オーバーロード ~ナザリックの華達は戦っている~   作:SUIKAN

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世界征服には、より多くの仲間が必要です……。


注)モモンの口調について
気分転換の名目でアインズの重々しい感じでは無い、鈴木悟の素の口調になっています


STAGE17. 支配者王都へ行く/新NPCト公スケ話(1)

 ガゼフとの再会の約束を果たす、王都への出発の朝がやって来た。

 アインズ達一行を王都まで運ぶその馬車が、快晴と言える空の下、カルネ村の広場へと車輪の音も静かに現れる。

 五日前にシズが村を一日離れて、馬車の手配に行ったことになっている。その時にシズはナザリックで馬車の様子を確認しアインズへ報告していた。

 質素という話をセバスからも聞いており、アインズも実際に見てなるほどと思ったのだが、村人達は――。

 

 皆、仰天していた。その登場した馬車の立派さと御者らの美しさに。

 

 馬車は四頭立てだが、すべて八足馬(スレイプニール)が牽引する。タイプとしては四頭立て四輪大型馬車(コーチ)となる。どうやらこの新世界では八足馬(スレイプニール)は非常に高価な馬であったようだ。それが四頭も揃っていた。これだけでひと財産である。

 また箱型の車体も、御者は少し低い位置にある御者席に座り、全体的に落ち着きの有る漆黒ながら、窓枠、取っ手、ランプ等の装飾金属金具類が全て白金(プラチナ)で統一されたスタイリッシュな形であった。

 そして馬車を操るは、黒髪に眼鏡顔で一般メイド服姿の肌白き美しい令嬢、ユリ・アルファ。停止した馬車の御者席から立ち上がり降りて来る姿は、スラリと高くその存在を際立たせていた。

 今回、王都へ赴くのはアインズとルベド、シズ、ソリュシャンに御者としてユリ・アルファにあともう一人、不可視化しユリの横の御者席へ静かに座るナーベラルの計六名。

 また、カルネ村にはソリュシャンがいなくなるため、村内のデス・ナイトの内1体を除く2体と、蒼褪めた乗り手(ペイルライダー)3体については、ルプスレギナではなく――アインズの作成した新NPCで、腰ほどまで有る銀髪を揺らすLv.83に設定したキョウ()に任せることにした。

 盗賊と忍者の雰囲気が混ざる青紫色系のデザインで、両肩に戦国鎧の大袖(おおそで)と腰に草摺(くさずり)のような形のある裾が短めの装備衣装と、背に刀を一本差しの彼女は、馬車内から扉を開け静かに降り立つ。

 種族はネコマタと二重の影(ドッペルゲンガー)のハープタイプ。切れ長の目と猫の黄緑色の瞳をした表情は印象的で美しい。今は人型形態を取っている。名前は種族に合わすようにアインズから和風で付けられた。彼女もソリュシャンと同様、マスターアサシンの職業レベルを持つ。

 

「キョウよ、留守中の村を頼むぞ。では、エンリに引き合わそう」

「はい、我が主様、畏まりました……(ニャ)」

 

 設定で、語尾にニャを付けることになっているのだが、最近改めて見て恥ずかしいパンドラズ・アクターの二の舞いにしないよう彼女を真面目な性格にしていたため、どうもとても恥ずかしいらしく……語尾は小声になっている。

 これが意外に可愛い。これは――ギャップ萌えだろうか?

 

 しかし、彼女の起動(ロールアウト)に際しては、大変な事態になっていた。

 

 

 

 

 

 起動は戦略会議の翌日に行われた。

 アインズは書庫でNPC作成・調整装置に関するマニュアルの、起動に関する項目を一通り読んでいたため、操作に関して余計といえる知識が入ってきていた。

 

 ――『一斉起動』。

 

 それは、起動可能なギルド内の未起動のNPCを、全て同時に起動するものである。

 偶々であった。

 確認でポチポチと各種オプションのプルダウン表示をいじっていた時に誤操作を起こしていた。本来一般のプレイヤーでは起こらないのだが、彼はギルドマスターであるため権限を持っていたのだ。

 城塞都市に関しての設計についてデミウルゴスより確認要請の〈伝言(メッセージ)〉を受け、あと少しだったがアインズは急ぎ一旦NPCの設定操作を終了し席を外した。間もなく指輪でデミウルゴスの下へ移動する。この時、オプションがまさかの一斉起動にシフトされてしまっていたのだ。

 デミウルゴスが提示した都市の基本設計案については概ね認めつつも、立地について水害を踏まえつつ、まず河川や井戸など水源の確保を考慮し拡張性を残して供給面を重視するように指示した後、自室に戻った。

 そうしてアインズは、ついに自作のNPCをおもむろに起動する。

 これまで、最終起動確認まで三度たどり着いて戻っていたため、最後に確認コンソール内の30文字程ある文面中の『~~新規作成のNPCを起動しますか?』と『~~ギルド内の新規作成のNPCを一斉起動しますか?』の差に気が付かなかった……というか下の『OK』『キャンセル』しかまともに見ていなかったのだ。

 この時点で、ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』内の未起動であったNPCはキョウを含め全部で6体存在していた。

