それとリクエストしてくれた方とリクエストテーマはあとがきで書かせて頂きます。ここで書くと楽しみが無くなりそうなのでそれではどうぞ
リクエスト番外編 懐かしい君へ
「……朝か」
ううーんと背伸びをしベッドから降りようとして
「……足がつかへん?」
おかしい足がつかないなんて……驚きながら自分の手を見る。小さく柔らかいリィン達のような手
「……鏡はどこやったけ?」
ベッドの横のサイドテーブルに入れてあるコンパクトを取り出し、深呼吸してから覗き込む。10歳前後の少女が私を見返していた……
「なんでやーッ!!!!」
朝から何でこんな大絶叫をしなければならないのだ……
「どうしました? 主……はやてですよね?」
「うん。そうや」
きょとんとするシグナムにそう返事を返すとシグナムは
「ちょっとシャマル連れて来ます、前に兄上が小さくなったときと同じ物が原因だと思うので」
くるりと踵を返すシグナムに
「いや、別に良いで? 怒らんでも」
「はい?」
訳が判らないと言う表情で振り返るシグナムに
「だって子供の姿やったら兄ちゃんが構ってくれるやろ? 私にとっては最高の状態や♪」
「そうでしたね。貴女はそう言う人でしたね」
はあと溜め息を吐くシグナムに
「あ、悪いけど静夜の服借りて来てくれる? サイズ一緒やと思うで」
「はい。判りました」
部屋を出て行くシグナムを見ながら
「最高の休日になりそうやー」
これ以上幸せな事は無いと思う。私はそんな事を考えながらベッドの上で足をパタパタと揺らしていた……
食堂で朝食後の紅茶を飲んでいると
「おはよ、兄ちゃん♪」
「……シグナム、これはどういうことだ?」
私が思う1番可愛い時のはやてがそこにいた
「はぁ。朝主はやての部屋に行きましたら。子供状態の主はやてがいまして」
「ジェイルか? それともシャマルの料理のせいか?」
「多分シャマルが原因かと」
はぁ、シャマルだったら怒れないじゃないか。ジェイルなら手足を縛って火あぶりにしてから管理局地上本部の頂上から突き落とすのに
「へくし!? なんだ? 九死に一生を得たような?」
地下研究室でくしゃみをしている天災科学者がしきりに首を傾げていた
「抱っこ~♪」
両手をがばっと広げにこりと微笑むはやてを見ながら
「中身も子供か?」
「??」
訳が判らないと言う表情のはやて、どうやら中身も子供のようだ
「おいで」
「ぎゅー♪」
ひょいと抱き上げはやてを抱きしめてやる
(ああ、なんか癒される……魔王化してないこの時のはやてが1番可愛かった)
弱い力でぎゅーと抱き返してくるはやての背中を撫でていると
「兄ちゃん、お腹減った……ご飯食べたい」
可愛らしく小首を傾げるはやてに
(ああ、やっぱ昔のはやてだ)
思わずほろりと来る。魔王になる前のとても可愛い時のはやてだ
「直ぐ作ってくるよ」
「うん♪」
コートからエプロンに着替え私は食堂の厨房に向かった……
「凄いですね、主はやて」
「なにが?」
兄上がいなくなったらさっきまでの天真爛漫の表情は消え、計算通りとでも言いたげな黒い笑みを浮かべる主はやて
「はやて。何食べたい?」
「オムライス♪」
一瞬で黒い笑みを消しにこりと天使の笑みで答える主はやて。二面性があるのは知っていたがこれは凄い、私にはとても無理だ。兄上が厨房に戻るとまたにやりという笑みを浮かべる
「ふっふー、兄ちゃんにとってはこの時期の私が1番心配で。1番大切に思ってれくれた時やから。思い出補正含めて騙されやすいんや」
「騙してると言う自覚はあるんですね?」
私がそう尋ねると主はやては
「うん、あるよ? でもばれなきゃいいんや」
にこにこと笑う主はやては、私達が召喚された時よりも幼く、兄上にとっては1番大事で1番心配だった時の姿なのだろう。だから兄上は主はやてを疑う事が出来ず素直に受
け入れている
(だがそれを知ってこのように動くとは。やはり恐ろしい人だ主はやては)
「出来たぞ~」
「わーい♪」
さっきまでの黒い気配を消しにこにこと笑う主はやてとその前に座り優しい笑みを浮かべている兄上。きっと懐かしい思い出が絶え間なく思い出されているのだろう
「あ~ん♪」
「はい」
はむはむと可愛らしく口を動かす主はやての口の周りのケチャップを拭き。飲み物を用意する兄上
「美味しい♪」
「そっか、良かった良かった」
にこにこと笑い主はやての頭を撫でて笑う兄上に
(い、言えない。兄上の幸福を奪う事も出来ず、また主はやての静かな殺気も恐ろしくとても私には事実を言うことが出来ない)
ぎらりと暗い光を放つ主はやての目と優しい笑みを浮かべる兄上。とてもではないが私は事実を言うことが出来なかった……
「あの八神大将。本当に部隊長が溜め込んでる書類も処理するんですか?」
「ああ、どうせ私も書類溜めてるし一緒に処理しよう。悪いが運んできてくれグリフィス」
八神大将の執務室に部隊長の分の書類も運び込む。八神大将のデスクの隅で足をぶらぶらと揺らしている小さい部隊長を見る。
(見た目は完全に子供だけど……中身は? 違うん……!!!)
