忍者の世界で生き残る   作:アヤカシ

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第48話 未来の英雄

 初めて来た忍者アカデミーに少し戸惑いつつも、門のところでシズネの事を待つ俺。

 次々と出てくるアカデミーの生徒達の顔は一様に笑顔ばかり。

 

 

「それもそうか……今日から念願の忍者になるわけだからな」

「そうですよ! 私も遂に忍者になったんです!!」

 

 

 突然後ろからそんな声が聞こえて振り返ると三人の子供が立っていた。

 一人はシズネだが、後ろの二人は見たことない顔だな……誰だろう?

 件の二人も俺が何者か疑問だったらしく、少し気まずそうにシズネを見ている。

 両者の視線に挟まれたシズネは不思議そうに首を傾げると、何か思いついたように手を叩いた。

 

 

「あ、そういえば会ったことないんでしたね!

 アスマ君、紅ちゃん、この人が私が良く行くお店の店長さんでヨミトさん。

 ヨミトさん、私から見て右側にいる女の子が紅ちゃんで、その隣にいる男の子がアスマ君です」

「君たちがシズネちゃんの言っていた子か……初めまして古本屋をやっている本瓜ヨミトというしがないおじさんです」

「これはどうもご丁寧に、私はシズネちゃんのクラスメ「友達!」……友達の夕日紅と申します」

「……猿飛アスマだ」

「「アスマ(君)!」」

「いやいや、気にしなくても良いよ。

 俺にもこういう時期があったしね。

 そんなことよりもまずは言わなければいけないことがあったね……卒業おめでとうシズネちゃん」

「ありがとう! あれ、お父さんとお母さんは?」

「二人は今家でお祝いの準備をしているよ。

 俺がここに来たのは二人に頼まれたからっていうのもあるからね」

 

 

 正直あまり近寄りたい場所じゃないし……とは言えないよな。

 変化の術を見破る日向一族怖い、白眼超怖い!!

 現状では一番警戒しなきゃいけないのはあの一族だから、その子息がいる可能性があるアカデミーは俺にとって鬼門と言っても過言じゃない。

 俺の平穏は今変化の術が保っているが、それを一瞬で壊すことの出来る相手を警戒しないなんてあり得ない。

 しかも事情を知ってる三代目を頼ろうにも例の一件以来疎遠になりつつあるから頼めないという袋小路具合。

 日々綱渡りですよ……俺。

 今日はどうしてもって頼まれたし、俺自身祝いたいという気持ちがあったから来たけど、本当ならとっとと帰りたいんです。

 なのに……シズネちゃんは何故俺の腕を掴んでるのかな!?

 俺すっごい嫌な予感がするんだけど!

 猿飛君、夕日ちゃん助けて……ってもういない!?

 

 

「実はヨミトさんに紹介したい人がもう一人いるんです」

「へ、へぇ」

「お世話になった先輩なんですけど、波風ミナトっていう人なんですけど……知ってますか?」

 

 

 何か聞いたことある名前だぞ……思い出せ俺!!

 今思い出さないとヤバい気がするぞ!!

 木の葉崩しの主要人物……いや違う。

 ペイン編の主要人物……これも違う気がする。

 誰だ、波風って誰だ!?

 

 

「あ、丁度良いところにミナト先輩が!

 せんぱーい!!」

「ん、シズネちゃん達か。

 どうしたんだい?」

 

 

 金髪のイケメンがこっちに来る。

 でもあの顔何処かで……オイオイ、思い出してきたぞ!

 波風ミナトって言えば主人公の父親で、四代目火影を就任した人の名前じゃねぇか!!

 

 

「先輩に紹介したい人がいるんですけど、今時間大丈夫ですか?」

「丁度任務の帰りだし大丈夫だけど、紹介したい人ってその人かい?」

「そうです、私が良く行く本屋の人なんですけど、家族ぐるみで付き合いがあって色々お世話になっているんです。

 ミナト先輩は本をよく読むって聞いていたので、紹介した方が良いのかなって」

「そっか、それじゃ挨拶しないとね」

 

 

 未来の火影が俺としっかり向き合い、爽やかな笑顔を俺に向ける。

 この笑顔で何人の女性が虜になったんだか……ってそうじゃない!!

 出来るだけ記憶に残らないように印象を薄くしないと!!

 

 

「初めまして僕の名前は先程聞いたかと思いますが、波風ミナトと申します」

「先輩は今もっとも火影に近い上忍って呼ばれる位凄腕の忍者なんですよ!」

「それは凄いですね、俺はただの古本屋の店主ですからそういう方との接点は全くないんですよ」

「何言ってるんですか! 綱手様が常連客じゃないですか!

 それに火影様も来店したことあるって前に言って「あーーーー!!そういうこともあったかも知れませんね!!」ましたよね」

 

 

 なんてこと言いやがってくれますかこの子!?

 波風さんの目の色が若干変わった気がする。

 顔が爽やかなままなのが少し怖い。

 

 

「へぇ、それは隠れた名店ってやつなのかもしれないね。

 本瓜さん、僕も今度お邪魔しても構わないですか?」

「え、えぇ、ですがあまり期待しないでくださいね。

 うちはあくまで古本屋なので、一度人の手に渡った物が流れ着いた店ですから、新しい本とかは取り扱ってませんので」

「それは面白そうですね、思わぬ掘り出し物が眠っていそうだ」

 

 

 あ、これ絶対来るノリだ。

 でもまぁ店に来るだけならあんまり問題ない……はずだ。

 綱手や三代目も結局厄介事は基本持ち込まなかったし、俺は警戒しすぎなのかも知れない。

 

 

「今度教え子と一緒に行こうと思いますのでその時は宜しくお願いします」

「教え子ですか?」

「えぇ、今年の卒業生を受け持つことになりましたので」

 

 

 この若さで下忍を任される事もあるのか……優秀だからか?

 何にしても来る客を拒むわけにはいかないからな、大人しく店の掃除でもしておくか。

 俺はその後金髪イケメン凄腕忍者と別れ、シズネの家へと向かった。

 




なんか一個前の話だけ感想の数が異様に多かった……これはNARUTOの人気投票にカツユが台頭してくる日も近いか!?
……正直人化させる予定なかったんだけど、期待の声が少し多かったから何か考えます
外伝という形になると思いますが期待していた方は気長に待ってください

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