ハイスクールD×D ~とある三雄の物語~   作:無颯

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あと少しでこの章も終了です。



では、本編をどうぞ。


終結

 

当麻やリアス達が4人の神器所有者の少女達と邂逅する少し前。本拠地である廃教会では…

 

 

ドガアアアアンッ!!!

 

 

「どうやら目的地はここみたいだな」

 

 

地下の最深部にある扉をリクオが破壊し、イッセー、小猫、木場を含めた4人はその先にある神殿のような空間に突入していた。すると、

 

 

「っ!? あ、悪魔!? それに人間まで…? でも、どうしてここが…!?」

 

 

「ッ! レイナーレ…!!」

 

 

その奥ねか巨大な祭壇の上にいる女堕天使が驚きを露わにした。イッセーの反応からして、どうやらこの堕天使が今回の事態を引き起こした首謀者──レイナーレのようである…。

 

 

「! あら? 誰かと思えば、私の三文(さんもん)芝居に引っ掛かって死んだ人間君じゃない。まさかクソ悪魔になって蘇ってるなんてね…。で、一体何をしに来たのかしら?」

 

 

「決まってんだろ!! これ以上アーシアに付きまとわないように、お前をぶっ飛ばしに来たんだよッ!!」

 

 

「っ! それはどういうことかしら…?」

 

 

イッセーの言葉を聞いて、僅かに動揺を見せるレイナーレ…。

 

 

「その神殿…やっぱ目的は、アーシアの神器の奪取か?」

 

 

「ッ…!!?」

 

 

「動機は大方、上の堕天使幹部の連中に認められるため…って所か? くだらねえ…」

 

 

「…ただの人間が、見え透いたようなことを言ってくれるわね…」

 

 

リクオの非難混じりの推測に、レイナーレは苛立ちを露わにした。と、ここで、

 

 

「なるほど、そういうことか…」

 

 

「お、おい! どういうことだよ!?」

 

 

「あの堕天使の本当の目的は、アーシアさんの神器“聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)”をアーシアさんから抜き取り、自らの物とすることだったんだよ」

 

 

「…所有者の命と引き換えに、ですが…」

 

 

「なっ…!!!??」

 

 

裕斗と小猫の言葉に言葉を失うイッセー。当然であろう。それはすなわち、“アーシアが死ぬ”ということを意味しているのだから…。

 

 

「まあ、そいつはもう無理な話だがな」

 

 

「ッ!? それは一体どういう意味かしら?」

 

 

「決まってんだろ? そのアーシアは今、ここにいるグレモリー眷属の保護下にある」

 

 

「ッ!!? 何ですって!!??」

 

 

「首輪の1つでも付けとくんだったな? 一番の目的の奴をほとんど野放し状態にするなんざ、間抜け過ぎるぜ…」

 

 

リクオの口から明かされた事実を聞いて、絶句するレイナーレ。

 

 

「あとはお前をぶっ飛ばせば全て終わりだ!! 覚悟しやがれッ!! レイナーレッ!!」

 

 

そして、イッセーが気合いたっぷりな様子で言い放った。すると…

 

 

「はぁ…まったく、面倒なものね…。せっかく準備が整ったって言うのに、肝心なモノが盗られてるなんて…。本当に面倒だわ…」

 

 

パチンッ!

 

 

「「「っ…!!??」」」

 

 

レイナーレがそう呟きながら指を鳴らすと、リクオやイッセー達の目の前に大量の魔方陣が出現し、そこから出てきたのは…

 

 

「…! 神父、数は分かりません…」

 

 

「ど、どんだけ居るんだよッ!!??」

 

 

「これは流石に多いね…」

 

 

大量の神父達だった。その数、最低でも200人以上…。

 

 

「アーシアがあなた達の手中にあろうと関係無い。それならただ、あなた達を全員殺してゆっくりと取り戻せばいいだけのことよ…。たかが悪魔3匹と人間1人が、この数相手にどうこう出来る筈がないもの…」

 

 

「くっ…!!」

 

