超次元ゲイムネプテューヌ The Dhumeisyonn Angel!   作:裏の傍観者

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主人公であるアルトが初のラステイションへ!


第4話 黒と紺

~ノワール視点~

 

私は未だにあのときのことを何度でも思い出してしまう。

怒りに我を忘れ、誤解したまま戦って切り落としてしまった彼のことを。

なぜ気づかなかったんだろう。

彼は武器を出していたなかった。

いや、持ってすらいなかったのだ。

武器を持っていないにも関わらず助けに来てくれた彼を私は・・・。

 

「・・・・!!」

 

斬ってしまった感触を思い出してしまう。

彼は信号弾を射出し後退した。

逃がすまいと追撃し、彼の左腕を肩から叩き斬った。

彼のフライトユニットが限界に達したのか、飛んでいるにも関わらずフライトユニットをパージ。

パージした瞬間爆発し、彼はそれに巻き込まれて地上に墜落した。

 

「・・・・もう嫌・・・。」

 

なにもかもすべてを投げ出したくなった。

 

~アルト視点~

 

出発の準備が整い、教会の外にでる。

それに続いて、ネプテューヌとネプギアも出てきた。

偶然、世話になった2人に会う。

 

「アルトじゃない!」

 

「アルトさん!体の方は大丈夫ですか?」

 

「アイエフ、コンパ。あの時はありがとう。」

 

「私は当然のことをしたまでよ、気にしないで。」

 

アイエフと握手を交わす。

 

「お、あいちゃん!コンパも来てくれたんだ!」

 

「ねぷねぷにギアちゃん、こんにちわです!」

 

ネプテューヌ達は相変わらず賑やかだった。

そういえばアイエフとコンパはネプテューヌの親友なんだったな。

仲がいいのも頷ける。

 

「人間である私達がネプ子達と仲がいいのは不思議?」

 

「正直な、ネプテューヌはあれでも一応女神だしな。」

 

「そうね。」

 

思わず笑ってしまう。

記録では、女神は天界から下界をいつも見守っていると記されていた。

普通なら人間は女神に近づくことはできなかっただろう。

だが、俺の前にいる女神は違う。

ネプテューヌとネプギアはいつも身近な存在として人間と仲良く接している。

こんな女神もいるんだな。

 

「ところでアルト、左腕いつ治ったの?」

 

アイエフは俺の左腕をみて驚いていた。

コンパもそれに気づき・・・。

 

「ひ、左腕が生えてるです!?アルトさん、人なんですか!?」

 

なんて、化け物を目の当たりにしたかのような驚き方をしていた。

 

「一応人だけど、・・・なんか自信なくしてきた。」

 

俺でもよく分からない。

 

「おっと、そろそろ行かなきゃな。」

 

「ラステイションに行くんでしょ?」

 

「あぁ。」

 

フライトユニット、ブラックホークをコールし、背中に装着する。

ネプギアに協力してもらい、なんとか復元することができた。

 

「そう、なら留守は任せなさい。」

 

「いってらっしゃいです!」

 

「行ってくる!」

 

「お土産買ってくるからね!」

 

「アイエフさん、コンパさん留守の間お願いします!」

 

高度をあげ、ラステイションのある方向へ飛行を開始した。

そいえば、お袋に言うのを忘れていた。

メール画面を開き、お袋宛にメールを送信する。

 

「これでよし。」

 

「何してるのアルト?」

 

女神化したネプテューヌが接近してくる。

 

「お袋にメールだ、大したことじゃない。」

 

「そう、それじゃ飛ばすわよ!」

 

「お姉ちゃん待って!」

 

ネプテューヌとネプギアは加速し距離がどんどん離れていく。

少しはこっちのことを配慮してもらいたい。

 

「ヘリだから飛ばせないぞ~、・・・まぁいいか。」

 

ルートはしっかり把握しているし、たどり着ければいいと思った俺はゆっくりと空の旅を堪能した。

 

~イストワール視点~

 

執務室で書類に目を通している途中、メールが1通届いた。

送り先はアルト。

 

「・・・・フフ。」

 

本文には『いってきます』の一言しか書いてなかった。

いってらっしゃいと本文に書き込み、返信する。

メールは無事送信された。

 

「それにしても、仕事がはかどりますね。」

 

アルトさんのおかげで皆さんと同じように生活することができるようになった。

それにしても、いつの間にそんなことができるようになったのでしょうか・・・?

