ゼロの使い魔 虚無の騎士   作:へタレイヴン

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12羽 騎士とゴーレムと黒霊と

 

「プレイヤー殿、少々待ってくださいますか」

 

広場の入り口でプレイヤーを呼び止めるのは、何時ものように柔和な表情を浮かべたコルベール。

彼の手には、貸し出したアヴェリンと幾つかのボルトのセットが握られていた。

 

「こちらをお返しします。貴方の要望通り……とは行かないでしょうが、私なりに幾つかの改良を加えさせていただきました。こちらは、依頼されていた火のボルトです」

 

プレイヤーが徐にボルトのセットを手に取ると、今まで感じたことの無いソウルの存在が分かった。恐らくだが、これが系統魔法の魔力――彼にはソウルに感じる――の形なのだろう。

 

「3連射機構と言う事でしたが、少し中身を改良して、単射と連射切り替え機能を持たせました。後は、そちらのマガジンセットを装填すれば、マガジン内部のボルトを撃ち切るまで、使い続けることが出来るでしょう」

 

本来ならば、スコープや消音機能も付けて見たかったのですが、と苦笑を浮かべるコルベールに、これだけでも充分だと言う様にプレイヤーは頭を下げる。

まさか彼がここまで改良を加えてくれるとは、思っていなかったのだ。何か礼を……と思いソウルから何かを探してみるが、中々見つからない。

そんな彼に気がついたのか、コルベールは大丈夫と首を横に振る。

 

「礼などは要りませんよ。私が無理を言って貸した貰っていたのですから。……それでも、礼をしたいと言うのならば、私達の生徒の事を護ってください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一路、ロングビルを合わせた5人は、オスマンが用意した馬車を使い、フーケの隠れ家がある森に向かっていた。

後ろの荷台には、ルイズ、キュルケ、タバサの3人を乗せ、前の御者席にはロングビルの他にプレイヤーが座り、なにやら特殊な形のクロスボウ――アヴェリン――を弄くっている。

 

「ねぇ、プレイヤー。さっきから何を弄ってるのかしら?……なにこれ、工芸品?」

「んにゃ、違うみたいだな。……ほうほう、クロスボウだとさ、キュルケの嬢ちゃん」

「へ~、随分と変わった形のクロスボウね。……あら、デルフ。貴方、プレイヤーの言いたいことが分かったの?」

 

肩越しに手元を覗き込んでくるキュルケに、プレイヤーはアヴェリンを見せると、隣に置いてあるデルフを手に取った。

確かに、この剣と何かしらのソウルの繋がりが感じ取れる。随分と古いソウルのようだが、形的には自分のものと酷似しているので、回路でも繋がっているのだろう。

 

「おう、一応は相棒の考えている事は分かるぜ」

「ふ~ん、ただのボロイ剣じゃなかったんだ。けど、私とタバサも同じようなものよね?」

「お父様の言いたい事は、分かる。……けど、字に出せない様な状況なら、翻訳代わりに使えると思う」

 

ルイズの言うとおり、基本的に主従関係を結んでいるルイズと、火とソウルで繋がっているタバサはプレイヤーの言いたい事が鮮明に伝わってくる。

しかし、キュルケなどの他人にとっては、言葉を発せられないプレイヤーの考えを伝えるのは難しく、筆記と言う手段もあるがどうしても時間が必要になるのだ。

その点、デルフならがルイズやタバサが近くに居ないときでも、言葉の翻訳を頼めるので、中々に便利らしい。

 

「おいおい、タバサの嬢ちゃん。俺は剣であって翻訳係じゃねぇぞ?」

「……けど、お父様には沢山の武器がある。貴方を使う利点が見つからない」

「まぁ、そうよね。昨日使ってた黒騎士の剣とか、あの大斧もあるものね。見栄えも、あんたなんかよりそっちの方が良いもの」

「はっ!あんな大型武器なんざぁ、屋内じゃでか過ぎで不便なだけだっつの。その点、俺なら……」

 

