大変ご無沙汰しております、無颯です。更新遅くなってしまい、申し訳ありません!
今回から新章突入、そして例の水着回です。
無駄に水着に描写を細かく書いているのは…何となくのこだわりです。といっても、私自身は女性のファッションなど全く詳しくないので、色々ご容赦下さい…。
では、本編をどうぞ。
プールと修羅場はセットが基本
コカビエルとの戦いから数日後。オカルト研究部の部室に来たイッセーとアーシアは、いつものメンバー以外に“或る人物達”が居ることに驚きを露わにしていた。その人物達とは…
「やぁ、赤龍帝」
「ひ、久しぶり、イッセー君…」
「なっ!? 何でお前等がここにッ!?」
青いショートカットが特徴の少女──ゼノヴィア・クァルタと、オレンジのツインテールが特徴の少女──紫藤イリナの2人である。
「私達もつい先程部長や一護君達から聞いて、ビックリしていた所ですの」
「説明はあなた達にもこれからするわ。そうよね? 当麻」
「ああ」
「あの、御二人共学園の制服を着ているということは、ひょっとして…」
「そうだ。この学園に編入することになった。ちなみに私もイリナも高等部の2年生で、同時にオカルト研究部にも所属させてもらうことになっている。よろしくね、イッセー君♪」
「真顔で可愛い声を出すな!」
「ふむ、イリナの真似をしたのだが、上手くいかないものだな…」
「ちょ、ちょっとゼノヴィア! 私はそんなんじゃないわよ///!」
アーシアの問いに対し、何故か真顔で可愛い挨拶をするゼノヴィア。これには思わずイリナも恥ずかしそうに声を上げるしかない。
「お、おい、どういうことだよ、当麻!?」
「あー、俺から説明するより、そいつ等の事を決めた張本人から聞いた方が良いと思うぜ? という訳で、説明は任せるぞ、一護」
「…おう」
説明を求めるイッセーに当麻はそう言うと、説明をバトンタッチされた一護が話を切り出す。
「実はコイツ等はこの前の学園での戦いの後、すぐに教会から追放されてな。最終的に、俺達アイエールが身柄を引き受けることになった」
「…はあああッ!!??」
一護の口から端的に話の内容を聞いて、驚愕を露わにするイッセー。
「きょ、教会から追放されたって、どういうことだよ!? しかも、お前等の仲間になったって…」
「! あの、もしかして主の事で…」
「…ええ、主の不在を知った私達は教会にとって異端以外の何者でもなくなったわ」
「教会は異端を酷く嫌う。聖剣の使い手であっても、デュランダルの使い手であったとしても容赦なく捨てる…。もっとも、その事を伝えた天界のトップである“あの方”は、誠心誠意私達に謝罪してくれたからね。それに、結果として“神に等しいと言える存在”に仕える形になったんだ。私もイリナも確かに大きなショックを受けたが…とりあえずは大丈夫だ」
イリナとゼノヴィアの話を聞いたイッセーとアーシアは、咄嗟に一護の方へ目を向ける。
「な、なあ、一護? お前、本当に“神”なのか…?」
「…はぁ…この前あれだけ説明しただろ。色々伏せなきゃならねえことはあるが、一応形式的には天界のトップである“神”と思ってもらって構わねえよ。まあ、実際はミカエルが全権を握ってるようなもんだがな」
「あ、あの、や、やはり“主”とお呼びした方が…」
「勘弁してくれ、アーシア。俺はあくまでその“主”って奴と同質ってだけの話だ。俺はお前に敬われるような存在なんかじゃねえよ」
「いやいや!? そんなこと言っても簡単に信じられる訳ないだろ!? クラスメイトが“天界の神”だとかさ!?」
そう、一護が“形式的な天界のトップ”であるという事については、戦いの翌日にオカルト研究部の面々に既に話していた。もっとも、この話を聞いた時のイッセーはこれまでで一番の絶叫を上げ、アーシアはゼノヴィアとイリナと同じように跪いて不敬を謝罪。更にリアスを始めとする他のオカルト研究部員も絶句するという状況に陥ったのだが…。
「落ち着きなさい、イッセー。一護が聖書の神に等しい存在であることは、紛れもない事実よ…。はぁ…まさか眷属に誘おうとした子の1人が天界のトップだったなんて、あの時の自分を引っぱたきたい気分だわ…」
「あー…悪いな、リアス」
「…いえ、大丈夫よ、当麻。あなた達がやましい事を考えていないのは、今までのあなた達を見れば分かるわ。現に私も、あなた達に助けられた身だし…。それに、何より“そちらの方”が証人として話してくれた以上、私も信じるしかないじゃない」
「…! まあ、そうだよな。あんたも悪いな。お蔭で助かったぜ、“ザスティン”」
「いえ、ララ様達の許嫁である殿方の友人の人と成りを証明することなど、私には造作もありませんよ、当麻殿!」
「へ…? うおっ!? ザ、“ザスティン”さん!? いつの間に!?」
「ハハッ、たった今来た所ですよ、赤龍帝殿!」
驚くイッセーにそう話しかけてきたのは、1人の男だった。銀髪のロングヘアーに“美青年”と呼べる容姿を持つこの男の名は“ザスティン”。先日のコカビエルとの戦いが終わり、当麻達がゼノヴィアやイリナを連れて姿を消した直後に遅れて現れた男であり…
(やっぱり信じらんねえんだよなぁ。この人があの大魔王様の“騎士”で、冥界最強の剣士だなんて…)
イッセーが頭の中で考えている通り、冥界トップクラスの実力者である。だが同時にイッセーが彼に対して評価に困っているのは、先日の間の抜けた登場にあるのだろう…(“戦いは大体事後処理の大変”を参照)。
「しかしリクオ殿達が認めたとしても、お前達がララ様達に危害を加えるような真似をした場合には即刻処断させてもらうぞ?」
「…勿論、そんな事をするつもりは天地がひっくり返ってもないさ。この数日だけで十分な恩を受けてしまった上に、どういう訳か歓迎までされてしまったからね…。君もそうだろう、イリナ?」
「! え、ええ…神と同等の存在の御方の仲間に手を出すなんて、出来るはず無いわ。第一、今の私達じゃアイエールの人達には逆立ちしたって勝てない訳だし…衣食住までお世話になってるんだから、頭が上がらないくらいよ…」
「もー、ダメだよザスティン! 2人を苛めちゃ!」
「そうですよ! 2人共もう私達の仲間なんですから!」
