少々短いですが、どうか宜しくお願いします
正月記念番外編 黒衣を好むのは何故ですか?
「にーさまは何でいつも真っ黒の服なの?」
すべての始まりはリヒトのこの一言だった。
「どうしたんだ? 急に?」
突然の事に困惑する私にリヒトは
「にーさまは黒い服も似合ってるけど何でいつも黒しか着ないのかな? って気になったの♪」
「気にするようなことか?「「「「気にするようなことだよ!!!」」」」うお!? なんだ、どうした?」
突然声を揃えてそういうはやて達に驚いていると
「にーさまが黒い服が好きなのって何で?」
リヒトがにこにこと笑いながら尋ねてくる
「まぁ別にどうでも良いことじゃ……「「「「ないです!!」」」」……なんでさ? 別にいいだろうよ? 私が黒一色でもさ」
服なんて着れればいいだろう? と言うとリヒトは
「じゃあ、黒じゃなくても良いんじゃないの?」
「むっ……まぁそうなんだが……黒い服には個人的な思い入れもあるし……」
思わずそう言ってしまった。するとはやてが
「思い入れって何?」
「気になりますねー。教えてくださいよ」
どうも今の一言ではやて達の興味を惹いてしまったようだ。
「いや、別に対した事じゃないし。気にするようなことでもないぞ?」
この話は出来ればしたくない、だからそう言うと
「じゃあ、話してくれてもいいじゃないですか。私達も気になってたんですよ、どうしていつも龍也さんは黒い服ばっかなのかなー?って」
気がつけば、両サイドは抑えられてるし。逃げるのも難しい場所に追いやられている
「あー判った、判った。話せばいいんだろ? 話せば」
こうなれば、私に退路は無い。はやて達やリヒトが知りたいという。私が黒衣を好む理由を話すまで拘束され続ける、それが判ったから私は観念し話し始めた。
「あんまり言いたくは無いんだが、私が魔導師になったばかりの時。1度ネクロに殺されかけている」
その余りに信じがたい。言葉に思わず目が点になる
「ハーティーンが戦ったネクロ。ズィードが原因で並行世界の扉が開いた事があったろ? その時にどうも過去に移動したネクロが、何体かいたみたいだな。」
龍也さんは思い出すように、どこか遠くを見ながら
「突然幼い神王だの。怨敵だの言われたときは酷く困惑した……今思えばあのネクロ達は歴史を変えるために私を探していたんだろうな」
龍也さんの推測は正しいだろう。ネクロ事変の中心人物であり、もっとも多くのネクロを倒した。龍也さんがいなければここにいる何人かは既に故人か、ネクロ化させられているだろう。
「LV1とLV2は何とか、相打ち同然に倒したんだが……LV3にばっさり右肩から斬られてな。あの時は死んだと思ったよ」
確か龍也さんが魔導師になったのって……12歳くらいだった筈。
「あの? その時の龍也さんって碌に魔法使えませんでしたよね?」
思い出しながら私が訪ねると龍也さんは
「ああ、使えたのはプロテクションと簡単な治癒に……身体強化くらいだな」
「そ、それでどうやって、ネクロ倒したんですか!? 砲撃も射撃もなしに倒せるものんですか!?」
そう尋ねられた龍也さんは、凄く言いにくそうに
「あー、いや言ったろ? 相打ちって? こう噛み付いてきたネクロの口に腕突っ込んで……魔力を暴発とかさせてな? 確か倒した時。腕が「「「聞きたくない! 聞きたくないです!!!」」」
龍也さんの声を遮ってそう叫ぶ。暴発って簡単に言うけど……下手したら腕が捻れ切れてもおかしくない。
「それでLV3に切り裂かれて。意識を失いかけた時……誰かに助けられたんだ」
「誰かって? 誰ですか?」
「さぁな? 覚えているのは……火の様な紅い髪をした。黒い服の何者かだったと言うことだけだ」
龍也さんは会えるなら礼を言いたいんだがね? とにこやかに笑いながら
「そういう時に見た物と言うのは、酷く印象に残る物だ。だから私は黒い服が好きなんだ、銀髪にもよく映えるしな」
からからと笑う龍也さん。どうもその命の恩人が酷く印象に残ったのだろう
「でも、ネクロを倒すなんて……よっぽど屈強な男性だったんですね」
「? 何を言ってるんだ? 私を助けてくれたのは女性だったぞ?」
はい? 女性? 龍也さんの話を聞いていた全員がまさかと言う顔になる
「今思っても綺麗な人だったな。一瞬しか顔は見なかったが……とても綺麗な人だったよ」
え? まさかのその人が龍也さんの初恋の……? 聞きたいが聞けない。全員が口を開きかけて閉じるを繰り返している。気を落ち着けようと紅茶を飲もうとして
「その人が、にーさまの初恋の人なの~?」
「「「ばふう!?」」」
リヒトがにこにこと笑いながらそう尋ねる。そのあまりの発言に思わず噎せ返る
「だ、大丈夫か?」
激しく咳き込んでいると龍也さんが心配になったのか、そう尋ねてくる。私達は
「だ、だい……じょう……ぶです」
何回か深呼吸を繰り返していると、リヒトが
「やっぱり、その人が初恋の人なの?」
どうも、それが気になっているようで。ねっねっ? と尋ねるリヒトを龍也さんは抱っこしながら
「ははは、残念ながら。それは違うな、私の初恋はもっと別の人だよ」
笑いながらリヒトの頭を撫でている。微笑ましい光景だが、私達の興味はもっと別の所にあった
((((じゃあ、龍也さんの初恋って誰なの?))))
