ハイスクールD×D ~とある三雄の物語~   作:無颯

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大変ご無沙汰しております。結局久々の投稿になってしまいました。

そんなに展開は進みませんが、原作キャラも少しずつ変化の予感…?

あと新章に入ったにもかかわらず、OP&EDの曲を変更していなかったので、
ここから先は以下の曲でいきたいと思います。

OP → 激情論 ~ZAQ~

   (“ハイスクールD×D NEW” 第2OP)

ED → 竜星鎮魂歌 ~鈴木このみ~

   (“魔弾の王と戦姫” 第10話ED)

では、どうぞ。




偉い奴と話す時はナメられないのが大事

既に時刻は夕暮れ時。プールでの一悶着(?)も終わり、オカルト研究部とアイエールの面々は全員オカルト研究部の部室に集まっていた…。

 

「はぁ…マジで疲れた…」

 

「ったく、そういう事ならさっさと言えよ?」

 

「お前等が話す余地も与えずに襲い掛かってきたんだろ…」

 

クリスの言葉に対し、やや呆れ混じりにそう返す一護。その傍では…

 

「い、いいですかゼノヴィアさんッ///! 子供というのは本来結婚してから作るものなんです//! い、いきなりそういう事をしようとするなんて非常識にも程があります///!! だから絶対しないでください///! いいですね///!?」

 

「ふむ、そういうものなのか…。普段からあれだけ性に関する言動をしているイッセーを見ていると、子作りも普通だと思っていたのだが…」

 

「そこにいる“最悪の変態”を見本にするのは死んでもやめなさい。本来なら刑務所にいても可笑しくないレベルの男よ」

 

「いやいやいやいやッ!? いくら何でも酷くない紗矢華ちゃん!? そこまで言われる程じゃ…!」

 

「「「その通りでしょう(だろ)?」」」

 

「喰い気味で否定しなくてもよくない!?」

 

雪菜がゼノヴィアに常識を教え込んでいる中、紗矢華の一言に慌てて反論しようとするイッセー。しかし小猫、ヤミ、ナナの3人に即座に否定されたことで撃沈した…。まあ、本来なら通報されるレベルであることは間違いないだろう…。と、その時だった…。

 

キィィィンッ…!

 

「随分と賑やかだね?」

 

『……!!』

 

突然部室内に白い魔方陣が出現したかと思うと、そんな声が聞こえてきたのだ。そして、そこから姿を見せたのは…

 

「何かのイベントかい?」

 

「お、お兄様!?」

 

「っ!? ま、魔王様ッ!?」

 

(この方が魔王、サーゼクス・ルシファー様…部長さんのお兄様…!)

 

リアスの実兄で、四大魔王の1人である男――――サーゼクス・ルシファーと、妻であり、彼の女王(クイーン)である女性――――グレイフィア・ルキフグスだった。思わぬ人物達の登場にリアスは驚きを露わにし、イッセーを始めとするグレモリー眷属の面々はすぐに膝を付いて頭を下げる。もっとも、当麻達を始めとするアイエールの面々は勿論のこと、アーシアも初めて見る魔王の姿に感動して立ったままであるが…。すると、

 

「アーシア・アルジェントだね?」

 

「…! は、はい…!」

 

「リアスが世話になっている。優秀な僧侶(ビショップ)だと聞いてるよ?」

 

「っ! そ、そんな!」

 

「寛いでくれたまえ。今日はプライベートで来ているのだから」

 

「は、はい…」

 

穏やかな口調で話しかけてくるサーゼクスに対し、アーシアは恐縮しながらもそう返した。

 

「そして久しぶりだね、上条当麻君、黒崎一護君、奴良リクオ君。こうしてちゃんと挨拶をするのは初めてだと記憶しているんだが…」

 

「ああ、そうだな。あの時は色々派手に暴れて悪かったと思ってる」

 

「ハハッ、気にする必要はないよ。むしろ私達としては感謝しているんだ。妹を助けてくれたのは勿論、冥界にとっても“膿”を一つ取り除けたのだからね」

 

ここでサーゼクスが当麻達3人に目を向けつつ、当麻とそんなやり取りを交わす。ちなみに“膿”という言葉が指すモノについては…何処ぞの“愚かな三男坊”を思い浮かべて欲しい…。