八神大将が目を離した瞬間、にいっと三日月形の笑みを浮かべる部隊長
(違う!? 中身は天使じゃない!? 中身は何時もの大魔王の何時もの部隊長だ!?)
「ん? どうした? はやて」
「んーん。何でもないで」
可愛らしく笑いぎゅーと八神大将に抱きつく部隊長だが、視線だけで僕を見て
(余計な事言えば殺すで?)
口だけを動かしそう言う部隊長の目は一切の光が無く心臓が止まりそうになる位の威圧感を感じる
「よいしょ、よいしょ」
ひょこっと八神大将の膝に座り込み。抱きしめられているような格好で僕を見る部隊長の頭を撫でながら
「とりあえず、はやてにお菓子とジュースを」
気付いてない!? 魔王の気配に敏感な八神大将が気付いてない!? きっと八神大将にとって1番可愛い時の部隊長だから、思い出とかの補正で気付かないんだ
「好き♪ 大好き♪」
ぎゅーと抱きつき頭をこすり付ける部隊長に
「よしよし、良い子、良い子」
とても優しい笑みで部隊長の背中を撫でる八神大将、だが部隊長は視線だけで僕にこう言っている
(何時まで居る気や、とっとと失せい)
凄まじいまで眼光に射抜かれ僕はがくがくと震える足を押さえゆっくりと八神大将の執務室を後にした。中から
『兄ちゃん♪ 兄ちゃん♪ 大好き♪』
『うん、私も大好きだよ』
きっと明日八神大将は明日今日の事で部隊長に迫られる事間違いなし
(哀れすぎる、血が繋がってないとはいえあそこまで妹に迫られるなんて。なんて不便なんだ)
そう思う反面。八神大将が一番幸せなのは部隊長と結婚することだと思う僕が居る
(八神大将も今年で25歳だし。そろそろ結婚を考える時期だし、それに部隊長達も適齢期が)
「死ねッ!」
「ふぐおうっ!?」
強烈な脛蹴りを喰らい思わずその場で蹲る
「おうこら。今何考えた? 乙女の歳を考えたな? 死ぬか戯け」
「す、すいません。部隊長。踵でぐりぐり頭を踏まないで下さい。お願いします」
頭蓋骨が軋む、って言うかこれ危ない図柄だ、幼女に頭踏まれる大人……完全に変態だ
「はやてー? どうした? 迷ったのか?」
ひょこっと八神大将が顔を見せると
「んーん。この人が転んでたから大丈夫?って聞いてたんよ?」
凄い天使の笑みのままさらりと嘘言った
(死ね)
(ぐわあああ!? 掌を踏み砕かれた!?)
八神大将から見えない角度で踵を上げ魔力込めた一撃で僕の掌を容赦なく踏み砕く部隊長。あまりの激痛に声も出せずに居ると
「そっか、はやては良い子だね」
「うん! 私良い子やよ?」
相変わらず天使の笑みを浮かべつつ足は僕の掌を踏み続けている
(ぐうう……やっぱ部隊長が1番怖い)
六課に居る魔王の中で1番恐ろしいのはやっぱり部隊長だと思った
「よしよし、おいで」
「はーい」
とととッと足音を立てて八神大将に抱きつく部隊長を見て
(ぐぐぐ……シャルナさんか。シャマルさんに治療してもらおう)
六課内で最高の治癒魔法の使い手の2人の顔を思い出し医療室に向かったのだが
「は? 何故私が貴方の怪我を直す道理が? 私の全ては王のためだけにある。王の頼みが無ければ指1本動かすことさえ拒否します」
シャマルさんが居らず、シャルナさんの絶対零度の笑みで追い返され。僕は痛む手を押さえながら
(シャマルさんはいずこ……)
良いですよと二つ返事で治療してくれるシャマルさんを探して、僕は六課内を歩き回った……
結果論的に言えばシャマルさんを見つけ直ぐに治療してもらったのだが。やはり直ぐには痛みが引かず。そしてさっきの絶対零度のシャルナさんの笑みと部隊長の魔王の笑みを思い出し。その日はまるで寝ることが出来なかった……
はやての髪をドライヤーで乾かしながら
「すまんな。ヴィータ」
「ん? いや私は別にいいけどな」
リィンやアギトとお風呂に入れるメンバーが多かったので。ヴィータに頼んで皆を見てもらっていたことに礼を言うと、ヴィータは別に気にしなくて良いと言いながらはやてを見て何かを言い掛けたが。口を閉じてリィン達の髪を拭いて布団の用意をし始めた
「はい、終り」
「おおきに♪」
ぺこりと頭を下げて笑うはやてはそのままリィン布団の方に歩いて行った。さっきからしきりに目を擦っていたからきっと眠いのかも知れない
