ハイスクールD×D ~とある三雄の物語~   作:無颯

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今回からフェニックス編に突入します。


当麻達がより“オリ主”っぽい感じになっているかもしれません。ご注意を…。


また、今回からOP曲とED曲を以下のように変えたいと思います。



OP → “アフターダーク”

    ~ASIAN KUNG-FU GENERATION~

    (“BLEACH” OP7)


ED → “Rimless ~フチナシノセカイ~”

    ~IKU~

    (“とある魔術の禁書目録” ED1)



では、本編をどうぞ。


戦闘校舎のフェニックス
不死鳥


堕天使との一件からしばらくして、オカルト研究部の面々はすっかり平穏を取り戻していた。その中には勿論当麻達も含まれている。そして、ここは当麻達3人が住んでいる家の1室。そこは当麻の部屋だった・・。

 

 

(はぐれ悪魔の出現もないし、この街で他に問題が起きてる訳でもない…)

 

 

ベッドで仰向けになりながら考え事をする当麻。それもその筈である。時刻は既に午前0時、就寝するには良い頃合いの時間だ…。

 

 

(けど…どうも嫌な予感がしてならねえ…)

 

 

思考する当麻の頭の中に浮かんでいるのは、1人の少女の表情。一見するといつも通りのようだが…それは明らかに何か違っていた…。

 

 

(明日辺り、そろそろ聞いてみるか…)

 

 

と、その時だった…。

 

 

キィィィィィィィィンッ…!!

 

 

「ッ…!?」

 

 

ベッドのすぐ横に突如魔方陣が現れたのだ。その魔方陣の色は……“赤”である。

 

 

(グレモリー家の紋章…! でも、誰が……)

 

 

そうこうしている内に、魔方陣から1人の人物が現れる。それは……

 

 

「あー……部長? どうしてあなたが俺の部屋に転移してくるのでせうか…?」

 

 

今自分達が所属しているオカルト研究部の部長――――リアス・グレモリーだった。そして、彼女は開口一番にとんでもない言葉を放つ……。

 

 

「当麻…私を“抱きなさい”…!」

 

 

「…はい…?」

 

 

「私の“処女”をもらってちょうだい…至急頼むわ…!」

 

 

その発言を聞いて完全にフリーズする当麻だったが、何とか彼女に問い掛ける…。

 

 

「ぜ、全然意味が分かんねえんだけど……一から説明してくれないか?」

 

 

「説明してる暇なんて無いわ。もう他に…“方法”が思いつかないの…」

 

 

「ちょっ……///////!!??」

 

 

しかし彼女から事情説明はされず、逆に上着やスカートなどを慣れた手つきで脱ぎ始め…結果として、純白の下着姿のみとなった。そのとんでもない状況に、思わず顔を赤くする当麻…。

 

 

ガバッ!!

 

 

「ッ…//////!?!?!?」

 

 

「私にこれ以上、恥をかかせないでちょうだい。さあ……」

 

 

そしてリアスは当麻を押し倒し、そのまま彼の顔に自分の顔を近づけようとした…その時だった……。

 

 

「そこまでだ、リアス・グレモリー」

 

 

「っ…!?!?」

 

 

今までとは違う、少し低い声が響き渡る。その声の主は……他でもない、押し倒されている当麻だった。一方、それを聞いたリアスは大いに驚いて動きを止める。当然であろう。何せ今まで顔を紅潮させて動揺していた少年が、突如一転して鋭く大人びた表情を浮かべたのだから…。

 

 

「悪いが、そんな間違った“方法”であんたを汚す気は、俺には無い。そして何より……そんな“見えない何かを恐れてる”今のあんたに手を掛けるなんて真似、出来る訳ねえだろ」

 

 

「! 当麻……」

 

 

「話してみろ。一体…何があった…?」

 

 

「…私は……」

 

 

いつもとは違う雰囲気でありながら、真っ直ぐな目で自分を見て尋ねてくる当麻に対し、リアスは何かを伝えようとした。と、その時、

 

 

キィィィィィィィィィィィィンッ…!!