 

「他のアイエールの皆さんも、多くは私と初対面だと記憶しているので、改めて名乗らせてもらいたい。私はサーゼクス・ルシファー。そこにいるリアスの兄であり、魔王としての地位を仰せつかっている。そして隣にいるのは私の女王であると同時に、妻でもあるグレイフィアだ」

 

「初めまして、どうぞお見知り置きを…と言いたい所ですが、“絶剣使い”と“氷の狙撃手”の御二人とはお久しぶりですね。あの時は組織の存在を知らなかったとはいえ、無礼な真似を致しました」

 

「! あー、そういえばそうだったね…。いいよ! 全然気にしてないし!」

 

「まあ、事の発端は“誰かさんが勝手に忍び込んできた”ことだった訳だしね」

 

「ッ…///!」

 

頭を下げるグレイフィアに対してユウキとシノンがそう言うと、当事者であるリアスは当時を思い出したのか顔を赤くしてしまった…。と、そこへ、

 

「ご無沙汰しております、サーゼクス卿」

 

「やぁ、久しぶりだね、サーゼクス」

 

「! ああ、本当に久しぶりだね、ソフィーヤ・オベルタス、アレクサンドラ・アルシャーヴィン。特に君とは…ギド様との手合わせの時以来だろうか?」

 

「ああ、その筈だよ。それより、その呼び方は止してくれないか? どうにもむず痒くてね。普通にサーシャと呼んで欲しい」

 

「なるほど…では“サーシャ殿”と呼ばせてもらうよ。ソフィーヤ殿とは、君が北欧にいた頃に特使として冥界へ来た時以来かな?」

 

「ええ。あの時は色々ありがとうございました。グレイフィアさんも、お元気そうで何よりですわ」

 

「! 御心遣い感謝致します、ソフィーヤ様」

 

ソフィーとサーシャがサーゼクスやグレイフィアに話しかけた。既に面識があるのか、それぞれ過去の話を踏まえながら会話をする4人…。

 

「でも驚いたよ。まさか君達“七大戦姫”が全員北欧を抜けていたとはね」

 

「…その様子だと、そちらの大魔王様から話は聞いたようね?」

 

「ああ。リアスの一件の後、すぐにギド様から話があってね。こちらとしては驚きの連続だったよ。ギド様が以前から秘密裏に交流していたのは勿論だが、まさか自分の娘達を全員許嫁として紹介しているとはね…」

 

「…! すみません、サーゼクス様。ですが…」

 

「ああ、気にしないでくれ、モモ。私はその事について反対する気など一切無いよ。何しろ、あのギド様が認めた事だからね。それにさっきも言ったように、彼等は私にとっても恩人と呼ぶべき存在。だからそんな彼等が率いるアイエールという組織についても、私は好意的に捉えているつもりだよ」

 

リュドミラの問い掛けにサーゼクスが答えていると、それを聞いていたモモは謝罪を口にしながらも何かを説明しようとする。しかし、サーゼクスは彼女の言わんとしている事に気付いてそう言った。すると、

 

「お、お兄様、いい加減説明してください! 一体どうしてこちらに…!?」

 

「ん? 勿論決まっているだろう? “リーアたん”の学校での様子を直に見る前に、事前に色々話をしておこうと思っていてね。もうすぐ“公開授業”があるんだろう?」

 

「っ!? ど、どうしてそれを…!グレイフィアね…!!」

 

“公開授業”という単語を聞いて、リアスはあからさまに動揺した。

 

「公開授業のこと言ってなかったのか、リアス?」

 

「っ! え、ええ…」

 

「安心しなさい。父上もちゃんと来る」

 

「お兄様は魔王なのですよ!? 仕事を放り出してくるなんて…」

 

当麻の問い掛けに頷きつつも、サーゼクスの言葉にやや呆れた様子でそう言うリアス。すると、

 

「いやいや、これは仕事でもあるんだよ」

 

「え?」

 

「三大勢力のトップ会談を、この学園で執り行おうと思っていてね。今度の公開授業は、会場の下見も兼ねているんだよ」

 

『…!!』

 

「こ、この駒王学園で!?」

 

