今まで通り週一ペースで投稿したいのですが、数学の点数が赤点スレスレだったり色々怖いのでもしかしたらまた1ヶ月とか空くかもしれません。その時は気長に待ってくれていただけると嬉しいです。
さて、新学期といえば身体測定ですね。だぴょんさんはもう170は越してる筈なのでどのくらいまでいくかなーって感じです。でも最近なんか身長止まった気がする。
では、今回もノーサイドでお送りいたします。
《活動報告見てください!》
博麗詠夢は、戦っている。
「お願いします、それにだけは絶対に乗せないでください」
「ダーメ、ちゃんと測らないと大きくなれないよ?」
無理やり乗せようと詠夢を説得する鈴仙。
「やだー!絶対にやだー!」
「全く……しょうがない男の子だなあ」
あの地獄の女神をも凌駕した博麗の弟はいま、
事の発端は先程、診察で詠夢が永遠亭を訪れた時のこと。
前の月の異変後、鈴仙とも少し距離が縮まり、呼び捨てで呼び合えるほどの仲となった、そんなある日。
「ここも問題無し……っと。結構傷も治ってきたし、あとは薬でどうにかなるから、もう永遠亭に来る必要は無いわ」
「そうなんだ。よかった」
鈴仙はカルテを見ながら詠夢に話しかけている。
たまたま今日は永琳が休みを取っていて、鈴仙が医師として対応をしていた。
詠夢が安堵したその時、鈴仙の口から恐ろしい一言が出た。
「じゃあ、ここにもしばらく来ないわけだし、身長だけ測っておこうか」
「えっ……?」
詠夢から笑みが消えた。
『身長を測る』、この言葉で何度詠夢が苦しめられただろうか。
寺子屋では毎年毎年嫌々で測っては同級生に小馬鹿にされ、可愛がられて、姉の前でどれだけ苦悩を口にし、支えてもらったことか。
伸びてもパッと見てあまり変わらないため、身長計も全く上まで行かず、自分の成長はもう終わっているのかと嘆く毎日が続くだけ。
いくら妖怪退治をしている人だといっても、まだ中身は少年だ。嫌なものは嫌なのである。
「このままじゃ埒が明かない……こうなったら、奥の手ね」
「ま、まさかッ!」
「姫様ー!少し手伝ってくださりませんかー?」
鈴仙は輝夜を呼び出す。
須臾の能力で無理やりやってやろうという考えを見透かしたのか、詠夢は抵抗することをやめ、青ざめる。
「あら、抵抗しないのね」
「……」
「あっ、ご、ごめんね!大人しくしてくれればすぐに終わるから!」
どうやら、鈴仙が思っていた何倍も本気で身長計を嫌っていたようで、自分でも悪いことをしたなと反省する。
そんな駆け引きに負け、詠夢は身長計に乗る。
しかし、やっぱり身長を伸ばしたいようで。
「めっ!」
「痛っ!」
「こらー、背伸びしないの」
「はーい……」
「めっ!」
「こ、今度は何さー」
「ナチュラルに浮かないの!」
「むぅー……」
背伸びをしたり、いろいろな手段を使って身長を高く見せようとするが、全部鈴仙に見破られて阻止されてしまい、詠夢の精神も若干崩壊し始めているのかもしれない。
その時に聞こえた数字は、詠夢をどん底に落とすものだった。
「139、かな」
「えっ……?」
「あら、どうかしたかしら?」
「う、ううん!なんでもない。じゃあね!」
それだけを言い残し、走って永遠亭を出て行った。
走っていく彼は、何かをこらえているように見えた。
それと入れ違いで、永琳が診察室に入ってくる。
「あれれ、どうしたのかな」
「あら優曇華、詠夢がいかにも悲しそうにここを飛び出てったけど、なにかしたのかしら?」
「いいえ、ご師匠様の言われた通りに診察をして、あと一回も身長を計った形跡が無かったのでそれをしただけです」
「はぁ……だからいつまで経っても貴女は半人前なのよ」
「そ、それはどういうことですか?」
「身長を計ってこなかったことと、あの感じからして察しなさい」
そこで、鈴仙は気付く。
自分がやっていたことが、詠夢を傷つけていた。
それだけで、自分の気持ちがどうかなりそうだった。
「わ、私……詠夢に心の傷を……。私、神社に行ってきます!」
「そう、頑張りなさい」
鈴仙も、また詠夢と同じように永遠亭から飛び出ていった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
博麗神社に着く。
満月が地面を明るく照らし、神社までの道を作る。
鈴仙も妖獣、騒ぐ感情を能力で抑えつけ、ふぅと一つ大きく息を吐き、また大きく吸う。
「すみませーん、詠夢さんいますかー?」
