ハイスクールD×D ~とある三雄の物語~   作:無颯

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丁度1ヶ月ぶりの投稿になります。


前半は完全に説明回っぽいですが、後半は“あの2人”が登場します。


では、本編をどうぞ。


光ある所に陰もあり

駆け付けてきたリアスやソーナ達の提案で、ひとまず戦闘の舞台となった廃墟の中へ入った当麻達…。そして現在…

 

 

「このくらいやれば十分ね…。ソーナ、そちらはもう終わったかしら?」

 

 

「ええ、見ての通りです」

 

 

いつもと変わり無く凛とした佇(たたず)まいのリアスとソーナ。しかし、その足元には…

 

 

「ぐぉぉぉ……お、俺の尻は死ん、だ……(ガクガクッ!)」

 

 

「……(チーーンッ)」

 

 

腰砕けの状態で突っ伏しているイッセーと…最早魂が抜け出ている状態の匙の姿があった。実は先程のような戦闘の状況に至った経緯をイッセーや匙、小猫が話すと、勝手な行動をした罰として、イッセーと匙が“尻叩き千回の刑”に服することになったのである。ちなみに小猫に関しては、リクオやヤミの説得もあり、説教のみになった…。と、そこへ、

 

 

「悪い、遅くなった」

 

 

「! 平気よ。それより、調と切歌は?」

 

 

「大丈夫だ。身体に変な負荷を掛けられただけで、怪我は一切してねえ。すぐに良くなる筈だ…。そうだろ、ウェル?」

 

 

「ええ。“絶唱機甲(シンフォギア)”の発動にも、何ら影響はありませんよ」

 

 

調や切歌、ウェンディ、エルフナインと共に戻ってきた一護とウェルは、尋ねてきたリアスに2人の状態を話した。

 

 

「ありがとう、ウェンディ、エルフナイン…」

 

 

「お蔭で大分良くなったデース…」

 

 

「い、いえ、ボクは何も…」

 

 

「御二人共、まだ安静にしてた方がいいんじゃ…」

 

 

「ううん、もう平気…」

 

 

「おちおち寝てる訳にもいかないデスよ…」

 

 

心配そうな様子のエルフナインとウェンディに対し、そう返す調と切歌。しかしその表情からは、肉体的にも精神的にも疲労していることが窺える…。

 

 

「さて…大まかな事はイッセー達から聞いたわ。思わぬ乱入者が来たのも含めてね。それで当麻達に話を聞こうとしたら、“一護が話した方がいい”って言われたのよ」

 

 

「…そうか」

 

 

リアスがそう言うと、一護は静かに頷きながら…響達の方に目を向けた。すると、

 

 

「大丈夫です、一護さん。私達は、大丈夫ですから…」

 

 

7人を代表するように、笑みを浮かべながら答える響。だがその笑みにいつもの明るさはなく…むしろ何処か儚いモノだった。更に…

 

 

「どうやら私達が聞くべき話ではないようですね…。でしたら、私達はこれで…」

 

 

「いや、あんた達も聞いていってくれ。俺達も駒王学園に通ってる以上、話した方が筋も通ってるだろうしな」

 

 

「…分かりました」

 

 

一護の発言を聞き、椿姫と共にやや端の方で立つことにしたソーナ。いつの間にか尻の心配をしていたイッセーや匙も若干回復しており、何処か緊迫した面持ちで一護が話し始めるのを待っている…。もっとも、相変わらず擦(さす)ったりはしているが…。

 

 

「あんた等も何となく想像できてると思うが、その乱入してきた奴の狙いは調と切歌…いや、響や翼、クリス、未来、マリアも含めた7人だ」

 

 

「…! どうして響達が狙われているの? その乱入してきた男は一体何者?」

 

 

「その男は自らを“元研究員”と名乗ったそうですわね? それに…御二人のことを“被験体”と…」

 

 

リアスが一護の話を聞いて問い掛ける中、朱乃の口から出た“被験体”という言葉に響達7人は大きく反応する。中でも男から直接その単語を聞いた調と切歌は、反応が特に顕著だった…。すると、

 

 

「“絶唱計画”…こいつに聞き覚えは?」

 

 

「? いいえ…あなたは、ソーナ?」

 

 

「いえ、私も初めて聞きました。ですが…先程の“被験体”という言葉と合わせて考えると、聞き心地の良いモノでは無いようですね…」

 

 

ソーナが先程の単語と組み合わせて推測すると、それを聞いた一護はより一層険しい表情を浮かべつつ…こう言い放った…。

 

 

「先に言っておく。響達はその計画の…数少ない“生き残り”だ」

 

 

『ッ!!?』

 

 

「い、生き残りって…どういうことだよ!?」

 