「はぁ…お前等はあっさりと認め過ぎなんだよ。コイツ等はほんの少し前まで、殆ど敵対してたようなモノなんだからな?」
「ふふっ、いいじゃないですか、クリスさん♪ こういう所がお姉様や響さんの美徳なのは、クリスさんもよくご存知ですよね?」
「っ///! そ、そりゃあ、そうなんだけど…///」
響とララの言葉を聞いたクリスは呆れ混じりに呟くが、モモにそう言われると若干困惑しながらも素直に認め始めた。そんな中、
【とりあえず、2人が何とかやっていけそうでよかったね、一護】
【ああ。まあ、イッセーは言うまでも無えけど、リアスも何やかんやでお人好しな所があるからな…。けど今回は悪かったな、色々先に決めて動いちまって】
【ハハッ、別に気にしてねえよ。お前ならそうするだろうなって、何となく分かってたしな…。ま、こっからが大変っちゃ大変だが…】
【それこそ気にする必要は無いんじゃない? どうせ僕達の目的は“一つ”しか無いんだし…そのために動くだけ、でしょ?】
【…そうだな。それが俺達の…いや、“あの世界での俺達”が決めた事だからな…。どうせ近々、この事についても話す機会があるだろ?】
【ああ…俺達3人のやることは変わらねえ…。って、すっかり暗い話になっちまったな。でも今はこういう話は無しにしようぜ? 今はとりあえず、色々落ち着いた事を有難く思わないとな…】
当麻、一護、リクオの3人は頭の中でそんな会話をしつつ、目の前の様子に目を向ける。そこではゼノヴィアとイリナがアーシアに謝罪して和解し、それを見たリアス達グレモリー眷属の面々や、アイエールの女子達が温かく見守っている姿があった。これには当麻達3人の表情も自然と綻ぶ。そして…
「さて…それじゃあ、今日の部活を始めるわよ!」
『はい、部長!』
「では、私もそろそろ冥界に戻ります。リクオ殿、それに他の皆様も、引き続きララ様達のことを宜しく御願いします」
「ハハッ、分かってるよ、ザスティン」
「あの“とっつぁん坊や”にも、宜しく言っといてくれ」
「あと…“例の件”についてもな(ボソッ)」
「! はい、その件についてはお任せを(ボソッ)」
そんなやり取りが密かに行われつつも、久しぶりにオカルト研究部としての活動が始まったのだった…。
☆☆
それから数日後、リアスや当麻達オカルト研究部の面々は或る場所に来ていた。その場所とは…
「うわぁ…」
「これは、スゴいですね…」
「うふふ、去年使ったきりですから」
「これを綺麗にすんのかよ…」
駒王学園にあるプールである。そこは1年間丸々放置されたことによって濁った水が溜まり、大量の枯れ葉も浮いているような状態だった。これには朱乃から説明を聞いたユウキと雪菜、そしてイッセーも思わずそう呟かざるを得ない。
「何故オカルト研究部が、プールの掃除などをするんだ?」
「本来は生徒会の仕事なのだけど、コカビエルの一件で壊れた校庭の修理の御礼に、ウチが担当してあげることにしたの。その代わり掃除が終わったら、オカルト研究部だけのプール開きよ♪」
「なっ!? プール開きッ!!?」
ゼノヴィアの質問にそう答えたリアス。そう、今回の目的はこのプールの掃除…だけでなく、一足早いプール開きのためである。特に詳細も聞かされずに水着を持ってきていたイッセーは、それを聞いて驚くと同時に…
「オオオオッ!! ビバ! プール掃除ッ!! プール掃除万々歳だぜーッ!!!
何かを想像して喜びを露わにしていた。だが…
「…イッセー先輩、顔が厭らしいです」
「妙な事を考えているようなら殺しますよ、兵藤一誠」
「いえ、今すぐ殺しましょう? もう考えてる顔をしてるわ」
「そうだな。この前仲間になったアイツ等の餌にでも…」
「いやいやいやッ!? 何でもう殺すこと前提なのッ!? ていうかナナちゃんが言ってんのって、まさかケルベロスじゃないよね!?」
小猫、ヤミ、紗矢華、ナナから立て続けに辛辣な言葉をもらい…
「本当に懲りないみたいだね、イッセー君? でも、分かってるよね?(ゴゴゴゴゴッ!!)」
「コイツ等を怖がらせるような真似をするようなら、マジで潰すぞ…?(ゴゴゴゴゴッ!!)」
「はははは、はいッ!! ぜぜ、絶対にしませんッ!!!(ガクガクガクッ!!)」
修羅のようなプレッシャーを放ちながらリクオと一護にそう言われると、イッセーは生まれたての子鹿のように震えながら返事をせざるを得なかった。
「そういえば当麻、“あの娘達”は?」
「ああ、“アイツ等”なら後から来る筈だ。でも悪いな。“アイツ等”まで入れるようにしてもらって」
「大丈夫よ。ソーナからもすんなり許可は貰った訳だしね…。さて、オカルト研究部の名に賭けて、生徒会が驚くくらいピカピカにするのよ!!」
『はい!(おーッ!!)』
そして、当麻とリアスの間でそんなやり取りが交わされつつも、プール掃除の開始が宣言された。
☆☆
といっても制服姿のまま掃除を始めるわけもなく、各々体操服に着替えるために更衣室に向かった。男子更衣室では…
「グフフ~ッ! 水着だ水着~!!」
イッセーが厭らしい笑みを浮かべながら着替えていた。すると…
「イッセー君」
「ん?」
イッセーに裕斗が話しかけてきたかと思うと…
「僕は誓うよ。例え何者かが君を狙っていたとしても、僕は君を守るから」
「うおっ!? な、何だよ急に!?」
「こういうことって、2人きりじゃないと中々言いづらいだろう?」
「っ! い、いや、あんがとな…(そ、そういうのは男の俺とかじゃなく、普通ヒロインとかに向けるモノでは…?)」
突然の宣言に若干困りつつも返すイッセーだったが、裕斗は更に言葉を続ける。
「君は僕を助けてくれた…。君の危機を救わないで、グレモリー眷属の騎士は名乗れないさ」
(ましてや、こんな場所で…)
その言葉に思わず一歩後ずさりすらしてしまうイッセー。と、ここで、
「よかったじゃねえか、イッセー。お前は危なっかしいにも程があるから、騎士様の力は必要だぜ?」
「ッ! よ、余計な御世話だよ、一護!!」
そんなイッセーに対し、一護がやや茶化すようにそう言った。すると、
「それと一護君…今回は本当にごめん」
「! おいおい、どうしたんだよ、急に?」
「…調ちゃんと切歌ちゃんのことだよ。2人から協力を申し出てくれたとはいえ…今回の件に関わらせたせいで、2人を敵の手に堕としてしまうところだった…。それに、“七聖の歌姫”の皆の過去についても部長から聞いたよ」
