夜天の守護者 番外編   作:混沌の魔法使い

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姫と黒き守護者 結婚式編

姫と黒き守護者 結婚式編

 

「何か落ち着くね・・自分の部屋は」

 

私達は別の魔法使いの世界から帰って来たばかりだ、それで自分の部屋は落ち着くねとハーティーンに言うと

 

「・・・」

 

無言で私を見るハーティーン・・心なしか不機嫌に見える

 

「どうしたの?楽しくなかったの?」

 

何で不機嫌なのかと尋ねるとハーティーンは

 

「あの世界は・・楽しくなどなかった・・ラグナには俺が居るのに・・寄って来る馬鹿どもが居たからな」

 

不機嫌に言うハーティーン・・私は

 

「もしかして・・やきもち焼いてる?」

 

そう尋ねるとハーティーンは頷き、一気に私の前に立ちそのまま痛いくらいの力で抱きしめてくる

 

「そうだ・・俺はお前を誰かに奪われるのではないか?・・そう思った・・怖かった・・お前が俺から離れていくと思うと・・」

 

私を抱きしめながら言うハーティーンは私の眼を見て

 

「もう少し待とうと思っただが・・もう駄目だ・・ラグナ・・お前に頼みがある」

 

真顔で言うハーティーンは顔を紅くしながら

 

「俺と・・同じ時を歩んでくれ・・絶対に俺の隣に居てくれ・・ラグナ・・俺と結婚して欲しい・・」

 

プロポーズをしてくるハーティーンに

 

「えっ・・」

 

突然のプロポーズに私は驚いた・・私達は確かに婚約者だ・・それが突然結婚してくれと言われ・・私は驚いたが・・

 

「良いよ・・ハーティーン・・私は貴方と同じ時を歩みます」

 

そう言うとハーティーンはゆっくりと微笑み・・触れるだけのキスをしてくれた・・次の日ハーティーンは食堂で

 

「守護者・・俺は決めた・・ラグナと結婚する・・だから結婚式の準備をしてくれ」

 

八神さんに頭を下げるハーティーンを始めてみた・・八神さんは驚いた表情を浮かべたが

 

「・・判った・・結婚式の準備だな・・引き受けた」

 

快く八神さんは結婚式の準備を引き受けてくれた・・私がその光景を見ていると

 

「ラ、ラグナ!!結婚するって本当!?」

 

なのはさんが血相を変えて尋ねて来る、私は頬を紅く染めながら

 

「はい・・昨日・・プロポーズされたんです・・俺と・・同じ時を歩んでくれ・・絶対に俺の隣に居てくれって」

 

そう言うとなのはさんは椅子に座り込み

 

「良いなぁ・・私なんかまだまだ結婚出来そうに無いのに・・ってそんな事言ってる場合じゃないよ!!」

 

そう言うとなのはさんは弾かれた様に立ち上がり

 

「私も龍也さんと結婚式の準備をするよ・・じゃあねラグナ」

 

手を振りながら食堂を出て行くなのはさんを見ながら私は左手の指輪を見ながら微笑んでいた・・

 

 

 

 

「凄いな・・」

 

俺はそう呟いた・・結婚すると宣言してから1週間・・急ピッチで守護者は結婚式の準備をしてくれた

 

「初めてカリムに頼み事をしたよ・・結婚式が出来るようにしてくれってな」

 

そう隣で言う守護者は教会を見ながら

 

「良いだろう?お前とラグナの新しい門出を祝うのにこれ以上の物は無いだろう」

 

そう言う守護者に俺は

 

「確かに・・大聖堂を使うとは・・俺も予想してなかった」

 

ベルカ自治区の聖王教会の総本山・・大聖堂をまさか結婚式に使うと思ってなかった・・そもそもよく許可が出たと俺が思っていると

 

「神王の名を初めて使ったからな」

 

・・聖王教会にとって守護者の存在は絶対だ・・彼らが信仰する神その物なのだから・・俺と守護者が話していると大聖堂から夜天が姿を見せて

 