まぁ、息子の成長だと思って様子を見ることにした。

 

「イストワール様、お邪魔します。」

 

「お邪魔するです!」

 

「アイエフさん、コンパさん。」

 

席を立ち、2人を迎える。

当然、私を見たら2人は反応するわけで・・・。

 

「イストワール様!?どうしたんですかその体・・・!」

 

「私達と同じ大きさになってるです!」

 

「アルトさんにやってもらいました。生活に困ることがなくなって助かってます。」

 

さて、2人に紅茶でもいれましょう。

コンパさんはいつも通り昼食を作ってくれて、アイエフさんは私が頼んでおいた仕事の報告書を処理。

彼女達に負けないよう、いつも通り書類を片付けていった。

 

~アルト視点~

 

長い空の旅を終えた俺たちは昼丁度にラステイションの教会前にたどり着いた。

フライトユニットを格納し、ネプテューヌとネプギアも変身を解いた。

ここがラステイション・・・。

工業が盛んで、毎日新しい技術が産み出される黒の大地。

実際にこの目で見るのは初めてだ。

 

「アルト、ここがノワールの教会だよ。」

 

「あら、丁度いいタイミングで来ましたわね、ネプテューヌ。」

 

教会から2人の少女と女性が出てきた。

 

「ベール、ブラン!」

 

「こんにちわ、ベールさん、ブランさん。」

 

「ネプギアちゃん!あぁ、来てくださったのね!」

 

認証して納得した。

ここにいる2人も女神だ。

ルウィーの女神、ブラン。

リーンボックスの女神、ベール。

 

「あら、そちらの方がイストワールの?」

 

ベールがこっちに気づいたようだ。

 

「うん、いーすんの息子アルトだよ!」

 

「アサルトです、ネプテューヌ達のようにアルトと呼んで構いません。」

 

「目が覚めたのですね、元気そうで何よりですわ。私はベール、リーンボックスの女神ですの。」

 

「私はブラン、ルウィーの女神よ。聞けば左腕を切り落とされていたのよね、治ったのかしら・・・?」

 

ブランが俺の左腕を見る。

 

「もう大丈夫です。」

 

「そう、ではそろそろ中に入りましょうか。」

 

ベールに案内されて教会に入る。

エレベーターに乗り、執務室のある階まで登り到着した。

部屋に入り、教祖と思われる人物に迎えられる。

 

「ようこそラステイションへ、君がアルト君だね。」

 

これまたボーイッシュな人物だな。

一瞬男子に見えたが、よく見ると女子だった。

 

「僕は神宮寺 ケイ、この教会の教祖を勤めている。」

 

「アルトです。」

 

互いに握手を交わすと、ケイはすぐに向き直る。

 

「この度は申し訳ないかった、イストワールの息子である君を・・・。」

 

「それについては気にしないでください。原因は俺にある、それに今回謝罪を受けに来たわけじゃない、ノワールと話がしたくてきたんですから。」

 

「分かった、彼女の部屋に案内しよう。」

 

案内されるはいいが、全員でいったらノワールとしては気まずいだろう。

ここは俺一人でいくことにする。

 

「ここからは俺一人でいく、すまないが待っててもらえるか?」

 

「うん、頑張ってねアルト!」

 

「無理はしないでくださいね。」

 

「適当に時間潰して待ってるわ・・・。」

 

「頑張ってくださいまし。」

 

皆に見送られ、ケイに案内されてノワールの部屋に到着した。

それにしても大きな扉だな・・・。

 

「ここが彼女の部屋だよ。開けて中に案内してあげたいけど、鍵を掛けられてるみたいだ。」

 

「案内してくれただけでもありがたいですよ、ここからは俺一人でいきます。」

 

「分かった、健闘を祈るよ。」

 

ケイは執務室へと戻った。

さて、鍵はかけられているだろうから中に入ることはできないな。

試しにノックをする。

 

「・・・・。」

 

返事がない。

すると、扉のしたから紙が出てきた。

拾って読み上げる。

 

ー面会謝絶中。

 

たったこれだけした書いてなかった。

 

「そういう訳にもいかないんでな、強引だが失礼するぞ。」

 

ドアノブに触れ、システムで鍵を解除する。

ドアノブを回し、ゆっくりと扉を開ける。

中は光がひとつも通っておらず真っ暗だった。

部屋に入り、扉を閉めて鍵をかけ直した。

視界を暗視装置に切り替え、部屋を見渡す。

ノワール本人を確認した。

彼女はなにかに怯えていたのか、震えながらベッドでうずくまっていた。

 

「・・・・。」

 

ゆっくりと彼女に近づく。

すると・・・。

 

「来ないでって言ってるでしょ・・・!!」

 

弱々しい声と同時に、剣が俺の目の前で床に突き刺さっていた。

 

「そういう訳にはいかない。」

 

「え・・・・?」

 

カーテンを開けて、部屋を明るくする。

日差しが入り、光はノワールがうずくまっているベッドに集中する。

 

「すこし換気するぞ。」

 

窓を開け、風を通す。

 