リアスとサーゼクスのやり取りを聞いて、それぞれ反応を見せるグレモリー眷属の面々。しかし、サーゼクスの話はこれで終わりではなかった…。

 

「そしてその会談には、アイエールの方からも出席してもらいたいという話になっていてね。今日私がここへ来たのは、その話をするためでもあるんだよ」

 

『…!!』

 

続いてサーゼクスの口から飛び出した話の内容に、アイエールの面々も大半が驚きの反応を見せた…。

 

「“アイエールはどの勢力よりも強大な戦力を保有している”というのが、三大勢力の各上層部の共通認識でね。君達が一体何を考えていて、何をしようとしているのか、一様に警戒しているんだよ。だから今回の会談を通じて、君達の考えを直接聞きたいんだ。特に…トップである君達3人の考えを、ね…」

 

「「「………」」」

 

サーゼクスはそう言いながら、当麻達3人に目を向ける。それに対し、当麻達の回答は…

 

「分かった。その誘い、遠慮なく受けさせてもらう…。つーか、話は大体“ギド”から聞いてるんだろ?」

 

「! なるほど、どうやら今までの問い掛けは愚問だったようだね。では、そのつもりでこちらも調整を進めさせてもらうよ。詳細については近々伝えさせてもらうが、それで構わないかい?」

 

「ああ…。ただこっちも色々話したいことがあってな。こっちはこっちで、先に他の陣営にも顔合わせはしておくつもりだから、そのつもりでいてくれ」

 

「! これは驚いたな…。天界についてはともかく、堕天使サイドとも接触できる伝手(つて)があるのかい?」

 

「ええ、まあ…。どうやらその上層部の1人が接触しやすい所にいるらしいので、直接会いに行ってみるつもりです。その方が会談もスムーズに行くでしょうから…」

 

そうして当麻だけでなく、一護やリクオも加わってサーゼクスと話を進めていく…。

 

「そうか…了解した。事前に知らせてくれたこと、感謝するよ」

 

「気にしないでくれ。こっちも何だかんだで外見上、あんたの妹の身柄を預かってる訳だしな。でもいいのか、このままで?」

 

「構わないよ。そのことについても父上や母上も容認しているし、あの時君達が大胆な宣言をしてくれたお蔭で、周囲からの反発もそこまで無いからね…。まあ、“何かあったら遠慮なく”相談してくれて構わないよ。さっきも言った通り、私個人としては君達と友好的に付き合っていくべきだと考えているんだ。その方がリーアたんにとっても…“冥界にとっても”良いと思っているからね」

 

「ッ///!? お、お兄様ッ…///!!」

 

「…ああ、分かった。その時は、宜しく頼むぜ…?」

 

そして最後のサーゼクスの言葉にリアスが再び恥ずかしがる中、当麻は何処か意味ありげにそう返したのだった…。

 

 

 

☆☆

 

 

翌日、すっかり日も暮れた時刻にもかかわらず、当麻達は夜の街を歩いていた。といっても、そんな当麻達の周りには…

 

「接触しやすい所って聞いてたけど、この町にいるっていうのは予想外だったね、お姉ちゃん」

 

「関係ない。今の私達は当麻の護衛役…当麻に刃を向けるのなら葬るだけ…」

 

「あー、アカメさん? 今回はただの話し合いだからな? そんな物騒な展開にはならないと思うのでせうが…」

 

アカメ、クロメの2人と…

 

「堕天使の幹部…どんな人なんだろうね、切ちゃん?」

 

「きっといかにも悪そうな感じの奴デスよ! いざという時は、アタシが調を守るデス!」

 

「はぁ、落ち着けっての。話し合いに行くだけだって言ってんだろ…。なぁ、コイツ等を連れてきてよかったのかよ?」

 

「あー…まあ、調も切歌もやたら気にしてるみたいだったし、この前の一件で特に深く関わったのがこの2人だからな。何かあった時のフォローは頼む、クリス」

 

「! あ、ああ…」

 

調、切歌、クリスの3人、そして…

 

「ごめんね、ルーシィ、ウェンディ。こういう話し合いの場なんて、2人共あんまり好きじゃないと思うけど…」

 

「あ、いえ! 私こそあんまりお役に立てないかもしれないですけど、頑張ります!」

 

