現れたる闇…
「身体が重い…」
朝目覚め1番最初に感じたのは、胸部に感じる圧迫感だった。どうせはやてとかヴィータが潜り込んだんだろうと考えながら布団を捲った
「すーすー」
長い髪で左目を隠した、見知らぬ美女が居た…
「!?!?!?!?」
声にならない悲鳴を挙げながら布団を戻した…誰だ?誰なんだ?私は寝るとき1人だった…それは間違いない、ではこの美女は誰だ?私が必死にこの美女が誰なのか考えていると…もぞもぞと美女が動く気配がし、彼女は布団から顔を出しながら
「どうも…突然ですが貴方が欲しいです。なので貰って良いですか?」
「突然何を言うんだ、というかお前は誰だアアァッ!?」
真紅の目に一瞬心を奪われた物の、すぐに我に返りそう叫んだ、かなり整った顔をしているが、鎖とか身体に巻きつけてるし…危ない趣味の人なのかもしれない
「少し…静かにしてください。すぐ済みますから…」
「なっ?」
布団から上半身を起こした美女がそう言うと、美女の髪が私に巻きつき魔力を吸い取り始める…この感覚は…あの時の!?闇の書に魔力を吸われるあの時の感覚に近いものを感じる…振り解こうとすると力が抜け思うように動けない。
「大丈夫です…殺すつもりはありません、すこし魔力を分けて頂ければ…」
少しなんて物じゃない、凄まじい勢いで減っていく魔力…このままでは騎士甲冑すら展開できなくなる。本気で不味い…願うのはさっきの絶叫をはやて達が聞いてくれている事を願うしかない
バンッ!!
そんな事を考えていると扉が勢いよく開かれ
「兄上様を離せッ!!!」
リインフォースが飛び込んできて、女の髪を断ち切り私の前に立つ。リインフォースは女を威嚇しながら
「何故お前がここに居る!?ナハトヴァールッ!!!」
ナハトヴァールと呼ばれた女は
「私とお前は…運命共同体…お前が居るから私も居る…闇の書の闇は、お前を逃がさない」
闇の書の闇!?リインフォースを狂わせた根源、それが彼女だというのか
「ならば、私がお前を倒す!」
「無理だよ…私はお前、お前は私…私が死ねばお前も死ぬよ?」
くすくすと笑う女は私を指差して
「魔力が欲しいの…大丈夫…具現化してるのに必要な分だけで良いの…だから…魔力頂戴。にーさま」
邪気の無い笑みを浮かべながら言うナハトヴァールに
「お前が兄上様を兄と呼ぶな!!お前が!お前が兄上様の胸に風穴を開けたんだぞ!どうして平然とそう呼べる!!」
そう、私の胸を貫いたのはこいつだ、それを知ってるリインフォースが怒鳴ると
「あの時は…理性がなかったから…でも悪い事をしたって思ってる…ごめんなさい。にーさま」
ペコリと頭を下げるナハトヴァールにリインフォースは
「何を企んでいる?」
そう尋ねられたナハトヴァールは
「何も…ただ…私も…にーさまの傍に居たいだけ…駄目?」
見た目こそ大人だが、どこと無く子供っぽい口調のナハトヴァールに悪意とか邪気は感じられなかった
「魔力だけか?絞め殺したりしないか?」
「魔力くれるの!?にーさま」
嬉しそうなナハトヴァールが両手を広げて近付こうとするが
「兄上様!信用するのは危険です」
リインフォースが私とナハトヴァールに間に立つ、それ以上近づかせる物かと言いたげな表情で
「最初から危険と決め付けるのはよくない。話だけでも聞いたほうがいい」
「ですが…」
心配そうなリインフォースに
「大丈夫だよ…にーさまにはなんにもしないから…」
ナハトヴァールがそう微笑む、リインフォースは少し迷ったようだったが、私とナハトヴァールの間から退き
「変なことするなよ」
と釘を刺した、ナハトヴァールは嬉しそうに笑いながら
「大丈夫♪…さっきみたいに髪を巻きつけるなんてしないから♪」
私の前に立ち子供の様ににっこり微笑み
「頂きますッ♪」
ナハトヴァールがそういったと思った瞬間、私の唇はナハトヴァールの唇で塞がれていた
「むぐーッ!!むぐぐーッ!!」
突然の事に一瞬我を失ったが、すぐに正気にもどりナハトヴァールを引き離そうとするが
「♪♪」
ナハトヴァールの髪が自分自身と私に巻きつき、離れるに離れれない
「は、離れろ!!兄上様が穢れるっ!!」
リインフォースが引き離そうとするが、髪の力は相当強いらしく引き離せない
「♪♪♪」
「むぐーッ!!むぐぐーッ!!!」
貪る様にキスをするナハトヴァール…その間も凄まじい勢いで魔力が吸い取られていく…
「ぷはっ!ご馳走様でした♪」
私の魔力が全快時の4分の1くらいになったところで、ナハトヴァールはキスを止め。口を拭い上機嫌に告げた…だが私は急速に魔力を奪われた事と唇を奪われた事によるショックで意識を失った…意識を失う直後に聞いたのは