「3日ぶりだな、ノワール。」

 

彼女は何が起こっているのか、混乱していて動かない。

多分、亡霊が自分に復讐するためにやってきたとでも思っているのだろう。

 

「皆の手を焼かせているみたいだな、心配していたぞ。」

 

「だ、誰・・・?亡霊なの・・・!?」

 

ノワールがベッドから離れ、俺から遠ざかろうとする。

幽霊でも見ているかのような怯えた目をしていた。

 

「ごめんなさい・・・!お願いだから来ないで・・!!」

 

「しっかりしろ!」

 

ノワールの両肩をつかむ。

ひどく震えていた。

 

「まず俺は死んじゃいない、この通り生きてる。」

 

「ほ、本当に・・・?でも・・・あの時・・・!」

 

「確かに叩ききられたけどな、フライトユニットが勝手に爆発してそれに巻き込まれただけだ。ノワールのせいなんかじゃない。・・・嫌な思いをさせて悪かった。」

 

彼女は我慢していたのか、涙を流していた。

そっと頭を撫でてやる。

 

「よかった・・・本当に・・・!」

 

「あぁ、だからもう気にするな。」

 

しばらく彼女を落ち着かせて、ベッドに座らせる。

部屋に丁度紅茶セットがあったので、お湯を沸かして紅茶をいれる。

紅茶の入ったカップを彼女に手渡す。

 

「あったかい内にどうぞ。」

 

「ありがとう・・・。」

 

俺は椅子を借りてそこに座る。

 

「それにしても、目を覚ましてネプテューヌに聞いたときは驚いた。」

 

「私もよ・・・、無事だったのね。」

 

「皆のおかげでな、気分は落ち着いたか?」

 

「うん、ありがとう。」

 

飲み終わったカップを片付ける。

さっそく本題に入ろう。

 

「自分を責めていたのか?」

 

「・・・・・。」

 

「さっきも言ったがあれはノワールのせいなんかじゃない。気にするな。」

 

「気にするわよ!だって・・・私あの時確かにこの手で叩き斬ったわ・・・。左腕が切り落とされるのをはっきりと見たのよ!気にするなって言われても無理よ・・・。」

 

「それ以前の問題だ、俺がもっとノワールに呼び掛け続けていれば、こんなことにはならなかった。それに、妹のためだったんだろう?」

 

「・・・・・うん。」

 

「俺はもう許しているし、復讐しようとかそんなことは一切考えていない。」

 

「どうして許せるの!?なんで復讐しないの?」

 

「人のために頑張ってるやつを俺は恨んだりしない。例えその理由で俺が攻撃されてもな。ただそれだけさ。」

 

立ち上がり、窓から空を見上げる。

さて、これからどうしようか。

 

「ねぇアルト・・・。」

 

「なんだ?」

 

「貴方ってイストワールの息子なのよね?」

 

こいつはあれだな、イストワールの息子なのに全然そうは思えないという話が来るな。

 

「イストワールの面影すらないじゃない。」

 

「確かにな、あるのは記録だけだ。それに、お袋が俺を造ったことに変わりはないし、お袋はお袋だ。」

 

「しっかりしてるのね。」

 

「ノワールほど真面目ではないけどな。」

 

運動不足なせいか、体の動きが鈍い。

彼女も3日間部屋に籠りっぱなしだったからきっと彼女も・・・。

 

「少し体動かさないか?目覚ましてから運動してない。」

 

「そうね・・・、もしよかったら・・・その、二人でクエスト受けない?」

 

ノワールからクエストのお誘いは始めてだ。

運動不足なのはお互い様だ。

 

「喜んで受けよう。」

 

「決まりね!」

 

ノワールはパソコンを起動させると、ギルドのホームページにアクセスし、クエストを確認する。

クエストを選択し、それを俺に見せる。

 

「これなんてどうかしら?」

 

「討伐クエストか、モンスターは・・・スライヌだな。」

 

スライヌ討伐といえばあの時の大量発生したスライヌを思い出す。

ラステイションにも大量発生してなければいいがな。

 

「そうね、けどこのダンジョンにはエンシェントドラゴンが生息しているらしいの。」

 

「なるほど、肩慣らしでスライヌを蹴散らして最後の締めがエンシェントドラゴンか。」

 

それならいいアップになるかもしれない。

丁度試したかった武器もある。

 

「いいんじゃないか?」

 

「それじゃ、これにするわね。」

 

クエスト確定をクリックすると、クエストの依頼書がプリントアウトされる。

クエストを受けるのはこれで2回目だ。

 

「そうと決まれば出発よ!」

 

ノワールは窓から飛び降りようとする。

びびった俺はすぐさま彼女を止める。

 

「いきなり飛び降りようとするな、普通に出ればいいだろう?」

 