ルイズとタバサの言葉に、自信満々で反論するデルフだが、プレイヤーは徐にソウルから北騎士の直剣を取り出して、腰に差してみた。

ちなみに、黒騎士の剣もデルフと大して大きさが変わらないのだが、そこら辺は黙っておこう。

 

「あら、随分と綺麗な直剣ねぇ。ふ~ん、これなら屋内でも使える大きさね」

「はぁ、本当にプレイヤーって武器沢山持ってるわね。デルフの事、買わないで洋服とかに費やしたほうが良かったんじゃないの?」

 

感心するキュルケとは正反対に、若干ジトっとした眼で見てくるルイズに、デルフも使い道があると冷や汗をたらしながら伝えるプレイヤーであったが、正直使う場所が思いつかなかった。屋外ならば黒騎士の大斧を振り回せば良いし、屋内ならば北騎士の直剣や打刀もある。騎馬戦闘ならば、ハルバートも所持しているのだ。

しかし、買ってもらった手前、使わねばならないのだろうが……如何せん、見劣りしてしまうのも事実だ。

どうしたもんかなぁ~と頭を掻くプレイヤーだが、先ほどからデルフが静かだと思い、そちらに視線を向ける。

 

「そこの美しいお嬢さん、今度私と一緒に食事でもしませんか?」

「……………いや、あんたは何をしてるのよ」

 

ルイズの突っ込みは、その場に居た全員の心境を表しているだろう。何故か分からないが、キラキラと輝きながらデルフは、プレイヤーの腰に差してある北騎士の直剣を口説いていた。

それには流石のタバサやプレイヤーも呆れた顔をしているし、キュルケに至っては、剣にも美しいとかあるのねぇと変なところで感心している始末。

 

「そのしなやかでありながら、強靭な刃。細身でありながら力強い貴女は、本当に魅力的だ!!長年生きてきて、貴女ほど美しい剣を私は見たことが無い!」

「うっわー、なにこのボロ剣。性格が豹変してるわよ」

 

確かにその通りだ。一人称が私なんて物に変わっているし、言葉遣いまで妙なものになっている。第一、自分の持つ直剣は喋らないんだが……と思いつつ、今度は黒騎士の剣を取り出してみた。

 

「おぉ、貴女は黒き剣!あぁ、その長年戦い続けた傷跡は、正に誇りの証!!貴女はその傷を恥ずべきものと思うかもしれませんが、私は……」

「え、なによプレイヤー。黒騎士の剣も女性みたいですって?……剣に女性とか男性とか性別があるのかしら」

 

心底どうでも良い様な様子のルイズに、プレイヤーも苦笑を隠せない。しかし、こうして居るとデルフも中々に面白い。自身の武具の新たな一面を見つける様で、少し楽しくなってきたようだ。ならば次は、自慢の黒騎士の大斧を取り出して、デルフに見せてみる。一瞬、隣のロングビルがビクッとしたような気もするが、狭い御者席でこんな武器を出したからだと思っておこう。

 

「げ、ちょ、相棒そいつを出すんじゃ……え、やっぱり黒騎士の大斧様が素敵ぃ!?え、北騎士ちゃん、黒剣ちゃ……ちくしょう、顔か、やっぱり顔なのか!!??」

「あ、その大斧は男性みたいね。……けど、武器にイケメンとかあるのかしらね?」

 

キュルケの言葉に、性別もあるんだから見た目もあるんだろうなぁと思いつつ、大斧と黒騎士の剣をソウルに変換して収納し、先ほどから畜生と繰り返しているデルフを背負う。

後ろの荷台では、涼しげな風に揺れる髪を押さえているルイズと、本を静かに読んでいるタバサ。後はプレイヤーの肩に手を置きながら、キュルケがなにやらロングビルに話しかけていた。