 

 

「! 別の魔方陣……」

 

 

「…もう来たのね……」

 

 

更に別の魔方陣が当麻の部屋に現れたのだ。だが今度の魔方陣の色は白。そして、そこから姿を現したのは……

 

 

「…こんなことで“破談”に持ち込む御つもりですか?」

 

 

「私の貞操は私のものよ。私が認めた者に捧げることの、何処が悪いのかしら?」

 

 

メイド服姿で、銀髪を三つ編み風に結っている1人の女性だった。どうやらリアスの口ぶりからして、彼女の関係者のようである。と、ここで、

 

 

「こんな“下賤な輩”になど、認める訳には参りません。サーゼクス様と旦那様が悲しまれますよ?」

 

 

その女性がそう言った、次の瞬間、

 

 

バンッ!!

 

 

突如部屋の入り口のドアが開け放たれ…

 

 

チャキッ!!×2

 

 

「ッ…!!??」

 

 

銀髪の女性の両サイドに2人の人物が現れたのだ。1人は“紫髪のロングヘアー”と“紫を基調とした戦闘装束”が特徴の少女―――ユウキ、もう1人は“水色のショートヘアー”と“萌黄色(もえぎいろ)の戦闘装束”が特徴の少女―――シノンである。しかし彼女達は、それぞれ直剣と小銃を女性に突き付けていた…。ちなみにシノンの小銃は、“グロック18”だったりする…。

 

 

「ユウキ、シノン!? あなた達がどうしてここに…!?」

 

 

「話は後にして、部長さん。今はこっちが優先だから…」

 

 

2人の登場に驚くリアスに対し、シノンは短く答えながらも目の前の銀髪の女性から目を離さない…。

 

 

「あなた方は…まさか…」

 

 

「さっきの言葉、今すぐ取り消してくれないかな?」

 

 

「いくらあなたでも、当麻を“下賤な輩”呼ばわりするのは許さないわ。撤回しないならすぐに私達と戦うことになるけど……どうするつもり? “グレイフィア・ルキフグス”」

 

 

その女性―――グレイフィア・ルキフグスがユウキとシノンに対して驚きを露わにする中、2人は彼女にそう尋ねた。その雰囲気は明らかに普段の彼女達と違っており、特にユウキに至っては“別人”と表現する方が近い程である…。そして、

 

 

「分かりました…。先程の無礼な物言い、申し訳ありませんでした。心よりお詫び申し上げます…。私はグレモリー家に仕える、グレイフィア・ルキフグスと申します。どうぞ、以後お見知りおきを…」

 

 

「…上条当麻。グレモリー眷属とはちょっとした協力関係にある、しがない“賞金稼ぎ”だ。よろしく頼む…」

 

 

グレイフィアは自己紹介も交えながら、当麻に陳謝したのだ。そして当麻も軽く名を名乗った所で、ユウキとシノンは自らの得物を下げる…。リアスはその目の前で起こったやり取りに、ただただ驚いていた…。

 

 

「ではお嬢様、参りましょう」

 

 

「! 待ちなさいグレイフィア! 話はまだ…!」

 

 

「どうか御自重くださいませ。あなたはグレモリー家の次期当主なのですから…」

 

 

抗議しようとするリアスに対し、脱ぎ捨てた服を彼女に掛けながら抑える様促すグレイフィア。すると、

 

 

「ひとまず今日は帰れ、部長」

 

 

「! 当麻……」

 

 

「そう悲しそうな顔をするなよ。話は明日にでもちゃんと聞くし、そうじゃなくても打ち明けたい時にいつでも伝えに来てくれればいい…。俺はお前の“協力者”なんだからさ…」

 

 

「…ありがとう、当麻… 。今日は私も冷静じゃなかったわ。ごめんなさい…」

 

 

そう言って当麻から離れるリアス…。

 

 

「あなた達にも迷惑を掛けてしまったわね。ごめんなさい」

 

 

「あ、ううん! 気にしないで、部長さん!」

 

 

「ええ、私も平気だから。気を落とさないで」

 

 

「ありがとう…」

 

 

そして、ユウキとシノンにも謝罪したところで…

 

 

「おやすみなさい…」

 

 

「ああ…」

 

 

キィィィィィィィンッ…!!

