夜天の守護者 番外編   作:混沌の魔法使い

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ラグナ争奪戦

ラグナ争奪戦

 

ギリギリ

 

「ちくしょう・・ハーティーンのやろう・・ラグナとベタベタしやがって・・」

 

俺は唇を噛み締めながらハーティーンを睨んでいた・・ハーティーンは基本的にラグナの傍におり、ラグナに近付く不届き者を牽制している・・悔しい事に俺もこの中に含まれている・・またラグナもハーティーンの傍におり、非常に仲睦まじく良いカップルだと俺は思うが・・頭で理解出来ても心で理解出来ないのだ・・

 

「昔は・・昔は良かった・・」

 

お兄ちゃん、お兄ちゃんとラグナが言ってくれた昔が懐かしい・・そんな事を考えていると

「それじゃあね、ハーティーンお休み」

 

ラグナが微笑みながらハーティーンに言って部屋に戻っていく・・部屋と言ってもハーティーンとラグナは同じ部屋・・3人用の大部屋だ・・もう同棲に近い状態だ・・それが俺の不安を掻き立てる・・もしハーティーンがラグナを襲ったら・そう考えると夜も寝れなくなる・・俺は意を決して

 

「ハーティーンッ!!」

 

食堂で酒を飲んでいたハーティーンを怒鳴りつけると

 

「何だ、ヴァイス・・お前も飲むか?」

 

俺に酒を勧めてくるハーティーンに

 

「違う!!俺は・・お前に決闘を申し込む!!」

 

俺がそう言うとハーティーンは

 

「決闘?・・良いぞ・・死にたいのなら何時でも墓場に送ってやるぞ?」

 

獰猛な笑みで笑うハーティーンの気配に呑まれ掛けていると、近くに居たなのはさんが

 

「ヴァイス君、無茶だよ!!殺されるよ」

 

そう俺とハーティーンの戦力差は歴然・・普通に戦えば俺の負けは決まっている・・だが俺が勝負するのは戦いでなく

 

「勝負のテーマは馬鹿の科学者に決めて貰う!良いな明日だぞ!!明日演習場に来いよ」

 

俺は捲くし立てるように言うと

 

「どんな勝負でも俺は負けない・・良いだろう・・明日だな・・楽しみにしているぞ」

 

そう笑うハーティーンに背を向け、俺は食堂を後にした・・

 

 

 

「何だ・・これは・・」

 

俺は演習場を見て眼を見開いた・・演習場が何かの祭りの場の様になっている・・一般局員達が観客席で盛り上がっているし・・審査員席には夜天やエースの姿が見える・・俺が困惑していると

 

「ハーティーン!!こっちだ来いッ!」

 

その声の先には腕を組んだヴァイスが居た、俺はヴァイスの待つ場所に向かった・・

 

「さぁ・・俺とお前の真剣勝負だ・・絶対俺が勝つから覚悟しろよ」

 

そういい笑うヴァイスを見ていると、ジェイルが来て

 

「さー今回はハーティーン対ヴァイスのラグナ争奪戦だぁ!!勝負は簡単、このルーレットに書かれたゲームで勝負して貰う!!」

 

そう言うとジェイルの後ろにルーレットが現れる、ジェイルはそれを見ながら

 

「勝者にはラグナ嬢との豪華ディナーだ!!作るのは・・当然この人だーッ!!」

 

モニターに守護者の姿が映る・・守護者は頭を抱えながら

 

「料理をするのは良いのだが・・何なんだ・・これは?」

 

今一状況を掴めていない守護者にヴァイスが

 

「旦那!!俺とこいつが今から勝負するんッすよ!!、旦那にはその賞品としての食事を作って欲しいっす!!」

 

ヴァイスが事情を説明すると守護者は

 

「まぁ・・別に良いが・・それじゃあ調理を始めさせてもらう・・」

 

そう言うと守護者が調理を始める、ここでモニターの映像が切れる、ジェイルがマイクを片手に

 

「制限時間は龍也が料理を仕上げるまで、つまり龍也が料理を仕上げるまでに相手よりより多くゲームに勝利した方の勝ちだー!!それじゃあ・・早速第一のゲームと行こう・・ルーレット・・スタートッ!!」