 それらが一斉に起動した。

 消費されたレベルは合計377。残りは一気に50程になってしまう大惨事であった。

 まさかの展開をアインズも、この瞬間には気付けずにいた。後の祭りである。

 起動されたキョウは、カプセルから無色透明の液体が抜けて扉が開くと、自分自身で外へ出て装備を装着する。

 もちろん起動した瞬間からすでにNPCのプライバシーを考慮しており、装置前にはホワイトカーテンが支配者によりすでに展開されている。

 アインズは少し緊張している。――新NPCに敵対行動はないだろうかと。

 着終えると、彼女はカーテンを解除して現れる。そして、豊かである胸が若干強調されるコスチューム姿で、速やかに絶対的支配者の前へ跪くと恭しく挨拶して来た。

 

「初めまして、造物主様。キョウにございます。生まれましたこの瞬間より御身へ忠誠を誓います……(ニャ)」

 

 見たところ、礼儀正しく主を敬っている態度であり、設定も――きちんと機能している感じだ。

 どうやら幸いなことに、アインズの最も危惧していた反逆行動は無い様子。新世界移転後の起動でも、至高の者への忠節は、造物主自らの起動時にはまず有効であるようだ。その点だけクリアしていれば何とかなる。

 

「うむ、我が名はアインズ・ウール・ゴウン。アインズと呼ぶといい。これからよろしく頼むぞ。体に問題はないか?」

「はい、アインズ様。違和感や異常は今のところ感じません……(ニャ)」

 

 アインズが安心したこの時に、ナザリックの管理システム『マスターソース』が彼へ注意(ワーニング)を思考内へ電子音で知らせてくる。

 この区画には、ギルドメンバーと同行しなければNPCは入場、入室が禁止されている。その事項に関してのものであった。

 

(んんっ? 一体誰が勝手に入って来たんだよ)

 

 少し不機嫌気味の気持ちになりつつ、一瞬、興奮し我を忘れたアルベドが徘徊か?と思うも、エラーと共に確認用で思考内に浮かび認識出来たリストへ表示された名称を見て愕然とした。

 

(……こいつら――まさか……俺、一斉起動しちゃったのか?!)

 

 アインズは、それらの名前に見覚えがあった。この新世界に来て管理システムの情報を一通り確認している。その中に、ギルド仲間の残していた未起動NPCのリストがあったのだ。

 

「キョウ、部屋を出るぞ……。お前以外に、設定済だった5体のNPCを同時に起動させてしまったようだ……。現時点で、それらは敵味方不明だ。最悪、通路で戦闘になるかもしれん、注意しろっ」

「は、はい(ニャ)」

 

 支配者は備え、素早く唱える。

 

「〈無限障壁(インフィニティウォール)〉、〈上位魔法盾(グレーター・マジックシールド)〉、〈上位全能力強化(グレーター・フルポテンシャル)〉、〈上位抵抗力強化(グレーター・レジスタンス)〉」

 

 そして、いきなり緊迫場面へ放り込まれて緊張気味であるキョウを後ろに率い、自室を飛び出した。

 廊下へ出ると、仲間達の個室から出て来ていた5体のNPC達が、アインズの存在に気付く。彼等は至高の者を素早く認識することが可能だ。

 そして、支配者へ向かい一斉に駆け寄ると―――順次跪いていった。

 ベルリバーさんの作っていた大浴場において、管理人の予定であった麦わら帽子のLv.8であるスケルトン、ダビド爺さん。

 ホワイトブリムさんの作っていた両手に(はさみ)を握った白衣の美容師で、胸の大きい蛮妖精(ワイルドエルフ)の女の子、Lv.60のジルダ・ヴァレンタイン。

 ヘロヘロさんの作っていた、性別不明な謎スライム、Lv.70のエヴァ。

 チグリス・ユーフラテスさんの作っていた、動死体(ゾンビ)の盗賊娘、Lv.64のフランチェスカ。

 そして、最上位悪魔の小娘、Lv.92のヘカテー・オルゴット。ぷにっと萌えさんの作っていたNPCだ。

 

 起動可能状態まで進んでいたためか、新NPC用の各衣装装備も出来上がっていたようで、各自それらを身に付けていた。まあ、スライムには膝も服もないのだが……。

 彼等は順次挨拶と忠誠の言葉を述べる。

 

「お初にお目に掛かります。それがしはダビドと申します。忠誠をここに」

「ジルダ・ヴァレンタインにございます、主様。永遠の忠誠を誓います」

「……………(エヴァデス。不滅ノ忠誠ヲ)」

「至高様ー、フランチェスカでーす。忠誠誓っちゃいまーすっ」

「ヘカテー・オルゴット、御身の前に。我が忠誠を、御身の為に」

 

 内心、ドキドキモノだったアインズは、目の前の者達の従属行動にほっとするも、それを態度に出さず当然の様に重々しく告げる。

 

「良かろう。我が名はアインズ・ウール・ゴウン。アインズと呼ぶがいい」

「「「「「ははっ、アインズ様」」」」」

 

