第2話
「ヴァイス・・今どういう状況なんだ?」
倉庫の奥に向かいながら隣を歩く、ヴァイスに尋ねると
「いや・・俺も良く判って無いっす・・判ってるのは・・なのはさん達が旦那を血走った目で探してる、事くらいですかね?」
・・なのは達もかっ!!一体何が起こってるんだ・・そう思っていると
「ヴァイスさん!!僕を・・僕を一人にしないで下さい!!!・・・・お・・・お父さん!?・・・うう・・怖かったです!!」
奥からエリオが走って来て、ヴァイスに怒鳴るが私の姿を見つけると、泣きながら抱きついてきた
「エリオ?・・どうしたんだその格好は・・」
私はエリオの姿を見て驚きながら尋ねた・・何故なら・・エリオの服は所々引き裂かれていた
「・・ううう・・キャロとルーちゃんに・・キャロとルーちゃんに襲われたんです・・怖かったです・・」
涙を流しながら怖かったと言うエリオの背を撫でながら
「しかし・・キャロとルーテシアまでおかしくなるとは・・・一体何が原因なんだ?・・・ヴァイス?・・もしかしてお前も誰かに襲われたのか?」
ヴァイスの頬にガーゼが当てられている事に気付き、尋ねると
「・・はは・・旦那・・信じられますか?・・突然ラグナが・・大好き・・私はお兄ちゃんが大好き・・だから・・だから・・とか言い始めたと思ったら・・ナイフでズバっ!・・本気で死ぬと思いましたよ・・俺」
そうか・・ヴァイスも被害者か・・と思っていると
「旦那は?・・誰かに襲われましたか?」
疲れた様子で尋ねて来るヴァイスに
「クレアとシャルナ・・それとノーヴェとシグナムにセッテに襲われたな」
と言うとエリオが
「お父さん・・良く逃げ切れましたね?・・僕は上着脱いでそれに気を取られてる間に二人から逃げましたけど・・」
泣き止んだエリオが驚きと言う感じで言う
「いや・・危なかった・・・ノーヴェとシグナムに捕まりかけた所でヴァイスに助けられたからな」
と笑っていると、ヴァイスが
「旦那、こんな物ですが・・食べといたほうが良いですぜ」
非常食の乾パンと干し肉を受け取り、それを食べていると
ガタッ!!!
倉庫の奥から物音が聞こえた
「・・まさか・・もう見付かったのか?」
ヴァイスが驚きながら呟く
「・・ガタガタ・・キャロとルーちゃんじゃないですよね?・・」
震えるエリオの頭を撫でてから
「とりあえず確認しよう・・・もし・・なのは達だったら・・・全力で逃げよう」
コクコクと頷く二人と共に物音の聞こえた方に行くと
「ガタガタ・・・くそ・・どうしてこうなってしまったんだ・・・」
この声はジェイル?と思い首を傾げると
「どうして私にまで効果が・・私の作った惚れ薬は・・龍也を好きな者に効果が出る筈だったのに・・・如何して・・私まで」
・・・成る程・・・こいつが原因か・・・そう思い振り返ると
「あのお惚け博士が・・・何て物作るんだよ・・・それの所為で俺は・・俺は・・妹に刺され掛けるなんて・・くそ・・殺す・・」
ヴァイスは額に青筋を浮かべ、握り拳を作り
「・・あの人の所為で・・僕はあんな目に・・あったんですね・・・許しませんよ・・」
エリオも怒りの形相を浮かべている
「・・・こっそり後ろに回って・・処刑するぞ?」
頷く二人と共にジェイルの背後に立ち
「殴り倒すぞ?」
小声で二人に尋ね、二人が頷くと同時に、私は全力で馬鹿の頭を殴りつけた
「グハッ!!!誰だ・・龍也・・・エリオ・・ヴァイス・・」
私達に気付き、顔を青褪める馬鹿に
「さて・・・話は聞かせてもらった・・全てはお前が原因なんだな?」
確認の為に問いかけると
「違う・・違うぞ・・私は何もしていない!!」
違うと言う馬鹿の背後にエリオが回りこみ、ヘッドロックを仕掛けながら
「スカリエッティさん・・・正直に話してください・・じゃないと・・・僕・・・うっかり手が滑っちゃうかもしれません・・」
と笑うエリオに
「今正直に言え・・それなら9割殺しで勘弁してやる・・10秒以内に答えろ・・10・・0・・時間切れだ・・」
ゴキゴキと首を鳴らしながら、時間切れと言い馬鹿に詰め寄る、ヴァイスの目は完全に据わっていた
「馬鹿にはお仕置きが必要だな・・エリオ・・うっかりは誰にでもあるぞ?」
遠まわしにGOと言うと、エリオは頷き無言で馬鹿の首を捻った
ボキャッ!!嫌な音を立てて馬鹿の首が捻り上げられる
「ぐがっ・・エリオ・・痛いぞ・・ごふッ!!」
痛いと言った瞬間ヴァイスの拳が、馬鹿の顔にめり込む
「てめえに判るか・・妹にナイフを向けられたこの俺の気持ちがよぉぉっ!!!」
ヴァイスが絶叫しながら、拳を振るう
「す・・すまん・・ちょっと失敗・・ごふっ・・は・・話を・げふっ・・聞いて・・がはっ・・くれ・・」
馬鹿の言葉に耳を傾けず、暴れるヴァイスとエリオを見ながら私は握り拳を解きながら
「・・自業自得だな・・ジェイル・・流石に可哀想だから・・止めてやるか・・」