「いや、多分話すのはリクオ達3人だから、私達が頑張る事は無い気が…。あー、でも、私達も何かあった時はちゃんとフォローするから、安心して!」

 

ルーシィとウェンディの2人である。そんな当麻達が目指しているのは、話の内容から分かる通り、堕天使の幹部が居るという場所…駒王町内にあるマンションの一室。会談の前の顔合わせとして、“ある人物の仲介の下”、これから向かうことになったのだが…

 

『…!!』

 

突然何かを感じ、全員その場に立ち止まった…。

 

「おい、今のって…」

 

「間違いない、堕天使の気配。それもかなり強い奴の…」

 

「それに今気付いたけど、何かすぐ近くに“よーく知ってる悪魔”の気配を感じるね。どうする、お兄ちゃん?」

 

クリスとアカメがそう言う中、クロメが当麻に対して尋ねると…

 

「…急ぐぞ。面倒なことになる前にな」

 

「「ああ(うん)…」」

 

その瞬間、当麻達の姿はその場から消えた…。

 

 

☆☆

 

 

その頃、とあるマンションの一室では、緊迫した空気が張り詰めていた。中には2人の人物の姿があり、1人は赤龍帝兼駒王学園の変態三人組の一人―――兵藤一誠。そして、もう1人は…

 

「俺はアザゼルだ。堕天使共の頭をやってる…」

 

(ア、アザゼルって、堕天使の総督じゃねえかッ…!!?)

 

男物の和服を着こなし、背中から12枚の黒い翼を生やしている男—――アザゼルである。イッセーはあくまでも契約相手としてこの男の下に何度か来ていたのだが…突然のカミングアウトに驚きを隠せないでいた…。

 

「な、何で…!?」

 

「コカビエルの企みを察知してな。町に潜入していたんだ。ついでに、君の“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”にも興味があったしねぇ…」

 

「ッ…!!」

 

アザゼルの口から自身の神器の名が飛び出したことで、咄嗟に警戒心を高めるイッセー。すると、

 

「“アルビオン”はうまくやってくれてたようだな…」

 

「ッ! アルビオン…白い龍…!」

 

「俺が直接手を下すのは不味いんで、事の収拾を頼んだんだ。といっても、その前に“あいつ等”が片を付けたんだが…」

 

アザゼルの口から出た“あいつ等”が誰のことかは…流石の一誠もすぐに見当がついた…。と、ここで、

 

「っと…そうこうしてる間に、来たみたいだな…」

 

「? お、おい、一体どういう…」

 

アザゼルの言葉の意味が分からず、イッセーが尋ねようとした、その時、

 

ガチャッ…!

 

「取り込み中の所悪いが、邪魔するぞ」

 

「ッ!? と、当麻!? それに一護とリクオも!? な、何でここに!?」

 

「あー!! イッセー先輩がいるデスよ!?」

 

「ちょ、何であんたがここにいるのよ!?」

 

「って、切歌ちゃん達まで!? お、おい、どういうことだよ!?」

 

部屋の入り口から入ってきたのは、当麻や一護、リクオや切歌、ルーシィ達だった。思わぬ人物達の登場に、より一層驚きながら尋ねるイッセー…。

 

「昨日リアスの兄貴に話してただろ? “堕天使の上層部の1人が近くにいるから、直接会いに行く”ってよ…。それはこのオッサンのことだ」

 

「! ってことは、お前等はこのオッサンのことを知ってたのかよ!?」

 

「まあ、少し前からね。といっても、まさかイッセー君がここにいるとは思ってなかったんだけど…」

 

イッセーがアザゼルのことを知らずにこの場にいることに、若干頭を抱えたくなりそうな様子で話す一護とリクオ…。

 

「初めまして、と言うべきかな、“アイエール”御一行さん」

 

「…! あなたが堕天使の総督、アザゼル?」

 

「ああ、そうだ。しかしまあ、これだけの二つ名持ちの神器所有者がいると壮観だな。“紅蓮の殲滅者”に“桃華の切削者”に“深緑の断罪者”、“一斬必殺のアカメ”に“死者行軍のクロメ”、それにそっちは“星神姫”と“天空の巫女”か…」

 

「…こっちの情報はある程度調査済みって訳か」

 