「…そうか」
「どうして2人が僕に協力を申し出てくれたのか、よく分かったよ。僕のような過去を背負っている人間は周りに居ないと思ってた。でも、実際にはすぐ近くにいて…“七星の歌姫”の皆には、僕のせいで辛い事を思い出させてしまったみたいだから…」
「! 木場…」
「だから、ごめん。結果として、君の大切な人達を危険な目に遭わせてしまって…」
イッセーがその様子を見て驚く中、頭を下げながら謝罪する裕斗。それに対し、一護は…
「はぁ、別に謝る必要なんかねえよ。お前の言った通り、調と切歌は自分から協力したんだ。危ない目に遭う可能性があることだって当然認識してた訳だしな」
「! でも…「だがな」ッ…!」
「どんな理由があろうが、もしアイツ等に…俺達の大事なモノに切っ先を一度でも向けるもんなら…俺達は容赦なくお前をぶった斬るぞ? 例えお前がリアスの騎士(ナイト)だとしてもな」
「ッ!? お、おい一護!! いくら何でも言い過ぎだ「言い過ぎじゃねえよ」ッ! 何でだよ、当麻!?」
何処か威圧するような雰囲気で言う一護を見て、思わずイッセーが止めようとするが、当麻はそれを遮る。
「それだけの覚悟が無いといけねえんだよ。じゃねえと、取り返しのつかないことになる」
「君もそろそろそういう覚悟を持たないと、何かを失うよ? イッセー君…」
「ッ!? リ、リクオ、お前まで何言って…」
当麻とリクオからそう言われ、動揺を隠しきれないよう様子のイッセー。そんな中、
「…ここに誓うよ。どんな事があったとしても、僕は君達の大事な人達に決して刃を向けない。グレモリー眷属の騎士として…」
「…そうか。それを聞ければ何も言う気はねえよ。変な事言って悪かったな」
「ん、終わったか? じゃ、俺達は先に行ってるか」
「そうだね。じゃあ2人共、早く着替えてこないと部長さん達に怒られるよ?」
「っ!? い、いつの間に着替えて…ていうか、さっきのどういう意味だよ!? おいッ!!」
裕斗からの宣言を聞いた一護は一気に威圧感を霧散させ、当麻やリクオと共に先に更衣室を出て行く。イッセーが先程の当麻とリクオの言葉の意味を尋ねるが…2人はその問いに答えなかった…。
☆☆
その頃、女子更衣室では…
「皆より早くプールに入れるって、すごくラッキーだね! 響!」
「うん! 何か“祝われてる~!”って感じがするよ!」
「気が早いわよ、ユウキ。掃除しないとプールに入れないでしょ?」
「響も楽しみにするのはいいけど、掃除もちゃんとしてよ?」
「「はーい」」
テンション高めに話しながら着替えるユウキと響に対し、何処か親目線でそう言うシノンと未来。
「そういえば、ルーシィさん達は少し前に新しい水着を買ったんですよね♪ どうですか? リクオさんを悩殺できそうなモノは手に入りましたか?」
「ちょっ///!? な、何でそんなこと知ってるのよ///!?」
「ふふっ♪ そうね、多分皆買えたんじゃないかしら♪」
「っ! ミ、ミラ姉//!?」
「お、お前が話したのか、ミラ///!」
モモとミラジェーンのやり取りを聞いたルーシィやリサーナ、エルザはやや恥ずかしそうにそう言う。しかし、そんなやり取りをしている5人に全く違う視線を送っている者達がいた…。
「………(ジーッ)」
「し、調? 何だかすごい目をしてるデスよ…?」
「………」
「うぅ…私も大きくなったらあんな風になれるのかな…?」
「…小猫、前にも言った通り、気にしない方がいいです」
「ウェンディもね…。はぁ…」
「ふふっ♪ そういうヤミお姉ちゃんも結構気にしてるんでしょ?」
「ちょっ…!?」
「…切り刻みますよ、芽亜?」
それは調や小猫、ウェンディ、レビィであったり…
「くッ…何のつもりの当てこすりッ…!」
「まったくだ、イライラがマジで溜まってきやがる…!」
「いや、いきなり何言い出してんだよ、先輩…」
「ナナもどうしたの~?」
翼やナナであったりする。もっとも何故そんな視線を送るかは、6人の“身体的共通点”を考えれば分かるだろう…。その一方で、
「例の宿題は済ませたか、アーシア?」
「はい、ゼノヴィアさんとイリナさんは?」
「あー、私は大丈夫なんだけど、ゼノヴィアがね…」
「ああ、日本語で分からないことが多くてな。イリナやアカメ達に教えてもらいながらやってはいるが…」
「分かります。私も漢字がまだ苦手で…」
アーシアとゼノヴィア、イリナの3人が学校生活に関する会話をしていた。
「確かに、日本の文字は複雑すぎる。今夜は徹夜で漢字の勉強でもするか…」
「頑張って下さい! 主も見守って下さる筈です!」
「! ああ、そうだな」
「じゃあ、そんな主に祈りを捧げましょう…!」
「「「アーメン…!」」」
すると、そう言って祈りを捧げ始まる3人だったが…
「あうッ…!!」
「「っ!? だ、大丈夫(か)、アーシア(さん)!?」
「…この光景にも慣れたな」
「そもそも、その“主”って隣の男子更衣室かプールサイドにいるけどね」
アーシアのみ祈りによるダメージを受けてしゃがみ込む結果となり、その様子を見ていたアカメとクロメはそう冷静にコメントした。
「うふふっ♪」
「早く着替えなさいね」
そして朱乃がそんな賑やかな更衣室の様子に笑みを見せる中、リアスは全員にそう促すのだった…。
☆☆
その後、人数もそれなりにいたこともあってプール掃除は滞りなく終わり、いよいよプール開きの時間となったのだが…
「ノオオオオオオオッ…!!?!?!?」
「だ、大丈夫ですか、イッセーさん!?」
そこにはイッセーがプールサイドでゴロゴロとのたうち回り、その様子にアーシアがオロオロしているという状況が広がっていた。その理由は…
「言ったよね? ヤミやウェンディ達を怖がらせるような事をしたら怒るって」
「いい加減その“エロさ剥き出しの状態”を抑えろって言ってんだろ? その内マジで捕まるぞ、お前?」
「だ、だからって目潰しすることねえだろォッ!?」
イッセーが水着に着替えてきた女性陣を見て、性懲りも無くあからさまに厭らしい視線を送り、それを危険と判断したリクオと一護によって制裁を加えられた結果である…。
「感謝します、リクオ…」
「本当に変わらないわね、この男…」
