団地で子供連続殺人事件が起こり、その犯人(女)に知り合いの生皮を剥がれ、それを着られ、自分は団地の屋上近くの階から落とされ、途中で金網に引っかかって生き残り、マンホールの蓋が飛んで、そこから腐敗し始めた数十の子供の遺体があふれ出し、上を見ると知り合いの皮を着ながらこちらを見て笑っている夢
まとめるとこんな感じだけど、途中で犯人が俺の手に暗号めいたものを書いて「私の名前を当てて」とか言ってたり、俺を落とす瞬間「私の名前は○○(生皮剥がれた知り合いの名前)」と告げられたり、犯人が水が滴るレインコートを着てたりとオカルトテイストが結構高い夢だった……落ちる夢や死ぬ夢は良い夢って言うけど、ぶっちゃけ勘弁
ナルトがまた大活躍した……その戦闘後すぐにぶっ倒れて病院に直行したらしいのだが、今は病院のベッドにいながらも元気にしている。
俺は彼が入院したとシズネ経由で知り、見舞いに来たのだが思いの外元気そうで驚いたものだ。
好奇心から何故怪我を負ったのかと本人に聞いて、そこで彼の大活躍を詳しく知る事になったのだが、その内容は思っていた以上に凄かった。
何と暁のメンバーの一人である角都という名の男を倒したのだとか……一度戦った事で奴の実力をある程度知っている俺としては、仲間の協力があったとしてもそう簡単に倒せる相手ではないことは分かっている。
故に驚きを隠せなかった。
思わず奴の不死性をどう攻略したのかと尋ねそうになったが、唯の本屋の店員が何故暁のメンバーについて知っているのかと問われれば困ったことになるとギリギリで自制し、多少強引ではあるが話題転換をすることにする。
「そういえば修行はものになったのかい?」
「勿論だってばよ! おっちゃんが差し入れに来た次の日に完成したし、あの修行で出来た術で暁のヤツにトドメを刺したんだ」
「術? あの修行は新術を学ぶ為のものだったのかい?」
「あれ、おっちゃんに言ってなかったっけ? あの修行は螺旋丸に性質変化を組み込む為の修行だってばよ」
「そうだったのか……どんな術が出来たのか聞いてもいいかな?」
「別にいいんだけど、上手く説明できるかな……簡単に言うと螺旋丸に風の性質変化を加えた術だってばよ。 まぁ使ったら俺の手にも被害が来る未完成の術なんだけどな」
そう言って包帯に包まれた腕を少しだけ持ち上げる。
目立った傷が見えない中で一際目立つ腕の怪我だったが、それが自身の放った術の反動だと聞いて眉を顰める。
「ナルト君……その術は出来るだけ「使うなって言うんだろ」……そうだね」
「分かってるってばよ、綱手のばあちゃんにも絶対使うなって言われたしな。
俺も分かってるんだ……あの術を放った瞬間に腕に大量の針を突き刺したような痛みが走ったから。
きっとアレを何度も使うとヤバイ事になるんだと思う……でも俺は絶対使わないって約束は出来ないってばよ」
少しだけ伏し目がちだった視線をしっかりと俺に向け、何を言われようとも考えを曲げないという意志を伝えてくる。
この頑固さは誰に似たのだろうか……何にせよ俺が何を言おうとも、ナルトはいざとなれば腕を犠牲にしてでも術を放つつもりだ。
幾ら俺が止めようと意志が変わらないのであれば、止めようとするのは無駄でしかない。
それならばむしろいざという時にどうするかを考えた方が良いだろう。
「ナルト君……自分の信念に従うのを止めはしないけれど、無茶をしてはいけないよ?
月並みの言葉かもしれないけれど、君が傷つくことで心を痛める人もいるんだからね」
「分かってるってばよ……」
「それが分かっているなら、もう俺から言うことはないかな……そろそろ面会時間の終わりも近いから、俺はここらでお暇するよ」
「おう、今日は来てくれてありがとうおっちゃん」
「いやいや、元気そうで良かったよ。 今日は怪我がどんな具合か分からなかったから花しか持ってこなかったけど、明日は果物でも持ってくるから楽しみにしているといい」
「そいつは楽しみだってばよ! やっぱ病院食は薄くてあんまり喰った気がしないから、少しでも味が濃いものを食べれるなら大歓迎!
