ハイスクールD×D ~とある三雄の物語~   作:無颯

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オリジナルキャラが複数登場します。ですが、出番は非常に短いかと…。何故かは察して頂けると幸いです。あと分量が多い割に、話はあまり進んでないかもしれません…。


では、本編をどうぞ。



開戦は大体派手

学園の内部へ入ったリアスや当麻達は、現在校舎内の昇降口付近へとやってきていた…。

 

 

「イッセー、あなたにはサポートに徹してもらうわ」

 

 

「? サポート?」

 

 

「高めた力を、ギフトの能力で皆に譲渡して欲しいの」

 

 

「なるほど、了解です!」

 

 

「私達はイッセーの力を譲渡できるようになるまで、時間を稼ぐわ」

 

 

「了解しましたわ♪」

 

 

「…はい、部長」

 

 

イッセーと朱乃、小猫に対して歩きながら作戦を指示するリアス…。と、ここで、

 

 

「なぁ、一護?」

 

 

「…! 何だ、イッセー」

 

 

「あー、いや、そういえばキャロルちゃんやリサーナちゃん達の姿が無いけど、どうしたんだ?」

 

 

イッセーが若干恐る恐るといった様子で一護にそう尋ねた。どうやら今までと明らかに違う一護の雰囲気に、少々戸惑っているようである…。

 

 

「キャロルと自動人形(オートスコアラー)は家に残ってる」

 

 

「リサーナとレビィも同じだよ。あそこにはティッタとサーシャ、エルフナインと博士も居るし…何よりイリナさんが居るからね。怪我人がいる以上、守りもそれなりに固めないと…」

 

 

「…!」

 

 

一護とリクオの返答を聞いたイッセーは、少し前のイリナに関する話を頭に浮かべる。ファラとレイアの2人がイリナを保護した件について、グレモリー眷属の面々はおおよその経緯も含めて既に聞いていた。無論、ゼノヴィアや裕斗の姿が無かったことも周知済みである…。もっとも、

 

 

「それに、嫌な予感もすることだしな…(ボソッ)」

 

 

「? 何か言った、当麻?」

 

 

「! いや、何でもない。気にしないでくれ、リアス」

 

 

当麻が小さくそう呟いていたのだが、これは近くにいたリアスにも聞こえなかったようである…。そして、そんな話をしている内に校庭へとやってくると、そこでは…

 

 

「あれは、一体…」

 

 

「魔方陣…」

 

 

「それにあの聖剣から溢れるオーラ…少し前に感じたエネルギーの正体は、これですね」

 

 

校庭全体に奇怪な魔方陣が展開され、しかもその中心には奪取された3本の聖剣が宙に浮いていたのだ。それを見たアーシアとシノン、モモは思わずそう呟く。と、その時、

 

 

 

「3本のエクスカリバーを1つにするのさ。あの男の念願らしくてな…」

 

 

『っ……!!』

 

 

その声が聞こえた瞬間、リアスと当麻達は上方へと顔を向ける。もっとも、当麻達アイエールの面々の大半は驚いていなかったが…。

 

 

「コカビエルッ!!」

 

 

その声の主――コカビエルは、空中に浮く玉座のようなモノに腰を下ろしつつ、こう問い掛ける。

 

 

「サーゼクスは来るのか? それともセラフォルーか…?」

 

 

「お兄様とレヴィアタン様の代わりに、私達が…」

 

 

キィィィンッ…!!

 

 

「ッ! 部長!!」

 

 

その問いにリアスが返そうとすると、コカビエルは座ったまま右手に光を収束し始めたのだ。それを見たイッセー達グレモリー眷属はすぐさま彼女の前に立つが…

 

 

ビュオッ!!

 

 

『ッ…!?』

 

 

形成された巨大な光の槍はリアス達の方へ向かうことなく…離れた所にある体育館へと放たれたのだ。そして、凄まじい速さで向かった光の槍は……

 

 

バキィィィィィィンッ…!!!

 

 

体育館へ着弾する直前に、突如空中で粉々に砕け散った…。何故なら…

 

 

「ボク達の通ってる場所を勝手に壊さないで欲しいんだけど…?」

 

 

先程まで当麻逹と一緒にいた筈の少女──ユウキが、自らの剣で破壊したのだから…。

 

 

「ユ、ユウキちゃん!? いつの間にあんな所まで移動したんだよッ!?」

 

 

「魔方陣で移動した様子はありませんわ。つまり…」

 

 

「純粋に身体能力だけで移動した、ということになるわね。しかも、幹部クラスの一撃をあれほど簡単に払いのけるなんて…」

 

 

その一部始終を見たイッセーと朱乃、リアスは驚愕を露わにする他無かった。ユウキの普段とかけ離れた圧倒的な速さと強さを実際に見て、レベルの違いを痛感せざるを得なかったのである。しかし、その一方で…

 

 

「フ、フハハハハハハッ!! そうか! その次元の違う速さ! お前があの“絶剣使い”かッ! これほどの奴を仲間に引き入れているとは…やはり貴様等は楽しませてくれるようだな、“アイエール”ッ!!」

 

 

「…! こうも戦場で易々と高笑いを上げられるとは…」

 

 

「噂通りの戦闘狂ね…」

 

 

コカビエルは興奮した様子で高らかな笑い声を上げ、当麻逹アイエールの面々に視線を向ける。その様子は翼やマリアの言うように、“戦闘狂”と呼ぶに相応しい程狂いに狂ったモノだった…。

 

 

「だが、もう少し貴様等の力を見たいのでな。地獄から“ペット”を連れてきた。コイツ等とも遊んでもらおうか!」

 

 

「? ぺ、ペット…?」

 

 

パチンッ!

