忍者の世界で生き残る   作:アヤカシ

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naruto外伝買ったんだが……サラダ可愛いな
ボルトはまだ何とも言えない……現状は初期ナルトよりも好感度低い
次の劇場版での活躍に期待かな?
とりあえず早く前の劇場版見て何とかアフターストーリー書きたいところ


雨雲 その8

 岩隠れでの新たな生活は時折面倒なことも起こるけれど、それなりに落ち着いてきていた。

 雨隠れでの一件の所為で弥彦達三人と俺に賞金が掛かってしまったり、買い物に出た先で土影一行とニアミスしたり、長門の持つ輪廻眼という特殊な眼の持つ力が暴走し巨大な人型の何かが上半身だけ現れて危うく再びアジトを破棄することになりかけたこと等があったわけだが、それらを何とか乗り越えて今に至る。

 ちなみに賞金額は半蔵を倒した俺が一番高く、その額4000万両……聞いた話によると火の国の大名直轄の守護忍十二士っていう人達よりも高いらしい。

 この世界における1両がおよそ10円位の価値なので俺の首には実に4億円の賞金が掛かっているという事になるのだ……全く笑えない額だよ。

 その御陰で顔半分を覆う様なマスクがすっかり手放せなくなってしまった。

 先日なんてアジトに体中から灰色の触手の様なものを出す白目が黒く黒目が緑という少し特殊な目をした男が一人で襲撃を仕掛けてきたのだ。

 かなりの手練れで半蔵と同等以上の戦闘力を持っていたが、弥彦の指揮の下でしばらく長門と俺が相手をしていると「これは割に合わん」と言い残して何処かへ姿を消したのだけど、あんなのがしょっちゅう来ると考えるとこの先不安で仕方がない。

 

 

 ちなみに俺の暁での役割は平常時であれば店をやっていた経験を生かして物資の管理等を主な仕事とし、緊急時は弥彦の指揮下で戦闘行為を行っている。

 流石に自分が賞金首になっているにも関わらず、後ろで守って貰うっていうのは色々と駄目だろうという考えの基、俺自身がこの組織の長である弥彦に提案した結果だ。

 人手が欲しかった弥彦としてはこの提案はありがたかったらしく、嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちが半々位であったらしいが、長門や小南が「折角言ってくれているのだから」と彼に言ったのが切っ掛けになって彼としても踏ん切りがついたのか一度深く頭を下げて、俺の提案に是を返してくれた……その時はこれで一先ずヒモ生活になる事はないと一安心したのだが、後に思いの外物資管理がガバガバだった事実を知り、尚かつ暁を目の仇にしてる組織や賞金稼ぎなどが結構襲いかかってくるので、店をやってる時とは比べられない程大変な仕事に若干後悔した。

 

 

 今日もいつもの様に俺は掛かった経費を帳簿に書き写し、赤字を何とか減らす様に頭を悩ませていると、今日警備を担当していた一人が経理部(俺しか居ないが)へと駆け込んでくる。

 彼の顔色はまるで土の様な色でそれを見るだけで事の深刻さが窺えた。

 ここに誰かが駆け込んでくる時は何者かが襲撃を仕掛けてきた時が殆ど……恐らく今日もそうなのだろうと俺は筆を置き、手早く外に出る用意を調える。

 

 

「ヨミトさん、急いで外に来てください!」

「襲撃にしては静かだけど、どうしたんだ?」

「……影が来たんです」

「影?」

「土影が部下を連れて此処に来てるんですよ!」

 

 

 思わず足が止まった……この国の代表である土影が一組織に態々足を運ぶ事なんて早々ある事じゃない。

 ましてや暁は悪事こそしていないが、正当防衛とはいえ雨隠れと事を構えているし、雨隠れの長を殺めた俺もいる。

 どう考えても物騒な結末しか想像できないのだが、相も変わらず戦闘音らしきものは聞こえてこない。

 そこでふと土影の血継淘汰を思い出す。

 塵遁……当たった部分を塵と化す防ぎ様のない歴史上二人しか使える者が存在しない特殊な忍術。

 聞いたところによると塵遁は発動時に殆ど音がしないという。

 俺は最悪の事態を想像し、‘魔導師の力’と‘ファイティング・スピリット’、‘突進’をほぼ同時に発動させて壁をぶち抜きながら最短距離を走り抜ける。

 建物内に外まで続く人型のトンネルを作り上げ、地面へ滑る様に着地した俺に幾つもの視線が突き刺さった。

 半分は警戒、もう半分は戸惑いの感情が含まれている様に感じる……前者は土影とその部下で後者は弥彦達だ。

 いち早く我に返った小南が口を開く。

 

 

「ヨミトさん……何故こんな事を?」

「土影が来たって聞いたから……戦いになるかもしれないと思ったら居ても立っても居られなくて」

「心配してくれるのは嬉しいけれど、土影様は別に戦いに来たわけではないわ。

 むしろ「其奴が半蔵を下したヨミトとやらか?」……そうです」

 