 

 

リアスはグレイフィアと共に、その場から姿を消した…。

 

 

「ふぅ……」

 

 

「大丈夫、当麻?」

 

 

「ああ…。けど、もう少し早く出てきてもよかったんじゃないのか?」

 

 

「! だって、当麻が部長さんとあんなことしてるから…////」

 

 

「あー……」

 

 

ユウキが顔を赤らめながらモゴモゴと話してきたのに対し、若干目を泳がせながら言葉を詰まらせる当麻。そう、実はユウキとシノンはリアスが転移してきたことにすぐ気付き、当麻の部屋の前に駆け付けていたのだ…。

 

 

「本当に相変わらずね。いつの間にあの〝滅殺姫(ルイン・プリンセス)”と迫られるような関係になったのかしら?」

 

 

「シノンさん!? それとてつもなく誤解を生む発言だと思うのでせうがッ!?」

 

 

「でも事実でしょ?」

 

 

「…はい…」

 

 

シノンの発言に言い返す言葉が無い当麻。まあ、つい先程リアスと行われたやり取りは間違いなくその通りなので、どうしようもない…。すると、

 

 

「シノンも素直じゃないな~! “妬いてる”なら素直に言えばいいのに♪」

 

 

「ッ…//////!!?」

 

 

「? 何の話だ、“やいてる”って…?」

 

 

ユウキが悪戯な笑みを浮かべながら言うと、シノンは顔を一気に赤くし始めた。そして、当麻がそれを聞いて首を傾げていると…

 

 

ガシッ!

 

 

「ふぇ?」

 

 

「ユウキ、そろそろ戻りましょう。色々話したいこともあるし…」

 

 

「! シ、シノン? 顔が怖いよ…?」

 

 

「大丈夫。気のせいだから…。それじゃあ、おやすみなさい、当麻」

 

 

「あ、ああ…おやすみ、ユウキ、シノン…」

 

 

シノンはユウキの肩を掴み、当麻に一言そう告げて部屋を後にしていった。その時のシノンの笑顔が怖かったり、ユウキが引きずられながら『当麻~、助けて~…!!』などと泣きながら言っていたのは……多分気のせいである……。

 

 

「何だったのか凄い気になるけど……やめとこう、うん…」

 

 

苦笑いを浮かべながら今見た光景を頭の中から追いやった当麻。しかし……

 

 

「だが今回の一件でリアスに何が起きてるのか、大体の想像はついた…」

 

 

その表情も赤髪の少女について思考し始めた瞬間、一気に真剣なものへと変わる…。

 

 

「まったく…不幸な予感しかしないな…」

 

 

再びベッドに横になりながら、そう呟く当麻。そして、夜の時間は着々と過ぎていく……。

 

 

 

☆☆

 

 

 

翌日の放課後、当麻は一護やリクオ達と共に旧校舎へと向かっていた…。

 

 

「昨日は悪かったな。夜中に色々騒がしちまって」

 

 

「平気だよ。まあ、突然誰かが転移してきたのは驚いたけど、すぐに部長さんだって分かったし…」

 

 

「後から入ってきた奴にも敵対する気が無いって、すぐに気付いたからな」

 

 

当麻の謝罪に対し、全く気にしていない様子で返すリクオと一護。ちなみに昨日の真夜中の出来事については、既に雪菜やヤミ達にも話している…。

 

 

「でも、それは本当なんですか?」

 

 

「…ああ、十中八九な。しかも、リアスがあそこまで大それた真似をしてきたってことを踏まえると…」

 

 

「相当厄介な問題のようですね…」

 

 

雪菜の問い掛けに当麻がそう答え、ヤミもそれに続いた。どうやら直前に、当麻は何かを全員に話していたようである。すると、

 

 

「シノン、顔色があんまり良くないよ? 大丈夫?」

 

 

「! え、ええ、平気よ…」

 

 

「紗矢華さんもですよ? 体調が優れないなら、休んだ方が…」

 

 

「だ、大丈夫よ雪菜! ちょっと寝不足なだけだから…!」

 

 

ユウキと雪菜がそれぞれシノンと紗矢香を見て、心配そうに尋ね始めたのだ。それに対して、シノンと紗矢華はそう返すが…当麻達3人はその様子をしっかりと見ていた…。

 

 

「ねえ、リクオお兄ちゃん」

 

 

「ん?」

 

 