 

「どこまで耐えることが出来るか、高みの見物をさせてもらうわ。まあ、途中で飽きて私が殺しちゃうかもしれないけど、ね…? フフフフフフフッ…!」

 

 

イッセーが圧倒的な数の格差を見て歯噛みする中、余裕綽々といった様子で語るレイナーレ…。

 

 

「じゃあ…出来るだけ早くくたばりなさい、クソ悪魔共…」

 

 

「「「ッ…!!」」」

 

 

そして、レイナーレのそんな一言を聞いたイッセー達3人が、戦闘態勢を整えた、その時、

 

 

「…来たか…(ボソッ)」

 

 

「…! リクオ先輩…?」

 

 

小猫は聞いていた。リクオが実に小さな声で、そう呟いたのを…。と、次の瞬間、

 

 

ドガアアアアアアアアアアアンッ!!!

 

 

『ぐわああああああああああッ!!!??』

 

 

「「「ッ!!??」」」

 

 

「な、何ッ…!!??」

 

 

突如先頭の方にいた神父達が爆発によって吹き飛ばされたのだ。何処からか飛んできた“砲撃”によって…。

 

 

「やっぱりここにいたー♪」

 

 

「こんな所で何をしているのですか、リクオ…?」

 

 

『ッ!!??』

 

 

そんな2つの声が聞こえたため、リクオ以外の全員がその方へ目を向けると、近くにある巨大な柱の上に“2人の人物”が立っていた。1人は“ロングストレート”の金髪と“黒のスカートタイプの戦闘服”が目を引く少女。もう1人は、“長いおさげの赤髪”と“黒に近い紺色で短パンタイプの戦闘服”が目を引く少女である。そして、そんな2人の少女を見て唯一違う反応をしたのは…リクオだった…。

 

 

「よぉ、久しぶりだな、“ヤミ”、“芽亜(メア)”」

 

 

リクオは金髪の少女──ヤミと、赤毛の少女──黒咲芽亜を見てそう言った…。すると、

 

 

ダッ!!

 

 

ヤミと芽亜が柱の上から飛び降りたかと思うと、2人の髪の先端部が急激に変化し始めたのだ。ヤミの方は“大量の小刀のような形状”に、芽亜の方は対照的に“巨大な刀のような形状”に変形している。そして…

 

 

シュインッ…!!!

 

 

『かはっ…』

 

 

ドサドサドサッ…!!

 

 

降り立つ瞬間、ヤミは一瞬にして神父達を十数人ほど斬り伏せ…

 

 

ズバンッ!!!

 

 

『おわああああああああああっ!!!?』

 

 

芽亜は横に一閃し、同様に十数人ほどの神父達を吹っ飛ばした…。

 

 

「どうやら、また厄介事に首を突っ込んだようですね…」

 

 

「ああ、まあな」

 

 

「ふふっ、流石“リクオお兄ちゃん”だね♪ また少し遊べそう♪」

 

 

突如現れた2人の少女と、全く違和感の無い様子で話すリクオ。と、ここで、

 

 

「…リクオ先輩、その2人は誰ですか?」

 

 

「その様子だと、君の知り合いみたいだけど…」

 

 

「! ああ、紹介するわ。こいつ等は…」

 

 

小猫と裕斗がそう問い掛けてきたため、ヤミと芽亜を紹介しようとするリクオ。と、その時だった…。

 

 

ガシッ!!

 

 

「リクオぉぉぉぉぉッ!!! 何だよこの超絶美少女2人は!!?? しかもそっちの娘なんか、お前を“お兄ちゃん”呼ばわりしてるじゃねえかッ!! どういうことか説明しろォッ!!!」

 

 

「おい、目から血が出てんぞ。メチャクチャ怖えからな?」

 

 

「当たり前だァァァッ!!! 俺は今、猛烈にブチ切れてんだよォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!」

 

 

「意味が分からねえ…」

 

 

イッセーがいきなりリクオの肩を掴んだかと思うと、血涙を流しながら怒りを露わにしてきたのだ。それを見て…

 

 

「とりあえず、2つのことが分かりました…。1つは、あなたとこの3人が協力関係にあること。そしてもう1つは…その内の1人が危険人物であること…」

 

 

「…やっぱりイッセー先輩は変態です」

 

 

ヤミと小猫のイッセーに対する印象が急落したのは…言うまでもない…。一方で、

 

 

「今のはまさか、神器……!!?? くっ…!!」

 

 

バサッ!!