 

 彼女の言葉を遮り、配下による制止の声をものともせずにふわふわと浮かびながら此方へ近づいてくる土影。

 見た目小さな老人にしか見えないが、その小さな身体から感じられる強者の気配は半蔵と同等以上である。

 もし一度戦闘になった場合空を自由に飛びながら、防御力無視の塵遁を放つと考えると小さな身体はむしろ利点となるだろう。

 そんな相手が俺の目の前で制止し、ジッと俺の事を観察していた。

 どれ位の間そうしていたのかは分からないが、徐々に土影の表情が訝しげなものに変わっていき、一度首を傾げてから俺に質問を投げ掛ける。

 

 

「お前さん……どうやって半蔵を下した?

 優れた忍でもなく、武術を極めた様なある種の達人というわけでもない。

 先程の動きを見るからに身体能力は異常に高い様じゃが、それだけでどうにかなる程半蔵は甘くないじゃろう」

「運が良かっただけですよ……慢心してくれていなければ今頃俺の方が骸を晒していたと思います」

「答えになってないんじゃが……まぁ構わん、敵対するならその時は消すだけじゃしな。

 で暁の頭目よ、返答は明日の正午までに決めるんじゃぞ?

 それまでじっくり話し合っておく事じゃ」

 

 

 そう言い残して土影一行はその場を後にする。

 彼らの姿が見えなくなると、弥彦達が此方へやってきて去り際に土影が言っていた言葉の意味を教えてくれた。

 土影は暁がここで活動し始めた時から監視していたらしいのだが、特に犯罪行為を行う訳でもなく唯戦いのない平和な世界を目指すという目標のために動く姿を見て、一先ず信用して話をしに来たらしい。

 俺が飛び出してくるまでに話していたことは半蔵と事を構えることになった原因や今後の活動予定などを説明していたのだとか。

 その際に土影から一つの提案があり、それは暁を岩隠れの予備戦力として徴用したいというものだった。

 

 

「予備戦力って、まるで傭兵みたいな扱いだなぁ」

「まんま傭兵だけどな……相手が出してきた条件は資金の援助と暁が戦力を欲した時には土影側からある程度兵を出す事。

 此方に求められたのは防衛戦を行う場合に戦列に加わる事」

「暁は貧乏だから資金はありがたいけど、なんかこっちの得が多くないかい?」

「まぁ確かにそうなんだが、土影が言うには長門の眼が余所に渡って敵に利用されると困るっていうのと、機動力があるが故に各地を飛び回ることが多い自分たちに代わって里の守りに回れる戦力が欲しいというのが理由らしい……なんか他の狙いもあるかもしれないけどな」

「厄介な敵になる前に囲い込んでしまえって考えかぁ……確かに長門の力は反則的な物もあるから気持ちは分からないでもないな」

「……それ僕だけじゃなくヨミトさんにも言える事ですよ?」

 

 

 その言葉に同意する様に周りにいる人間の殆どが首を縦に振っている。

 俺が今までした事なんてそんな大したことじゃないだろうに……ちょっと腕切断された仲間の腕をくっつけたり、‘魔法の筒(マジックシリンダー)’で襲撃者の術を返したりしただけじゃないか。

 前者は医療忍者なら出来るだろうし、後者は長門のチャクラ吸収能力の方が使い勝手が良い。

 能力の中には確かにチートと言わざる得ない様な物もあるけれど、現状長門の輪廻眼以上には活躍してないはずなんだけどな。

 俺は誰か首を縦に振っていない人がいないものかと周囲をもう一度見回してみると一人……小南だけは此方を向いておらず、尚かつ首も振っていなかった。

 其処に一筋の光明を感じ、彼女の下へ走る。

 

 

「小南は分かってくれるよな!」

「……ヨミトさん」

「やっぱり小南は優し「あの壁どうするつもりですか?」……ん?」

 

 

 彼女は確かに俺の方を向いていなかった……彼女はジッと俺がアジトにあけたトンネルを見ていたのだから。

 パラパラと壁の欠片が落ち、壁面には幾つか罅も入っている様だ。

 あれを直すとなるとそこそこな資材と時間が掛かるだろう。

 頭が修繕費などを漠然と計算し始め、一人顔を青ざめさせている最中ゆっくりと小南が振り返り、正に無の表情で俺を処断する。

 

 

「暫く給金三割カットです」

 

 

 俺は無言で膝から崩れ落ちた。

 




抜糸もつつがなく終わりを迎え、後は傷が消えるのを待つばかり
因みに腫瘍を病理に回したら、(分かってはいたが)悪性ではないことが判明して一安心
サイズは2.5cmで取り残しも無いようです……親指の第一関節位の球体だと思えば何とも言えない気分になるね!

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