多分セーフ!
じゃあどうぞー
「カラワーナ! いつまで泣いてるっスか!!」
「ドーナシーク……うぅ……」
ヒグマ・ヤミーに担がれ、普段根城にしている教会へと向かうカラワーナとミッテルト。その間カラワーナはポロポロと大粒の涙をこぼしていた。
「信じられないんスか!? ドーナシークがどれだけ強いか! あんな金ぴか野郎ぐらい、ちょちょいっと倒して駆けつけてくるッスよ!!」
「でも、あいつは私やあなた、ドーナシークにグレモリーとその眷属を相手取って、互角かそれ以上に戦っていた化け物よ!! それを1人でなんて……万に一つも勝てる可能性なんて!!」
「しげちーが言ってたッス……『確率なんてものはただの目安、あとは勇気で補えばいい!』 あの時のドーナシークは、やけっぱちであそこに残ったんスか? 恐怖で狂ったからあんなこと言ったんスか!?」
「……!! そう、ね……そうよね……」
流れ落ちていた涙をぬぐいさり、顔を上げるとそこには普段のカラワーナの顔があった。それを見てミッテルトはにやりと笑い
「いい顔するようになったじゃないッスか、で? どうやってプロポーズされたんスか?」
「え? えぇぇ!? ちょ、ま! 今それを聞くの!!」
「へいへーい、カラワーナのちょっといいとこ見てみたい! さぁキリキリ吐いてもらうッスよ!!」
「いやそのぅ……ドーナシークが、ね? 『俺と結婚してくれ』って」
「みじか! それだけ!? というかそれでOKだしたの!?」
「うん……いや、私も好きだか、ら……即答した、です」
「ぶったまげーッス、そんなそぶり私たちの前じゃ見せてなかったのに……」
「レイナーレ様の仕事がひと段落してから、みんなに報告しようって決めてたの」
それからのろけ話を聞き、ミッテルトが口から砂糖を吐き出したところで疾走していたヒグマ・ヤミーが口を開いた。
「モウスグ、キョウカイダ……ム? キヲツケロ、モウスデニセントウガ、ハジマッテイルゾ!!」
「グレモリーたちが、先に紋章でジャンプしたッスよね!?」
「そういえば! 急ぎましょう!!」
アギトが工事現場に現れ、その隙に紋章によるジャンプで、一足先に教会へと向かったリアス・グレモリーたちは、先に戦闘を始めていた兵藤一誠・木場佑斗・塔城子猫らと合流し、数による不利を覆し始めていた。
「ありゃりゃ? こりゃやばいっかねぇ~? ふむふむ……まぁいただけるもんはぁ~? いただいたしぃ~?」
「メダル? おいクサレ神父、それはなンだ?」
「あぁん? 真っ白トンファー君ちゃんにはわからないでしょうねぇ~? ニヤニヤ、どぉしよっかなぁ~? よし決めた! バイチャ!!」
そう言い残しフリードは森の中へと駆け抜けていった。あとに残されたリアス率いる悪魔勢とアーシアの持つ
「ふふ、あっはっはっは!」
「クソ! クソクソ!!」
ヒラリヒラリと自身の持つ黒く染まった翼で、一誠の攻撃をあざ笑うようによけ続ける。時折下に降りて当たりそうで当たらない絶妙な位置で舞い踊り、右へ左へとよけるうちに後ろの木に阻まれ、
「やっと……一、撃……ハァッ、ハァッ!!」
「素晴らしい、一撃……ね、グゥッ!? まるで、好きな女の子を殺されて……ウゥ! 怒っているような……殺意にまみれた、パンチよ……ゴフッ」
「喋るなァァァァ!! 『BoooST!!』」
振りかぶりとどめの一撃を放つ一誠。爆風と土煙があたりに立ち込める……手ごたえがあった、何かを砕く感触もある。ただ、アーシアはもう戻ってこなかった……
「とかなんとか思ってるんじゃないでしょうね?」
「!?」
声がし、振り向くとそこには何事もなかったかのように、ふわりふわりと宙に浮かぶレイナーレの姿があった。
「どうして? って顔してるから教えてあげるわ……ここに今傷つけ血が流れている腕があります……ここを? こうじゃ」
光を集め短剣にし、左腕を切りつける。血がトロトロと流れ出したが、そこに暖かな緑の光を宿した右手でそっとなでると……血が止まり、けがが治癒していた。
これこそ、レイナーレが欲した悪魔をも治癒する神器《セイクリッド・ギア》『
治癒した腕をうっとりと眺めながら
「いいわぁ……これ、この力があれば私もアザゼル様や! シェムハザ様の!! 愛を、信頼を、全てを!! 私は得ることができる!!」