 こうして、新NPCの仲間が増えた。

 ちなみに作成者についてだが、ベルリバーさんはナザリックの第九階層へどでかい入浴場を作った人。ホワイトブリムさんは全てのメイド服と多くのNPC達の装備のデザイン者。ヘロヘロさんは最後まで残ってくれたギルドメンバーで、多くのNPC達のAIを作ってくれた人物。チグリス・ユーフラテスさんはナザリック軍団の洞窟や迷宮探索の際、パーティーの先頭を進んでいた勇者。ぷにっと萌えさんはナザリックの軍師と言える人だ。

 一斉起動から3日。今、新NPC達はもう『同誕の六人衆(セクステット)』という二つ名も貰い、強制休養復帰後のアルベドの下、ナザリック内で仕事に就いている。しかし、キョウを見るアルベドの目だけが、少し厳しい雰囲気で(うらや)む感じにも見える複雑な印象を受ける。

 だが、めでたしめでたしで一件落着と、アインズは考えていた。

 そんなセクステットの内の一人が、処刑となるとんでもない重大事件を引き起こすのはもう少し後の事である――。

 

 

 

 

 

 村人よりもアインズの事情を知っているエンリではあるが、旦那様の持つ組織の全貌は未だ殆ど知らない。彼女はただアインズの傍へ寄り添い、役に立ちたいだけで彼が何者かは問題にしていなかった。それに神様みたいな存在だからと言っても、小さい規模の神殿のような場所の主という感覚でいた。貴族で言えば村をいくつか含む小領地を持っている感じだろうか。

 しかし、登場した大貴族級の馬車の豪華さと、さらに現れた配下というユリとキョウの二人も飛び切り美しく、一体どれだけの規模を率いるお方なのかと、エンリの中で改めてアインズの存在感について大きさが増した。

 彼女は、自分がただの村娘という点で少し及び腰になり掛ける。彼女はネムと手を繋ぎ、その二歩後方にはジュゲム達のゴブリン軍団も控えていた。

 そんな彼女へ、アインズはユリとキョウを引き連れ普通に声を掛けてくる。

 

「エンリ、ネム、この者はシズとソリュシャンの姉のユリ・アルファだ。こっちは、キョウという。キョウは我々が留守中、この村に残る。まあ、仲良くやってくれ」

「お二人とも初めまして。ど、どうも、エンリ・エモットですっ、よ、よろしくお願いします」

「妹のネムですっ、よろしくお願します!」

 

 いつもの元気一杯のネムに対し、何やら緊張気味なエンリの頭を、アインズは軽く撫でてやる。

 

「そんなに緊張することは無い。確かにユリやキョウはお前よりも上位だが、キョウに関しては3日前に加わったところで、お前の方が先輩なのだぞ。それにナザリックは上下関係はあるが軍隊式ではないからな、無礼でなければ緊急時以外は割と普通でかまわん」

 

 キョウが自分より後輩というのにも驚いたが……エンリはそれよりも旦那様のナデナデに集中していた。村長の家や、エモット家で稀に肩へ手を置かれたことはあったが、こうして撫でられるのは初めてであった。――嬉しいっ。

 少しはしたないが、もっと触れて欲しいのだ。しかし、エンリは落ち着いた。いつも圧倒的である旦那様だが、こうして変わらず目の前に居て、自分に気を使ってくれる存在なのだと再認識出来たから。

 まずユリが、落ち着いた雰囲気でエンリへ話し掛ける。

 

「あなたがエンリね。妹達と仲良くしてくれてありがとう。しばらくはキョウとお留守番をお願い。ネム、よろしく」

「はい、ユリ様」

「はいっ、ユリ様!」

 

 そしてキョウがエンリへと話し掛けた。

 

「よろしくお願いします、エンリ。この村の事は話では聞いていますが分からない事もあると思いますから。ネムもよろしく(ニャ)」

「はい、キョウ様」

「はいっ、キョウ様っ」

「私にはキョウと敬称なく呼んでください(ニャ)。それで構いません(ニャ)」

 

 自分に向けられたキョウの言葉に、エンリはアインズへ顔を向け、それとなく窺うと彼は一つ頷いた。

 

「では……キョウ」

「はい、エンリ。それでいい(ニャ)」

 

 二人はニッコリと微笑み合った。

 アインズとしても仲良くやっていけそうで一安心する。パンドラズ・アクターのような設定にしていなくて良かったと。まあ、アレも悪人ではないのだが……周りや他人の事を余り考えないのはまずい事だと、カルネ村騒動の前日、確認でコッソリ宝物庫を訪れた折、目の前で繰り広げられるヤツの行動を改めて見て、8年の歳月の経過と共に痛感させてくれた……。

 

「ジュゲム達もエンリと村の事を頼むぞ」

「へい、御屋形様。この命に代えましても」

 

 ゴブリン軍団は、エンリの性格との相性も考慮されているのか、機転が利く働き者揃いであった。エンリ直属であり、一応、彼らもナザリック傘下に含まれる。村人らと上手く交流しつつ、村落の外れ近くに自分達の家をすでに作り始めており、村の防壁の計画も急速に進めつつあった。

 