 

ジェイルが手を挙げると、ルーレットが音を立てて回る・・そして第一のゲームが決まった・・

 

「第一のゲームは・・龍也に関する5問のクイズだーッ!!」

 

何なんだ・・この突っ込み所満載のゲームは・・俺が呆れている中ジェイルが問題を読み上げる

 

「第一問 龍也の事が好きな女性の数を挙げて下さい」

 

・・・簡単だろう・・俺とヴァイスは同時にマジックで手元のホワイトボードに答えを書く

 

「13人・・正解!!では第二問・・龍也の謎特技の中に服脱がしがある?・・マルかバツか?」

 

守護者が他人の服を脱がす所・・想像できん・・バツだな・・ホワイトボードを出すとヴァイスはマルと書いていた・・

 

「おーとッ!!答えが割れた・・正解は・・マルーッ!!龍也の特技の中には服脱がしがあります!!」

 

!!馬鹿な・・守護者がそんなセクハラをするとは・・俺が困惑しているとジェイルの解説で

 

「ちなみにこの特技は主にヴィヴィオやアギト達が対象の様です、用は汚れた服を着替えさせる為の特技です」

 

しまった・・あいつの回りの子供の事を把握してなかった・・俺が自分の失態を後悔している中、次の問題が読み上げられる

 

「第三問です!!龍也が苦手な人物を2人挙げて下さい!」

 

これは楽勝だな・・カリムとクイント・・2人の名前を書く・・横目でヴァイスの答えを見ると・・リンディとカリムと書かれていた

 

「今回も答えが割れた・・正解はカリムとクイントさん!!、リンディさんも龍也の苦手な人物ですが・・クイントさんの方が上です!!」

 

これでイーブン・・次の問題は・・守護者の義手の職人・・ジェイル・・で2人とも正解・・最後の問題は・・守護者の義手の方の手は?・・左腕・・これも両方正解・・

 

「最初のゲームは引き分け、では次のゲームは・・」

 

再びルーレットが回り止まったのは・・

 

「次のゲームは走り高跳びだぁッ!!」

 

・・・何故?走り高跳びがあるんだ?俺が理解に苦しんでいる間にセットが変形し、走り高跳びが出来るようになる

 

「1本勝負・・それではヴァイスからだ」

 

その声に従ってヴァイスが

 

「おおおりゃああああッ!!」

 

ダンッズシャアアアアッ!!

 

「・・記録は・・5M45!中々の高記録です、それでは次はハーティーンだ、どうぞ」

 

俺は呆れながら走り出し、軽く踏み切りをして跳躍した

 

タンッ・・ズシャア・・

 

軽い音を立てて着地し記録が発表される・・

 

「記録は・・6M15!・・この勝負はハーティーンの勝ちだー・・やはり身体能力的ではヴァイスには勝ち目が無いのかー」

 

妙に盛り上がっているジェイルに呆れていると再びルーレットが回る・・あまりに馬鹿らしい勝負が多いのでハイライトで行こう・・

 

ゲームその3 シルエットクイズ 協力者・・スバル、ティアナ、セッテ、ウェンディ、キャロ、ルーテシア、リィン、アギト

 

内容は極めて簡単、普段と違う格好のスバル達を当てると言う極めて簡単なゲームの筈だったのだが・・

 

「・・アギト」

 

7問目・・俺がキャロとアギトを間違え、ヴァイスの勝ち・・これでイーブンに戻った

 

ゲーム4 ストラックアウト・・

 

9枚の的にボールをぶつけ、その的を弾き飛ばすと言う物だ・・これは言うまでも無く俺の勝ちだ

 

「こんな感じか?」

 

ヒュッ!スパンッ!!