 

 

戦闘狂の口から出たとは思えない単語にルーシィが困惑する中、コカビエルが指を鳴らす。すると大型の魔方陣が一瞬展開され、そこから巨大な炎の渦が巻き上がる。そして、そこから姿を現したのは…

 

 

『グルルルルルッ…!!!』

 

 

「っ!? “ケルベロス”ッ!!」

 

 

「えっ!?」

 

 

「冥界の門に生息すると言われている、地獄の番犬ですわ!」

 

 

「地獄の、番犬…!」

 

 

「こんなモノまで…それも“8体”も人間界に持ち込むなんて…!」

 

 

裕に数メートルは超えるであろう巨体と〝三つ首”が目を引く猛獣――ケルベロスである。しかもリアスの言う通り、その数は計8体。その獰猛と呼ぶには恐ろし過ぎる姿に、イッセーや朱乃、アーシアと共に思わずやや圧倒されてしまう…。だが、

 

 

「これだけでは足りんな。やはり、コイツ等も使うべきか」

 

 

キィィィィィィンッ…!!

 

 

それだけでは戦力不足と考えたコカビエルは、そう言って新たな戦力を投入した。先程とは異なる赤い魔方陣から出現した、おびただしい数の存在。それは…

 

 

「ッ! “ノイズ”…!!」

 

 

そう、液晶ディスプレイのような部位が特徴の異形の存在―――ノイズだった。それを見た瞬間、響を始めとした〝七聖の歌姫”の面々は真っ先に反応し、それぞれの得物や拳を構える…。

 

 

「あの“イカれ研究者”はまだ来てねえみたいだな…。とにかく先にコイツ等を片付けるぞ。リアス、何体までならイッセー逹眷属だけで相手取れる?」

 

 

「…! 2体が限度だと思うわ」

 

 

「そうか…。なら、残りの6体は俺達の方で片付ける。ノイズも前に言った通り、こっちに任せてくれ」

 

 

ここで組織のトップとしての雰囲気を醸し始めた当麻は、リアスへ戦闘における相手の配分を伝える…。

 

 

「本当にごめんなさい。あなた逹にばかり負担を押し付けることになってしまって…」

 

 

ポスッ…!

 

 

「ッ////!」

 

 

「あんたが気にすることじゃねえよ、リアス。それにアカメやユウキ逹がこの学園で楽しく過ごせているのも、あんたや朱乃逹眷属のお蔭なんだ。こういう時くらい頼ってくれた方が、上条さん逹的にもありがてえ…。だから安心して俺達に任せろ。な?」

 

 

「! ええ…////」

 

 

右手を頭にそっと乗せながら当麻が語り掛けるように言うと、リアスは頬を赤く染めながら短く言葉を返した。その反応は先程まで厳しい表情を浮かべていたとは思えない程、少女としての一面を表に出している…。もっとも、

 

 

「あー…クロメさん、シノンさん? 何故に俺の脇腹をつねってくるのでしょうか? っていうか、割と結構痛いんですが!?」

 

 

「…自分で考えて」

 

 

「ふんっ…!」

 

 

それを見たシノンとクロメには脇腹をつねられた挙げ句、素っ気ない態度を取られたり…

 

 

「当麻アアアアアアアッ!! 部長に何て羨ましいことしてんだアアアアアアッ!!!」

 

 

イッセーから血涙混じりの嫉妬の視線を浴びたのは、余談である…。と、ここで、

 

 

「犬共の相手は俺達がやる」

 

 

「! リクオ…」

 

 

そんな提案を当麻に出してきたのは、瞬時に神器を発動して“夜の姿”になっているリクオだった。

 

 

「この程度の奴等なら俺達だけで十分だ。お前等はノイズに専念した方がいいだろ? 特に一護」

 

 

「!」

 

 

「お前には一番デケえ仕事が待ってんだ…。少しは温存しておけ」

 

 

「…ああ」

 

 

リクオにそう言われ、意味深な表情で頷く一護…。

 

 

「そんじゃあ…行くぞ」

 

 

『ああ(ええ)(うん)(はい)(おう)!』

 

 

そしてリクオがヤミやエルザ、ララ達を従えるように前に出てきた所で…

 

 

「…やれ」

 

 

『グオオオオオッ!!!』

 

 

「! やるわよ! 朱乃! 小猫!」

 

 

「はい、部長♪」

 

 

「…はい」

 

 

コカビエルの命令と共に、ケルベロスとノイズ逹が一斉に侵攻を開始した。それを見たリアスはすぐさま朱乃と小猫に指示を出し、ノルマである2体のケルベロスを相手取る。その一方で、

 

 

「俺達はノイズを蹴散らす。いいな?」

 

 

「オッケーだよ、当麻!」

 

 

「問題ない…」

 

 

当麻もいつの間にか戻ってきていたユウキとアカメ逹に声を掛け、行動を開始する。

 

 

「行っくよー!」

 

 

「…葬る」

 

 

最も早く動いたのはユウキとアカメだった。2人は一瞬にしてノイズの群れに迫り、目にも止まらぬ速さで目の前のノイズ達を斬り刻んでいったかと思うと…

 

 

「おいで、“ナタラ”、“ドーヤ”」

 

 

シュンッ!×2

 

 

クロメは何処からともなく2人の人物を呼び寄せた。1人は薄い金髪が目を引く背の高い青年、もう1人は“長い金髪”が目を引くウエスタン風の少女である。その目はまるで死人のように光が灯っていないが、それも当然である。何しろこの2人は……“本当に死人”なのだから…。

 

 

「行って」

 

 

クロメの一声を聞いた瞬間、2人は頷く素振りすら見せずにノイズの大群へと突っ込んでいった。背の高い死人の青年――“ナタラ”は薙刀状の神器“トリシュラ”を振るい、ウエスタン風の死人の少女―――“ドーヤ”は2丁拳銃型の神器“シュリーフ”で放つことでノイズを次々と塵へ変えていく。その後クロメも戦線に加わり、自らの日本刀型神器“八房”でノイズを斬り伏せていく…。

 

 

「シノン」

 

 

「分かってるわよ。援護するから、早く行って」

 

 

「頼む」

 

 

最後に動いたのは当麻とシノンである。当麻が駆け出した瞬間、シノンは右手に3本の光の矢を形成し、既に左手に携えていた長弓“シェキナー”を使って放つ。3本の矢はそれぞれ進行方向にいたノイズ逹を直線上に葬り去る…。

 

 

「槍(ランス)…」

 

 

そこへ当麻が左手に長大な槍を手にしつつ接近し、凄まじい槍裁きでノイズ達を消滅させていく。しかもそれは…ユウキやアカメ達を凌駕する程のスピードだった…。一方、こちらでも…

 

 

「はあッ!!」

 

 

ザシュッ!!

