クリスマス番外編 サンタ大作戦
「準備OKだ」
サンタクロースの衣装に身を包む龍也に
「死ぬほど似合っていない」
「言うな」
龍也の長身にサンタの衣装は正直微妙だった……
「キュ?」
ぴこぴこと尻尾を振るアースドラゴンの幼生
「枕元には置けんな」
「だな、食堂のツリーの下にでもおくか」
枕元におけるサイズではない。ここはやはり食堂のツリーの下が無難だろう
「キュウッ!! キュウキュウ!!」
足元で遊んで遊んでと鳴くドラゴン
「ハウス」
「キュッ!!」
ぴこぴこと歩いていき自ら箱に納まるドラゴン。結構頭がいいらしい
「良し。では行ってくる」
龍也はゆっくりと各々の部屋にと向かっていった
ケース1 ちびっ子
「ジェイル。今ユナたちの部屋にいるんだが。問題発生だ」
「どうした」
「起きているぞ」
時刻は既に深夜1時。もう寝ていると思ったのだが……
「よし、龍也睡眠爆弾を送る。それを部屋の中にこっそり入れろ」
「人体に影響は?」
「ない。安心しろ」
その言葉に一安心しプレゼントの袋に送られてきた。丸いボールの様なものを取り出し、こっそり部屋の中に入れる。数秒後部屋の中からの気配は完全に消えた
「良し。行くか」
こっそりと部屋の扉を開け中に入る
「「「「すーすー」」」」」
椅子に座り眠っているユナ達。机の真ん中にはクッキーと牛乳が置かれていた
「ふふふ。可愛らしいことだ」
起こさないようにユナ達をそれぞれの布団に寝かせ。枕元にプレゼントをおく、アザレアだけは手紙で
【ツリーの下に置いておくよ。 ハッピーメリークリスマス】
と書いた手紙を置いておく。流石にここにドラゴンを置いてはおけないしな
「……さてと。後は」
置かれたクッキーを食べ牛乳を飲み干し、近くの紙とペンを取り
【クッキーと牛乳どうもありがとう】
「よし、OKだ」
子供の夢を護る為サンタの手紙を書き。部屋を後にした
ケース2 病み娘
通信機からある声が聞こえてきた
「ジェイル、この部屋怖い」
心底怯えた声に
「誰の部屋にいるんだ? 龍也」
「セッテ……」
あちゃーよりによってセッテの部屋
「へ。部屋の壁全部に私の写真が……」
声がむちゃくちゃ震えている。ミッドチルダ最強の騎士の龍也もストーカーは怖ろしいらしい
「これから、どうやって私はセッテと接すればいいんだ? 教えてくれ」
真剣に悩んでる声だ。私は近く居るゼストとウーノに
「どうする?」
「どうするって全てお前の育て方が問題だろう? あんなストーカー属性のヤンデレはそうは居ないぞ? 何を驚いている」
「ぜ。ゼストがヤンデレを知っているだと!?」
「驚くのはそこか!?」
私とゼストがそんなコントをしているとウーノが
「1人で寝るのが怖いんですよ」
「え?」
「ですから暗いところが怖いんですって」
「そ、そうなのか? これは何か違うと」
「龍也様! セッテ! は暗がりが怖いんです! 判りましたね!」
脅すような強い口調で言うウーノそして通信機からは
「そ、そうか……人それぞれ個性だもんな。うん……そうだ、ストーカーとかじゃない! そうに決まってる。プレゼント置いたらすぐに出るよ」
無理矢理自分に言い聞かせてる!?