「そうだけど・・・今はちょっと・・・。」

 

「気まずいか、分かった。行こう。」

 

ノワールは窓から飛び降りると空中で女神化する。

俺も窓から飛び降りてフライトユニットをすぐに展開する。

 

「フライトユニット、アパッチ・・・スタンバイ!!」

 

本体が背中に装着され、エンジンを始動する。

ローターが高速回転し、高度が上がる。

 

「貴方のユニット、全部ヘリなの?」

 

「今のところこれしかないんだ、行こうか。」

 

「さっさと片付けてしまいましょう。」

 

ダンジョンに向けて俺とノワールは出発した。

 

~ネプテューヌ視点~

 

アルトとノワールの話が終わるまでの間、私達はゲームをしてたんだけど2人の話が少し長くない?って感じになってネプギアが様子を見に行ってくれてるんだ。

ベールがいうには・・・。

 

「ハッ!?もしやアルトさんとノワールは!?」

 

「あぁ大丈夫、アルトはかなり真面目だしノワールを襲ったりすることなんてあり得ないから。」

 

なんかとても放送してはいけない単語とか出てきそうだから規制します!

というか言わせないのが一番だね!

 

「そういえば、アルトはイストワールの息子・・・らしいわね。」

 

「うん、今も親子仲良しだし。さっきなんかアルトがいーすんを私達と同じ大きさにしちゃったしね。」

 

「「え!?」」

 

当然驚くよね、あんなにちっちゃかったいーすんが大きくなっちゃったんだもん。

小さかったから良かったけど、大きくなったから怒られるのがますます嫌になるなぁ。

 

「アルトさんが誕生したのはいつ頃なんですか?」

 

「ん~確か私達が式典をやった後の夜かな。いーすんが部屋で何かしてて、私が様子を見に行ってたらアルトが誕生したんだよ。」

 

「私達が知らない間に誕生した・・・ということね。」

 

なんて話をしていると、聞き覚えのある音がする。

この音、どっかで聞いたことがあるような・・・?

音は外からだね。

 

「ベール、この音って何?」

 

「ヘリコプター・・・ですわね。」

 

あ!

ヘリコプターで思い出した、きっとアルトのフライトユニットだよね?

・・・・ってちょっと待って!?

 

「アルトがなんで外にいるの!?」

 

「ノワールを説得してたんじゃないの・・・?」

 

「待ってください、隣にいらっしゃるのはノワールじゃありませんこと?」

 

あ、本当だ。

変身なんかしてどうしたんだろう。

そろそろネプギアも帰ってくる頃かな。

 

「お姉ちゃん大変だよ!アルトさんとノワールさんがいなくなっちゃった!!」

 

うん、予想してた通りだね。

慌ててくるネプギアも可愛い!

 

「ネプギアちゃん、2人なら今飛んでいったばかりですわ。」

 

「え?そうなんですか?」

 

「どうするのネプテューヌ、追いかけるの?」

 

そうだね、前回のこともあるし心配だから追いかけなきゃ。

 

「そうと決まればさっそく出発だよ!!」

 

「「「おー!!」」」

 

~ノワール視点~

 

ダンジョンに向かっている途中、私はずっとこんなことを考えていた。

どうして彼は私のことを許してくれたのかしら・・・。

それに、さっきまではあんなに怖かったのに、嫌だったのに。

彼に肩を捕まれたとき、心のなかがリセットされたかのようにスッキリした。

捕まれた肩をさする。

あの時はとても暖かかった。

 

「ノワール?どうかしたのか?」

 

「え?な、なんでもないわ。」

 

「そうか、無理しないようにな。」

 

「そうね、ありがとう。」

 

それにしても、男の人と一緒に行動するのはこれが始めてね。

ほとんど女の子としか接していなかったし。

あったとしても教会の職員くらい・・・よね。

この場合、どう接していいのか分からない。

そういえば、アルトって黒色系の服が多いわね。

髪なんかもネプテューヌ達と違って紺色だし、まるでセンサーが作動しているかのような微かに光って見える緑色の瞳。

コートも、その下に着ている服も軍の制服みたいだし。

 

「さっきから視線が気になるんだが、どうかしたのか?」

 

「・・・貴方って黒色が多いのはどうして?」

 

「それが気になってたのか。まぁ確かにな、名前にも関係してそうだし。」

 

名前?

 

「皆からはアルトと呼ばれているが、あれはあだ名で本名はアサルトなんだ。」

 

「制圧・・・。」

 

「俺の名前というよりは、システムの名前だな。まぁその話は置いておこう。制圧といえばテロリストがある建物を占領していたとしよう。そのとき警察は黒色の装備が多いだろ?あれは心理的にダメージを与えるためらしくてな。もしかしたらと思ってな。」

 

言われてみれば確かにそうね。

それが影響で黒色系が多いのかしら?