「私のファーストキス…どうだった…美味しかった?」
とかのたまう危険人物の声だった…
突然リインフォースが駆け出してから数分後、兄ちゃんの部屋に辿り着いた私が見たのは
「は、はなせ、リインフォース!!私はもう生きていく自信が無い!!」
「お、落ち着いてください!!兄上様!!」
首を吊ろうとする兄ちゃんの腰に必死にしがみ付くリインフォースの姿と
「んー美味しかった…にーさまの魔力は…絶品だね」
鎖とかが巻きついた服を身に纏った、危ない趣味をしてそうな見た事も無い女の姿だった…
「あ、主はやて!?兄上様を止めてください!」
私に気付いたリインフォースがそう叫ぶ
「判ってる!」
女の正体は気になるが、今は兄ちゃんの自殺を止める方が先決だ。
「兄ちゃん!死んでもなんにもならんで!?」
「はなせ!死なせてくれ!!」
「死んでは駄目です!!」
錯乱する兄ちゃんが落ち着きを取り戻したのは、私が兄ちゃんの部屋に到着してから20分後のことだった…
「それで?あんたは誰や?」
傷心している兄ちゃんはリインフォースに任せて、黒髪の女に尋ねる
「私…?私を覚えてない…?私は闇の書の闇でね…名前はナハトヴァールだよ?」
にこにこと言うナハトヴァールだが、その中に聞き捨てなら無い台詞があった…闇の書の闇?…あの私達が消し飛ばしたあれ?…なんでここに、というかなんで女の姿?…私が混乱してると
「…信じられない…これが証拠だよ?」
ナハトヴァールがそう言うと長い髪が変化する、それは忘れもしない闇の書の闇の姿だった
「何が目的や?また世界を滅ぼすとかか?」
警戒しながら尋ねるとナハトヴァールは髪を元に戻しながら
「そんな事しない…私はにーさまの傍にいて、リインフォースとか…シグナム達や…はやてみたいににーさまの家族になりたいの…」
にこにこというナハトヴァールには悪意とか邪気は全く感じなかった。純粋に傍にいたい、それだけみたいやけど…
「兄上様を穢したお前が何を言う!?見ろ!こんなに傷付いているじゃないか!?」
リインフォースが私とナハトヴァールに兄ちゃんを見えるようにする、そこには
「無理やりキスされた…もうやだ…」
体育座りで項垂れている兄ちゃんが居た…って言うかどうしても許容できない単語があったような…
「ナハト?兄ちゃんにキスしたん?」
「うん♪美味しかったよ?」
笑顔で言うナハト…うんうん…私は今あんたをどうすれば良いか判ったで
「あんた、死にたいんやな?OK!1発で消し飛ばしたる」
フォールダウンモードを起動させ、ゼロアームズを向けるとナハトは慌てて
「だって…魔力貰わないといけなかったから…今度からはしないから…許して」
必死でそう訴えるナハト…むう…どうする?消し飛ばしておいたほうがええとおもうんやけど…
「そ、それに!私は…はやて達の目的に…協力する!なのはとかに、にーさま…渡さないようにするから…」
むっそれなら許せるかも…でもな…むかつくし…どうしよ?ナハトをどうするか考えてると
「あっ…魔力…足りなくなってきた…」
ナハトがそう言うと
ポンッ!
可愛らしい音を立ててナハトの姿が変わる…
「省エネモードに…なっちゃった…」
リィン達くらいの背丈になった、ナハトはえへへと笑いながらお腹を押さえて
「お腹…空いた…ご飯、ちょーだい」
と邪気の無い顔で笑った。その笑顔のせいか私は力が抜けてしまった
「まぁ、良いか。私に協力してくれるんならそう目くじら立てんでもええし。普通のご飯で良いん?」
私がそう尋ねるとナハトは
「んーん、今は魔力の方が…良い」
兄ちゃんの方を見て言う、それに気付いたリインフォースが慌てて自分で兄ちゃんを隠して
「だ、駄目だぞ!兄上にはもうキスさせないぞ!?」
「んーキスじゃなくても良いんだよ…?この姿なら…余剰魔力で充分だから…」
とてとてと兄ちゃんの隣に座ったナハトは、そのままこてんと兄ちゃんにもたれかかり
「これで…じゅーぶん!…お腹一杯になるよ~」
にこにこと笑っていた…それを見たリインフォースが
「では。何故さっきはキスをしたんだ?」
「んー私の気持ち…にーさまに好きだよって…伝えたかったんだよ…」
ナハトは神妙な顔になり
「私は闇だよ…でもね…闇でも幸せになりたいの…にーさまに良い子って言われたいし…頭も撫でて欲しい…でも…闇に幸せになる権利は無い?」
不安そうな顔で尋ねてくるナハトはそのまま兄ちゃんの服を掴んで
「私…見てた…リインフォースがにーさまに頭撫でて貰うの…それにシグナムが褒められてるのも…ヴィータとにーさまが遊びに行くのも…ずっと羨ましいって思ってた…それでなんでか判んないけど、具現化できた…これでにーさまと一緒に入れるって凄く…嬉しかったの…」