 

 

「っ!? お、おい! 何処へ行く気だ!? 待ちやがれッ!!」

 

 

レイナーレはヤミと芽亜を見て何かに気付いたかと思うと、途端に漆黒の翼を生やして飛び始めたのだ。これにはイッセーもリクオへの詰問を止め、彼女に向かって叫んだ。すると…

 

 

「ッ! イッセー君、早くあの堕天使を追うんだ! 彼女は恐らく、アーシアさんを狙う気だ!!」

 

 

「なっ…!!?」

 

 

木場はレイナーレの目的が、この場を神父達に任せてアーシアを探し出すために地上に出ることだと予想した。そして、それを聞いたイッセーが驚いていると…

 

 

「行けよ、イッセー。ここは俺達が片付けておく。お前は宣言通り、あの堕天使をぶっ飛ばしてこい」

 

 

「! リクオ…」

 

 

「諸々借りがあるんだろ? 全部まとめて返してきな…」

 

 

リクオが自信に満ち溢れたような笑みを浮かべつつ、そう言ってきたのだ。その結果…

 

 

「リクオ! 後でその娘達のこと、洗いざらい話してもらうからなッ!! 木場と小猫ちゃんも、よろしく頼む…!!」

 

 

イッセーはそんな一言を残して、レイナーレを追いかけるためにこの場を後にした…。

 

 

「随分あの男に関心を持っているようですね、リクオ…」

 

 

「あ? ハハッ、まあな。色々面白い奴だとは思ってるぜ?」

 

 

「私には、“えっちぃこと”をしてくる危険人物としか思えないのですが…」

 

 

「その時は遠慮なく叩きのめせ。俺が許す」

 

 

「分かりました。ならいいです」

 

 

「え~! じゃあ、あの人バラバラに斬っちゃってもいいの~!?」

 

 

「バラバラは止めろ。ただ何かされそうになったら、半殺し程度なら構わねえ」

 

 

「ホント~!? じゃあそうするね♪」

 

 

「リ、リクオ君? 何だかイッセー君の扱いが凄く厳しい気がするんだけど…」

 

 

「…大丈夫です、裕斗先輩。イッセー先輩の扱いは、むしろそのくらいが良いと思います」

 

 

「小猫ちゃんまで!?」

 

 

本人が居ない間に自分の扱いが確定しつつあるなど…当然イッセーは知らない…。と、ここで、

 

 

「くっ! たかが5人で何が出来る…!!」

 

 

「数で押しきれッ!!」

 

 

「悪魔達を滅しろッ!!」

 

 

神父達が再び攻勢を掛けてきた。それに対し、

 

 

「ヤミ、芽亜、悪いがもう少し暴れてもらっていいか? 後でお前等の好きな物作ってやる」

 

 

「ホント~!? なら思いっきり暴れちゃうね♪」

 

 

「仕方無いですね…やりましょう…」

 

 

「小猫と木場も、行くぜ?」

 

 

「…はい」

 

 

「助っ人が来てくれたみたいだし、これは心強いね」

 

 

リクオ達もそんなやり取りを交わした所で、戦闘が開始された…。

 

 

「ふふっ♪」

 

 

ドガッ!!

 

 

「ぐはっ!?」

 

 

「それ♪」

 

 

ドガアアアアアアアアアアアンッ!!!!

 

 

芽亜は初めに膝蹴りで1人を吹っ飛ばしたかと思うと、両腕を大砲に変化させてビーム状の攻撃を両サイドにぶっ放し…

 

 

「邪魔です…」

 

 

ドガガガガガガガガガガガガガッ…!!!!

