ハイスクールD×D ~とある三雄の物語~   作:無颯

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今回は最後の方でようやく別作品のキャラクター達が登場します。



一応誰なのかは隠してるつもりですが・・・少なくとも1人以上は正体がバレるかと・・・。



では、本編をどうぞ。





聖女

翌日の夜。部活が終わって先に帰宅した当麻達3人は、自宅のだだっ広いリビングで適当に寛(くつろ)いでいた…。

 

 

「イッセーの奴は今頃、また小猫の依頼を代わりにやってんだろうな」

 

 

「だろうね。昨日リアス部長から自分の駒のことを聞いて、凄く気にしてるみたいだし」

 

 

「まあ、あいつはまだ“兵士(ポーン)”の特性を理解してないからな。部長もその内誤解を解くんだろうが…」

 

 

当麻とリクオの話を聞きつつ、そう話す一護。と、ここで、

 

 

「お待たせしました!」

 

 

カチャッ!

 

 

「! ああ、サンキュー、───」

 

 

ツインテールのメイド服少女が、3人分のティーカップをトレイに乗せて持ってくる。その中身はどうやら、コーヒーのようだ…。

 

 

「…美味い」

 

 

「! ありがとうございます…!」

 

 

「相変わらずだな」

 

 

「うん、いつも通りだ」

 

 

一口飲んで当麻が素直に感想を言うと、それに一護とリクオも同意する。そして、3人がもう一口飲もうとした、その時…

 

 

『っ!』

 

 

何かを感じた当麻達3人は、そこでコーヒーを飲もうとした手を止めた。どうやらメイドの少女も同様だったようで、動作を止めて当麻達を見ている。

 

 

「当麻様、今のは…」

 

 

「ああ、間違いないな」

 

 

「しかもイッセーが一緒にいるぞ? 他にももう1人いるみてえだが…」

 

 

「でもマズいよ。今のイッセー君じゃ、とてもじゃないけど…」

 

 

一護とリクオがそう話す中、当麻は暫しの間何かを考え…

 

 

「行くぞ、一護、リクオ。悪い、───。少し出る。外には出るなよ?」

 

 

「! はい…お気を付けて…!」

 

 

そして…

 

 

ポスッ…

 

 

「っ…/////」

 

 

「行ってくる…」

 

 

その場から音もなく姿を消した…。

 

 

 

☆☆

 

 

 

2分後…

 

 

シュンッ!!×3

 

 

「ここだな…」

 

 

「ああ。けど結界が無いな。さっきの感じは間違いなく結界によるものだったんだが…」

 

 

「中で何かあったのかな…?」

 

 

当麻達3人が瞬時にやってきたのは、とある一軒家だった…。

 

 

「一護」

 

 

「分かってる…」

 

 

ここで当麻に声を掛けられた一護が、目を閉じて何かに集中し始める。すると…

 

 

「…! おい…中で随分悪趣味なことが始まろうとしてるぞ。おまけにイッセー以外の2人は多分、“祓魔師(エクソシスト)”と“修道女(シスター)”だ」

 

 

「っ!? 祓魔師と修道女が…!?」

 

 

「どうする、当麻? ぶっ飛ばすか?」

 

 

その報告にリクオが驚く中、一護は当麻に指示を仰ぐ…。

 

 

「…ああ」

 

 

「分かった…。外す訳にもいかねえし、念のため詠唱しとくか…」

 

 

当麻の承諾を受けた一護はそう言うと、右手を前に突き出して構えた…。

 

 

「君臨者よ…血肉の仮面・万象・羽ばたき・人の名を冠す者よ…真理と節制、罪知らぬ夢の壁に僅かに爪を立てよ…」

 

 

そして…

 

 

「破道ノ三十三、“蒼火墜”」

 

 

ドゴゴゴゴゴゴッ!!!

 

 

「アベシッ!!?」

 

 

トガアアアアアアアアアアアアアアンッ…!!!!

