詠夢はいま、アリスの家にいる。
なぜいるの、だって?
アリスが左手を怪我したからだ。
詠「入るよ?」
ア「どうぞー」
詠夢はアリスの家へと入る。そこには、
魔「よう詠夢!お前もお見舞いか?」
魔理沙もいた。魔理沙もお見舞いに来たようで、何かを持っている。キノコ以外ありえない。
詠「とりあえずこれ、お見舞いね。早く良くなるようにね」
詠夢は左手を隠しているアリスに気を遣い、右側に差し出した。中身は暖かいスープだった。
ア「ありがとね詠夢。あ、そうだ。少し重要な話があるわ。魔理沙、席を少し外してもらえるかしら?」
アリスは何かを思い出したような感じで魔理沙だけを退室させ、詠夢と2人きりになる。
詠「それで?話って何?」
ア「ほら、私がたまに人里で人形劇をやっているじゃない。それで悪いんだけど………手伝ってくれるかしら?」
アリスが約1ヶ月に一回、人里で人形劇を上演している。ストーリーはその時によって様々で、異変の話や恋の話までも出している。それは子供達に大好評だった。詠夢は人里を通りかかると、たまにそれを見ていたのでよく知っていた。
詠「つまり、延期をして子供達を悲しませたくない、と………わかった。手伝うよ」
詠夢はそういう困っている人を積極的に助けたい人柄だ。引き受けないわけがない。
ア「どこかの帽子を被った白黒魔法使いより物分りが早くて助かるわ。」
アリスはどこか嬉しそうな表情で詠夢を見つめる。詠夢はニコッと微笑み、急に真剣な表情に切り替える。
詠「それで、僕は何をすればいい?」
ア「そうね……とりあえず、今回はーーー」
今回の物語は博麗の神主さんがとっても強い妖怪を退治するストーリー。詠夢のことだ。
ア「そんなわけで、出来れば自分の操る人形は自分で作った方が操りやすいわ。だから、人形を作ろうかしら」
アリスはそう言って材料と針などを置くからゴソゴソと取り出してくる。
奥で色々とガラガラ言っているので、詠夢は慌ててそっちへと急ぐ。
詠「ア、アリス!?大丈夫?」
詠夢は心配して、奥の部屋へと向かう。そこには、あたふたしている魔理沙とびっくりしているアリスがいた。
床にはたくさんの針と布。片手で取り出そうとして失敗したのが詠夢の脳内に浮かぶ。
詠「さっきムリだったら僕を呼んでって言ったじゃん」
ア「そ、そうね……自分だけで頑張りたかったのよ」
アリスは照れながら何気に私頑張ったでしょアピールをしてくる。詠夢が対応に困っていると、魔理沙が発言した。
魔「わーアリスが照れてるぜー!珍しいから詠夢、やったな」
魔理沙は詠夢にグッドサインを出すが何がどうグッドなのかわからない。
アリスは顔を赤くしながら反論しているが、詠夢と魔理沙の耳には届いていなかった。
ア「ほ、ほら!ま、魔理沙は帰れ帰れーっ!」
アリスは半ば強制的に魔理沙を自分の家から追い出し、詠夢と2人だけになる。
詠夢は黙々と自分の人形を作り始める。手際よく、トントンとステップをクリアしていく。アリスはそんな彼のことをじーーーっと、見つめていた。
詠「………これをこうして……ん?アリス、どうしたの?僕の顔に何かついてる?」
ア「な、なんでもないわ!(もしかして鈍感?)」
詠夢もそこまで鈍感ではないのでアリスの想いは分かっている。しかし、詠夢にはもう大切な『あの人』が出来ていた。だからアリスにはそういうフリをしていた。
詠「……っと、出来たよアリス!」
詠夢がほんの十数分で作り上げた人形は、とても彼に似ていて、かつカワイイ。
ア「か、かわいすぎる……」
詠「だ、大丈夫?鼻血出てるよ?」
詠夢は黙ってティッシュを差し出す。そういう紳士的なところがモテるのかもしれない。
ア「あ、ありがと……」
詠「気にしないで。それで、次はどうする?」
ア「そうね……人形を操れないといけないからね……」