「良いことを言う時もありますし、根が悪い人ではないのは分かってますから、余計に…」
「な、何か凄く冷たい視線を感じるんだけど!? 目が潰されてるのに分かるくらい冷たい感じがするんだけど!?」
ヤミがリクオにお礼を言う中、紗矢華や雪菜を始めとする一部のアイエール女性陣の冷たい視線を感じ取るイッセー。ちなみに、アイエールの女性陣の水着はというと…
ユウキ → 白と紺のボーダー柄のビキニ(紺のフリルスカート付き)
シノン → 薄い黒のスポーツタイプのビキニ
アカメ → フリル付きの赤いビキニ
クロメ → 黒のシンプルビキニ
響 → オレンジと白のビキニ(フリルとリボン付き)
翼 → 水色と白のビキニ(水色のフリルスカート付き)
クリス → 赤のビキニ(赤のフリルスカート付き)
未来 → 紫と白のビキニ(紫のロングフリルスカート付き)
調 → 黒白のセーラー服調のモノキニ(ピンクのフリル付き)
切歌 → 黒と緑のタンクトップ+白のショートパンツ
雪菜 → 青と白のスポーツタイプのビキニ
紗矢華 → 紫のホルターネックビキニ(薄紫のパレオ付き)
ルーシィ→ 黄色の星柄入りのピンクのビキニ
エルザ → 赤のシンプルビキニ
ミラジェーン → 濃紺のチューブトップビキニ(パレオ付き)
ウェンディ →緑と白のバイアスチェック柄のビキニ
レビィ → 赤と白のボーダー柄のビキニ
リサーナ → ライトブルーのリボンビキニ
ララ → 白の水玉入りのピンクのビキニ(フリル付き)
ナナ → 赤・黄・緑のボーダー柄のビキニ(フリル付き)
モモ → ピンクの水玉入りの白のビキニ
ヤミ → 胸元が十字にカットされた黒のビキニ
芽亜 → 紫のフレアビキニ
という感じである。もっとも…
「! お前等のその格好、“心象変化”か?」
「その通りデースッ!」
「響さんの思いつきで皆でやってみたら、成功して…」
「しかしこれが思いのほか良くてな。グレモリーにも話を通して、こうなったのだが…」
「えっと…ど、どうですか///? 一護さんの感想を聞いてみたいかなと思ったんですけど…///」
「ん? ああ、勿論似合ってるぞ。そこで目を潰されて悶えてる奴に見せたくないくらいにな」
「! あ、ありがとうございます…///」
「そこの変態バカが話題に上がったのは微妙だけど…まあ、褒め言葉として受け取ってやるよ…///」
響達はただの水着ではなく、自らの神器を変化させたものだったりする。一護も響の問い掛けに淀みなく感想を告げると、未来とクリスを始め、装者一同顔を赤らめた…。
「? ゼノヴィアとイリナはどうした? まだ来てねえのか?」
「あ、はい。ゼノヴィアさんが水着を着るのに慣れてないらしくて…」
「紫藤イリナがそのフォローに回ってるわ。まあ、その内来る筈よ」
「あー、そういやゼノヴィアはずっと教会暮らしだったな。水着を着る機会なんざある訳ないか…」
そして一護と雪菜、紗矢華がそんなやり取りをしていると、そこへ…
「ほぅ、学校のプールとはこういうものなのか」
「随分簡素な作りね。もう少し何かあると思っていたのだけど」
「ふふっ、でも嬉しいわ。泳ぐのは今年に入ってからは初めてですし♪」
「当麻様、エレオノーラ様達をお連れしました」
「ああ、案内ありがとな、ティッタ」
続けざまに姿を見せたのは、既に水着姿になっているエレン達アイエールの戦乙女(ヴァルキリー)の3人とティッタだった。更にその隣にはマリアの姿もある…。
「あれ!? 何でマリアさん達もここに!?」
「あ、そういえばイッセー君には話してなかったね。実は僕達が部長さんに頼んだんだよ。留守番させるのも悪いと思ってね」
「勿論生徒会からも許可は得ているわ。この前の聖剣やコカビエルの一件も、当麻達の御蔭で学校への被害が最小限になったんだもの」
「ハハッ、そう言ってくれると、上条さん達も頑張った甲斐があったよ」
イッセーがエレン達の参加に驚く中、そんなやり取りを交わすリアスと当麻、リクオの3人。
「しかしもっと早く来ると思っていたのだが、遅かったな? 何かあったのか?」
「! ええ、ちょっと“説得するのに時間が掛かる子”がいたのよ」
「? 説得? 誰のことだよ?」
「ふふっ、それは勿論…」
ここで翼とナナの問い掛けに対し、マリアとソフィーが答えようとしていると…
「何故こんな所まで来て水浴びなどしなければならない。家で研究の続きをした方が有意義だろう?」
「キャ、キャロル、そんなこと言わないでください! 折角マリアさん達が誘って下さったんですから…!」
そんなマリアやソフィー達の後ろからゆっくりとやってきたのは、キャロルとエルフナインの2人だった。無論、2人とも水着姿である。
「あ、キャロルちゃん! 来てくれたんだね!!」
「ふん、エルフナインとそこの装者の誘いが鬱陶しかっただけだ。退屈だと感じたら即座に帰らせてもらう」
「え~っ!? キャロルちゃんも一緒に遊ぼうよ! そしたら絶対退屈なんてしないよ!」
「そっちのデビルーク長女はともかく、お前と遊ぶと馬鹿が移る気がしてならん。却下だ」
「酷いよキャロルちゃん!?」
響とララが誘おうとするが、キャロルは即座に切り捨てた。しかし…
「ふふっ、でもすぐに帰るのは勿体ないですよ? その水着もとってもお似合いですし…一護さんもそう思いますよね?」
「ん? ああ、そうだな。そういやお前が水着着てる所なんざ初めて見たけど、よく似合ってると思うぜ?」
「…///! そ、そんな戯言を聞いても嬉しくないわ…///!」
(チョロい…)
(クリス先輩並みのチョロさデース…)
「おい、今なんか失礼なことを考えてねえか?」
「っ!? そ、そんなこと考えてないデースッ…!」
モモの誘導に対して一護が淀みなくそう言うと、キャロルはあからさまに異なる反応を見せた。調と切歌が心の中で一言そう呟いてしまうのも、無理の無いレベルである…。と、ここで更に、
「それと、お前達にも少々サプライズのメンバーを連れてきていてな」
「? サプライズのメンバー?」
エレンの口から出た意味深な言葉に首を傾げる当麻。すると…
「まさか水着を着られる日が来るなんてね。昔のボクには考えられないことだな…」
「あまり御無理はなさらないようにお願いします。エレオノーラ様も心配されていますので」