「兄ちゃん!早く準備手伝ってや、私達だけじゃ大変やで」

 

そう笑う夜天に頷き歩いて行く守護者は思い出したように振り返り

 

「そうだ・・ヴァイスには言ったのか?結婚すると」

 

その言葉に俺は首を振った・・俺が結婚すると宣言してからヴァイスの姿は見えなくなってしまった・・俺も探しているのだが・・どこに居るのか判らないのだ・・守護者にそう言うと

 

「複雑なんだろうな・・まぁその内出て来るだろう・・その時はちゃんと言えよ」

 

そう笑う守護者に頷き俺はその場を後にした・・そして結婚式前夜・・俺の部屋の扉に一通の封筒が貼り付けられていた

 

「?・・これは・・」

 

その封筒の差出人は結婚式の準備の1ヵ月の間、行方不明になっていた・・ヴァイスからで内容は

 

『今日の午前零時・・六課の屋上で待つ』

 

と書かれていた・・俺はその手紙の指示に従い・・その日の午前零時・・六課の屋上に向かった・・

 

「来たか・・」

 

屋上ではヴァイスが腕を組んで待っていた・・ヴァイスは俺を見ながら

 

「ハーティーン・・てめぇに聞きてぇ・・お前は・・絶対にラグナを幸せにするって誓えるか?」

 

俺はその言葉に頷き

 

「騎士の誇りと我が剣に懸けて誓う・・必ず・・ラグナ・グランセニックを幸せにすると・・」

 

俺がそう宣言をするとヴァイスは何かを投げて寄越す・・俺はそれを受け取り・・それを見て驚いた

 

「父さんと母さんの形見の指輪だ・・それを結婚指輪にしろとは言わねぇ・・だけど・・父さんと母さんにも・・ラグナの晴れ姿を見せてやってくれ」

 

そう言うとヴァイスは俺の横を通りながら

 

「覚えとけよ・・ラグナを泣かしたら・・俺がお前を殺すからな・・良いか・・絶対にラグナを泣かすんじゃないぞ・・」

 

そう言って歩き去っていくヴァイスの後姿に俺は思わず頭を下げた・・

 

 

 

 

「こんな物か・・」

 

私は自分で作ったウェディングケーキを見ながらそう呟いた・・自分の持てるお菓子作りのスキルを全てつぎ込んで作った最高の1品だ・・材料は全て最高級の1品ばかり・・かなり値は張ったが・・気にするレベルではない・・私がその出来に微笑んでいるとフェイトが

 

「龍也・・タキシード」

 

タキシードを手渡してくれる・・昨日の夜から大聖堂に泊まりこんで作っていたから、私服のままなのだ・・私は

 

「ありがとう、フェイト・・直ぐに着替える・・」

 

早着替えで着替え腕時計を見る、結婚式の1時間前だ・・どうやら時間ギリギリで完成したようだ・・受付ももう始まっているらしく、ウーノとドゥーエが協力してやってくれている、あの2人に任せれば何の心配も無いだろう・・私がそう考えていると

 

「おはようございます、神王様」

 

いつもの軽装と違い、見た目的にも荘厳で重装備なカリム・・司祭役を頼んだので、当然といえばそうなのだが・・今日の式は、聖王教会の関係者や地上本部の関係者が多数来る予定だから、カリムも少し緊張しているのかもしれない・・

 

「おはようカリム・・すまないな・・急な頼み事をして」

 

そう言って頭を下げるとカリムは慌てて

 

「神王様!?・・その頭を上げてください」

 

頭を上げろと言うカリムに

 

「神王と呼ぶのは止めてくれないか?」

 

そう言うとカリムは

 

「駄目です!神王様はれっきとした聖王の王位継承者なのですよ!!」

 

何度言われた事か・・正統王位継承者なのだから!と私は

 

「判った、判った・・もう言わない・・それで予定なんだが」

 

最後の打ち合わせをしてから、その場を後にした

 

「ハーティーン入るぞ」

 

新郎控え室の扉をノックし、中に入る・・ソコにいたのは、白いタキシードを着た、ハーティーンだった・・普段こそ黒い服装だが白も似合うなと私が思っていると

 