 

“生き残り”という単語にオカルト研究部と生徒会の面々が驚きを露わにする中、最もその反応が大きかったのはやはりイッセーだった。何しろその事実は…現在行方の分からない同じ眷属の少年と酷似しているのだから…。

 

 

「神器を利用したがるのは、何も三大勢力みたいな神話体系に属する連中だけじゃねえ…。そいつを宿す人間の中にも、その力を欲する奴等はいる。そして、そんな連中が仕出かした中でも最悪だったのが…“絶唱計画”だ…」

 

 

「部長さん達が知らないのも当然だと思います。この計画のことを知ってるのは、僕達を含めても本当に僅かですから…」

 

 

「…! 一体どのような計画だったのですか?」

 

 

一護とリクオの話を聞いた朱乃が問い掛けると、それに答えたのは当麻だった…。

 

 

「一言で言うなら、“歌”を使った神器の開発だ」

 

 

「…“歌”を使った神器…?」

 

 

「歌は何も、ただ声に乗せて伝えるだけのモノじゃねえ。“詠唱”みたいに力の発動の鍵の役割を果たすことだってある…。教会の“聖歌”なんかも、多分似たような効果を持ってる筈だ」

 

 

「確かに、冥界でも歌には魔術的な要素があると考えられているわ。実際に研究も行われているし、人間界でもその発想が起きるのは自然な話ね…」

 

 

小猫が疑問を感じている中、一護の話に納得した様子のリアス。すると、

 

 

「っ! じゃあ、響達の神器は…」

 

 

「ああ…響達の神器は、その計画で産み出された人工的なモノだ…。ふざけた実験によって、な…」

 

 

リアスが気付いた瞬間、一護は憤りの籠った表情を浮かべながら口にした。彼の口から飛び出した“実験”という単語に、再び大きく反応する響達。何かを思い出したのか、普段から凛としている翼やマリア、更には強気でいるクリスでさえ、僅かに体を震わせているように見える…。

 

 

「響達の“絶唱機甲(シンフォギア)”は、歌の力を極限まで利用した神器です。魔王や神が相手でも裕に渡り合えるでしょうし、“神滅具(ロンギヌス)”クラスと言っても過言じゃないと思います」

 

 

「っ!!? 神滅具クラスの人工神器…」

 

 

「ですが、それだけ強力な神器であれば当然…」

 

 

当麻の言葉を聞いた椿姫と朱乃は、驚きながらも直ぐに察した。それは…

 

 

「ああ、その分代償も半端なモノじゃなかった。適合する可能性が聖剣と同等かそれ以下なのに加えて、その代償の内容があまりにも酷えからな」

 

 

「ッ…! 一体何が起こるっていうの…?」

 

 

リアスがそう尋ねると、当麻は続けて答える…。

 

 

「“炭と化して消滅する”…。それが適合しなかった人間に待ってる末路だ」

 

 

『ッ!!!???』

 

 

それを聞いた瞬間、オカルト研究部と生徒会の面々は一様に言葉を失った…。

 

 

「す、炭になって消滅する? そんなことが有り得るのかよ…?」

 

 

「…肉体に掛かる負担が尋常じゃねえんだ。適合しなかった時は神器自体が肉体を蝕んじまう。最終的にはその負担が耐久限界を完全にオーバーして…身体が炭化し始めちまうんだよ」

 

 

ここで匙が信じられないといった様子で尋ねてきたのに対し、厳しい表情のまま答える一護。

 

 

「実験のために無理矢理連れて来られたのは、響達を含め全員未成年の女子だ。人数は…およそ1000人」

 

 

「ッ!!? せ、千人ッ!!??」

 

 

「…では、その内適合した人数は…? 」

 

 

当麻の口から出た被験者の数にイッセーが驚く中、ソーナは肝心な部分を尋ねる。その問いに答えたのは…やはり一護だった…。

 

 

「響達を含めて…“9人”だけだ」

 

 

『ッ…!!』

 

 

「しかもそいつは、あくまで“適合した人数”だ。この世界の絶唱機甲の所有者は…響達7人以外、もう誰1人いない筈だ」

 

 

絶句する他無いリアスとソーナ達。当然である。すなわちそれは、9人以外の全ての少女達が“炭と化して消滅”し、更に適合した筈の2人も何らかの理由で“この世にいない”という事になるのだから…。もっとも、

 

 

「「…………」」

 

 

その話の最中、“2人の歌姫”がとりわけ辛そうな表情を浮かべていることに気付いていたのは…当麻達を始めとする殆どのアイエールの面々だけだった…。

 

 

「半端な気持ちで聞いたつもりはなかったのだけど…足りてなかったわね。ごめんなさい…」

 