「ハハッ、大丈夫だよ、リム。ボクもそこまで馬鹿じゃないさ」
「ッ! サーシャ!?」
続けてやってきた人物達の姿を見て、当麻を始めとしたアイエールの学生組も驚きを露わにする。その人物とはエレンの部下であるリムアリーシャと共にやってきた戦乙女の女性――――サーシャと…
「セフィリアさん!?」
「貴女も来たのね。もしかして、貴女もサーシャの付き添い?」
「ええ。念のため同行することにしました」
ルーシィが驚く中、ミラジェーンの問い掛けに答えるアイエールの総帥補佐官を務める女性――――セフィリアである。尚、言うまでも無く3人とも水着姿だが、サーシャは水色のパーカーを、セフィリアは白のラッシュガードをそれぞれ羽織っている…。
「サーシャ、お前身体は…」
「何ともないよ、当麻。この前キャロルやウェンディにも診てもらって、“大体の事はしても平気”と言われたのは君も覚えてるだろう?」
「いや、確かにそうだが、いきなりこいつは…」
「勿論今日の所は水に浸かるようなことはしないさ。プールサイドで大人しく皆の様子を見ているとするよ。それだけでボクは満足だからね」
心配そうに尋ねる当麻にそう話すサーシャ。と、そこへ、
「ご安心下さい、総帥。サーシャの様子は私の方でも様子を見ますので」
「! セフィリア、お前…」
「屋敷で大人しくしているよりも、ここで我々と時間を共有する方が彼女にとっては良いと思います。今更帰るというのも、今のサーシャには酷だと思いますが…?」
「…まあ、確かにな」
セフィリアの予期せぬ援護に、当麻もやや面食らいながら頷き…
「それに、“この前の約束”のこと、忘れてないだろう?」
「…! ここでそれを持ち出すのかよ…?」
「ふふっ、使えるものは使わないとだからね」
「…はあ…分かったよ。ただし、さっき自分で言ったことはちゃんと守れよ?」
「! ああ♪」
サーシャの口から飛び出した“約束”という単語を聞くと、当麻は溜息を吐きながらも納得した(“この前の約束”については、“女は意外と引き下がれない生物”を参照)。ちなみに、エレンやマリア、セフィリア達の水着については…
エレン → 水色のレースアップタイプのビキニ
リュドミラ → 赤と白のボーダー柄のワイヤービキニ(赤のフリル付き)
ソフィー → 白のホルターネックビキニ
サーシャ → 金の柄入りの赤のリボンビキニ
リム → 黄緑色の三角ビキニ
ティッタ → 水色の水玉柄入りの黄色のバンドゥビキニ(水色と白のボーダー柄のパレオ付き)
マリア → 赤と紺の柄入りの白のビキニ
キャロル → ワインレッドのタンキニ
エルフナイン → ピンクのライン入りの水色のタンキニ
セフィリア → 黒の三角ビキニ
という装いである。もっとも…
(ま、前から思ってたけど、“七大戦姫”の人達はデカい人多いな//! つーか、ソフィーさんとかリムさんとか部長や朱乃さん以上じゃね…///!? デュフフフ…! あ、やべ、鼻血が…)
「ヒーロースティンガー(棒)」
「ギャアアアアアアアアアアアアッ!!!?!?」
イッセーがあからさまに余計な事を考えていたために、当麻の棒読み混じりの目潰しを再び喰らったのは……まあ、余談である…。
☆☆
その後、オカルト研究部及びアイエールの面々は早速プールに入ったりして、各々楽しい、または優雅な時間を過ごし始めた…。
「気持ちいい~! シノンもこっちおいでよ~!」
「はいはい、あんまりはしゃぎ過ぎるとバテちゃうわよ?」
シノンは元気に泳ぎ回るユウキの様子を見ながら、姉のような目線で付いていったり…
「そーれっ!!」
「まだまだ! デースッ!」
「ハッ! しゃらくせえッ!!」
「ぐふぉあっ!?」
「あ、イッセー先輩に当たった…」
「イ、イッセーさん!!」
「だ、大丈夫ですか!?」
響と切歌、クリス、調、エルフナインがプールの中で“異次元のバレー”をする中、クリスの放った渾身のスパイクがイッセーの顔面に直撃してアーシアとエルフナインに駆け寄られたり…
「はあッ!!」
「せいッ!!」
「…何でプールサイドで木刀の打ち合いしてるの、この2人?」
「ふふっ、いいんじゃない? こういうのも♪」
「そうね。2人にとっては会話みたいなものなのよ、きっと♪」
「か、会話にしては物騒な気がするんですけど…」
「やっぱり野蛮な人間の考えることは分からないわね、ホントに」
木刀による試合を始めたエレンとエルザを見て、ルーシィ、ミラジェーン、ソフィー、ウェンディ、リュドミラがそんなやり取りを交わしていたりしている。そんな中、当麻や一護はというと…
「楽しんでるな、全員」
「ああ、デカい事件が終わった直後だからな。まあ、特に響達はプールってだけで十分はしゃぐ理由になってるだろうが…」
プールサイドにいつの間にか立てられた大きなパラソルの下で、楽しんでいるオカルト研究部やアイエールの面々を見ながらのんびりと座っていた。その上…
「やっぱりあの娘達は笑っているのが一番だね。君もそう思うだろう、セフィリア?」
「…ええ、そうですね」
「ねえ翼? あの子達、神器の力を使っているせいでかなり凄い試合になっている気がするのだけど…」
「そうだな…。それにしても、この形状のギアは本当に水中での動作を大きく上げるようだな? 未だに泳げない筈の雪音が水中であそこまで縦横無尽に動けるようになるとは…」
「皆さん、お飲み物をお持ちしました♪」
当麻の両隣にはサーシャとセフィリアが、一護の両隣にはマリアと翼が座っており、しかもそこへティッタが事前に用意していたコールドドリンクを持ってくるという、どう考えても世の男共が羨むような空間を形成している…。
「ああ、悪いな、ティッタ。つーか、お前も泳ぎに行って良いんだぞ?」
「いえ、これは私が好きでしていることですから…! ところで、リクオ様はどちらに? 先程までいたのですが…」
「! ああ、リクオならあそこだ」
当麻の勧めに対してそう言いつつ、リクオの分の飲み物を持ってきたからか、その場に居ないリクオの所在を尋ねるティッタ。すると、一護はプールのある場所を指し示した。そこには…
「…ぷはっ…すみません、リクオ先輩。付き合わせてしまって…」
