東方覚醒録〜Don't exist originally   作:tora@812

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東方現代序
第一話 第二の生にて


 突然だが、人間には二つの人生があるという話を知っているだろうか。まあ、これは努力しない人生と、努力することで新たに見えてくる人生を表した例え話だ。実際は人間二回も生きることは出来ないのが普通だ。もっとも、物語の中なら、一度死んでも悪魔の能力で骨だけになっても生き返ったり、死んでも頭の上に輪を浮かべながら戦いに参戦したりと二回目の人生のようなことをしてたりする者達もざらにいる。とはいえ、そんなことは空想の世界のことで普通は起こらない。そう、普通は。いや、違う人間として生きているのだから厳密には二回目の人生では無いのかもしれない。

 

 「いきなり、何を言っているんだコイツ」と思ったかもしれない。グダグダ言っていても話が進まないので、結論だけ伝えると、僕、栂峰(つがみね)虎之助(とらのすけ)は「以前生きていたときの記憶を持ちながら、今の生を過ごしている人間」だ。早い話が前世の記憶を持っている。

 

 前世の記憶を持って生きていると聞くと、神様転生なんて言葉を思い浮かべる人も多いだろう。しかし、僕には不思議な空間で神やら天使やらに「ミスして殺した。済まないな」と言われた記憶も、「特典やるから好きなの選べ」と言われた記憶もない。それどころか、子供をかばって死んだとか、通り魔に刺されて死んだとかの記憶もない。要するに、なんで前世の記憶を持ちながら生きているのかさっぱり分からないのだ。

 

 ただ、それ以外の事はだいたい覚えている。だいたいと言ったのは、わずかではあるが思い出せないことがあるのだ。それを説明するには、今生きているこの世界について話すべきだろう。

 

 俺は地球という星の日本という国に住んでいる。ここまでは、前世の記憶と同じだ。地理とか文化そのものには一切変わったところがない。では、何が違うか。今のところ分かっているのは二つだ。それは、宗教が形骸化していることと、前世の僕が好きだった何かが無いことだ。

 

 ひとまず、一つ目の宗教の形骸化について話そう。この世界の人間は殆どが無神論者だ。全くいない訳では無いのだが、居ても神は居るなんて言うとイジメの的にされたり、世間から白い目で見られたりする。これは世界的に見られる風潮で、寺社仏閣なんて世界遺産や国宝レベルのもの以外、ほぼ過去の異物と化している。歴史のある寺や神社、教会などは、国が金を出して保護こそしているものの、予算の無駄だなんて議論もされていてなかなか厳しいのが現状だ。そもそも、住職や神主、牧師なんかも、親の跡を継いだだけの人間や国からの補助金目当ての人間が殆どだというデータも出ている。そんなのだから、祭りも活気がなく、冠婚葬祭は親族や近隣住民が集まるだけの集会と化している。そして、その余波なのか、霊や悪魔なんてものも信じられていない。だからか、墓参りも形骸化、お化け屋敷なんてほぼ無い。まあ、宗教戦争が無いので一概に前の世界より悪いとは言い切れない。だが、前世の記憶を持つ身の上としては、そういった自体は物悲しいものだ。とはいえ、物語の中なら神やら怪奇現象も題材になることも多く、前世に存在していた作品も連載されている。

 

 ここで、二つ目の前世との違いだ。僕の知っている作品は全てあるはずなのに、何か一つが足りない気がするのだ。それが何かが思い出せない。それが僕の記憶の穴で、それが存在しないことがこの世界の前世と違う点だ。

 

 僕は、思い出せないのは「この世界が僕の思い出せない作品の世界」だからだと考えている。それが何か知るため、あらゆる雑誌を読んだが、何が無いのかとうとう思い出せなかった。人間一度覚えたことは、忘れたと思っても案外覚えていると言うのは有名な話であるが、思いだそうにもその記憶に掠ることが無ければ思い出せない。だから、思い出すのを諦めてそのうち思い出せればいいやって感じで生きている。

 