 

 

雪菜が“雪霞狼(シュネー・ヴァルツァー)”による鮮やかな槍裁きでノイズを斬り刻み…

 

 

「ふっ!!」

 

 

ザァンッ!!

 

 

紗矢華も“煌華麟(デア・フライシュッツ)”を大剣型に変形させ、ノイズ達を一刀両断している…。と、ここで、

 

 

『キュオオオオオオオッ!!!』

 

 

「! あれは…」

 

 

「大型が来たわね…」

 

 

奇声のような咆哮が聞こえたかと思うと、ノイズの大群の後ろに複数の大型ノイズが出現していることに雪菜とシノンが気付く。

 

 

『キュオオオオオオオオオッ……!!』

 

 

「空からも来た…」

 

 

「確かあれって、普通のノイズを一杯落としてくるタイプだよね?」

 

 

「ええ。これ以上増えると面倒だし、さっさと倒した方がいいわね…!」

 

 

更に空中にも飛行艇を連想させるような巨大ノイズが現れたのだ。それを見た紗矢華は反応の薄いクロメやユウキとは対照的に、すぐさま倒そうと煌華麟を変型させようとした。だが、

 

 

「平気よ、紗矢華」

 

 

「ああ、俺達は普通のノイズを倒すのに専念してればいい。向こうは…」

 

 

ドガアアアアアアアアアンッ!!!

 

 

「…!」

 

 

「“あいつ等”が片付ける…」

 

 

シノンと当麻が紗矢華を制止したかと思うと、1体の空中にいた大型ノイズが突如爆散した。その理由は…

 

 

「たかがノイズが、アタシ等の居場所を奪いに来んじゃねえええッ!!」

 

 

クリスが2基の大型ミサイルを放つ“MEGA DEATH FUGA”で撃墜したのである。そして彼女がそう叫んでいる間にも、もう1発のミサイルが2体目の大型ノイズを撃ち落としていく…。

 

 

「切ちゃん」

 

 

「分かってるデスよ、調!」

 

 

こちらでは調と切歌が地上にいる大型ノイズへ迫っていた。調が自らの持つ2つのヨーヨーを合体、巨大化させたかと思えば、切歌は肩口のアンカーを射出して大型ノイズの頭部に巻き付け…

 

 

ザァンッ!!!×2

 

 

それぞれ“β式 巨円断”、“断殺 邪刃ウォttkkk(だんさつ・ジャバウォック)”で大型ノイズを一体ずつ縦、あるいは横一閃に両断する…。

 

 

「ハアッ!!」

 

 

「ふっ!!」

 

 

ズバンッ!!×2

 

 

翼とマリアも大型化させた刀で巨大な青いエネルギー刃を繰り出す“蒼ノ一閃”、刀身を蛇腹剣にして攻撃する“EMPRESS✙REBELLION”で、大型ノイズを容赦無く真っ二つにしたかと思えば…

 

 

『キュオオオオオオオッ……!!?』

 

 

ズガアアアアアアアアアン…!!!

 

 

「…………」

 

 

未来は扇型の得物を鏡のように展開して複数のビーム砲を繰り出す“閃光”で、眼前の大型ノイズを蜂の巣状に貫き消滅させる。そして…

 

 

「はああああああああああッ!!!!!」

 

 

ドゴオオオオオオオオンッ…!!!

 

 

響は腕部のバーニアによって一気に急加速し、そのまま右拳で最後の大型ノイズの土手っ腹に大穴を開ける。その結果、全ての大型ノイズが塵となって消え失せた…。そんな彼女逹の様子を見て…

 

 

「向こうは問題なさそうね」

 

 

「ああ。あの程度のノイズにアイツ等が苦戦する筈ねえからな」

 

 

「フッ、そうだな。さて…こちらも手早く片付けるぞ」

 

 

一切心配している様子もなく話しているのは、ミラジェーンとリクオ、エルザの3人である。その眼前には…

 

 

『グルルルルルルッ…!!!』

 

 

6体のケルベロスが獰猛な唸り声を上げつつ身構えていた…。すると、

 

 

「…気絶させる程度にしろ。絶対に殺すな…。それでいいな、ナナ?」

 

 

「! リクオ…」

 

 

リクオの口から出た思わぬ指示に、目を見開いて反応するナナ…。

 

 

「こんなのを手加減しながら倒せって、結構難易度が高い気がするんだけど…」

 

 

「でも、賛成です!」

 

 

「ふふっ、ナナちゃんのためだからね♪ ヤミお姉ちゃんはどう?」

 

 

「…丁度良いハンデです」

 

 

更にその指示にはルーシィやウェンディ、芽亜、ヤミも同意を示す。

 

 

「小猫逹の方は諦めろ。流石にアイツ等にはそんな余裕はねえ。だが…俺達ならお前の我が儘にも付き合える。つっても、最後はお前次第だ…。行けるか?」

 

 

リクオの問い掛けに対し、ナナは…

 

 

「…当たり前だろ! 絶対成功させてやる!!」

 

 

「…ハッ、そうかよ」

 

 

「あなたの動物好きも筋金入りね、ナナ。まぁ、私も人のこと言えないんでしょうけど…」

 

 

「私もモモも手伝うよ、ナナ♪」

 

 

「! おう!」

 

 

しっかりと決意の込もった眼差しで答えたのだ。そんな彼女の様子を見て、リクオは不敵な笑みを浮かべ、姉妹であるモモとララもそれぞれ言葉を掛ける…。

 

 

「来るぞ!」

 

 

『グルアアアアアアッ!!』

 

 

そして6体全てのケルベロスが襲い掛かってきた瞬間、エルザの掛け声と共に“殆どの者達”が行動を開始する。

 

 

「換装ッ!」

 

 

まず初めに動いたのはエルザだった。彼女の全体が光に包まれたかと思うと、先程までの銀の鎧姿ではなく、“豹柄”と“獣耳”が特徴の露出の高い戦闘装束を身に纏っていた…。

 

 

「“飛翔の鎧”!!」

 

 

『グルアアアアアアアッ!!!』

 

 

ドガアアアアアアアアアンッ…!!!