「凄い懐かしそうな顔してるぞ兄貴」
「ん? そうかもな」
リィン達が遊ぼうと言ってるのだが眠いといって布団にもそもそと潜り込んだはやてを見ながら
「まぁ。あの時のはやてが1番心配だったからな」
「どうしてだ?」
「あの頃のはやては徐々に足に麻痺が出始めててな。 ふらついたり立ち上がる事が出来ない事も多かったし。その分心配だったんだよ」
「やっぱあれか? 兄貴は……はやてが1番大事か?」
少し顔を伏せて尋ねてくるヴィータに
「誰が1番とかは無い。はやてもヴィータも、リィンやアギトも私にとって大事な家族で妹だ、だから誰が1番とかそう言うのは無い」
ヴィータの頭を撫でながら言うと
「そっか……へへ。変なこと聞いてごめんな兄貴。じゃ、おやすみ」
部屋に戻ろうとするヴィータに
「ああ、おやすみヴィータ」
軽く額に触れるだけのキスをすると
「ふえ? いいいい、今何を!?」
トマトの様に真っ赤になり目を白黒させるヴィータにくすりと微笑み
「おやすみヴィータ。良い夢を」
「う、うん……」
額を押さえニヤニヤしながら自分の部屋に戻っていくヴィータを見送り。既に寝入っているはやての髪を撫で
「明日には元に戻ってるかな?」
明日には元のはやてに戻っているだろう。それで記憶が残っているかは5分5分と言った所か……私はそんな事を考えながら自分のベッドに戻り眠りに落ちた
翌朝案の定私は元の姿に戻っていた。もうちょっと子供のままでもいいかなと思っていたが我侭は言わない。昨日一日にで十分楽しめたし
「ふふ♪ ふふふふ♪」
「はやてちゃん、凄いご機嫌だね」
本局に演習に行っていたなのはちゃんにそう尋ねられた私は
「昨日な実はこういうことが……」
もしょもしょと昨日の出来事を耳打ちするとなのはちゃんたちは無言で立ち上がり
「あ、あのシャマル!!」
「シャマル先生!!」
「ふえ? なんですか?」
パンを齧っていたシャマルが小首を傾げながら尋ねると。なのはちゃん達は土下座でもし兼ねない勢いで
「「「お願いします!! 私達にも子供化できる料理を作ってください!!!」」」
「え、ええ? でもあれはランダムで……」
「「「お願いします!!!」」」
もうシャマルの言葉なんて何一つ耳に届いて居ないと言う感じのなのはちゃん達を見ながら
「おはよう。はやて」
「うん、おはよう兄ちゃん♪」
自分の欲に正直なのは良いが、それで本当に欲しいものを見逃すのはどうかと思う
「なぁ。なぁ。兄ちゃん今日お休みやろ。遊びに行こうよ」
「仕事は?」
「グリフィス君が代わってくれるって♪」
誠心誠意込めた交渉(周囲にブラッデイダガーを展開)でグリフィス君が今日の仕事を変わってくれた。だから大丈夫
「あんまり苛めてやるなよ?」
「何の事?」
くすくすと笑う兄ちゃんの腕にしっかり抱き抱え
「今日は兄ちゃんに似合う服一杯選ばんと」
「お手柔らかにな」
「OKや♪」
皆が気付く前にと腕を引いて六課を出て私達は街へと出掛けて行った
~翌日~
「「「う?」」」
「六課は何時から保育園になった?」
「さぁ?」
見た目4~6歳前後のなのはちゃん達にあのピンクのポニーテールは間違いなくシグナム……あんたまでもか……
「おはよう……ってなんだこれ!?」
ヴィータが子供状態のなのはちゃんやシグナムとかを見て絶叫する中。ちびっこ軍団は
「うー!」
「私のー」
ぬいぐるみの引っ張り合いに
「あう?」
「きゃっきゃっ♪」
私達には理解不能の言語で会話をしていたりする……
「今日も仕事にならへんね」
「そうだな」
この状態ではとても仕事なんて出来ない。私達はちびっこ軍団の世話をする事になるのだが……その話はまたいずれ……
リクエスト番外編 懐かしい君へ 終り
今回のリクエストテーマは「子供化してるけど中身は魔王なはやてさん」で「ユウーTKTM様」からのリクエストでした
外見天使。中身は大魔王なはやてさんの話でしたが面白かったでしょうか? 最後の子供かなのは達は見たいと言う意見がありましたら書こうと思います
それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします