夜天の守護者 番外編   作:混沌の魔法使い

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マテリアルとヴィヴィオの小さな嘘

マテリアルとヴィヴィオの小さな嘘・・

 

この騒動の始まりは静夜の一言から始まった・・

 

「父上は最近・・我達と遊んでくれない・・父上は本当に我達の事を大切に思ってくれてるのか?」

 

その呟きに雷華が

 

「・・それは僕も感じてたかな・・パパ最近仕事行くのも早いし帰ってくるのも遅いもんね・・」

 

1回不安になるとそれはそう簡単には消えてくれない・・それは幼いマテリアルズとヴィヴィオも同じで

 

「・・本当はパパ・・ヴィヴィオ達の事嫌いなのかも・・」

 

その呟きに星奈が

 

「しかしこんな事は直接お父様には聞けないです・・でもお父様の気持ちが判らないと不安で不安でしょうがないです・・」

 

ヴィヴィオとマテリアルズ達には1つ不安な点がある・・それは自分達が本当の娘達ではないという事だ・・片や人造魔道師・・片や闇の書の闇の欠片・・その事が自分達の不安を加速させる・・それは捨てられるのではないか?と言う不安だ・・星奈達がそんな事を考えていると

 

「どうしたの?こんな暗いのに明かりも点けないで?」

 

スバルとティアナが4人の顔を見ながら尋ねると、静夜が

 

「そうだ!塵芥・・いや・・ティアナ・・お前に頼みがある!」

 

この静夜の頼みが全ての騒動の引き金となった・・

 

 

 

「兄ちゃん・・最近忙しそうやね・・どうしたん?」

 

そう尋ねて来るはやてに私は書類を見せながら

 

「静夜達がヴィヴィオと同じヒルデ魔法学院に通えるように準備をしてるんだ・・」

 

私がそう言うとはやては

 

「もう・・兄ちゃんは本当に静夜達が大切なんやね」

 

笑いながら言うはやてに

 

「当然だ、私には静夜達が人間じゃないとか・・どうとかには興味は無い・・ただ大切な私の娘・・それだけで充分だ」

 

もう直ぐ書類が全部揃う・・カリムやシャッハにも頼んだ・・どうにかして静夜達を学校に通わせる事は出来ないか?と・・何度も何度も頼み、遂にはカリム達が折れ、条件付だが入学が許可されたのだ・・その条件とは

 

「強力なりミッターで魔力の制限・・それにデバイスの弱体化・・ねぇ・・」

 

書類を見ながら言うはやてに

 

「仕方ないんだ、静夜達の魔力はSS+・・リミッターでC-まで能力を下げるのが絶対条件だったんだ」

 

私とはやてがそんな話をしていると、なのはが部屋に駆け込んで来て

 

「龍也さん!大変です!!ヴィヴィオ達が誘拐されました!!!」

 

その言葉に私は一瞬で座っていた椅子から立ち上がり、なのはの服の襟を掴み

 

「どういう事だ・・説明しろ」

 

私が睨みながら言うとなのはは私の腕を叩きながら

 

「た・・龍也さん!く・・苦しいですっ・・」

 

涙目で言うなのはに冷静になり

 

「す・・すまない・・頭に血が上ってしまった・・大丈夫か・・?」

 

苦しそうに咳き込んでいたなのはに謝ると・・

 

「だ・・大丈夫です・・それよりヴィヴィオ達の部屋にこれが・・」

 

私はなのはに渡された手紙を見た・・そこには

 

『蒼天の守護者・・いや・・神王・・八神龍也・・お前の娘は預かった・・返して欲しければ、今日の17時までに5億円を用意して1人で、ベルカ自治区の外れの教会に来い・・もし来なければ・・お前の娘の・・いや・・この造られた命の身の安全は保障しない・・それが嫌なら1人で教会へ来い』

 

そう書かれていた・・私はその手紙を握り潰していると、なのはが

 

「た・・龍也さん・・落ち着いて・・」

 

落ち着くように言うなのはに

 

「私は落ち着いている・・落ち着いてるさ・・」

 

私がそう言うとなのはは・・

 

「キレてる・・龍也さんが・・完全にキレてる・・」

 

そう言うなのはに私は・・

 

「ここで時間を潰してるつもりは無い・・私は行くぞ・・」

 

部屋から出て行こうとするとはやてが

 

「お金は、お金はどうするんや?」

 

慌てて尋ねて来るはやてに

 

「金はある・・殆ど給料なぞ使ってない・・5億くらいある」

 

大将という地位で金はある・・私達の生活日を差し引いても・・余る位なのだ・・私がそう言って出て行こうとするとなのはが

 

「私も一緒に行きましょうか!・・1人より2人の方が・・」

 

一緒に行こうか?と尋ねて来るなのはに

 

「必要ない・・1人で充分だ・・金なぞの為に、ヴィヴィオ達を攫った奴らに生まれて来た事を後悔させてやる・・」

 