 

 

目の前にいたケルベロスはすぐさま右前足を振り下ろし、強靭な爪で切り裂こうとした。しかし、振り下ろした所にエルザは居らず…

 

 

「ふっ!!」

 

 

ドゴンッ!!!!

 

 

『グゴオッ!!??』

 

 

圧倒的なスピードを以て、いつの間にかケルベロスの胴体の真下に移動していた。そして右手による掌抵を繰り出し、その巨体を真上へ吹き飛ばすと…

 

 

シュンッ!!

 

 

「ハアアアアッ!!」

 

 

ザァンッ!!!

 

 

『グルオオオオオッ!!??』

 

 

ドガアアアアアアアアアンッ…!!!

 

 

瞬時にケルベロスよりも更に上方へ姿を現し、急降下と同時に2本の刀で素早く斬り伏せたのだ。無論ケルベロスはそのまま地面に叩き付けられ、起き上がる様子もない。といっても…

 

 

「安心しろ、峰打ちだ…」

 

 

エルザの一言から分かるように、ちゃんと生きているが…。一方、こちらでは…

 

 

『グルルルルルルッ…!!』

 

 

「フフッ、どうしたの? 全然動いていないわよ…?」

 

 

ミラジェーンがケルベロスの巨大な右足を、右手一本で受け止めていた。だがその姿はいつもの穏やかで優しいモノではなく、“悪魔のような翼”と“紫を基調としたレオタード風の装束”が目を惹(ひ)く恐ろしいモノだった…。

 

 

ガシッ!!

 

 

『グオッ!!??』

 

 

「ハアアアアアアアッ!!!」

 

 

ズガアアアアアアアアアンッ…!!!

 

 

『グルアッ…アッ…』

 

 

彼女のしたことは実に単純で、ただケルベロスの右前足を両手で掴み、半円状に振り回すような形で頭から地面に叩き落とす…それだけである。しかしその一撃をモロに受けたケルベロスは、呻き声を上げながら完全に昏倒していた…。それを見て、

 

 

「ねぇ、ウェンディ? あれ、本当に生きてる?」

 

 

「えっと…早く治しに行った方が良さそうですね…」

 

 

ルーシィとウェンディは苦笑いを浮かべながら呟く。まあ、確かに今目の前で倒された2体のケルベロスは、端から見ると完全に瀕死状態にしか見えないのだ。『本当に手加減した?』という問い掛けを2人が呑み込んだのは、ある意味必然である…。と、そうこうしている間に、

 

 

『グルアアアアアアッ!!!』

 

 

「っ! ウェンディ!」

 

 

2体のケルベロスが再び襲い掛かってきたことにルーシィが気付くと、2人はすぐさま放たれた炎を回避する。

 

 

「ウェンディ! 足止めをするから、まとめて御願い!」

 

 

「! はい!!」

 

 

するとルーシィはそんな指示を出しつつ、腰の右側に装着していたホルダーから“1本の金色の鍵”を取り出し…

 

 

「開け、処女宮の扉! “バルゴ”!!」

 

 

キンコーンッ!

 

 

その掛け声と同時に、目の前に何かを呼び寄せた。それは…

 

 

「御呼びでしょうか、姫?」

 

 

“メイド服”と“両手首の枷”が目を引く、ピンクのショートカットの女性(?)だった。

 

 

「バルゴ、あの2体の足止めを御願い!」

 

 

「畏まりました、姫。終わったら、お仕置きですね?」

 

 

「するかァッ!!」

 

 

淡々とした口調で爆弾を落とす女性(?)──バルゴにルーシィが突っ込むが、当のバルゴは凄まじい速さでその場に穴を掘り、姿を消していたのだ。と、次の瞬間、

 

 

『グオオオオッ!!?』

 

 

ドゴオオオオオオンッ!!×2

 

 

突然2体を完全に収める程の大穴が地面に空いたかと思うと、目の前のケルベロス逹は穴の中へと落ちていき…

 

 

ズボッ!!

 

 

「これで宜しいでしょうか、姫?」

 

 

「! うん、バッチリよ、バルゴ!」

 

 

そこから5秒も経たない内にバルゴが地面から再び姿を現した。どうやら目の前で起きた出来事は、バルゴの手によるモノのようである…。

 

 

「ウェンディ!」

 

 

「はい!!」

 

 

するとルーシィはすぐさま上方に向かって声を掛ける。そこには、既に大穴の丁度真上に当たる空中で構えているウェンディの姿が…。

 

 

「天竜の、咆哮ォォォォォッ!!!」

 

 

『グルアアアアアアアアアアアアッ…!!!??』

 

 

彼女から放たれたのは巨大な竜巻のようなブレス。その一撃は大穴の周りを大きく抉りつつ、中にいる2体のケルベロスに直撃する。その結果…2体が穴の中から出てくる様子は一切見られなかった…。それを見て、

 

 

「皆終わっちゃったみたいだね。どうする、ヤミお姉ちゃん?」

 

 

「…こちらも終わらせます」

 

 

『グルルルルルルッ…!!??』

 

 

芽亜とヤミはそんなやり取りをしながらも、相手となっている2体のケルベロスを自らの髪で雁字搦めに拘束していた。すると、

 

 

「…プリンセス・ララ」

 

 

「モモちゃん、こっちは御願いするね♪」

 

 

「うん! 行くよ、モモ!」

 

 

「はい!!」

 

 

2人が声を掛けた瞬間に動いたのは、ララとモモである。その行動はまたしても実に単純で、一気に空高く跳躍し…

 

 

「「えい(はあ)っ!!」」

 

 

ボゴオオオオオオオオンッ…!!!!