 

「実際は俺にも分からない。すまんな、質問に答えることができなくて。」

 

「いいのよ、・・・難しい質問してごめんなさい。」

 

そろそろ目的地に到着ね。

地上には情報通り、スライヌがいた。

数は大量というほどではないけれど、数十匹はいる。

 

「討伐対象確認、地上に降りて肉弾戦だな。」

 

「望むところよ!」

 

スライヌめがけて急降下を開始した。

 

~アルト視点~

 

目標に対して急降下していくノワールに続き、俺も攻撃を始める。

その場でフライトユニットをクイックパージし、落下速度を利用してコンバットナイフでスライヌを串刺しにする。

背後から攻めてきたスライヌに引き抜いたコンバットナイフを投げる。

目標に突き刺さり、スライヌと同時に粒子となって消えた。

ノワールの様子を見る。

 

「ハァッ!!」

 

大剣を軽々と振り回し、スライヌをまとめて消し飛ばしていた。

いったいどこから大剣を振り回す力があるのか不思議になった。

こっちも負けていられない。

コンバットナイフを2丁コールし、構える。

スライヌが一斉に襲いかかる。

1連撃は右手で刺突、2連撃は左手で斬り上げ、3連撃は左手で逆手突き、4連撃で回し蹴りからのコールした拳銃でダブルタップ。

一回の攻撃で目標を確実に仕留め、連続でスライヌ達を消していく。

多数の目標に対して、いかに多くの連撃を叩き込めるか試したかった。

今のところ12連撃が最大ヒット数だ。

 

「なかなかやるじゃない!」

 

「これでもまだ格闘教習中なんでな。」

 

アイエフから一応一通り教わっていたため、その応用をやっただけだ。

女神であるノワールの方がすごいと思う。

 

「アイエフに教えてもらってたの?」

 

「まぁな。」

 

コンバットナイフを格納し、フライトユニット、アパッチを展開する。

本体と武装がすべて装着される。

 

「スライヌはあと25匹、一気に叩く。」

 

「なら、15匹は貴方にやるわ!」

 

ノワールは残りの10匹に向かってスキルを発動した。

 

「いくわよ、トルネードソード!!」

 

あのスキルは見たことがある。

・・というより、受けたな。

たったの1撃でスライムは消滅した。

さて、あとは俺だけか。

ここはチェーンガンで一掃しよう。

右腕を前に突き出し、装着されたチェーンガンの照準をスライムに向ける。

 

「今ッ!!」

 

大きな銃声とともに、30mmの弾が連続で放たれる。

思った以上に反動で照準が大きくブレる。

高度を上げ、上から鉄の雨を降らせる。

銃身が焼けてオーバーヒートになったと同時にスライムは消滅した。

 

「反動制御がだめだな、調整だ。」

 

「貴方、射撃武器が得意なの?」

 

「いや、使い分けてるだけだ。ノワール達みたいに一撃で複数の目標を消し飛ばす技なんてないからな。」

 

要は魔法というものを持ち合わせていないって事だ。

フライトユニットを格納し、戦闘データを確認する。

 

「まるで成長するAIね。」

 

「・・・・・。」

 

成長するAI。

よくあるロボットの話だ。

赤ちゃん状態から始まり、そこから様々な経験をしてデータを蓄積していくAI。

成長を遂げたAIは独自の判断で行動するようになる。

だがAIの成長が止まることはない。

AIが故障して再起不能にならない限り、永遠に成長し続ける。

よく考えてみたら、それは俺にも当てはまることかもしれない。

俺はあのとき何かから解放され、女神を防衛する使命が消えた。

なんの目的もない状態で俺は様々な経験をしている。

お袋に仕事の要領を教えてもらい、ネプテューヌにゲームの楽しさを教えてもらい、ネプギアにメカについて教えてもらったり・・・。

アイエフにも格闘技術を学んだりと数えきれないくらいある。

比べてみると確かに俺はAIみたいだ。

・・・それも戦闘の方で。

動く戦闘AIといった方が分かりやすいのかもしれない。

だとすれば俺は戦って生きろというのだろうか。

 

「・・・・ルト?」

 

だが何のために?

自分を様々な驚異から守るため?

その驚異とはなんだ、敵は誰だ?

武器を手にする者すべてか?

 

「アルト!!」

 

さっきから誰かが俺を呼んでいる?

まて、さっき俺はノワールと一緒にクエストにいたよな?

 

「ッ!?」

 

「どうしたのよアルト!?」

 

気づけば俺はノワールに肩を掴まれていた。

俺は何をしていたんだ?