 

「別に構わねえよ。こいつ等が襲われた以上、話さなきゃなんねえことくらいアタシにも分かるからな…」

 

 

「いつかは話す時が来ると思ってました。でも、私達もこんな事が起こるなんて、思ってもみなかったから…」

 

 

謝るリアスに対し、何処か自嘲気味に返すクリスと、僅かに怯えたような様子の未来…。と、ここで、

 

 

「…1つ聞いてもいいですか?」

 

 

「! どうしたの、小猫?」

 

 

「…先輩逹は、どうやってその計画の事を知ったんですか?」

 

 

「そうね。よく考えてみたら、あなた逹が出会った経緯も一切聞いてないわ…。仮に“アイエール”として既に活動していたとしても、何かしら切っ掛けがあったんじゃないかしら?」

 

 

リクオが応答する中、小猫は気になっていた疑問をぶつけ始め、リアスも補足するように尋ねた。すると、

 

 

「切っ掛けも何もねえよ。何しろその計画を潰したのは……ここにいる一護とキャロル逹だったんだからな」

 

 

「…はあああああっ!!??」

 

 

当麻の一言を聞いた瞬間、一番の驚きを見せたイッセーを含め、オカルト研究部と生徒会の面々は一様に驚愕した…。

 

 

「本当なの、一護…?」

 

 

「…偶然だったんだよ。“ちょっとした依頼”を受けて或る場所に来ていた俺は、そこで研究していた連中に追われてる響を見つけ…計画の存在と、未来逹6人がまだ囚われてる事を知った…。だから響やその頃から知り合いだったキャロル逹と一緒に、研究が行われてた場所を潰して…何とか未来逹のことも救い出すことが出来たんだ」

 

 

リアスの問い掛けに対し、厳しい表情と複雑な笑みを織り混ぜながら話す一護…。

 

 

「あの時は冗談抜きで大変だったゾ」

 

 

「ええ。どっかの“ハズレ装者”も含めて、全員あんな面倒な状態になってましたし」

 

 

「…そうね…否定はしないわ」

 

 

「色々言い返したいデスけど…」

 

 

「ダメだよ、切ちゃん。ミカ逹に助けてもらったのは事実なんだから…」

 

 

ミカとガリィの発言に対し、マリアと切歌、調の3人は複雑な表情を浮かべる…。すると、それを聞いて…

 

 

「まぁ、助けられたのは響やキャロル逹のお蔭だ。俺は大したことはして…」

 

 

「違うッ!!!」

 

 

『ッ…!!?』

 

 

一護の言葉を遮ったのは…まさに今名前の挙がった響だった。声を荒げながら言い放つ彼女の様子に、リアスやソーナ達は思わず目を向ける…。

 

 

「私や皆を助けたのは、一護さんとキャロルちゃん逹だよ!! もし一護さんが居なかったら、私達はあのまま…」

 

 

「立花」

 

 

「! 翼さん…」

 

 

「響…」

 

 

「っ! 未来…」

 

 

響が今にも感情を溢れ出しそうな勢いで何か言おうとするが、それを翼は肩に手を乗せることで…未来は声を掛けるだけで留まらせた。その際、一護は視線で翼と未来に感謝の意を伝える…。

 

 

「とにかくだ。それで響達は回復するまで俺と一緒に居るって話になったんだが…その後すぐにアイエールに入って協力するって言い出してな。それで気が付けば…もう4年近く経っちまった…」

 

 

「…それがあなた逹の過去、という訳ね。ありがとう、話してくれて…」

 

 

そして一護が話を終えた所で、リアスはそんな言葉を掛けると…

 

 

「響達を狙っている男は、その計画の関係者…と考えていいのね?」

 

 

「ああ、間違いないだろうな。何せ…」

 

 

「その人は…私の神器の能力を使ってました…」

 

 

「っ! 神器の能力を…?」

 

 

当麻と未来の話を聞いて、思わず耳を疑う朱乃。先程の絶唱機甲の話を踏まえれば、その反応も当然と言えるだろう…。

 

 

「“分身”…そいつが未来の神器、“神獣鏡(シェンショウジン)”の能力の1つだ。俺がやったのは能力で作られた幻…。本物はどっかで今も響達を手に入れる方法を考えてるだろうな」

 

 

「っ!? じゃあ、ずっと本物が出てこないかもしれないじゃねえか!! そんなのどうしようも…!」

 

 

一護の発言を受け、イッセーは最悪の可能性を考えた。しかし…

 

 

「それは無いと思うよ。あの人の一護に対する敵対心は本物だった…。多分今度は直接来るだろうね」

 

 