 この時、カルネ村から少し離れたトブの大森林の出口近くの巨木の枝影に、人知れず小部屋程もある大きさのモンスターの姿があった。

 その姿はどう見ても――どデカいハムスター。

 『彼女』は先程、この場を訪れていた主と会話を交わしていた。

 

「殿、それがしはお留守番でござるか?」

「ああ。流石に馬車に乗せる場所もないからな」

「走って付いて行ってもいいでござるよ?」

「それに、そもそもお前は『まだ誰の配下でもない』ことになっているのだから不味いだろう」

「……そうでござった……劇的な主従の出会いであったのに残念でござる」

 

 アインズは目の前の者の言葉で、戦略会議後にアウラと森を訪れた時の事を思い出す。

 

 

 

 

 

 戦略会議が終わり、皆が会議室を後にする。

 アルベドはあのままシャルティアやマーレらに連行され、第五階層の『氷結牢獄』にいるアルベドの姉であるニグレドのところまで連れていかれた。公けには2日の自主休養となっている。

 ニグレドは姿的にアルベドとほぼ同じ背丈と体形を持つが、顔面の表皮が失われているという唯一だが非常に大きい差がある。また戦士のアルベドに対して、魔法詠唱者として優れており、情報収集に特化している。レベルも90を誇り、アルベドやルベドをも姉として統制下に置ける存在だ。

 ただ、彼女は赤子に関して『亡子を求める怪人』という設定があり、一部変人でもある。なので何人(なんぴと)も赤子的モノを何か渡さないと襲われ、会話にすら入れないのだ。

 あそこへ運び込まれてはアルベドもそう簡単には動けない。

 そんな結果報告を「以上でありんす」とシャルティアから〈伝言(メッセージ)〉で受けたアインズは、間もなくアウラと共にトブの大森林傍へと〈転移門(ゲート)〉を使い現れる。

 折角だというので、二人はアウラが提案した格好をしていた。

 アインズは、〈上位道具創造(クリエイト・グレーター・アイテム)〉でモモンの姿に。一方アウラは、あの紅い杖を持ち純白ローブにフードを深くかぶり、マーベロになり切っていた。なにせ双子なのだ、背格好は同じで歩く特徴まで良く掴んでいた。

 この格好なら、目撃者がいても冒険者モモンチームが森へモンスター狩りに来ているという話に出来る。

 しかしアウラがこうしたかったのは、実はマーレが主と手を繋いでいると聞いたからなのだ。自分も手をずっと繋いでいたいと、このペア姿を思い付いていた。

 アウラは今、アインズと手をしっかり繋いでいる。ウキウキワクワクである。

 

「……モモンさん、行きましょう。こっちです、少し歩きますが」

「うん、分かったよ」

 

 二人は暫くトブの大森林の中を進んでいく。南北に走る山脈の南部を取り囲むように広がる大森林は100キロを優に超えて続いている。狭い部分でも幅十キロはあり、普段はモンスターが居住領域とし跋扈するため人は入れず、迷い込むと脱出は困難に思える。

 しかしアウラは独特の感覚で、まるで庭を歩くように迷うことなく『森の賢王』の居場所を探知していく。

 この自然の多い新世界では、アウラが傍にいればどこででも安全に生きていけるはずである。

 

(楽しいなぁ、森の中をアインズ様と二人きりで手を繋いで散歩なんてっ)

 

 アウラは楽しみつつも、標的に近付いていく。

 その間、彼女は北方探索の話を色々してくれた。その中で報告にもあった、蜥蜴人(リザードマン)の村落の一つで魚が養殖されている話は興味深かった。リアル世界では養殖の歴史は結構古いが、それを亜人達がしているとは。それは中々先進的といえる発想であるからだ。そして普通に人並みの知力を持っているという事。

 そうして、のんびりと一時間ほど森の中を進んだところで、アウラが知らせてくれる。

「ヤツのテリトリーに少し入りました。……来ます」

「……俺が相手をするから。下がっていて」

 

 「はい」と言いつつ、アウラ扮するマーベロが一本グレートソードを抜くモモンから離れ後方へと下がった。

 ここは古い木が倒壊した跡なのか、森の中ながら少し広めの空間が出来ている場所。

 間もなく、周囲へ広がるような感じに全方位から声が聞こえてきた。

 

「……その身形、どうやら迷い込んだという訳ではござらぬな。ここはそれがしの縄張りでござる。今なら見逃してやるがいかに?」

 

 中々良心的なヤツのようだ。不意打つチャンスを棒に振るとは。

 だが、アインズとしては愚か者とは思っていない。

 

「悪いな、森の賢王。お前に用があって来たんだ。お前はこの百年以上、この地域を縄張りにして来たと聞く。この周辺では力が十分にあるのだろう。だから、単刀直入に言おう――俺の配下になれ。そうすれば縄張りもある程度安堵してやろう」

 

 モモンの言葉に森の賢王は答える。

 

「それは、それがしに勝ったらの話でござろうな。参るっ」

 

 その言葉と同時に、左斜め前方から素早く鋭い物がモモンへと飛んで来た。

 モモンは即座に反応し、グレートソードを盾にし受けて弾く。感触からかなり重く固いものだ。

 