 

「そう言えば、ミス・ロングビル。手綱なんて付き人にやらせればよかったのではなくて?態々、断らなくても良かったでしょうに」

「いいえ、良いのですよ。私は貴族の名をなくしたものですから」

 

ふふっと小さく笑みを浮かべて、ロングビルはキュルケの質問にやんわりと言葉を返した。

しかし、貴族の名をなくしたと言う所で、ルイズは意外そうな顔をし、タバサも少しだけ本から顔を上げてロングビルの様子を窺っている。

 

「けど、貴女は学院長の秘書なのでしょう?」

「えぇ。しかし、オールド・オスマンは貴族だの平民だのと拘らない方ですから。現に平民で起用しています。食材の仕入先もオールド・オスマンが選んだ平民の農場ですし」

「まぁ、確かにそのとおりでしょうけど。……もし、よろしければ、事情をお聞かせ願いたいわ」

「申し訳ないのですが、あまり人に話す内容でもありませんから」

 

困ったように笑いロングビルだが、その眼はこれ以上は話さない言う拒絶の色が見て取れた。

通常、社交性などに秀でているキュルケならば、直ぐに気がつくのだろうが、残念ながら今回は興味のほうが勝ってしまったらしい。

まだ何か言葉を続けようとしたキュルケに、ルイズはため息を付きながら彼女の背中をトントンと叩いた。

 

「ほら、キュルケ。言いたくない事を無理に聞き出すのは、マナー違反よ、マナー違反。あんたなら、分かるんじゃないの?」

「なによ~ルイズ~。だって、気になったんだから、仕方がないじゃないの。……でも、そうよね、ごめんなさいね、ミス・ロングビル」

「いえ、気にしておりませんので」

 

流石にルイズにそう言われては、引き下がるしかないだろう。ロングビルに謝罪の言葉を述べると、次にキュルケはプレイヤーの事を見つめて、にやりと笑みを浮かべる。

 

「それじゃ、プレイヤーの事に付いて聞きましょうか」

「ちょっと、あんまりプレイヤーを困らせないでよ!!と言うか、なんで馴れ馴れしく肩に顔を乗せてるのよ!!」

「別にいいじゃないの~。ほら、プレイヤーだって嫌がってないし~」

「だからって……え、気にしてないって……あ、貴方が気にしなくても、私が気にするの!!って、タバサも何時の間に膝の上に乗ってるのよ!!!」

「乗り心地、最高。……お父様の過去ですか、はい、私も聞きたいです。え、つまらなくてもいいなら、ですか?」

 

キュルケに気を取られている隙に、何時の間にかタバサはプレイヤーの膝の上に載り、広い胸板に寄りかかりながら彼の体温を満喫しているところだった。

まぁまぁとルイズを宥めながら、プレイヤーは自分の事を話しても良いが、つまらないぞ?と一応は念を押しておく。

 

「ちょっと、プレイヤーも勝手に……え、気にならないのかですって?う、それは~、その~」

「はいはい、ルイズも気になってるなら良いじゃないの。それじゃ、まずは生まれの事から。礼儀作法を心得てる所を見る限り、もしかして貴族の出身とか?」

「……貴族の3男で、成人前に出奔したんですか?……それで、そのまま旅を続けていたと」

「成人前って……はぁ!?16歳位で旅に出てたって、貴方どれだけ自由奔放な生活してたのよ」

 

確かに、プレイヤーは貴族の3男として生まれたことは覚えていた。しかし、一体どんな理由があって、放浪者になったのかは覚えてはいない。

それでも、漠然とだが後悔はしていなかったし、むしろ自由に生きれる事に喜びを感じていたと言う記憶はあった。幸い、武芸の才能があったので、盗賊退治や護衛の仕事で路銀を稼ぐことは出来た。そして、放浪の旅の果てに、彼がたどり着いたのが北の大国、ボーレタリアであった。