「さっき部室に“結界”が張られたみたいだけど、急がなくていいの?」

 

 

「…大丈夫だよ。大体何が起きてるのか想像は付くからね…。そうでしょ、当麻、一護?」

 

 

「…ああ」

 

 

「まあな…」

 

 

そして芽亜とリクオのやり取りに当麻と一護が頷く中、彼等はオカルト研究部の部室へと向かっていく…。

 

 

 

☆☆

 

 

 

ここはオカルト研究部の部室内。今現在、その空間は非常に緊迫した雰囲気に包まれていた…。

 

 

「もう二度と言わないわ、ライザー…。私は、あなたとは結婚しない!!」

 

 

スッ!!

 

 

「っ!?」

 

 

「俺もなぁ、リアス、フェニックス家の看板を背負ってるんだよ…。名前に泥を塗られる訳にはいかないんだ…」

 

 

1人のやさぐれたホスト風の男が、赤髪の少女の顎を右手で軽く持ち上げながら迫っていた。赤髪の少女は言うまでもなく、グレモリー家次期当主―――リアス・グレモリー。そして男の方はフェニックス家の次男にして、“リアスの婚約者”―――ライザー・フェニックスである…。

 

 

「俺は、君の下僕を全部焼き尽くしてでも、君を冥界に連れ帰るぞ…」

 

 

「………」

 

 

窓際で並んでいるイッセーや朱乃、木場、小猫、アーシアの方に目を配らせながらもライザーがそう言うと、リアスはライザーを睨み付け、互いに魔力を高め始めた…。と、その時、

 

 

バキィィィィィィィィィィィィンッ!!!

 

 

『ッ!?!?』

 

 

ガチャッ…!!

 

 

突如何かが割れたような音が響き渡ったかと思うと、部室の入り口のドアが開いた。入ってきたのは勿論……

 

 

「! 当麻……!!」

 

 

「…人間だと? おい貴様等、ここに一体何の用だ?」 

 

 

当麻達だった。それを見たリアスは声を上げる一方で、ライザーは心底不快そうな様子で尋ねてくる。すると、

 

 

「…色々聞きたいことはあるけど、まずは…」

 

 

ヒュンッ!!

 

 

『ッ!?!?』

 

 

当麻の姿が一瞬にして消えたのだ。これにはその場に居た全員が驚くが、次の瞬間、

 

 

トンッ!!

 

 

「なっ…!?!?」

 

 

「少しは紳士的に振る舞ったらどうだ? 嫌がる女に無理矢理触れるなんて真似、上条さんは許しませんですことよ?」

 

 

いつの間にか当麻はライザーとリアスのすぐ傍に居り、左手でライザーを軽く突き放して、リアスを庇うように前に立ちながらそう言った…。

 

 

「何だ貴様は……!! 人間風情が、俺の邪魔をするなッ!! 消し炭にしてくれるッ!!!」

 

 

そしてライザーが当麻に対して怒りを露わにし、周りに炎を纏おうとした、その時、

 

 

「御収めくださいませ、ライザー様」

 

 

「ッ…!!!?」

 

 

「私はサーゼクス様の命を受けてこの場に居ります故、一切の遠慮は致しません。どうか穏便に願います」

 

 

「…チッ…分かりましたよ。“最強の女王(クイーン)”と呼ばれている貴女にそんなことを言われたら、流石の俺も怖いからね」

 

 

ここでグレイフィアがそんなライザーを鎮めたのだが、今度は当麻の方に目を向ける…。

 

 

「この部屋の周囲には結界が張られていた筈ですが…どのようにして入ってきたのですか?」

 

 

「ああ、それならこの右手で壊させてもらったぜ?」

 

 

「! 壊した…?」

 

 

「グレイフィア、当麻は“幻想殺し(イマジンブレイカー)”という神器の所有者なの。この子の手に掛かれば、結界も容易く破壊できるわ」

 

 

「っ! そうでしたか…」

 

 

リアスが当麻について軽く話すと、グレイフィアは一先ず納得したような素振りを見せた…。

 

 

「それで…こいつがリアスの“婚約者”って所か?」

 

 

「! はい、この方はライザー・フェニックス様。フェニックス家の三男にして、リアスお嬢様の婚約者であられます」

 