「これでも頭をやってるからな。情報収集もそれなりにするさ。もっとも、俺の潜伏が気付かれてるとは思わなかったがな…」

 

調の問い掛けや一護の言葉にそう返すアザゼルだったが、イッセーに対した時とは違い、明らかに警戒心を持って当麻達と相対していた…。

 

「で、そのアイエール御一行様が、俺に何の用だ?」

 

「…あんたの耳にも既に入っているだろうけど、今度の三大勢力の会談には俺達も参加させてもらう。ただそのトップの中で唯一面識が無いのは堕天使陣営…要するにあんただけだったからな。事前に顔合わせの意味も含めて、直接挨拶に来たって訳だ」

 

「…! こいつは驚いたな。今話題の組織のトップが3人まとめて出向いてくれるとは思わなかったぜ…。それなら、少しばかりゆっくりしていくか? この人数だとやや手狭だが…」

 

「いえ、本当はそのつもりでしたけど、今日はもうこれで失礼します。イッセー君がいるとなると、少し話しづらいですし…顔合わせという点では、これで十分だと思います。そうでしょ、当麻…?」

 

「…ああ…」

 

アザゼルからの提案に対し、リクオは当麻に確認を取りながらそう言った。

 

「色々邪魔して悪かったな。行くぞ、アカメ、クロメ」

 

「「ああ/はーい」」

 

「ごめんね、ルーシィ、ウェンディ。殆ど来た意味が無い感じになっちゃって…」

 

「! い、いえ…」

 

「確かに着いてから3分もいなかった気がするけど、余計な騒ぎが起こるよりは全然マシね」

 

当麻やリクオの一言を受けて、彼らについていくアカメやウェンディ達…。

 

「ほ、本当にもう帰っちゃうデスか?」

 

「ああ、目的は達したからな」

 

「ったく、本当に来た意味無かったんじゃねえか、これ…」

 

「でも、堕天使の総督がどんな人か分かっただけでも、来た意味があったと思います…」

 

「! そうデスね! “ただの胡散臭そうなオジさん”だったことが分かっただけで、収穫デース!」

 

「…おい、副総帥の兄ちゃん…確か、黒崎一護だったよな? そこの嬢ちゃんに、初対面の大人との接し方を教えてやった方がいいと思うぜ?」

 

「いや、案外切歌の言ってることも当たってるぞ。あんたは見た目堅気の人間に見えねえからな」

 

「お前も初対面の相手に大分失礼だな、おいっ!!」

 

そして、一護もクリスや調、切歌を連れてその場を後にしようとした…その時、

 

「ああ、そういや最後に一つ、あんたに確認しておきたいことがあるんだが…」

 

「? ああ? 何だよ、一体…?」

 

一護が突然立ち止まったかと思うと、振り返りながらアザゼルに対してこう尋ねた…。

 

 

 

「コカビエルと協力関係にあった連中と、お前等堕天使陣営全体は通じてねえだろうな…?」

 

「ッ…!?!?!?!?」

 

その瞬間、アザゼルは言葉では言い表せない程の覇気と威圧感を感じた。“堕天使の総督”という、一陣営のトップである男が…。

 

「あんたもコカビエルの動きに気付いて、この町に潜伏していたんだろ? 当然コカビエルと一緒にいた連中の存在も知ってる筈だ…。あいつ等は俺達にとって、絶対に許せねえ存在でな。あいつ等と通じてる存在がいるなら、俺達も黙ってる訳にはいかねえんだよ…。それが一つのデカい勢力だったとしてもな…」

 

一護の言葉を聞いたアザゼルは、“あの連中”が誰のことなのか当然気付いていた。この場にいるクリスや切歌、調達“七星の歌姫”の面々と大きな因縁を持つ研究者風の男――ギース・ヘイドと、その仲間である7人の男達であることを…。

 

「俺達は連中と接触したことは無え。コカビエル個人が密かに接触し、お前等と一戦交えるために協力関係を持った…そんな所だろうよ。アルビオンにもコカビエルと同時に、連中の片付けも頼んでいてな。まあ、その前にそっちで全部を片を付けちまった訳なんだが…。とにかく、俺達堕天使全体が奴等と関わっていないことは俺が保証してやる。堕天使の総督としてな…」