「ああ。それにもし向こうが姿を現さねえつもりなら…その時は、俺が探し出して直接叩き潰す…。何処に居ようともな…」

 

 

リクオの後に続いて一護がそう言うと、イッセーを始めとするアイエール以外の面々は息を呑んだ。その言葉に含まれた…明確な覇気を感じて…。

 

 

「とにかくリアス逹は、はぐれ神父と堕天使逹の相手に専念してくれ。あのイカれた元研究員の相手は俺達がする。“ノイズ”っていう面倒な奴等の相手もしないとだからな」

 

 

「! そうだよ! あいつ等は一体何なんだよ!? あんなの見たことねえぞ!?」

 

 

ここで当麻の発言の中に出てきた“ノイズ”という存在に関して、匙が説明を求めた。

 

 

「あれは絶唱計画の最中に生まれた“副産物”だ」

 

 

「? 計画の副産物?」

 

 

「…その男が話した通り、絶唱機甲(シンフォギア)に適合しなかった人間は炭化して消滅する。だが計画に参加していた者達は、この代償を逆に利用しようと考えた。その結果生まれたのが…」

 

 

「皆さんが遭遇した、“ノイズ”という存在です」

 

 

一護の口から出た単語にリアスが疑問を感じていると、キャロルとエルフナインが説明に加わってきた。

 

 

「利用ということは、まさか…」

 

 

「ああ、奴等の能力は“炭化による対消滅”…。つまり、触れたモノを自ら諸共消滅させるというものだ」

 

 

「え……ええええええええっ!!??」

 

 

何かを予想していたソーナに対してキャロルが言うと、それを聞いたイッセーは驚愕した。もっとも、それは共に遭遇していた小猫と匙も同じなのだが…。

 

 

「いやいやいや!? じゃあ、俺達も炭になって消えてたかもしれないのかよ!?」

 

 

「うん…。ノイズは特殊な力…悪魔の持つ魔力や、神側に仕える人達の持つ聖なる力も削ぎ落とすことが出来るんだよ」

 

 

「つっても、削ぎ落とせる力の量にも限界がある。要するに、持ってる力の量が多ければ多い程、ノイズに触れられても炭化しねえって訳だ。まあ、普通の人間なら一瞬触れただけで消滅するんだけどな」

 

 

「あー…限りなく魔力の無い悪魔がここに居んだけど、その場合は…?」

 

 

匙に対してリクオと当麻がそう説明すると、ここでイッセーは恐る恐る尋ねた。その結果、彼に掛けられたのは…

 

 

「…よかったな、触れられなくて」

 

 

「ッ……(ブルブルブルブルッ!!!)」

 

 

目を反らした当麻の意味深な言葉だった。これにはイッセーも尋常ではない悪寒を感じたのか、これでもかと体をガクガク震わせている…。

 

 

「ノイズの方も僕達が片付けます…。いいですよね、部長さん?」

 

 

「ええ、お願いするわ。ごめんなさい、あなた逹にばかり任せることになってしまって…」

 

 

「気にする必要なんて無えよ。俺達だってオカルト研究部の一員だ。それにそいつ等は…俺達が倒さなきゃいけねえ敵だからな…。そうだろ、一護?」

 

 

「…ああ」

 

 

当麻が確めるように尋ねると、一護は真剣な表情を崩すことなく頷いた…。と、ここで、

 

 

「ですが、それだけの者達が向こうに付いているとなると、やはり裕斗君逹だけでは…」

 

 

「! そ、そうですよ部長!! ここは俺達も捜しに…!!」

 

 

朱乃の心配そうな言葉を聞いて、イッセーが裕斗逹3人の捜索を提案しようとした。確かに聖剣を複数所持しているはぐれ神父と堕天使幹部にだけでなく、“ノイズ”という奇怪な敵を操る者まで加わっているのだ。状況が厳しいことは、悪魔としての経験の浅いイッセーでも十分想像が付く…。すると、

 

 

「キャロル」

 

 

「分かっている…。ガリィ、ミカ、お前逹も“向こう”に合流して、一緒に奴等を捜索しろ」

 

 

「あら、私達もですかぁ?」

 

 

「探すのは“あの2人”だけで十分だと思うゾ?」

 

 

一護の言わんとしていることを察したキャロルが、少々面倒臭がりながらもガリィとミカに命令を下したのだ。

 

 

「魔剣使いはともかく、あの祓魔師(エクソシスト)の聖剣が向こうの手に渡ると後が面倒だ。全員探し出す必要はない。最悪1人連れ帰るだけでも構わん」

 

 

「はいはい、分かりましたよ。まったく、人使いの荒いマスターなこと…」

 

 

「違うゾ、ガリィ。マスターは単に一護の言うことなら何でも聞いてあげちゃうタイプなだけだゾ☆」

 

 

キャロルの愛想の無い命令にガリィが愚痴を溢す中、ミカはノー天気な口調でそんな事を口にしたのだ。それを聞いて…

 

 

「ッ////! いいからさっさと行けッ///!!」

 

 

「あ、マスターが怒ったゾ」

 

 

「あんたが怒らせたんでしょうが…。とにかく行くわよ」

 

 

キャロルが憤りと羞恥心で顔を真っ赤にしながら怒鳴ると、ミカとガリィは懐から赤い水晶のようなモノを取り出し、自らの足元に落とす。そして…

 

 

キィィィンッ…!!