 

「当麻、どうして…」

 

 

「昨日のあんたの態度を見れば、上条さんにも大体の予想は付くさ…。それより、まだ何か話があるんだろ? 続けたらどうだ?」

 

 

ライザーの素性を知っていることにリアスが驚く中、当麻はそう言って一護達の下へ戻る。

 

 

「旦那様方もこうなることは予想されておられました…。よって決裂した場合の最終手段も、仰せつかっております」

 

 

「最終手段…? どういうこと、グレイフィア…?」

 

 

「お嬢様がそれだけ御意思を貫き通したいということであれば、ライザー様と“レーティングゲーム”にて決着を、と…」

 

 

「っ…!!」

 

 

グレイフィアはリアスにそう告げた。それを聞いたイッセーやアーシアが朱乃と木場から“レーティングゲーム”の説明を軽く受ける一方、当麻達は何とも言い難い表情を浮かべる…。

 

 

「俺はゲームを何度も経験してるし、勝ち星も多い…。君は経験どころか、公式なゲームの資格すら無いんだぜ? それに念のため確認しておきたいんだが、君の下僕はそこにいる“4人”で全員か?」

 

 

「…ええ、そこにいる当麻やユウキ達は眷属じゃないわ…。それが何だって言うの?」

 

 

「ハハハハハハッ…!」

 

 

パチンッ!

 

 

リアスからそう聞いた瞬間、ライザーは馬鹿にしたような笑い声を上げながら、指を鳴らした。すると、部室内にオレンジ色の大きな魔方陣が現れ、そこから姿を現したのは…

 

 

「こちらは15名……つまり駒がフルに揃っているぞ…?」

 

 

15人の異なる種族、あるいは属性を持つ美女や美少女達だった…。と、ここで…

 

 

「お、おい、リアス……そこの下僕君、俺を見て号泣してるんだが……」

 

 

「その子の夢はハーレムなの…」

 

 

イッセーの号泣している姿を見て思わずドン引きするライザーに対し、呆れ混じりにそう呟くリアス…。

 

 

「キモいですわ…」

 

 

「同感ね」

 

 

「本当にどうしようもない変態です…」

 

 

「ちょっ!? 何で紗矢華さんとヤミちゃんまで!? 酷いよ!?」

 

 

ライザーの眷属の1人である金髪をロールに結っている少女の言葉に、紗矢華とヤミも続いてイッセーを罵倒した…。それを見たライザーは…

 

 

「そういうことか…。ユーベルーナ」

 

 

「はい、ライザー様…」

 

 

面白いことを思いついた様子で、近くにいた紫髪の女性悪魔を呼び寄せ始めた。すると、

 

 

【! 一護、リクオ】

 

 

【ああ…】

 

 

【分かってるよ…】

 

 

当麻達は何かに気付いた様子で瞬時に頭の中でやり取りを交わすと、当麻はユウキとシノン、一護は雪菜と紗矢華、リクオはヤミと芽亜の後ろに立ち…

 

 

「ふぇっ!? な、何も見えないよ、当麻!?」

 

 

「悪いな、しばらくそのままでいてくれ」

 

 

「黒崎先輩、これはどういう…!」

 

 

「お前等のためだ、頼む」

 

 

「私とヤミお姉ちゃんも~?」

 

 

「うん。これは…見ない方が良い…」

 

 

それぞれの視界を片手で塞いだのだ。当然ユウキや雪菜、芽亜達は混乱したり抗議したりするが…そう返す当麻達の表情は実に冷え切っていた。何故ならそこから始まったのは……ライザーと女性眷属による“無意味な戯れ”だったのだから…。それを見たリアスは憤りと不快感の入り混じった表情を浮かべるが、その一方で…

 

 

「そういうこと…(ボソッ)」

 

 

「…本当に最低…(ボソッ)」

 

 

シノンと紗矢華も聞こえてくる音で何が起きているのかを察し、小声でそう呟いた。その反応もそれぞれ違い、シノンは僅かに体を震わせ、紗矢華は両拳を握り締めながら不快感を露わにしている…。と、そうこうしている内にライザーはやり取りを終え…

 

 

「お前じゃこんなことは一生出来まい、下級悪魔君?」

 