「良し、後は頭を強打すれば。記憶を失うでしょう」
「う、ウーノ? 何を言ってるんだ?」
「このままではセッテが龍也様の嫁になる可能性が減少します。それは面白く……こほん。姉としては妹の恋を応援したいので都合の悪い記憶を排除します」
ウーノ……お前はどこへ行ってしまうんだろうな 私は養女の行く末が激しく不安になった……なお後日龍也が背後からウーノに頭を強打されこの日の記憶。しかもピンポイントでセッテの部屋の記憶のみを失ったそうだ……
ケース3 最優コンビ
「次はスバルとティアナか……」
チンクたちの部屋はクリアした、残りはスバル達とシグナム達だ。
「スバルは不味いよなー」
あの独特の感性と野生を持つスバルだ。仮に寝ていたとしても飛び起きかねない
「何かないか?」
「マジックアームとかどうだ?」
強力マジックアームが出てくる。これでやればいいかと思い、部屋の中に入って絶句した
「部屋中に魔力糸と警報機が吊るしてある」
何が何でもサンタが来たら捕まえてやるという意思が見て取れる
「……マジックアームを上手く使え」
「それでも難しいぞこれ」
少しでも触れたらアウトだ。致し方ない
「魔力を放射して感覚を麻痺させて一気にプレゼントを置く」
警報機が感知できる魔力量を上回る放出あとはフラッシュムーブで行って戻ればいい。そう思い行動に出る
「すーすー」
ティアナは寝てる大丈夫だ。プレゼント置き。そしてそのままスバルのベットに向かいプレゼントを置こうとすると
ガシッ!!
「!?!?」
急に手を掴まれる まさか起きたか
「ぐー」
「本能って怖ろしい」
スバルの野性の本能って怖いなあと思いながらその手を振りほどき。枕元にプレゼントを置いて。部屋を後にする……
「ふー最大の難関は突破したな」
エリオとかは無問題だし、後やばいのは剣士として勘が鋭いシグナムと言ったところか……
「よし、行くか」
ケース4 幼馴染
「いやー楽しかったね」
「そうだね」
「ちょいのみ足りんかったしな」
3人であつまりパーティーの残り物とワインを飲みながら談話していると
「よう。不良ども何してる」
「「「!?!?」」」
そう声をかけられ驚きながら振り返ると
「た、龍也?」
「そうだが? なにか?」
サンタクロースの格好が死ぬほど似合っていない龍也さんがそこにはいた
「似合ってないのは判っている。一々言うな」
「あ。はい」
どうも自覚していたようだ。言わなくて良かった
「で? お前達はこんな時間まで酒盛りか?」
ジト目の龍也さんに
「ちょっと飲み足りなかったもので」
あはははと乾いた笑い声を上げながら言うと
「まぁ構わんがな。 二日酔いにならないように気をつけろよ」
そう笑いながら龍也さんは肩から下げていた袋から
「ほい、プレゼント」
「え?」
差し出された箱を思わず見てしまう。
「あの、兄ちゃん?」
「なんだ?」
「私とかサンタ信じてないよ?」
「知ってる。それがどうした?」
駄目だ話が噛み合わない。龍也さんの天然は計算できない!?