 

 

「っ!? き、消えた!?」

 

 

赤い魔方陣のようなモノが現れた瞬間、2人はその場から姿を消した。一瞬の出来事に、驚きを露わにする匙…。

 

 

「つー訳だ。あいつ等の捜索はガリィ逹がやる。下手に動くのは色々とマズいからな…。ここは“自動人形(オートスコアラー)”の出番だ」

 

 

「っ! やはりそうでしたか。彼女達が…」

 

 

当麻の言葉を聞いた椿姫が思わずそう呟くと、ここで…

 

 

「お、おい、何だよ、“自動人形(オートスコアラー)”って?」

 

 

「! そういえば、イッセー君にはまだガリィ達のことを説明してなかったね…」

 

 

「? ガリィちゃん達のこと?」

 

 

イッセーが“自動人形”という単語に関して、そんな問い掛けをしてきたのだ。するとリクオがそう口にする中、説明をかって出たのは朱乃だった…。

 

 

「“自動人形”というのは、“終焉の錬金術師”…つまりキャロルちゃんの造り出した、究極の“自立型戦闘機械人形”のことですわ」

 

 

「……は……?」

 

 

朱乃の口から飛び出した事実に、思考を停止させてしまうイッセー。その要因は言うまでもなく…

 

 

「はあっ!? に、人形ッ!!??」

 

 

“ガリィ逹が人形である”という事実である。

 

 

「いやいやいや!? どう考えても人形じゃないっすよ!? だって…」

 

 

「どう見ても人にしか見えなかったか? ま、そりゃそうだろうな。何しろあいつ等は“人格”を持ってんだから」

 

 

「ッ!? じ、人格を持ってる!?」

 

 

信じられないといった様子のイッセーに対し、そう言い放つ当麻…。

 

 

「オ、自動人形(オートスコアラー)には、キャロルの精神構造の一部をベースとした性格が組み込まれているんです…」

 

 

「もっとも何処ぞの製作した張本人は、起動前のキメキメなポーズを取る彼女達を見て凹んでたようですがね~。いやいや、キャロルちゃんカワウィウィ…」

 

 

「殺すぞ?」

 

 

「はい、自重しまーす」

 

 

更にエルフナインが補足を加えていると、ここでウェルは神経を逆撫でするような発言を放った。キャロルが殺気を込めた言葉を向けても、何処吹く風といった様子である…。

 

 

「け、けどよ、探してる最中にフリードやコカビエルと鉢合わせしたらどうすんだよ? 相手は聖剣を何本も持ってる奴と、堕天使の幹部だぞ? いくらなんでもヤバいんじゃ…」

 

 

「それなら心配しなくてもいいと思うよ? だよね、お姉ちゃん」

 

 

「ああ…ガリィ逹であれば、コカビエル“程度”に遅れは取らない」

 

 

匙の問い掛けに対するクロメとアカメの一言を聞いた瞬間…オカルト研究部と生徒会の面々は硬直した…。

 

 

「あ、あのー…ちなみにガリィちゃん達の強さって、ぶっちゃけどのくらい…?」

 

 

「…あいつ等は響逹と互角か、それ以上の力を持ってる。分かりやすく言えば、“魔王クラス”だな」

 

 

「っ!!?? そそ、そうか! ハハッ…!」

 

 

自身の質問に対する一護の返答を聞いて、若干壊れた様子のイッセー…。

 

 

(…一体何人魔王様クラスの強い人達がいるんですか…)

 

 

(これは本当に冥界を滅ぼせますわね…)

 

 

小猫と朱乃も思わず心の中でそう呟く。まあ、何しろ魔王以上の実力者の数が、ここにいるメンバーだけで既に二桁に達しているのだ。魔王の存在が霞むのも、仕方の無いことである…。

 

 

「それにあのイカレ神父が相手なら、尚更問題無えよ。むしろ“あいつ”と当たったら、あのイカレ神父にとっては最悪だろうしな」

 

 

「? どういうこと…?」

 

 

その意味深な発言にリアスが疑問を感じていると、当麻は続けて口にした…。

 

 

「いるんだよ。聖剣…いや、剣を使う奴にとって“最悪の天敵”がな…」

 

 

 

☆☆

 

 

 

時を少し遡り、駒王町内の外れにある森林地帯の一帯に、巨大な結界が張られていた…。

 

 

ドガガガガガガガアアアアアアアンッ…!!!

