて…」

 

 

当麻達の方に目を向けながら呟くイリナ。どうやら先程のララを巡る対応を見て、彼等が本当にアイエールのメンバーであることを認識したようである…。

 

 

【おい、あたし等勝手に悪魔の味方扱いされてるぞ? いいのかよ?】

 

 

【…構わねえよ。これといって困ることはねえしな】

 

 

【いや、でもお前は…】

 

 

クリスと一護が頭の中でそんなやり取りを交わしている中、リアスとゼノヴィアは会話を続ける。

 

 

「そこまで理解しているなら、当然私達が神側…すなわち、あなた方に協力しないことも当然承知している訳ね?」

 

 

「無論だ。先程も伝えたように、この町で起こる出来事に対して不介入を約束してくれればいい」

 

 

「…了解したわ」

 

 

リアスから承諾の返事を聞くと、早速席を立つゼノヴィアとイリナ。

 

 

「時間を取らせてすまなかった」

 

 

「せっかくだから、お茶でもどう?」

 

 

「いや、これ以上悪魔と馴れ合う訳にはいかない…。では、失礼する」

 

 

そして、そのまま2人が部室を後にしようとした……その時だった…。

 

 

「!」

 

 

「…?」

 

 

ゼノヴィアが何故かある人物の方に目を向け、ふと歩みを止めたかと思うと……

 

 

「兵藤一誠の家を訪ねた時、もしやとは思ったが…アーシア・アルジェントか?」

 

 

「! あ、はい…」

 

 

「まさかこんな地で、“魔女”に会おうとはな」

 

 

『ッ…!?』

 

 

いきなりそう言い放ったのだ…。

 

 

「あー! あなたが魔女になったという元聖女さん? 堕天使や悪魔をも癒す能力を持っていたために追放されたとは聞いていたけど、悪魔になっていたとはね~…!」

 

 

「っ! あ、あの…私は…」

 

 

「アーシア…」

 

 

更にイリナが畳みかけるように言うと、アーシアは目に見えて動揺を露わにし始め、イッセーもそんな彼女を見て悲しげな表情を浮かべた。だがゼノヴィアはそんな彼女の様子に気を配ることも無く、言葉を続ける…。

 

 

「しかし聖女と呼ばれていた者が悪魔とはな…堕ちれば堕ちるものだ」

 

 

「ッ! テメエッ! いい加減にしろッ!!」

 

 

「イッセー先輩…」

 

 

「くっ…!!」

 

 

ゼノヴィアの発言にイッセーは思わず突っ掛かろうとするが、小猫の制止によって何とか押し留まる。いくら悪魔に転生して間もないとはいえ、ここでの対立によって生じる影響の大きさは流石に理解しているようだ…。

 

 

「まだ我等が神を信じているのか?」

 

 

「ゼノヴィア、彼女は悪魔になったのよ? 主を信仰している筈がないわ」

 

 

「いや、背信行為をする輩でも罪の意識を感じながら、信仰心を忘れられない者がいる。その子にはそういう匂いが感じられる」

 

 

「そうなの? アーシアさん、あなたは主を信じているの? 悪魔の身になってまで」

 

 

「っ…す、捨てきれないだけです…。ずっと、信じてきたのですから…」

 

 

イリナの問い掛けに対し、アーシアはついに涙を流しながら言葉を返した。すると…

 

 

「ならば、今すぐ我等に斬られるといい」

 

 

「ッ…!?!?」

 

 

「君が罪深くとも、我等の神は救いの手を差し伸べてくれる筈だ。せめて私の手で断罪してやろう。神の名の下に…」

 

 

「そのくらいにしてもらえるかしら」

 

 

目に見えて身体を震わせるアーシアにゼノヴィアが歩み寄ろうとした瞬間、ここでリアスが低い声色で話し掛ける…。

 

 

「私の下僕を、これ以上貶(おとし)めるなら…」

 

 

「貶めているつもりはない。これは信徒として当然の情け…」

 

 

「ッ…!!!」

 

 

そして、リアスにゼノヴィアが不敵な笑みを浮かべながら言葉を返そうとした瞬間……ついにイッセーの我慢が限界に達した。

 

 

バッ…!!!