すると、いま作った詠夢人形たちに何かをし始めた。
そして、大きく息を吸い……
「はぁっ!」
と同時に詠夢人形に何か青いものが入る。すると……
人形がトコトコと歩き始める。
ア「えっ!?す、すごい……勝手に歩くなんて」
詠「いや、僕の意思で動かしているんだ」
自分の霊力を吹き込むことで、その人自身の意思で動かすことができるらしい。アリスもさすがに驚いた様子だった。
詠「これなら人形劇もばっちりだね」
ア「い、いや。ま、まだまだよ」
アリスは明らかに焦ったような表情で詠夢に話しかけた。詠夢も詠夢で、アリスが何をしようとしているのかが容易にわかった。
詠「どこが?」
詠夢はアリスの気持ちを汲み取ってはいたけれど、一応聞く。
ア「ほ、ほら!あの……その……」
詠「一緒にいたいと?」
ア「………」
アリスが黙ってしまった。詠夢の発言したことが全て図星で、何も反論出来なかった。
ア「あ、もう夜ね……夕食作らn痛っ!」
アリスは自分の腕を庇うような素振りを見せる。
詠「いいよ、僕が作るから。冷蔵庫のもの使っていいでしょ?」
ア「いいわよ。お願いね」
詠夢は黙々と台所で作業をし始めた。
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ア「いただきます」
詠「めしあがれ」
秋とはいえ今日は肌寒かったので詠夢がクリームシチューにしようと提案した。
ア「……あったかい」
アリスはホッとしたような感じでシチューを食べている。
詠「良かった」
詠夢はそれを笑顔で見つめている。
詠「ところでさ、なんで怪我したの?」
ア「ああ、それね……お茶を沸かしていたら、いつのまにか腕に火がついていてね……火傷したのよ」
詠「なんか……変なこと聞いたね。ごめん」
詠夢もシチューを食べ始める。そして、自分で作った料理をいつものように評価する。
詠「ん、おいしい」
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就寝後
詠夢はアリスと別の部屋で寝た。相当眠かったのか、布団に入って1分もしないうちに眠りに落ちていた。
そこの閉まっていた扉が静かに開いた。
ア「フフッ……寝てるわね」
アリスはゆっくりと詠夢に近づく。
ア「今日は、誰にも渡さない」
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次の日。
詠「よーし、じゃあ今日は頑張ろうね!」
ア「そうね。頑張ってちょうだい」
2人は張り切って芝居へと望んだ。
物語も後半、詠夢の一番の見せ場へとやってきたその時。
プツン。
アリスが張っていた糸が切れてしまった。
「…っ……!」
人形が倒れかけた矢先、急に立ち直った。
横で詠夢が笑顔でアリスの方を向いていた。アリスはすぐに糸を張り直し、芝居を続けた。
人形劇が終わり、拍手喝采が起こる。アリスは詠夢に感謝の言葉をかけていた。
ア「ナイスサポートだったわ。本当にありがとうね詠夢」
詠「良かった……どういたしまして、こちらこそいい時間だった。ありがとうアリス」
詠夢は博麗神社へと帰っていった。
ア「ハッハッハッハッハッハッ!あの子を騙すのなんて簡単ね!あの子と一緒にいれた。第一段階クリアよ!次は………博麗霊夢を抹殺することね!」
アリスは家に帰り、壊れた笑みを浮かべそう言い放つ。包帯でぐるぐる巻きになっている腕は傷ひとつ無かった。
魔「おい?アリス!?どうしたんだ?おい!」
魔理沙は狂気に満ちた親友をただ呆然と見つめることしか出来なかった。
博麗詠夢は他人の人生をも変えてしまうかもしれない。そんな存在になりつつあった………
アリスはヤンデレ設定にしました。
次は誰かね……
ではまた次回!