「うおっ、見事な防御! これは本気を出さざるを得ないでござるな」

 

 周囲の森をザザッと駆け抜ける音。

 そして素早く風を切る鋭い物が、再び右側面よりモモンへ迫る。

 モモンは再びグレートソードを盾にしようとしたが、その迫る先端が急に折れる様に軌道を変化させ襲ってきた。

 モモンは首を振って躱しつつ、もう一本のグレートソードも抜き放った。

 

「むうっ、これも躱すでござるかっ、そなた中々やり申すなっ」

「そりゃどうも。そろそろこっちの番かな?」

 

 そう言って振り向いたモモンは、目の前に姿を現した森の賢王の姿に固まった。

 体長は3・5メートルは有るだろうか。熊よりも遥かに大きい、しかしその姿は――ジャンガリアンハムスター。

 

「いや、まだまだでござるよっ。次は――」

「ちょっと待てっ……お前の種族はジャンガリアンハムスターと言わないか?」

「――! それがしの同族を知っているでござるかっ。それがし、200年、ずっと一人でござった。どこで見たでござるっ? もし同族がいるなら会いたいし、可能なら子孫を作らねば生物としてご先祖に申し訳ない故にっ」

 

 戦いそっちのけで、森の賢王が尋ねてきた。

 

「い、いや、良く似た掌に乗るほどの生物を見ただけなんだ……」

「幼子でござるか?」

「……いやそれで成体なんだ。それに、む、昔の話でもういないんだ……」

「そうでござるか……それがし、やはり一人なのでござるかなぁ……」

 

 戦いの最中に、森の賢王は俯きしょんぼりとする。

 アインズも今は仲間達に会えずに一人きりなのだ、その気持ちは良く分かった。

 

「お、おい、……悪い事を言ったなぁ。詫びに出直してこようか?」

「いや良いでござる、戦いは戦いでござる。まだまだでござるぞっ」

 

 戦士と対峙する森の賢王は、胸を反らす様にするとお腹に紋様が浮かび上がらせる。戦闘は再開された。

 

「これはどうでござるかっ、〈全種族魅了(チャームスピーシーズ)〉」

 

 アンデッドには精神系の魔法は基本無効化され効かない。モモンは魔法攻撃をそのまま気にせず、グレートソードを森の賢王の胴は狙わず、太い後ろ脚付け根へと突き込んだ。

 しかし、その攻撃は金属的である甲高い音をさせ、毛皮だけで弾かれる。

 

「へぇ、頑丈なんだ」

「ふふふっ、驚いたでござるか?」

 

 機嫌を取り戻した森の賢王は少し楽しそうである。百年以上も縄張りを守ってこれたということは、好敵手は少なかったのかもしれない。

 それと今のモモンの攻撃は、現状のLv.30程度において、手は抜いていない十分破壊力のある攻撃だ。全力では無かったが、まともに受けてケロリとしているとは。

 防御力はデス・ナイト並みかもしれない。

 

「お前は、殺し合うのが好きか?」

「……いや、余り好きではござらんよ」

「じゃあ、なんで今、少し楽しそうなんだ?」

「それは――そなたの剣には殺気がないからでござるよ。そう、お遊びでござるな」

 

 モモンは僅かに驚く。彼はもとが戦士ではないので、そういった感覚は分からないのだ。だが、この森の賢王はちゃんと感じ取れるらしい。

 ますます、アインズには殺す気が無くなった。

 

「しかし、中々鋭い攻撃でござるな、封じさせてもらうでござるっ、〈盲目化(ブラインドネス)〉」

 

 攻撃もモンスターにしては良く考えてくる。精神攻撃では無いので、アインズにも有効といえる魔法攻撃だが、彼は低位の魔法を一切無効化する種族的特殊技術(スキル)も持っているので、残念ながら通じないものだ。

 ユグドラシルで魔法を行使するモンスターの使える魔法数は八つ程度が基本。コイツもそれぐらいだろうかと、アインズは少しユグドラシルのモンスター戦の感覚を思い出していた。

 殺す気は無いが、決着はきちんと付ける必要がありそうだ。

 そう思いアインズは、戦士モモンとして全力を出す。森の賢王へと二本の剣を素早く振るった。しかし森の賢王も前脚の爪は強固で、硬質なグレートソードを素早い動きで全て受け切ってくる。

 そんな中、ついにモモンの一撃が、森の賢王の防御を抜け右肩先の皮膚を掠める。剣が毛の隙間を通り身を僅かに削ったようだ。少量だが血が舞い、毛も数本が散っていく。

 

「むっ、なんと!」

 

 身を切られたことに驚き、森の賢王は次の剣撃が迫る前に大きく距離を取り後退する。

 だが、アインズは今のモモンとしてこのまま戦っても、大差が付かないと感じた。なので、追い撃つように唱える。

 

「〈完 璧 な る 戦 士(パーフェクト・ウォリアー)〉」

 