「ははっ、いいよ全然。でも小猫が泳げないっていうのは、ちょっとビックリかな。君は運動全般が得意だと思ってたんだけど」
「…自分でもよく分からないです」
リクオが小猫の両手を握り、彼女の泳ぎの練習を手伝っていた。実は先程、リクオはリアスから小猫の泳ぎを教えるように頼まれたのである。
「まあ、でも大丈夫だよ。小猫はやれば出来る子だからね。きっとすぐに上手くなるよ」
「…! あ、ありがとうございます…//」
リクオに微笑みながらそう言われ、やや頬を赤く染める小猫…。そんな2人の様子を見て、
「2人共、すっかり仲良くなったね~♪」
「…そうですね」
「でも泳げないって聞くと、小猫ちゃんってホントに猫みたいだよね~。あ、そういえばナナちゃんも昔は泳げなくて、よくリクオお兄ちゃんと泳ぎの練習をしてたよね?」
「ッ///!? む、昔の話だろ、昔の話///!!」
「ふふっ、そういえばあの頃のナナもあんな感じだったわ。必死にリクオさんの手を掴んでて、それから…」
「ななな、何言おうとしてんだお前はッ///!? 必死にもなってねえし、何もしてねえッ///!!」
ララとヤミがその光景を微笑ましく見守る一方、ナナは芽亜の一言をきっかけにモモから昔の事で弄られる羽目になった。そして視点は戻り…
「見ての通り、リクオは小猫に付きっきりみたいだから、そいつは後でリクオに渡してやってくれ」
「分かりました♪」
状況を把握したティッタは当麻の言葉に頷き、コールドドリンクを近くの冷蔵ボックスにしまった。と、そこへ、
「当麻」
「! どうした?」
「お兄ちゃんも一緒に泳ごう? 折角のプールなのに、来た意味なくなっちゃうよ?」
「一兄達もデスよ! いつまでのんびり寛いでるデスか!」
「マリアと翼さんも、響さん達が呼んでるよ…?」
「! そうだな。じゃあ、行くとするか」
「「ああ(ええ)」」
「俺も行ってくる。サーシャはゆっくりしててくれ。セフィリア、ティッタ、お前等もそろそろ入ったらどうだ?」
「…そうですね。ティッタと交代で行くことにします。ティッタ、先に行ってきたらどうですか?」
「! そ、それじゃあ、お供します、当麻様…!」
「お供っていうのは何か違う気がするが…まあ、いいか…」
アカメとクロメ、切歌、調の4人が当麻や一護を呼びに来たため、当麻達もプールに入ることにした。尚…
「キャロル、お前は…」
「パスだ。気が向いた時に行く」
「お、おう…」
キャロルは一護の問い掛けに一瞥することもなくそう答え、あきらかに常人には読めない難解な研究所に目を通し続けている…。その後、当麻はユウキやエレン達と、一護は響や雪菜達と合流し、泳ぎでの勝負や大人数でのバレーなどに暫し時間を費やす。そして、再び当麻と一護がプールから上がって休憩を取り始めていると…
「当麻~」
「? リアスか…って、何してんだ?」
声を掛けられた当麻が目を向けると、そこにはいつの間にかマットの上でうつ伏せで寝ているリアスの姿があった。それも、ビキニの紐を解いた状態で…。
「オイルを塗って欲しいの。お願いしてもいいかしら?」
「は…? いやいや、上条さんとしてはそういう際どいお願いはご遠慮願いたいのでせうが…」
「…ダメなの…?」
「……はぁ…手早く済ませるからな」
「…! ええ、ありがとう♪」
若干寂しげな目を見せるリアスを見た当麻が溜息混じりにそう言うと、リアスは一転して嬉しそうに御礼の言葉を口にした。
「そんじゃあ、始めるぞ」
早速既に用意されていたオイルを手に取って軽く温め、リアスの背中に塗り始める当麻…。
「…こういうのもなんだけど、凄く手慣れてるように感じるのは気のせいかしら?」
「! あー…まあ、エレンやリュドミラ達から頼まれてやってるからな。“慣れちまった”っていうのが正しい表現かもしれねえ…」
「ふーん、そうなの…」
すると、そんな当麻の言葉を聞いたリアスは…
「じゃあ、胸にもオイルを塗ってくれないかしら?」
「…あー、リアスさん? 何でいきなりそういう話が出てくるのでせうか?」
「あら、嫌なの?」
「嫌とか以前に常識的にダメな事言ってる自覚は無いのでせうか!?」
突拍子の無いトンデモ発言に思わずツッコむ当麻。一方、そんな2人の様子を見ていた一護は…
「相変わらず厄介ごとには困らねえな、当麻の奴…」
若干他人事のように感じながら、思わずそう呟いていた。しかし…
「うふふ、部長はすっかり当麻君の虜になってますわねぇ」
「…! 朱乃か…。何のつもりだ?」
「あらあら、つれないですわ」
そんな一護に背後から朱乃が抱きついてきたのだ。しかも…
「おい、俺の気のせいか? 水着じゃねえ感触を感じるんだが?」
「うふふ、気のせいではありませんわ。私も部長と同じお願いを一護君にしてもらおうと思いまして、ね…」
「…“寝言は寝て言え”って言葉、知ってるか?」
「あらあら、寝言なんかじゃありませんわ。どうせだったら、“もっと凄いこと”を頼んでも…」
一護は背中に感じる感触から、否応なしに朱乃が“リアスと同じような格好”をしていることに気付いた。そして朱乃はいつにも増して妖艶な雰囲気を纏いながら、一護にそんな誘惑の言葉を掛けていく…。と、その時だった…。
「はあッ!!」
「ッ…!?」
「おわっ!?」
何かを感じたリアスは咄嗟に身体を起こして飛び上がり…
「何してんだテメエはぁッ///!!」
「ッ…!?」
「うおっ!?」
同時に朱乃も横から何かを感じて咄嗟に一護の下から離れた。その理由は…
「人が目を離している間に、随分と大胆な真似をしているな、リアス・グレモリー?」
「一体どういう了見でやっているのか、説明してもらえるかしら?」
当麻の前には、水着姿のまま自身の神器である“アリファール”や“ラヴィアス”を手にしているエレンとリュドミラが…
「うちの調や切歌の悪影響になるような事を堂々としないでもらえるかしら? 大体、この子にそういう方法で近づかれるのも困るのだけど?」
「つつ、つーかそういうことは家でやれッ////!! 家でッ///!!」
「…はぁ…あなたはまず落ち着きなさい…」
一護の前には、動揺に水着姿のまま“アガートラーム”や“イチイバル”を発動しているマリアとクリスが立ちはだかったからである。それもリアスにはエレンが斬りかかり、朱乃にはクリスが水弾を放ちながら…。
