~ギルド視点~
「大長老っ!!大変です!!『特一級接触禁止種』が発見されました!!」
大老殿に響いたその悲鳴にも近い声で、依頼を受けに来ていたハンターや
ギルド職員がまるで時が止まったように停止する
そんな中、大長老だけが、今先ほど走りこんできた古龍観測所職員に言葉を返す。
「現れたのはなんじゃ?『剣聖』か?それとも『悪鬼』『閃光』か?」
「い、いえ……。『爆砕』です………」
「なにっ!?『爆砕』じゃとッ!?今すぐ出現地に禁止令を出せ!!
このままでは数年前の悲劇がまた起きてしまう!!」
「はっ!了解です!!幸いなことに出現地は未知の樹海だそうです。
周辺に村は一つしかないようなので今すぐ伝書鳩を飛ばします」
その大長老の言葉とともに止まっていた職員やハンターが焦ったように動き出す。
『接触禁止種』
それは特定のハンターランク以上のハンター以外に討伐することが禁じられたモンスター
の総称である。
その中にはもちろん古龍種も入っており、有名なのは『熾凍龍』『天翔龍』などがいる。
しかし、その中でも『特一級接触禁止種』は一線をきす存在だ。
『剣聖』 『悪鬼』 『閃光』 『爆砕』
現在はたった四頭しか登録されていないが、その危険性は古龍をはるかに上回る。
曰く、戦乱の世にあったユクモ地方全土を焼き尽くした。
曰く、対老山龍用に作られた強固な砦を拳一つで粉砕した。
曰く、周辺環境を破壊しながら、外敵を八十六分割した。
曰く、数十年前、当時最も栄えていた街一つを爆発させ、五桁を超す人間を殺した。
など、どれも曰くつきだがすべて実際に起こったことだ。
そして今回出現した『爆砕』………いや、『核龍』は街一つを爆発させ、
幾万もの人間を虐殺したことで有名な接触禁止種である。
特一級以外の接触禁止種は相応のハンターランクになれば討伐を許可されるが、
特一級はハンターにさえ狩猟許可が出ないほどだ。
その隔絶した強さから『四王』とも呼ばれる最強角のモンスターだ。
『核龍』
正式名称クリアディオス。『爆砕』の通り名を持つブラキディオスの近縁種だ。
砕竜とは違い、槍のように突き刺すことに特化した角と腕を持つ。
尾の先端は斧のようになっており、両肩には『炉心』と呼ばれる甲殻を持ち、
猛り爆ぜるブラキディオスよりも巨大な体躯を持つ龍。
数十年前、眠っていたところを捕獲され、近隣の町の闘技場で様子を見ることになった際
ギルド職員が甲殻を採取しようと、甲殻にナイフを突き立てたことで覚醒。
怒り状態にすぐさま移行し、その街ごと闘技場を爆発四散させた最恐の龍。
それが現れたのだ、だれだって焦る、というか焦らないほうがおかしい。
未知の樹海の奥地で発見された大爆発により、生存を確認されたのだ。
むやみにハンターを送り、刺激したことで過去と同じ鐙を踏むわけにはいかないのだ。
ゆえに取れる手段はただ一つ。刺激しないように遠方から観察、その脅威が去るまで
ただ待つことしかできないのだ。下手な古龍よりも恐ろしい。
他の三体にも言えることだが、一応は、ハンターを送り込んだこともあるのだが、
その誰もが戻ってくることはなかった。
あるものは全身を業火に焼かれ、あるものは握りつぶされ、あるものは真っ二つにされる
総勢30名を超えるハンターやギルド職員により編成された討伐隊を送り込もうと、
意味はなさなかった。このまま続けても最早意味も無いだろうということで、
特一級という異例の措置を行うことで、犠牲を増やさないようにしたのだ。
他の古龍と違い、撃退するほどのダメージを負わせることも不可能。
まさに規格外。ギルド内で最高ランクの危険度を保有する。
しかも最近になって、それらにもう一体候補が出たのだから、もう頭が痛い。
周辺を毒によってモンスターはおろか植物さえ殺すような輩だ。
今年度中にも登録される可能性が高い。
「……う老様!大長老様!大変です!」
「なんじゃ?今度は」
「先ほど禁止令を送ったのですが、それと入れ替わりになるように報告が
道の樹海付近のアンク村に滞在するハンター達より報告が…………、
どうやら、爆発を聞いた現地住民より依頼を受け、探索に向かってしまった
ようなのです!いったいどうすれば!?」
「なにぃ!?今すぐ連れ戻せ!!いや、あの距離から来たのだ、
もう手遅れやもしれぬ……。観測隊に何とか連絡するように頼め!!」
「はっ!!」
たった一匹のモンスターの登場により、ギルドはあわただしく動き出すのであった……。
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~ハンター視点~
うっそうとした木々と植物をかき分けながら進む四人のハンターがあった。
アンク村に滞在していたレイザー、ガルバ、メラン、ヘレネの四人だ。
数時間前、未知の樹海の奥から爆音が聞こえたあと、村長からの依頼により
探索に向かってきたのであった。
「にしても何だったんだろうな、あの爆音。新兵器かなんかか?」
「こんな場所でやる?それこそ違法な研究でもしていたんじゃない?」
「それに先ほどより、モンスターに一匹も遭遇せんしな。間違いなく何かあるじゃろう」
「お、おっかないモンスターでもいたりして……?」
「要らん想像しても意味ねえだろ。今は奥へ進もう」
奥へと進むたびに、だんだんと地面が落下したような跡が目立つようになる。
まるで下にあったものが崩れたように。
瓦礫や、落下してきたような岩石も増えてきて、しばらくしたら大きなクレーター
に突き当たる。
「な、なんじゃこりゃ!?広っ!!」
「ふむ………、目測じゃが半径40~50mほど抉れておるな………」
「ええっ!?そ、そんなことできるんですか!?」
「巨大な隕石でも降らない限りないだろうよ……、ん?中心になんかいるぞ?」
四人がいる場所からはよく見えないが、確かに山のようなものは見える。
「降りるか、全員警戒するように」
「「「おうっ」」」
降りれそうな場所を見つけ、降りていくが、衷心よりひしひし感じる圧力
ただ眺めているだけで冷や汗が止まらない。
こんな経験は、ハンターを始めたころや最近の死闘でしか感じたことがない。
要するに、中心には少なくともあの死蜘蛛と同等クラスの化物がいることになる。
知らず知らずのうちに汗が噴きでて、体が緊張により強張る。
ようやく目視できるようになった途端ガルバが声を荒げる
「な!?やばい!?逃げるぞっ!?」
「ど、どうしたんだよガル爺!?な、なにがいたんだよ!?」
「『特一級接触禁止種』じゃ!?しかも『爆砕』じゃ!?ここも奴の攻撃範囲じゃ!」
その言葉に全員が戦慄する。もはや俺らにはどうこうすることもできない。
古龍以上の天災とまで呼ばれる存在が目の前にあるのを自覚したのだから……。
オリジナル要素
『接触禁止種』:特定HR以上のハンターにのみ狩猟が許可されるモンスターの総称
『特一級接触禁止種』:『剣聖』『悪鬼』『閃光』『爆砕』の四体のみが登録されている
古龍を超える天災として有名