 

「それ以外にも、大国の王子や聖女付きの騎士に作法を教わったって……貴方の交友関係、どうなってるのよ」

「はぁ~、世界中を見て回る旅って、すてきねぇ。あ、それじゃ、ロマンスとかなかったの?放浪の騎士と貴族のお嬢様の禁断の恋愛、とか!!」

 

わくわくと眼を輝かせるキュルケに、若干困ったようにプレイヤーは頭を掻いてしまう。恋愛と言われても、なんと言えば良いのだろうか。

暗銀の騎士の姉である貧金の女騎士と、惹かれ合ったことはあったが、結局彼女は故郷に返ることになり、関係も有耶無耶になってしまった。

しかし、やはり愛していると言う言葉をあらわすならば、古き王の地で出会った紅い蜘蛛の姫と白い蜘蛛の姫、そして聖女だろうか。

こんな自分を、愛してくれたし信じてもくれた彼女達のお陰で、彼は古き大王を倒し、火を継ぐことが出来たと思っている。

火を継げば、人はまどろみ続ける神の世に、継がなければ闇の時代が訪れ、真に人が目覚める人の世に。

ならば、人でありながら、化け物であり、神のソウル以上の無限のソウルを持つ自分が火を継いだのならば、どうなるのか。それは誰にも分からない。

唯一分かることは、太陽は何時までもそこにある。と言う事だけだ。

 

 

 

 

目的地の森の近くまで来ると、5人は馬車を降りて、薄暗い森の中を歩き進む。

少し進むと、開けた場所が広がっており、その中央にボロボロの小屋が一軒立っていた。恐らくは、きこり小屋だったのだろう。

 

「あれがフーケの隠れ家ね。けど、中にいるのかしら。プレイヤー、何か分かる?」

 

茂みに隠れるようにして、ルイズは隣の木に隠れているプレイヤーを見上げる。

スッと眼を細め、人の気配やソウル、火の気配を探ってみるが、なにやら上手くいかない。

しかし、中に人が居ないと言うことは分かったが、この違和感の正体が気になる。途轍もなく嫌な予感が、彼の背筋を走り抜けていた。

とりあえず、先手必勝とばかりに竜狩りの大弓を取り出して、矢を番えようとするが、タバサがフルフルと首を横に振って止める。

 

「お父様、駄目。宝物まで吹き飛んでしまう」

「そ、そうですよ、プレイヤーさん!!ここは作戦を立てて、様子を見ましょう」

 

タバサだけでなく、ロングビルも慌てて止めてくるので、仕方がないかと言った様子で、竜狩りの大弓をしまうと、先ほどの違和感の正体を探ろうと眼を細めて周囲を警戒する。

その間に、タバサが中心となり作戦を立て始めていた。

 

 

「一番は奇襲。小屋の中に居るのなら、あの大きなゴーレムは作れない筈。小屋から誘き出した所を、一斉攻撃で沈める」

「ゴーレムを作る間も与えずにって事ね。けど、中にフーケが居なかったらどうするの?」

「ミス・ヴァリエールの言うとおりです。でしたら、私が周囲の警戒をしておきます。もしフーケらしい人物が居たら、お知らせしますので」

 

それだけ言うと、ロングビルは静かに森の奥に消えていった。それをプレイヤーは眺めつつ、口元に深い笑みを浮かべている。フーケはこの森に、しかも直ぐに近くに居るのだと。

 

「それじゃ、誰が偵察役になるの?……自分がって、駄目よプレイヤー。貴方の鎧じゃ金属擦れの音でばれちゃうわ」

「私が行く。ルイズとキュルケは魔法で。お父様も万が一のときに備えておいて下さい」

「分かったわ、タバサ。貴女の事、しっかりと援護するわよ」

 