 

「ノワール?」

 

「どこか調子が悪いの?無茶してないわよね!?」

 

ノワールはかなり焦っていた。

・・・というより、本気で心配していた。

 

「大丈夫だ、何ともない。」

 

「本当に?」

 

「あぁ、考え事をしていただけだ。心配かけた、ごめんな。」

 

「考え事?」

 

「こっちの話さ、気にしないでくれ。」

 

戦闘記録をバックアップし、マップを開く。

スライヌは無事掃討し、クエストはクリア。

残るはマップに示された危険種、エンシェントドラゴン。

ここからが本番だ。

 

「この先に次の目標がある、行こう。」

 

「分かったわ、けど無茶はしないでよね。」

 

さっそく次の目標へと向かう。

 

~ネプテューヌ視点~

 

いつの間にノワールってアルトと仲良くなったのかな?

二人が急に出掛けていって追いかけてみたらクエストやってたんだね。

途中、アルトが動かなくなって心配したけど、問題ないみたい。

あ、討伐が終わったのかな?

二人はダンジョンの奥に進んじゃったよ。

 

「・・・奥に行ってしまいましたわね。」

 

「えぇ、たしか奥には・・・エンシェントドラゴンがいるって聞くわね。」

 

「え?次のターゲットって・・・。」

 

「エンシェントドラゴンに間違いないわ。」

 

「病み上がりのアルトがちょっと心配だから、尾行続行だよ!」

 

『おー!!』

 

~アルト視点~

 

マップを確認しながらダンジョンの奥へと進む。

レーダーに反応はなく、スライヌ討伐から一度もモンスターに遭遇していない。

 

「反応なしか、相手は留守かもな。」

 

「おかしいわね、ここに来る人達は皆この辺りでエンシェントドラゴンを見たらしいの。」

 

「なら捜索だな、人が通るなら尚更放っては置けない。」

 

「そうね。」

 

レーダーの捜索範囲を広げ、反応があるまでの間は念のため武装の再装填を行う。

チェーンガンは冷却が終わり、すでに装填されている。

ヘルファイヤとスティンガー、ハイドラは発射していないのでそのままだ。

 

「さっきから気になってたんだけど、それ重くないの?」

 

「これか?」

 

背中に装着されているフライトユニットをすこし振る。

 

「それもそうだけど、貴方今フル装備なんでしょ?どこからそんな力がでるのよ。」

 

「デカい剣振り回しているノワールこそ、その一撃で広範囲に攻撃できる力をどっから出しているんだ?」

 

「私は女神で、それくらい当然よ。」

 

「そりゃそうだな。」

 

突然、警告音が鳴り響く。

レーダーに反応が出た。

反応はかなり大きい。

 

「出たぞ、正面に反応1・・・目標確認!」

 

エンシェントドラゴンが姿を表した。

ここで違和感を感じた。

エンシェントドラゴンの様子がおかしい。

 

「ノワール、気を付けた方がいい。様子が変だ。」

 

「どういうこと・・・?」

 

エンシェントドラゴンをスキャンしてみる。

その結果・・・。

 

「こいつ・・・豹変している!?」

 

黒色のオーラを放っているエンシェントドラゴン。

こっちに気づいたのか、視線を俺達に向ける。

そいつと目があった瞬間、ロックされた事を示す警告音が鳴り始める。

 

「どうやら俺達をロックしたようだ。」

 

「何なのよあいつ・・・、何がどうなってるの?」

 

「分からない、一旦下がるぞ!」

 

「その必要はないわ!・・・ここで倒す!」

 

ノワールは大剣を振り上げてエンシェントドラゴンに向かって突撃を始めてしまう。

 

「ノワール!?・・・クソッ!!」

 

洞窟の中じゃ暗くて視界が悪い。

それにここで戦闘になれば洞窟が崩壊しかねない。

ここは強制的にでもノワールを連れて外に出るしかない。

エンジンを緊急始動し、回転数と出力を一気に上げる。

無理に上げたせいか、エンジンに大きな負荷がかかっている事を知らせる警告音が鳴り響く。

それを気にする余裕などない。

ワイヤーを射出しノワールを捕まえる。

 

「アルトッ!?何するのよ!!」

 

「無茶するなと言っただろ!」

 

ワイヤーを巻き付け、彼女を落とさないよう強く抱き締める。

 

「なッ!?」

 

「しっかり捕まってろ!」

 

反転してエンジンの出力をさらに上げる。

高度が上がれば天井に激突して墜落する。

地面すれすれの高速飛行になる。

ヘリの速度はそこまで速くはない。

最悪の場合、エンシェントドラゴンに追い付かれてしまう。

そう思っている矢先に奴はこっちに向かってきた。

 

「思ったより速いな・・・!」

 

「あ、アルト・・・?」

 