想い人との初恋の人が誰なのか……それが、凄く気になって
「じゃあ……龍也さんの……「龍也! 郊外の閉鎖になっている。研究所にネクロの反応があった。それにその地区の民間人が100人、その研究所に連れ込まれた。急がないと不味い事になる」
スカリエッティさんが走って来ながら、慌ててそう告げる。
「そうか、出動だな」
もう今までの優しい龍也さんの笑みでは無く。魔導師としての鋭い眼光の龍也さんは抱っこしていた、リヒトを下に降ろして
「チームを2班に分けるで、同時に街中に転移してくる場合もあるから」
はやてちゃんも思考を切り替えて、素早く指示を飛ばす
「兄ちゃんとスターズは研究所に。チンクさん達とライトニングは周囲の警戒、ネクロの同時襲撃に気をつけてな」
「「「「了解!」」」」
そして私達は六課を後にした……
六課メンバーがクラナガンの各地に散っている頃……
クラナガンの裏路地を歩く、1人の男の姿……黒のタキシードと紅いマント……そして美しい金髪と目立つ格好に関わらず。誰も彼を呼び止めるものはない、ある一角で立ち止まったその男は闇を見つめながら
「何の御用ですか? フリスト?」
闇が弾け中から非常に巨大な異形が姿を見せた。その異形の肩には獣型のネクロの姿があった
「決起の時は近い……使命を果たせ……ランドグリーズ」
「やれやれ、態々呼び出してそれですか? 折角友人との食事を楽しんでいたと言うのに」
肩を竦めるランドグリーズと呼ばれた男は
「きっちりとネクロの素体は送っていますし、私達の正体に気付いた者もきっちり処分をしています。態々言いに来ないで下さい」
「わかって……いるなら良い。 ではな……」
現れたときと同じ様に消える異形を見ながら、ランドグリーズと呼ばれた男は。振り返りに背後の闇に向かって
「シャドウ、ガイル、スペクター。良い機会です 六課の魔導師と戦ってみてください。ただし……危険を感じたら撤退する事。いいですね?」
臣下の礼を取ったネクロ達の姿は、全てバラバラで統一性がない。そんなネクロ達に友を見送るような優しい目付きで見ながら、ランドグリーズは指示を出した
「「「はっ!」」」
その指示を聞いて散会する3体のネクロを見ていた。ランドグリーズだったが
「ヴァーん! ヴァン! どこー!?」
「ヴァン! どこだ! 早く避難するぞ!!」
「ヴァンの兄貴! どこだ! どこにいるんだよ!!」
慌てた声が裏路地に響いてくる声を聞いた、ランドグリーズはマントで自身の体を覆い隠すと次の瞬間には、高価ではないが洒落たスーツに姿に黒髪をオールバックにした青年の姿になり
「おーい! ここだーここだー! 今行くぜー!」
手を振りながら声がした方に走り出す
「よかったー、ヴァン。 はい帽子」
「おう、大丈夫だぜ。サンキュー! レオ。 やーやっぱ俺にはこの帽子だ」
黒い帽子を被ったランドグリーズに駆け寄った、3人は
「ったく。エセ紳士なんだからちゃんと帽子くらい持ってろよ。フォーゲル」
「なははー♪ 悪戯な風に言ってくれ。毎回飛ばしてくれるなってさ♪」
2人の肩に腕を回して笑いかけながら
「さーこのままだと、危ねえ。とっとと管理局の人間に保護してもらおうぜー」
そう笑う、ランドグリーズ……いや、ヴァン・フォーゲルは3人を先導し歩き出し。
「あっ! 八神大将だー」
「おっ、ついてるなー。レオ、お前八神大将のファンだもんな」
べヒーモスに乗って郊外に向かう龍也を見て、笑うヴァンと龍也の目が一瞬合うが。そのまますれ違う、その様子にヴァンはにやりと笑い
「いやー今日はついてるなー、さーこの運の良さを生かして。今回もネクロにみつからねえ内に逃げようぜー♪」
にゃにやと笑い。ヴァン達は近くの管理局員の車に乗り込み。
(ふふふ……いずれまたお会いしましょう……神王陛下)
誰も知らない所で闇はゆっくりとクラナガンにと忍び寄っていた……
正月記念番外編 黒衣を好むのは何故ですか? 終り
黒い服を龍也さんが好む理由とクラナガンに潜むネクロの存在と言うのが、今回の話のテーマでした。
面白かったなら良いのですが、それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします