目が覚めたら、そこは知らない天井だった……いや、マジで。
なんか和風っぽく木目がある天井なんだけど、結局俺って何処に来たんだ?
俺はとりあえず身体を起こし周囲を見渡すと、ちゃぶ台の上に乗った手紙の様なものが目に入った。
この状況が分かるかと思い、その紙を手に取る。
「なになに……。
‘どうやら無事に転生できたようだな。
その世界は忍者というものが存在しており、そこは火の国の木ノ葉隠れの里と言う場所だ’
火の国木ノ葉……なぁんか嫌な予感が尋常じゃないな」
俺はこの嫌な予感の是非を確認するために、窓から外を見る。
日本の様で日本じゃない。
それだけなら何の問題もないんだよ……某忍者漫画に出てくる街じゃなければな!!
「NARUTOの世界とかないわぁ……下手すればマッハで死ぬじゃねぇか!!
死ぬかもしれないどころか、死がゴロゴロ転がってんぞ!?」
頭を抱えて部屋の中を転がりまわる俺。
暫く転がっていたが、ふと窓からの風景に違和感を感じて再び窓の外を見る。
火影の家……問題なし。
街並み……若干建物が少ない気がするけど問題なし。
火影の顔岩……顔が二つ?
「原作開始時って三つか四つあった気がするんだけど……今どの時期だよ?
くっそ、九尾が暴れる前とか勘弁してくれよ!?」
極大の死亡率を誇るイベントの事を考え再び頭を抱えたくなるが、手紙の続きを読んでいない事を思い出し、藁にもすがる思いで手紙を手に取る。
「‘まずお前のその世界での戸籍を教えておく。
親族や知り合いは戦争に巻き込まれて鬼籍に入っている。
お前が今いるそこはお前の家兼店であり、土地や店はお前の持ち物だから金は掛らない。
店は古本屋だが、まだ店を開いていないので客はいない。
商品でもある本は両親が古本屋を開くために集めたということになっている。
基本お前はこの店兼家の二階で寝るといい。
看板は掲げていないので、店の名前はお前が考えてくれ’
……看板なくて店かどうか分からなかったら客も何もないだろうに」
客が居ない本屋の店主が俺の来世でした……笑えねぇ。
もっと良い情報は無いのか?
「‘次に金銭だが、寝室の金庫に五十年食べていけるだけの金銭を入れておいた。
念のため裏庭に小さい畑があるから、それで自給自足しても死にはしないだろう。
次はお前自身の名前だ。
この世界ではお前の名は
ちなみに文字の読み書きに関しては、自動的に脳が翻訳を掛けるので意図的に日本語を書かない限り問題はないはずだ’
本瓜 ヨミト? 字は違うけど本を売って読む人ってことか……安易だが、分かりやすいな」
名前も変えられ、住む世界も変わった。
少し切ない気分になったが、気合いを入れて手紙の続きを読み進める。
「‘能力についてだが、魔法と罠は一度に5枚使用できる。
魔法の効果は1ターンを5分として計算。
永続魔法や罠の効果も放っておけば一日で消える。
ただしすぐに消したいと思った場合は、基本別の魔法や罠の効果で消す以外に方法は無い。
また魔法と罠は無尽蔵に使えるわけではなく、同じ魔法や罠は日に3回しか使えず、日に最大40回までしか使用は出来ない。
禁止、制限カードには別個制限があるから注意して欲しい。
お前自身はモンスター兼プレイヤーという扱いであり、お前は常に手札及び場及び山札にいるという扱いだ。
後は自分で試してみてくれ’
雑だな、オイ……ん?まだなんかあるな」
これで終わりかと思いきや、もう一枚手紙があったので読み始める。
もう何にも期待なんてしてないけどな!
「‘最後に一つだけ私からのプレゼントだ。
流石にあの身体能力のままだと何かあった場合に、直ぐ此方に来てしまいかねない。
故に少しだけ身体能力を上げておいた。
具体的に言うとそちらの世界の平均的な下忍と同じ位だ’
これは……マジで助かる!
流石にあのままだったら逃げることもままならないからな。
陸上競技とか超苦手だったし」
前世では水泳が得意だったんだけど、走るのはめっぽう遅い上に持久力も人並み以下。
この世界がヤバい世界だって分かったから鍛えることは確定してたけど、地力が上がっているなら少しは楽になるだろう……とりあえず目標は死なないことだな。
この里を出ることは多分ないと思うから、現状分かっている関わりたくない存在は三忍、火影、暗部。
まぁどれも普通に生きていれば関わらないと思うから大丈夫だと思うけどね……たぶん。
そういうの度外視で危険なイベントが原作入ると一杯あるけど、原作前なら九尾襲来イベント位のハズ……これはまだ九尾が来てないと仮定した場合だけど。
「なんにしても、今はこの家を一回見て回るのを先にしよう!
考えるのは後でもできるし、何より一人で店やるならしっかり見ておかないといけないしな!」
先行き不安な気持ちを何とか抑え込みつつ、階段を下り店を見に行く笹倉 極改め、本瓜 ヨミト。
こうして俺の不安いっぱい危険てんこ盛り忍者ワールドでの新たな生活が幕を開けるのだった。