 森の賢王は距離を取ると、すぐさま長い尾による目にも止まらぬ攻撃を放った。

 しかし、モモンは右手の剣を地に突き刺すと――飛んで来たそれをガッチリ右手で掴まえていた。左の剣を背に収める。

 

「な、なんと、我が尾を掴むでござるかっ! むっ?」

 

 渾身の力で尾を戻そうと引っ張っても、もはやそれはビクともしなくなっていた。目の前の戦士とは圧倒的に思える体重差と筋力差があるはずなのにだ。

 森の賢王の表情に戦慄が走る。そこへ戦士からの声。

 

「終わりにしよう、森の賢王」

 

 その声と同時に森の賢王は、ズルズルと戦士の方へと圧倒的剛力で尾を手繰り寄せられていく。

 

「そ……そなた、一体……何を……」

「悪いなぁ。少し本気を出させてもらった」

 

 動物の直感とでも言おうか、森の賢王は大人と子供以上の凄まじい力の差と、すでに直ぐ背中から聞こえたそんな戦士の声に――こう告げた。

 

「ま、参ったでござる。降伏するでござるよっ」

 

 森の賢王は、その意を仰向けに柔らかそうな銀の毛の腹部を見せる事で示してきた。

 

「今、周辺に我々以外は誰もいないか?」

「はい、いません。アインズ様」

 

 戦士からの重々しい声に、白いローブの娘が答える。

 森の賢王は、仰向けのままでその様子を見ていたが、戦士がゆっくりと面頬付き兜(クローズド・ヘルム)を脱ぎ去る。その顔は骸骨。アンデッドであった。更に、彼は絶望のオーラIを纏う。

 森の賢王は――仰向けのまま震えだしていた。

 

「そ、それがし……殺されるのでござるか……」

「我が名はアインズ・ウール・ゴウン。配下にならないかと初めに言ったであろう? 私に仕えるのならその生を許そう。それに――同族探しにも協力してやろう、どうだ?」

 

 森の賢王は腹部を見せた仰向けのまま、伏して拝むようなポーズをとりつつ答えた。

 

「あ、ありがとうでござるよっ! 助命して頂いた上、ご助力までっ、心より絶対の忠誠をお返しするでござる! 森の賢王、これよりこの身は、偉大なるアインズ・ウール・ゴウン様の為に!」

 

 アインズはこの者を『ハムスケ』と命名する。そして、その縄張りも安堵してやった。

 

 

 

 

 

「(劇的かは微妙だが……)すまんな。ハムスケにはこの場で、森の賢王としてカルネ村周辺の森側の秩序を保ってもらわなければならん」

「……分かったでござる、殿」

 

 その会話の後に、主人は先程村へ戻っていった。

 ハムスケは、アインズの事を『殿』と呼ぶことにしている。主人であるからだ。そして自分は情けと恩ばかり受けている身であり、名でお呼びするのは畏れ多いという気持ちからでもあった。

 今は、不在の留守を守り、主人の期待にはしっかりと応えたいと考えている。

 彼女は、カルネ村から出発し畑の中の道を進み離れていく殿の乗る馬車を、大木の枝上より静かに見送る。

 ハムスケは、気付いた時からこの森でずっと一人で生きてきたが、初めて自分を圧倒する者が現れた。このトブの大森林はまさに弱肉強食の世界。ハムスケ自身もこれまでに名を上げようと密かに討伐に来た数百の人間や千に近いモンスター達と相対し、戦えば容赦なく屠ってきた。それ故、戦い、それに敗れれば殺されるのもやむなしと考えている。

 そこへ、アインズは戦う前から配下にならないかと言って来た。そんな事を言う者は初めてであった。

 しかしハムスケとしては初め、配下とは奴隷の如き形だと思ったのだ。人間には貴族という領主がいて、領民を虐げているのを知っていたから。だから、負けた後なら死んだも同じ状態だと思い『それがしに勝ったら』と告げていた。

 今実際に、アインズの配下になっているが、殿は優しく個の存在をきちんと認めてくれており、一人では無い思いと温もりを感じている。配下になって4日経つが、これまでに毎日、殿の部下という者が会いに現れる。

 

(仲間がいるのも悪くないでござるなぁ)

 

 仲間がいることで、一人では諦めかけていた『いつか同族にも会えるかも』という気がしてきている。

 殿を見送り終わるとハムスケは、森の巡回へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 八足馬(スレイプニール)の引く馬車は、南のエ・ランテル経由ではなく、西への細い街道を通って、王都への中間にある大都市エ・ペスペルへ向かうエ・ランテルからの街道に脇から最短で合流する進路を進む。この裏街道では幾つか森も通る。アインズ一行はそこで姿を晦まし、途中の4日分程をショートカットするつもりでいる。

 この箱型馬車の室内はかなり広い。扉は前と左片面に一か所ずつ。縦に少し長く、前部の御者席へ扉から出入り可能。最後尾に三人席があり、扉の無い側面に沿っても席があり向かい合うJの逆さのような形で、扉前の空間兼一部通路がありこの部分で5、6人掛けられる。さらに、前部の扉までに前へ向かい2人座れる席も後ろと背合わせする形で造られ、計7、8名が座れる形だ。内装は座席部が落ち着いた紺色で内壁は白である。