 

 

頭部に踵落としをお見舞いした。その一撃の威力はケルベロス達を地面に叩き付けるだけでなく、その衝撃でクレーターを形成してしまう程のものだった…。そして、

 

 

「これで全部だな…。やれ、ナナ!」

 

 

「言われなくても、そのつもりだ!!」

 

 

キィィィィィィンッ…!!

 

 

6体全てのケルベロスの沈黙を確認したリクオが合図を出すと、それを聞いたナナは巨大な魔方陣を6体のいる場所にそれぞれ展開する。

 

 

「今日からお前等もアタシの“友達”だ…。もう地獄なんかで番をする必要なんかない…。だから、アタシと一緒に来い…!!」

 

 

その瞬間、展開されていた魔方陣が眩い光を放ったかと思うと、6体のケルベロス達は一斉に目を覚ましてゆっくりとナナの下へ歩み寄っていく…。すると、

 

 

「よろしくな、お前等♪」

 

 

『…グルルルルッ…』

 

 

ナナが笑顔を浮かべながら一言そう言っただけで、ケルベロス達は一斉に彼女に頭(こうべ)を垂れたのだ。まるで彼女に対して服従…いや、気を許したかのように…。

 

 

「よくやったな、ナナ」

 

 

「流石だね、ナナちゃん♪」

 

 

「! べ、別に大したことじゃねえよ、このくらい…/////」

 

 

「相変わらずのツンデレですね」

 

 

「! だ、誰がツンデレだあああああッ/////!!?」

 

 

「ちょっとぉぉぉッ!? 何変なタイミングでとんでもないこと口走ってんの!?」

 

 

「? いけませんでしたか、姫?」

 

 

「むしろいけなくない部分が何処にも無いでしょうがッ!!」

 

 

リクオと芽亜の誉め言葉にナナは思わず照れ隠しをするが、一転バルゴの天然発言を聞いた瞬間にキレ始めてしまった。ルーシィが慌ててツッコむものの、当の本人には一切自覚している様子もない…。と、その時、

 

 

「小猫ちゃんッ!!」

 

 

『ッ…!?』

 

 

突如そんなイッセーの声を聞いた瞬間、ララやルーシィ達は咄嗟にグレモリー眷属の方へ目を向けると、そこには……いつの間にか増えていたケルベロスの鋭利な牙を受けて吹き飛ばされている、小猫の姿があった…。

 

 

「ッ! 小猫さん…!!」

 

 

「…芽亜!」

 

 

「うん!!」

 

 

それを見たモモが声を上げる中、ヤミと芽亜はすぐさま小猫の下へ向かおうとした。しかし…

 

 

シュンッ!!

 

 

「「…!!」」

 

 

そんな2人を遥かに凌ぐ速さで小猫の下へ向かう者がいた。その人物はあっという間に空中へ投げ出された小猫に辿り着き…

 

 

「オラアッ!!」

 

 

『グルオオオオオッ!!??』

 

 

ドゴオオオオオオンッ…!!

 

 

空中回し蹴りでケルベロスを吹っ飛ばしながら、落下している小猫を受け止めた。その人物とは言うまでもなく…

 

 

「…リクオ、先輩?」

 

 

「大丈夫か、小猫?」

 

 

「…! はい…ありがとうございます…」

 

 

ルーシィやララ達をまとめる少年──奴良リクオであった。そしてリクオが地上に降り立った所で…

 

 

「ッ……/////!」

 

 

小猫はようやく自身の状況に気付き、咄嗟に両手で体を隠すような動作を見せる。何しろ彼女の制服はケルベロスの攻撃によって大きく引き裂かれており、所々素肌が見えてしまっている状態なのだ。しかもそんな格好で男子に俗に言う“お姫様抱っこ”をされているとなれば…顔を赤面させてしまうのも仕方のない話であった…。それに対し、

 

 

「っ! あー…すまねえ、小猫。ちょっと待ってろ」

 

 

リクオもそんな彼女の格好に気付いたのか、若干気まずそうにしながらも彼女をそっと下ろし、自らが羽織っている外套に手を掛ける…。

 

 

ファサッ…!

 

 

「…!」

 

 

「もう何度目になるか分かんねえが、とりあえずそいつを羽織ってろ」

 

 

「…ありがとうございます…////」

 

 

体を隠すように掛けられた外套を羽織りつつ、再び感謝の言葉を呟く小猫…。と、そこへ、

 

 

「小猫ちゃん!!」

 

 

「! アーシアか。丁度良い。小猫の怪我を見てやってくれ」

 

 

「はい!」

 

 

「私も手伝います!!」

 

 

「! ああ。頼む、ウェンディ」

 

 

駆け付けてきたアーシアとウェンディに小猫を任せるリクオだったが…実は先程からずっと無視し続けていることがある。それは…

 

 

「ちょっとおおおおおっ!!!? 頼むからいい加減こっちにも目を向けてエエエエエッ!!!」

 

 

『グルオオオオオオオオオオオオッ!!!』

 

 

ケルベロスに絶賛追い掛けられ中のイッセーのことである…。

 

 

「…何を遊んでいるんですか、兵藤一誠」

 

 

「いや遊んでないからッ!! 今にも喰われそうになってる所だからッ!! 何処をどう見たら遊んでるように見えんのヤミちゃんッ!?」

 

 

「そんなことないと思うよ、イッセー先輩♪ だって、ほら…」

 

 

『グルアアアアアアアアアアアアッ!!!』

 

 

「その子も凄く楽しそうだし♪」

 

 

「絶対違うよねッ!? どう見ても鬼の形相が3つ並んでるようにしか見えないんだけどッ!?」

 

 

ヤミと芽亜の発言に対し、ケルベロスの追撃を間一髪避けながらツッコミを入れるイッセー…。

 

 

「つべこべ言ってる暇があったら避けるのに集中しろ。食われるぞ?」

 

 

「いやコイツ怒らせたのお前のだろ!? 責任持って何とかしてくんない!?」

 

 

「知るか」

 

 

「まさかの即答!?」

 

 

リクオの辛辣な対応にもすかさずツッコむ。しかし…

 

 

「ッ! ギャアアアアアアアアアアアアアッ!!??」

 

 

ついに追い付かれ、三つ首の1つに喰われそうになった…次の瞬間、

 

 

シュインッ…!!!