 

 

『ッ…!!』

 

 

「ッ!? イッセー!」

 

 

「いけませんわ!」

 

 

「! イッセーさん…!」

 

 

制止する小猫を振り払ったかと思うと、リアスや朱乃が慌てて止めようとする中、アーシアを庇うようにゼノヴィアの前に立ちはだかったのだ。

 

 

「アーシアを魔女と言ったなッ!?」

 

 

「少なくとも、今は魔女と呼ばれる存在にあると思…」

 

 

「ふざけんなッ!!」

 

 

ゼノヴィアが言い切る前にイッセーは声を上げる…。

 

 

「自分達で勝手に聖女に祀(まつ)り上げといて…! アーシアはな、ずっと独りぼっちだったんぞッ!!」

 

 

「聖女は神からの愛のみで生きていける。愛情や友情を求めるなど、元より聖女の資格など無かったのだ」

 

 

「ッ! 何が信仰だ!! 神様だ!! アーシアの優しさを理解できない連中なんか、みんな馬鹿野郎だッ!!」

 

 

それを聞いて…

 

 

【言ってることが子供みたいだね。でも…】

 

 

【ああ…悪くない…】

 

 

アカメとクロメは珍しくイッセーの行動に感心していた。いや、恐らくこの場にいるアイエールの少女達は皆同じ評価をしているだろう…。

 

 

「…君はアーシア・アルジェントの何だ?」

 

 

「家族だ! 友達だ! 仲間だ! お前等がアーシアに手を出すのなら、俺はお前等全員を敵に回しても戦うぜッ!!!」

 

 

【! 一護…】

 

 

【ああ、分かってる】

 

 

ゼノヴィアに対してイッセーがそう言い放つ中、翼は何かに気付き一護に頭の中で話し掛ける。

 

 

「ほぉ? それは私達教会全てへの挑戦か? 一介の悪魔が大口を叩くね」

 

 

「イッセー、お止めなさい」

 

 

イッセーの宣言染みた発言に対してゼノヴィアが聖剣を構え出すと、ここでリアスが流石に危険と判断したのか、彼を止めに動き出そうとした。しかし…

 

 

 

 

「丁度良い。僕が相手になろう」

 

 

『ッ!?』

 

 

突如そんな声が部室に響き渡ったかと思うと、いつの間にか部室の入り口のドア付近に1人の青年が立っていた。それは…

 

 

「誰だ、キミは?」

 

 

「君達の先輩だよ…」

 

 

「! 裕斗…」

 

 

他でもない、ここ最近姿を見せていない裕斗だった…。そんな状況を見て、

 

 

【これはちょっとマズい雰囲気かな】

 

 

【ああ、多分な…。一護】

 

 

【! 何だ、当麻?】

 

 

【場合によっては……構わねえな?】

 

 

【…程々にしてやってくれ】

 

 

【分かってる…】

 

 

リクオや当麻、そして一護がそんな会話を頭の中でしていた…。

 

 

 

☆☆

 

 

 

場所は移り、当麻やリアス達は現在旧校舎近くの空き地に来ていた。何故なら…

 

 

「いいんでしょうか? 勝手に教会の者と戦うなんて…」

 

 

「これはあくまで、非公式の手合わせよ」

 

 

「だ、大丈夫でしょうか? 2人共…」

 

 

「向こうも手合わせと分かっている以上、本格的な戦いはしない筈だけど…」

 

 

「むしろ問題は、こちらにあると考えた方が良いだろう…」

 

 

そう、イッセーと裕斗、ゼノヴィア、イリナの4人が手合わせをすることになったのだ。その状況を見て朱乃とリアスがそんなやり取りを交わす一方、ミラジェーンとエルザはウェンディの問い掛けに対して複雑な表情を浮かべている。と、ここで、

 

 

「では、始めようか」

 

 

ゼノヴィアがそう言うと、彼女とイリナは同時に纏っていたローブを脱ぎ去り、どちらもボンデージを連想させるような黒い戦闘服姿となった。

 

 

「じゃあ、上にバレたらお互いにマズいし…!」

 

 

「殺さない程度に、楽しもうか」

 

 

ジャキンッ!!×2

 

 

そしてゼノヴィアは自らの持つ破壊の聖剣を包んでいた布を取っ払い、イリナは自らの左腕に結っていた白い紐を変化させ、自身の持つ擬態の聖剣の本当の姿を露わにした…。すると、

 

 

「ハハハッ…!」

 

 

「っ! 笑っているのか?」

 

 

「ああ…。倒したくて壊したくて仕方の無かったモノが、目の前に現れたんだからね…」

 

 

ガガガガガガガガッ…!!!