「それは……アーシアの力だ!」
「アーシア『だった』ものでしょ? 間違えちゃダメじゃなぁい? 好きな子の名前なんだからさぁ……おっと!? 危ないわねぇ、リアス・グレモリー?」
「先輩!!」
宙に浮かぶレイナーレに向かって魔弾の弾幕が乱れ飛ぶ。それをすんでのところでかわし、飛ばしてきた人物をにらみつける。
「ずいぶんとうちの僕を、一誠を好き勝手やってくれたじゃない……駄天使」
「ずいぶんとうちの駒を、駄天使を消し去ってくれたわね……悪魔風情」
バチバチと両陣営の
「待ってください……先輩」
「イッセー?」
「あいつは、この俺が倒します……いや倒させてください、お願いします」
「……どうして?」
「アーシアの命を奪ったあいつを……自分の手でぶん殴りたい! それだけです!!」
しばしお互いの目の中の光を見やる。そして一言
「そう、ならやりなさいイッセー……ただし、思いっきりよ!」
「!! ありがとうございます!!」
お互いに背を向け、それぞれの戦闘を再開する。リアスは雷や剣、駄天使が乱れ飛ぶ戦場へ。一誠はアーシアのかたきを討つべく、上空でクスクスと笑うレイナーレに向き直り、キッと睨みつける。
「あら~こわいこわい、恐怖で涙が出ちゃいそう、フフ」
「勝手にしゃっべってやがれ! 俺はアーシアの仇を討つ!! ブースト!! 『BooST!!』」
力がみなぎるのを全身で感じ、思いっきりジャンプする。目の前には余裕そうに浮遊するレイナーレ。
「さぁ、かかっておいでイッセー君?」
「ぶっとばす!!」
「うぉぉ!? カラワーナ! ド派手に戦場のど真ん中に飛び降りるッスよ!!」
「え? ちょっと、何言ってるの!?」
「いぃぃぃっやっほぉぉぉぉぉう!!」
「きゃぁぁぁぁあああぁぁ!?」
ヒグマ・ヤミーの元から急上昇し、紐無しバンジーを突如決行、飛び降りていくミッテルトと腕を引かれて落ちていくカラワーナ。突然行動した結果、動きが硬直しヒグマ・ヤミーはそのまま見送ってしまった。
「ニンム……スイコウ……フタリヲ、ブジニオクリトドケナクテハ!!」
自身の任務を思い出し、急スピードで二人の元へと駆けつける。が二人は地面にぶつかる直前に、自前の羽をだし軟着陸する。二人の隣に、少しして轟音と共に駆けつけたヒグマ・ヤミー。
「やいやいてめぇら!! ここにおわすはゴスロリ駄天使ことミッテルト!! そして!」
「え? 私もするの!? 今そんな雰囲気じゃないと思うわよ?」
周囲を見渡す、白いスーツに身をまとっただれかは、仲間の駄天使にトンファーを突きつけたまま硬直……たった今逃げ出した。
白髪の小柄な悪魔はアッパーカットの体勢のままこちらを見てかたまり、二刀流の悪魔は駄天使とつばぜり合いの状態で、こちらを振り向き凍りつく。
ポニーテールの悪魔は周囲を焼き焦げた状態にしながら、こちらに向けて雷を放つ。
「あっぶな! てかあいつ、さっきいたやつじゃん!!」
「チッ……避けましたか」
「いやいや、姫島さンよ……この状況デよくンなもんぶっ放せましタね」
「フフ……は虫が二匹、迷い込んできたようですからね? ちょっと掃除を……」
「レイナーレ様は……あの様子を見る限りじゃ
「えぇそのようね、あとはここから退却すれば、私たちの勝ちのようね」
ミッテルトは両手に光の短剣を生み出し、カラワーナは身長ほどもある長槍を光から生み出し構える。そこでヒグマ・ヤミーが後ろに振り向き、戦闘態勢を整えた。
「どうしたッスか? 急に……」
「ヤツガクル! ハヤイナ、ドーナシークトコーカサスヲ……ジュウスウフンタラズデクダシ、コチラニオイツイテキタノカ!!」
「前門の悪魔、後門の金ぴかッスか……生きも帰りも地獄……どうせなら生きて帰りたいッスね!!」
「ドーナシーク……まさか、そんな……」
3人が同じ方向へ振り向き、構えているのを見、あらかた倒しつくしたリアスらもその方向を見る。
「どうかしたのかしら? 彼女たち……それにあのホムンクルスは一体、クマのような見た目をしているけど」
「さぁ、私には……!? まさかこの気配!!」
「そういえばこっちに向かってるって、いってたわね……」
そして……
「おまたせ」
森の中から
マデリアンです。年内に投稿したいのであとがきは年越ししてから、投稿する巻の拾二でまとめてします、ではみなさんよいお年を