幸せ?の形
「私が何をしたあああっ!?」
私は凄まじい形相で追ってくる者達の気配を感じながら、そう絶叫した・・元を正せば私が悪いのだろう・・ブーケを受け取ってしまったのだから・・だからと言って、ここまで追いかけて来なくても良いではないか・・私がそんな事を考えていると・・
「てやああああっ!」
「でやああああっ!」
スバルとノーヴェがウィングロードとエアライナーで飛び出してくる
「魔法まで使わなくても良いだろう!?」
高速で迫ってくるスバルとノーヴェに言うと
「魔法でなんでも使いますよ!、こうでもしないと捕まえれないじゃないですか!」
「普段はこういうのは嫌だけど・・今回だけは特別だ!」
律儀に返事を返すスバルとノーヴェの腕を回避しながら
「だから、ブーケを返すと言ってるだろう!!」
左手で持っているブーケを返すと言うとティアナがウィングロードの上を走りながら
「返してくれなくて良いですよ、でもブーケトスの意味は知ってますよね?」
そう言うティアナの横を走りながらなのはが
「ブーケを受け取った人が次に結婚出来るんです・・だから次に結婚するのは龍也さんですよね?・・誰と結婚したいのか教えてください!!・・ティアナ邪魔っ!!」
ティアナとなのはの攻防に目を取られた一瞬・・
「うふふ・・捕まえました・・」
背中に重みを感じ振り返ると
「あはは・・逞しい背中・・うふふふ・・」
単色の瞳で私の背中に頭を擦り付けるセッテが居た
「!?!?」
その突然の事に驚き若干スピードが落ちる・・すると・・
「「「「へっ!?っきゃあああっ!!」」」」
高速で走っていたスバル達が私が急に見えなくなった事で一瞬後ろを向いた瞬間
ドーンッ!!
道路に掛かっていた看板にぶつかり、ひっくり返る・・私は背中にしがみ付いたままのセッテを振り解こうと手を振り回しながら・・
(あれは・・痛そうだったな・・冷静になったら回復魔法でも掛けてやろう・・)
そんな事を考えながら振りほどこうともがいているとセッテが
「うふふ・・そんなに恥かしがらなくても良いではないですかぁ・・龍也様・・ふっ・・」
恍惚とした声で呟き、私の耳に息を吹きかけるセッテに
(だから・・セッテは苦手なんだ!・・誰か助けてくれ~)
この際追いかけてくる面々で良い、誰かセッテを引き離してくれ・・私がそんな事を考えていると
「この痴女があっ!!龍也から離れろ!」
フェイトが力付くでセッテを引き離しそのまま
「ていっ!」
ドスッ!!!
セッテの鳩尾に拳を叩き込む・・セッテは目を白黒させながら
「こ・・の・・女狐が・・」
そう言い残しぐったりするセッテを道路の脇に置いたフェイトはゆっくり振り返る・・そして目が合う
「・・龍也ぁ・・」
単色の眼で獲物を見るような視線のフェイトに
「ぞくっ・・」
強烈な寒気を感じ私が後ろにゆっくりと移動しようとすると・・
「うふふ・・逃げないでよ・・何も痛い事とか酷い事をしたい訳じゃないの・・」
黒いオーラを纏いながら近寄ってくるフェイトはうふふ・・と笑いながら
「唯ね・・いい加減龍也の気持ちが知りたいの・・」
前髪が垂れて表情を窺うことが出来ない・・その凄まじい圧力に私が動けずにいると
「私はね・・龍也が好き・・この世界で誰よりも・・だから・・教えてよ・・龍也がどう思ってるのか?」
フェイトが私の前に立ち、両手で私の顔を掴もうとした所で・・
「!!」
フェイトが伸ばしかけた手を戻し、後ろに跳ぶ・・その直後にフェイトが居た場所にレヴァンティンが振り下ろされる・・レヴァンティンの持ち主・・シグナムはフェイトを睨みながら
「兄上の気持ちも考えず・・自分の気持ちだけを優先するとは・・愚かだな・・テスタロッサ」
そう言い放つシグナムにフェイトは
「うるさい!うるさい!待つのはもう疲れたの!!いい加減に龍也の気持ちを知りたいんだよ!!!」
首を振りながら言うフェイトになんと声を掛ければ判らず困惑してると、シグナムが
「ここでテスタロッサに近付いてはいけません・・あれは・・罠です・・ここは私が食い止めるので、今日一日逃げ切ってください」
逃げろと言うシグナムに
「味方と考えて良いのか?」
そう尋ねるとシグナムは軽く微笑を浮かべながら
「そうですね・・本音を言えば・・私も兄上の気持ちを知りたいです・・でも今はその時じゃないんですよ・・だから待ちます・・兄上が自分から話してくれるのを」
私はシグナムに礼を言い走り出した・・その直後背後から
「シグナム!!邪魔ぁっ!!!」
ズドーンッ!!!