 

 

その手から蒼白い炎の奔流が発生したのだ。奔流はそのまま一軒家の限られた部分を貫いていき、大爆発を巻き起こした…。途中ふざけた叫び声が聞こえたのは…気のせいではない…。

 

 

「やったか?」

 

 

「いや、気絶した程度みたいだ。めちゃくちゃ加減したとはいえ、意外と頑丈だな」

 

 

「と、とにかく入ろう…!」

 

 

一護が手応えについて話す中、リクオがそう言ったことで3人は空いた壁から家の内部へと入っていく。すると…

 

 

「っ! と、当麻…達か…?」

 

 

「! イッセー!」

 

 

「どうやら無事…って訳じゃなさそうだな…」

 

 

「あ、ああ…イテテッ…!」

 

 

満身創痍の状態で座り込んでいるイッセーの姿があった。どうやら左足と背中の辺りを負傷しているらしい…。

 

 

「さっきの変な炎って、まさかお前等が…?」

 

 

「僕達というより、一護がね」

 

 

「とりあえず上手くいったみたいだな」

 

 

「あ、ああ、お蔭で助かったぜ…」

 

 

一護に対し、何とか礼を言うイッセー。と、ここで、

 

 

「イ、イッセーさん…!」

 

 

「っ!? ア、アーシア…」

 

 

イッセーを呼ぶ声が聞こえてきたため、そちらの方へ目を向けてみると、そこには“金髪のロングヘアー”と“緑の瞳”が特徴の少女がうつ伏せになっていた。年は丁度イッセーや当麻達と同じくらいであり、格好からして一護が存在を感じた修道女のようである…。

 

 

【どうやらイッセーの知り合いみたいだな…】

 

 

【ひょっとして、昨日イッセー君が教会に近付いたのも、この子が関係してたんじゃ…】

 

 

【けどこの雰囲気から考えると、イッセーはこいつに悪魔であることを隠してた…って所か…。にしても“アーシア”って、まさか…】

 

 

一護がそんな推測を立てていた、その時、

 

 

キィィィィィンッ…!!

 

 

当麻やイッセー達の近くに魔方陣が現れる。その紋章は…グレモリーのものだった…。

 

 

「イッセー君、助けに…!」

 

 

「あらあら…」

 

 

「…リクオ先輩、来ていたんですか?」

 

 

「あはは、まあね…」

 

 

魔方陣から出てきた裕斗と朱乃、小猫は、当麻達3人が来ていることに驚く。更にそこへ、

 

 

「! あなた達、どうしてここに?」

 

 

「よぉ、部長。なに、この辺りで結界が張られたような気配を感じてな。ついさっき駆け付けた所だ」

 

 

「ちなみに元凶っぽい祓魔師(エクソシスト)の野郎なら、向こうで気絶してるぜ?」

 

 

「そう…。ありがとう、助かったわ」

 

 

昨日の一件で当麻達の実力を垣間見たからか、リアスは当麻と一護の話を聞いて素直に納得し、礼を言った。そして直ぐ様イッセーの下へ駆け寄り、落ち込む彼を慰め始める…。すると、

 

 

「っ…! 堕天使複数…」

 

 

「! 部長」

 

 

「…今はイッセーの回収が先決ね。朱乃、ジャンプの用意を。小猫、イッセーをお願いね」

 

 

「「はい(…はい)」」

 

 

小猫が自身の嗅覚で堕天使の気配に気付くと、リアスは直ぐ様朱乃と小猫に指示を出す。そして小猫がイッセーを背負い、当麻達3人以外のオカルト研究部の面々が赤い魔方陣の上に立つ…。

 

 

「部長! あの娘も一緒に…!」

 

 

「それは無理よ。この魔方陣は、私の眷属しかジャンプできないの」

 

 

「そ、そんな…!?」

 

 

イッセーが目の前にいる修道女の少女──アーシア・アルジェントを見て頼むが、リアスはそれをキッパリと否定した…。

 

 

「当麻、一護、リクオ…あなた達は大丈夫ね?」

 

 

「! ああ、すぐにそっちに向かう。勿論堕天使の連中には気付かれねえようにな」

 

 

「分かったわ。くれぐれも気を付けてね」

 

 

そして、当麻とリアスがそんなやり取りを終えると…

 

 

「アーシア!」

 

 

「イッセーさん…またいつか、何処かで…」

 

 

互いに涙しているイッセーとアーシアの会話を最後に、オカルト研究部の面々はその場から姿を消したのだった…。

 

 

「じゃあ当麻、僕達も…」

 

 

「ああ…」

 

 

それを見届けた所で、当麻達もその場を後にしようとした。すると、

 

 

「あ、あの…」

 

 

「! 何だ…?」

 

 

「あなた方も、イッセーさんの御友人なのですか?」

 

 

「え? あ、うん。まあ、僕達は人間だけどね」

 