 さて、ここまで今この世界の現状を話たわけだし、そろそろ自分の話をしよう。僕の名前は、栂峰(つがみね)虎之助(とらのすけ)、現在高校一年生。念のため言っておくと、前世でも今世でも男だ。前世の記憶でも高校生だったので、約二倍の人生経験があることになる。とはいえ、前世ではのんべんだらりと生活していたので、二倍の人生経験が役立つ事はほぼ無い。仮に真面目に生きていたとしても、幼児期に勉強やら社会に触れる事は出来ないし、小学生の時に分厚い本を読める訳でも無いので、約30年ぶっ通しで生きた人より、経験が無い。だからと言っても、油断していると歳相応でない知識をさらして悪目立ちする恐れがあるので、常に警戒しながら生きている。結果として、友人と呼べる人間がいないのは仕方の無い事だ。まあ、前世でも高校からコミュ障に成ったので、そのせいで友達作れなかったのかもしれない。

 

 それと、僕は無神論者ではない。「神の存在しないことを証明出来た者など古今東西どこを探しても存在しないのだから、居る可能性はあるはずだ。」などと言っても、無神論者しか周りに居ないこの世界では、のけ者にされる。実際、小学生の頃それでイジメられた。一年生だったのと、なるべく年相応に見えるよう意識していたおかげで、子供の()(ごと)として処理されたので、今イジメられている訳では無い。でも、イジメられるぐらいなら、友達はいらないと思ってしまう。

 

 「虎之助~、晩御飯出来たから下りてきて~」

 

 おっと、晩飯が出来たようだ。自室の扉を開けると魚の焼けた匂いが漂ってきた。飯でも食べてつらいことは忘れよう。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 一階に下りると、父親も帰ってきていた。珍しいな、普段なら帰ってくる時間ではない。

 

 「今日は帰ってくるの早いね。」

 

 「ああ、伝えたいことがあってな。亜矢子(あやこ)も座ってくれ。」

 

 亜矢子というのは僕の母の名だ。ちなみに父の名は(あゆむ)だ。僕からしたら、二人は今世の親ということに成る。母が座ったところで、父が口を開いた。

 

 「実は、来月から長野県に転勤することに成った。あっちの社宅に移るから、引っ越す事になる。」

 

 「そう、分かったわ。なら色々と準備しないとね。」

 

 「ああ、そう。分かった。」

 

 普通なら、ここで一悶着(ひともんちゃく)あるのだろうが、物分かりのいい親なので、話がスムーズに進む。僕も特に友達居ないので引っ越す事に抵抗は無い。そのまま、家族会議が進んでいった。

 

 「ところで、家はどのあたりに成るの?」

 

 「諏訪市っていうところだ。何でも大きな神社の側らしい。諏訪大社とかいったかな?」

 

 へー、諏訪市か。たまに全国のニュースで大雨の様子とか写してる事あるよな。ん?諏訪大社ってどこかで聞いた気が...

 

 「ああ!」

 

 「どうしたの虎之助!ビックリしたじゃない。」

 

 「ごめん、ちょっと急ぎの課題思い出した。食べ終わったし、もう上がるね。どうせ後は手続き絡みの事しか話さないでしょ。」

 

 「ああ、そうだな。高校の転入絡みの事は学校に話さないと何も分からないからな。」

 

 「ちゃんとお皿片付けて行きなさいよ。」

 

 「分かってる。」

 

 そして僕は皿を片付けて二階の自室に帰っていった。

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

 ・・・・・思い出した。僕の忘れてた作品。なら、多分この世界は僕の忘れてた作品と同じ世界だという予想は当たっている。神仏は信じられず、信仰が失われている世界なのも一致する。雑誌を読んでも思い当たらなかったのは当然。一般に出回っている本に載っているはずが無い。

 

 この世界は・・・・・・・・・・東方projectの世界だ、




 主人公はこの段階で東方の記憶を全て思い出して居ます。ただ、前世の自分が死ぬ辺りの記憶が無いため、高校の何年生だったかなどは覚えてません。ただこれは、転生による記憶の混乱だと、とらえているため特に問題は無いようです。

 作者は入力がとろいので、投稿速度は遅めに成なると思います。

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