私がそう言うとなのはは

 

「怒らせちゃいけない人を怒らせちゃったね・・私知らないよ・・あの場所・・灰になるよ・・」

 

そう呟くなのはの言葉を聞きながら、私はその場所を後にした・・

 

 

 

 

「パパ・・来るかな?」

 

目の前で呟く雷華を見ながら私は

 

「本当に良いの?・・こんな事して・・龍也さんが心配するよ?」

 

そう尋ねると静夜がジュースを飲みながら

 

「判らないだろう、スバル・・父上がここに来るとは限らない・・我達は必要とされて無いかも知れないだろう・・」

 

そう呟く静夜を見ながらティアが

 

「はぁ・・私こんな事してて良いのかな・・幾ら頼まれたからって狂言誘拐なんて・・したくなかったな・・」

 

そう今回の事態は全て・静夜達が計画した狂言誘拐なのだ・・龍也さんがここに来てくれるかどうか・・自分達は本当に龍也さんに大切に思われているのか知りたいと言う静夜達が計画した物なのだ・・その為にティアが幻覚魔法を用いて、この狂言誘拐の犯人を作ったのだ・・横目で犯人役のロボットを見る・・スカリエッティさんが造った模擬戦用のロボットに幻覚魔法を重ねて犯人役に仕立て上げているのだ

 

「強さは最高にしてあるけど・・あれでも役不足だと思うけど・・大丈夫かな?」

 

私は不安を感じていた・・私達は見た事が無いが・・本気で怒った龍也さんは超が付くほど怖いたらしい・・しかもトラウマになるほどの物らしいのだ・・今回私の予想通りなら・・龍也さんはここに怒りながら登場するはず・・私がそれを恐れていると・・ヴィヴィオが

 

「パパ・・来てくれるかな・・来て欲しいな・・ヴィヴィオはパパが大好きだもん・・パパもきっとヴィヴィオの事好きだよね・・スバル?」

 

不安げに尋ねて来るヴィヴィオの頭を撫でながら

 

「大丈夫だよ・・龍也さんはここに来るよ・・絶対に・・私が保証するよ」

 

そう言うと雷華が

 

「そうかな・・パパは本当に来てくれるかな・・スバル・・」

 

不安げな雷華に

 

「間違いないよ・・龍也さんはここに絶対来る・・雷華が思う以上に龍也さんは雷華達の事を好きなんだよ・・」

 

私がそう言うと、ティアが顔を青くさせながら

 

「スバル・・来たわよ・・超怖い・・私ここから逃げたい・・逃げて良い?まだ死にたくないし・・嫌われたくないし・・」

 

ティアがそう呟いた瞬間・・教会の壁を蹴り破りながら・・

 

「来たぞ・・とっとと出て来い・・屑が・・」

 

アタッシュケースを持ちながら言う龍也さんの纏うオーラは普段と全然違う・・燃え上がる炎の様なオーラを感じる・・その前にプログラムされたロボットが移動し

 

「金は持って来たか?・・それとも造られた命に出す金は惜しいか?」

 

そう言うと龍也さんの纏うオーラが更に凄まじくなる・・龍也さんはアタッシュケースを持ち上げ

 

「金はここだ・・ヴィヴィオ達を返せ」

 

龍也さんがそう言うとロボットが

 

「くく・・確かに・・金は受け取った・・だが・・造られた命は返すつもりは無いな・・お前だって本当は要らないのだろう?・・人間では無い物に・・父親等と・・メキャッ!「黙れ・・それ以上・・ヴィヴィオ達の事を造られた命と呼ぶなぁッ!!!」・・グギャ・・ガガ・・ピピッ・・」

 

騎士甲冑も展開してないのに、龍也さんは凄まじい速さでロボットの懐に飛び込み、無造作に拳をロボットの胴体に叩き込み簡単に破壊した・・破壊された事でロボットに掛けられた幻覚魔法が解除された・・無残な残骸になったロボットを見ながら・・龍也さんは

 

「スバル・・ティアナ・・5秒以内にヴィヴィオ達を私の前に連れて来い・・さもなくば・・私は2度とお前達と口を利かない・・」

 

そう言う龍也さんの言葉を聞くか聞かない内に私達はヴィヴィオ達を抱き抱え・・龍也さんの前に行った・・

 

「・・どういう・・つもりだ・・この茶番は・・お前達は・・何をしたかったんだ・・答えろ・・今すぐに・・」

 

振り返らずに背中を向けたままに呟く龍也さんは正直・・超怖い・・出来る事なら今すぐ逃げ出したい・・私がそんな事を考えていると・・・

 

ドゴンッ!!!