 

アーシアが声を掛けてきたのだ。それに対し、一護とリクオが対応する。

 

 

「イッセーさんを、よろしく御願いします」

 

 

「「「…!」」」

 

 

「私にはもう…どうすることも出来ないので…」

 

 

涙を滲ませながらも、笑みを浮かべて頼んでくるアーシアに3人は驚く。当然だ。彼女の言動は、明らかに通常では考えられないものなのだから…。そして、ここで当麻が動いた…。

 

 

「アーシア…だったよな?」

 

 

「! は、はい…」

 

 

「あんたに1つ、聞きたいことがある」

 

 

「? 何でしょうか…?」

 

 

「…これからどうしたい?」

 

 

「え…?」

 

 

当麻の質問の意味が分からない様子のアーシア。だが、そんな彼女の反応を余所(よそ)に、当麻は話を続ける…。

 

 

「確かにあんたとイッセーは相容れない立場の者同士だ…。けど、そいつを一切抜きにして考えるなら…あんたは一体何を望む?」

 

 

「! 私の…望み…?」

 

 

「あんたの本心で答えてくれ…」

 

 

真っ直ぐな目で問い掛けてくる当麻に対し、アーシアは…こう答えた…。

 

 

「もう一度…イッセーさんにお会いしたいです…」

 

 

そんな彼女の瞳からは、またしても涙が流れていた…。そして、それを見た当麻は笑みを浮かべ、

 

 

「よしっ! 決まりだな」

 

 

「ふぇっ…!?」

 

 

彼女を俗に言う“お姫様抱っこ”の形で抱えた。これにはアーシアも思わずアタフタとしてしまう…。

 

 

「あ、あの! 一体何を…!?」

 

 

「決まってるだろ? あんたの会いたい人の所に行くんだよ。行くぜ、一護、リクオ!」

 

 

「はぁ…どうなっても知らねえぞ?」

 

 

「あはは、でも確かに当麻らしいかな…。アーシアさん、しっかり掴まってた方がいいと思うよ?」

 

 

「あ、は、はい…!」

 

 

そして…

 

 

シュンッ!!×3

 

 

当麻達は自分達の家の時と同様、音もなく姿を消したのだった…。

 

 

 

☆☆

 

 

 

ガチャッ!

 

 

「! 随分早いわね…」

 

 

「ハハッ、まあ、ちょっと本気を出したんでな」

 

 

「…はぁ、分かったわ」

 

 

部室へと無事に到着した当麻達。だが、当麻のそんな返しにリアスは呆れる。

 

 

「イテテテッ…!」

 

 

「イッセーの治療をしてたのか?」

 

 

「ええ。ですが、完治するには時間が掛かりそうですわ…」

 

 

一護の問い掛けに対し、朱乃はイッセーの足に包帯を巻きながら答えた…。

 

 

「あー…じゃあ、“回復の専門家”を呼ぶか」

 

 

「? “回復の専門家”…?」

 

 

「えっと…入ってきていいよ」

 

 

当麻の口から出た単語の意味が分からず、リアスが疑問を感じる中、リクオが部室の入り口の方に向かってそう言った。すると、入り口のドアが開き、そこから入ってきたのは…

 

 

「っ!? アー…シア…?」

 

 

「ッ!! イッセーさんッ!!!」

 

 

「アーシアッ!!!」

 

 

先程別れた筈の修道女──アーシアだった。そして彼女の姿を見たイッセーは、怪我をしていることも忘れて彼女の下へと駆け寄り、お互い涙を流しながら再会を喜び始める…。普通なら周りの人間もこの光景を見て、何かしらポジティブな反応を見せるだろう。だが、現状はそうはいかなかった…。

 

 

「当麻、どうしてその子が居るのかしら…?」

 

 

「あー、いや~…」

 

 

「こちらのことを理解しているあなた達なら、彼女をここへ連れてくることがどれだけ多大な影響を与えるのか…知らない筈ないわよね?」

 

 

当麻達の視線の先にいるのは、額に青筋を浮かべながら笑みを浮かべているリアスだった。その笑みに言い様の無い凄みがあるのは…言うまでもない。

 

 

「まあ待てよ、部長」

 

 

「何かしら、一護?」

 

 

「別に俺達も考え無しにそのシスターを連れてきた訳じゃねえ。そいつがただ堕天使の連中に与(くみ)してる、一介のシスターとは違うと思ったからだ」

 