 最後尾の席にアインズとルベドが座り、それと向き合うようにシズとソリュシャンが座る。ルベドがこの位置に座るのは勿論、姉妹が揃っているのをバッチリ眺める為だ。今回は偶にナーベラルやユリとも入れ替わるバリエーションの豊富さを誇る。ルベドのワクワク感と口許のニヤリが密かに止まらない。

 一方、アインズは窓に流れる風景を横目に、今は王城からと王国戦士長から別々に届いた手紙を、眼鏡形状の解読アイテムを通し読んでいた。

 王城からの手紙は、王家の封蝋が有る正式の招待状で立派な筒に収められたものだ。旅費であるのか金貨5枚も添えられ、使者が2日前に村を訪れていた。

 内容は、此度の様々な行為に感謝を伝えたく王城へお越し頂きたいというものだ。署名は大臣クラスの人物だろうか。

 そして、ガゼフからの手紙を改めて読む。アインズの眼差しが少し緩む。

 彼の手紙は、王城からの使者よりも一日早く着いていた。

 

「ふっ、律儀な人だ」

 

 アインズは嬉しそうにそう呟いた。

 

 

 

 リ・エスティーゼ王国の王国戦士長ガゼフ・ストロノーフは、カルネ村を後にした二日後の夜に王都へ帰還すると、急ぎその二日後、王城ロ・レンテ内の広い会議室にて、今回の出陣についての報告を王ならびに大臣や有力貴族たちの並ぶ前にて行なった。辺境の領地絡みの報告に、これだけの顔ぶれが揃うのは異例である。ひとえにスレイン法国の精鋭の出現が内容にあった事によるものだ。近隣では帝国を優に凌ぐと言われる国家。現在帝国を相手に毎年のように思わしくない戦費が消費されており、さらに強大な敵が増えるとなると国家存亡にも簡単に結びついてしまう。皆が傾注してこの場に座っていた。

 一応という形で、押収した敵騎士の鎧一式もその場に引き出されて置かれている。

 

「鎧はバハルス帝国の物のようですが、敵の騎士や魔法詠唱者は間違いなくスレイン法国の一団でした。村を正面から襲った別働隊の騎士団が60名近く、本隊の六色聖典の一つ陽光聖典の者が45名と合わせて100名を超える部隊です。被害は辺境の5つの村に及び、そのうち4つは焼き討ちまでされ……全滅しております」

 

 ガゼフはここで一瞬目線を横に逸らせる。その原因が自分を引き寄せる為の物であったからだ。自分の所為ではないが、国民を守る身として気持ち的には本当にやりきれないものがある。

 

「合わせて国民の650名以上が犠牲になったと思われます。最後のカルネ村だけが、旅の者達と思われる助力者の魔法詠唱者アインズ・ウール・ゴウン殿一行が駆けつけてくれたおかげで、村を正面から襲っていた騎士団は殲滅され、王国国民の80名以上の者が救われました。最後に村を包囲する形で登場した陽光聖典の戦力は、今回赴いた我ら王国戦士騎馬隊を大きく上回るものです。わたくしも全力で敵へと向かいましたが、残念ながら全てを倒すのは不可能と思われる戦力水準でした。しかし、彼らもゴウン殿により完全に撃退されたと思われます。その後全く姿を現しませんから間違いないかと。不本意ながら我ら王国戦士隊も、全員重傷で正に危ないところを入れ替わって助けて頂きました。なお我が隊に欠員は出ておりません。以上が報告となります」

 

 王国戦士長の報告が終わると一同からざわめきが起こる。そして当然のように彼へと叱責の言葉が飛んできた。

 

「なんとも情けない事ですな、王国戦士長殿。この王国最強の戦士が、旅の無名の人物に助けられるとは」

「全くです」

「最強の名が泣いておりますぞ」

 

 いずれも貴族派閥側の人物達だ。

 ここは、スレイン法国へ抗議するかや、今後の対策という話の方が先だと考える思いもある。

 だが、今回はガゼフ自身も彼等からの言葉をただ沈黙で返すほどの報告内容であった。他国が起こしたとはいえ、自分が火種で国民が犠牲になる事象を自力では解決出来なかった。さらに、王への忠義の道半ばで死ぬところであったのだ。

 それだけにガゼフは――国民を代わりに救い、強敵を退けたゴウン殿の功を評価して欲しいと感じていた。

 

「確かに。王命を受けながら、十分に戦果を上げることが出来なかった事、慚愧に堪えません。今後、より精進しこの借りを返したく存じます」

 

 戦士として凄まじい気勢を込めて述べると、その雰囲気にざわめきは鎮まった。さらにここでガゼフは進言する。

 

「御一同の方々、今回、私を含め王国戦士騎馬隊が負けていた場合、その後どうなっていたかをご想像していただきたい。そして、それが起こらなかったのは、どうしてなのかをお考え頂きたい」

 

 ここで、60の歳を迎えた白髪の王であるランポッサIII世が、忠臣の思いを汲み、またその旅の者の確かな功績を考えて意見を述べる。

 