 

 

ヤミは大量の髪の先端を全て拳に変化させ、とてつもないラッシュで神父達を蹂躙…。

 

 

「ハアッ!!」

 

 

ザザァンッ!!

 

 

「「かはっ…!?」」

 

 

木場は自らの神器“魔剣創造(ソード・バース)”で生成した魔剣、“光喰剣(ホーリー・イレイザー)”で敵を次々と斬り伏せ…

 

 

「えい…」

 

 

ドゴンッ!!!

 

 

「ぐふぉあッ…!?!?」

 

 

小猫も強力な威力の格闘で続々と薙ぎ倒している…。そんな状況を見て、

 

 

「な、何なんだこいつ等は…!?」

 

 

「ま、まるで歯が立たないッ…!!」

 

 

「ひ、怯(ひる)むな! 態勢を立て直…」

 

 

動揺し始めた仲間達に1人の神父が声を掛けようとするが、それは叶わなかった。何故なら…

 

 

ドサドサドサッ…!!

 

 

「立て直せねえよ。どう足掻いてもな…」

 

 

“明鏡止水”を発動していたリクオによって倒されていたのだ…。

 

 

「こいつはさっさと終わりそうだな…」

 

 

リクオがそう呟くのも当然だった。今の状況はどう見ても“戦闘”ではなく…“蹂躙”に近いのだから…。

 

 

 

☆☆

 

 

 

キィィィィィィンッ…!!!

 

 

数分後、神殿のある空間に赤い魔方陣が出現する。その紋章は、グレモリー家のものだ…。

 

 

「「…!」」

 

 

そこから登場したのは当然、堕天使3人を始末し終えたリアスと朱乃なのだが、2人は目の前に広がる光景を見て驚いた。何故なら…

 

 

「「部長…!」」

 

 

「! 小猫、裕斗!」

 

 

「どうやら御二人共、無事なようですわね」

 

 

「でも、これは…」

 

 

無傷な小猫と裕斗の周りに、200人以上の神父達が倒れ伏していたのだから…。と、そこへ、

 

 

「遅かったじゃねえか、部長さんよぉ」

 

 

「っ! 誰かしら、あなた達…?」

 

 

そんな声を掛けられると、リアスは朱乃と共に警戒しながら尋ねる。その先には…藍色の外套を来た男と金髪の少女、そして赤髪の少女がいた…。

 

 

「部長、大丈夫です! 彼は…」

 

 

「…リクオ先輩です」

 

 

「っ!? 本当なの…?」

 

 

「ああ。こいつも神器の能力の1つでな」

 

 

「あらあら、凄いですわね…」

 

 

木場と小猫からそう言われて、驚きを隠し切れない様子のリアスと朱乃。やはり姿や雰囲気、口調まで違っていることが信じられないようである…。

 

 

「ということは、その2人が当麻と一護の言っていた“ここに向かっている仲間”かしら?」

 

 

「! どうやら、ユウキや雪菜達も合流できたようですね…」

 

 

「あらあら、また随分と可愛らしい方々ですわね」

 

 

「ふ~ん…この人達がリクオお兄ちゃんの話してた人達なんだ」

 

 

「ああ、コイツ等が小猫と木場、イッセーの王(キング)と女王(クイーン)だ」

 

 

更にリクオの両隣にいたヤミと芽亜も交え、そんなやり取りをする…。

 

 

「当麻と一護達は?」

 

 

「既にこちらへ向かってるわ。それより、イッセーは?」

 

 

「例の堕天使を追ってる。多分今頃、地上で派手に戦ってる筈だ」

 

 

「そう…」

 

 

リアスはリクオからイッセーの話を聞くと、少し頷き…

 

 

「なら、私達ものんびりと向かいましょう」

 

 

「お、いいのか? さっさと加勢に行かねえで」

 

 

「ええ。私はあの子が堕天使を倒すと信じているもの…」

 

 

「…ハッ、そうかい」

 

 

そう言い切ったのだ。それに対しリクオはあっさりと納得し、リアス達と共にゆっくりと上への階段を登っていく。そして登り切ると、そこには…

 

 

「吹っ飛べッ!! クソ堕天使ッ!!!」

 

 

「アアアアアアアアアアアアアアアッ!!!??」

 

 

ガシャアアアアアアアアアアアンッ…!!!