「お、おぉぉ!よ、よ、良く来たなぁぁあ!守護者ァッ!!」

 

物凄く緊張しているハーティーン・・肩なんかガッチガチに強張ってるし、何か震えが止まらないようだ・・

 

「緊張しすぎだろう?リラックスしろ・・」

 

私がそう言うとハーティーンは

 

「ししし・・しかし・・こここ・・こんなに緊張したのは騎士団長の襲名式以来なんだ」

 

噛みまくるハーティーンの溜め息を吐きながら

 

「ハーティーン・・お前がそんな様でどうする?お前が不安で一杯なら、きっとラグナも同じだ・・こういう時こそ・・男がリードする物じゃないのか?」

 

そう言うとハーティーンはゆっくりと頷き

 

「悪い・・みっともないところを見せた・・」

 

そう言うハーティーンは既に何時もの堂々とした態度を取り戻していた

 

「もう平気だな?」

 

「ふん、誰に物を言っている?」

 

何時もの強気を取り戻したハーティーンに一安心してから、私はその場を後にした・・良く判らないが・・こういう時は黙って去るのがマナーらしい・・私が席に座って2人の登場を待っていると、隣のはやてが

 

「兄ちゃん・・来たで・・」

 

はやてのその言葉の後に入り口の重厚な両扉が開かれ、腕を組んだ御両人が登場する・・ラグナのドレスの裾を持って居るのはヴァイスだった・・恐らく泣きたいのを堪えているのだろう・・肩が小刻みに震えていた・・私がそんな事を考えていると

 

「綺麗やな・・ラグナ・・私も早くウェディングドレス・・着たいわ・・」

 

ぽそりと呟くはやてに

 

「それなら早く良い人を見つけるんだな」

 

そう言うとはやては私を見て微笑み

 

「良い人なら私の直ぐ隣に居るで?」

 

本当に綺麗な微笑みのはやてに私は黙り込んで、ラグナとハーティーンの方を見た・・その時はやてが

 

「照れないで良いのに・・・」

 

その呟きを無視して私はカリムの方を見た・・

 

「ラグナさん・・あなたはハーティーンさんと結婚し、夫としようとしています・・貴女は、この結婚を神王の導きによる物だと受け取り、その教えに従って、妻としての分を果たし、常に夫を愛し、敬い、慰め、助けて変わることなく、その健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しき時も、死が2人を分かつ時まで・・」

 

カリムがそう言い掛けた時ハーティーンがそれを手で制し

 

「違う・・例え・・死が2人を引き裂いたとしても・・愛し続ける事を誓うかだ・・」

 

そう言われたカリムは言い治し

 

「こほん・・それではその健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しき時も、例え・・死が2人を引き裂いたとしても・・愛し続ける事を誓いますか?」

 

その問いにラグナとハーティーンは2人同時に

 

「「誓います」」

 

カリムは満足気に頷き

 

「続いて指輪の交換を・・」

 

参列者達が見守る中、2人は指輪の交換をする・・そして・・

 

「ここに交換は成りました・・それでは互いに、誓いの口付けを・・」

 

ラグナとハーティーンが口付けを交わす・・ここに誓約は成った・・そしてその瞬間、立ち直った参列客達からも、惜しみない拍手が巻き起こった・・ゆっくりと退場していく2人を見ながら、私達は聖堂の外に出た・・

 

「??・・何かはやて達が殺気立ってるな?」

 

聖堂の外で殺気立っているはやて達に首を傾げていると・・ラグナとハーティーンが出て来る・・本当なら新婚旅行にでも行って貰うのだが・・今は良いらしく、今度の休暇の時にでも旅行に行くと言っていた・・私がそんな事を考えていると

 

「それじゃあ・・行きますッ!!」

 

ラグナが手に持っていたブーケを思いっきり投げ飛ばす・・それと同時にはやて達がそれに向かって行く・・私はその光景を見ながら

 

「・・何であんなに必死なんだろうか?」

 

そう呟くと隣に居たヴァイスが

 