 

 

裕斗は何処か冷たさを感じさせる笑みを浮かべながら神器を発動し、自らの周りに大量の魔剣を出現させた。

 

 

【響、あの目…】

 

 

【うん…】

 

 

そんな様子を、響と未来が心配そうに見ているとも知らずに…。

 

 

「魔剣創造(ソード・バース)か…。思い出したよ。聖剣計画の被験者で、処分を免れた者がいたという噂をね…」

 

 

それを見たゼノヴィアは瞬時に裕斗の素性を見抜いた。一方、こちらでは…

 

 

「兵藤一誠君!」

 

 

「っ!? な、何だよ?」

 

 

「再会した懐かしの男の子が悪魔になっていただなんて、何て残酷な運命の悪戯!!」

 

 

「はあっ!?」

 

 

イリナの突拍子もないハイテンションに、イッセーが絶賛困惑していた…。

 

 

「聖剣の適性を認められて遙か海外に渡り、晴れて御役に立てると思ったのに! はぁ~ッ、でもそれも主の試練! でもそれを乗り越えることで、私はまた一歩真の信仰に近付けるんだわ~ッ!」

 

 

【ねぇ、切ちゃん、この人…】

 

 

【完全に自分に酔ってるデース…】

 

 

その酔いっぷりに、思わず内心呆れてしまっている調と切歌。だが…

 

 

「さあ、イッセー君! 私のこのエクスカリバーで、あなたの罪を裁いてあげるわ~ッ! ア~メンッ!!」

 

 

「っ!? 何だかよく分かんねえが…赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)ッ!!」

 

 

『boost』

 

 

イッセーも赤龍帝の籠手を発動させたことで、ついに火蓋が切って落とされた。裕斗はゼノヴィアと対立して斬り合いを始め、イッセーはイリナに対抗するという状況だ。それを見て…

 

 

【アカメ、翼、クリス、念のために聞いておくが、今の戦況をどう見る?】

 

 

【…一言で言えば、勝ち目はほぼ無いに等しい】

 

 

【ああ。木場は完全に冷静を欠いていると言っていいだろう。今回初めて戦闘を見ている以上、正確な実力は分からないが…恐らく本来の実力も半分も出ていない】

 

 

【ま、向こうの連中も大して強くはねえみたいだな。あとは…】

 

 

一護が戦闘の様子に関してアカメや翼、クリスに尋ねた。そしてクリスが物凄く微妙な表情を浮かべつつ、有る人物の方に目を向ける。その人物とは……

 

 

「ドレスー! ブレイクッ!!」

 

 

「ひっ!?」

 

 

ヒュッ!!

 

 

「まだまだァッ!!」

 

 

「な、何なのよ~ッ!!」

 

 

【あのどうしようもねえ変態バカを、どうにかすべきなんじゃねえか?】

 

 

【…全くだな…】

 

 

とてつもなく嫌らしい顔でイリナを追いかけ回している、イッセーのことである。傍から見たらどう見ても戦闘には見えない光景に、呆れるしかないクリスと一護。と、ここで、

 

 

「俺のエロを~ッ! 甘く見るなあああああッ!!!」

 

 

「ひっ!?」

 

 

シュンッ!!

 

 

「うおッ!?」

 

 

ついに追い詰めたイッセーは両手を突き出し、渾身のダイブをイリナに向かって行ったが…イリナはそれを咄嗟に屈むことで避けたのだ。しかも、その先には……

 

 

「……!?」

 

 

「ふぇ?」

 

 

偶々戦いの様子を見ていた小猫と…ウェンディの姿があった。では、ここで問題である。この後一体何が起こるだろうか? 正解は……

 

 

キィィィンッ!×2

 

 

イッセーの両手が2人の肩に触れた瞬間、魔方陣が設置され…

 

 

ドサッ!!

 

 

「いでっ!!」

 

 

パチンッ!!