「あら、貴女達こそ相変わらず荒っぽいことをしてくるわね? 当麻に当たったらどうする気だったのかしら?」
「ふんっ、そんな愚かなことをするつもりはない。私はただ“淫猥な蝙蝠”を追い払っただけのことだ」
「まあ、私も実はエレオノーラが斬りかかった時、正直ヒヤッとしたのだけれど」
「…リュドミラ、貴様は一体どっちの味方だ?」
「決まってるでしょ? 私はそこにいる蝙蝠娘の敵であり…貴女とも敵よ、エレオノーラ」
リアスとエレン、リュドミラが完全にバトルロワイヤルな状況になる一方で…
「いつからそんな真似をするようになったのかしら? 貴女はもう少し節度のある人間だと思っていたのだけど」
「あらあら、いいではありませんか。後輩の男の子と少し戯れるくらい」
「ハッ、ならあたし等が相手してやるよ…。少し荒っぽくなるだろうけどな…!」
朱乃はクリスとマリアの2人と対峙する状況になってしまっている。その頃、当の当麻や一護はというと…
「と、当麻//! 絶対目を開けちゃダメだからね////!?」
「あー、ユウキさん? あなたが上条さんの視界を手で塞いでるから、どの道見えないんですが?」
「いいから閉じてなさい。でないと…撃つわよ?」
「何故頭に“へカート”突き付けてるんでせうかシノンさん!?」
当麻はユウキに視界を塞がれながら、シノンから頭に大型スナイパーライフルの銃口を突き付けられ、
「黒崎先輩も絶対に目を開けないで下さい///!! 絶対ですよ///!!」
「いや、当麻と同じ事言うが、手で塞がれてる時点で意味ねえだろ?」
「い、いいから雪菜の言う通りにしなさい///!! 叩き斬るわよッ///!!」
「理不尽極まりねえな、おい…」
一護も雪菜に視界を塞がれつつ、紗矢華に“煌華麟”を突き付けられていた…。そして、暫しの沈黙があった後…
ドガアアアアアアアアアアンッ!!!!
二つのちょっとした(?)喧嘩の火蓋が切って落とされた。リアスは神器で斬りかかるエレンやリュドミラに滅びの魔力で応戦。一方の朱乃はクリスの放つ水弾を避けつつ、マリアの短剣による攻撃に電撃で応戦している…。そんな中、
「はぁ…大分メチャクチャになってきてるっぽいな。後で生徒会の人達に怒られないといいけど…」
「…ありがとうございます、リクオ先輩」
「ああ、気にしないで。僕が好きでやってることだから…。あとウェンディ、僕も目を瞑ってるから手で覆わなくても…」
「ダ、ダメです…///!」
「…まあ、しょうがないか」
リクオはウェンディに視界を塞がれつつも、ララやモモ、ナナと一緒に周囲にいる女性陣を覆うように結界を展開していた。そんなリクオの行動に小猫は素直に感謝を述べた…。
「め、目がッ!? 目がああああああああああッ!?!?」
「…自業自得です」
「ホントに懲りないわね…」
まあ、約一名この日三度目の目潰しを喰らって転げ回り、ヤミやルーシィに呆れられているが…。と、ここで、
「少し外すか…。雪菜、一旦離れてもらっていいか?」
「…! 絶対にグレモリー先輩達の方を見ないで下さいね?」
「見ねえよ。第一、そんな余裕のある状況でもねえだろ…」
一護は雪菜に釘を差されつつも、繰り広げられている喧嘩に巻き込まれないように更衣室の方へ向かっていく…。
「マリア達もちゃんと“手加減”してるみてえだな。とりあえず、この辺りで大人しくしてるか…」
そして更衣室のある建物の前で腰を下ろした。と、そこへ、
「何をしているんだ?」
「! おう、ゼノヴィア。それにイリナも一緒か…って、もしかして今来たのか?」
「え、ええ。ゼノヴィアったら、初めて着る筈なのにこんな難易度の高そうなモノを選んでて…」
水着姿のゼノヴィアとイリナがやってきた。ちなみにゼノヴィアの水着は原作と同様だが、イリナの水着はオレンジのシンプルなビキニである。
「ふむ、よく分からなかったから直感で選んだんだ。似合うかな…?」
「あー、やっぱり教会だとこういう格好は無縁なのか?」
「それに加えて、私自身こういう娯楽的な事に興味が無くてね」
「なるほどな…。いや、けどイリナもサポートしてたんだろ? もっと早く来れたんじゃねえか?」
「! そ、それは…///」
一護の問い掛けに対し、何故か若干顔を赤くしながら動揺するイリナ。すると、ここで口を開いたのはゼノヴィアだった…。
「実は着替えた後、イリナも交えて少し考え事をしていたんだ」
「? 考え事?」
「一護、実は折り入って君に話があるんだが…」
「! おいおい、“折り入って”って随分固いな…。で、何だよ?」
そして、ゼノヴィアはこんな“爆弾”を投下した…。
「私と子供を作らないか?」
「…ああ、すまん。もう一回言ってもらっていいか?」
「? ああ…私と子供を作らないか?」
「…おい、イリナ。どういう事か説明してくれ。全く意味が分かんねえぞ?」
「っ///! ゼ、ゼノヴィア//! だからやめなさいって言ったでしょ///!? い、一護さんも困ってるじゃない///!!」
一護に説明を頼まれたイリナは、何故かより一層顔を赤くしながらゼノヴィアに注意をし始めた。だが…
「そうだな…。とりあえず説明をするから、ちょっとこっちに来てくれ」
「うおっ!?」
「ちょ、ちょっと//!? 無視しないでよ///!?」
ゼノヴィアはイリナの言葉に反応することもなく、何故か一護を用具室の中に連れ込んだ。
「つい先日まで、私達は神に仕えて奉仕するために教会に所属していた。しかし今は神そのものと言える君の直属の部下…いや、仲間としてアイエールに受け入れられている。そしてあの時、君は私達に言った。“やりたいことが無ければ探してみろ”と…」
「あ、ああ、確かに言ったが…何でそこから子供を作るって話になる?」
「私もそれから色々考えてみたんだが、中々思いつかなくてね。だがそんな時に、モモ・ベリアル・デビルーク…いや、モモと呼べと言われていたな…。彼女からこんな事を言われたんだ。
『でしたら、女性らしい夢を持つのは如何ですか? “素敵な殿方と結ばれて家族を作る”…それも立派な夢だと思いませんか?』
とね。そしてその言葉に私は大きな感銘を受け、そのまま私の“やりたいこと”としたのさ」
(いや何言ってくれてんだよあいつはッ!?!?)