「旦那・・少しは女性の気持ちに敏感になりましょ・・そうしないとその内刺されますよ?」

 

そう言われ私が首を傾げている中・・フェイトが

 

「やった!!取った・・「させるかぁッ!!」・・ああッ!」

 

ブーケを取ったフェイトの手をはやてが蹴り、フェイトの手からブーケが弾け跳ぶ・・それを

 

「オーライ・・「させない!」・・スバルてめぇぇッ!!!」

 

ヴィータが取りかけたブーケをスバルが横っ飛びで強奪するが

 

「ふん!「し・・しまっ・・」

 

セッテが即座に脚払いを掛け、スバルをひっくり返し・・再びブーケが空を舞う・・

 

「やった・・漁夫の利っす・・「そうは行くかぁ!!・・げふうッ・・」

 

ウェンディがブーケを取りかけた所でティアナが正拳を叩き込み、ウェンディを昏倒させる・・

 

「良し・・取った・・「すまんな・・」・・チンクッ!!」

 

シグナムがブーケを取りかけた所でチンクがダガーでブーケを再び弾き飛ばす・・私はその攻防を見ながら

 

「やれやれ・・終るまで待ってられんな・・帰るか・・」

 

私が帰ろうと振り返った瞬間・・後ろから何かが飛んで来て反射的に掴む・・それと同時に

 

「「ああッ!?」」

 

はやて達の絶叫が聞こえる・・私が掴んでいた物・・それはなのは達が奪い合っていたブーケだった・・

 

「いや・・その業とじゃないんだ・・何でにじり寄って来る?」

 

謝ってからブーケを再び投げようとすると、はやて達がにじり寄って来る・・私が嫌な予感を感じていると・・はやてが

 

「兄ちゃんが・・ブーケを取ったんや・・じゃあ次に結婚するのは兄ちゃんやよな・・だから・・」

 

ギュッピーンッ!!!

 

はやて達の目が妖しく光る・・私は冷や汗を流しながら

 

「待て・・何を考えている?」

 

そう尋ねるとなのはが

 

「こうなったら・・押し倒してでも・・龍也さん・・貴方を手に入れます・・」

 

ゴゴゴッ・・・

 

妙な威圧感を放つなのは達から視線を逸らし・・

 

「こういう時は・・全力で逃げる!!」

 

私は全力で走り出した・・後ろから追って来るはやて達の気配を感じながら

 

「どうして私がこんな目に会うんだぁぁッ!!」

 

そう悲鳴を上げた・・その時背後から聞こえた管理局関係者の笑い声が妙に悲しかった・・

 

 

 

その光景を見ていた俺はラグナに

 

「業と守護者の所に行くように投げただろ?」

 

そう尋ねるとラグナは微笑を浮かべ

 

「こうでもしないと八神さんは結婚しないでしょ?・・あの人鈍感だから」

 

そう言うラグナの肩を抱き寄せて

 

「これから・・どんな災いがあろうと俺がお前を護る・・だから・・んむっ!?」

 

そこまで言い掛けた所でラグナの唇で口を塞がれる・・俺が驚いているとラグナはにっこりと微笑み

 

「そんな事言われなくても判ってるよ・・ハーティーン・・」

 

俺はこの瞬間ラグナには一生勝てないと思いながら頷き

 

「そうだな・・態々言うまでも無かったか・・」

 

そう笑いながらラグナの前に腕を差し出す・・するとラグナは微笑みながら腕を絡めてくる・・俺は空を見上げて

 

「良い天気だ・・まるで俺達を祝福してくれてるようだ・・」

 

そう笑いながら言うとラグナは

 

「そうだね・・ハーティーン・・」

 

そう微笑むラグナを抱き抱えて俺は聖堂を後にした・・

 

これから先・・例え・・どんな困難が俺達を待っていようが・・俺はそれに決して負けはしない・・俺の最高の宝物を誰にも・・傷つけさせない・・俺が・・必ずラグナを護る・・そう決めたのだから・・

 

姫と黒き守護者 結婚式編 終り

 

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