私は親の仇と言わんばかりに馬鹿を殴りつける、二人を止めようとしたが、中々止まってくれず、二人が止まったのはそれから30分後の事だった
「で・・馬鹿・・薬の効果は何時切れるんだ・・正直に言えよ・・旦那が止めたから我慢したが・・俺はまだ許してないぞ!!」
怒りの形相のヴァイスに
「少し・・落ち着きました・・」
エリオは少し許せたのか、私の隣に座りヴァイスがジェイルを怒鳴りつける光景を見ていた
「薬はあと4時間くらいが効力時間だ・・それが過ぎれば・・皆眠りに落ちる筈だ・・」
震えながら答える、ジェイルに思い出した様にヴァイスが
「所で・・お前も誰かに襲われて、逃げてきたって所だな?」
ジェイルの服は所々破けており、エリオ同様襲われたというのが一目瞭然だ
「多分・・ウーノさんって所だな?」
身を竦めるジェイルを見て、ヴァイスは
「良し・・良い事を思いついた」
と笑いジェイルの襟を掴み無理やり立ち上がらせる
「な・・何をする気だ?」
怯えた様子のジェイルを見て、ヴァイスはニヤリと笑い
「お前を追ってる人に、身柄を渡すのさ」
サーッ・・顔から血の気の引いていくジェイルと同時に、倉庫の外から
「ドクター・・どこですか・・ドクター・・」
ウーノの声が聞こえてくる、その声にヴァイスは更に笑みを深め
「さぁ・・お迎えだ・・行って来なッ!!!」
ジェイルを倉庫の外に出し、一気に鍵を掛けるすると外から
「頼む!開けてくれ!!あれは危険だ!!肉食獣だ!!捕食者だ!!」
と絶叫するジェイルにヴァイスは
「あーあー、俺は何にも聞こえない~、そんじゃあ~大人しく娘に喰われろよ~そして俺を恨むな~恨むなら馬鹿な薬を作った自分を恨め~、さっ!旦那!エリオこっからどうするか考えようぜ~」
鼻歌交じりのヴァイスに誘導され、私とエリオは更に倉庫の奥に向かった、その背後から
「ウーノ!!落ち着け・・くっ駄目か!!!こうなったら・・パンッ!!・・死に物狂いで逃げてやる!!!・・おおおおおおッ!!!!!」
何かが爆発する音と共に、ダダダダダッ!!!!物凄い音で走り去る足音と
「くっ・目が・・ですが・・私はドクター貴方を捕まえて見せます!!!」
どうやら視界が潰された様だが、直ぐに走るウーノの足音が聞こえた・・・逃げ切れると良いなジェイル・・私はそう思った
「さて・・馬鹿が言うにはあと4時間・・丁度日が暮れるまでですね、どうしましょうか?ここに篭ります?」
にこやかに笑いながら、倉庫に篭るかと言うヴァイスに
「いや・・篭るのは無理だろう・・クレア達はデバイスを使っていた・・下手をすれば閉じ込められ・・・そこで終わりだ」
そう篭るのは危険だ、入り口を破壊され、閉じ込められれば逃げ道なしだからな・・
「それじゃあ・・別の倉庫に移動しながら、時間を過ごしましょう」
エリオの提案・・危険だが・・一番安全かもしれない・・六課には使用してない倉庫が後3つある、見付からず移動し倉庫に到達できれば安全だ
「そうだな・・それが一番安全かもな・・良し・・それじゃあ移動と行きましょうか?」
使用してない倉庫に向かう為、倉庫から出るとそこには・・
「スカリエッティさんの白衣・・・」
そこにはボロボロの白衣と目くらましに使われたであろう・・小型閃光弾が落ちていた、それを見てヴァイスは
「ちっ・・こんな物まで持ってたのか・・取り上げて置けばよかったぜ・・」
どうやら、相当根に持っているようである
「とりあえず・・移動しよう・・ここで固まっていたら直ぐに見付かるからな・・」
頷く二人と共に別の倉庫に移動する中、ヴァイスが
「しかし・・部隊長が動かないのは意外ですよね・・一番動くと思ってたんですがね・・」
はやてが動かない事を意外と言うヴァイスに
「いや・・はやては慎重に動くだろう・・・こういう時にはやての頭の回転は異常に早い・・多分私が疲れるまでは動かないだろうな」
はやての性格からすれば、絶対に私は逃げられない状況になってから動くだろう・・それまでは静観の筈だ
「部隊長、やっぱり頭良いんですね・・」
しみじみ言うエリオの頭を撫でながら、こっそり倉庫に向かっていると
「・・なのはさん・邪魔なんですよ・・私達の邪魔をしないで下さい・・」
!!反対側の通路にティアナとスバル・・それに話から推測するになのはも居るはず、そう思い更に気配を殺し移動していると
「邪魔か・・・言うね・・二人とも・・でも私からすれば・・二人の方こそ邪魔かな・・龍也さんに近づく嫌な存在だからね・・ここで消えて貰おうかな・・」
ピリピリとした殺気が伝わってくる
「・・旦那・・見付かったら本当に終わりですね・・幾ら旦那でも、なのはさんとスバルとティアナから逃げるのは・・」
そう言うヴァイスに頷き、若干早足でその場から離れると
ズドン!!!ギャリギャリッ!!!