 

 

その上、結界内では巨大な光の槍が次々と降り注ぎ、あちこちで轟音が響き渡っている。そんな中…

 

 

ズガアアアアアアアアアアアアアンッ!!!

 

 

「きゃああああああああッ!!!」

 

 

1人の少女が巨大な光の槍の攻撃に晒され、傷を負いながら吹き飛ばされていた。その少女とは…フリードとバルパーを追っていた聖剣使いの1人――紫藤イリナである…。と、その時、

 

 

「ヒャハッ! 見ぃつけたってか☆」

 

 

「ッ!! はあッ!!」

 

 

シュンッ!!

 

 

背後から聞こえてきた声に咄嗟に反応し、イリナは手刀を繰り出すが、あっさりと避けられる。その声の主は…

 

 

「ハッハ~ン…逃げたはいいが、御仲間さんと逸(はぐ)れちまったっつー訳~? 可愛い娘ちゃ~ん…」

 

 

彼女が追っていた人物の1人であるはぐれ神父―――フリード・セルゼンだった…。

 

 

「はあああッ!!」

 

 

ビュオッ!!

 

 

イリナはすぐさま左腕に紐のように結わえられていた“擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)”を、鞭のようにして攻撃するが…

 

 

「ヒヒッ!」

 

 

シュンッ!!

 

 

「っ!?」

 

 

またしてもフリードはその攻撃を目にも止まらぬ速さで避け……

 

 

ズバンッ!!

 

 

「きゃああああっ!!?」

 

 

そのままの勢いで瞬時にイリナの身体を斬り裂いた。

 

 

「“擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)”ちゃ~ん…! そいつも欲しかったんすよね~…!!」

 

 

シュンッ!!

 

 

「ッ!?!?」

 

 

ザザザザザザザザザザザザザァンッ…!!!

 

 

「きゃああああああああああああああああッ!?!?!?」

 

 

フリードはそのまま容赦無くイリナの身体を斬り裂き続ける。ボンテージのような教会の戦闘服は見る見るうちに破かれていき、彼女の肌が次第に露わになっていく…。そして…

 

 

「うぅ…!」

 

 

シュンッ!!

 

 

「ヒャハッ!!」

 

 

ドガッ!!

 

 

「かはっ…!?!?」

 

 

完全に怯んで動けなくなったイリナを見たフリードは、彼女の首を思い切り掴み、そのまま近くの木の幹に叩き付けた…。

 

 

「は、放してよ…! この背信者ッ…!!」

 

 

「さぁて…どうしやすかねぇ…?」

 

 

苦しげに言い放つイリナに対し、顔をこれでもかと近付けながら口にするフリード。と、その時だった…。

 

 

「その辺にしておけ」

 

 

「……!」

 

 

上空からの声を聞いたフリードが即座に振り向くと、そこには十枚の黒い翼を広げて悠然と佇む、1人の男の姿があった…。

 

 

「雑魚でも使い道はあるからな…クククッ…」

 

 

「おぉ~、この上なく恐ろしいっすね~。流石は“コカビエル”の旦那~」

 

 

そう、この男こそ聖剣を巡る一件の首謀者──コカビエルである。と、ここで、

 

 

「ッ! コ、コカビエ、ル…!!」

 

 

「…! 鬱陶しい…。黙らせろ、フリード」

 

 

「はいはいさ~! つー訳で、さっさと御寝んねしちまいな。可愛い娘、ちゃんッ!」

 

 

ドゴッ…!!

 

 

「うっ…!!」

 

 

忌々しげに睨み付けてくるイリナを見たコカビエルは、うんざりとした様子でフリードに命令を下す。そしてフリードはそんな一言と共にイリナの腹部に拳を叩き込み、彼女の意識を奪った…。

 

 

「ほぉほぉ、こいつが“擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)”ちゃんですか~。これで俺っちの持つ聖剣は全部で4本! この世で一番聖剣を持ってるのは、確実に俺っちですな~…」

 

 

フリードは気を失っているイリナから“擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)”を奪い取り、元の剣の状態にして眺め始める。

 

 

「で、このクソビッチちゃんは一体どうすんですかい、コカビエルの旦那~?」

 

 

「悪魔共を誘き出す餌にする。それくらいの価値はあるだろう…。もっとも、そのためにはもう少し“派手な演出”をする必要があるな…」

 