 

 

『グルオオオオオオオオオッ…!!???』

 

 

「! やっと来たか…(ボソッ)」

 

 

突如その巨大な胴体が真っ二つに斬られ、断末魔を上げながら姿を消したのだ。そしてリクオは目の前の光景を“ある人物”によるものと瞬間的に気付き、そう呟く…。

 

 

「加勢に来たぞ、兵藤一誠。もっとも、そちらには一切必要はなさそうだな」

 

 

「! ゼノヴィア!!」

 

 

イッセーはケルベロスを両断した人物──ゼノヴィアを見て、思わず声を上げた。その一方、

 

 

「流石は7本の中で最も破壊力のある聖剣だな。ケルベロスを一太刀か」

 

 

「あなたがそれを言っても嫌味にしか聞こえないわよ、エルザ。あなたなら普通の剣でも簡単に斬れるでしょ…?」

 

 

ゼノヴィアの持つ“破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)”に対するエルザの発言を聞いて、ミラジェーンは思わず苦笑いを浮かべた…。

 

 

「よう」

 

 

「!」

 

 

「遅かったじゃねえか、聖剣使いさんよ」

 

 

「もう1人の副総帥…。そうか、それが噂にもあったお前のもう1つの姿か」

 

 

「ああ。それとその副総帥ってのはやめてくれ。リクオで構わねえよ」

 

 

ここでリクオはゼノヴィアに声を掛ける。

 

 

「あそこでふんぞり返ってる鴉からのダメージの回復に、時間が掛かったからか?」

 

 

「! 流石に気付いているか…。ああ、奴の強さは予想を遥かに超えていた。お蔭でイリナともはぐれてしまってね。恐らく彼女はもう…」

 

 

ゼノヴィアはそう話しながら、僅かに悲痛な表情で顔を俯き始めた。どうやらイリナが最悪の状況に陥っていると考えているようである…。それを見て、

 

 

「あの女なら無事だ」

 

 

「っ! 何…?」

 

 

「俺達の仲間が保護してる。今は俺達が暮らしてる家の中だ。派手に痛め付けられてたが、そこにいるウェンディが治したお蔭で命に別状はねえよ。そうだろ、ウェンディ?」

 

 

「あ、はい! 安静にしていれば、すぐに回復すると思います!」

 

 

ゼノヴィアが驚きを露わにする中、リクオはすぐ近くにいたウェンディに確認を取った。すると、

 

 

「…イリナを助けてくれたこと、心から感謝する」

 

 

「俺は何もしてねえよ。今礼をするならウェンディにしてやれ」

 

 

「! き、気にしないで下さい。私はただ当たり前のことをしただけですから…」

 

 

リクオの言葉にウェンディは謙遜するような態度を見せるが、その間にもゼノヴィアが彼女の方へ向き直り、控えめに頭を下げながら感謝の言葉を述べる…。そんな中、

 

 

『…! グルアアアアアアッ!!!』

 

 

仲間の殺られる姿を見た1体のケルベロスが、狙いを変更して“或る人物”の方へ迫っていく。その人物とは…

 

 

「アーシアッ!!」

 

 

「ッ! キャアアアアアッ!!?」

 

 

「バルゴ!!」

 

 

「畏まりました、姫」

 

 

丁度完全に無防備になってしまっているアーシアである。それを見たイッセーが思わず叫ぶ中、ルーシィは咄嗟にバルゴへ指示を出した。だが…

 

 

「ったく、お前も来んのが遅えよ…(ボソッ)」

 

 

その様子を見ていたリクオは少し呆れた口調で呟いた。と、次の瞬間、

 

 

ズガガガガガガガッ…!!!!

 

 

『…!!』

 

 

アーシアの目の前まで迫っていたケルベロスの胴体に、地面から突如無数の魔剣が現れて突き刺さったのだ。そして、すぐさまアーシアの隣に1人の少年が姿を見せる。それは…

 

 

「木場!!」

 

 

「! 裕斗…!!」

 

 

ゼノヴィアと共に行方の分からなかった人物──木場裕斗だった…。

 

 

「朱乃!!」

 

 

「はい、部長♪」

 

 

彼の登場を受けて士気がより高まったのか、リアスは先程よりも大きな声で指示を飛ばし、朱乃もそれに応えるように雷の威力を高め始める。どうやらイッセーが既に“赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)”で力を譲渡しているせいか、2人の力はいつもの数倍くらいに高まっていた。更にその間にも、

 

 

「…えい」

 

 

ズゴオオオオオオンッ!!

 

 

戦線に復帰した小猫がケルベロスの巨体を軽々と持ち上げ、仰向けになるよう地面に叩き付ける。これで朱乃とリアスの一撃を避ける手立ては…ケルベロスには無い…。

 

 

「はあっ!!」

 

 

「ふっ!!」

 

 

ドゴオオオオオオオオオオオオオオンッ…!!!!

 

 

最大限に高められた雷と滅びの魔力を同時に受けたケルベロスは、その場から跡形も無く消滅した…。

 

 

「赤龍帝の力を譲渡したことによる威力の底上げか…。なるほど、確かにあれならコカビエルにも届く可能性が…」

 

 

「いや、そいつはどうだろうな…。んなことより、お前もまた随分と遅い到着じゃねえか、裕斗」

 

 

「…! ゴメン、コカビエルと戦った時に少しダメージを負ってね。それよりリクオ君、この状況は一体…」

 

 

「ああ、アイツ等のことか。アレの説明は後で…」

 

 

それを見たゼノヴィアが期待を込めた評価を下す中、遅れてやってきた裕斗とそんなやり取りを交わすリクオ。ちなみにリクオの言う“アイツ等”とは、現在響達が中心となって対抗しているノイズ達に他ならない…。と、その時、

 

 

「中々見応えのある余興だったぞ」

 

 

『…!!』

 

 

そんな戦闘の様子をのんびりと見ていたコカビエルが、一言そう呟いたのだ。すると、それを見たリアスは…

 

 

「喰らいなさいッ!!!」

 

 

ゴオオオオオオオオッ…!!!