戦闘音が後ろから聞こえてくる・・その凄まじい音に
「見付からなくて良かったですね・・本当」
そう呟くエリオに頷き、移動を再開すると、反対の通路から小柄な影が2つ歩いてくる、その小柄の影にエリオがガタガタ震え始め、ヴァイスは神妙な表情で
「旦那・・いざとなったら、エリオを担ぎ上げて全力で走りましょう」
それに頷き、歩いてくる影に警戒していると
「あは・・お兄様・・見つけたですぅ~」
「兄・・やっと・・やっと見つけたぜ~」
歩いてきた影は、リィンとアギトだった・・二人は私を見つけると私に抱きつき
「好き!好き!!大好きです!!」
「兄は!兄は私は好きか?私は兄が大好きだ」
ぐりぐりと頭を擦り付けて来る、二人を見ながら
「どうすれば良い?二人を気絶させるか・・それとも連れて行くか?」
抱きつき好き好きと連呼する、二人を指差しながらヴァイスに訪ねると
「・・連れてった方が良くないっすか?旦那デバイス持ってないじゃないですか?いざとなったら二人とユニゾンすれば逃げ切れますよ?」
確かに・・それに好き好き言うだけで、これと言って危険は無さそうだな・・私はそう判断し
「リィン、アギト」
二人に声を掛けると、二人はトロンとした目で私を見上げ
「お兄様・・お兄様はリィンの事が好きですか~」
「兄・・私は兄が大好きだぜ~」
笑う二人に私は微笑みかけながら
「ああ、私は二人が大好きだよ、だから一緒に行こうか?アウトフレームを解除してくれるかな?」
アウトフレームを解除した二人を胸ポケットに入れると
「お兄様の匂いがするです・・リィンは幸せですぅ・・お兄様に抱きしめられてる気分ですぅ」
「兄に抱きしめられてるみたい・・幸せだ~」
胸ポケットからほにゃ~とした顔で笑う、二人を見ながらヴァイスが
「良し・・今の内に移動しましょうぜ・・あんだけ派手にドンパチしてたら・・皆集まってきますぜ」
後ろから、魔法が炸裂する音が断続的に聞こえてくる、ヴァイスの言う通りだと頷き、私達は倉庫に向かった・・
ジーッ・・
移動する龍也達の姿を追う、カメラの姿があった・・その映像の映っている先は
「うふふ・・兄ちゃん私からは逃げられへんで・・絶対捕まえて私の物に・・うふふふ・・楽しみ・でもまだ早い・・まだ兄ちゃんには余裕がある・・こんな時に追うのは馬鹿のする事や・・でもそれで良え・・それで兄ちゃんの体力は減るからな~」
あははと笑うはやての目は龍也達の移動を捉えてる、カメラの映像をしっかりと捉えていた
「ん!・・また馬鹿が向かってるみたいやね・・」
はやては笑いながら、そう呟いた・・そのカメラにはバリアジャケットを展開し、移動しているフェイトの姿があった・・
リザルト
龍也・・体力まだ余裕、状況把握完了
仲間
ヴァイス・・体力余裕、スカリエッティに対する怒りは依然消えず エリオ・・体力余裕、精神的ダメージ特大、リィン、アギト、惚れ薬の効果により龍也にメロメロ状態、現在は龍也の胸ポケット内
リタイヤ
シャルナ(龍也によって撃破) クレア(セッテに敗北後壁に張り付け状態) ティアナ(スターライトの直撃により、壁にめり込み敗北)
追跡者
フェイト、龍也達の隠れ先に接近中 はやて、監視カメラの映像を見ながら行動する時期を考案中 ウーノ、ジェイルを追走中
状況不明者
グリフィス
逃亡者
ジェイル、ウーノから全力で逃亡中、体力やや減少、ダメージ中、 スバル、ティアナ戦闘不能と同時に離脱、なのはから逃亡中、ダメージは少で体力は余裕
残り時間・・4時間弱
第3話に続く