 

イッセーに向けてそう言い放った。それに対し…

 

 

「う、うるせえッ!! そんな調子じゃあ、部長と結婚した後も他の女の子とイチャイチャするんだろ!? この“種蒔き焼き鳥野郎”ッ!!!」

 

 

「! 貴様…自分の立場を弁(わきま)えて物を言っているのか?」

 

 

「知るかッ!! ゲームなんか必要ねえッ!! 今この場で全員倒してやるッ!!!」

 

 

「イッセーさん!!」

 

 

イッセーは神器を発動させ、アーシアが止める前にライザーへ突っ込むが…

 

 

「ミラ」

 

 

シュンッ!!

 

 

「なっ!?」

 

 

ライザーの指示で現れた小柄な眷属の少女―――ミラの棍で一撃喰らいそうになった、その時、

 

 

ガキィィィィィィィィィィィンッ…!!!

 

 

「っ…!?」

 

 

「! ほぅ……」

 

 

その攻撃は、イッセーに当たる寸での所で止められた。何故なら…雪菜が自身の神器“雪花狼(せっかろう)”でギリギリ受け止めていたのだ。これには攻撃したミラも驚く一方、ライザーは興味深そうに雪菜を見る…。

 

 

「落ち着いてください、兵藤先輩。“1番実力の低い相手”の攻撃を真ともに受けそうになってる時点で、勝ち目は万に一つもありません…」

 

 

「ッ!? そ、それって…」

 

 

「ああ、そうだ。ミラは俺の眷属の中では最も弱い。凶悪にして最強と言われている“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”の所有者が、こんなくだらん男だったとはな。ハッ、笑えるじゃないか」

 

 

「くっ…!!」

 

 

ライザーの言葉にイッセーが拳を強く握り締めて悔しさを露わにする中、雪菜は神器の発動を解きつつユウキ達の下へ戻った。と、ここで、

 

 

「いいわ、ライザー…。レーティングゲームで決着を付けましょう。あなたを、必ず消し飛ばしてあげる…!!」

 

 

『…!!』

 

 

「承知致しました」

 

 

「ハハッ! 楽しみにしてるよ、愛しのリアス…」

 

 

リアスの宣言にグレモリー眷属の面々が驚く一方で、ライザーはグレイフィアの承諾の返事を聞き流しつつ、自身の眷属の下へ向かおうとした。と、その時、

 

 

「いや…それだけではつまらないな。もう1つ、“面白い条件”を設定しないか? リアス」

 

 

「? “面白い条件”…?」

 

 

「なに、簡単な話だよ…」

 

 

ライザーが立ち止まり、あることを提案してきたのだ。それは…

 

 

「今回のゲームに、そこにいる人間の小娘達も賭けてもらおうか」

 

 

「なっ!?!?」

 

 

『ッ!!??』

 

 

ユウキ、シノン、雪菜、紗矢華、ヤミ、芽亜の6人を、レーティングゲームの対象として挙げるというものだった。

 

 

「てめえッ!!! 部長だけじゃなく、ユウキちゃん達までッ…!!!!」

 

 

「ライザー…あなた、本気で言ってるの…?」

 

 

「人間の癖に中々の魔力を持っているとは思っていたが、まさかこいつ等も神器所有者だったとはな。しかも全員かなりの上玉じゃないか…。そこにいる人間の小僧(ガキ)共の傍に置いておくのは、“宝の持ち腐れ”というものだ…」

 

 

憤りを見せるイッセーとリアスを一瞥することなく、ユウキ達の下へ歩んでいくライザー…。それを見たユウキがシノンの後ろに隠れて怯えていたり、芽亜がいつも浮かべている笑みを完全に仕舞い込んでいることなど、当然気付いていない。そして、彼女達の前にいる当麻達3人を完全に無視し…

 

 

「どうだ、お前達? 俺の所へ来ないか? そんな人間の小僧共なんかより、俺の方がずっと可愛がってやれるぞ? 何なら今すぐにでも連れてって…」

 

 

ニヤつきを抑えられない様子で聞こうとした、次の瞬間、

 

 

「黙れ…」

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!!