 

「…………」

 

先程までとは違う真剣なアザゼルの回答を聞いて、一護は暫し沈黙したかと思うと…

 

「そうか…。悪かったな、つまらねえこと聞いて」

 

「ッ…なら、もう少し穏やかに聞いてくれねえか? 今のはかなり心臓に悪いんだが…」

 

「生憎、今のはかなり重要な話だったからな。勘弁してくれ…。そんじゃあ、会談の時はよろしく頼むぜ? 堕天使の総督さんよ…」

 

「あ、それとイッセー君もついでに連れていきますね? ほら、用件も大体終わったんだよね? もう行くよ」

 

「ッ!? お、おい、待てよお前等…!!」

 

今までの張り詰めた空気は一瞬で霧散し、一護はイッセーに声を掛けるリクオ達と共に、その場を去っていった。その結果、当然部屋にはアザゼル1人だけになったのだが…

 

(あのプレッシャー…大戦の時ですら感じたことの無いレベルの奴だったな…。間違いねえ、あいつ等と敵対しようもんなら、“どんな勢力だろうが確実に殲滅”される。奴等の目的が全く分からねえ以上、今度の会談はとんでもなく重要な場になりそうだな…)

 

アザゼルは先程のやり取りを思い出しながら、対峙した相手の強大さを実感していた…。

 

「こいつは一度、何か“布石”を置いた方が良さそうだな…」

 

 

☆☆

 

 

翌日の朝、当麻達3人はアイエールの学生組やリアスと共に、駒王学園へと向かっていた…。

 

「やっぱり不満か? 他勢力のトップに勝手に侵入されてたのは…」

 

「当然よ! こちらの営業妨害をしていた上に、私の眷属に手を出そうとしていたなんて…!」

 

「まあ、つっても主な目的はコカビエルの動きに対処するためだったらしいからな。イッセーの事はあくまでも“ついで”だろうけどな」

 

「“ついで”というなら尚悪いわよ。堕天使の総督という立場でなかったら、直接抗議してやりたいくらいだわ…!」

 

当麻や一護がそう言う中、憤りを露わにするリアス。実は昨日、当麻達はアザゼルの潜伏先から帰った後、アイエールの屋敷にいたリアスに事の詳細を説明したのだ。その結果、リアスは断りもなく勝手に潜伏していたアザゼルに激怒。今日になっても不満が収まらず、こうして愚痴を漏らす状態になっている…。

 

「いや、“ついで”という事でも無いだろう。アザゼルという男の素性は、私も聞いたことがある」

 

「? 素性って?」

 

「奴は神器の研究に相当のめり込んでいるらしい。神器の知識の量は確かで、人工の神器も作っているとか…」

 

「ああ、神器の研究に関しては、悪魔陣営にいる四大魔王の1人に並ぶレベルだろう」

 

「! キャロルちゃんもその人の事を知ってるの!?」

 

「研究に携わる者として、そう認識しているだけだ。オレも直接会ったことはない。まあ、機会があれば話くらいはしてやってもいいと思っているがな…」

 

アザゼルに関するリサーナや響の問い掛けに、エルザやキャロルがそう答えた。と、その時、

 

『…!!』

 

「? どうしたの、当麻?」

 

突然自分以外の面々が立ち止まったことに気付き、咄嗟に隣にいた当麻に尋ねるリアス…。

 

「イッセーに面倒な奴が接触してきてるな。相手は多分、あいつの“ライバル”か…」

 

「ッ!? ライバルってまさか、“白龍皇”のこと!?」

 

「ああ、この感じは恐らくな…」

 

当麻の言わんとしていることに気付き、リアスはすぐに学園へと向かおうとした。すると、

 

「「一護(さん)」」

 

「! 何だ、ゼノヴィア、イリナ?」

 

「私達が先行して収拾に向かってもいいだろうか?」

 

「今のイッセー君じゃ、色々と不味いでしょ? ここは助太刀に行かないとね♪」

 

「…分かった。頼むぞ」

 

「「ああ(任せて♪)」」

 

ゼノヴィアとイリナがそう言って、展開された魔方陣と共に姿を消したのだ。それを見て…

 

「大丈夫なの、あの子達を先に行かせて? 相手はあの白龍皇よ?」

 