ふふっと笑いながら、キュルケは胸元から杖を取り出し、ルイズも自身の杖をしっかりと握り小屋を睨みつける。だが、その手は少しだけ小刻みに揺れていた。

どうやら、未だに自分の魔法に自信が持てないのだろう。しかし、タバサはそんなルイズを見ながら、言葉をつむぐ。

 

「大丈夫。貴女の事も信じてるから」

「っ、タバサ……。えぇ、任せなさい。ちゃんと援護するから」

 

ルイズがしっかりと頷くのを見届けると、タバサは姿勢を低くして走り出した。

腰に差してある太陽の直剣は何時でも抜けるようにしているし、信じている友達――キュルケ、ルイズが居る。いざとなればプレイヤーも後ろに控えているから、不安などこれっぽっちも無い。

窓に近づき、慎重に中を覗きこむと、古ぼけたソファと使い古された机が見える。それ以外には、空の酒ビンや割れたグラス程度だ。

内部に誰も居ないのを確認すると、タバサは誰も居なかったと合図を出し、ルイズとキュルケを呼び寄せる。

プレイヤーだけはデルフと紋章の盾を構えながら、周囲の警戒を行っているので、3人で小屋の中に入った。

 

長い間使われていなかったのか、内部は埃っぽく、キュルケは露骨に嫌そうな顔をしながら奪われた宝物が調べだした。

 

「うっわ、随分と汚いわね。……ここ、本当にフーケの隠れ家なの?随分と使ってないようだけど」

「分からないわ。あ、キュルケ、そこの棚、何か入ってないの?」

「ちょっと待ってね、今あけるから。……わっぷ!?……もう、埃だらけで嫌になっちゃうわ」

 

粗方部屋の中を探し終えた3人は古びた机の上に、見つけた宝物を置いて眺めていた。

1つは太陽のホーリーシンボルが掛かられた魔道書、太陽の書。そしてもう1つが丸い赤い石 赤き瞳の宝玉だ。

 

「これがそれっぽいんだけど……随分と呆気ないわね」

「太陽の書。……メダルと同じシンボルマーク?」

「え、タバサ、なにか言った……」

 

ポツリとタバサが零した言葉を聞き返そうとしたキュルケだが、突然外から大きな音が聞こえてきた。

まさか……と3人は顔を見合わせて、外に飛び出ると案の定、プレイヤーがフーケの土ゴーレム相手に大立ち回りを演じ始めたところだった。

 

「すげぇ、すげぇぞ相棒!!こんなに速く、こんなに力強く振るわれたのは久々だ!!やべぇ、最高のハイって奴だぜ!!」

 

はしゃぐデルフに、それは良かったなと言う様に、プレイヤーは風の速度で振るい、ゴーレムの拳を叩き砕く。

チラリと後ろを眺め、宝物を回収したことを確認したプレイヤーだが、ルイズの持っている赤い瞳の宝玉を見た瞬間に、兜の下でギョッとした表情をする。

 

「え、その宝玉を今すぐ捨てろですって?ちょ、プレイヤーいきなりなにを言うのよ!!」

 

ゴーレムが地面に拳を叩きつける衝撃の風で揺れる髪を押さえながら、ルイズはプレイヤーに反論していた。

一々説明している暇は無いし、このままでは非常に不味い事になる。先ほどからの嫌な予感はその宝玉、【赤い瞳のオーブ】が原因だったのだろう。

サッサとゴーレムの足を叩き割り、バランスが崩れたのを確認すると、プレイヤーはすぐさまルイズ達の近くまで走り寄ると宝玉を、奪い取るようにして取り上げた。

 

「きゃ、プレイヤー、いきなり何するのよ!!それ返しな……え、な、なによそれ!?」

「宝玉が開いた?……その真ん中にあるのは眼!?」

 