寂しそうに言うナハト…そうやよね…ナハトだって好きであんなふうになったんじゃない。ナハト自身も被害者なんや…あの時は意思疎通は出来なかった、でも今こうして話し合って分かり合えるなら…それが良いに決まってる
「でもやっぱり…闇は幸せになっちゃ…いけないかな…?」
ナハトがぽそりと呟いた時、体育座りだった兄ちゃんがナハトを抱き寄せ
「馬鹿、何を言ってる。闇だろうがプログラムだろうが、幸せになる権利はあるに決まってるだろう」
私が言うより、兄ちゃんが言った方が良いに決まってる…ここから先は兄ちゃんに任せよう…私は兄ちゃんの言葉に耳を傾けた…
ナハトの言葉は聞いていた、震える手で私の服を掴んでいたナハト…きっと彼女は寂しくて悲しくて…家族の温もりを欲してるんだ…私はそう思いナハトの小柄な体を抱きしめた…
「お前が私を兄と呼ぶなら、私はお前を受け入れる。さっきみたいのはもうごめんだがな…」
さっきみたいなキスはもうやめて欲しいのでそう言うとナハトは
「うん…しない…こうやって…抱きしめてくれるなら…それでいい…」
嬉しそうな顔をしてるナハト…何時までも夜という名はおかしい…夜は必ず明けるもの…そしてきっと今がナハトが変われる時なんだ…
「明けない夜はない…お前はもうナハトヴァールじゃない…」
「?」
首を傾げるナハトを自分の方に向け
「お前は今日からターゲスアンブルッフ・リヒト…ドイツ語で夜明けの光という意味だ。お前はもうナハトじゃない、お前はリヒトだ」
お前を包んでいた闇の呪いは今解けたんだ
「リヒト…にーさまがくれた…名前…嬉しい…」
ポロ…ポロと涙を流すリヒトは
「う…嬉しいのに…涙が出る…」
嬉しいはずなのに涙が零れる事に困惑してるリヒトに
「人は嬉しい時も泣くものだ」
私はその涙を拭ってやりながら
「さ、おいで。家族に紹介しないと」
シグナム達にユナ達…皆に紹介しないといけない…新しく増えた家族を…
「うん…手…繋いでもいい?」
そろそろと手を伸ばしてくるリヒトの左手をしっかり握り締め
「勿論だよ、行こう。皆でな」
リインフォースとはやてに目配せをすると、はやては頷きリヒトの右手を握り
「んじゃ、今日から私はお姉ちゃんやね?」
「う…うん…はやてねーさま」
少し頬を赤らめながら言うリヒトはリインフォースの顔を見て
「それとリインねーさまだよね?」
「あ、ああ。そうなるな…」
少し困惑しながらも頷くリインフォースにリヒトは
「家族が居るって…こんなに嬉しいんだね…」
泣き笑いの笑みを浮かべ幸せそうに微笑んだ…それは夜が明けた瞬間だった…
現れた闇 終り
どうも混沌の魔法使いです、初擬人化は劇場版の「ナハトヴァール」でした。どうでしょう?気に入っていただけたでしょうか?もしそうなら良いのですが。それとリヒトはバカテスの方でも出そうと思ってるんですけど…どうでしょうか?一応皆様の意見を聞きたいです。それとこの話では「マテリアルズ」は出現してません。両方出すのは無理かなと思い「マテリアルズ」は出ていないと言う設定です。それでは最後にリヒトさんの設定でお別れしたいと思います
ナハトヴァール→ターゲスアンブルッフ・リヒト 愛称リヒト
闇の書の闇が具現化し人の姿を取った者。雪のような白い肌と真紅の瞳に長い紫色の髪が特徴の美女。
大人形態と子供形態の2つの姿を持つが、元が闇の書の闇であるせいか、魔力も通常の食事も大変な大食らいである(その凄まじさは某ハラペコ王の数十倍以上)。それでも魔力の消費は桁違いに大きく。大人形態ではすぐ魔力枯渇を起こしてしまう。大人形態の主な充電方法としては髪を対象にからめ吸収するか、口から吸収するかの2通りあるが。子供形態では龍也にひっついているだけでも充電できる。また大人形態では髪で左目を隠し、子供形態では右目を隠している。特に意味は無いらしいが気分の問題との事。大人形態は身体にフィットするチャイナドレスなような服を好む、ただ腰元や肩の所に鎖を巻きつけている…どうやら貧乳を隠す為のアイデアらしい。子供形態は黒のワンピースを着ている。両形態共通の特徴として髪を動かす事ができる。リインフォースとは一心同体の存在でどちらかが死ぬと残されたほうも死ぬ。一応融合騎らしく、リインフォースかはやてとならユニゾン出来るが…はやて達曰く、あれはユニゾンではなく憑依されてる感覚に近いらしい、ただリヒトはユニゾンだと主張している。子供形態では純粋に兄として龍也が好きで、大人形態では異性として好きらしい。大人形態と子供形態では考え方が違うとの事、龍也の事はにーさまと呼ぶ。性格は良いも悪いも子供っぽく天然