 

 

教会の窓ガラスをぶち破る程、派手に堕天使を殴り飛ばしたイッセーの姿があった…。

 

 

「宣言通りやったか、イッセーの奴…」

 

 

「お~! ヤミお姉ちゃん、あの人堕天使を倒したよ!」

 

 

「驚きです…。相手が非常に弱いとはいえ、内心あの男では勝てないと思っていたのですが…」

 

 

リクオがそう呟く中、芽亜の言葉に対して僅かに驚いた様子で返すヤミ…。

 

 

「ざまあみろ…! うっ…」

 

 

パシッ!

 

 

「驚いたよ。まさか1人で堕天使を倒しちゃうとはね」

 

 

「よぉ、気分はどうだ?」

 

 

「ヘッ、遅えよ…」

 

 

フラつくイッセーを裕斗が支え、リクオと共に声を掛けると、イッセーは皮肉混じりにそう返した。すると…

 

 

「部長から、君なら堕天使に勝つだろうって言われてね。ゆっくりと来させてもらったよ」

 

 

「! 部長が…?」

 

 

「その通りよ。あなたなら勝てると信じていたもの」

 

 

「! 部長…!」

 

 

「よくやったわ、イッセー」

 

 

何処か満足げな表情で、イッセーを素直に誉めるリアス。と、そこへ、

 

 

ギィッ…!

 

 

「…部長、連れてきました。それと…」

 

 

「丁度終わった所だったか」

 

 

「あんまり早く来る意味も無かったな」

 

 

小猫が外に吹っ飛ばされたレイナーレを引き摺ってきたかと思うと、その後ろからは当麻や一護、そしてユウキや雪菜達もやって来ていた…。すると、

 

 

「あー…当麻、一護? 1つ聞きたいことがあるんだけど…」

 

 

「あ?」

 

 

「何だよ、イッセー?」

 

 

「…俺の目が正しければ、お前等の後ろに4人の超絶美少女が見えるんだけど…まさか、その女の子達もお前等2人の知り合いだー…なんて言わないよな…?」

 

 

イッセーが当麻と一護にそう尋ねてきたのだ。それに対し、2人はこう答える…。

 

 

「お前の質問の意図がよく分かんねえけど…」

 

 

「こいつ等は知り合いとかじゃなくて、俺達のれっきとした“仲間”…」

 

 

「………(ツーッ)」

 

 

「っ! お、おい、イッセー? お前の目から血が流れ出てんだけど…」

 

 

イッセーの異変に気付き、思わず問い掛ける当麻…。と、その時、

 

 

「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

 

「「うおっ!?」」

 

 

「人が命懸けで痛え想いしながら勝ったってのに、お前等はそんなスゲエ可愛い女の子達を引き連れて登場って、そりゃねえだろコンチクショオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」

 

 

「お、落ち着けよ、イッセー…ッ!」

 

 

「くっ!! 何でだ!? 一体俺に何が足りないって言うんだよ!? 一体何があればハーレム王への道が近付くって言うんだ…!?」

 

 

最早“鬼気迫る”といった表現が正しそうな程、イッセーは血涙を流しながら当麻と一護に迫り出したのだ。だが、彼は気付かなかった。当麻の様子が“ある光景”を見た瞬間、一気に変わったことに…。

 

 

ガシッ!!