 

「! オォ~、やっぱ旦那は最高だわ。その鬼畜っぷりには俺っちもゾクゾクしちまうぜ…。そんじゃあ…」

 

 

フリードはコカビエルの言葉の意味を理解すると、手に入れたばかりの擬態の聖剣を鞭のような形に変化させた。その目的は…

 

 

「御寝んね中のクソビッチちゃんに、お仕置きといきましょうかね~…」

 

 

気絶しているイリナを更に痛め付けるというものだった。この日一番の狂気に満ちた笑みを浮かべつつ、イリナの前に立つフリード。そして…

 

 

「さぁさぁ、御目覚めの甲高い悲鳴をぜひとも聞かせてちょ…」

 

 

イリナに向かって擬態の聖剣が振り下ろそうとした…次の瞬間、

 

 

「ッ!!」

 

 

ズガガガガガガガッ…!!!!

 

 

フリードは自身に向かって何かが飛来してくると感じ、直感的にその場を跳躍で離れると…そこへ無数の“銭”が降り注いだ…。

 

 

「アァ?」

 

 

思わぬ飛来物の正体に、間抜けな声を出すフリード。すると…

 

 

「“派手”という概念を履き違えているな…。お前逹には“地味”の方が似合いだ…」

 

 

「貴女は相変わらずその2つに拘(こだわ)りますわね? そんなことより、早く目的を達しましょう…」

 

 

そんなやり取りと共に、2人の女性(?)が姿を現した。1人は黄色を基調とした格好の、ディーラー風の女性(?)。もう1人は緑を基調とした格好の、何処か執事を連想させるような女性(?)である…。

 

 

「おいおいおい、こんな時に新たなクソビッチ共の登場ですか~? こっちは折角お楽しみのお仕置タイムをエンジョイしようとしてたっつうのに……マジでうぜえっす」

 

 

「あら、随分言葉遣いに問題がありますわね? これは少し“教育”の必要があるかしら…」

 

 

チャキッ…!

 

 

「…アァ?」

 

 

苛立ちを露わにするフリードに対し、執事風の女性(?)──ファラ・スユーフは何処からともなく1本の大型の西洋剣を取り出し、悠然と構え始めた。そんな中、

 

 

「あぁ~、おたくマジでうぜえわ…。こいつはもう確定っすね。このエクスカリバーちゃんで即行首チョンパしてやんねえと、俺っちの気が収まんねえよ、ホント。つー訳で…」

 

 

僅か数秒の会話でフリードの苛立ちは頂点に達し、現在所有している聖剣の内の1本──“夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)”を手にしたかと思うと…

 

 

シュンッ!!

 

 

「「「「死ねやクソビッチィィィィィィッ!!!!」」」」

 

 

自らの姿を“4人”へと増やし、一斉に斬り掛かってきたのだ。そして…

 

 

バキィィィィィィィィィンッ…!!!

 

 

「…あらあら~? これは夢ですかね~…?」

 

 

異変はすぐに起きた。それは……

 

 

「何で俺のエクスカリバーが、根元からポッキリ“折れて”んですかい…?」

 

 

フリードの手にしていた“夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)”の刀身が折れ、足元に落ちていたのである…。

 

 

「あら、もう折れてしまったの? 最強と言われていた聖剣が、ここまで取るに足らないモノだったなんて…。これでは完全な姿であったとしても、たかが知れますわね」

 

 

「折れ方も実に地味だったな…つまらん」

 

 

「折れ方にまで派手さを求めますのね、貴女は…」

 

 

ディーラー風の女性──レイア・ダラーヒムがそう言うと、ファラは思わず呆れ混じりに呟いた。と、ここで…

 

 

「な、何じゃこりゃあああああああッ!!!???」

 

 

「む…?」

 

 

「あら…?」

 

 

フリードはようやく現状を自覚し、叫び声を上げる…。

 

 

「そこのスーパークソビッチ!! テメエ、一体どんなイカサマ使いやがった!? 何で俺の“夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)”ちゃんがサヨナラしてんだよ!?」

 

 

「…はぁ、想像以上に耳障りな声ですわね。後で“剣ちゃん”の歌を聞かないと、今にも気が滅入りそうですわ」

 

 

捲し立てるように問い掛けてくるフリードに対し、ファラは心底憂鬱な様子ながらも、こう口にした…。

 

 

「“剣殺し(ソードブレイカー)”…剣(つるぎ)と定義されたモノを硬度や強度を問わず破壊する哲学兵装…。それが貴方の御自慢の聖剣を破壊した最たる要因ですわ」

 

 

「ッ! 剣なら問答無用でジ・エンドってか? ンだよそのクソチートな能力は!? マジで何なんだよ、テメエは…!!??」

 