「少し耳塞いで!!」

 

反転して照準を合わせる。

奴が徐々に近づいてくる。

目標へのロックが間に合わない。

 

「手動制御、ハイドラ連続発射!!」

 

突き出した左腕に装着されたハイドラから連続してロケット弾が発射される。

初弾が目標の顔面に命中したのか、速度が低下していく。

ロケット弾を全て撃ち尽くした。

 

「自動制御に切り替え!・・・照準開始!」

 

奴との距離はほんのわずかしか遠ざかっていない。

ロックできる時間を少しでも稼いだ。

すぐにスティンガーの照準に切り替えて目標をロックする。

 

「スティンガー一斉発射!!」

 

両足につけられたミサイル発射装置から全てのスティンガーが射出し、ミサイルは奴に向かっていく。

激突したミサイルは次々と爆発を起こし、奴は怯み地面に墜落する。

 

「まだだ、ヘルファイヤ一斉発射!!」

 

ヘルファイヤの照準に切り替えてロックと同時に一斉発射。

全て放たれたミサイルは墜落した奴に容赦なく激突し爆発。

その衝撃で洞窟が崩れ始める。

 

「間に合え!!」

 

そのまま出口に向かって高速飛行し、洞窟を抜けた。

高度をあげて地上から離れる。

 

「・・・・・・。」

 

洞窟から砂塵が舞い上がる。

これで足止めはできたはずだ。

 

「ねぇ・・・アルト。」

 

「ん?」

 

「その、離してくれないかしら・・・。」

 

「お、おう・・・そうだったな。」

 

彼女をそっと離してやった。

強引に彼女を引っ張り出したんだ、嫌がられてしまったようだ。

 

「いきなりあんなことされたら・・・。」

 

「なんか言ったか?」

 

「何でもないわよ!?何でもないから!!」

 

何を慌てているのだろうか。

それよりもエンシェントドラゴンはどうなっただろうか。

洞窟が崩壊し潰れてくれた・・・のだろうか?

ありったけのミサイルを放ったんだ、出きればこのまま終わって・・・・。

 

ギャヤアアアアアアッ!!!

 

・・・終わるわけないか。

チェーンガン以外全ての武器は装填に時間がかかっている。

それに今までの攻撃が効いているのか怪しいくらい奴はピンピンしている。

 

「何か手はないのか・・・!」

 

~ノワール視点~

 

洞窟から出て来てもアルトは険しい顔をし続けてる・・・。

あれだけのミサイルを放ってもダメだったってことかしら。

それにしても、どうしてアルトはそこまでして私を守ろうとしているの?

私は女神、これくらいの敵なんて私1人にかかれば大したことはないのに。

それなのに、アルトは私をあいつと戦わせてくれない。

突撃した私をワイヤーで巻き付けたと思ったら、引っ張られて私はアルトに強く抱き締められて・・・。

 

「!?」

 

思い出すと急に恥ずかしくなってきた・・・!

だって・・・男の子に抱き締められるなんてこと今までされたことなかったのよ!?

強く抱き締められてたのに、全然苦しくなかったわ・・・。

むしろ、暖かくて気持ち良かった。

私はアルトに酷いことしちゃったのよ。

それなのにどうしてあなたは優しくしてくれるの・・・?

 

「ノワール!!」

 

「え?」

 

アルトが私の前に出て来たと同時に何かがぶつかり合う音が鳴り響いた。

いつの間に洞窟から出て来たの!?

エンシェントドラゴンの爪がアルトが手にしているダガーナイフで受け止められてる!

それだけじゃない、どこからか警告音がうるさく鳴り響いてる・・・。

これって・・・!

 

「今になって出力が下がるのか・・・!!」

 

アルトが高度を下げてる?

いいえ・・・下がっているわ!

フライトユニットから黒煙が吹き始めてるってことは、出力が落ちて落下している!?

このままじゃアルトが危ない!!

 

「このッ・・・アルトから離れなさい!!」

 

エンシェントドラゴンに一撃食らわせてアルトから距離を離さなきゃ!

・・・良し、今のうちに!

 

「アルト、大丈夫なの!?」

 

「俺は何ともない、けどエンジンが止まりかけてる。もって30秒だ。」

 

長くは飛べないじゃない!

 

「ミサイルの装填ができたけど、これじゃ当てようもない!」

 

「効果はあったの?」

 

「腹の外壁が剥がれているのを見た、そこにずべて命中させれば効果はあるはずだ。」

 

なるほど、そこが弱点って訳ね!

 

「長くは持たない、ユニットをクイックパージ!!」

 

パージって大丈夫なの!?

フライトユニットを失えば貴方は飛んでいられなくなって落ちるのよ!?