「心配いらねえよ、“今のあいつ等”なら…。だろ? 翼、マリア」

 

「フッ、そうだな」

 

「ええ、“今のあの子達”なら大丈夫でしょう」

 

心配するリアスに対して答えたのは、一護と翼、そしてマリアの3人だった…。

 

「とにかく、俺達も向かうぞ」

 

「! え、ええ…」

 

 

☆☆

 

 

時は少し遡り、駒王学園の前にある橋では2人の人物が対峙していた…。

 

「ここで会うのは二度目だな」

 

「! 何…?」

 

1人は毎度お馴染みの赤龍帝こと、イッセー。そしてもう1人は銀色の髪が目を引く、私服姿の青年…

 

「“赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)”、“赤龍帝”、兵藤一誠…」

 

「っ…!」

 

「俺は“ヴァーリ”。“ヴァニシング・ドラゴン”、“白龍皇”だ」

 

「ッ!? お前が…ッ!」

 

その青年――ヴァーリが橋の欄干に持たれながらそう言うと、イッセーの左手の疼きが一層増した…。すると、

 

シュッ!!

 

「なっ!?」

 

「無防備だな…。例えば俺がここで、君に魔術的なものを掛けても…」

 

「っ!! ブーステッドッ…!」

 

瞬時に目の前に迫り、人差し指を額に突き付けながらそう言ってきたヴァーリ。これを見たイッセーは即座に神器を発動しようとした、その時、

 

チャキッ…!!

 

「冗談が過ぎるんじゃないかい…?」

 

「! 木場…!!」

 

裕斗が突然現れ、ヴァーリの喉元に自らの神器である聖魔剣を突き付け…

 

「イッセーさん!」

 

「っ! アーシア、下がってろ!」

 

自身の後ろからアーシアも駆け付けてきたが、イッセーは危険と考え、彼女を自身の背後に留めた…。

 

「“彼等”ならともかく、コカビエルごときに勝てなかった君達では、俺に勝てないよ。人目を気にしながらそうしてもらっても構わないが…」

 

切っ先を向けている裕斗に対して、余裕の笑みを見せながらそう言うヴァーリ。しかし、そんなヴァーリにも予想していなかったことが起こる。それは…

 

チャキッ!!×2

 

『ッ…!?』

 

「あまり私達の通う場所の前で、物騒なことをしないでくれる?」

 

「今の時期に問題を起こすのは得策でないと、貴様も理解しているだろう? “白龍皇”」

 

「ゼ、ゼノヴィア!?」

 

「イリナさん…!」

 

突如ヴァーリの背後にゼノヴィアが自らの神器“デュランダル”を、裕斗とは反対の側面にイリナが“西洋剣型の神器”を突き付けるようにして現れたのだから…。

 

「驚いたな…。コカビエルの時に見た君達とは、まるで別人のようだ…。一体何をした?」

 

「ふふっ、“とある2人”に修行を付けてもらっていてね。その賜物、といった所かな」

 

「白龍皇の貴方にそう言ってもらってえるってことは、それだけ修行の成果が出てるってことね…。この剣のことも含めて、改めて主…じゃなくて、一護さんや“あの人達”に感謝しないと…」

 

「…なるほど、そういうことか。これは一層、楽しみになってきたな…」

 

ゼノヴィアとイリナとやり取りをするヴァーリは依然として笑みを見せているが、その笑みは余裕によるものではなく、“好戦的”な感情によるものだった…。

 

「さて…何か勘違いしているようだが、俺は別に戦いに来た訳じゃない。そのつもりなら、最初から手を出している…」

 

「…分かった。イリナ」

 

「! いいの?」

 

「この男の言うことも一理ある。人目があることも確かだからな」

 

「…そうね。ほら、あなたも神器を収めて」

 

「…! あ、ああ…」

 

ゼノヴィアとイリナ、裕斗は神器を収め、イッセーやアーシアの下へ移動する…。

 

「兵藤一誠、君はこの世界で何番目に強いと思う?」

 

「何…?」

 

「君の禁手(バランスブレイカー)…まあ、未完成の状態だが、上から数えると四桁。千から千五百の間くらいだ…。いや、宿主のスペック的にはもっと下かな…?」

 