魔法の炸裂する音と共にフェイトの怒声が聞こえ・・
「邪魔とでも何とでも言えっ!!兄上はまだ汚させんぞ!!」
応戦するシグナムの声を聞きながら、私はその場所を走り去った・・暫く走ってると
「やっと・・見つけたっすよ~」
ゴオオッ!!
エンジン音が聞こえそっちの方を見ると
「龍也兄~」
「兄様~」
「龍也兄様~」
ボードモードのバニシングバードに乗った、ウェンディ達の姿が見える・・デバイスと生身ではデバイスが有利・・あっという間に追い抜かれ、3人が私の前に立つ・・オットーがスカートの裾を握りながら
「あのね・・兄様・・ブーケ・・受け取ってたよね?」
赤面しながらもじもじと言うオットーの言葉を引き継いで
「ブーケを取った人が次に結婚出来るんですよね・・龍也兄様は・・誰と結婚したいんですか?」
オットーと同じ様に赤面しながら尋ねて来るディード・・そして
「私達は、龍也兄が自分らを選ばなくても気にしないっす・・だから龍也兄の気持ちを教えて欲しいっす」
普段と違い真剣な表情で尋ねて来る3人に・・私がどう返答すれば判らず停止してると・・ウェンディはぷるぷると肩を震わせながら
「・・や・・やっぱり・・龍也兄が好きなのは私達じゃ無いっすね・・」
目に涙を浮かべながら言うウェンディに
「いや・・まだ私は・・」
正直に言おう・・私はまだ結婚するつもりが無い・・まだ24だし・・慌てて結婚するつもりも無いし・・好きな者も居ない・・だからその事を話そうとするとウェンディは耳を塞ぎながら
「聞きたく無いっす・・慰めの言葉なんか欲しく無いっす・・」
完全に勘違いしてるウェンディと
「やっぱり・・僕じゃ駄目なんだね・・」
「くすん・・選んで欲しかったです・・」
ぐすぐすと涙を流しているディードとオットーにどうすれば良いか判らず困惑してると
「お前達!いい加減しないか!!」
後ろの方からチンクの怒声が響き渡る、チンクは私の横を通りながら
「八神は何も言っていない!、お前達が嫌いだとも・・誰が好きとも言っていない!全てお前達の勘違いだ」
堂々と言い放つチンクは私を見ながら
「八神はまだ結婚をするつもりが無いんだ、自分達の我侭で八神を困らせるな」
そう言われたオットー達は涙を拭いながら
「「「ごめんなさい・・」」」
声を揃えて謝ってくる3人に
「いや・・私が早くまだ結婚するつもりがないと言えば良かったんだ・・すまない・・」
私が謝り返しているとチンクは横目で
「謝ってる暇があれば行け、私だって本音を言えばお前の気持ちが知りたいんだからな」
そう言うチンクに頭を下げ、私は再び走り出した・・
「ふう・・あと少しで六課か・・」
もう少しで六課というところで私は気付いた
「はやてとヴィータが・・来なかった・・?」
おかしいあの2人が動かない筈は・・私は
「し・・しまった・・罠・・「ふふ・・時既に遅しやで?」!!」
私が罠だと気付き、その場を移動しようとした瞬間、はやての楽しげな声と共に私の手足にバインドが掛けられる
「しまった・・嵌められた・・」
はやての事だから私が疲労するまで動く筈が無かったのだ・・私が己の失態を恥じていると