フライトユニットが彼から勢い良くパージされちゃった。

 

「アルト!捕まって!!」

 

即座に差し伸ばした手をアルトは握ってくれた。

 

「それにしても重いわね・・・!」

 

「ノワール、思いっきり俺を奴の真下に投げろ!!」

 

「はぁ!?」

 

何いってるのよ!?

フライトユニットがないのに、真下へ投げろですって!?

自殺行為よ!

 

「フライトユニットがないじゃない!どうやって着地するつもりよ!?」

 

「ノワール横から来るぞ!!」

 

「!?」

 

アルトの手を握ったまま回避した瞬間、エンシェントドラゴンの大きな爪が空振り。

油断したわ・・・!

 

「迷ってる時間はないぞ!頭から地面に突き刺さってでも着地する、やれ!!」

 

「それ人間としてどうなのよ!?」

 

「早く!!」

 

「・・・あぁもう!!」

 

力をためて、全力でアルトを投げる!

アルトはそのままあいつの真下を通過すると・・・地上に墜落!?

どうしよう、力を入れすぎて変な所に落としちゃった!

 

「アルト!!そんな・・・・!」

 

一瞬アルトが落下したところから何かが光った?

なんだろう、何かがこっちに向かって来てる!

あれって・・・。

 

ドオオオオオオオオオン!!!

 

ギャヤアアアアアア!?

 

「命中したの?」

 

いえ、まだやつは健在してる!

さっきのってアルトの攻撃よね。

命中したところの外壁が大きく剥がれて中が丸見えだわ。

もしかして、あれがアルトの言っていた弱点ってことね!

 

『ノワール!!』

 

「アルト!」

 

無事だったのね!

良くあの高さから落下しても無事でいられたわね・・・。

声がスピーカーで大きくされてるのかしら、辺り一面に響いてる。

 

『これから射出する信号弾に向かって奴をおびき寄せろ!』

 

すると地上から信号弾が射出されて爆発と同時に発光。

あれね!

 

「了解よ!!」

 

~アルト視点~

 

信号弾を射出すると、ノワールは奴を引き付け始めた。

その内に全武装一斉発射の準備をする。

 

「まさか、ユニット接続部にパラシュートがあったとはな。」

 

お陰で地面に顔をダーツのように突き刺さることなく無事着地に成功することができた。

全弾装填完了が表示される。

ノワールはあともう少しで指示した地点に到着する。

 

「目標確認、ロック開始!!」

 

バイザーに全ての武装が奴をマーキングしてロック、自動追尾を始める。

照準は、外壁が大きく剥がれむき出しになった弱点。

ミサイルの照準が完了し、電子音が鳴り響く。

 

「スティンガー全発射!!」

 

両足の発射装置からスティンガーミサイルが一斉に奴の弱点めがけて飛んでいく。

と同時にスティンガーの発射装置をパージ、ユニット接続部の緊急機動用のロケットブースターを点火し、地面を蹴って大きくジャンプ。

一気に高度が上がった。

スティンガーミサイルが全弾命中し、奴はむき出しになった弱点を露にしながら地上に墜落した。

緊急機動用のロケットブースターが停止し、自由落下を始めた。

地上に落下する前に攻撃だ。

 

「ヘルファイヤ、ハイドラ及びチェーンガン・・・一斉発射!!」

 

両足の発射装置からヘルファイヤ、左腕のポッドからロケット弾、右腕のチェーンガンが一斉に火を噴いた。

ヘルファイヤとハイドラが全弾命中、チェーンガンを撃ち尽くすまで連射し続ける。

 

「くたばりやがれ!!」

 

照準が大きくぶれて、弾はバラ撒かれる様な形で命中した。

チェーンガンを撃ち尽くし、全ての武装をパージしてワイヤーを射出。

ワイヤーの先端についている針がうまく木に引っ掛かる。

 

「ノワール!!串刺しでトドメをさしてやれ!!」

 

「任せなさい!はぁあああああああッ!!」

 

ノワールが奴に目掛けて急降下していく。

落下速度を利用して、手にしている大剣を奴の弱点に思いっきり突き刺した。

 

ギャヤアアアアアアッ!!

 

トドメをさされたエンシェントドラゴンは完全に止まった後に粒子となって消えていった。

気づけば俺は巻き付けたワイヤーのお陰で地面に追突することはなく、巻き付けたワイヤーに吊り下げられている。

 

「・・・少しダサいけど、いっか。命さえ無事なら良しだからな。」

 

さて、ノワールが俺を救出に来るまでしばらくおとなしくしているか。

暇潰しで持ってきた本を開いて読書を始めた。




さて、
豹変したエンシェントドラゴンを倒したアルトとノワール。
その後二人はいったいどうなる!?
まだまだ続きますよ~
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