 

 

「! でかい…!!」

 

 

コカビエルに向けて滅びの魔力の奔流を放った。その大きさを見たイッセーが思わず声を上げる中、その奔流は真っ直ぐコカビエルへと向かっていき…

 

 

「フッ…」

 

 

「ッ…!!??」

 

 

「リアスッ!!」

 

 

軽い片手の一振りで跳ね返されてしまった。その一撃が真っ直ぐリアスの方へ進んでいくのを見て、思わず彼女の名前を叫ぶ朱乃。そして…

 

 

『break』

 

 

バキィィィィィィンッ…!!!

 

 

リアスを呑み込む一歩手前で、粉々に砕け散った。何故なら…

 

 

「大丈夫か、リアス?」

 

 

「! ええ…ありがとう、当麻」

 

 

瞬時にリアスの前に現れた当麻が自らの神器──“虹龍王の顎(アルカディア・ストライク)”で打ち消したのだ…。

 

 

「ほぉ、それが噂の“十四番目の神滅具”か? 見た目は赤龍帝の神器に似ているが…感じるぞ! 心地良い程の禍禍しい圧力(プレッシャー)をッ!!」

 

 

「…どうやら俺達の情報は、この前表に出たお蔭ですっかり出回ってるみたいだな…。まぁ、とりあえず俺の力を買ってくれてることには礼を言っとくぜ? 堕天使の幹部さんよ」

 

 

「! 俺を前にしてもその余裕か…。やはり貴様等は俺が相手をするのに相応しい者達のようだな。だが…」

 

 

当麻の様子を見たコカビエルはそう言ったかと思うと、ここで口角を更に吊り上げ…

 

 

「周りが見えていない時点で、高が知れるぞ?」

 

 

「! 一体何を言って…」

 

 

続けて意味深な呟きを口にしたのだ。それを見たリアスは疑問を抱きつつコカビエルに尋ねようとした…その時、

 

 

「! 響ッ!!」

 

 

「え?」

 

 

『ッ…!!』

 

 

未来の突然の叫びを聞き、グレモリー眷属と殆どのアイエールの面々が咄嗟にそちらへ目を向けると、そこには…紫色の鎖が響の頭上から迫っていたのだ。しかも響はそれに気付いていないのか、少々間の抜けた声を出してしまっている。

 

 

「立花ッ!!」

 

 

「あのバカッ…!!」

 

 

翼とクリスがすぐさまその鎖を破壊しようと動くが、どう見ても間に合う様子はない。恐らく此処にいる殆どの者達が“ダメだ”と直感的に感じてしまっているだろう…。しかし、

 

 

「周りが見えてないのは…テメエの方だ」

 

 

当麻はいつにも増して鋭い視線を向けながら、コカビエルにそう言い放ったのだ。と、次の瞬間、

 

 

バキィィィィィィィィィィンッ!!!

 

 

響に迫っていた紫色の鎖は、彼女を捉える寸前で突如斬り裂かれる。それを行ったのは、彼女の目の前に現れた1人の青年だった…。

 

 

「! 一護さん…!」

 

 

「少し下がってろ、響」

 

 

自身に駆け寄って来ようとする響に対し、その青年──黒崎一護は左手でそれを制する…。

 

 

「いつまで隠れてるつもりだ? いい加減さっさと出てきやがれ」

 

 

「…チッ、相変わらずムカつく態度だな、糞餓鬼」

 

 

『っ…!!』

 

 

そう言った瞬間、1人の男の声が響き渡ると同時に、その姿を現す。金色のロン毛に白衣を羽織った男…そう、響達を手に入れると宣言した元研究員である…。

 

 

「まあ、んなことはどうでもいい。どうやら俺の“所有物共”をノコノコ持ってきてくれたみてえだからなぁ…。今度こそ返してもらおうじゃねえか…」

 

 

パチンッ!

 

 

白衣の男が下卑な笑みを浮かべながら指を鳴らすと、男の周囲に7つの魔方陣が展開される。そこから現れたのは…

 

 

「ハッ、ようやくかよ! 待ちくたびれたぜッ!!」

 

 

「暑苦しい…落ち着くという行為を覚えたらどうだ、小僧」

 

 

「そういう貴公も静粛に願いますか? 主は無用な争いを望まないものです」

 

 

「うわ、出たよ。その意味分かんない神様崇拝、何とかなんないの?」

 

 

「ダメよ、そんなこと言っちゃ。同じ穴の狢(ムジナ)同士、少しは仲良くしないと」

 

 

「………」

 

 

7人の男達だった。しかもその容姿や言動から、それぞれ大きく特色の異なる人物達であることが窺える…。

 

 

「あの女達が、俺達の“獲物”か?」

 

 

「ええ、そうですとも。どうぞ思う存分暴れてきて下さい。ですが、目的は理解していますね?」

 

 

「“研究に支障の無い状態で捕らえる”…それで構わないな?」

 

 

「分かっているのであれば結構。何しろそのために私は、あなた方をこの世界へ解き放ったのですから…」

 

 

7人の中でもリーダー格と思われる男と、何故か敬語口調でそんなやり取りを交わす元研究員…。と、ここで、

 

 

「そいつ等が響達を捕まえるために集めた、テメエの仲間か?」

 

 

「! 仲間っていうのは正しい表現じゃねえなぁ…。俺達はあくまで依頼を土台にして信頼を関係を築いている“ビジネスパートナー”…。テメエ等餓鬼共のつまらねえ絆ごっことは違うんだよ」

 

 

「ッ…!」

 

 

一護の問い掛けに対する元研究員の男の言葉を聞いて、後ろにいた響が思わず前に出ようとするが、それを一護は再び左手で制する…。

 

 

「“絆ごっこ”か…。まあ、確かにテメエならそう考えるんだろうな…。なら、証明するしかねえよな? 俺達のしてることが、テメエの言う“ごっこ遊び”じゃねえってことを…」

 

 

一護はそう言ったかと思うと、後ろにいる響を始め、七星の歌姫の面々全員に目を向ける。そして真剣な表情を浮かべたまま、僅かに頷く素振りを見せると…

 

 

『! はい(おう)(ああ)(ええ)(うん)(はいデス)!』

 

 

響達7人は力強く答え、一護よりも前に躍り出たのだ。それを見て…

 

 

「…一体何の真似だ?」

 

 

「見ての通りだ。そいつ等の相手は響達がする…。テメエは俺とサシでけりを着けようじゃねえか」

 

 

『ッ!!?』

 

 

一護が元研究員の男にそう宣言すると、元研究員達とグレモリー眷属の面々は驚きを露わにした。

 

 

「な、何言ってんだよ一護!? そいつ等が狙ってんのは、響ちゃん達なんだろ!? だったら皆で…!!」

 

 

グレモリー眷属を代表するように、一護に対して慌てて詰め寄ろうとするイッセー。だが…

 

 

ガシッ!!