 

 

「あ……」

 

 

地面に倒れ込んだ際の弾みで魔方陣が発動し……

 

 

ビリビリビリビリビリッ…!!!!!×2

 

 

「あっ……//////!?」

 

 

「ふ、ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ////////!!?!?」

 

 

2人の服を完全に吹き飛ばしてしまった。要するに…彼女達の未成熟な体を全て曝け出す結果となった訳である…。すると、それを完全に見たイッセーは鼻血を吹き出しつつ…

 

 

パンッ!!

 

 

「ありがとうございます! じゃなくて、これは…!!」

 

 

ドゴンッ!!

 

 

「ぬわああああああああああああああああああああああッ!?!?!?」

 

 

グシャッ…!!!

 

 

「…ドスケベ」

 

 

両手を合わせて拝んだイッセーに待っていたのは、言うまでもなく小猫の渾身のアッパーである…。

 

 

「あのね、これは天罰だと思うの。だからこんな卑猥な技は封印すること。いい?」

 

 

ノックアウト状態のイッセーを近くにあった木の棒切れで突きながら、“ドレスブレイク”の封印を推奨するイリナ。しかし…

 

 

「…だ」

 

 

「え?」

 

 

「嫌…だ…」

 

 

それに対するイッセーの返答は…“No”だった…。

 

 

「魔力の才能を、全て注ぎ込んだんだ…。女子の服が透明に見える技とどっちにするか…真剣に悩んだ上での決断だったんだぞ…。もっと、もっと女の子の服を弾け飛ばすんだ…。そして…そして…そしていつか! 見ただけで服を壊す技に昇華するまで、俺は戦い続けるッ…!!!」

 

 

「…そんな事でここまで戦えるなんて、どうかしてるわ…」

 

 

「エロこそ力ッ!! エロこそ正義だああああッ!!」

 

 

ドン引きするイリナに対し、イッセーはそう言い放ちながら戦いを再開しようとする。しかし…そうは問屋が卸さなかった……。

 

 

ガシッ!!!

 

 

「ちょっといいかな、イッセー君…」

 

 

「……はい……?」

 

 

突如そんな声が聞こえてきたかと思うと、背後からイッセーの肩にある人物の右手が置かれる。その人物とは……リクオだった…。

 

 

「何だか盛り上がってるみたいだけど、君の戦いはここで終わりだよ」

 

 

「あー…それは一体どういう意味でしょうか、リクオさん? しかも何故に刀を持って…」

 

 

「それは君がさっきした事と…向こうの皆を見れば分かるんじゃないかな?」

 

 

「ッ……!!??」

 

 

リクオが指し示した方を見るイッセー。すると、そこには……

 

 

「……(ビクッ!!)」

 

 

スッ…!!

 

 

リクオのワイシャツを羽織り、イッセーが目を向けた瞬間に怯えてルーシィの後ろへ隠れてしまったウェンディと…

 

 

「……………」

 

 

リクオのブレザーを羽織り、無言のままイッセーをジッと睨み付けている小猫…。しかもその周りのアイエールの女性陣も殆どが当麻達や年上の女性の後ろに隠れていたり、凄まじい形相でイッセーに怒りを向けていたりしていた…。イッセーが似たような光景をつい最近見ているような気がするのは…当然である。(『そうだ、使い魔を探しに行こう!』を参照)

 

 

「よくもウェンディと小猫に恥ずかしい思いをさせてくれたね? 特にウェンディはすっかり怖がっちゃってるんだよ? 一体どうしてくれるのかな?」

 

 

「いやいやいやッ!? あ、あれはちょっとした事故って奴で…!!」

 

 

リクオに恐怖を感じさせるような笑みを浮かべながら迫られ、慌てて釈明をしようとするイッセー。しかし…

 

 

ジャキンッ!!×2

 

 

「全ての元凶はあなたのその卑猥な技にあります、兵藤一誠…」

 

 

「先程のアーシアを庇う姿は十分評価に値するものだったのだが、やはり問題はその有り余る欲求にあるようだな…。ここでその性根をキッチリ叩き直してやろう」

 

 

「ちょっ!? ヤミちゃんもエルザさんも叩き直すっていうか、完全に斬り刻もうとしてるよねッ!?」

 

 

両サイドからヤミとエルザにも迫られ、退路を徐々に塞がれ始めた…。

 

 

「えっと…紫藤さん、でいいかな?」

 

 