 

「? どういうこと…?」

 

 

言葉の真意が分からず尋ねてくるリアスに対し、一護はこう答えた。

 

 

「そのシスター…アーシア・アルジェントは、少し前に異端者として教会から追放された、神器“聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)”の所有者だ」

 

 

『ッ!!??』

 

 

「ま、イッセーは少なくともアーシアが神器所有者だってことは知ってるみてえだが…」

 

 

一護の口から神器所有者であることが明らかになると、オカルト研究部の面々は驚きを露わにした。イッセーに関しては何とも言い難い表情を浮かべているが…。

 

 

「“聖母の微笑”…どんな種族であろうと回復させることが出来る神器…。一護、それは本当なの?」

 

 

「実際に見た方がいいかもな」

 

 

「アーシアさん、イッセー君の怪我を治してみてくれる?」

 

 

「は、はい…! 失礼しますね、イッセーさん!」

 

 

「あ、ああ…!」

 

 

リクオに促されたアーシアは、直ぐ様イッセーの治療をするため、両手を彼の足の部分に翳した。すると、彼女の両手から緑色の優しい光が暫し溢れ…

 

 

「…どうでしょうか、イッセーさん?」

 

 

「! えっと…おおっ! 治ってる!」

 

 

「本当ですか!? よかった…」

 

 

それが終わってイッセーが確認のために体を動かしてみると、先程までとは打って変わり、のびのびと体を動かすことが出来た…。

 

 

「確かに事実のようね。まさかこんなに希少な神器を所有しているなんて…」

 

 

「な? 連れてきて損だったとは言えねえだろ? それに、あの祓魔師や堕天使達の所にいる理由も分かってねえ。あんたもイッセーから聞いてるとは思うが、本当にそいつ等と協力関係にあるんなら、イッセーを身を呈して庇うなんて真似は絶対にしない筈だ。とりあえず事情を聞くくらいは、してもいいんじゃねえか…?」

 

 

続けざまに一護から提案されると、リアスは少しの間考え…

 

 

「シスター・アーシア、あなたが何故教会を追放されたのか…経緯を聞いてもいいかしら?」

 

 

そう問い掛けた。それに対し、アーシアは表情を暗くするものの、経緯を話し始める。

元々孤児院にいた彼女は幼少期に神器の能力を覚醒させた。治癒能力自体が非常に希少であったために、直ぐ様教会側が目を付け、彼女を引き取った。そしてその深い信仰心と強力な治癒の使い手となった彼女は、“聖女”として敬われるようになったのだ。だがそんなある時、彼女は大怪我をした悪魔を見つけてしまった。彼女は当然自身の性格故にその悪魔を治療した。するとそのことは一気に教会側に露見してしまい、彼女は掌を返すように“魔女”と蔑まれ、追放という処罰を受けることになってしまったのだ。

そして路頭に迷っている所で堕天使達に拾われ、真の目的も分からぬまま協力することになってしまったらしい…。

 

 

「御願いします、部長!! 俺達とアーシアは確かに立場上は敵同士かもしれません!! でも、このままアーシアが堕天使達に協力させられるなんて、絶対におかしいですッ!! だから、どうか一緒に堕天使達を…」

 

 

そして、イッセーがアーシアの話を聞いてリアスに頼もうとした、その時、

 

 

チャキッ!!×2

 

 

「なっ…!?」

 

 

イッセーはそれ以上言葉を続けることが出来なかった。何故なら…一護とリクオがそれぞれ神器を発動させ、愛刀である“斬月”と“祢々切丸”の切っ先を両側から突き付けているのだから…。すると、

 

 

「イッセー、さっきリアスが言ってただろ? その行動1つで、この三大勢力の微妙な均衡は大きく崩れるかもしれないんだぜ?」

 

 

「な、何だよ当麻!?そんなこと分かって…!」

 

 

「分かってねえよ。行動1つで情勢は一気に変化する。そうなった時、グレモリー眷属全体に火の粉が降りかかることになる可能性があるんだぞ? お前はそのアーシア1人のために…部長達全員を巻き込む覚悟はあるのか…?」

 

 

「っ! それは…」

 

 

真正面から当麻に問われ、イッセーは思わず言葉を詰まらせる。無理もない。それはすなわち、“1人の敵側の少女”と“同族である仲間達”を天秤に掛けるようなものなのだ…。と、そこへ、

 

 

ガチャッ!