 

 

「! あ、あれ? と、当麻…さん…?」

 

 

「なぁ、イッセー…。お前が何を騒ごうが、上条さんは特に何も言わねえよ? でもな…お前は今、やってはならねえことをした…」

 

 

「! や、やってはならないこと……? ッ…!!??」

 

 

当麻の言葉の意味が分からなかったイッセーだが、一護が何も言わずに目だけで示した方を見ると…イッセーの表情は一気に硬直した。何故なら…

 

 

「うぅ…ふぇぇっ…(泣)」

 

 

「「「………」」」

 

 

完全に涙目な上に、怯え切った様子でシノンに身を寄せているユウキと…その元凶であるイッセーに対して絶対零度の視線を向けるシノン、雪菜、紗矢華の姿があった…。

 

 

「よくも家(うち)のユウキを泣かしてくれてな…」

 

 

「まま、待ってくれ当麻ッ!! 別にそういうつもりでやったんじゃなくてだな…!」

 

 

「待ってください、上条当麻…。私も参加します…」

 

 

「え…?」

 

 

「ユウキは私の友人です…。泣かすなど万死に値します…」

 

 

「ちょっ…!!??」

 

 

いつもの雰囲気など全く感じさせない、恐怖の笑みを浮かべる当麻がイッセーに迫り始めたかと思えば、そこにヤミも加わってきた。更に…

 

 

「…私もやります」

 

 

「小猫ちゃんまでッ!!??」

 

 

こうしてイッセーは前門に“幻想殺し”、後門に“変態嫌いな無表情少女2人”という挟み撃ちの状況へと追い込まれた。そして…

 

 

「ちょっと待ってェッ!!! 頼むから話を聞い…」

 

 

───しばらくお待ちください────

 

 

「……(チーンッ)」

 

 

「ふぅ、とりあえずこの辺りにしておくか」

 

 

「手伝ってくれて、ありがとうございます…」

 

 

「…いえ…私も変態な人は嫌いですから…」

 

 

「そうですか…。あなたとは気が合いそうな気がします…」

 

 

1分後…。そこにいたのは一息吐く当麻と、何処となく互いの波長の良さを感じているヤミと小猫、そして…物の見事にボコボコにされているイッセーの姿があった…。と、ここで、

 

 

「あなた達、もういいかしら…? まだ色々と終わってないのだけれど…」

 

 

「! ああ、悪いな部長。始めてくれ」

 

 

「はぁ…朱乃」

 

 

「はい、部長」

 

 

何事も無かったかのような雰囲気で当麻がそう言うと、リアスは溜め息を吐きながら朱乃に指示を出した。すると、朱乃は魔力で小さな水の球体を造り出し…

 

 

バシャッ!!

 

 

「ゲホッ、ゲホッ…!」

 

 

倒れ伏しているレイナーレの顔にぶつけたのだ。当然それを受けたレイナーレはすぐさま目を覚まし、水を飲んだことで咳き込む…。

 

 

「ごきげんよう、堕天使レイナーレ」

 

 

「ッ!」

 

 

「私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主よ」

 

 

「ッ!? グレモリー一族の娘か…!!」

 

 

「どうぞお見知り置きを。短い間でしょうけど…」

 

 

リアスは自身の足元に這いつくばっているレイナーレに対し、そう言ったかと思うと…

 

 

「それから、訪ねてきてくれたお友達も、私が消し飛ばしておいたわ」

 

 

「ッ!!? 馬鹿な!? こちらと同数の大量の神父達が向こうに居た筈…!!」

 

 

「ええ。でもその神父達も一瞬で片付けられてしまったわ…。そこにいる、神器を持った4人の娘達によってね」

 

 

「ちなみに言うまでもねえだろうが、地下にいた神父共も全員始末済みだからな」

 

 

消し飛ばした堕天使3人の黒い羽根を散らしながらリアスが告げたのに続いて、リクオも補足するようにレイナーレへと伝える…。

 

 

「あり得ない…ただの“龍の手(トゥワイス・クリティカル)”持ちの悪魔に負けたばかりか、神器所有者持ちの人間が6人…!? そんなことが…」

 

 

それを聞いたレイナーレは信じられないといった様子で呟く。当然だろう。本来であれば十分すぎる筈だった自身の戦力が、見下していた新人の悪魔と突如現れた6人の神器所有者によって、物の見事に粉砕されてしまったのだから…。と、ここで、