ゼノヴィアの口から出たとんでもない助言の内容に、思わず心の中でその張本人に対してシャウトする一護…。
「コカビエルを一瞬で消滅させたあの瞬間は、まさに君の圧倒的な強さを物語っていた。しかも君はさっきも言った通り、天使長であるミカエル様も認める“神そのもの”と言える存在…。神に仕えるために生きてきた私にとって、これほど強く遺伝子を欲する存在は他に居るはずがない…。というわけで、宜しく頼む」
「いや頼むじゃねえよ!? 段階すっ飛ばし過ぎにも程があるだろ!?」
「そ、そうよゼノヴィア///!! いきなり、こここ、子供を作るとか、そ、そんな卑猥なことッ…///!!」
「しかしイリナ、君も神に仕える者であれば、その光栄さは分かるだろう? それに君も最近一人で一護に関して何かを妄想をしてい「わあああああああああッ/////!?!? ななな、何であなたがそんな事してるのよッ////!?」…む? モモから聞いたんだ。近い内に指摘しておいた方がいいと言われていてな」
(いや、あいつマジで何してんくれてんだよ? とんでもなくややこしい状況になっちまったじゃねえか!?)
ゼノヴィアとイリナのやり取りを見て、一護は再び心の中で大魔王の三女にツッコむ。だがその間にもゼノヴィアの大胆な言動は進んでいく…。
「残念なことに、私には男性経験が無い。だが君は“七星の歌姫”を始めとする美女達と共に暮らしている所を見ると、“そういった経験”もあると見た。だからここから先は君に任せよう…」
「いや勝手に話進めてんじゃねえッ!? おい、イリナ! お前からも何とか言って…」
「わ、私が主の子供を…///? で、でも、相手は主と同質の存在とはいえ、私と同い年の男の子…それもまだ知り合って数日しか経ってない人と、そそそ、そんな事をするなんて…///! けど確かに相手としてこれ程の人は…//! ああ、主よッ//! どうか迷える私に救いの言葉を…///!!」
(何1人でトリップしてんだお前はアアアアアアアアッ!?!?)
真顔のまま身体を擦り寄せて迫ってくるゼノヴィアに、ある意味“最大級の危機”を感じてイリナに応援を頼む一護。しかし、当のイリナは1人で“全く違う世界”に浸っており、一護の言葉など全く耳に入っていない…。
「さあ、抱いてくれ。子作りの過程をちゃんとしてくれれば、好きにしてくれて構わない…」
そして、ゼノヴィアが一切淀みなく言い切った…その時、
「これは一体どういうことですか、黒崎先輩…?」
「ッ!? ゆ、雪菜…!? って、お前等も…いつからそこに…?」
「たった今よ…。で、どういうことか、説明してくれるわよね、一護…?」
入り口の方からそんな声が聞こえてきたかと思うと、そこには仁王立ちをしている雪菜を始め、外にいた筈のメンバーがほぼ全員集まっていた。もっとも…
「あらあら、ずるいわゼノヴィアちゃん。一護君とは私が遊んであげようと思ってましたのに」
「あわわわわッ///!?!?」
「お、落ち着いて、響…///!」
「ななな、何をしてやがんだテメエ等はあああッ///!!?」
「い、一護! これはどういうことなのだ///!?」
「ジーッ……///」
「デ、デースッ…///」
最前列にいるのは朱乃や響達といった一護と特に親しい面々であったり…
(こ、これはちょっと予想外でしたね…//。一応誘導したとはいえ、ゼノヴィアさんがいきなりこんな行動を取るなんて…///)
ゼノヴィアの予想を遙かに超えた大胆さに、大魔王の三女が頭の中で驚愕していたりしているが…。
「あ、あんたも説明しなさい、紫藤イリナ///!! ここ、ここで一体何しようとしてたのよッ////!?」
「ふぇっ///!? あああ、あの、えっと、そそ、それはッ…////!!」
紗矢華の問い掛けに対し、先程まで“違う世界に行っていた”イリナは即座に帰還。その上先程まで自分が悶々と考えていた内容を思い出し、完全にしどろもどろな状態になってしまっていた。そしてそんな状況の中、ゼノヴィアが再び爆弾を落とす…。
「どうした一護? さあ、“子供”を作ろう」
「っ!? ば、馬鹿ッ…!?」
『こ…!?』
『ど…!?』
『も…!?』
ゼノヴィアの口から発せられた単語に、驚愕を隠し切れない一同…。
「ここ、子供って、ええッ…///!?!?」
「な、何、だとッ…///!?」
「しっかりして、エルザ。でも、これは私も予想外ね~…///」
「そうね。しかも、まさかこの男がそんな節操なしだったことも予想外だったわ」
ユウキやエルザはあからさまに動揺し、ミラジェーンもエルザを落ち着かせようとしながらも驚いている。その一方で、リュドミラは一護をバッサリと切り捨てる始末。そして、本来この場を仲裁しそうなオカルト研究部部長とアイエール総帥、もう1人の副総帥は…
「…私には止められそうに無いわね」
「「………(合掌中)」」
諦めの言葉を口にしたり、手を合わせて一護に冥福を祈ったりしていた…。
ジャキンッ!!×8
「「一護さん…」」
「「きっちり聞かせてもらいますよ(もらうわよ)…?」」
「「覚悟はいいな…?」」」
「逃げるのは…」
「「許さないよ(デスよ)…?」」
響、未来、雪菜、紗矢華、翼、クリス、マリア、調、切歌の9人が得物を手にし始めた。しかも表情こそ笑っているものの…その目には明らかに光が無い…。それを見た一護は一言…
(はぁ…不幸だ…)
心の中で不幸な総帥の口癖を呟くしかなかった…。その後、響や雪菜達の猛攻付きの尋問(?)を夕方まで必死に避け続けることになった一護。しかし、その途中で…
「今度なんか適当に一つ言うことを聞くから、それで勘弁してくれ…」
と口にすると…
「「「本当…?(本当ですか!?)(本当デスか!?)」」」
調と響、切歌が途端に一護側に寝返り、翼や雪菜達を諫めてあっという間に収束。結果として一護は肉体的にも精神的にも物凄く疲労したものの、基本的には事なき得た。こうして、色々な意味で波乱なプール掃除と遊びの時間は終わりを告げたのだった…。
END
という訳で、例の水着回を御送りしました。
ちなみにアイエールの女性陣やイリナの水着は、基本的に各作品の公式画像やカードから適当に選んだものなので、画像検索すればそれらしいものが見つかるかと…。
改めて更新が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。
もう少し投稿頻度を上げていきたいと思います。
それでは、また次話をお楽しみに。