 

 

「部長」

 

 

いつの間にか今まで席を外していた朱乃が戻ってきたかと思うと、リアスの下へと近付き、耳打ちで何かを知らせた…。

 

 

「急用が出来たわ。私と朱乃は少し外出します」

 

 

「っ! 部長! 話はまだ終わって…!!」

 

 

「イッセー、あなたは“兵士の駒”を一番弱いと思っているわね?」

 

 

「ッ……!!」

 

 

思いきり図星を突かれたためか、リアスからの突然の問い掛けに対してもあからさまに反応するイッセー…。

 

 

「それは違うわ。兵士には敵陣に乗り込んだ際、王(キング)以外の他の駒に昇格できる特性…“プロモーション”があるの」

 

 

「! 他の駒に、昇格…?」

 

 

「そしてもう1つ…神器は、所有者の“想い”に反応し、それが強ければ強い程能力を発揮するわ…」

 

 

そう言いながら、朱乃と共に展開された魔方陣の上へと移動するリアス。そして…

 

 

「いいこと? 例えプロモーションできたとしても、兵士1人で勝てるほど堕天使は甘くないわ。それを忘れないでちょうだい…」

 

 

最後にその一言をイッセーに告げ、リアスと朱乃はその場から姿を消した…。

 

 

「さてと…俺達もそろそろ帰るとするかな」

 

 

「ああ…」

 

 

「っ!? おい! お前等まで何言って…!?」

 

 

更にここで、当麻と一護も部室から出ようとし始めたのだ。それを聞いたイッセーは文句を言おうとするが…

 

 

「リクオ、お前はどうする?」

 

 

「…僕はここに残るよ。“監視”の必要もあるみたいだしね」

 

 

「…分かった。なら、俺と一護は先に失礼する」

 

 

「お、おいッ…!!」

 

 

当麻と一護はそんなイッセーを無視して、部室を後にした。結果として、この場に残ったのはイッセーと木場、小猫、そしてリクオの4人である…。すると、

 

 

「くっ…!」

 

 

少し歯噛みしながら、イッセーが部室を出ていこうとしたのだ。それを見て…

 

 

「行くのかい?」

 

 

裕斗がいつもの笑みを崩さずに尋ねてきた…。

 

 

「ああ、止めたって無駄だからな!」

 

 

「…殺されるよ?」

 

 

「だとしても、アーシアに酷いことをしようとした連中を放っておくなんて出来ない…。放っておいたら、またアーシアを狙ってくるに決まってる…」

 

 

「良い覚悟だね…と言いたい所だけど、やっぱり無謀だよ」

 

 

「っ! じゃあ、どうしたらいいって言うんだよッ!?」

 

 

そして、その言葉を聞いたイッセーが怒鳴ってきたのに対し、当の裕斗は…

 

 

「僕も行く」

 

 

「なっ…!?」

 

 

迷いなくイッセーに答えた…。

 

 

「さっき部長は“例えプロモーションできたとしても”って言った…。それはつまり、部長が堕天使達の潜伏先を“敵陣”だと認めたんだよ」

 

 

「! じゃあ…」

 

 

「そしてそれは同時に、“僕達で兵藤君をフォローしろ”って意味も含んでたんだ」

 

 

「じゃあ、小猫ちゃんも…?」

 

 

「…2人だけでは不安です」

 

 

「! こ、小猫ちゃん…!!」

 

 

そんな小猫の一言を聞いて、感動したような表情を浮かべるイッセー…。無表情な彼女の中にある優しさにでも反応したのだろう…。と、そこへ、

 

 

「待って、3人共」

 

 

「! リクオ…」

 

 

壁際でジッと話を聞いていたリクオが間に入ってきたのを見て、イッセーは苦い表情を浮かべる。先程無言で刀の切っ先を向けてきた以上、また反対されると考えているのだろう。しかし…

 

 

「僕も一緒に行くよ」

 

 

「っ! な、何で…!?」

 

 

リクオの口から出たのは、全く正反対のものだった。これには思わず尋ねるイッセー…。

 

 

「反対すると思ってたみたいだけど、僕も当麻も一護も“覚悟”があれば何も言うつもりは無かったんだよ。さっきの“監視”っていうのも、君達に付いていくって意味だったしね。それに…」

 

 

ポスッ

 

 

「……!」

 