そうそう、昔作ってくれたラーメンっぽい味の兵糧丸でもOK!
あれってばちょっと苦いけどちゃんとラーメンの風味があって結構好きな味なんだよなぁ……サクラちゃんの兵糧丸もアレ位美味しかったらよかったのに」
「ははっ、あれは結構作るのに時間がかかるし、また今度ね。
さてと代わりと言っちゃなんだけど少しリッチにメロンでも買ってくるとしようかな……よいしょっと、それじゃ安静にしているんだよ?」
病室を出た俺は真っ直ぐ火影邸へと足を向ける。
用向きはナルトの怪我について……一応病院で主治医に話を聞きはしたものの、ナルトの怪我に関しては自分よりも火影様の方が詳しいと聞いたのが理由だ。
アポがあったわけじゃないので面会出来ない可能性もあったけれど、短時間であれば時間が取れるとのことで、執務室へと向かうと綱手が一人書類と向き合っていた。
俺が部屋に入ってもその顔を上げることはなく、その忙しさが窺える。
そんな中で時間を取って貰ったことに後ろめたさを感じ、今からでも「やっぱりなんでもない」と言って帰ろうというかという思いが頭を過ぎったところで、綱手の方から声を掛けてくれた。
「話があるということらしいけれど、できれば手短に頼むよ。 見ての通り忙しくてしょうがないんだ」
「分かった……話はナルトの腕のことなんだけど、どういう状態なんだい?」
「あまり良い状態じゃあないさ……ナルトが作った新術は知っているか?」
「詳しくは知らないけれど、螺旋丸に風の性質変化を加えた物ということだけは……」
「どういう効果をもたらす術かは知らないという事だな。 なら簡単に説明するが、あの術は螺旋丸の中に風のチャクラを混ぜ込み、着弾と同時に爆発的に効果範囲を拡げ、範囲内の者に極小の針状に変化したチャクラで膨大な回数の攻撃を加える事で対象の細胞にある経絡系を全て損傷させるという術だ」
細胞を攻撃する術なんて防ぎようがない……そんな術をナルトが作ったのか?!
例え性質変化の副産物的な物だったとしても、途轍もないことだ。
だが気になる部分は其処よりも、術のリスクの方である。
「そんな危険な術だったのか……ということはナルト君が言っていた腕に感じた痛みっていうのは……」
「螺旋丸は術者の手の上で作り上げる術、着弾前であろうと漏れ出る風のチャクラによって術者が傷つく事は想像するに難しくない。
今ナルトの腕の経絡系は傷ついている……そしてその傷はある程度治ることはあっても完治はしない。
あの術を使えば使う程治らない経絡系は増えていき、いずれは腕でチャクラを練ることが出来なくなるかもしれない」
「そこまでリスクの高い術だったとは思わなかったよ……もう少し強く諫めておいた方がよかったかもしれないな」
壊死とまではいかないにしても、腕でチャクラが練れないとなると忍としては致命的に等しいハンデを背負うことになる。
だがナルトは例えそうなろうとも仲間を助ける方が大事等と言いそうだ……だからこそあれほど慕われるようになったのだろう。
それが誇らしくもあり、同時に厄介でもある。
綱手も同じ事を思ったのか、呆れたように軽く溜息を吐きながら時計を見て書類を片付け始めた
「まぁ言っても聞かないだろうがな……さぁ話は終わったんだろ?
私はこれから医療部と暗号部に行かなければならないんだが」
「あぁ時間を作ってもらって感謝しているよ。
職務頑張ってね」
一緒に部屋を出た後、綱手は片手を上げて返事をして曲がり角の先へと消えていく。
俺はそれを見送ってから店への帰路に着き、通り道で見舞いのためのメロンの下見をするのだった。