 

「あら、そういえば名乗っていませんでしたわね? 私は…」

 

 

ファラは怒りを露わにするフリードに、自身のことを話そうとした。すると…

 

 

「“自動人形(オートスコアラー)”」

 

 

「「「!」」」

 

 

「あの“終焉の錬金術師”が造り出した、最高傑作の自立型戦闘人形…。これはまた面白い連中が出てきたな」

 

 

「あら、ようやく口を開きましたわね? 一切手を出す気が無いようでしたから、このまま干渉してこないのかと思いましたわ」

 

 

「フッ、正直な所を言えば、貴様と聖剣とのやり取りをもう少し見ていたかったんだがな…。聖剣全てを破壊されては困る」

 

 

ここでついにコカビエルが口を開き、ファラとそんなやり取りを交わし始めた。

 

 

「下がれ、フリード。お前では分が悪過ぎる。折角手に入れた聖剣を、全て破壊されたくはないだろう?」

 

 

「っ! た、確かにそいつは俺も真っ平御免っすわ…。仕方無いっすねぇ。なら、ここは大人しく旦那にお任せして、このスーパークソビッチ共の成れの果てを…」

 

 

コカビエルの提案に大人しく従い、ファラ逹と距離を取るフリード。どうやら“聖剣を全て失う”という末路を想像したようである…。しかし、

 

 

「水を差すようですけど、貴方と戦う気はありませんわ

 

 

「…何?」

 

 

当のファラはコカビエルに対し、淡々とした口調で拒否の意を示した。コカビエルはその返答を予想していなかったのか、若干眉を顰(ひそ)める…。

 

 

「興味が湧きませんの。少しは楽しみにしていた聖剣も期待外れでしたし…ここで失礼致しますわ」

 

 

「…人形風情が、大層な事を言ってくれるな…。逃げられると思っているのか?」

 

 

そう言いながら、巨大な光の槍を形成し始めるコカビエル。だが、それに対してファラは…

 

 

「貴方“程度”であれば、それも容易いですわ」

 

 

「…!!!」

 

 

その瞬間、コカビエルは光の槍をファラやレイア、そして気絶しているイリナに向けて投擲した。と、ここで…

 

 

「派手に行かせてもらう…」

 

 

ゴオオオオオッ…!!!!

 

 

今まで黙っていたレイアが瞬時に動き、手にしていたコインを指弾のように放つ。すると、そのコインは瞬く間に巨大化し…

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ…!!!!!

 

 

空中で大爆発を引き起こした…。

 

 

「…チッ…本当に逃げ仰せるとはな…」

 

 

土煙が晴れた所で、コカビエルは思わず舌打ちをしながら呟く。確かにそこには…先程までいたファラとレイア、そして気絶していたイリナの姿も無かった。

 

 

「…まあ、いい。行くぞ、フリード」

 

 

「! いいんでござんすか、旦那~?」

 

 

「放っておけ。奴等と一戦交えるのも悪くはなかったが、そろそろ頃合いだ…。始めるとしようじゃないか、楽しい宴を…」

 

 

釈然としない様子のフリードに対し、そう言いながら移動を開始するコカビエル…。

 

 

(聖剣を1本失ったのは流石に予想外だが、“例の儀式”を行うことは十分可能…。その上、今回のことでより一層期待を膨らませることが出来た…)

 

 

その顔は、狂気の笑みで満ちていた…。

 

 

(“アイエール”…魔王クラスの神器所有者をゴロゴロ集めていると聞いた時は、単なる眉唾物だと思っていたが…強ち間違いではないようだ。一部の連中は“あの男”に任せることになるが…残りは全てこちらで相手をしてやろう…)

 

 

そして、その狂気は彼の思考と共に高まっていく…。

 

 

(ようやくだ…ようやく俺の悲願を達成することができる…! 中途半端に止まっていた、あの“戦争”をなぁ…!!)

 

 

火蓋が切って落とされるまで…あと残り僅か…。

 

 

 





どうも。無颯です。


そんな訳で、今回は説明+ファラとレイアの登場回でした。ファラとレイアの口調や言い回しが凄く迷走してますね。すいません、割とうろ覚えです…。というか、ファラがいる時点で、「聖剣? 何それ?」な感じがしますね。“剣殺し”は本当にチートだな、うん…。


またシンフォギアの方は、オリジナルでシリアスな過去を追加しました。いずれ一護とシンフォギアのメンバーサイドの過去編を書きたいな~…。ぶっちゃけ参戦作品の中で一番気に入ってるんですよ、シンフォギア…。


以上、長ったらしい後書きでした。次回もよろしくお願いします。では、また。
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