 

軽い音を立てて2枚抜きを繰り返し、この勝負は俺の勝ちだった・・これで2-1・・このまま行けると思ったのだが・・

 

ゲーム5 折り紙

 

・・何で折り紙が?と暫く考え込み・・結果が出た、どうやらあのルーレットには俺の得意な物、苦手な物がバランス良く入っており・・今回は苦手な物が出てしまったようだ・・俺はイライラしながらテーマの鶴を折り、審査員席に持っていたが・・結果は言うまでも無く・・

 

「これが鶴?・・ハーティーンこれ鶴に見えないよ」

 

「ぷっ・・無敵の・・ああ無敵は龍也だね・・最凶の騎士にも苦手な物があるんだね」

 

「あっははっ!!不器用すぎるで~ハーティーン」

 

3者3様に良い様に笑われ、俺はとても傷ついた・・仕方ないではないか・・こういうのは本当に駄目なんだ・・俺は諦めの境地に達し・・笑われると言う苦行に耐えていた・・2-2 

 

ゲーム6 腕相撲

 

ブン、ボキャッ!!

 

「うぎゃああああッ!!腕!!腕がぁぁッ!!!」

 

これで判って貰えただろうか?俺が力加減を間違え、ヴァイスの腕を粉砕・・そして

 

「はいはい、今治しますよ~」

 

「どうして・・私が・・王の命令だからって・・こんな事をしなければ・・」

 

湖と氷によって治療され、骨折が治ったが・・これが次のゲームでの悲劇の引き金となっていた事を俺は知らなかった・・3-2・・これは内容が濃いのでそのまま教えよう

 

「次のゲームは・・ポイズンルーレット」

 

ルーレットも回さずゲームを発表するジェイルに

 

「待て、今回はルーレットを回さないのか?」

 

そう尋ねると湖と氷が

 

「ハーティーンがヴァイスさんの腕を折ったり、意識不明に追い込んだ場合・・特別ゲームになるんです」

 

にこにこと言う湖に

 

「・・私とシャマルが・・アタリの料理を作りました、私の場合業とですけど・・シャマルは素でアタリを作りました・・この場合のアタリの意味が判りますか?」

 

そう尋ねられた俺とヴァイスは同時に

 

「「死亡ゲームかぁっ!?」」

 

そう悲鳴を上げた、湖がオリジナルで料理を作ればそれだけで兵器・・そして氷が不機嫌な状態で料理を作れば・・それはもう核に匹敵する脅威だ・・俺とヴァイスが震えている中、俺とヴァイスの前に5品ずつ料理が置かれる・・見た目は全部普通だが・・この5つの内1つには猛毒が入っている・・いや・・猛毒なんて甘いか・・

 

「それでは2人同時に1品ずつ取って食べてください・・」

 

俺の前に置かれてるのは 唐揚げ、チャーハン、チンジャオロース、八宝菜、シュウマイでヴァイスの前には、刺身、鳥のつくね、味噌汁、玉子焼き、天ぷらの5品・・!1個安全パイがあるぞ!?刺身なんてどうしようが毒にはならないだろう!?・・俺が驚いている中ヴァイスは刺身を取る、俺は手を震わせながら八宝菜を取った・・

 

「それでは2人同時に食べてください」

 

俺は震える右手を左手で押さえ、八宝菜を1口食べた・・モグ・・モグ・・

 

「美味い・・」

 

普通に美味しい・・どうやらこれはセーフの様だった・・ヴァイスも当然セーフ・・俺とヴァイスが胸を撫で下ろしていると審査員席の夜天が

 

「1品目は2人ともセーフやったみたいやね、おめでとさん・・ちなみにアタリを食べたらこうなるで」

 

モニターに医務室が映し出されそこには

 

「「・・・・・・」」

 

青い顔で横たわる、盾とグリフィスの姿があった・・2人とも良い具合に痙攣し・・死ぬ一歩手前に見える・・俺とヴァイスが戦慄しているとジェイルが

 

「それでは2品目を食べてください」

 

俺は慎重に料理を選び・・今度は唐揚げを・・ヴァイスはつくねを取った・・

 

「「美味い・・」」

 

2人ともセーフ・・しかしなんで一々料理を食べる度にこんなに怯えなくてはいけないんだ・・俺はそんな事を考えながら3品目を取った・・俺はチンジャオロース、ヴァイスは玉子焼き・・これもお互いにセーフ・・これで確率は二分の一になった・・チャーハンかシュウマイかだ・・俺は直感でシュウマイを取った・・ヴァイスは天ぷらだ・・