ルイズとキュルケが驚くのも無理は無い。先ほどまで閉じられていたオーブの瞳が開かれたのだ。本来ならば、これはダークレイス達が異世界に侵入するための手段だが、この世界の仕組みが分からない以上、これを砕いてしまうのが得策だ。直ぐにデルフで叩き割ろうとしたプレイヤーだが、大きな影が迫ってくる。再生が完了したゴーレムが、再びこちらに向かってきたのだ。

チッと小さく舌打ちをして、退避しろと3人に伝えて、再びプレイヤーはゴーレムに向かっていく。

 

「なんなのよ、プレイヤー!!ちゃんと説明しなさいよ!!」

「お父様が焦ってたから、きっと良くない物。シルフィードを呼んだから、上空で待機」

 

その言葉どおり、上空からタバサの使い魔、ウィンドドラゴンのシルフィードが大きな羽音を立てて降りてきた。そのまま、3人を乗せると再び上空に飛び上がる。

3人が退避したのを確認すると、プレイヤーはデルフを背中に鞘にしまいこみ、右手の獣のタリスマンを。左手には白蜘蛛姫から託された呪術の火を取り出す。

獣のタリスマンには無限のソウルの一端を。白蜘蛛姫の呪術の火には自身の持つ偉大なる火の一端を注ぎ込み、彼が持ちうる最大にして唯一の火の業を行う。

両手を地面に叩きつけて行われる火の業、【始原の火】

瞬間、プレイヤーを中心とした地点から全方位に向かって火の波が辺りを焼き尽くす。その火の波になす術も無くゴーレムは焼き尽くされ、森の木々すら消滅してしまった。

その光景には、ルイズ達も唖然として見ているしかなかった。今まで見たどの魔法よりも強大な火の業。正に太陽の火の如くだ。

辺り一面を焼き尽くしたのを確認すると、プレイヤーはふう……と息を吐きながら、立ち上がる。正直言うと、この業はあまり使いたくなかったのだ。

何でもかんでも焼き尽くしてしまうし、一度使えば当分の間は呪術も魔術も使えなくなってしまう。まぁ、使えるのがこれだけなので、問題は無いのだが如何せん疲れるのだ。

 

「お~お~、すげぇな相棒。どんだけ強力なの隠してたんだよ。しっかし、良いのか?森の中にゃ、秘書の姉ちゃんも居たはずだろう?」

 

それならば大丈夫だと、プレイヤーはデルフに伝える。始原の火の威力範囲外に居る事を確認して使ったので、恐らくは大丈夫だろう。

残る問題は、この赤い瞳のオーブだと懐から取り出してみて、プレイヤーの表情は凍りつく。その瞳はランランと輝き、プレイヤーの事を見つめていたのだ。

これは不味い。恐らくだが、この瞳の持ち主は自分の事を見つけ、今にも侵入してくる所だろう。

赤い瞳のオーブをデルフで叩き割り、周囲を警戒する。先ほどから全身に粘ついた殺意が纏わり付いてきている。

その時、焼け野原となった森の方から、ロングビルが青い顔をして走ってきた。

 

「おや、秘書の姉ちゃんじゃねぇか。んだぁ?なんか焦った表情してるな」

「はぁ…はぁ……!!プレイヤーさん、た、助けてください!!」

 

こちらに向かってきたロングビルを背に庇いながら、プレイヤーはデルフの切っ先の翔けてきた方向に向ける。

そこには、穂先に無数の坂棘のある長槍を携え蜃気楼の様に揺らめく赤黒い身体をした霊が、1人佇んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回辺りで、フーケ編を終わりにしたいです。
それから少しオリジナル展開、ルイズの里帰りを書いた後にアルビオン編に行こうかと思っています。では、また次回に、


黒霊装備
頭 子の仮面
体 巨人の鎧
足 巨人の脚甲
手 巨人の手甲
右武器 削り取る槍・祝福されたメイス
左武器 審判者の盾・祝福されたメイス
指輪 再生者の指輪・狼の指輪

うん、こんな奴と戦いたくねぇぇぇぇ!!!!
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