そして先に言っておきます。別に詠夢はナルシストでもスケコマシでもありません。ただの清純な男子です。
ではノーサイドでお送りします。
朝早く。
詠夢は、久々に寺子屋の授業をするため人里に出歩いていた。
寺子屋で久し振りに授業をする為に朝の早めから寺子屋に来ているのだが、既に近くで遊んでいる生徒の声が聞こえてきた。
どうしたのだろうと思い詠夢がそっちに向かう。すると……
「問答無用!」
と言い放ち、木の枝を振り下ろしてカッコよく決めるのを見せびらかしている男の子と、それをキャーと黄色い歓声をあげてそれを見る女の子たち。詠夢が易者を退治した時の再現だろう。あの男の子の名前は弥助。寺子屋で1番のムードメーカーで人気者だ。まあ成績は……察してあげてほしい。
「みんなおはよう」
「「「おはよーございます!」」」
弥「あ、詠夢先生おはよーございます!あの、どうですか?いまのカッコよかったですか!?」
「なんか自分のやってたこと言うのは恥ずかしいけど、とてもカッコよかったと思うよ」
弥「ホント!?やったー!」
「ところで、なんで僕の真似を?っていうかそんな僕冷たかったかな?」
弥「うん、その鋭い眼差しだけで小妖怪くらいなら逃げていくほど」
うわあ、僕そこまでやってたっけ、なんか僕にそぐわない感じだな、と思い詠夢は苦笑いする。
「そ、そうだったんだ、ははは……」
弥「でも、カッコよかったなぁー、あの時の先生……いや、神主さん」
「……そうなのかな?」
?「詠夢さん、あの時だけ不思議な力を持ってたというか……純粋にカッコよかったですよ」
「あ、尊朝」
尊「少なくとも、月の異変を解決する時の数倍、いや、僕が見た中では1番神主としての博麗詠夢さんって感じだった。人里で大人気だってさ」
そう言って文々。新聞を詠夢に渡す。1面に堂々と詠夢のお祓い棒を振り下ろす写真が載っていた。さらに文に目を通すと、あの場にいた女性は十中八九詠夢に惚れたと書いてある。詠夢はまた大袈裟なことを……と思ったが、実際そうなのだ。いや、あの場に女性が10人いたら、10人全員が惚れていたのだ。
尊「あまりお昼に外に出歩かない方がいいと思いますよ」
「そ、そうなの?分かんないけど。ほら、授業が始まるから教室に入ってー!」
先程の尊朝の言葉を、そんなことないだろうという風に軽く流していた詠夢。しかし、その言葉は後に現実となる……。
その後、この日すべての授業を詠夢が担当したが、女子生徒全員が休み時間になった途端に詠夢の周りに集まって話をしていた。
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寺子屋の授業が終わり、詠夢は何処かで昼ごはんでも食べようかと寺子屋を出て人里を歩こうとした。
そう、歩こうとしたのだ。
彼が通りに出た瞬間、
『詠夢さんがいるぞぉー!』
という声が響き、その後直ぐに大勢の人々(主に女性)が右からも左からも詠夢目掛けて突進してくる。
「えっ……えっ!?」
もちろんのこと詠夢はそんな経験は無いため、飛んで人里を逃げ回る。
というか、人里の方々はこれだけしつこく追い回して嫌われるとは思わないのだろうか。
「はあ、はあ……しつこい……」
もうかれこれ数時間は追い回されているが、一向に観念する気配が無い。
どのくらいしつこいかというと、博麗神社まで追い回して自室で休憩しているところを狙われた挙句守矢神社まで追い回し、人里に戻ってきたのである。
すると詠夢は、薬売りに来ている鈴仙を見つけ、声をかける。
「鈴仙ー!助けてー!」
「あら詠夢。どうしたの?」
「詳しい話は後!お願い、少し永遠亭に匿って下さい!」
鈴仙は切羽詰まった詠夢の表情に少し疑問を抱いていたが、それも直ぐに理解することになる。
なぜなら、大量の人里の人たちが詠夢さん詠夢さんと叫びながら彼の後を追ってきているのだから。
「あー……なんとなく状況が掴めたわ。行くわよ詠夢」
そして鈴仙は直ぐに能力を発動、あたかもそこに詠夢がいるような幻覚を見せた。
その間に2人は竹林を駆け抜け、永遠亭に到着する。
鈴「師匠ー!詠夢が少し匿って欲しいと言って来ました!」
永「詠夢が……?どうかしたのかしら、何か罪でも犯して逃げてるの?」
「違います。なんか人里で妖怪退治をしたら急に……」
永「ああ、そういえばてゐもそんなこと言っていたわね」
すると、てゐが詠夢を見つけ、後を追ってくる。
て「あー詠夢ーかっこいいよー詠夢ー」
鈴「……これは重症ね……」
永「取り敢えずうどんげと私はてゐを実験台にしてくるわ。だから、姫とでも話していてちょうだい」
「はい」
そう言われて廊下を歩いていると、輝夜が向こうから歩いてきた。取り敢えず話でもしましょうと輝夜の部屋にお邪魔する。
「なんとなくてゐからは話を聞いているわ。人里の中でクールに妖怪退治をしたそうね」
「そこまでした覚えは無いんだけど、実はカクカクシカジカ……」
「……四角いム◯ブ、ってわけね。なるほど、私が良いアドバイスしてあげる」
「アドバイスしてくれるの?」
「まあ、私もかぐや姫として1,000年前くらいに一世を風靡したことがあるからね、詠夢の気持ちくらいわかるわ」
あの頃は大変だったわー、と懐かしむ輝夜。
「それでアドバイスっていうのはね、詠夢の人気を超える何かを起こすことくらいかしらねー……それができないなら諦めるしかないわ。私は後者だったけれど」
「自分のことを超える何か……?」
「そうよ。例えば前の月の異変だったり……も、詠夢が最後活躍しちゃったのよねぇー……」
「うーん……何かあるかなぁ……あ、思いついた!」
「そう?私が少しでも力になれたなら良かったわ。さあ、思い立ったが吉日。直ぐに行ってきなさい」
「行ってくる!」
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そうして詠夢が思いついたアイデアとは、人里の自警団に少年部隊を作ることだ。
実際、自警団の中の少年や少女にはイケメンや美少女が多く、それを集めてアイドルユニット風にすれば過剰な人気が流れるのではないかと考えたのである。
結成後、ほんの少しは過剰な人気が落ち着き、ほんの少し、詠夢に平和が訪れたという。
この後、てゐは新薬の実験台となり迷いの竹林に悲鳴が響き渡ったそうです。
ではまた次回お会いしましょう。