 

 

「っ!?」

 

 

「止めるなよ、イッセー」

 

 

それを近くにいたリクオが肩を掴んで止めた…。

 

 

「これはアイツ等で片を着けなきゃなんねえことなんだよ。俺達が下手に手を貸しても、何一つ解決しねえ…」

 

 

「っ! “解決”って…そんなこと言ってられる話じゃないだろ!?」

 

 

「いや、そういう話なんだよ。お前には分かんねえことだろうけどな…。それにお前には相手をしなきゃならねえ奴が、あそこにいるだろ?」

 

 

「…! け、けどよ…!!」

 

 

リクオに上空のコカビエルのことを指摘されても尚、イッセーは食い下がろうとした。と、その時、

 

 

「イッセーさん!」

 

 

「…!」

 

 

そんなイッセーに声を掛けたのは…響だった。

 

 

「ありがとうございます、心配してくれて…。でも、大丈夫です!」

 

 

ガッ!!

 

 

「私も皆も、絶対に勝ちますからッ!!」

 

 

右拳を自らの左手で受け止めることで、闘う意志を明確に表現する響。それを見たイッセーは口を出すことを止めると同時に、ハッキリと感じていた。現在の響達は紛れもなく…“戦士”だということを…。

 

 

「クククククッ…! “絶対に勝つ”、ねえ…。くだらねえこと言ってんじゃねえぞ、クソ小娘(ガキ)共が…」

 

 

パチンッ!

 

 

元研究員の男は笑みと苛立ちを交互に見せたかと思うと、再び指を弾いて音を鳴らした。すると…

 

 

キィィィィィィンッ…!!

 

 

周囲にいた7人の男達が、足元に現れた魔方陣によって姿を消したのだ。そして彼等が消えた場所には、七色に色分けされた魔方陣が姿を見せている…。

 

 

「なら、テメエ等の要望に答えてやるよ…。この7つの魔方陣の先には、さっきまでここにいた連中が首を長くして待ってる。1人ずつ立ち向かう気が本気であるなら、コイツを潜れ…。怖じ気付くなら勝手にしろ。まあ、つっても何処に逃げようと、確実に捕まえてやるんだがなぁ…」

 

 

“醜悪”と表現するしかないような笑みを浮かべながら、そう話す元研究員の男…。

 

 

「前に話した通り、コイツ等は俺達の獲物だ。あんたは残りの連中を相手する…。それで構わねえな?」

 

 

「フッ、勝手にしろ…」

 

 

「オーケー、契約は完全に成立だ。クククッ、楽しみだねぇ…何しろ、テメエ等を絶望させた状態で手に入れられるんだからなぁ…」

 

 

元研究員の男はコカビエルとそんなやり取りを交わした後、その言葉と共に魔方陣を用いて姿を消した…。

 

 

「当麻、リクオ」

 

 

「言うまでもねえだろ、一護?」

 

 

「さっさとケリを着けてこい…。そいつ等と一緒にな…」

 

 

それを見た一護達は、既に男の挑発に乗る気満々だった。一護が当麻とリクオからそんな言葉を受け取っているかと思えば…

 

 

「皆さん、気を付けてください。あの人達は…」

 

 

「大丈夫。誰が相手でも絶対に負けない…」

 

 

「ここは任せるデスよ!」

 

 

調と切歌は雪菜の注意を促すような言葉に対し、自信を持った様子で答え…

 

 

「んじゃあ、さっさと片してくるわ」

 

 

「あなた達も気を付けなさい。一瞬現れたあの男達からも、かなり嫌な感じがしたわ…。油断しない方がいいわよ」

 

 

「! ありがとうございます、紗矢華さん」

 

 

クリスと未来の2人も紗矢華とそんなやり取りを交わした…。

 

 

「準備はいいな?」

 

 

「ああ(ええ)!」

 

 

「勿論ですッ!」

 

 

最後の確認といった雰囲気の一護の問い掛けに対し、力強く頷く翼とマリア、響の3人…。と、そこへ、

 

 

「黒崎一護」

 

 

「! よう、ゼノヴィア」

 

 

ゼノヴィアがフルネームで一護を呼び止める。

 

 

「あまり事情を把握できていないが、貴様には施しを受けた借りがある。こう見えても私は、借りを返さないと気が済まない性分でね…。必ず戻ってこい」

 

 

「! お前に激励されるとはな…。ああ、分かった」

 

 

更に…

 

 

「一護君」

 

 

「! 今度は朱乃か。どうした?」

 

 

続いて朱乃も一護に声を掛けてきた…。

 

 

「あなたの強さは私も実際にこの目で見ていますから、あまり心配はしていないのですが…」

 

 

いつもの御淑やかな笑みを浮かべていたかと思うと、一転してその笑みを少し不安げなモノに変え…

 

 

「ちゃんと帰ってきて下さいね…?」

 

 

「! ああ…必ず戻る…」

 

 

その問いに短くも力強い声色で答える一護。そして…

 

 

「…行くぞ」

 

 

ダッ!!×8

 

 

その一声を合図に、一護と響達は一斉に地面を力強く蹴り…それぞれ色の異なる8つの魔方陣の中へ飛び込んでいった…。

 

 

 

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