と、少し強張った声で叫ぶ。
すると、戸がゆっくりと開き、聞き覚えのある声が聞こえる。霊夢だ。
「もー、こんな夜に何の用?詠夢ならかなり落ち込んで話もしてくれないんだけど?あんたのところで何したのよ?どう責任取ってくれるのよ?」
詠夢が落ち込んで永遠亭から帰ってきたせいか、てっきり永遠亭で何か悪いことをされたと思っているらしい。
「それなら、私がどうにかします。いや、どうにかしてみせます!」
「まあ、そこまで言うならいいわ」
「あ、ありがとうございます!」
「ただし、変なことしたら容赦しないわよ」
霊夢が歩いていく後ろをついていく。一歩、また一歩と足を踏み出すごとに緊張感が増してくる。
「ここが詠夢の部屋。あの子を元気にしてくれれば、私はそれ以上を望まないわ。それも鈴仙、あんたにかかってるから」
「はい、行ってきます」
霊夢の愛の重さを再確認し、もう一度大きく深呼吸をして扉を開ける。
「詠夢?」
「……」
彼は布団を被ったまま、返事も返ってこない。
相当落ち込んでいるようだ。
「ねえ、詠−−」
「嫌だ……」
微かに聞こえた声は震え、詠夢の心情がそのまま映し出されていた。
「身長が伸びないなんて……そんなの……そんなの嫌だ!」
急に叫んだ詠夢に鈴仙は優しい表情を見せて安心させようとしつつも、ひとつ考え事をしていた。
(波長が全く安定してない……急に恐怖になったり感情が荒ぶったり……。言うなれば、感情に
そして、一つの答えにたどり着く。
(詠夢を安心させる方法はこれしか……よし、やるしかないわ!)
顔を赤らめながら詠夢の布団に潜り込み、彼の頭を自分の胸にくっつける。
「れ、鈴仙!?これは……」
「詠夢……き、今日はごめんなさい」
「べ、別に気にしてないし……自分がどれだけ成長できたかわかったし」
「嘘つかないで。本当のことを言って?」
少しの静寂が訪れる。
互いが互いの温もりを最大限に感じつつ、詠夢がゆっくりと口を開く。
「実は僕、まだ寺子屋にいた時から身長が低くて、みんなからかわいいって言われてバカにされてたんだ。それが嫌で嫌でしょうがなかった。だから、身長のことだけは現実から目を背け続けてた。」
詠夢の小さい体が小刻みに震えだす。それを感じ取り、鈴仙は彼を抱き寄せる。
互いに言葉にできない緊張感を全身で感じつつ、静かに話が続く。
「でもね。鈴仙が色々してくれて気付いたんだ、後ろ向きに生きるのって僕らしくないのかなって。だからこそ、嫌だって思っちゃうのかな。実は、今日身長を計った時に1センチも伸びてなかったんだ。だからその現実から離れるために今こうしてる。そう思うと、博麗の神主なのに情けないなって思って……」
「そ、そうなんだ……ごめんね、私、詠夢のこと何もわかってなかったんだね」
鈴仙は詠夢の頭を撫でながら、「でもね」と付け足して続ける。
「今と向き合うってことはとっても大事なことなの。詠夢の過去に何があったかは知らない。けど、そろそろ身長も伸びて大きくなれるわ。永遠亭なりなんなりでの薬の影響があるなら話は別だけど」
一瞬詠夢の顔が曇る。
その一瞬を、鈴仙は見逃さなかった。
詠夢は鈴仙の豊満な胸に顔を埋めながら、自分から溢れてくる気持ちを抑える。
それを感じ取り、鈴仙は優しく話しかける。
「ガマンする必要ないわ。感情をそのまま私にぶつけて」
すると、詠夢が溜めていた気持ちが鈴仙にどっと溢れた。
鈴仙はそれを全て受け止め、わんわん泣く詠夢を精一杯の優しさで包む。
「僕、それじゃあ身長が伸びないよぉ〜……父親に四年も薬の実験台にされてこき使われて……グスッ、ヒグッ、うわぁーん!」
鈴仙は絶句した。
(詠夢が幻想郷に来たのは彼が4歳の頃。ということは……)
その時、鈴仙は詠夢の全てを知ったのだ。
再度、泣きじゃくる詠夢を抱き締める。
「大丈夫。スキマ妖怪が言ってたでしょ?幻想郷は全てを受け入れる。それはそれは素晴らしいことなの。詠夢を見捨てる人なんてここには誰もいないわ」
「うん……ありがとう鈴仙」
泣いている隙間に見せるえへっ、という笑顔に、鈴仙はすっかり心を撃ち抜かれていた。
その後、泣き疲れて寝てしまった詠夢を抱きしめながら寝る鈴仙だった。
「詠夢……大好き」
※この後メチャクチャ「しませんよ?」
恋敵が増えた?前からだから変わらないです。詠夢は小鈴しか見てませんし見えてません。
次回も頑張って早めに行くのでお願いします。
ではまた次回。