「! な、何かしら…?」

 

 

「手合わせの最中に申し訳ないけど、ちょっとイッセー君に話があるから、手合わせはここまでってことでいい?」

 

 

「! え、ええ」

 

 

「あれ? 何で戦いも終わる流れになってんの? どうなってんのこれッ!?」

 

 

リクオとイリナがそんなやり取りをする中、最早置いてきぼり状態のイッセー。そして…

 

 

「じゃあ“逝こう”か、イッセー君。部長さん、ちょっと行ってきます」

 

 

「え、ええ…程々にして頂戴ね?」

 

 

「が、頑張ってください、イッセーさん…」

 

 

「ぶ、部長ぉぉぉぉッ!!? それにアーシアも頼むから止めてぇぇぇぇぇぇッ!!?」

 

 

「うるさいですよ、兵藤一誠…」

 

 

「男なら覚悟を決めて…一度死ね」

 

 

「エルザさん今“死ね”って言ったよね!? やっぱりどう見ても殺す気じゃんッ!! な、何でこんなことになってんだあああああああッ!!??」

 

 

「言うまでもなく、あなたの行動が招いた結果です…」

 

 

イッセーは絶叫する中、リクオとエルザ、ヤミの3人によって林の中に引きずり込まれた…。

 

 

「あ、ついでにアタシもちょっと行ってくるわ」

 

 

「アタシも何発かアイツで試し撃ちでもするか」

 

 

更にここでナナとクリスもその後に付いていくと、しばらくして…

 

 

 

ドガッ!! バキッ!! ザシュッ!! ドガアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!

 

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ…!!!!????」

 

 

あらゆる種類の音と共に、イッセーの断末魔が響き渡った…。

 

 

「だ、大丈夫でしょうか、イッセーさん…?」

 

 

「さあな。興味すら湧かん」

 

 

それを聞いたエルフナインは思わず心配そうに尋ねるが、対して尋ねられたキャロルは心底興味が無い様子で何かの本を読んでいる。その一方で…

 

 

「ふぇぇぇ…(泣)」

 

 

「も、もう大丈夫よ、ウェンディ!」

 

 

「はい…今リクオ先輩達が変態の先輩をしっかり指導していますから…」

 

 

「し、指導で終わってるようには思えないけどね…」

 

 

思わぬ被害を喰らってしまったウェンディをルーシィが慰める中、レビィは小猫の発言に対して苦笑いを浮かべながらコメントしていた…。

 

 

「これであの子も少しは抑えてくれるといいのだけど…」

 

 

「まあ、多分無理だろうな…。と、そうこうしてる間に向こうも終わりそうだな」

 

 

「っ…!」

 

 

当麻の言葉を聞いたリアスは、ある方向に目を向けた。そこには…

 

 

「ハアアアアアアアッ!!!!」

 

 

自身の魔剣にありったけの魔力を込め、巨大化させている裕斗の姿が…。

 

 

「その聖剣の破壊力と、僕の魔剣の破壊力! どちらが上か勝負だッ!!」

 

 

【! あーあ、終わったね、お姉ちゃん】

 

 

【ああ、そうだな…】

 

 

闘志を剥き出しにしながらゼノヴィアに突っ込む裕斗を見た瞬間、クロメとアカメは頭の中で冷ややかな言葉を口にした。何故なら…

 

 

「…残念だ」

 

 

ドゴッ!!

 

 

「カハッ!!?」

 

 

ドサッ…!!

 

 

ゼノヴィアに聖剣の柄の部分で腹部を殴られたことで、裕斗はアッサリと地に倒れ伏した…。

 

 

「君の武器は多彩な魔剣とその俊足だ。巨大な剣を振るうには力不足な上に、自慢の速さを封じることにもなる…。そんなことすら判断できないとはな…」

 

 

「ッ! ま、待て…」

 

 

「次はもう少し冷静になって立ち向かってくるといい…“先輩”」

 

 

「クッ…!!」

 

 

不敵な笑みを浮かべながらゼノヴィアにそう言われ、悔しさを滲ませる裕斗。

 

 

【負けちゃったね、2人共…】

 

 

【そうね。まあ、大体予想は付いてたけど…】

 

 

その様子を見たユウキが残念そうに思う一方、シノンは淡々とした様子のまま頭の中で言った。

 