 

 

「! イッセー、その神器…!」

 

 

「? ああ、いつの間にか形が変わってて…」

 

 

「“赤い龍”…そう、そういうことなのね…」

 

 

リアスはイッセー(いつの間にか復活)の神器を見た瞬間、あることに気付いた。それは…

 

 

「堕天使レイナーレ、この子…兵藤一誠の持つ神器は、単なる“龍の手”ではないわ」

 

 

「ッ!? 何…!?」

 

 

「持ち主の力を10秒ごとに倍加させ、魔王や神ですら一時的に超えることが出来る力があると言われている…十三種の“神滅具(ロンギヌス)”の1つ、“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”…」

 

 

「ッ!!?!?」

 

 

リアスの口から告げられたイッセーの神器の正体に、驚愕を隠し切れない様子のレイナーレ。一方、

 

 

【やっぱりそうだったか。まさかとは思ってたんだが…】

 

 

【イッセー君があの“赤龍帝”か…。どういう因果だろうね、当麻】

 

 

【…さあな…】

 

 

一護とリクオ、当麻は頭の中で、特に驚いた様子もなくそんな会話をし…

 

 

「“神滅具”の1つを、この人が…!?」

 

 

「信じられないわね。ユウキを泣かせるような最低な男なのに…」

 

 

雪菜と紗矢華もそんなやり取りをしていた。ちなみに、紗矢華の一言がイッセーの精神にクリティカルヒットしたのは…言うまでもない…。

 

 

「どんなに強力でもパワーアップに時間を要するから、万能ではないわ。相手が油断してくれてたから勝てたようなものよ…。消えてもらうわ、堕天使さん…」

 

 

そして、リアスがそう付け加えながら仕上げに取り掛かろうとした…その時だった…。

 

 

「イッセー君、私を助けて…!」

 

 

『っ!?』

 

 

今までに無かったような、甘ったるい声が響き渡る。その声の主は…人間の少女の姿へと変わったレイナーレだった。これにはリアスやイッセーだけでなく、当麻達も驚く。

 

 

「私、本当はあなたのこと…!」

 

 

ジャキンッ!!!

 

 

「ッ…!!?!?」

 

 

そこから続けざまに何かをイッセーに言おうとするレイナーレだったが、それは叶わなかった。何故なら…

 

 

「今すぐ黙りなさい…」

 

 

彼女の後頭部に、大型狙撃銃の銃口が突き付けられたのだ…。今まで口を閉ざしていたシノンによって…。

 

 

「この状況で相手の心に漬け込もうとするなんて…心底堕ちてるのね、あなた…。本当に反吐(へど)が出るわ…。今すぐその頭を撃ち抜いて…」

 

 

ポンッ…!

 

 

「っ…!」

 

 

そう呟くシノンの目は酷く冷たいもので、彼女はそのまま引き金を引こうとするが…そんな彼女の左肩に右手が置かれる。その右手は…当麻のものだった…。

 

 

「そこまでだ、シノン。そいつはお前の役目じゃねえ…違うか?」

 

 

「…そうね…。ごめんなさい、邪魔したわ…」

 

 

当麻のその一言を聞いたシノンは、短くそう呟き後ろへと下がった…。すると、

 

 

「…すみません、部長…。あと、頼みます…」

 

 

「! ええ…」

 

 

俯いたままのイッセーが背を向けながら頼んできたのだ。それを聞いたリアスは、彼と場所を入れ換わるようにレイナーレの前に立つ。最早この場に、彼女へ同情する者など1人も居なかった…。そして…

 

 

「私の可愛い下僕に言い寄るな…」

 

 

「ヒッ…!!!」

 

 

ドガアアアアアアアアアアンッ…!!!

 

 

リアスの一撃によって、レイナーレは跡形もなく消滅したのだった…。大量の黒い羽根と、重苦しい雰囲気を残して…。

 

 

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