 

教会の壁に大穴が空く・・龍也さんは壁から腕を引き抜きながら

 

「・・言わないか・・なら・・お前達に直接聞こうか?・・私は女子供に手を挙げるのは嫌いだ・・だが・・今回は違うぞ・・笑って許せる・・レベルじゃない・・」

 

ゆっくりと振り返る龍也さんと目が合う・・怖い・・怖くて・・動けない・・

 

「ひっ・・ひっ・・」

 

隣でティアが大粒の汗を流しながら、へたり込む・・だがそれは私も同じだ・・足に力が入らずその場に倒れるようにへたり込んだ・・龍也さんがゆっくりと歩きながら

 

「私は・・今まで一度だって・・ヴィヴィオ達の事を造られた命などと思った事は無い・・ヴィヴィオ達は・・私の・・大切な・・大切な娘達だ・・」

 

ゆっくりと近付いてくる龍也さん・・その怒気に当てられ・・私達は呼吸する事が出来なかった・・

 

「だから・・そんな娘達を作られた命などと呼ばれるのは不快なのだよ・・いい加減説明してくれないか?・・この茶番の意味を・・」

 

言うならこれが最後のチャンスだと思った・・だが私達が口を開く事は出来なかった・・その様子を見て龍也さんは

 

「そうか・・教えるつもりが無いなら良い・・・だが・・もう2度と・・」

 

この後に続く言葉は判った・・2度と話しかけるな・・だ・・私達は・・2人揃って完全に龍也さんに嫌われた・・そう思った瞬間・・静夜達が龍也さんに抱き付きながら

 

「ごめんなさい!!ごめんなさい!!スバルとティアナは悪くないの!!ヴィヴィオ達が悪いの!!」

 

大粒の涙を流しながら言うヴィヴィオに龍也さんは

 

「ヴィヴィオ達が悪い?・・どういう意味だ・・」

 

少し冷静になったのか、怒気が和らぐ・・それで私達は漸く呼吸を再開できた・・私達が呼吸を整えていると・・静夜が泣きながら

 

「さ・・最近・・父上・・が・・遊んでくれなくて・・寂しく・・て・・ヒックッ!・・父上が本当に我達を好きなのか・・気になって・・スバルと・・ティアナに手伝って貰って・・父上の・・気持ちが知りたかったのだ・・うう・・うわああああんんッ!!!」

 

堪えられなくなったのか大声で泣き始めた静夜達を龍也さんは抱き抱えながら

 

「そうか・・そんなにも静夜達は寂しかったのか・・すまない・・私は静夜達が喜ぶと思って・・学校に行けるように・・手筈を整えていたんだ・・だが・・そんなにも寂しい思いをさせていたんだな・・すまない・・」

 

そう謝る龍也さんは何時もと同じ優しい龍也さんに戻っていた・・

 

「スバル、ティアナ・・すまない・・私の勘違いで怖い思いをさせてしまった・・」

 

廃教会を出て直ぐ謝ってくる龍也さんに

 

「い・・良いんですよ!!私達が悪かったんですから、ねッティア!」

 

手を振りながら隣に居るティアに話しかけるとティアは

 

「はい、今回は私達が悪かったんです・・すいませんでした・・龍也さん」

 

頭を下げながら言うティアに龍也さんは

 

「いや・・悪かったのは・・私だ・・静夜達の為だと思いやっていたのに、悲しませていては意味が無いだろう・・だから今回は私が悪かったんだ・・」

 

お互いに謝り合っていると、ヴィヴィオが

 

「パパ・・ヴィヴィオ・・お腹減った・・」

 

お腹を擦りながら言うヴィヴィオを抱き抱え龍也さんは

 

「そうか・・それじゃあご飯でも食べに行こうか・・そうだ・・スバルとティアナも来ると良い・・お詫びになるか判らんが・・夕食を奢ろう・・」

 

そう言う龍也さんと一緒に外食をした、私達は部屋に戻った後・・

 

「龍也さん・・怒らせると怖かったね・・」

 

前に龍也さんが怒った所を見た事があったがそれ以上に今回の龍也さんは怖かった・・だからそう言うとティアは

 

「そうね・・怖かった・・私は決めたわ・・2度と龍也さんを怒らせないって・・」

 

2人でそんな事を話していると頃・・龍也は・・

 

「ごめんな・・皆・・もう寂しい思いはさせないからな・・」

 

静夜達の頭を撫でながら寝る準備をしていた・・ヴィヴィオ達は頭を撫でて貰うのが気持ち良い様で目を細めながら

 

「うん・・約束だよ・・パパ・・お休み、それと大好きだよ・・」

 

「約束だよ・・パパ・・もう寂しいのは嫌なんだ・・」

 

「はい・・私は寂しいのも悲しいのも嫌です・・だから・・傍に居てくださいね・・」

 

「我もだ・・父上・・我も寂しいのは嫌だぞ・・」

 

眠いのを我慢しながら、口を揃えて寂しいのは嫌だ・・そう言うヴィヴィオたちに龍也は

 

「もちろんだ・・もう寂しい思いはさせないからな・・安心してお休み」

 

そう言いながら龍也達は一緒の布団で眠りに落ちて行った・・

 

 

マテリアルとヴィヴィオの小さな嘘・・ 終り

 

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