 

「ここまでだな…。そっちも終わったようだな、イリナ」

 

 

「え、ええ。全然手合わせをしたって感じは無いけど…」

 

 

「終わればそれで十分だ。さて…よろしいか、リアス・グレモリー?」

 

 

「ええ…聖剣がトドメで無かったことは、主として感謝するわ」

 

 

「では、先程の話を宜しく頼む」

 

 

リアスが笑みを浮かべながら感謝の言葉を述べると、ゼノヴィアは放り投げた白いローブを身に纏い、その場を立ち去ろうとした。すると…

 

 

「念のため聞いておきたいのだけれど…」

 

 

「!」

 

 

「聖剣を奪った堕天使は、誰だか判明しているの?」

 

 

ここでリアスが聖剣の強奪に関して最も重要な問い掛けをした。それに対し…

 

 

「直接実行したのは“グリゴリ”の幹部、コカビエルだ」

 

 

「! 幹部クラスに2人きりで…? 死ぬつもりなの?」

 

 

「聖剣を堕天使に利用されるくらいなら、この身と引き換えにしてでも消滅させる」

 

 

「覚悟の上よ。既にこちらも1人殺されてるわ。事前調査に入った神父がね…」

 

 

ゼノヴィアとイリナは真剣な表情でそう言った。と、ここで、

 

 

「やったのは…フリード・セルゼンだ」

 

 

「えっ!?」

 

 

「フリードッ!?」

 

 

辛うじて片膝を立てている裕斗の口から出た人物の名に、驚きを露わにするアーシアとイッセー。その一方、

 

 

【当麻様、その人は確か…】

 

 

【ああ、前に話したアイツだ】

 

 

【? 知っている人間なのか?】

 

 

【まあな。一言で言うと、二度と関わり合いになりたくねえ程のイカレた祓魔師(エクソシスト)だ】

 

 

ティッタと当麻のやり取りを聞いたアカメに対し、当麻は“フリード”という人物の事を簡潔に説明した…。

 

 

「あのはぐれ神父が…!?」

 

 

「偶然、その現場に居合わせてしまってね。確かに奴は、聖剣を持っていた…」

 

 

「はぐれ神父ね…なるほど、そういうことか…。情報提供には感謝する。だが、これ以上この件には関わるな」

 

 

「ッ…!」

 

 

「では、失礼する」

 

 

「ちょ、ちょっとゼノヴィア…! あ、じゃあ、そういうことで。イッセー君、裁いて欲しかったらいつでも言ってね! アーメン♪」

 

 

そしてゼノヴィアは裕斗に忠告を伝え、イリナと共にその場を後にしようとした……その時だった…。

 

 

「ちょっといいか?」

 

 

「! 何だ、アイエール総帥?」

 

 

「あー、その呼び方はやめてくれ。俺は上条当麻。こっちの方で適当に呼んでくれないか?」

 

 

「…では、上条と呼ばせてもらうとしよう。それで、一体何の用だ?」

 

 

「いやー、1つ伝えておきたいことがあってな」

 

 

当麻は頭の後ろを掻きながら、そう苦笑いを浮かべつつ言ったかと思うと…

 

 

 

 

 

「これ以上俺達の機嫌を損ねるような真似はするなよ?」

 

 

『ッ…!!!』

 

 

その雰囲気はガラッと変わり、凄まじい威圧感を放ちながら言い放ったのだ。これにはグレモリー眷属は勿論のこと、特にゼノヴィアとイリナはすぐさま聖剣を構える…。それを見て、

 

 

「や、やめなさい、当…!」

 

 

「待ってください、リアスさん」

 

 

「! モモ…!?」

 

 

「…それは一体どういう意味だ?」

 

 

止めようとするリアスをモモが抑える中、ここでゼノヴィアが冷や汗を流しながら尋ねた。

 

 

「さっき“俺達が悪魔側に付いてる”って話してたが、俺達は悪魔側に付いたつもりは全くねえ。俺達はあくまでオカルト研究部の部員として…グレモリー眷属に力を貸してるだけだ」

 

 

「…あくまで個人的に力を貸しているというのか?」

 

 

「ああ。そして、アーシアもそのグレモリー眷属の1人だ」

 

 

「! まさか、そちらもそこにいる“魔女”に肩入れする気か…?」

 