「うむ。強敵を撃退し、我が忠臣達と国民を救ってくれた事を、そのアインズ・ウール・ゴウンなる人物に会って礼を伝えねばならんな」

 

 王のその言葉により、王国戦士長は主君に感謝し、この件に関しすべて清算されたかのように穏やかな表情に変わる。アインズの王城への招待についても、会議のあと直ちに動き出した。

 しかしそれは、良い事ばかりではない。

 貴族派閥側の者達は確かに聞いた。王国最強の戦士が適わない連中を、撃退するほどの者達なのだと。

 

 これは――味方に引き入れれば、国王派閥の切り札も恐れるに足らなくなると。

 

 

 

 

 馬車にてアインズが読んだガゼフの手紙には、こう記されていた。

 

 『ゴウン殿お元気か。この前は大変世話になった。おかげで部下も皆元気に働いている。先日、国元にてスレイン法国による襲撃の件について報告を行った。その際、我が国王陛下におかれては、貴殿の助力とその功に感謝の意を直接伝えたいとの事で、めでたく招待する運びになると思う。近日、招待状がそちらへ届くと思うのでよろしくお願い申す。ただこちらへ来られる際、貴殿らのその類まれである力を利用しようとする、低俗な者達が現れ不快に思われるかもしれない。その点を先にお詫びさせて頂く。王都まで良い旅であることを願っている。王城で貴殿とお会いすることを楽しみにしている。それと、是非我が家へ来てくれることを願う。酒でも飲もう。では』

 

 まさにあの者らしい文面である。

 アインズが、低俗な側へと向く事など全くないと信じている文言であった。

 絶対的支配者は、改めて思わず小さく声を漏らす。

 

「ふふふふっ」

 

 アインズは、真っ直ぐな人間が嫌いでは無い。その生き様が眩しいのだ。

 主の漏らす機嫌の良い笑い声に、シズやソリュシャン、そしてナーベラルにも口許に笑みが浮かんだ。

 もちろん、それら楽し気である姉妹を見ているルベドも内心ニヤニヤとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――P.S. 戦略会議

 

 ちなみに、先の周辺地理調査では以下の順番と内容で報告されている。

 

 アルベド(南方担当 最も速かったが、質は充分も量が4人中最小)

 シャルティア(西方担当 質と量は充分)

 デミウルゴス(東方担当 質と量は充分)

 アウラ(北方担当 最後だったが、質と量で最大)

 

 そして今回は、戦略会議での守護者らの醜態を反省し、全員が褒美に関して辞退した。

 しかし、アインズは何かないかとあとでコッソリとそれぞれ皆に尋ねる。

 するとデミウルゴスは、「もう最高の物を頂いております。アインズ様がご健在であればそれだけで十分にございます」と答えた。

 彼にとっては会議で、ナザリック至上主義方向へ進む計画を支配者より聞き、それの概案作成を任された事が最大のご褒美なのだ。

 コキュートスも、「先陣コソ最高ノ御褒美デアリマス!」と。

 セバスは静かに一言、「執事の身には過分です」と固辞。

 シャルティアは、こっそりと「では……お姫様だっこを」と日課のアンデット作成ついでの夜の霊廟内デート。

 自分からは我が君へ抱き付きと積極的だが、いざされる側に回ると意外に照れて素直であった。抱き上げられるもじっとし、我が君の胸に赤く染めた頬を静かにスリスリしていた。

 最近は胸パッドも入れていない。下着だけでとレディーの嗜み程度に留める。主の『飾らなくとも十分綺麗でかわいい』の言葉以来、余り気にせず有りのままのサイズで通している。あの一言で随分気が楽になっており、その点を彼女は感謝していた。別れ際もナデナデをしてもらえ満足する。ただ、一応すでに用意してあるダブル棺桶ベッドへお誘いするも、共に入ってもらえなかったのは少し残念そうであった。

 アウラは、御手手繋いでのトブの大森林デートで満足。

 マーレはすでに冒険者パートナー&デートで満足。

 そしてアルベドは、第五階層の『氷結牢獄』にて見舞に来たアインズからお昼寝時に膝枕をしてもらい、もろもろの溜飲を大きく下げていた。

 ただ、膝枕当初は、ナデナデまでされ「くふぅーーー! くふーーーーーー!」と仰向け状態で歓喜を連発して恍惚状態に陥り、まあ昼寝どころではなかったが……。

 

 とりあえず、今のナザリックは皆、平和で幸せそうである……。

 

 

 




補足)捏造設定
本作では、新規NPC起動段階でユグドラシル金貨の消費等は起こらない。
ボディ形成(最低Lv.1必要)やレベル設定確定時に前払いで支払っているため。



一気に六体もNPCを出しちゃいましたが、キャラ分けはハッキリしているんじゃないかと。

温泉の管理人な麦わらのスケルトン爺さん。
鋏使いの白衣な巨乳エルフ。
スライム。
ゾンビなフランチェスカ……眼帯はしていない……。
デビル娘……尻尾ありますよ。
そしてネコマタでニャー。




『氷結牢獄』、ニグレド、お昼寝……アルベドがどんな姿でいたかは語られていない……。
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