「まぁ黙って受け取っておけ。じゃあな、また明日からよろしく頼む」
そう言って出て行く龍也さん、残されたのは3つの小箱
「開けてみる?」
「そやな」
フェイトちゃんに声をかけられ箱を開ける。するとそこには
「あ……綺麗」
「本当だ」
「……高かったやろに」
3人ともペンダント、しかも唯のペンダントではなく星や太陽をモチーフにし。それぞれ宝石が真ん中に埋め込まれていて、一目で高価な品だと判る
「……おひらきにしよか」
「うん」
もう駄目だ、これ以上にないくらいニヤニヤしてるのが判る。幾ら幼馴染とはいえ見せたい顔ではない……はやてちゃんの一言でおひらきとなり自室に戻った……
なおこの後、なのは・フェイト・はやての3名は絶対部下には見せられないようなにやけた顔でペンダントを抱きかかえ、ベッドで悶えていたりする……
ケース5 月夜の贈り物
「来たぞ。セレス」
全員へのプレゼントを贈った後。着替えて私は街外れのセレスの墓の前に来ていた
「悪かったな……随分と遅れてしまって」
何時だったかセレスに話してやったクリスマスの話。いつか私もと言っていたセレスだったが結局、セレスはクリスマスが来る前に逝ってしまった……
「残り物だが勘弁してくれ」
作ったケーキにカバーを被せ。形だけの墓の前に置く……融合騎のセレスはここには眠っていない。だが形だけでも墓を作ってやりたかった
「お前って酒飲めたっけ? まぁ置いとくぞ」
ケーキの横に買って来て置いた白ワインを置く
「まだ答えなど判らんし。私の様な男が幸せになって良いのかなんて判らんが……お前に譲り受けた命だ。 迷いながら傷つきながら進んでも見るよ……いつか罪深い私も許される日が来ると信じて」
正義だなんだと言って。ネクロになりかけた部下を殺した、人々が笑い合っていた街を壊した……
「私の様な壊れた男に平和なんて似合わんな。なぁ?」
固有結界……あの何もない剣と廃墟の世界。 それを見るたびに思う。きっと私は何時までたっても壊れたままだ……得れるぬくもりも幸福さえも許されない。 何時の日か本当に平和になった時、この世界に私の居場所は無い
「ヴェルガディオスの言うとおりだ。 私は人形だ……どう足掻こうが人にはなれん」
何処まで行っても私が望むのは人として生ではない。誰かの……私にとって大事な者達の剣であり盾でありたいと願う。ならば私は人では無いのだろう……人とは己が幸福を望むものだから……
「やれやれ……すまん、愚痴った」
どうにもここに来ると自虐的になって行かんな……そう思って立ち上がりべヒーモスの所に戻ろうとして
『王よ……』
「え?」
ぼんやりと脳裏に響く声に驚き振り返ると、雲に隠れていた月が姿を見せセレスの墓を照らす。その光の中でぼんやりと浮かび上がるセレスの姿
『貴方は……許されて良い。ずっと1人で悲しみにも絶望にも耐えてきた……だから許されて良いんです』
「駄目だ……私は罪人だ。この罪はどうやっても償えない……私はお前の命も奪ってしまった」
『追い詰めないで……貴方は誰よりも優しい人。それに私は後悔はしていません……私は偽りの生の中で本物の時を生きましたから』
半透明のセレスの手が頬を撫でる
「ごめんな……私なんかじゃなくて……お前が生きればよかったんだ……ごめん……ごめんな……」
こんな幸福が判らない私なんかじゃなくて。お前が生きれば良かった……
「ずっと謝りたかったんだ……私は……私は!」
『良いんです……私が望んでやったことですから』
「だが! 私は……どうすれば良いのか判らないんだよ……この後悔はどうすれば良い!? どうすれば私はお前に償うことが出来る!?」
それは誰も見たことのない龍也の姿だった。自分が犯した罪と向き合い、その重さに耐えることができない。余りに弱い姿だった……
『なら生きて、生きて、生き抜いてください……私は貴方の話が好きだった。私が見る事が出来なかった世界その全てを見て……何時かまた出会えた時に聞かせてください。だから……それまで死ぬなんて言ったらだめですよ?』
「セレス……すまなかった。 らしくない、らしくないところを見せたな」
夢か幻か……顔を上げたときもう私の目の前にセレスの姿は無い。
「そうだったな……約束したもんな」
そうだ、まだ私は立ち止まってはいけない……やるべき事はまだ残っているのだから
「……足掻いて。足掻いて……進んで行くさ……何時かまた、会える様にな」
セレスの墓の前から背を向ける……揺らいでいた、悩んでいた、迷っていた……その全てを振り切れたわけではない。だが進むべき道は思い出せた……
「またな……セレス」
私が進む道はまだずっと続いている。こんな所で立ち止まってはいけない……生かされた分まで生きる責任がある。
「この先がどこに通じるか判らんが……歩いていくさ……どこまでもな」
迷うな、止まるな、進み続ける……何時か全てが終わるその時まで……私は立ち止まってはいけないのだから……
クリスマスを終えてに続く