 

そう厳しく睨み付けながら問い掛けてくるゼノヴィアに対し、当麻は……

 

 

「そんな事どうでもいいんだよなぁ、上条さん達にとっては」

 

 

「っ! 何だと…?」

 

 

若干呆れ混じりに呟いた…。

 

 

「お前等がアーシアをどう呼ぼうが、俺達はイッセーと同じようにアーシアがどういう奴かを知ってる。実際学校では割とよく一緒にいるからな。そして、俺達は基本お人好しの集まりだから…親しい奴に手を出されるのを黙って見てられねえ…」

 

 

「! 当麻さん…」

 

 

「…貴様等も、教会全てを敵に回そうというのか?」

 

 

当麻の言葉にアーシアが驚く中、ゼノヴィアは緊迫した様子で尋ねる。すると…

 

 

「イッセー1人じゃ確かに大口だが…俺達全員となると話が違い過ぎる事くらい、あんた達だって何となく分かるだろ?」

 

 

「「ッ……!!」」

 

 

「上条さん達に剣を取らせるな。でねえと…本当に全てを喰らい尽くすことになるぞ?」

 

 

当麻がそう言い放った瞬間、その場に居た殆どのアイエールのメンバーからプレッシャーが放たれる。そのプレッシャーは紛れも無く…普段の彼等からは想像が付かないような、“強者”としてのモノだった…。

 

 

「…承知した。今後はそちらの機嫌を損なわぬよう、なるべく配慮する」

 

 

「っ!? な、何言ってるのよゼノヴィア!? この人達は今教会を…!!」

 

 

「やめろ、イリナ。さっきも言ったように、彼等との敵対は絶対に避けなければならない。それに…今のプレッシャーを受けて、君も感じた筈だ」

 

 

「ッ! それは……」

 

 

ゼノヴィアにそう言われ、先程までの憤った様子から一変して言葉を詰まらせるイリナ…。

 

 

「少し長居をし過ぎたな…。では、失礼する」

 

 

「…………」

 

 

そしてゼノヴィアは一言そう言い残し、複雑な表情を浮かべるイリナと共にその場を後にしていった…。

 

 

「ふぅ…悪いな、リアス。少し騒がせちまって」

 

 

「本当よ! 教会の聖剣使いを相手に、あんなことを言うなんて…!」

 

 

「あー、まあ今のは少し向こうに釘を差したかっただけだからな。これ以上アーシアが色々言われるのは俺達も嫌だしさ」

 

 

「! あ、ありがとうございます、当麻さん…!」

 

 

先程までの緊迫した雰囲気を捨てた当麻に対し、感謝の言葉を述べるアーシア。と、ここで、

 

 

「…!」

 

 

「! 待ちなさい、裕斗!!」

 

 

裕斗がその場を去ろうとしていることに当麻とリアスが気付くと、リアスがすぐさま彼の下へ駆け寄る…。

 

 

「私の下を勝手に去ろうなんて許さないわ! あなたはグレモリー眷属の騎士(ナイト)なのよ!?」

 

 

「…部長、すみません」

 

 

「っ!? 裕斗…!」

 

 

だが、主である彼女の言葉にも耳を傾けず、裕斗はそのまま林の中へと姿を消してしまった…。

 

 

「木場さん…」

 

 

「裕斗…どうして……」

 

 

そんな彼の後ろ姿を心配そうに見つめるアーシアと、悲しげな表情を浮かべるリアス…。その一方で、

 

 

【どうにもキナ臭いことになってきたな…】

 

 

【ああ…。こっちにも色々“気掛かりな奴等”が居るみたいだからな。そうだろ、一護?】

 

 

【! やっぱり気付いてたか】

 

 

【まあな…。で、どうするんだ?】

 

 

【…とりあえず様子を見るしかねえだろ。それでいざとなったら…俺が動く】

 

 

当麻と一護は頭の中でそんなやり取りを交わしていた。更に……

 

 

【ねえ、切ちゃん…】

 

 

【分かってるデスよ、調。早速行動開始デース!】

 

 

【! うん…!】

 

 

その裏で何か行動を起こそうとしている者達や……

 

 

(フンッ、手間の掛かる連中だ…)

 

 

それに気付く者もいた…。

 

 

 

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