 

 

『ッ!?!?!?』

 

 

突如ライザーの身体が一気に吹っ飛び、部室の壁を突き破って向こう側に消えたのだ。あまりのことに絶句するグレモリー眷属とライザー眷属、そしてグレイフィア。その要因は…当麻の右足による回し蹴りだった…。それを見て、

 

 

「ライザー様ッ!!!」

 

 

「貴様、よくも…ッ!!!」

 

 

ライザーの眷属達は即座に臨戦態勢を整え、当麻に襲い掛かろうとした。だが…

 

 

チャキッ!×2

 

 

『ッ…!?!?』

 

 

「動くなよ? でねえと…」

 

 

「そっちが動く前に、全員叩っ斬る…」

 

 

いつの間にか能力を発動していた一護とリクオが瞬時に接近し、そんな彼女達に“斬月”と“祢々切丸”を突き付けた。ライザーの眷属達はその圧倒的な威圧感に、全く動くことが出来ない…。

 

 

「イッセーの言う通りだな。テメエはただその名前を利用し、何もかも自分の思い通りに動かしたいだけの“焼き鳥野郎”だ。そんな奴が“リアス”だけでなく、ユウキやシノン達まで自分のモノにしてえだと…?」

 

 

そして当麻は、最後にこう言い放つ…。

 

 

「“薄汚え不死鳥の成り損ない”が…俺達の大事な奴等を汚すなッ!!」

 

 

すると…

 

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ…!!!!

 

 

「神器を持ってるだけの人間風情が……よくもこの俺にふざけた真似をしてくれたなッ!!! 今ここで跡形も無く焼き尽くしてやるッ!!!」

 

 

「上等だ…掛かってこい…」

 

 

「ッ!? や、やめなさい、当麻…!!!」

 

 

ライザーが炎を纏いながら怒りを露わにしてきたのに対し、低い声で受けて立つ意思を見せる当麻。これにはリアスも思わず当麻を止めようとする。と、その時だった…。

 

 

「そこまでにしてください」

 

 

『ッ…!!!?』

 

 

凛とした声が響いたかと思うと、ライザーを軽く上回る魔力が部室内を制圧する。その声と魔力の主は…グレイフィアだった…。

 

 

「ライザー様、そのような私的な提案は承服しかねます。今回のレーティングゲームは、我々グレモリー家とフェニックス家を大きく左右するもの…。御自重くださいませ」

 

 

「なっ!? だが、俺は今この男にッ…!!!」

 

 

「“サーゼクス様の命を受けてこの場に居る”と申し上げた筈です…」

 

 

「ッ!! クソッ…!!」

 

 

グレイフィアの迫力に気圧され、苛立ちを露わにしながら自身の眷属達の下へと戻っていくライザー。一方で、

 

 

「お前もその辺にしておけ、当麻(ボソッ)」

 

 

「ここで事を大きくするのは、部長さんにとってもマズいよ(ボソッ)」

 

 

「…ああ…(ボソッ)」

 

 

当麻も一護とリクオにそう言われ、ユウキ達の傍へと戻った…。

 

 

「それでは、10日後にゲームを執り行います。お嬢様、ライザー様、よろしいですね?」

 

 

「ええ…」

 

 

「分かりました…。それじゃあリアス、次はゲームで会おう…」

 

 

そしてライザーはそう返答し、眷属達と共に魔方陣に乗って姿を消した…。“恨み”の籠った目で当麻を見ながら…。すると、

 

 

「では、私もこれにて失礼致します。サーゼクス様や旦那様方に、詳細を報告しなければなりませんので」

 

 

「! え、ええ、分かったわ…」

 

 

グレイフィアもリアスに一言伝え、魔方陣を展開してその場を後にしようとする。だが、その際に彼女は当麻達の方に目を向けつつ、ある思考を巡らせていた…。

 

 

(先程の攻撃、全く見ることが出来なかった…。しかもあの威圧感はサーゼクス様と同等か、それ以上のもの…)

 

 

普段から実に冷静沈着な筈の彼女の表情には…ほんの僅かに“動揺”を見ることが出来た…。

 

 

(あの者達は、一体……)

 

 

そう考えつつも、グレイフィアは今度こそ姿を消す。その結果残ったのは…一段と厳しい雰囲気を醸し出すオカルト研究部の面々のみだった…。

 

 

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