「兄ちゃん~捕まえたで~」
「・・兄貴・・」
楽しげなはやてと赤面しながらスカートを握り締めてるヴィータが木の間から姿を見せる・・はやては私がバインドを掛けられると同時に落としたブーケを拾い上げ
「うふふ・・折角やからこれ貰っとくで」
にこにこと言うはやてに
「これ・・外してくれないか?」
バインドを外すように頼むと
「嫌や」
にこやかに嫌だと言うはやてに私がどうにかしてバインドを外すように頼もうとするとヴィータが
「兄貴は・・まだ結婚するつもりが無いんだよな・・?」
確認するように尋ねて来るヴィータに頷くと、ヴィータはこくこくと頷きながら
「そっか・・まだ結婚するつもりが無いなら、無理に迫るのは迷惑だよな」
そういうヴィータに私は解放されるのかと思った直後はやてが
「うん、だから無理に結婚しろとは言わんよ・・でも・・少し位良い思いがしたいな~」
にぱーと笑うはやて・・よく見ると頬が赤くなっている・・はやては赤面しながら私の前に立ち
「少し位・・味見しても良いよね?」
にこっ!と笑い爪先立ちになるはやてに
「何をするつもりだ・・?」
判っていたが一応尋ねるとはやては両手で頬を押さえて
「いやん・・女の子にそんなん言わせないで・・ちょっとだけ味見するだけや・・もう2回もキスしてるんやで・・兄ちゃんもそんなに気にしないやろ?」
そう笑うはやてに
「に・・2回ともお前が無理やりしたんだろう!?」
そう言うとはやてはにっこりと微笑み
「そうや、だから3回目も無理やりさせて貰います」
そう微笑むとはやては私の唇に自分の唇を押し付けてきた
「!?!?!?」
私がジタバタと暴れるがはやては無視・・暫くそのまま時が流れ・・はやてはゆっくりと離れながら
「うふふ・・こんで3回目のキスや・・」
妖艶な笑みで言うはやてを見ながら
「わ・・私は・・妹と3回もキスを・・」
私がショックを受けているとヴィータが私の前に立ち、にっこりと微笑む、それに吊られて私が微笑むと
「・・頂きます・・」
「な・・何を・・むぐぅっ!?!?」
ヴィータにはやてと同じ様に無理やり唇を奪われる、はやてより長い時間キスをしていたヴィータは赤面しながら
「これで・・私も3回目だ・・なのは達より2回も多い・・私の方がなのは達より近い場所に居るんだ」
そう言うとヴィータは私から離れて
「えへへ~兄貴大好きだかんな!!」
そう言うとヴィータは走り去ってしまった・・私がヴィータにまでキスされた事で放心状態になっているとはやてが
「バインドは解除しといたで、立ち直ったら帰って来てや、兄ちゃんの部屋で待ってるで」
ブーケを両手で抱きしめながら歩いて行くはやての後姿を見ながら
「わ・・私は・・い・・妹と・・3回もキ・・キスを・・だ・・駄目だ・・私は・・人間失格だ・・」
私はorzのポーズを取りながら、涙を流した・・今日の事は早く忘れよう・・
大勢の女性に好かれ過ごす日々・・これもある意味幸せな日々なのかもしれない・・
「こんなに悩む幸せなど私は欲しくない!!!」
幸せ?の形 終り