 

「それでは4品目・・どうぞ」

 

2人同時にそれを口に運んだ瞬間・・

 

「「ぐはああッ!?!?」」

 

何だこれは!?口の中の物が飲み込めない・・それどころか身体中が拒否反応を示す・・それでも何とか飲み込み隣のヴァイスを見ると

 

「げぶあ・・」

 

ゆっくりと泡を吹きながら倒れるヴァイスを見ながら俺も意識を失った・・俺が意識を取り戻したのは30分後の事だった・・

 

「うおー俺は生き残ったぞーッ!!!」

 

ガッツポーズのヴァイスをぼんやりとした目で見ていたが・・ヴァイスが何を言っているのか理解した瞬間、ジェイルに詰め寄る

 

「おい!ヴァイスもアタリを引いただろう!!今回は引き分けじゃないのか!?」

 

そう尋ねるとエースが

 

「2人同時だったから先に立った方が勝ちって言う特別ルールにしたの・・それでさっきヴァイス君が「ラグナを・・渡すかあああああッ!!!」って絶叫しながら立ち上がったの、だからヴァイス君の勝ち」

 

これでまた引き分けに戻ってしまった・・なんとしても次のゲームで勝たなければ・・俺がそんな事を考えていると

 

「それではラストゲームのルーレットを回すぞ」

 

音を立ててルーレットが回り・・最後のゲームが決まった

 

「スポーツチャンバラ!・・おおぅ・・ここでヴァイスは完全に天に見放されたーッ!!やはり妹から離れろという神の声なのかー」

 

にこにこと言うジェイルを見ながらチャンバラの棒を取り

 

「・・これでこのくだらない茶番も終わりだッ!!」

 

俺は一瞬でヴァイスを叩きのめした・・俺が馬鹿2人・・もう1人はジェイルだ・・その2人を戦闘不能にしたところで夜天が

 

「ほい、ハーティーンの勝ち・・大方の人の予想を裏切って善戦したヴァイス君に拍手~、それじゃあハーティーンはそのままラグナと夕食ね・・ラグナの部屋に兄ちゃんが食事の準備しとるで・・」

 

俺は夜天の説明を聞き終わる前に演習場を後にした・・

 

 

 

 

「遅いなぁ・・ハーティーン・・」

 

私はジュースを飲みながらハーティーンが来るのを待っていた・・さっき八神さんが夕食の準備をしながら

 

「もう直ぐ来ると思うから待っててやってくれ」

 

そう言って帰ってから既に20分・・何があったんだろう?ちょっと不安になってきた所で

 

「すまん・・遅れた」

 

ハーティーンが部屋に入ってくる・・心なしか少し疲れているような気がしたが、ハーティーンは笑みを浮かべながら椅子に座り

 

「少し面倒事があったんだ・・それで遅れてしまった・・」

 

理由を説明してくるハーティーンに

 

「あらかた予想が付くよ・・お兄ちゃんでしょ?」

 

私がそう言うとハーティーンは頷き

 

「そうだ・・だが最初に言っておくぞ、俺から喧嘩を仕掛けたんじゃないからな」

 

不貞腐れたようにハーティーンに苦笑しながら

 

「判ってるよ・・それじゃあ・・ご飯にしよう?」

 

八神さんが用意してくれた夕食は豪華なフランス料理だった・・魚介をメインにした・・見た目にもお洒落だった・・私はハーティーンのグラスにワインを注ぎ

 

「これからも宜しくね・・私の騎士様」

 

そう言うとハーティーンは赤面しながらそっぽを向き

 

「こちらこそ・・よろしく頼む・・我が姫・・」

 

恥かしそうに言うハーティーンに笑みを零しながら私は食事をはじめた・・それはとても美味しくて・・それと同時に心が暖かくなった・・それはきっとハーティーンと一緒だからだと私は思った・・

 

1度消えてしまった・・私の大切な大切な人・・今貴方と過ごすこの時が・・私にとっての・・宝物です

 

 

ラグナ争奪戦 終り

 

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