「っ…何が言いたい…!?」

 

「兵藤一誠は貴重な存在だ。十分に育てた方がいい…リアス・グレモリー」

 

「ッ!? 部長…! それに当麻達も…!」

 

ヴァーリの発言を聞いたイッセーが振り返ると、そこにはリアスや当麻達アイエールの学生組、そして朱乃や小猫がいた。そして、その中からリアスや朱乃、小猫、当麻達3人がイッセー達の所へ歩み寄っていく…。

 

「白龍皇…何のつもりかしら? 貴方が堕天使と繋がりを持っているなら、必要以上の接触は―――」

 

「フッ、二天龍と称された“ウェルシュ・ドラゴン”と“ヴァニシング・ドラゴン”…“赤い龍”と“白い龍”に関わった者は、過去碌な生き方をしていない…。貴女はどうなるんだろうなぁ…?」

 

「っ…」

 

自身の言葉を遮ったヴァーリの問い掛けに、言葉を詰まらせるリアス…。

 

「さっきも彼等には言ったが、今日は戦いに来た訳じゃない。俺もやることが多いんでね…。それに、今の君には興味が無い…」

 

ヴァーリはイッセーに対してそう言うと、ある人物達の前に歩み寄っていく。その人物達とは…

 

「アザゼルから聞いたよ。昨日あいつと会ったそうだな」

 

「ああ。といっても顔合わせのつもりだったからな。大したことは話してねえよ」

 

「らしいな。だがそれでも、あいつにとっては十分に意味があるものだったようだ…。今度の会談に、君達も参加するそうだね?」

 

「まあな。俺達も色々派手に動き回った以上、大人しくしてるつもりはねえよ」

 

「そうか…。この前話した手合わせの件、覚えてるかい?」

 

「! 覚えてるけど…それはもう少し落ち着いてからにして欲しい、っていうのが本音かな」

 

「…なるほど。頭に入れておくよ。では、俺はこれで失礼させてもらう…」

 

ヴァーリは当麻、一護、リクオとそれぞれ一言やり取りし、頭を下げて去っていく。そして後ろに控えていたアイエールの学生組にも会釈をし、街中へと消えていった…。

 

「何しに来たの、一体…?」

 

「挨拶ってところでしょうね。少し荒っぽさはあるけど…」

 

「面倒なのに目を付けられたって感じね…」

 

「そう? ボクは一回戦ってあげてもいいかな~って思ってるけど?」

 

「ダ、ダメですよ、ユウキさん!」

 

「ええ、あれは碌でもない事をしでかすタイプよ…。やっぱり男は信用ならないわね、ホント…」

 

リサーナやミラジェーンがそう話す中、シノンの一言に反応したユウキの発言を聞いて、雪菜と紗矢華が軽く注意する。その一方で、

 

「どう? 白龍皇と対峙してみた結果は?」

 

「ああ、自分でも驚く程、動じることが無かった。直接戦っていないとはいえ、コカビエル以上の実力を持つ男と対等に近い形で対するようになれるとは…」

 

「そうか。それならば、私達も手を貸した意味があったというものだ」

 

「はい! 引き続き、よろしくお願いします!」

 

ゼノヴィアとイリナは翼とマリアとそんな会話をしていた。これが何を指すかは…言うまでもなかった…。そんな中、

 

「……」

 

「大丈夫か、リアス?」

 

「! え、ええ、平気よ…。ねえ、それよりあの2人…」

 

「ん? ああ、ゼノヴィアとイリナのことか。実は少し前から、あいつ等の希望で翼とマリアが修行を付け始めたんだよ。それにイリナの方は、聖剣を天界に返しちまったからな。あの剣はキャロルとエルフナイン、それにウェルやララが共同で作った人工の聖剣だ」

 

「っ!? 人工の聖剣ですって!? そんなもの…」

 

「まあ、あいつ等がうちの技術力の全てだからな。もうあいつ等にとっては趣味みたいなモノだろうが…」

 

リアスは当麻の話を聞いて驚きを露わにするが、同時にここで何かを考え始め…

 

「ねえ、当麻…」

 

「? 何だ?」

 

「…一つ、“お願い”があるのだけど…」

 

何かを相談し始めたのだった…。

 

 

END

 

 

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