 

「小猫が危険なところに行こうとしてるのに、僕が行かないっていうのもおかしいからね…」

 

 

「…リクオ先輩…」

 

 

小猫の頭に手を乗せながらリクオがそう言ってきたのに対し、当の小猫は無表情ながらもその手を振り払おうとはしなかった…。むしろほんの少しだけ、気持ち良さそうにしているようにも見える…。

 

 

「よしっ! じゃあ、早速…!」

 

 

「イッセーさん…」

 

 

「! アーシア…」

 

 

ここで今まで状況を見守っていたアーシアが声を掛けてくると、それに大きく反応するイッセー。だが…

 

 

ポンッ!

 

 

「…!」

 

 

「心配すんな、アーシア。俺は必ず戻ってくるから…。な?」

 

 

「…気を付けて、くださいね?」

 

 

「おう!!」

 

 

イッセーは安心した様子のアーシアからそんな一言を受け取ると、それに力強く頷いた。

 

 

「木場君、ここに彼女を置いていっても大丈夫?」

 

 

「平気だよ。この旧校舎全体には、副部長がより強度の高い結界を張ってくれているから」

 

 

「そっか。なら、安心していけそうだね」

 

 

「よっしゃあ!! 敵の本拠地に殴り込むぜッ!!」

 

 

こうしてイッセーと裕斗、小猫、そしてリクオの4人は、堕天使達のいる場所に向かうのだった…。しかし…

 

 

(やっぱり…“帰ってきた”みたいだね。これは合流することになるかな…?)

 

 

心の中でリクオがそんなことを考えていることなど…到底他の3人が知る筈もなかった…。

 

 

 

☆☆

 

 

 

ここは駒王町郊外の住宅街。その少し上空に…6人の人物達がいた…。

 

 

「やっと来れた~! ここがボク達の新しく住む街?」

 

 

「ええ。もっとも、何処かの誰かさんのお蔭で平和な所では無いらしいけど…」

 

 

1人は“紫色のロングヘアー”に“片手剣”を手にしているのが特徴で、何処か人懐っこさを感じさせる少女。もう1人は、“水色のショートヘアー”に“大型の狙撃銃”を手にしているのが特徴で、対照的に非常に大人びた印象を持たせる少女であり…

 

 

「そのようですね…。街の複数箇所から、堕天使と多数の神父の気配がします…」

 

 

「ふふっ、じゃあまた遊べるのかな~♪ 楽しみだね、“──お姉ちゃん”♪」

 

 

1人は“長いストレートの金髪”と“黒の戦闘服”が特徴で、感情の起伏が少なそうな少女。もう1人は“長いおさげの赤髪”と“黒に近い紺色の戦闘服”が特徴で、またしても対照的に無邪気さが窺える少女…。

 

 

「しかもその両方から、“あの人達”の気配も感じるんですが…」

 

 

「まったく、“あの男達”は何をしているのよ…」

 

 

1人は“黒髪のセミショート”に“特殊な形状の銀色の槍”を手にしているのが特徴で、真面目かつ礼儀正しそうな感じの少女。そして最後の1人は、“茶髪のポニーテール”に“特殊な形状の銀色の弓”を手にしているのが特徴で、何処となく勇ましさが感じられる少女である…。

 

 

「いつも通り、何か厄介事に巻き込まれたと考えるのが自然です…」

 

 

「ええ。むしろそうとしか考えられませんね…。ですが、これからどうしましょう?」

 

 

金髪の少女が無表情でそう言うと、黒髪の少女は若干呆れ混じりに同意しつつも、他の面々に今後の行動について尋ねた。すると、

 

 

「…そこに行ってみるしかないわね。──と──は向こうを…。私達はあそこに行きましょう」

 

 

「…仕方無いですね…」

 

 

「ふふっ♪ じゃあ行こう、──お姉ちゃん♪」

 

 

水色髪の少女の提案をすぐさま了承し、金髪の少女と赤髪の少女はその場を凄まじいスピードで離れた。そして…

 

 

「じゃあ、ボク達も早く行こー!」

 

 

「ちょ、ちょっと…!?」

 

 

「ま、待ってください、───さん…!」

 

 

紫髪の少女が先に移動し始めたのを見て、慌てて追いかけ始める茶髪の少女と黒髪の少女…。そんな3人の後ろを、水色髪の少女は黙って付いていくのだった…。

 

 

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